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地 学
第1問 宇宙に関する次の問い(問1~2)に答えよ。
問1 恒星A,Bがそれらの共通重心の周りに円軌道で公転している連星系について考える。恒星A,Bの質量をそれぞれ M ,m (M > m ),二つの星の中心間の距離を a ,公転周期を P とする(図1—1)。この連星系の軌道面上の遠方にいる観測者が分光観測を行ったところ,恒星AはBよりもはるかに明るく,Aに対してのスペクトルのみ得られた。以下の問いに答えよ。数値での解答には有効数字 2 桁で答え,計算の過程も示せ。なお,地球の質量は太陽の質量と比べて無視できるほど小さいとする。
(1) 恒星Aの放射エネルギー分布において,最も強く放射される光の波長(ピーク波長)は平均で 0.15 μ m であった。太陽の放射エネルギー分布のピーク波長を 0.50 μ m として,恒星Aの表面温度(単位:K )を求めよ。
(2) 恒星Aの公転速度 v と地球の太陽に対する公転速度 v e の比 v / v e を r ,P ,r e ,P e を用いて表せ。ここで,r は恒星Aの共通重心に対する公転円の半径,r e ,P e はそれぞれ地球の太陽に対する公転円の半径と公転周期である。
(3) 恒星Aのスペクトルに見られる暗線(吸収線)に対するドップラー効果の観測から v を求めたところ,v / v e = 0.10 とわかった。この連星系では P = 10 年,a = 10 天文単位として,以下に答えよ。
(a) 恒星Aの公転半径 r (単位:天文単位)を求めよ。
(b) 恒星A,Bの質量の和 M + m は太陽質量の何倍であるか求めよ。
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(c) 恒星Bの質量 m は太陽質量の何倍であるか求めよ。
(d) 恒星Bが主系列星である期間は何年程度であるか。またこの星は進化の末期にどのような経過をたどると考えられるか,あわせて 2 行程度で述べよ。
図1—1 共通重心の周りに円軌道で公転運動する恒星A,B
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問2 超新星は,一つの恒星が突然爆発し,銀河全体に匹敵する明るさで輝きはじめ,それが一月ほど続く現象である。以下の問いに答えよ。計算の過程も示せ。
(1) 超新星も通常の恒星と同じように球対称の光球面を持ち,シュテファン・ボルツマンの法則が成り立つとする。超新星の光度,表面温度,光球半径をそれぞれ L S N ,T S N ,R S N とし,太陽のそれらを L 0 ,T 0 ,R 0 とする。R S N をその他の五つの物理量を用いて表わせ。
(2) ある超新星は,爆発から 20 日後に最大光度に達し,その時の絶対等級が − 20.2 で,表面温度は太陽と同じであった。光球面は一定の速度で膨張しているとして,その膨張速度 V (単位:m / s )を有効数字 1 桁で求め,それが光速の何%か答えよ。爆発直後の光球の大きさはゼロとしてよい。太陽の絶対等級は 4.8 ,太陽半径は R 0 = 7 × 10 8 m ,1 日は 9 × 10 4 s とする。
(3) この超新星の爆発で放出された物質の質量を M S N とする。周囲には均一な質量密度 ρ のガスが存在し,放出された物質は周囲のガスをかき集めながら球対称に膨張する。爆発からの時刻 t までに,半径 R ( t ) より内側のガスがかき集められるとする(時刻 t = 0 で R = 0 )。かき集めたガス質量 M R ( t ) が時刻 t d で M S N に等しくなると,膨張は減速を始める。R は時刻 t d までは一定の速度 V で膨張するとして,t d を V ,ρ ,M S N を用いて表わせ。
(4) その後,M R ( t ) がさらに大きくなり,M S N は M R に比べて無視できる状態を考える。R ( t ) は R = C t a (C ,a は定数)と表せるとする。膨張の運動エネルギーは M R ( t ) と V ( t ) を用いて M R V 2 / 2 で与えられ,エネルギー保存則により一定に保たれるとする。V は R を t で微分したものであることに注意し,a の値を求めよ。
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第2問 大気と海洋に関する次の問い(問1~2)に答えよ。
問1 以下の問いに答えよ。
(1) 図2—1は海面気圧分布であり,北半球の夏か冬のいずれかの平均的なものを示している。この図を見て以下の問いに答えよ。
図2—1 海面気圧の分布(単位はhPa)
(a) 図2—1がどちらの季節のものか答えよ。またその根拠となる,北半球の夏と冬それぞれの平均的な海面気圧分布に見られる特徴を,あわせて 2 ~ 3 行で述べよ。
(b) 図2—1中の海上の点A付近での,この季節における海面付近の平均的な風向きに最も近いものを①~④の中から,また海水の平均的なエクマン輸送の向きを㋐,㋑から選べ。
① 北東向き
② 北西向き
③ 南東向き
④ 南西向き
㋐ 北米大陸に向かう向き
㋑ 北米大陸から離れる向き
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(c) 図2—2は,図2—1に示した季節における点Aでの平均的な気温の高度分布を模式的に示している。図2—2に見られる逆転層を伴った気温分布がどのようにして形成されるか,下記の語句をすべて用いて 2 ~ 3 行で説明せよ。なお,雲が放射を通して与える影響については述べなくて良い。
語句群: エクマン輸送,下降気流
図2—2 気温の高度分布
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(2) 次の文章を読んで以下の問いに答えよ。なお,過飽和は起こらないものとする。
気温減率が乾燥断熱減率よりも大きい場合の大気の状態を絶対不安定,湿潤断熱減率よりも小さい場合を絶対安定,二つの断熱減率の間にある場合を( ア )という。地表面付近にある水蒸気を含んだ空気塊が断熱的に持ち上げられると,その空気塊の温度ははじめ乾燥断熱減率に従って低下する。やがて水蒸気が飽和すると,( イ )が放出されるため,空気塊の温度低下は湿潤断熱減率に従うようになる。周囲の気温減率が( ア )の状態にあり,周囲の気温が空気塊の温度よりも( ウ )くなる高度範囲に空気塊が達すると,空気塊は浮力を得て自然に上昇するようになる。
(a) 空欄( ア )~( ウ )に入る適切な語句をそれぞれ答えよ。
(b) 地表気温 25.0 ℃ で,一定の気温減率 0.60 ℃/ 100 m をもつ気温分布のもとで,はじめ地表にある二つの空気塊XとYを考える。Xの地表での温度は 25.0 ℃,相対湿度は 86 % である。Yは地表で暖められて,その温度は 26.0 ℃,相対湿度は 79 % である。これらが断熱的に持ち上げられたとき,文中の下線部のような高度範囲の下限は,XとYのどちらの方が低いか答えよ。計算の過程も示せ。なお,簡単のため,ここでは乾燥断熱減率は 1.0 ℃/ 100 m ,湿潤断熱減率は 0.50 ℃/ 100 m とする。飽和水蒸気圧は表2—1のとおりとする。
表2—1 飽和水蒸気圧の値
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問2 次の文章を読み,以下の問いに答えよ。
月と太陽の影響によって生じる起潮力を受け,海面は規則的な昇降を繰り返す。この現象を潮汐という。月による起潮力は,月に面した地球表面とその裏側で,海面を上昇させる方向に働く。地球は自転しているため,約( ア )の周期で満潮が繰り返し発生する。月と地球は,共通重心の周りを互いに公転している。太陽の影響も加えて考えると,満潮と干潮の間の潮位差が最大になる大潮と,最小になる小潮が発生する。
海面の高さは潮汐以外の原因でも上下する。黒潮は,コリオリ力と( イ )がつり合うことで海面の高さが場所によって異なった状態を保ち流れている。黒潮は図2—3のように,日本の南岸に沿って流れる非大蛇行期と,流路が 1 年以上にわたり沖に蛇行する大蛇行期を繰り返しており,沿岸域の海面の高さも非大蛇行期と大蛇行期とで変化する。
図2—3 黒潮の非大蛇行期(実線)と大蛇行期(破線)の流路の模式図
(1) 空欄( ア )に入る適切な周期を以下から選べ。
12 時間,24 時間,15 日,30 日
(2) 空欄( イ )に入る適切な語句を答えよ。
(3) 下線部で述べた現象が起こる仕組みを 2 ~ 3 行程度で説明せよ。
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(4) 大潮と小潮それぞれが発生するときの太陽,月,地球の位置関係を,あわせて 2 行程度で説明せよ。
(5) 図2—4は串本と浦神の海面の高さの差の変動を示す。
(a) 図2—4の縦軸の海面の高さの差は,串本と浦神のどちらからどちらの値を引いたものか,以下の語句をすべて用いて,その理由を含め 2 行以内で答えよ。
語句群:黒潮,地衡流
(b) 図2—4が示す変動の様子が変化した 2017 年 8 月以降は,黒潮の非大蛇行期,大蛇行期のいずれに相当するか,理由を含め 3 行以内で答えよ。
図2—4 2010年1月から2021年12月までの串本と浦神の海面の高さの差。縦軸の単位はcm。
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第3問 重力と火山に関する次の問い(問1~2)に答えよ。
問1 ジオイドに関する以下の問いに答えよ。
(1) ジオイドには起伏があり,図3—1はその高さ分布を示している。図中のHは起伏の高所を,Lは低所を示し,実線は高所,破線は低所の等高線を示す。等高線は( ア )m 毎に描かれている。
図3—1 ジオイド高分布
(a) 空欄( ア )に入る適切な数値を以下から選べ。
2 ,20 ,200 ,2000 ,20000
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(b) 長期間の平均をとった海面(平均海水面)を考える。この海面上に数多くの浮きを静かに置いて,浮きの動きを観察する。観察結果として適切な文章を次の①~⑤から選べ。ジオイド高は時間変化しないとし,海流や風など,地球の重力以外の影響はないものとする。
① 浮きは次第に高所Hへ移動する。
② 浮きは次第に低所Lへ移動する。
③ 浮きはジオイド高がゼロの線へ移動する。
④ 浮きはジオイド高の等高線に沿って移動する。
⑤ 浮きは移動しない。
(2) 近年,ジオイド高は人工衛星により詳しく調べられ,時間変動することがわかってきた。図3—2はアマゾン盆地の毎月のジオイド高と降水量を示している。図3—3は簡略化したアマゾン盆地の水収支モデルである。
(a) 図3—2に基づいて,アマゾン盆地内総水量は何月頃に最大となるか答えよ。
(b) 図3—2では,降水量が増加するとジオイド高が遅れて上昇し,その後下降に転じている。図3—3の水収支モデルに基づいて,降水量の極大に比べてジオイド高の極大が遅れる理由を以下の語句をすべて用いて 3 行程度で答えよ。
語句群:盆地内総水量,降水による増加量,蒸発散と流出による減少量
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図3—2 アマゾン盆地の毎月のジオイド高(時間平均からのずれ)と降水量
図3—3 アマゾン盆地の水収支モデル(矢印は水の輸送の向きを表している)
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(3) より長い時間では,地球温暖化が進みグリーンランドの氷床が急速にすべて溶けて海へ流出したとすると,( イ )が成立するように地殻は変動する。グリーンランドのジオイド高も氷床が溶ける前と比べると変動する。
(a) 空欄( イ )に入る適切な語句を答えよ。
(b) 下線部の振る舞いとして正しい文を次の①~⑥から選べ。
① 氷床が溶けた直後のジオイド高は低くなり,次第に上昇する。
② 氷床が溶けた直後のジオイド高は低くなり,さらに下降する。
③ 氷床が溶けた直後のジオイド高は低くなり,そのままを保つ。
④ 氷床が溶けた直後のジオイド高は高くなり,次第に下降する。
⑤ 氷床が溶けた直後のジオイド高は高くなり,さらに上昇する。
⑥ 氷床が溶けた直後のジオイド高は高くなり,そのままを保つ。
(c) 氷床が溶けたあとに地殻は隆起するか沈降するか答えよ。グリーンランドの氷床の厚さを 1800 m ,氷の密度を 0.900 g / c m 3 ,マントルの密度を 3.60 g / c m 3 とし,最終的な地殻の上下変動量を有効数字 2 桁まで単位とともに答えよ。計算の過程も示せ。
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問2 次の文章を読んで,問いに答えよ。
(1) 地球上の火山活動はプレートの動きと密接な関係をもっている。地球上で,マグマの発生による火山活動や火成岩形成の主要な場として,三つのタイプがある。( A )はプレートが新たに生じる場所,( B )はプレート境界とは関係なく,プレート内等に火山島や海山が形成される場所,( C )はプレートが他のプレートの下に沈み込む場所である。
( B )としてよく知られているのがハワイ島である。ハワイ諸島では,ハワイ島から遠ざかるに従って,火山の年代が( ア )なる。これをもとにプレート移動の方向と( イ )を推定することができる。ハワイ島には大型で緩やかな斜面をもつ( ウ )火山が分布している。
( C )の地域の火山は,海溝と平行して地球規模で帯状に連なり,分布域の海溝側の端をつなぐ線は( エ )と呼ばれる。この地域は,結晶分化作用等により,幅広い組成のマグマが形成され,多様な火山活動の場となっている。この地域では,溶岩と火山砕せつ物が重なってできた( オ )火山が多く分布している。
(a) 空欄( A )~( C )に当てはまる語句をそれぞれ答えよ。
(b) 空欄( ア )~( オ )に当てはまる語句をそれぞれ答えよ。
(c) 上記下線部について,なぜ“緩やかな斜面をもつ”のか,1 行で答えよ。
(2) ある火山を調査し,図3—4の地質図を得た。ここでは,比較的新しい活動で形成された溶岩流KとLおよび南西に開く崩壊地形が識別される。
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図3—4 ある火山の地質図
(a) 溶岩流KとLおよび崩壊地形の形成順序はどのようになっているか,地質図を判読し 1 行で答えよ。
(b) 山頂近傍の地表面に,同じ爆発的噴火によると思われる多数の岩塊が分布していた。複数の岩塊で残留磁気を測定したところ,どれも磁化の方向は同じであった。これは,着地時に岩塊が( カ )であったことにより同方向に磁化されたためと考えられ,これらの岩塊が( キ )である可能性を示す。空欄( カ ),( キ )に当てはまる語句を以下から一つ選び,その番号をそれぞれ答えよ。
カ:① 正四面体,② 低温,③ 球状,④ 灰色,⑤ 白色,⑥ 六角柱状,⑦ 高温,⑧ 板状
キ:⑨ 地表面の古い溶岩が吹き飛ばされたもの
⑩ この噴火を生じた新しいマグマに由来するもの
⑪ 地表面の古い溶岩噴泉の堆積物が吹き飛ばされたもの
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(c) 崩壊地形がつくる崖の露頭において,溶岩流Kの直下に炭化木片が見つかった。この炭化木片の 14 C を分析したところ,元の原子数の 1 / 8 が残っていたことがわかった。14 C の半減期を 5700 年として,この溶岩が噴出したのは何年前と推定されるか,計算過程も含めて答えよ。
(d) 溶岩流の試料から薄片をつくり,偏光顕微鏡で観察した。溶岩流K(玄武岩)では,斑晶鉱物として鉱物Xと鉱物Yが含まれていた。鉱物Xは有色鉱物で,開放ニコルで無色~淡黄色で多色性は示さなかった。また,鉱物Yは無色鉱物で,直交ニコルで白黒縞状の消光がみられた。溶岩流Lの試料にも同様の斑晶鉱物が含まれていた。鉱物Xの結晶構造は,S i O 4 の四面体が独立しているタイプである。鉱物Xと鉱物Yの鉱物名を答えよ。
(e) 化学組成の分析を行い,S i O 2 含有量について下記の値を得た。
溶岩流K:50.0 質量%,溶岩流L:52.0 質量%
鉱物X:40.0 質量%,鉱物Y:48.0 質量%
問(2)(a)で噴出順序について判読した溶岩流KとLのうち,先に噴出した溶岩の活動後,図3—5左のように,マグマ溜りがこの溶岩流と同じマグマで満たされていたとする。その後,図の右のように,このマグマから斑晶鉱物XとYが同じ割合で晶出し,マグマ溜りの下方に沈み取り去られることで,後に噴出した溶岩流と同じマグマが生じたと仮定する。このとき,マグマ溜りを満たしていたマグマの何%(質量%)が斑晶鉱物(XとY)として取り去られたことになるか,有効数字 2 桁で計算過程も含めて答えよ。
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図3—5 マグマ溜り内でのマグマの変化
第1問 連星の重さと、超新星の広がり 出題の意図(東大) 問 1 では,連星系の観測にもとづいて,軌道運動の法則の理解と恒星の進化に対する知識を総合して天体の特性を考察する力を問うています。問 2 では,超新星爆発を題材として,与えられた条件から星間空間の中を膨張していく過程を定量的に記述する科学的思考力を問うています。
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 前半(問1)は、連星 (2つの恒星がたがいのまわりを回っているもの)から星の温度と質量を求める問題。見えているのは明るい恒星Aのスペクトルだけだが、Aの光の色(ピーク波長)から温度が、Aの吸収線のドップラー効果(近づくと波長が短く、遠ざかると長くなる)から公転の速さが分かる。
使う道具は3つ。ウィーンの変位則 (ピーク波長 λ max と表面温度 T は反比例、λ max T ≈ 2.9 × 10 3 μ m · K )、ケプラーの第3法則 (天文単位・年・太陽質量を使うと M + m = a 3 P 2 )、そして重心のつり合い (重い星ほど重心の近くを小さく回る、M r = m ( a − r ) )。
後半(問2)は超新星。シュテファン・ボルツマンの法則 (1 m² から出る放射は σ T 4 、星全体の光度は L = 4 π R 2 σ T 4 )で、明るさと温度から光を出している球(光球)の大きさを出す。最後は、広がる物質がまわりのガスをかき集めて重くなり、遅くなっていく様子を、質量とエネルギーの勘定で考える。
問1(1) ウィーンの変位則では、ピーク波長と表面温度の積は一定。太陽とくらべると
T A = T ⊙ × 0.50 0.15
太陽の表面温度は約 5.8 × 10 3 K (2.9 × 10 3 ÷ 0.50 )なので、T A = 5.8 × 10 3 × 3.33 ≈ 1.93 × 10 4 K 。
ピーク波長が約 1 3.3 に短いので、温度は 3.3 倍。紫外線の側に山がある、青白く熱い星だと分かる。デモのグラフでは、2つの放射の山の位置がこの比になっている。
答え 1.9 × 10 4 K ( T = 2.9 × 10 3 μ m · K 0.15 μ m 。太陽 5.8 × 10 3 K の 0.50 0.15 倍)
問1(2) 円軌道を回る速さは「円周 ÷ 周期」。恒星Aは共通重心を中心に半径 r の円を周期 P で回るので v = 2 π r P 。地球も太陽のまわりを半径 r e 、周期 P e で回るので v e = 2 π r e P e 。
割り算すると 2 π が消えて、半径の比と周期の比(逆数)の積になる。
答え v v e = r r e · P e P ( v = 2 π r P , v e = 2 π r e P e )
問1(3)(a) (2) の式で、r e = 1 天文単位、P e = 1 年とする。
0.10 = r 1 × 1 10 ⟹ r = 1.0
Aは重心のまわりを半径 1 天文単位で回っている。星の間の距離 a = 10 天文単位にくらべてずっと小さいので、重心はAのすぐ近くにある(Aの方がずっと重い)。
答え 1.0 天文単位( r = 0.10 × 10 年 1 年 × 1 天文単位)
問1(3)(b) 2つの星の公転には、ケプラーの第3法則 a 3 P 2 = G ( M + m ) 4 π 2 が成り立つ(a は2つの星の中心の間の距離)。地球と太陽にも同じ式が成り立ち、地球の質量は無視できるので 1 3 1 2 = G M ⊙ 4 π 2 。割ると
M + m M ⊙ = a 3 / P 2 1 = 10 3 10 2 = 10
天文単位・年・太陽質量を使うと、万有引力定数を知らなくても質量が出せる。デモでは、この質量で2つの星を万有引力だけで動かすと、ちょうど 10 年で 1 周する。
答え 10 倍(ケプラーの第3法則 M + m = a 3 P 2 = 10 3 10 2 )
問1(3)(c) 共通重心は、2つの星を結ぶ線を質量の逆比に分ける点。Aから重心までが r 、Bから重心までが a − r なので
M r = m ( a − r )
両辺に m r を足すと ( M + m ) r = m a 、よって
m = ( M + m ) r a = 10 × 1.0 10 = 1.0
Bは太陽とほぼ同じ質量で、Aは M = 9.0 太陽質量。問題の「M > m 」とも合う。
答え 1.0 倍( M r = m ( a − r ) より m = ( M + m ) r a = 10 × 1.0 10 )
問1(3)(d) 主系列星の寿命は、燃料(水素)の量が質量に比例し、明るさ(燃やす速さ)が質量の 3〜4 乗ほどで増えるので、重い星ほど短い。太陽と同じ質量のBは、太陽と同じく約 100 億年、主系列星としてすごす。
太陽くらいの質量の星は、中心の水素がなくなると外側がふくらんで赤色巨星 になる。やがて外側のガスを静かに宇宙へ放出して惑星状星雲 になり、残った中心部は小さく高密度な白色矮星 となって、ゆっくり冷えていく(超新星爆発は起こさない)。
デモのメモのとおり、重いA(9 太陽質量)の寿命は数千万年ほどしかなく、いま明るく見えているAの方がずっと先に一生を終える。
答え 約100億年。主系列星の後に赤色巨星となり,外層のガスを放出して惑星状星雲をつくり,中心部は白色矮星となって冷えていく。
問2(1) 光度は L = 4 π R 2 σ T 4 。超新星と太陽の比をとると 4 π σ が消える。
L S N L 0 = ( R S N R 0 ) 2 ( T S N T 0 ) 4
これを R S N について解く(両辺の平方根をとって、温度の比の2乗で割る)。
明るいほど大きく、同じ明るさなら温度が高いほど小さい光球ですむ。
答え R S N = R 0 ( T 0 T S N ) 2 L S N L 0 ( L = 4 π R 2 σ T 4 の比)
問2(2) まず明るさの比を等級から出す。等級は 5 等級で明るさが 100 倍、つまり 1 等級で 10 0.4 倍。絶対等級の差は 4.8 − ( − 20.2 ) = 25 なので
L S N L 0 = 10 0.4 × 25 = 10 10
表面温度は太陽と同じなので (1) の温度の比は 1。R S N = R 0 10 10 = 7 × 10 8 × 10 5 = 7 × 10 13 m 。
大きさ 0 から 20 日(20 × 9 × 10 4 = 1.8 × 10 6 s )でこの半径になったので
V = 7 × 10 13 1.8 × 10 6 ≈ 3.9 × 10 7 m / s
光速 3.0 × 10 8 m / s とくらべると約 13 %。有効数字1桁にまとめる。
光球の半径は約 470 天文単位で、海王星の軌道(30 天文単位)の十数倍。デモでは、表面温度を太陽より高くすると光球は小さくてすみ、速さも下がる(実際の超新星の光球の温度は太陽より高い)。
答え V = 4 × 10 7 m / s ,光速の約 13 % ( L S N L 0 = 10 4.8 + 20.2 2.5 = 10 10 , R S N = 7 × 10 8 × 10 5 = 7 × 10 13 m , V = 7 × 10 13 20 × 9 × 10 4 )
問2(3) 時刻 t d までは R = V t 。半径 R の球の中のガスの質量は、体積 × 密度で
M R ( t ) = 4 3 π ρ ( V t ) 3
これが M S N に等しくなる時刻を求める:( V t d ) 3 = 3 M S N 4 π ρ の両辺の3乗根をとり、V で割る。
デモの数値(放出した物質 5 太陽質量、まわりのガスは水素原子 1 cm³ に 1 個、V = 4 × 10 7 m / s )では t d は約 90 年。まわりのガスが濃いほど早く減速が始まる。
答え t d = 1 V ( 3 M S N 4 π ρ ) 1 3 ( 4 3 π ρ ( V t d ) 3 = M S N )
問2(4) R = C t a を使って、エネルギー 1 2 M R V 2 を t で表す。
かき集めた質量は半径の3乗に比例する:M R = 4 3 π ρ R 3 = 4 3 π ρ C 3 t 3 a 。速さは R を t で微分して V = a C t a − 1 、その2乗は t 2 a − 2 に比例。かけ合わせると
M R V 2 ∝ t 3 a · t 2 a − 2 = t 5 a − 2
これが時間によらず一定なので、t の指数が 0:5 a − 2 = 0 。
a が 1 より小さいので、広がる速さはだんだん遅くなる。デモのグラフ(目盛りは 10 倍ずつ)では、はじめ傾き 1(速さ一定)だった線が、t d をすぎると曲がって傾き 0.4 に近づいていく。
答え a = 2 5 ( M R ∝ R 3 ∝ t 3 a , V = a C t a − 1 より M R V 2 ∝ t 5 a − 2 が一定)
第2問 夏の高気圧、雲のでき始め、潮と黒潮 出題の意図(東大) 問 1 では,気温の鉛直構造を海水の運動の役割を含めて,図表を読み取って考察する力を問い,さらに大気の鉛直運動を定量的に理解する力を問うています。問 2 では,潮汐と黒潮を題材として,海洋に働く力の理解を問い,力のつり合いによる海面の高さの空間的な変化を考察し説明する力を問うています。
東大の解答例(選ぶ問題だけ) 問1(1)(b):③、㋑ 問2(1):12 時間 下の答えと全部一致
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 前半(問1)は、北半球の海面気圧の図から季節を読み、カリフォルニア沖(点A)の風・海・空気の関係を考える問題。夏と冬の気圧配置のちがいは、陸は海よりあたたまりやすく冷えやすい ことから来る。夏は大陸があたためられて低圧に、海の上は高圧になる。
点Aの風と海の流れには、地球の自転によるコリオリの力(北半球では進む向きの右へ曲げる見かけの力)が効く。風に引きずられる海の表層の水は、全体としては風の右 90° の向きへ運ばれる(エクマン輸送 )。海岸から水が運び去られると、下から冷たい水がわき上がる(湧昇)。
(2) は大気の安定の計算問題。空気塊は、飽和するまでは乾燥断熱減率で、飽和してからは湿潤断熱減率で冷える。周りの気温よりも空気塊の方が暖かくなれば、浮力で自然に上昇する。
後半(問2)は潮汐と黒潮。潮汐は月(と太陽)の引力の、場所による差で起こる。黒潮は、海面の傾きによる圧力の力とコリオリの力がつり合った流れ(地衡流)で、流れを横切ると海面の高さがちがう。
問1(1)(a) 図2—1では、アジア大陸の上(インドからイランのあたり)に 1000 hPa の低圧があり、北太平洋の上に 1024 hPa の高気圧がある。
夏は、陸が海よりも強くあたためられて上昇気流が起こり、大陸上が低圧になる。海の上には太平洋高気圧(亜熱帯高圧帯)が大きく張り出す。冬は逆に、冷えた大陸の上にシベリア高気圧ができ、北太平洋にはアリューシャン低気圧ができる。
図は「大陸が低圧・海が高圧」なので夏。論述では、夏と冬それぞれの特徴を書いてから、図がどちらに当てはまるかを示す。
答え 夏。夏は大陸上が低圧となり,海洋上には太平洋高気圧などの亜熱帯高圧帯が発達する。冬は大陸上にシベリア高気圧,海洋上にアリューシャン低気圧ができる。図は大陸上が低圧,海洋上が高圧である。
問1(1)(b) 点Aは太平洋高気圧の東の端、北アメリカの海岸のすぐ沖。図で点Aを通る等圧線は、海岸にそってほぼ南北に走り、南へ行くほど少し東へずれる。高気圧は西(海側)、低圧は東(陸側)。
上空の風(地衡風)は、北半球では高圧側を右に見て等圧線にそって吹くので、点Aでは南向き。海面付近では摩擦で風が弱まり、コリオリの力が小さくなるので、低圧側(東)へ少しまがる。南向きが東へまがるので、南東向き(③)。
エクマン輸送は、北半球では風の右 90°。南東向きの風の右は南西(西寄り)で、東にある北アメリカ大陸から離れる向き(㋑)。デモのグラフでは、海の流れが深くなるほど右へまがって弱まり(エクマンのうずまき)、足しあげると風のちょうど右 90° になる。
答え 風向き ③(南東向き),エクマン輸送 ㋑(北米大陸から離れる向き)
問1(1)(c) 図2—2では、地表近くが約 15 ℃ で、高度 0.2 km から 1 km あたりまで上ほど気温が高くなり(21 ℃)、その上でふつうに下がっていく。下が冷たく上が暖かい層が逆転層。
上が暖かい理由は下降気流 。点Aは太平洋高気圧の東の端で、高気圧の中では空気がゆっくり下りてくる。下りる空気はまわりの気圧が高くなって押し縮められ(断熱圧縮)、100 m につき約 1 ℃ 温まる。
下が冷たい理由はエクマン輸送 。(b) のとおり、海岸にそって南へ吹く風で表層の水が沖へ運ばれ、その分を下から冷たい水がわき上がっておぎなう(沿岸湧昇)。冷たい海面が、その上の空気を下から冷やす。
暖かい空気が冷たい空気の上にふたをする形になるので、逆転層ができる。デモでは、風が強いほど湧昇が速くなる(風の応力は風の速さの2乗)。
答え 太平洋高気圧の下降気流で上空の空気は断熱圧縮され昇温する。沿岸では南向きの風によるエクマン輸送で表層水が沖へ運ばれ冷水が湧昇し,下層の空気が冷やされるので逆転層ができる。
問1(2)(a) 気温減率が乾燥断熱減率より大きいと、飽和していてもいなくても持ち上げた空気は周りより暖かくなる(絶対不安定)。湿潤断熱減率より小さいと、どちらでも周りより冷たくなる(絶対安定)。その間は、飽和していれば不安定、していなければ安定なので条件付き不安定 。
飽和すると水蒸気が凝結して水滴になり、そのとき潜熱 (凝結熱)を出すので、空気塊の冷え方がゆるくなる。
空気塊の方が周りより暖かい=周りの気温が空気塊より低 い高さに達すると、空気塊は周りより軽くなって浮力を得る。
答え ア 条件付き不安定,イ 潜熱(凝結熱),ウ 低
問1(2)(b) 手順は3つ。①水蒸気圧から露点を出す、②乾燥断熱減率で露点まで冷える高さ(雲ができる高さ)を出す、③そこから湿潤断熱減率で上げ、周りの気温をこえる高さを出す。水蒸気圧は、持ち上げても変わらないとして考える。
X:水蒸気圧は 0.86 × 31.7 ≈ 27.3 h P a 。表で飽和水蒸気圧が 27.3 になるのは 22.5 ℃ なので露点は 22.5 ℃。25.0 − 22.5 = 2.5 ℃ 冷えるのは 250 m 上。そこでの周りの気温は 25.0 − 0.60 × 2.5 = 23.5 ℃ で、空気塊(22.5 ℃)の方が 1.0 ℃ 低い。この上では空気塊は 100 m で 0.50 ℃、周りは 0.60 ℃ 下がるので、差は 100 m ごとに 0.10 ℃ 縮む。1.0 ℃ の差がなくなるのは 1000 m 上で、下限は 1250 m 。
Y:水蒸気圧は 0.79 × 33.6 ≈ 26.5 h P a で露点 22.0 ℃。26.0 − 22.0 = 4.0 ℃ 冷えるのは 400 m 上。周りは 25.0 − 2.4 = 22.6 ℃ で差は 0.6 ℃。縮むのに 600 m かかり、下限は 1000 m 。
注意が2つある。1つ目、水蒸気圧を一定としたのはこの問題の表で計算するための簡略化で、実際には持ち上がって気圧が下がると水蒸気の分圧も下がり、露点も少し下がる。だから 1250 m・1000 m は目安の値。2つ目、Y は地表で周りより 1 ℃ 暖かいので、地表のすぐ上(乾燥断熱で冷えて周りに追いつく約 250 m まで)でも周りより暖かい。ここでは下線部を「飽和したあと、ふたたび周りより暖かくなる高さ」と読んで 1000 m とした。地表からずっと見る読み方なら Y の下限は地表になるが、どちらの読み方でも低いのは Y。
Y の方が雲のできる高さは高いのに、浮き始める高さは低い。地表で暖められた分、飽和したときの周りとの差が小さくてすむから。なお Y は地表で周りより 1 ℃ 暖かいので、地表から 250 m までは乾いたまま周りより暖かいが、飽和する前にその差はなくなる。文中の下線部は飽和したあとの高さの範囲なので、比べるのは上の2つの値。
答え Y。X は水蒸気圧 0.86 × 31.7 ≈ 27.3 h P a で露点 22.5 ℃, 250 m で飽和し,周囲( 23.5 ℃)より 1.0 ℃ 低い。差は 100 m ごとに 0.10 ℃ 縮むので下限は 1250 m 。Y は 0.79 × 33.6 ≈ 26.5 h P a で露点 22.0 ℃, 400 m で飽和し,周囲( 22.6 ℃)より 0.6 ℃ 低いので下限は 1000 m 。
問2(1) 起潮力は、月の側と裏側の2か所で海面を持ち上げる((3))。地球が1回自転する間に、ある場所はこの2つのふくらみの下を1回ずつ通るので、満潮は1日に約2回。
月も地球のまわりを同じ向きに回っているので、月が同じ方向にもどるまでには約 24 時間 50 分かかる。その半分の約 12 時間 25 分ごとに満潮が来る。選択肢の中では 12 時間。
デモのグラフで、1 日に 2 回の山があることが見える。
問2(2) 海面が傾いていると、高い方から低い方へ水を押す力(圧力傾度力)がはたらく。流れにはコリオリの力がはたらき、北半球では流れの右向き。この2つがつり合って、等しい高さの線にそって流れるのが地衡流。
黒潮は東向きの地衡流で、流れの右側(南・沖側)の海面が高く、左側(北・陸側)が低い。黒潮を横切ると海面の高さは 1 m ほどちがう(デモでも約 1 m)。
問2(3) 地球と月は、2つの共通重心のまわりを回っている。このとき地球は向きを変えずに(自転を考えずに)小さな円をえがくので、地球上のどの点も同じ半径の円を回り、どの点にも同じ大きさ・同じ向き(月と反対向き)の遠心力がはたらく。その大きさは、地球の中心にはたらく月の引力と等しい(だから地球の中心ではつり合う)。
月の引力は、月に近い側ほど強く、遠い裏側ほど弱い。月に面した側では引力が遠心力より大きく、差は月の向き。裏側では遠心力が引力より大きく、差は月と反対向き。どちらも地球の外向きなので、両側で海面が持ち上がる。
デモの答え合わせでは、この差(起潮力)がどちらの側でも約 1.1 × 10 − 6 m / s 2 とほぼ同じ大きさになる。
答え 月と地球は共通重心の周りを公転し,地球上のどこでも同じ大きさの遠心力が月と反対向きに働く。月に面した側では月の引力が遠心力より大きく,裏側では遠心力が引力より大きいので,両側で海面を持ち上げる力となる。
問2(4) 太陽も潮を起こす。潮の力は天体の質量に比例し、距離の3乗に反比例するので、太陽の起潮力は月の約 0.46 倍。
太陽・月・地球が一直線に並ぶとき(新月と満月)、月のふくらみと太陽のふくらみが同じ向きに重なり、満潮と干潮の差が一番大きくなる(大潮)。地球から見て月と太陽が直角の方向にあるとき(上弦と下弦)、ふくらみが打ち消し合って差が一番小さくなる(小潮)。
デモで月齢を動かすと、ふくらみの重なり方が変わる。潮位差は大潮で小潮の約 2.7 倍になる。
答え 大潮は太陽・月・地球が一直線に並ぶ新月と満月のころ,小潮は地球から見て月と太陽が直角の方向にある上弦と下弦のころに起こる。
問2(5)(a) 図2—4の値は、ほとんどの期間で正。どちらからどちらを引いたかは、どちらの海面が高いかで決まる。
(2) のとおり、黒潮は地衡流で、流れの右側(沖側)ほど海面が高い。図2—3で、串本は紀伊半島の南の先にあり、黒潮の流れの軸に近い(より沖側)。浦神はそこから北東の、流れから少し離れた陸側にある。だから串本の方が海面が高い。
高い方から低い方を引いた値が正になるので、串本の値から浦神の値を引いたもの。デモでは、軸が串本の沖 15 km を流れるとき、差は約 11 cm になる。
答え 串本の値から浦神の値を引いた。黒潮は地衡流で,流れの右側の沖ほど海面が高く,流軸に近い串本は浦神より海面が高いから。
問2(5)(b) 図2—4で、2017年8月より前は差が平均 14 cm ほどで、10〜30 cm と大きく上下している。8月以降は約 5 cm で小さく、変動も小さい。
非大蛇行期は、黒潮が紀伊半島の先に接するように流れるので、串本と浦神の間に地衡流による海面の傾きがあり、流路が少し動くだけで差も大きく変わる。大蛇行期は、黒潮が紀伊半島から離れて沖を流れるので、2地点の間には流れがほとんどなく、海面の傾きもなくなる。
したがって 2017年8月以降は大蛇行期。デモで黒潮の軸を 150 km 沖へ動かすと、差はほぼ 0 になる。図で 0 にならず 5 cm ほど残るのは、流れ以外の原因(潮位計の基準の高さなど)もあるためと考えられる。
答え 大蛇行期。2017年8月以降は差が約5 cmと小さく変動も小さい。黒潮が紀伊半島から離れて沖を流れ,串本と浦神の間に地衡流による海面の傾きがほとんどなくなったためである。
第3問 重力の面(ジオイド)と、火山の調査 出題の意図(東大) 問 1 では,固体地球におけるジオイドについての理解を問い,時間変化する具体的現象に適用する応用力を問うています。問 2 では,火山の地質についての知識を問い,さらにマグマの形成について図表で与えられた条件を読み取って考察する力を問うています。
東大の解答例(選ぶ問題だけ) 問1(1)(a):20 問1(1)(b):⑤ 問1(3)(b):① 問2(2)(b):(カ) ⑦、(キ) ⑩ 下の答えと全部一致
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 前半(問1)は重力の問題。ジオイド は、重力の位置エネルギーが等しい面のうち、平均海水面に一致するもの。地下に重い物がある所では、そこへ引かれる分だけ面がもり上がる(ジオイド高が高い)。水は位置エネルギーの低い方へ流れるので、静かな海面はジオイドにそろう。
問1(2) は、人工衛星で測ったジオイド高の季節変化から、アマゾン盆地にたまっている水の量の変化を読む。ためる量は「入る量 − 出る量」でふえたりへったりする、という水の収支(出入りの勘定)で考える。問1(3) はアイソスタシー (地殻がマントルに浮かんでつり合い、深い所では圧力がそろう)。
後半(問2)は火山。(1) は火山のできる3つの場所とハワイ、(2) はある火山の調査で、地質図の読み取り(切った・切られたの関係で順番を決める)、残留磁気、放射年代(半減期)、偏光顕微鏡による鉱物の見分け、結晶分化作用(マグマから結晶が抜けて組成が変わる)の計算を順に行う。
問1(1)(a) 実際の地球のジオイド高は、一番低い所(インド洋)で約 − 100 m 、一番高い所(ニューギニアあたり)で約 + 80 m 。起伏の大きさは 100 m くらい。
図3—1のインド洋の L のまわりには破線(低所の等高線)が何重にもあり、L の中心から外へ数えると 5 本ほど。間隔が 20 m なら一番低い所は − 100 m くらいで、実際の値と合う。2 m では起伏が 10 m ほどしかなく、200 m 以上では 1000 m をこえてしまう。
問1(1)(b) 平均海水面はジオイド(重力の位置エネルギーが等しい面)と一致する。面の上のどこでも位置エネルギーが同じなので、面にそった向きの重力の成分は 0 で、重力は面に垂直にはたらく。
したがって、海流や風がなければ、浮きを面にそって動かす力ははたらかず、浮きは移動しない。
「高所 H へ集まる」と考えたくなるのは、海面を平らな面だと思うから。デモのように、もし海面が平らなら浮きは重い物の方(H)へ引かれるが、実際の海面はその分もり上がってつり合っている。
問1(2)(a) ジオイド高は、その場所の地面の下も含めた質量が多いほど高い。季節で変わるのは盆地にたまった水(川・地下水・土の中の水)の量なので、ジオイド高が一番高い時が、盆地内総水量が一番多い時。
図3—2のジオイド高の山は、毎年 4 月から 5 月(6 年の平均では 5 月)。降水量の山(1 月〜3 月)より遅い。
問1(2)(b) 図3—3の水収支モデルでは、盆地内総水量の1か月の変化は
( 変化 ) = ( 降水による増加量 ) − ( 蒸発散と流出による減少量 )
増加量が減少量より大きい間は、総水量はふえ続ける。降水量が極大をすぎて減りはじめても、まだ減少量より多いうちはふえ続ける。総水量が一番多くなるのは、増加量と減少量が等しくなった時。
図3—2では、降水量は 3 月ごろの極大のあと、5 月ごろに年平均(約 190 mm)まで下がる。減少量がおよそ一定なら、ここで増加と減少がつり合い、総水量=ジオイド高が極大になる。デモでは、減少量を一定とした箱のモデルで水の量の山が 5 月になり、図と一致する。
答え 盆地内総水量は降水による増加量と蒸発散と流出による減少量の差だけ変化する。降水量が極大を過ぎても増加量が減少量を上回る間は総水量が増え続け,両者が等しくなった時に最大となるため,ジオイド高の極大は遅れる。
問1(3)(a) 地殻は、それより重いマントルの上に浮かんだような状態でつり合っていて、ある深さ(補償面)より下では、どこでも圧力が同じになる。これをアイソスタシーという。氷床がなくなって上の重さが減ると、この圧力のつり合いをとりもどすように地殻が上がる。
問1(3)(b) 氷床がのっている間は、その重さの分だけ地殻が沈み、アイソスタシーが成り立っている。
氷床が急にとけて海へ流れ出ると、その直後は地殻はまだ沈んだままで、氷の分の質量だけが消える。質量が足りないので重力の位置エネルギーが上がり、ジオイド高は低くなる。
そのあと、まわりのマントルがゆっくり流れこんで地殻がもち上がり、足りなかった質量がうまっていく。ジオイド高もしだいに上昇していく(質量の不足がうまっても、質量のある深さや広がりはとける前と同じではないので、ぴったり元の値にもどるとまでは言えない。問いが聞いているのは「しだいに上昇する」まで)。デモのグラフでは、質量の不足(赤)がへるのにあわせて、隆起(青)がふえる。
問1(3)(c) 深い所の圧力がそろうには、なくなった氷の重さと同じ重さのマントルが、下から入りこめばよい(地殻は同じものが上がるだけなので差には入らない)。1 cm² の柱で考えると
1800 × 0.900 = 3.60 × h
h = 1620 3.60 = 450 m
地殻は 450 m 隆起する。マントルは氷の約 4 倍重いので、上がる量は氷の厚さの約 1/4。デモでは、1 m ごとに柱の重さを足して深い所の圧力をそろえる計算でも同じ値になる。
答え 隆起, 4.5 × 10 2 m ( 1800 × 0.900 = 3.60 × h より h = 450 m )
問2(1)(a) プレートが新しく生まれる場所は、海嶺(中央海嶺)。プレート境界と関係なく、マントルの深い所から熱いものが上がってきて火山ができる場所がホットスポット。プレートが他のプレートの下に沈み込む場所は沈み込み帯(海溝にそった島弧・陸弧)。
答え A 中央海嶺,B ホットスポット,C 沈み込み帯
問2(1)(b) ホットスポットはマントルの深い所に根があり、ほとんど動かない。その上をプレートが動いていくので、ホットスポットの上でできた火山島はプレートに乗って運ばれ、ハワイ島から遠い島ほど古くなる(ア)。島の年代と距離から、プレートの動く向きと速さ(イ)が分かる。
ハワイ島の火山は、粘り気の小さい玄武岩質の溶岩が重なってできた、大きくゆるやかな盾状火山(ウ)。
沈み込み帯の火山は、海溝と平行に帯状に並び、その海溝側の端を結んだ線を火山前線(火山フロント)という(エ)。ここでは溶岩と火山砕せつ物が交互に重なった、円すい形の成層火山(オ)が多い。
答え ア 古く,イ 速さ,ウ 盾状,エ 火山前線(火山フロント),オ 成層
問2(1)(c) 斜面を流れる溶岩の速さは、粘り気(粘性)に反比例する。玄武岩質の溶岩は SiO₂ が少なく温度が高いので粘り気が小さく、よく流れて薄く遠くまで広がる。そのため、山の斜面はゆるやかになる。
デモでは、玄武岩(10 3 P a · s ほど)の溶岩は厚さ 1 m・傾き 5° でも秒速 0.8 m ほどで流れるが、安山岩(10 6 P a · s ほど)ではその 1/1000 になる。
答え 粘性の低い玄武岩質の溶岩が,流れやすく薄く遠くまで広がるから。
問2(2)(a) 地質図では「切った方が新しい、切られた方が古い」。
溶岩流K は山頂から南西へ流れ、崩壊地形の北側と南側に分かれて残っている。間の部分は崩壊でなくなっていて、崩壊地形の崖に切られている((c) でも、崩壊地形の崖に溶岩流K が出ている)。だから K は崩壊より古い。
溶岩流L は、崩壊でできた南西に開くくぼみの中を流れていて、崖に切られていない。だから L は崩壊より新しい。
答え 溶岩流K,崩壊地形,溶岩流Lの順に形成された。
問2(2)(b) 岩石の中の磁鉄鉱などは、キュリー温度(磁鉄鉱で約 580 ℃)より高い温度から冷えるとき、その時の地球の磁場の向きに磁化する。
たくさんの岩塊の磁化の向きがそろっているのは、着地した時にまだ高温(⑦)で、その場で冷えるときに同じ地球の磁場で磁化したから。もし古い溶岩(⑨)や古い溶岩噴泉の堆積物(⑪)が冷えたまま吹き飛ばされたのなら、前の磁化の向きのままばらばらの向きに落ちるはず。
したがって、岩塊はこの噴火を起こした新しいマグマに由来する可能性が高い(⑩)。古い岩のかけらが熱いマグマの中で 580 ℃ 以上に熱しなおされ、着地してから磁化した、という場合はこの観察だけでは除けないので、「可能性を示す」と言うのが正確。デモで着地の温度を 580 ℃ より下げると、磁化の向きはばらばらになる。
問2(2)(c) 炭化木片は、溶岩流K に焼かれて炭になった木。その時に木は死んで、¹⁴C の補給が止まったので、そこからの時間が溶岩の噴出からの時間。
¹⁴C は半減期ごとに半分になる。1 8 = ( 1 2 ) 3 なので、半減期の 3 回分の時間がたった。
5700 × 3 = 17100 年
答え 1.7 × 10 4 年前 ( 1 8 = ( 1 2 ) 3 より半減期 3 回分, 5700 × 3 = 17100 )
問2(2)(d) X:有色鉱物で、開放ニコル(偏光板 1 枚)で無色〜淡黄色、多色性(回すと色が変わること)が無い。SiO₄ 四面体が独立している(ほかの四面体と酸素を共有しない)構造。これはかんらん石。
Y:無色鉱物で、直交ニコル(偏光板 2 枚を直交)で白黒のしま模様の消光(集片双晶)が見える。これは斜長石。どちらも玄武岩の斑晶としてふつうの組み合わせ。
SiO₂ の量からも確かめられる。かんらん石は組成式から 29〜43 %(X の 40.0 % はこの中)で、輝石(45 % 以上)より少ない。斜長石は 43〜69 % で、48.0 % は Ca の多い斜長石に当たる。
問2(2)(e) (a) より、先に噴出したのは K(SiO₂ 50.0 %)、後が L(52.0 %)。マグマだまりの K と同じマグマから、X と Y が同じ割合で結晶になって取り去られ、L のマグマになった。
取り去った結晶の SiO₂ は X と Y の平均で 40.0 + 48.0 2 = 44.0 % 。はじめのマグマの質量を 1、取り去った割合を f とすると、SiO₂ の質量は取り去る前後で変わらない(結晶と残りに分かれるだけ)ので
50.0 = 44.0 f + 52.0 ( 1 − f )
8.0 f = 2.0 ⟹ f = 0.25
SiO₂ の少ない結晶が抜けるので、残ったマグマの SiO₂ は多くなる(結晶分化作用)。デモで、取り去る結晶をかんらん石だけにすると 2 12 ≈ 17 % 、斜長石だけにすると 50 % になる。
答え 25 % (先に噴出した K の SiO 2 50.0 ,結晶の平均 40.0 + 48.0 2 = 44.0 ,取り去る割合を f として 50.0 = 44.0 f + 52.0 ( 1 − f ) )