— 72 —
地学基礎・地学
第1問 宇宙に関する次の問い(問1~2)に答えよ。
問1 地球からほぼ同じ方向に銀河Aと銀河Bが観測され,図1—1に示すような,水素原子による輝線(H α 線)などを含むスペクトルが得られた。この 2 つの銀河の赤方偏移は一方が 0.03 ,他方が 0.06 である。以下の問いに答えよ。数値での解答には有効数字 1 桁で答え,計算の過程も示せ。ただし,ハッブル・ルメートルの法則,および宇宙原理が成り立つものとし,必要であれば log 10 3 = 0.5 として計算してもよい。
(1) 地球から遠いのは銀河Aと銀河Bどちらの銀河か,理由とともに 1 行程度で答えよ。
(2) 銀河Bから観測したときの銀河Aの赤方偏移の値を答えよ。
(3) H α 線の本来の波長は 0.656 μ m である。銀河Aと銀河Bのスペクトルに見られる H α 線の波長の差を μ m の単位で答えよ。
(4) 銀河Bに I a 型超新星が出現した。この超新星を地球から観測し続けたところ,時間とともに明るくなり,見かけの明るさは最も明るいとき 17.5 等級に達し,その後暗くなっていった。I a 型超新星は最も明るいときに絶対等級が − 20 等級になることが知られている。地球から銀河Bまでの距離をメガパーセクの単位で答えよ。
— 73 —
(5) ハッブル定数を H としたとき,宇宙の年齢はおおまかに 1 H で与えられる時間として推定することができる。
(a) その理由を 2 行程度で答えよ。
(b) この推定値は,遠方の超新星などの観測から求められた宇宙の年齢とは必ずしも一致しない。その理由をダークエネルギーという言葉を用いて 2 行程度で答えよ。
図1—1 観測された2つの銀河のスペクトル
— 74 —
問2 以下の問いに答えよ。(2),(4)については計算の過程も示し,有効数字 2 桁で答えること。必要であれば,円周率 π = 3.1 ,2 = 1.4 として計算してもよい。
伊与原新の小説『宙わたる教室』に次の一文がある。
(ここには小説の一文が引用されている。東京大学以外の人に著作権がある文章なので、著作権の確認が終わるまで載せていない。)
これは,自作した重力可変装置を用いて,火星上での重力加速度に相当する 0.38 G が実験室で作られた一場面である(G は地球上の重力加速度を意味する)。
(1) 火星は,重力以外にも地球と異なる特徴をもつ。火星表面の気圧は,地球表面の気圧の( ア )分の 1 程度である。また,火星大気の主成分は( イ )であり,火星と同様に( イ )を主成分とした大気をもつ太陽系の惑星は( ウ )である。
空欄( ア )に入る最も適切な数値を以下から選べ。また,空欄( イ ),( ウ )に入る適切な語句をそれぞれ答えよ。
1.7 17 170 1700
(2) この重力可変装置で,天体イオ上に相当する重力加速度を作り出すため,イオ上の重力加速度を求めたい。以下の表を参考に,地球上での重力加速度を G としたときのイオ上での重力加速度を求めよ。天体は球形であると考え,ここでは自転による遠心力は無視してよい。
— 75 —
(3) イオは,太陽系で最も活発な火山活動が見られる天体である。イオは( エ )の衛星であり,活発な火山活動の原因は( エ )による( オ )力であると考えられている。
空欄( エ ),( オ )に入る適切な語句をそれぞれ答えよ。
(4) ある小惑星の探査をおこなった。この天体は,半径 200 m の球形であり,極での重力加速度は 8.0 × 10 − 5 m / s 2 ,自転周期は 6.2 × 10 4 s であった。
(a) この小惑星の赤道で,物体にはたらく遠心力は,万有引力の何分の 1 となるか,求めよ。小惑星の密度は均一であるとする。
(b) この小惑星の重心を焦点の 1 つとする平均距離 1000 m の楕円軌道に,人工衛星を周回させることに成功した。ケプラーの法則が成り立つとして,この人工衛星が,小惑星の周囲を公転する周期を求めよ。人工衛星の質量は,小惑星に比べて,十分に小さいものとする。
— 78 —
第2問 大気と海洋に関する次の問い(問1~2)に答えよ。
問1 地球の雲はさまざまな緯度や高度で形成され,地球のエネルギー収支や水の循環において重要な役割を果たしている。図2—1は海洋上に形成される典型的な雲を模式的に描いたものである。次の文章を読み,以下の問いに答えよ。
低緯度で見られる背の高い雲は,熱帯( ア )帯と亜熱帯( イ )帯とを結ぶ大規模な( ウ )循環を駆動する上で重要な役割を果たしている。亜熱帯においては一般に背の低い雲が形成される。中緯度から高緯度にかけての背の高い雲は,( エ )低気圧にともなう前線の周辺で形成されるものが多い。これらの低気圧は,( オ )波動の一部を構成するものとして形成され発達する。極域では背の低い雲が多く見られる。
(1) 上の文章中の( ア )~( オ )に入る適切な語句をそれぞれ答えよ。
(2) 下線部の循環にともなう水蒸気の輸送は,熱帯から亜熱帯への輸送となるか,亜熱帯から熱帯への輸送となるか,その理由とともに 2 行程度で答えよ。理由の説明では,「降水量」と「蒸発量」というふたつの言葉を含めよ。
(3) 図2—1に模式的に描かれた熱帯の背の高い雲と亜熱帯の背の低い雲が,ともにシュテファン・ボルツマンの法則により宇宙空間に向けて放射エネルギーを放出しているとする。このとき単位面積あたりに放出される放射エネルギーが大きいのはどちらの雲か,理由とともに 2 行程度で答えよ。ただし,雲の上にある大気による放射エネルギーの吸収や放出は無視できるとする。
(4) 図2—1の中緯度から高緯度にかけての雲は,この緯度帯でよく見られる温暖前線周辺に形成される雲を模式的に示したものである。このような雲は,一般にこの図のように雲が形成される高度が緯度とともに高くなっている。その理由を 2 行程度で答えよ。
— 79 —
(5) エネルギー収支の観点からみると,降水は水蒸気からの雲の形成にともなう潜熱の放出により大気を加熱する現象である。地球全体の平均降水量が 3.0 m m / 日であるとき,この降水が地球の気温を何度上昇させるはたらきをもつか求めてみよう。このために地球の大気を代表した 1 m 2 を底面とする大気の柱を考え,3.0 m m / 日の降水が地表面から大気上端までの柱中の大気の温度を一様に上昇させるとする。このとき降水は 1 日に気温を何度上昇させるか有効数字 2 桁で答えよ。計算の過程も示せ。ただし降水はすべて雨(液体の水)としておこるとする。また柱中の大気の質量を 1.0 × 10 4 k g ,大気の比熱を 1.0 × 10 3 J / ( k g · ℃ ) ,水蒸気から水への凝結の潜熱を 2.5 × 10 6 J / k g ,水の密度を 1.0 × 10 3 k g / m 3 とする。大気の比熱とは,1 k g の大気を 1 ℃ 上昇させるのに必要な熱エネルギーである。
図2—1 海洋上に形成される典型的な雲の模式図
— 80 —
問2 海洋中には暖水の渦や冷水の渦が多く存在し,それらは熱や物質を輸送するため,地球環境において重要である。渦の観測に関する次の文章を読み,以下の問いに答えよ。
東北地方東方の海域には,半径が 100 k m 程度の渦が存在することがある。これらは,周辺を流れる暖流である( ア )と寒流である( イ )から切り離されたものである。この海域の暖水の渦について,中心を東西に横切る線に沿って水温と塩分の鉛直分布を測った。図2—2の左図は,その水温の鉛直断面分布を模式的に示したものであり,(Ⅰ)等しい深さでは渦の中心に向かって水温が高くなっている。このような水温測定の結果から判断すると,(Ⅱ)暖水があることで,海面は中心に向かって高くなっており,(Ⅲ)渦を回る流れをともなっていることがわかる。図2—2の右図は,渦の外に位置する地点Pにおける(Ⅳ)水温の鉛直分布であり,この海域の典型的な分布となっていた。
図2—2 暖水渦を東西に横切る線での水温の鉛直断面分布の模式図(左)と,左図に示す渦の東方の地点Pにおける水温の鉛直分布(右)
— 81 —
(1) ( ア )と( イ )にあてはまる海流の名称を答えよ。
(2) 下線部(Ⅰ)について,等しい深さでは渦の中心に向かって塩分は高くなるか低くなるか,理由とともに 1 行程度で答えよ。
(3) 下線部(Ⅱ)について,海面の高さの違いは水温分布から推定できる。測定によれば,海面から深さ 1000 m まで平均した水温は,地点Pより渦の中心の地点が 3.2 ℃ 高かった。1000 m より深いところでは深さの等しい面での水温や圧力を等しいとし,地点Pにおける海面の高さを 0 m とするとき,渦の中心の地点における海面の高さを有効数字 2 桁で求めよ。計算の過程も示せ。なお,この暖水渦では,海水の密度は水温が 1 ℃ 上がると 0.021 % 減少すると近似でき,塩分が密度に与える効果は考慮しなくてよい。
(4) 下線部(Ⅲ)について,渦を回る流れは,地衡流を仮定した場合と,さらに海水が渦を回ることによって生じる遠心力も考慮した場合を比べると,どちらが速いか,理由とともに 2 行程度で答えよ。
(5) 下線部(Ⅳ)について,測定される海面の水温は,春と秋に同じような値になる。しかし,水温の鉛直分布は特徴が異なるため,どちらの季節に測定したか判別できる。図2—2に示される水温を測定したのは,5 月と 11 月のどちらと考えられるか,理由とともに 1 行程度で答えよ。
— 84 —
第3問 固体地球および地質に関する次の問い(問1~2)に答えよ。
問1 地球内部に関する次の文章を読み,以下の問いに答えよ。
図3—1で示されるように,ある地域で震源の浅い地震が発生し,複数の地点で地震波を観測した。また,地域内にある掘削孔において様々な深度で岩石の温度測定を行った。地域内には,過去にマグマが地下深いところで形成され,マグマ上昇の際に周囲の岩石を取り込んだ噴出物が観察される場所がある。マグマに取り込まれていた岩石は,岩石A,B,Cの 3 種類であり,地域一帯の地殻およびマントルを構成する岩石と推定される。これらの岩石を用いた実験を行うことで,地震波観測および温度測定の結果を解釈し,地域一帯の地殻やマントルの構造および状態を推定できる。
図3—1 ある地域の地下構造の模式図。震源(☆)および発生した地震波の直接波および屈折波の伝搬経路が示されている。
— 85 —
(1) 岩石Aは大陸地殻を特徴づける深成岩,岩石Bは海洋地殻を代表する深成岩,岩石Cは上部マントルを代表する岩石である。岩石A,岩石B,岩石Cに相当する最も適切な岩石名を以下からそれぞれ選んで答えよ。
斑れい岩 片麻岩 かんらん岩 石灰岩 砂岩 花こう岩 玄武岩
(2) 岩石A,B,Cをそれぞれ図3—2で示された 5.0 c m × 5.0 c m × 2.0 c m の直方体に切断し,質量〔g 〕を測定した。その結果の最も適切な組み合わせを以下のア~カから選んで答えよ。
図3—2 岩石試料の形状
— 86 —
(3) 図3—2で示される岩石AおよびCの試料表面側でP波(縦波)およびS波(横波)を発生させ,裏面側へ伝わった波をとらえることで,P波およびS波の試料中での伝搬時間がわかる。表3—1に示されたその結果をもとに,地震波観測結果を解釈する。以下の(a)および(b)の問いに答えよ。その際,地球の曲率は無視でき,地殻とマントルの境界は地表に平行であるとする。解答では,計算過程も示し,有効数字 2 桁で求めよ。
表3—1 岩石試料のP波およびS波伝搬時間(秒)
(a) 地点Iにおいて,P波とS波の直接波の到着時刻差は 26 秒であった。地点Iから震央までの距離〔k m 〕を求めよ。地殻は岩石Aのみからなるとする。
(b) 震央から地点I,さらにその延長線上の地点での震央からの距離とP波の到着時刻の関係(走時曲線)を調べると,地点Iが,P波の直接波と屈折波の到着時刻が一致する地点であった。この観測結果を用いて本地域の地殻の厚さ〔k m 〕を求めよ。ただし,地殻の厚さ d ,震央から地点Iまでの距離 l ,地殻を伝わる地震波速度 v 1 ,マントルを伝わる地震波速度 v 2 の間で以下の関係式が成り立つとする。
d = l 2 v 2 − v 1 v 2 + v 1
v 1 および v 2 はそれぞれ表3—1の結果から得られる岩石Aおよび岩石Cを伝わるP波速度とみなしてよい。l は(a)で求めた値を用いよ。3 = 1.7 および 7 = 2.6 として計算してもよい。
— 87 —
(4) 掘削孔内では,深度 100 m ごとに温度が 3.0 ℃ 上昇していた。掘削部分は,すべて岩石Aからなっていた。図3—2で示される岩石Aの実験試料の表面側から 7.5 W の熱を与え続け,十分に時間が経った後に温度を計測したところ,試料表面では 45 ℃,裏面では 25 ℃ であった。実験中,岩石に与えた熱はすべて岩石の裏面から放出されていたとみなす。これらの観測および実験結果から,掘削孔近傍での地殻熱流量〔m W / m 2 〕を有効数字 2 桁で求めよ。計算の過程も示せ。その際,
地殻熱流量 〔 m W / m 2 〕 = 地下増温率 〔 K / m 〕 × 岩石の熱伝導率 〔 W / ( m · K ) 〕 × 10 3
の関係を用いてよい。ここで,熱伝導率は,厚さ 1 m の板の両面に 1 ℃ の温度差があるとき,その板の面積 1 m 2 の面を通して 1 秒間に流れる熱量のことである。
— 88 —
問2 堆積物と堆積岩に関する次の文章を読み,以下の問いに答えよ。
堆積物には岩石が細かくなった砕屑物,火山の噴火に由来するもの,生物の遺骸が積み重なったもの,(Ⅰ)化学的に沈殿したものなどがある。(Ⅱ)未固結の堆積物が圧密や膠結(こうけつ)などによってかたい堆積岩になる作用を続成作用とよぶ。
砕屑物の粒子は粒径により泥・砂・礫に分けられる。泥は粒径 0.063 m m 未満,砂は粒径 0.063 m m 以上 2 m m 未満,礫は粒径 2 m m 以上の粒子のことを指す。図3—3は,流水中における水の流速と粒子の粒径による侵食・運搬・堆積の関係を表した両対数グラフである。(Ⅲ)泥・砂・礫は,その粒径に応じて,動きやすさ・堆積しやすさが異なる。
図3—3 流速と粒径による砕屑物の侵食・運搬・堆積の関係。線①は静止している粒子が動き始める流速,線②は動いている粒子が堆積し始める流速を表す。
— 89 —
(1) 下線部(Ⅰ)に由来する堆積岩の例を 2 つ答えよ。
(2) 下線部(Ⅱ)に関して,同じ時代に同じ地域で形成され,続成作用の度合いのみが異なる地層を比較すると,続成作用を強く受けた地層のほうが,続成作用をあまり受けていない地層よりも層厚が薄くなる傾向がみえる。この理由を 2 行程度で答えよ。
(3) 下線部(Ⅲ)に関して,流水中の泥・砂・礫の粒子が静止している状態からの動きやすさと,動いている状態からの堆積しやすさについて,泥と礫は砂と比較してどのような特徴をもつか。適切な説明を泥・礫のそれぞれについて以下のA~Dの中から 1 つ選択せよ。
A 動きやすく堆積しやすい
B 動きにくく堆積しやすい
C 動きやすく堆積しにくい
D 動きにくく堆積しにくい
(4) 流水の流速が 30 c m / s の場合の粒径ごとの粒子の挙動を,図3—3を参考にして 2 行程度で述べよ。解答には,図3—3から読み取った数値を含めること。
(5) 砕屑物からなる地層中に,連続的に下部から上部に向かって粒径が小さくなる級化構造が観察された。級化構造の最下部の粒径は約 30 m m ,最上部の粒径は約 0.3 m m であった。流水中での堆積によってこの級化構造が形成されたとすると,堆積時の流速はどのように変化したと考えられるか。図3—3を参考にして 1 行程度で述べよ。解答には,図3—3から読み取った数値を含めること。
— 90 —
(6) 沿岸部の潟や湿地を数メートル掘ると,津波起源の堆積物が認められることがある。津波起源の堆積物は潟や湿地における定常時の堆積物とくらべて粒径や堆積構造にどのような特徴があると考えられるか。図3—3を参考にして 2 行程度で述べよ。
第1問 遠ざかる銀河と、小さな天体の重力 出題の意図(東大) 問1は、銀河のスペクトルを観測した結果の図を理解し、さらに銀河に関する知識を用いて、銀河の赤方偏移や地球からの距離、宇宙の年齢に関して考察する力を問う問題です。問2では、火星や衛星イオの特徴を問うとともに、天体上での重力加速度の特性を推察する力や、天体の周囲を公転する人工衛星の運動に関して考察する力を問いました。
東大の解答例(選ぶ問題だけ) 問2(1):ア:170 下の答えと全部一致
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 前半(問1)は「遠くの銀河までの距離をどう測るか」の問題。使う道具は2つある。
赤方偏移とハッブル・ルメートルの法則 :遠ざかる天体からの光は波長が伸びて見える(赤方偏移 z = 波長の伸び ÷ もとの波長)。宇宙が膨張しているので、銀河の遠ざかる速さ v は距離 d に比例する(v = H d 、H はハッブル定数)。速さがあまり大きくないときは v = c z (c は光の速さ)なので、赤方偏移が大きいほど遠い 。
標準光源(明るさの分かっている天体) :Ia 型超新星は、一番明るいときの本当の明るさ(絶対等級)がほぼ決まっている。見かけの明るさとくらべれば距離が出る。等級は 5 等級で明るさが 100 倍ちがう目盛りで、見かけの等級 m と絶対等級 M (10 パーセクから見た明るさ)には m − M = 5 log 10 d 10 p c の関係がある。
後半(問2)は、天体の表面の重力と、ケプラーの法則の問題。球の天体の表面の重力は、質量 M = 4 3 π R 3 ρ を使うと g = G M R 2 = 4 3 π G ρ R で、密度 × 半径 に比例する 。
問1(1) 図1—1で2本のスペクトルの H α 線の位置をくらべる。横軸は波長で、右ほど長い。銀河Bの H α 線は、銀河Aのものより右(長い波長の側)にある。
もとの波長は同じ 0.656 μ m なので、右にずれている方が波長の伸びが大きい=赤方偏移が大きい。つまり銀河Bの赤方偏移が 0.06 、銀河Aが 0.03 。
ハッブル・ルメートルの法則では遠ざかる速さは距離に比例するので、速く遠ざかっている(赤方偏移が大きい)銀河Bの方が遠い。
答え 銀河B。Hα線の赤方偏移が大きく,速く遠ざかっているので遠い。
問1(2) 「宇宙原理」とは、宇宙はどこでも同じようすで、特別な中心が無い、という考え。だから銀河Bにいる人にとっても、ハッブル・ルメートルの法則はそのまま成り立つ。
2つの銀河はほぼ同じ方向にあるので、地球・銀河A・銀河Bは1本の線の上に並んでいると考えてよい。距離は赤方偏移に比例するので、地球から A までを 0.03 の分、B までを 0.06 の分とすると、B から A までの距離は 0.06 − 0.03 = 0.03 の分。
B から見た A の遠ざかる速さもこの距離に比例するので、赤方偏移は差の 0.03 になる。デモで「見る場所」を銀河Bに切りかえると、A も地球も B から遠ざかって見える。どこから見ても、まわりが遠ざかる。
問1(3) 観測される波長は λ = λ 0 ( 1 + z ) 。銀河Aでは 0.656 × 1.03 、銀河Bでは 0.656 × 1.06 なので、差は
0.656 × ( 1.06 − 1.03 ) = 0.656 × 0.03 = 0.01968 μ m
答え 2 × 10 − 2 μ m ( 0.656 × ( 0.06 − 0.03 ) )
問1(4) m − M = 17.5 − ( − 20 ) = 37.5 = 5 log 10 d 10 p c
より log 10 d 10 p c = 7.5 、つまり d = 10 8.5 p c 。
10 0.5 は、log 10 3 = 0.5 を使うと 3 。よって d = 3 × 10 8 p c 。1 M p c = 10 6 p c なので、メガパーセクで表すと 3 × 10 2 。
ついでに:銀河Bは z = 0.06 なので遠ざかる速さは約 0.06 c ≈ 1.8 × 10 4 k m / s 。距離で割るとハッブル定数は約 57 k m / s / M p c になる。
答え 3 × 10 2 M p c ( 17.5 − ( − 20 ) = 5 log 10 d 10 p c より d = 10 8.5 p c )
問1(5)(a) v = H d の速さが、宇宙の始まりからずっと変わらなかったと仮定する。ある銀河がいまの距離 d まで離れるのにかかった時間は
t = d v = d H d = 1 H
この時間は d によらない。つまり、どの銀河も 1 H だけ前には同じ1点にいたことになる。これを宇宙の始まりからの時間(宇宙の年齢)の見積もりとする。
デモでは、いまの速さのまま時間を巻きもどすと、地球と銀河Bの距離が 0 になる時刻がちょうど 1 H 前になる(点線)。
答え 後退速度v=Hdが一定なら,距離dまで離れる時間d/v=1/Hは全銀河で共通で,全銀河が1点に集まっていた時からの時間になるから。
問1(5)(b) (a) の見積もりは「膨張の速さがずっと一定」という仮定に立っている。実際には、宇宙の中の物質の重力は膨張にブレーキをかけ、ダークエネルギー(宇宙を押し広げるはたらきをもつ、正体の分からないエネルギー)はアクセルをかける。
遠方の Ia 型超新星の観測から、宇宙の膨張は初めは減速し、最近は加速していることが分かった。速さが変わってきたのだから、いまの速さ H から計算した 1 H は、本当の年齢とずれる。
デモのグラフでは、ダークエネルギーが無い(物質だけの平らな宇宙とする)と昔ほど速く広がっていたので、宇宙の始まりは 1 H より新しく 2 3 · 1 H になる。ダークエネルギーの割合を 0.7 にすると、途中から加速するので 1 H の 0.96 倍になる。
答え 膨張の速さは一定でなく,初期は重力で減速し近年はダークエネルギーで加速しているので,速さ一定を仮定した1/Hは実際の年齢とずれる。
問2(1) 火星の地表の気圧は約 6 h P a で、地球の約 1013 h P a の約 170 分の 1。選択肢の中では 170 が最も近い。
火星の大気は大部分が二酸化炭素。二酸化炭素を主成分とする厚い大気をもつ惑星は金星で、こちらは逆に地表の気圧が地球の約 90 倍もある(温室効果で地表は約 460 ∘ C )。
問2(2) 表面の重力 g = 4 3 π G ρ R は、密度 ρ と半径 R の積に比例する。地球とイオの比をとれば G や π は消える。
g イオ G = 3500 × 1800 5500 × 6400 = 6.3 × 10 6 3.52 × 10 7 ≈ 0.179
同じ式で火星(密度約 3930 k g / m 3 、半径約 3390 k m )を計算すると約 0.38 になり、小説の「0.38 G」と合う。デモでは、同じ高さから落とした球が、重力の小さい天体ほどゆっくり落ちる。
答え 0.18 G ( 3500 × 1800 5500 × 6400 )
問2(3) イオは木星の4つの大きな衛星(ガリレオ衛星)の1つ。木星のすぐ近くを、ほかの衛星との引き合いで少しつぶれた軌道で回っているので、木星から受ける潮汐力(引っぱりの強さが場所によってちがうことで、天体を引きのばす力)の大きさが1周の間に変わる。
そのたびにイオの内部がもまれて熱が生まれ、この熱が活発な火山活動のもとになっている。
問2(4)(a) 赤道にある物体は、自転とともに半径 R の円を回る。回っている物体から見ると外向きの遠心力 m ω 2 R がはたらく(ω は1秒間に回る角度)。
ω = 2 π T = 2 × 3.1 6.2 × 10 4 = 1.0 × 10 − 4 s − 1
ω 2 R = ( 1.0 × 10 − 4 ) 2 × 200 = 2.0 × 10 − 6 m / s 2
万有引力の方は、密度が均一な球なら極でも赤道でも同じ大きさ。極では遠心力が 0 なので、極の重力加速度 8.0 × 10 − 5 m / s 2 がそのまま万有引力による加速度になる。比は
2.0 × 10 − 6 8.0 × 10 − 5 = 1 40
小さな天体は重力がとても弱いので、ゆっくりの自転でも遠心力が無視できない割合になる。
答え 40 分の 1( ω = 2 π T = 1.0 × 10 − 4 s − 1 , ω 2 R g = 2.0 × 10 − 6 8.0 × 10 − 5 )
問2(4)(b) ケプラーの第3法則を、小惑星のまわりの人工衛星に使う。周期 T と平均距離(楕円の長半径)a には
T 2 = 4 π 2 a 3 G M
の関係がある。小惑星の G M は、表面(極)の重力加速度 g = G M R 2 から
G M = g R 2 = 8.0 × 10 − 5 × ( 200 ) 2 = 3.2 m 3 / s 2
T = 2 π a 3 G M = 2 π 10 9 3.2 = 2 π × 1.25 × 10 4 2
π = 3.1 、2 = 1.4 を使って計算し、有効数字2桁にまとめる(約 30 時間)。
楕円のつぶれ具合は周期に関係しない(いちばん近い所 a ( 1 − e ) が小惑星の半径 200 m より遠く、ぶつからない範囲で)。デモで離心率を変えても1周の時間は同じで、近い所を速く、遠い所をゆっくり通る(同じ時間に掃く面積が同じ)ことが見える。
答え 1.1 × 10 5 s ( G M = g R 2 = 3.2 m 3 / s 2 , T = 2 π a 3 / G M )
第2問 雲の放射と、暖かい水の渦 出題の意図(東大) 問1は、地球大気の雲に関する特性や大気循環との関連を問うとともに、降水に伴って大気が加熱される過程を定量的に理解し、求める力を問う問題です。問2では、日本周辺海域に見られる海洋の渦の特徴や、渦に伴う海面の高さや流れの特性を観測結果から推察する力、また海洋表層の水温構造の季節的な変化を考察する力を問いました。
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 前半(問1)は、図2—1 の雲の絵を「大気の大きな流れ」と結びつけて読む問題。熱帯の背の高い雲は、強い上昇気流(熱帯収束帯)でできる。上がった空気は上空で亜熱帯へ向かい、そこで下りてくる(亜熱帯高圧帯)。下りてくる空気の所では雲が発達しにくく、背の低い雲になる。中緯度では、温帯低気圧の前線に沿って雲ができる。
放射の問いは、シュテファン・ボルツマンの法則 (物体が出す放射のエネルギーは絶対温度の4乗に比例する、E = σ T 4 )を使う。雲の頂上の温度は、頂上の高さで決まる(対流圏では高いほど気温が低い)。最後の計算は、水蒸気が水になるときに出す熱(凝結の潜熱)の足し算。
後半(問2)は、海の中の暖かい水のかたまり(暖水渦)の問題。深い所で圧力がそろっているとき、暖かく軽い水の柱は高く積み上がる(海面が盛り上がる)。盛り上がりの坂の力と、地球の自転によるコリオリの力(北半球では進む向きの右へ曲げる見かけの力)がつり合って、渦を回る流れができる。
問1(1) 熱帯で空気が集まって上昇する帯が熱帯収束帯 、亜熱帯で空気が下りてくる帯が亜熱帯高圧帯 。この2つを結ぶ、赤道をはさんだ南北の大きな循環をハドレー循環 という。
中緯度から高緯度の背の高い雲は、温帯低気圧 の温暖前線・寒冷前線のまわりでできる。温帯低気圧は、上空の偏西風 が南北に蛇行する波(偏西風波動)の一部として発生し、発達する。
答え ア 収束,イ 高圧,ウ ハドレー,エ 温帯,オ 偏西風
問1(2) ハドレー循環の地表付近の流れは、亜熱帯高圧帯から熱帯収束帯へ向かう風(貿易風)。風が運ぶ水蒸気の向きも同じになる。
水の出入りで考えると:亜熱帯は下りてくる乾いた空気の下で晴れることが多く、海からの蒸発量が降水量より多い (水蒸気が出てくる所)。熱帯は強い上昇気流で雨が多く、降水量が蒸発量より多い (水蒸気が使われる所)。熱帯で足りない分は、どこかから運びこまれていなければならない。
したがって、亜熱帯で蒸発した水蒸気を貿易風が熱帯へ運んでいる。デモの赤い点が、下の風に乗って熱帯へ流れていく。
答え 亜熱帯から熱帯へ。亜熱帯では蒸発量が降水量より多く,熱帯では降水量が蒸発量より多いので,下層の貿易風が水蒸気を熱帯へ運ぶ。
問1(3) 雲の頂上は、宇宙から見える雲の表面。そこから出る放射は σ T 4 で、頂上の温度 T だけで決まる。
対流圏では高さとともに気温が下がる(1 km で約 6.5 K)。図2—1 では熱帯の雲の頂上は約 15 km、亜熱帯の雲の頂上は 2 km 以下。地表を 300 K とすると、頂上はおよそ 200 K と 290 K。4乗で効くので
( 290 200 ) 4 ≈ 4
倍ほど、背の低い雲の方が多く放射する(デモでは 95 W/m² と 402 W/m²)。
背の高い雲は、下から来る熱を受け取りながら、冷たい頂上から少ししか宇宙へ出さない。だから熱帯の背の高い雲には、地球を暖める(温室効果の)はたらきがある。
答え 亜熱帯の背の低い雲。雲頂が低く温度が高いので,温度の4乗に比例する放射エネルギーが大きい。
問1(4) 温暖前線では、暖かく軽い空気が、冷たく重い空気の上をゆるやかに(傾き 1/100〜1/300 ほど)はい上がっていく。前線面は、地上の前線の位置から冷たい空気の側(高緯度側)へ行くほど高くなる。
雲は、暖かい空気がこの面に沿って持ち上げられて冷え、水蒸気が凝結してできる。だから雲のできる高さは前線面の高さにそろい、高緯度側ほど高くなる(地上の前線に近い所では乱層雲、遠い所では高層雲・巻雲)。
答え 暖気は寒気の上をゆるやかな前線面に沿ってはい上がり,前線面は高緯度側ほど高いので,雲ができる高度も高緯度ほど高くなるから。
問1(5) 降水 3.0 m m は、1 m 2 あたり 3.0 × 10 − 3 m 3 の水で、質量は
1.0 × 10 3 × 3.0 × 10 − 3 = 3.0 k g
この水は、水蒸気が凝結してできた。そのとき出た潜熱は
3.0 × 2.5 × 10 6 = 7.5 × 10 6 J
この熱が、柱の中の空気 1.0 × 10 4 k g を一様に温める。1 k g を 1 ℃ 上げるのに 1.0 × 10 3 J 要るので
Δ T = 7.5 × 10 6 1.0 × 10 4 × 1.0 × 10 3 = 0.75
1 秒あたりにすると約 87 W / m 2 で、実際に地球全体で測られている「蒸発と降水で運ばれる熱」とほぼ同じ大きさ。実際の大気は放射で冷えているので気温は上がり続けないが、その冷えを埋める大きな熱源が雨だと分かる。
答え 0.75 ℃ ( 1.0 × 10 3 × 3.0 × 10 − 3 × 2.5 × 10 6 1.0 × 10 4 × 1.0 × 10 3 )
問2(1) 東北地方の東の海では、南から来る暖流と北から来る寒流が出会う。暖流は黒潮 (日本の南岸を北東へ流れる)、寒流は親潮 (千島列島の方から南下する)。黒潮が大きく蛇行してちぎれた暖かい水が、暖水渦になる。
問2(2) 暖水渦の中の水は、もとは黒潮の水。黒潮は亜熱帯の海から来た水で、亜熱帯は蒸発が降水より多い(問1(2) と同じ話)ので、塩分が高い。親潮は降水や川の水の多い高緯度から来るので塩分が低い。
したがって、同じ深さでは、黒潮の水が多い渦の中心ほど塩分が高い。
答え 高くなる。渦の暖水は塩分の高い黒潮の水だから。
問2(3) 「1000 m より深い所では圧力が等しい」ことを使う。水の中の圧力は、その上にある水の重さで決まる。地点P の柱(高さ 1000 m 、平均の密度 ρ P )と、渦の中心の柱(高さ 1000 + h 、平均の密度 ρ C )で、1000 m の深さの圧力が同じなので
ρ P × 1000 = ρ C × ( 1000 + h )
中心の水は平均 3.2 ℃ 暖かいので、密度は 0.021 × 3.2 = 0.0672 % 小さい:ρ C = ρ P ( 1 − 6.72 × 10 − 4 ) 。入れると
h = 1000 × 6.72 × 10 − 4 1 − 6.72 × 10 − 4 ≈ 0.672 m
深さ 1000 m のうちのわずか 0.07% の差が、海面では 67 cm の盛り上がりになる。デモでは、図2—2 の等温線から水温を読んで平均すると、中心の方が 3.19 ℃ 暖かく、問題の 3.2 ℃ と合っていることも確かめられる(中心の表面 20 ℃ と 1000 m の 3.4 ℃ は図に線が無いので推定でおぎなった値)。
答え 0.67 m ( 1000 × 0.00021 × 3.2 )
問2(4) 中心の海面が高いので、海水には中心から外へ押す力(圧力傾度力)がはたらく。北半球では、このまわりの流れは時計回りになり、コリオリの力は進む向きの右、つまり中心向きになる。
地衡流 は、外向きの圧力傾度力と内向きのコリオリの力だけがつり合った流れ。実際には渦を回っているので、外向きの遠心力も加わる。つり合いは
( コリオリの力 ) = ( 圧力傾度力 ) + ( 遠心力 )
コリオリの力は速さに比例するので、遠心力の分だけ大きいコリオリの力=大きい速さが必要になる。
デモでは、地衡流の速さで放したかたまりは円からふくらんでずれ、遠心力も入れた速さで放したかたまりは円を回り続ける。低気圧(冷水渦)のまわりでは向きが逆になり、遠心力を入れると地衡流より遅くなる。
答え 遠心力も考えた方が速い。外向きの圧力傾度力と遠心力の和を内向きのコリオリの力が支えるので,地衡流より大きなコリオリの力=速さが要る。
問2(5) 図2—2 の右図(地点P)は、表面の 20 ℃ から深さとともに水温が下がり続けていて、表面近くに水温が一様な層が無い。
秋から冬にかけては、表面が冷やされて重くなった水が沈み、下の水と混ざるので、表面から数十 m 以上にわたって水温がそろった層(混合層)ができる。春は逆に、日射で表面近くから温まる。温まった水は軽いので沈まず、表面ほど暖かい層が上に重なっていく。
したがって、混合層が見えない地点P の分布は、春(5月)のもの。デモの1本の柱のモデルでも、11月には表面から 84 m まで水温がそろい、5月は表面から下がり続ける。
答え 5月。表面から水温が下がり続け,秋にできる水温一様な混合層がないから。
第3問 地下を伝わる波と熱、水の流れと粒 出題の意図(東大) 問1では、地球の地殻やマントルの構造や状態について、岩石に関する知識を用い、また観測および測定結果を解釈し、総合的かつ定量的に推察する力を問いました。問2は、堆積物と堆積岩、特に流水中における砕屑物の侵食・運搬・堆積の特性を図から読み取り説明する能力と、それを現実的な状況に適用して考察する力を問う問題です。
東大の解答例(選ぶ問題だけ) 問1(1):A 花こう岩、B 斑れい岩、C かんらん岩 問1(2):ア 問2(3):泥:D、礫:B 下の答えと全部一致
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 前半(問1)は、手のひらに乗る岩のかけらの実験から、地下数十 km のようすを推定する問題。マグマが地下から運んできた3つの岩(地殻の岩2つとマントルの岩1つ)について、密度 (重さ ÷ 体積)、地震波の速さ (厚さ ÷ 伝わる時間)、熱の通しやすさ (熱伝導率)を測る。これを、地震の観測(走時)や掘った穴の温度とつなぐ。
地震波の問いでは2種類の波を考える。地殻の中をまっすぐ進む直接波 と、地殻とマントルの境目まで下りて、速いマントルの中を境目にそって進み、また上がってくる屈折波 。遠い所ほど、回り道でも速い道を通る屈折波が先に着く。
後半(問2)は、堆積物(砕屑物・火山のもの・生物のもの・化学的に沈殿したもの)と、水の流れの速さで粒がどう動くかの図(図3—3)を読む問題。線①は「止まっている粒が動き出す速さ」、線②は「動いている粒が積もり始める速さ」。
問1(1) 大陸の地殻は、白っぽく軽い岩(二酸化ケイ素の多い岩)でできていて、代表的な深成岩(地下でゆっくり冷えて固まった岩)は花こう岩 。海洋の地殻は黒っぽい玄武岩質の岩で、深成岩なら斑れい岩 (玄武岩は火山岩なので「深成岩」には当たらない)。上部マントルはかんらん岩 でできている。
片麻岩は変成岩、石灰岩・砂岩は堆積岩なので、どれにも当たらない。
答え 岩石A 花こう岩,岩石B 斑れい岩,岩石C かんらん岩
問1(2) 試料の体積は 5.0 × 5.0 × 2.0 = 50 c m 3 。質量を 50 で割れば密度(g/cm³)になる。
岩石の密度はおよそ、花こう岩 2.7、斑れい岩 3.0、かんらん岩 3.3 g/cm³ で、A < B < C の順。これに合うのはアの 130・140・165 g(2.6・2.8・3.3 g/cm³)。
ほかの組は、ウ・オのように水(1.0)とあまり変わらない軽すぎる値や、イ・カのように 13 g/cm³(鉄 7.9 より重い)という岩ではありえない値を含む。エは A が C より重く、順番が合わない。
問1(3)(a) まず試料の結果から速さを出す。波は試料の表から裏へ、厚さ 2.0 c m を通る(図3—2)。岩石Aでは
v P = 2.0 × 10 − 2 3.2 × 10 − 6 = 6.25 × 10 3 m / s , v S = 2.0 × 10 − 2 5.8 × 10 − 6 ≈ 3.45 × 10 3 m / s
震央からの距離を l とすると、S波とP波の着く時刻の差(初期微動の長さ)は
l v S − l v P = 26 s
1 v S − 1 v P = ( 5.8 − 3.2 ) × 10 − 6 2.0 × 10 − 2 = 1.3 × 10 − 4 s / m なので、l = 26 1.3 × 10 − 4 。1 km 進むごとに S 波が 0.13 秒ずつおくれていく、と考えるとよい。
答え 2.0 × 10 2 k m ( v P = 6.25 k m / s , v S = 3.45 k m / s , l = 26 1 / 3.45 − 1 / 6.25 )
問1(3)(b) 地点I は、直接波と屈折波が同時に着く地点(走時曲線の折れ目)。問題の関係式にそのまま入れる。v 1 は岩石A、v 2 は岩石C の P 波の速さ。
v 2 − v 1 v 2 + v 1 = 1 2.4 − 1 3.2 1 2.4 + 1 3.2 = 3.2 − 2.4 3.2 + 2.4 = 1 7
(速さは「厚さ ÷ 時間」なので、時間だけで比が出せる。)よって
d = 200 2 1 7 = 100 7
正確な値は 100 7 = 37.8 なので、有効数字2桁に丸めて 38 km を答えとする。問題の「7 = 2.6 として計算してもよい」をこの式にそのまま入れても 100 2.6 ≈ 38.46 で 38 km。
ただし、分母の 7 をなくして d = 100 7 7 としてから 7 = 2.6 を入れると 260 7 ≈ 37.1 で 37 km になる。指定の近似値をどこで入れるかで 37 になることもあり、「〜してもよい」は使ってよいという許可なので、こちらも可。
デモで地殻の厚さを変えると、厚いほど屈折波が追いつく距離は遠くなる。地震の観測の折れ目の位置から、地殻の厚さが分かる。
答え 38 k m ( v 2 − v 1 v 2 + v 1 = 1 7 , d = 100 1 7 = 100 7 。正確な値は 37.8 。問題の指定 7 = 2.6 をそのまま入れても 100 2.6 ≈ 38 。分母を有理化した 100 7 7 に入れると 260 7 ≈ 37 k m になり,こちらも可)
問1(4) まず試料の実験から、岩石Aの熱伝導率を出す。十分に時間がたつと、試料に入る熱と出る熱がつり合い、厚さ方向に一定の割合で温度が下がる。熱伝導率の決め方(1 m の板・1 ℃ 差・1 m² を 1 秒に流れる熱)から
7.5 = k × ( 5.0 × 10 − 2 ) 2 × 45 − 25 2.0 × 10 − 2
よって k = 7.5 × 2.0 × 10 − 2 2.5 × 10 − 3 × 20 = 3.0 W / ( m · K ) 。
掘った穴では 100 m で 3.0 ℃ 上がるので、地下増温率は 0.030 K / m 。問題の関係式に入れると
0.030 × 3.0 × 10 3 = 90 m W / m 2
デモでは、試料に熱を入れつづけると表の温度が上がっていき、45 ℃ で落ち着くようすを計算で見られる。
答え 90 m W / m 2 (熱伝導率 7.5 × 0.020 2.5 × 10 − 3 × 20 = 3.0 W / ( m · K ) , 0.030 × 3.0 × 10 3 )
問2(1) 水にとけていた物質が、水の蒸発などで濃くなって沈殿してできた堆積岩を答える。海水が蒸発してできる岩塩 ・石こう が代表例。石灰岩(炭酸カルシウム)やチャート(二酸化ケイ素)も、化学的に沈殿したものからできることがある(生物の殻からできることも多い)。
問2(2) 堆積したばかりの泥や砂は、粒と粒の間に水の入ったすきまが多い(泥なら体積の半分以上)。上に地層が積み重なって押されると(圧密)、粒どうしが詰まってすきまの水がしぼり出される。
粒の量は変わらないので、すきまが減った分だけ体積が小さくなる。すきまの割合が ϕ 0 から ϕ 1 に減ると、厚さは 1 − ϕ 0 1 − ϕ 1 倍になる(デモでは 60% → 20% で半分)。だから続成作用を強く受けた地層ほど薄くなる。
答え 強く圧密されると粒子どうしが詰まり,すきまの水がしぼり出されてすきまが減るので,同じ量の粒子でも体積が小さくなるから。
問2(3) 図3—3 で、泥(0.063 mm 未満)・砂(0.063〜2 mm)・礫(2 mm 以上)の所の2本の線の高さを、砂とくらべる。
線①(動き出す速さ)は 0.1〜0.2 mm あたりでいちばん低い。そこから左の泥では、粒どうしがくっつき合うので線①が高くなり、動きにくい 。右の礫では重いので線①が高く、やはり動きにくい 。
線②(積もり始める速さ)は右ほど高い。泥はとても遅い流れでも積もらない=堆積しにくい 。礫は速い流れでもすぐ積もる=堆積しやすい 。この組み合わせを A〜D から選ぶ。
問2(4) 図3—3 の 30 cm/s の高さに横線を引き、2本の線との交わりを読む。
線①とは 2 か所で交わる(約 0.03 mm と約 0.6 mm)。その間の粒は、止まっていても流れで動き出す(侵食・運搬)。
それより細かい泥と、0.6 mm から線②と交わる約 10 mm までの粒は「運搬され続ける」領域:流れに乗っているものは運ばれ続けるが、底に止まっているものは動き出さない。約 10 mm より大きい礫は線②より下なので積もる。デモで流れの速さを 30 cm/s にすると、粒の色がこの3つに分かれる。
答え 約0.03〜0.6mmの粒は止まっていても動き出す。より細かい泥と0.6〜10mmの粒は動いていれば運ばれ続け,10mm以上の礫は堆積する。
問2(5) 級化構造は、1回の流れの中で、流れがだんだん遅くなるにつれて、大きい粒から順に積もってできる。
線②で、最下部の 30 mm の粒が積もり始めるのは約 50 cm/s、最上部の 0.3 mm の粒が積もり始めるのは約 2 cm/s。だから、流れは約 50 cm/s から約 2 cm/s まで遅くなっていったと考えられる。デモの ▶ で、流れが遅くなるにつれて下から粗い粒・細かい粒の順に積もるのが見える。
答え 流速が約50cm/sから約2cm/sへしだいに遅くなった。
問2(6) 潟や湿地は、ふだんは流れがとても遅く、細かい泥が静かに積もる所。津波は、海から陸へ速い流れで一気に押し寄せる。図3—3 によると、速い流れは大きい粒まで動かし運ぶ。
そのため津波の堆積物は、ふだんの泥の中に、海岸や海底から運ばれた砂や礫がはさまった粗い層になる。流れが弱まるにつれて積もるので、上ほど細かくなる級化構造が見られ、はじめの強い流れが下の泥を削った境目(侵食面)をもつことも多い。
答え 定常時の泥より粗い砂や礫を含み,流速の低下で上ほど細かくなる級化構造や,下の地層を削った境界がみられる。