— 4 —
第1問
(1) 正の整数 に対し,
とおく。次の不等式が成り立つことを示せ。
(2) 正の整数 に対し,
とおく。極限 を求めよ。
— 6 —
第2問
黒玉 個,赤玉 個,白玉 個が入っている袋から玉を 個ずつ取り出し,取り出した玉を順に横一列に 個すべて並べる。ただし,袋から個々の玉が取り出される確率は等しいものとする。
(1) どの赤玉も隣り合わない確率 を求めよ。
(2) どの赤玉も隣り合わないとき,どの黒玉も隣り合わない条件付き確率 を求めよ。
— 8 —
第3問
を実数とし,座標平面上の点 を中心とする半径 の円の周を とする。
(1) が,不等式 の表す領域に含まれるような の範囲を求めよ。
(2) は(1)で求めた範囲にあるとする。 のうち かつ を満たす部分を とする。 上の点 に対し,点 での の接線が放物線 によって切り取られてできる線分の長さを とする。 となる 上の相異なる 点 が存在するような の範囲を求めよ。
— 10 —
第4問
座標空間内の 点 を考える。
(1) を満たす点 の座標を求めよ。
(2) 点 から直線 に垂線を下ろし,その垂線と直線 の交点を とする。 を と を用いて表せ。
(3) 点 を により定め, を中心とする半径 の球面 を考える。 が三角形 と共有点を持つような の範囲を求めよ。ただし,三角形 は 点 を含む平面内にあり,周とその内部からなるものとする。
— 12 —
第5問
整式 を考える。
(1) を実数を係数とする整式とし, を で割った余りを とおく。 を で割った余りと を で割った余りが等しいことを示せ。
(2) を実数とし, とおく。 を で割った余りを とおき, を で割った余りを とおく。 が に等しくなるような の組をすべて求めよ。
— 14 —
第6問
を原点とする座標空間において,不等式 の表す立方体を考える。その立方体の表面のうち, を満たす部分を とする。
以下,座標空間内の 点 が一致するとき,線分 は点 を表すものとし,その長さを と定める。
(1) 座標空間内の点 が次の条件 (i), (ii) をともに満たすとき,点 が動きうる範囲 の体積を求めよ。
(i)
(ii) 線分 と は,共有点を持たないか,点 のみを共有点に持つ。
(2) 座標空間内の点 と点 が次の条件 (iii), (iv), (v) をすべて満たすとき,点 が動きうる範囲 の体積を求めよ。必要ならば, を満たす実数 を用いてよい。
(iii)
(iv) 線分 と は共有点を持たない。
(v) 線分 と は,共有点を持たないか,点 のみを共有点に持つ。
第1問 sin(x²) の山は細くなる:t=x² で見ると高さだけが変わる
出題の意図(東大) 数学は自然科学の基底的分野として、自然科学に留まらず人間文化の様々な領域で活用される学問であり、科学技術だけでなく社会現象を表現し予測などを行なうために必須です。そのため、本学を受験しようとする皆さんには、高等学校学習指導要領に基づく基本的な数学の知識と技法について習得しておくことはもちろんのこと、将来、数学を十分に活用できる能力を身につけるために、以下に掲げる総合的な数学力を養うための学習を心掛けて欲しいと考えています。 1)数学的に思考する力 問題の本質を数学的な考え方で把握・整理し、それらを数学の概念を用いて定式化する力 2)数学的に表現する力 自分の考えた道筋を他者が明確に理解できるよう、解答に至る道筋を論理的かつ簡潔に表現する力 3)総合的な数学力 数学を用いて様々な課題を解決するために、数学を自在に活用できると同時に、幅広い分野の知識・技術を統合して総合的に問題を捉える力 これらの能力の習得度を判定することを意図して「数学」の問題は出題されます。
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方
のグラフは、 が大きくなるほど山の幅がせまくなる( が ふえるごとに山が 1 つなので、 の間かくは と小さくなる)。 はその 番目の山 1 つ分の面積、 は 番目から 番目までの山の面積を足して で割ったもの。
筋は 1 つ。 と置きかえると、どの山も の同じ形の山になり、高さが 倍されるだけになる。(1) はその倍率を両はしの値ではさむ。(2) は (1) を足し合わせ、区分求積(和を積分に直す)で極限を出す。
(1)
とおくと 、。 が から まで動くとき、 は から まで動く。
両辺に (0 以上)をかけて から まで積分する。 の山 1 つ分の面積は
なので、、つまり示したい不等式になる。
たとえば では 。 が大きいほど下と上の差は小さくなり、 はほぼ になる。
答え示すこと:。要点: と置きかえると 。区間で 、 をかけて積分する
(2)
積分の区間 から を、山ごとに から ()に分ける。すると
(1) の不等式を から まで足すと、
右の和を、区分求積の形に直す。 なので、
( が 1 から 2 まで、はば で並ぶ)。左の和も にずれているだけで、同じ積分に近づく。
。はさみうちで、 の極限は 。
絶対値があるから山の面積がたまっていくのが大事。絶対値を外すと上の山と下の谷が打ち消し合い、 は 0 に近づいてしまう。
答え( を (1) ではさむと、両側とも の形。区分求積で )
第2問 赤玉が離れていると、黒玉も離れやすくなる
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方
袋から 1 個ずつ取り出して並べるので、12 個の玉の並び方はどれも同じ確率。同じ色の玉は区別しなくてよい:区別しない並び方は 通りで、どの並びも(区別したときの) 通りずつをまとめたものなので、同じ確率になる。
「隣り合わない」を数えるかなめは、先にほかの玉を並べて、そのすき間に入れること。すき間 1 か所に 1 個ずつ入れれば、入れた玉どうしは必ず離れる。(2) では、黒と白の並びで黒がくっついた所に赤を入れると黒が離れることを使う。
(1)
赤以外の 8 個(黒 3・白 5)を先に並べる。並べ方は 通り。
8 個の間の 7 か所と両はしの 2 か所、合わせて 9 か所のすき間から、赤を入れる場所を 4 か所選ぶ。1 か所に 1 個ずつなので赤どうしは隣り合わない。選び方は 通り。
逆に、赤が隣り合わない並びは必ずこの方法でちょうど 1 回ずつ作られる。だから
(赤の場所だけに目をつけて と考えても同じ。)
答え(同じ色は区別せず 通りが同じ確率。赤以外の 8 個を並べ( 通り)、すき間と両はしの 9 か所から赤の場所を 4 か所選ぶ( 通り)。)
(2)
条件付き確率なので、。分母は (1) の 7056。
分子を数えるため、(1) と同じく黒 3・白 5 の 8 個を先に並べ、そこに赤を入れる。ただし今度は、黒どうしがくっついている所には、赤を必ず入れる必要がある(そうしないと黒が隣り合ったまま)。黒と白の並び 56 通りを、黒のかたまり方で分ける。
・黒が 3 つともばらばら:白 5 個のすき間 6 か所から 3 か所、 通り。赤は 9 か所から自由に 4 か所: 通り。
・黒が 2 つくっつき 1 つ離れる:かたまり 2 つを 6 か所に置き、どちらが 2 個か 2 通り、 通り。くっついた間 1 か所に赤を入れ、残り 3 個を残り 8 か所から: 通り。
・黒が 3 つくっつく: 通り。黒の間 2 か所に赤を入れ、残り 2 個を 7 か所から: 通り。
合わせて 。よって
赤の条件が無いときに黒が隣り合わない確率は 。赤が離れて散らばっていると、黒の間に赤が入りやすくなり、黒も離れやすくなる。
答え(赤以外の 8 個の並びを黒のかたまり方で分ける:ばらばら 20 通り、2 つくっつく 30 通り、3 つくっつく 6 通り。くっついた所には赤を必ず入れ、残りをほかのすき間に:。)
第3問 放物線の中の円:接線を切り取った長さは、いつも増えるとは限らない
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方
円 の点は、角 を使って と書ける。(1) は「円の全部の点で 」を、 だけの式にして調べる。
(2) は、円の右下の 4 分の 1( かつ )の点 P での接線を考え、放物線にはさまれた部分の長さ を P の位置の式で表す。 が P を動かしたときにずっと増える(または減る)なら、同じ長さの 2 点は無い。いったん増えて減る(山と谷がある)ときだけ、同じ長さの 2 点ができる。
(1)
円の点 で を計算する。 とおくと なので
は から まで動くので、一番小さいのは のときで、値は 。
円の全部の点で となるのは、この一番小さい値が正のとき:。
気をつける所は、一番せまくなるのは円の一番下の点ではないこと。一番下 だけを見ると としてしまうが、 では斜め下の点 で放物線の外に出る。 のとき、円は で放物線にふれる。
答え(円の点 , で 。これが一番小さいのは のとき 。全部で正 )
(2)
P を ()とおく。中心から P への向きは で、接線はこれに垂直なので傾きは 。()とおくと、中心からの距離が 1 になる直線として
放物線と連立すると 。2 つの解の差は で、線分の長さはその 倍。 を使うと
なので中かっこはいつも正(接線は必ず放物線と 2 点で交わる)。
が 0 から に近づくと は 1 から大きくなっていき、 と は 1 対 1。だから「 が でずっと増えるかどうか」を見ればよい。()を微分すると
かっこの 2 次式の判別式は 。 ならかっこは 0 以上で は増えるだけ、同じ長さの 2 点は無い。 なら、かっこが負になるのは が の間。大きい方の根は より大きいので、この区間は必ず の所にかかり、 は山と谷をもつ。山と谷の間の高さの長さは 2 回以上出る( のときの長さより長ければ、増える・減る・また増える所で 1 回ずつ、3 回)。
。(1) の と合わせて答えになる。
条件 は大事。これが無いと、左右対称の 2 点で必ず同じ長さになってしまう。
答え(, , , とおくと接線は 、。 で微分して 。 で増えるだけでない )
第4問 OP は平面 OAB に垂直:だから球面の問題は平面の円の問題になる
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方
(1) の条件「、」は、 が平面 OAB に垂直ということ。これがこの問題全体のかなめになる。
(2) の H は直線 AB の上の点なので、 とおいて垂直の条件から を出す。(3) は、球面と平面 OAB の交わりが円になることを使って、空間の問題を平面の上の円と三角形の問題に直す。
(1)
とおいて、3 つの条件を内積で書く。
1 つ目から 、2 つ目から 。3 つ目に入れると なので 、。
P は 。 は OA にも OB にも垂直なので、平面 OAB に垂直な向き(平面の「法線」)になっている。。
答え, , (, , として , , )
(2)
H は直線 AB の上なので、 とおける。垂線の足なので 。
、 なので
。H は で、AH : HB = 2 : 1 の点。
別の見方: は平面 OAB に垂直なので 。すると となり、P からの垂線の足は、O からの垂線の足と同じ点。P の高さ((1) の「」の値)を変えても H は動かない。
答え(, , 、。)
(3)
。 は平面 OAB に垂直なので、Q は平面の点 (、つまり )の真上、高さ の所にある。
三角形 OHB は平面 OAB の中にあるので、球面との共有点は「球面と平面の交わり」の中にしかない。交わりは、 を中心とする半径 の円(三平方の定理)。三角形の点 X について なので、球面が三角形にふれる ⇔ が のとりうる値の中にある。三角形はつながっているので、 の最小と最大の間の値は全部とる。
最大:三角形の中で一番遠い点は頂点のどれか。、、。一番大きいのは 。
最小: は直線 OA の上で、三角形 OHB の外にある。辺 OH の上の点 で に一番近いのは、、 から の点 で、距離 は 。辺 HB では H が一番近く(距離 )、辺 OB では 。 は辺 OH について三角形と反対側にあるので、最小は 。
よって の範囲は から まで、 は 以上 以下。上の限りがあるのは「球面」(表面だけ)だから。大きすぎる球面は三角形をまるごと中に包んでしまい、ふれない。
答え(OP は平面 OAB に垂直なので、Q の平面への影は 、高さ 。三角形で Q' に一番近いのは辺 OH の上の点 (距離の 2 乗 )、一番遠いのは O と B()。 は から まで)
第5問 (x−1)²(x−2) で割った余りは、x=1 の値と傾き・x=2 の値で決まる
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方
3 次式 で割った余りは 2 次以下の式。その余りは、 での値、 での傾き(微分の値)、 での値の 3 つで決まる。 が で割り切れる ⇔ 、、( が 2 重の解なので傾きも 0)。
(1) は「 が で割り切れれば、 と の余りは同じ」を使う。(2) は (1) を 2 回使って を の余りに直し、上の 3 つの値の条件にする。
(1)
を で割った商を とすると 、つまり は で割り切れる。
2 つの式の差が で割り切れるなら、 で割った余りは同じ(余りの差は 2 次以下で、しかも で割り切れるので 0)。だから と を で割った余りは等しい。
グラフで見ると、 と は で接し、 で交わる。 と も同じ所で接し・交わる。
答え示すこと: と を で割った余りは等しい。要点: より は で割り切れる。だから と の余りは同じ
(2)
は 2 次なので、 を で割った余りは 自身。(1) を 、 として使うと、 の余り()は の余りと同じ。だから
( も も 2 次以下なので、「余りが等しい」と「差が割り切れる」は同じこと。)
が で割り切れる条件は 、、。 なので、、、 とおくと
実数で ⇔ ⇔ 。どの場合も は 0 か 49 で 1 にならないので、2 つ目の式から 。
なので 、。このとき で、、。両方が のどれかなので、 か 。
「(x−1) の 2 乗」が傾きの条件を生み、それが を 1 つに決めている。 で割る問題なら傾きの条件が無く、答えの組は 4 つに増える。
答え, , , , ((1) を 2 回使うと は の余り。 は 2 次なので が で割り切れる , , 。実数で , , なので 、よって 。, がどちらも , , )
第6問 ふたの無い箱の中心から長さ √3 のひもで届く所
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方
S は「ふたの無い箱」:立方体の表面から上の面()を取りのぞいたもの。O は箱の真ん中。線分 OP が S を通らないとは、O から P へまっすぐ行くとき、壁や底を突きぬけないということ。上の口( の面。ふちの辺も なので S に入らない)は通ってよい。
長さの上限 は、O から立方体の 8 つの角までの距離と同じ。(1) はまっすぐ行ける所、(2) は途中の点 N で 1 回だけ曲がってよい所。(2) で増えるのは、上のふちで曲がって箱の外側に回りこむ所で、その形を「辺のまわりを開いてまっすぐにする」考え方で求める。
(1)
箱の中の点(表面の S もふくむ)は全部、まっすぐ行ける。立方体の中は で、体積 8。 は、立方体の中なら必ず成り立つ(一番遠い角でちょうど )。
箱の外の点へは、壁や底を通れないので、上の口を通るしかない。O から見て口を通る向きは かつ (O と口の 4 つの角を結ぶ四角すいの中)。その向きで の所が、外に増える部分。
立方体の 6 つの面は O から見て同じ大きさの向きの広がりをもつので、口の向きは全部の向きの 。半径 の球の は
このうち箱の中の部分(O を頂点、口を底面とする四角すい、体積 )はすでに 8 にふくまれているので引く。。
答え(箱の中 8 と、上の口を通して見える向き , で半径 の球の中。口は立方体の 6 面の 1 つなので球の :。箱の中の四角すい を引く)
(2)
三角不等式から なので、W も半径 の球の中にある。(1) の V の点は N = O として届く。新しく増えるのは、まっすぐでは見えない箱の外の点で、上のふちで曲げて届く所。
なぜ「上のふちで曲げる」場合だけ調べればよいか。P を、V に入らない W の点とし、条件をみたす N をとる。点 Q を N から P まで線分 NP の上で動かすと、線分 OQ は、はじめ()は S にふれず、最後()は P 以外の所で S にふれる( なのに P が V に入らないので、(ii) がこわれている)。ふれ始める所の Q を R とする(ここで「ふれる」は、S と、S に入らない上のふちをあわせたものにふれること)。R は P ではない(R = P なら、線分 OP は P 以外では S にふれないことになり、P が V に入らないことに反する)。O は箱の中にあるので、線分 OR が壁や底の面の途中に、突きぬけずにふれることはできない。R は NP の上なので S の上にもない。だから線分 OR は、S の切れ目である上のふちの点 E を通る。O, E, R は一直線なので
つまり、どんな N で曲げても、ふちの点 E で曲げる道より短くはならない。このあと、ふちで曲げる道の一番短い長さを求め、それが 以下になる所が本当に(壁を通らずに)届くことを、外側 の所で確かめる(下の「どの向きに曲げられるか」の段落)。
ふちの 1 本、、 の辺で曲げる場合を考える。点 P の、この辺からの距離を 、辺にそった位置( 座標)を とする。O から辺までの距離は 。辺のまわりを開いて O と P を同じ平面に広げると、辺の上の点 N を通る一番短い道はまっすぐになり、長さは
これが 以下 ⇔ 。 のときだけ正なので、N は辺の中(角もふくむ)に来る。
どの向きに曲げられるか:切り口 = 一定で見ると、辺のまわり のうち、箱の中が 、口の上で O からまっすぐ見える側が ((1) の V にもう入っている)、残りの外側 が曲げて増える所。この外側 の点 P は の側にあるので、ふちの点 E から P への線分は の所だけを通り、 になるのは E だけ(E は S に入らない)。だから壁にふれずに届く。切り口の面積は半径 ・中心角 の扇形で 。これを から まで積分する。
。 は、半径 の円の一部の面積として ( の所の角が 、)。合わせて 。
1 本分は 、4 本で 。となりの辺の部分とは重ならない(角の点だけ)。角 までは O からちょうど なので、角を回りこんで届く所は無い。
。ふちのまわりの帯は細く(半径は一番太い所で )、体積は ほど。
答え(V に、上の 4 本のふちのまわりを足す。ふち(例 , )で曲げると、辺からの距離 と辺にそった位置 で長さは 。外側 の扇形 を 〜 で積分:、4 本で )