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地 学
第1問 宇宙に関する次の問い(問1~2)に答えよ。
問1 恒星は核融合反応によって莫大なエネルギーを生成し宇宙空間に放射している。この恒星のエネルギー生成に関する以下の問いに答えよ。なお,太陽質量 M ⊙ = 2.0 × 10 30 k g ,太陽の全輻射量(単位時間あたり放射するエネルギーの総量)L ⊙ = 3.8 × 10 26 J / s ,光速 c = 3.0 × 10 8 m / s ,1 年 = 3.2 × 10 7 秒とする。数値での解答には有効数字 1 桁で答え,計算の過程も示せ。
(1) 太陽などの主系列星では,この反応で水素原子 4 個からヘリウム原子 1 個が作られるが,その際に質量が 0.7 % 減少する。この質量 m はアインシュタインの関係式 E = m c 2 によってエネルギー E に変換される。水素 1 k g がこの反応に使われる際に生成されるエネルギーを求めよ。
(2) 太陽の全輻射量を考慮すると,太陽では毎秒何 k g の水素原子がこの反応を起こしていると考えられるか答えよ。さらに,この反応におけるエネルギー生成率は主系列の期間変わらないものとし,水素(太陽形成時,太陽質量の 74 % )がすべてこの反応を起こすとすると,太陽の主系列での寿命は何億年と推定できるか答えよ。ここで得られる値は太陽の主系列での寿命とされている 100 億年に比べて長いが,その主な物理的理由を述べよ。
(3) 大質量星である O 5 型星の質量を M = 40 M ⊙ ,寿命を 500 万年とする。太陽の主系列での寿命を 100 億年とするとき,質量と寿命との比の値を O 5 型星と太陽とで比較し,その値が両者で大きく異なることを示した上で,その主たる物理的理由を推論して述べよ。
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問2 火星と地球の公転運動に関する以下の問いに答えよ。以下では,火星の公転軌道は,長半径(太陽からの最大距離と最小距離の平均)a M = 1.5 天文単位,離心率 e M = 0.1 の楕円軌道,地球の公転軌道は半径 a E = 1 天文単位の円軌道であり,地球と火星は同一平面上を運動しているとする。また,火星が 1 日に公転する角度は一定であると近似してよい。地球の公転周期は P E = 365 日,火星の公転周期は P M = 687 日とする。解答には計算の過程も示せ。
(1) 地球と火星の会合周期は何日か,有効数字 2 桁で求めよ。
(2) 図1に示したように,火星の公転軌道は楕円であるため,衝が起こる時の地球—火星間の距離は毎回同じではない。火星が近日点に来た時に衝が起こった場合と,火星が遠日点に来た時に衝が起こった場合とでは,地球から見た火星の見かけの明るさは何倍異なると考えられるか,有効数字 1 桁で答えよ。ただし,火星の太陽光の反射率は時間変化しないものとする。
図1 火星の公転軌道の模式図
(3) 今年,火星がちょうど近日点に来た時に衝が起こったとして,向こう 20 年に起こる衝のうちで,地球—火星間の距離が最短となるのは何年後の衝か,有効数字 2 桁で求めよ。
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第2問 大気と海洋の現象に関する次の問い(問1~2)に答えよ。
問1 地表面(海面も含む)からの蒸発は,大気中に水蒸気を供給し,降水は,大気中から水蒸気を除去する。また,大気中の水蒸気量は一般に下層ほど多く,大気上端では非常に少ない。したがって,大気中の水蒸気の収支を考える際には,大気上端での水蒸気の出入りは無視できるものとする。月平均の大気中の水蒸気収支に関して,以下の問いに答えよ。なお,降水量と蒸発量は地表面での値とする。また,単位地表面積上の気柱(地表面から大気上端までの大気)に含まれる総水蒸気量を気柱水蒸気量 [ k g / m 2 ] と呼ぶ。
(1) 月平均など長期間平均した場合,ある領域での降水の総量と蒸発の総量の差は,その領域の側面から流入する水蒸気の総量と流出する水蒸気の総量の差とつり合っていると近似できる。図2—1(左)のような地表面積 S [ m 2 ] をもつ領域で平均した降水量を P [ m / s ] ,蒸発量を E [ m / s ] とする。この領域に側面から単位時間に流入する水蒸気量を W i n [ k g / s ] ,流出する水蒸気量を W o u t [ k g / s ] とする。また,液体の水の密度は ρ [ k g / m 3 ] とする。これらの量を用いて,上記のつり合いの関係を式で表せ。
(2) 次に,図2—1(右)のように直交した x y z 軸をとり,x 方向に L [ m ] ,y 方向に D [ m ] の直方体領域において,(1)のつり合いが成り立っていると考える。この領域の平均降水量は 16.6 m m / 日,平均蒸発量は 8.0 m m / 日,風は x 軸方向に吹き,風速は風上の側面A,風下の側面Bのそれぞれにおいて一様で時間変化がないとする。側面Aでの気柱水蒸気量は一様に 45.0 k g / m 2 ,風速は 10.0 m / s ,側面Bでの気柱水蒸気量は一様に 30.0 k g / m 2 ,風速は V [ m / s ] ,L は 1.2 × 10 5 m とし,液体の水の密度は 1.0 × 10 3 k g / m 3 とする。
(a) この直方体領域における(1)の W i n ,W o u t を,上で与えられた数値や記号の中から必要なものを用いて表せ。
(b) 側面Bでの風速 V を有効数字 2 桁で求めよ。計算の過程も示すこと。
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図2—1 (左)地表面積 S をもつ領域の概念図。(右)直方体領域の概念図。
(3) 図2—2に太平洋とその周辺での海上降水量(等値線)と鉛直積算水蒸気流(ベクトル)の 1 月の平均値を示す。鉛直積算水蒸気流とは,気柱を水平に通過する水蒸気の輸送量であり,各高度での水蒸気の水平の輸送量を地表面から大気上端まで積算したベクトルである(注1)。日本の東方海上の長方形領域 X と南半球の長方形領域 Y は,それぞれ中緯度および熱帯において比較的降水量が多い領域であるが,異なる点も見られる。この図を用い,X ,Y それぞれの長方形領域において降水の総量と蒸発の総量との大小関係を推測し,その根拠とともに,合わせて 5 行程度で説明せよ。
(注1) 気柱の各高度で微小な厚さの大気の層を考えると,大気の単位体積あたりの水蒸気量 [ k g / m 3 ] × 水平風 [ m / s ] × 層の厚さ [ m ] がベクトルとして求まる。それを地表面から大気上端まで積算したベクトルが鉛直積算水蒸気流であり,単位は [ k g / ( m · s ) ] となる。ここで水平風はベクトルである。
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(4) 下の文章を読み,ア~ウの空欄に当てはまる語句をそれぞれ答えよ。同じ語句を繰り返し使用してもよい。
大気中の水蒸気は,ア を介して大気の熱輸送の一端を担っている。今,(3)の長方形領域 X ,Y の側面境界を通した領域内外の大気の ア のやりとりについて考える。長方形領域 X では,ア は イ しており,長方形領域 Y では,ア は ウ している。
図2—2 太平洋とその周辺での降水量(等値線,海上のみ)と鉛直積算水蒸気流(ベクトル)の1月の平均値。薄い影は 4 ~10 m m / 日,濃い影は 10 m m / 日以上の降水量を示す。ベクトルの縮尺は東西・南北方向で等しく,右下のベクトルの長さは 400 k g / ( m · s ) を示す。
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問2 日本海における海洋現象に関する以下の問いに答えよ。数値による解答は有効数字 2 桁で答え,計算の過程も示せ。なお,重力加速度 g は 9.8 m / s 2 とする。
(1) 図2—3(a)は,海面下 100 m における水温分布図である。本州に沿って存在する相対的に水温の高い領域は,南西から北東に向かって流れる対馬暖流に伴うものである。対馬暖流が岸に平行に流れる地衡流であるとして,その流れの向きが図2—3(b)に矢印で示してある。解答用紙に図2—3(b)を模写したうえで,対馬暖流に働く圧力傾度力と転向力を,これらの力の相対的な大きさと向きに注意してベクトルとして図示せよ。力の名称も図中に示すこと。なお,圧力傾度力,転向力以外の力を考慮する必要はない。
(2) 図2—3(a)をみると,5 月と 11 月では対馬暖流域の海面下 100 m における水温分布に違いがみられる。北緯 39 度~41 度,東経 138 度~140 度の対馬暖流に着目したとき,水温分布の季節による違いを反映して,地衡流である対馬暖流の流れの速さに 5 月と 11 月ではどのような違いがあるか,理由とともに 3 行程度で説明せよ。等温線は,地衡流に伴う海面高度の等高線に一致するとみなしてよい。
(3) 北緯 40 度付近の本州日本海側の海岸線はほぼ南北方向である。ここに北風が数日程度連続して吹き続けると,それに伴うエクマン輸送により海面水温にどのような変化が起こりうるか,理由とともに 3 行程度で説明せよ。
(4) 1983 年 5 月 26 日,日本海東部の秋田県沖を震源とする「日本海中部地震」が発生し,これに伴う津波は発生からしばらく後に震源から約 900 k m 離れた対岸の朝鮮半島に到達するなど,日本のみならず周辺諸国の沿岸にも被害をもたらした。この時の津波は水深に比べて波長が十分長い長波であったとして,津波の発生から朝鮮半島に津波の第一波が到達するまでに要した時間(単位:分)を求めよ。ただし,この津波は,伝搬経路上の平均水深 2300 m に対する長波の速さで伝わったものとみなしてよい。
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図2—3(a) 日本海の海面下 100 m における水温分布。5 月(左),11 月(右)。等温線の間隔は 1 ℃。
図2—3(b) 本州の海岸に平行に流れる対馬暖流の模式図
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第3問 地質および地史に関する次の問い(問1~2)に答えよ。
問1 図3—1は,100 m ごとの等高線付きの地質図およびA—B線に沿う地形断面図である。上部から,泥岩,砂岩,礫岩の 3 層が観察され,また,特徴的な地質構造として褶曲が認められる。地形断面図に地層分布を描き加えることで,地質断面図ができる。地質図および得られた地質断面図をもとに,以下の問いに答えよ。なお,本問では,地層境界面は平面で構成されており,褶曲による層理面の向きの変化は,褶曲軸での突然の折れ曲がりとして生じているものとする。また,必要であれば,2 = 1.4 ,3 = 1.7 ,5 = 2.2 を用いてよい。
(1) 下の文章を読み,ア~ウの空欄にあてはまる方向をそれぞれ答えよ。その際,東西もしくは南北と答えよ。
地質図から見て取れる地層の走向はほぼ全域で ア 方向である。イ 方向の褶曲軸をもつ褶曲構造が見て取れ,これは,ウ 方向に圧縮する力がはたらくことによって形成されたと考えられる。
(2) 地質図のC地点地下での砂岩層の傾斜角の大きさを θ とするとき,tan θ の値を有効数字 1 桁で答えよ。また,C地点地下の砂岩層の層厚(層理面に垂直な方向の厚さ)を有効数字 1 桁で答えよ。
(3) 本地質図で見られる褶曲構造は,もともと水平であった地層が広域的な水平方向の短縮をうけて形成したものである。元の地層の長さに対して地層が水平方向に短縮した長さの割合を水平短縮ひずみという。この褶曲による水平短縮ひずみを有効数字 1 桁で答えよ。ただし,褶曲軸の両側で,傾斜角の大きさは等しいとせよ。
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(4) 下の文章を読み,エ~オの空欄にあてはまる語句をそれぞれ答えよ。
新潟県中越地方では褶曲構造がよく見られる。中越地方では,新第三紀における エ の拡大に伴って新第三系が厚く堆積した後,新第三紀の終わりごろから,太平洋プレートからの強い圧縮により褶曲構造の形成が始まった。中越地方で掘削を行うとしばしば石油が産出するが,石油は水より軽いので,褶曲構造の オ 軸を中心に液体を通しにくい地層の下に集積していることが多い。
(5) (3)のような地質構造の解析から得られる水平短縮ひずみをその構造の形成に要した時間で割ると,長期的な水平地殻ひずみ速度が求まる。一方で,GPSなどによる地殻変動観測からは短期的な水平地殻ひずみ速度が求められる。大きな地震が発生しなかった期間のGPS観測から得られる中越地方の水平地殻ひずみ速度は,地質構造から推定される同地域の長期的な水平地殻ひずみ速度と比べて著しく大きい。この違いが生じる理由を,プレート境界型巨大地震の発生と関係づけて,3 行程度で説明せよ。
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図3—1 地質図(上)および地形断面図(下)。座標軸の数字の単位は全てメートルである。地質図の破線は等高線を,灰色の太線は地層境界を示す。断面図には,泥岩—砂岩層境界の一部が灰色の太線で描き加えられている。
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問2 地球の過去の気候について,以下の問いに答えよ。
(1) およそ 260 万年前から始まった ア という地質時代は,氷期と間氷期とよばれる寒暖を,数万年から 10 万年の周期で繰り返してきたことが知られている。この原因は イ サイクル(周期)と呼ばれる地球の自転運動や公転運動の周期的な変化であると考えられている。過去 70 万年間に限ると 10 万年周期が卓越している。この周期性は海底堆積物に含まれる有孔虫の殻の ウ 同位体比の変動に反映されている。直近の氷期(最終氷期)は約 2 万年前にピークに達し,現在では南極やグリーンランドにしか存在しない氷床が,エ などの地域にも形成されていたことが,礫・砂・泥が小丘状に堆積した オ の分布からわかっている。
(a) ア~オの空欄にあてはまる語を答えよ。
(b) 下線部で述べられた地球の自転運動や公転運動の周期的変化を 3 つあげよ。
(2) 最終氷期には,現在は氷床が存在しない陸域にも厚い氷床が存在した。それが 2 万年前以降に融解し,陸面が年間数ミリメートルから数センチメートルの速度で隆起した。このことに関連して以下の問いに答えよ。ただし,淡水および海水の密度は 1.0 × 10 3 k g / m 3 ,氷の密度は 0.90 × 10 3 k g / m 3 ,マントルの密度は 3.3 × 10 3 k g / m 3 とし,海洋の面積は 3.6 × 10 8 k m 2 ,現在は氷床が存在しないが最終氷期には氷床が存在した陸域の面積は 1.0 × 10 7 k m 2 とする。ただし,氷床の融解によって生じた水は全て海洋に流入し,融解の前後で海洋の面積は変わらないものとする。また,淡水および海水の密度は温度によって変わらないものとし,現在および最終氷期には,それぞれアイソスタシーが成り立っているとして考えよ。計算結果は有効数字 2 桁で表し,計算の過程も示すこと。
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(a) 最終氷期に氷床が存在していたが現在は氷床が存在しない陸域はどこでも,最終氷期以降,現在までに 810 m 隆起したとする。最終氷期以降に融解した氷床の厚さはどこでも等しいとして,その厚さを求めよ。
(b) 一方で,最終氷期に存在していた氷床の融解によって,最終的に海底は平均で何メートル隆起または沈降したか答えよ。
第1問 星の燃料と、火星の大接近 出題の意図(東大) 問1 恒星のエネルギー源についての基本的な理解、特に、エネルギー放射量と寿命との関係、恒星の質量の違いによる核反応率の違いについての理解を問うています。 問2 惑星の運動と天体の見かけの明るさについての基本的理解と実際の現象への応用力を問うています。
東大の解答例(答えが1つに決まる小問) 問1(1):6×10¹⁴ J 問1(2):6×10¹¹ kg/s、8×10² 億年 問2(1):7.8×10² 日 問2(2):5 倍 問2(3):15 年後もしくは 17 年後(どちらも正解) 下の答えと全部一致
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 前半(問1)は「星はどれだけの燃料を、どれだけの速さで使うか」の問題。太陽のような主系列星は、中心で水素4個からヘリウム1個をつくる核融合で光っている。このとき減った質量 m が、アインシュタインの関係式 E = m c 2 でエネルギーになる。
燃料の勘定は、(使える燃料の量)÷(1 秒に使う量)= 寿命 という単純な割り算。1 秒に使う量は、太陽が 1 秒に出すエネルギー(全輻射量)を、燃料 1 kg から出るエネルギーで割れば分かる。
後半(問2)は、地球と火星の公転の問題。地球は円、火星は少しつぶれた楕円を回る。太陽・地球・火星がこの順に一直線に並ぶときを衝 といい、火星が地球にいちばん近づくのはこのころ(火星の軌道は楕円なので、ぴったり最も近い時刻は衝から少しずれることがある。この問題でくらべるのは「衝のときの距離」)。使う道具は、会合周期(衝から次の衝までの時間)の式と、「明るさは距離の 2 乗に反比例する」こと。
問1(1) 水素 1 kg が反応すると、その 0.7 % の質量がなくなる。
m = 1 × 0.007 = 7 × 10 − 3 k g
E = 7 × 10 − 3 × ( 3.0 × 10 8 ) 2 = 6.3 × 10 14 J
ちなみに、実際の原子の質量(水素 1.00783、ヘリウム 4.00260、単位は原子質量単位)で計算すると、減る割合は 0.712 % で、問題の 0.7 % と合っている。
答え 6 × 10 14 J ( E = 0.007 × 1 × ( 3.0 × 10 8 ) 2 = 6.3 × 10 14 )
問1(2) 太陽は 1 秒に 3.8 × 10 26 J を出している。水素 1 kg で 6.3 × 10 14 J なので、1 秒に反応している水素は
3.8 × 10 26 6.3 × 10 14 = 6.0 × 10 11 k g
太陽ができたときの水素は太陽の質量の 74 % で、0.74 × 2.0 × 10 30 = 1.48 × 10 30 k g 。これを全部使い切るまでの時間は
1.48 × 10 30 6.0 × 10 11 = 2.5 × 10 18 s = 2.5 × 10 18 3.2 × 10 7 年 ≈ 7.7 × 10 10 年
これが 100 億年よりずっと長いのは、「水素がすべて反応する」と仮定したから。核融合には非常に高い温度と圧力が要るので、反応が起こるのは太陽の中心部だけ。中心部の水素(全体の 1 割ほど)がヘリウムに変わると、星は主系列を離れて赤色巨星へ進む。外側の水素は中心へ混ざってこないので、使われないまま残る。
デモで使える割合を 13 % にすると、寿命はちょうど 100 億年になる。
答え 毎秒 6 × 10 11 k g ( 3.8 × 10 26 ÷ 6.3 × 10 14 ),寿命 8 × 10 2 億年( 0.74 × 2.0 × 10 30 6.0 × 10 11 × 3.2 × 10 7 = 7.7 × 10 10 年)。理由:核融合が起こるのは高温・高圧の中心部だけで,そこの水素(全体の約1割)を使い切ると主系列を離れ,外側の水素は反応に使われないから。
問1(3) 「質量と寿命との比」は、質量 ÷ 寿命=1 年あたりに減らせる燃料の量のめやす。太陽質量 M ⊙ を単位にすると、
O5 型星: 40 5 × 10 6 = 8 × 10 − 6 , 太陽: 1 1 × 10 10 = 1 × 10 − 10
(どちらも M ⊙ /年)。kg/s にすると O5 型星が 5 × 10 17 、太陽が 6 × 10 12 で、O5 型星の方が約 8 × 10 4 倍大きい。
質量は 40 倍しかちがわないのに、燃料を使う速さは 8 万倍ちがう(どちらの星も全質量のうち同じ割合を燃料として使う、とみたときの目安。計算で直接出したのは「全質量 ÷ 寿命」の比)。つまり、重い星は「燃料が多いぶん長生き」ではなく、それ以上にずっと速く燃料を使って早く燃えつきる。
理由は、重い星ほど自分の重さで中心が強く押しつぶされ、中心の温度と圧力が高くなるから。核融合の進み方は温度にとても敏感なので、星の明るさ(1 秒に出すエネルギー)は質量の 3〜4 乗ほどで大きくなる。デモのグラフで太陽と O5 型星を結ぶと、「明るさ ∝ 質量の 3.06 乗」になっている。
答え 質量÷寿命は O5 型星 40 5 × 10 6 = 8 × 10 − 6 M ⊙ / 年( 5 × 10 17 k g / s ),太陽 1 1 × 10 10 = 1 × 10 − 10 M ⊙ / 年( 6 × 10 12 k g / s )で,O5 型星が約 8 × 10 4 倍大きい。理由:質量の大きい星ほど中心の温度と圧力が高く核融合が急激に進むため,光度が質量の3〜4乗に比例して大きくなり,燃料を質量の割合以上に速く消費するから。
問2(1) 地球は 1 日に 1 365 周、火星は 1 687 周する。地球の方が速いので、1 日に 1 365 − 1 687 周ずつ火星に追いついていく。
衝から次の衝までは、地球が火星にちょうど 1 周分追いつくまでの時間なので、会合周期 S は
1 S = 1 365 − 1 687 ⟹ S = 365 × 687 687 − 365 = 779 日
有効数字 2 桁にまとめる。約 2 年 2 か月ごとに衝が来る。
答え 7.8 × 10 2 日( 1 S = 1 365 − 1 687 より S = 779 )
問2(2) 火星の太陽からの距離は、近日点で a ( 1 − e ) = 1.5 × 0.9 = 1.35 天文単位、遠日点で a ( 1 + e ) = 1.65 天文単位。衝のときの地球からの距離は、ここから地球の軌道半径 1 を引いて、0.35 と 0.65 天文単位。
火星は自分では光らず、太陽の光を反射して光る。だから明るさは2つのことで決まる:太陽からの光の強さ(太陽からの距離の 2 乗に反比例)と、そこから地球に届く割合(地球からの距離の 2 乗に反比例)。反射率は変わらないので、
近日点の衝の明るさ 遠日点の衝の明るさ = ( 1.65 1.35 ) 2 × ( 0.65 0.35 ) 2 = 1.49 × 3.45 ≈ 5.2
地球からの距離だけでくらべると 3.45 倍で、1 桁では 3 倍になってしまう。太陽に近いと、照らされ方も強くなることを忘れない。
答え 5 倍(明るさ ∝ 1 ( 太陽からの距離 ) 2 ( 地球からの距離 ) 2 , ( 1.65 1.35 ) 2 ( 0.65 0.35 ) 2 = 5.2 )
問2(3) 衝から次の衝までの 779 日の間に、火星は 779 687 = 1.134 周する。つまり衝のたびに、火星が軌道のどこで衝になるかは 0.134 周=約 48 ∘ ずつ先へずれていく(1 日に回る角度が一定という近似を使う)。
今年の衝は近日点(0 ∘ )なので、k 回目の衝は近日点から 48 ∘ × k の所。360° の倍数に近いほど近日点に近い。
48 ∘ × 7 = 337 ∘ ( = − 23 ∘ ) , 48 ∘ × 8 = 385 ∘ ( = + 25 ∘ )
7 回目がわずかに近日点に近い。地球と火星の距離は近日点からの角度が小さいほど小さいので、7 回目の衝がいちばん近い。
7 回目は 7 × 779 = 5453 日後、年にすると 5453 ÷ 365 = 14.9 年後。20 年のうちの衝は 9 回(9 回目は 19.2 年後)なので、この中で選べばよい。
デモで 20 年を動かすと、7 回目(0.360 天文単位)と 8 回目(0.361 天文単位)はほぼ同じ近さで、実際にはこのように「大接近」がおよそ 15〜17 年ごとに来る。
答え 15 年後(衝のたびに火星は 360 ∘ × ( 779 687 − 1 ) = 48 ∘ ずつずれ,7 回目の衝で近日点から 23 ∘ と最も近い。 7 × 779 日 = 15 年)
第2問 水蒸気の出入りと、日本海の流れ 出題の意図(東大) 問1 大気現象に関して、水蒸気の流入量・流出量、および、地表面の降水量・蒸発量を用いて、単位の換算を含めて大気中の水蒸気収支を考える力を問うています。 問2 大気と海洋の動きのメカニズムに関する基本的概念のうち、地衡流、エクマン輸送についての理解度を問うとともに、災害をもたらす海洋現象のうち顕著なものとして現実に発生した津波を取り上げて、津波の伝搬速度に関する理解を問うています。
東大の解答例(答えが1つに決まる小問) 問1(1):W_in − W_out = ρ(P − E)S 問1(2)(a):W_in = 450D、W_out = 30DV 問1(2)(b):15 m/s 問2(4):1.0×10² 分 下の答えと全部一致
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 前半(問1)は、大気中の水蒸気の収支(出入りの勘定) の問題。ある領域の空気の柱について、水蒸気が増えるのは「地面からの蒸発」と「横から流れこむ分」、減るのは「降水」と「横から流れ出る分」。長い期間で平均すると柱の中の水蒸気の量はほとんど変わらないので、増える分=減る分 が成り立つ。上端からの出入りは無視できる。
図2—2 の読み方も、この勘定そのもの。矢印(鉛直積算水蒸気流)は、柱をまるごと横切る水蒸気の流れ。ある長方形に入る矢印より出る矢印の方が強ければ、足りない分は蒸発でおぎなわれている(蒸発>降水)。入る方が強ければ、余った分が雨になっている(降水>蒸発)。
後半(問2)は日本海の海の流れと津波。大きな海流は、圧力傾度力 (海面の坂を下る向きの力)と転向力 (地球の自転によるコリオリの力。北半球では進む向きの右へはたらく)がつり合った地衡流 として流れる。風が吹くと、表面の水は転向力のせいで風の向きの右へ運ばれる(エクマン輸送)。津波は水深にくらべて波長がとても長い波で、速さは水深だけで決まる。
問1(1) 領域の中の水蒸気の量が長い期間で変わらないとすると、1 秒あたりで
(蒸発で入る量)+(横から入る量)=(降水で出る量)+(横から出る量)
となる。降水量 P と蒸発量 E は「1 秒に何 m の水の厚さ」で与えられているので、面積 S をかけると体積、さらに水の密度 ρ をかけると質量(kg/s)になる。
したがって ρ P S + W o u t = ρ E S + W i n 。問題の「降水の総量と蒸発の総量の差」と「流入と流出の差」がつり合う形に並べかえればよい。
問1(2)(a) 側面 A を通る水蒸気の量を考える。気柱水蒸気量 45.0 k g / m 2 は、地面 1 m 2 の上の柱に入っている水蒸気の量。これが風速 10.0 m / s で動くと、幅 1 m の面を 1 秒に通る水蒸気は 45.0 × 10.0 = 450 k g 。
側面 A の幅は y 方向の D なので、W i n = 45.0 × 10.0 × D 。側面 B も同じ考えで、気柱水蒸気量 30.0 と風速 V をかけて W o u t = 30.0 × V × D 。
答え W i n = 45.0 × 10.0 × D = 450 D [ k g / s ] , W o u t = 30.0 V D [ k g / s ]
問1(2)(b) (1) の式に入れる。単位をそろえるのが大事で、降水量と蒸発量は mm/日 から m/s に直す。
P − E = 16.6 − 8.0 = 8.6 m m / 日 = 8.6 × 10 − 3 8.64 × 10 4 m / s ≈ 9.95 × 10 − 8 m / s
ρ ( P − E ) S = 1.0 × 10 3 × 9.95 × 10 − 8 × 1.2 × 10 5 D ≈ 11.9 D
右辺は 450 D − 30.0 V D 。D で割ると 450 − 30.0 V = 11.9 となり、V = 14.6 m / s 。有効数字 2 桁にまとめる。
B の方が水蒸気はうすい(45→30)のに、風は速くなっている。雨で出ていく分はわずか(450 のうち 12)で、ほとんどは「うすくなった分を速さでおぎなう」ことで決まっている。
答え 15 m / s ( 1.0 × 10 3 × ( 16.6 − 8.0 ) × 10 − 3 8.64 × 10 4 × 1.2 × 10 5 D = 450 D − 30.0 V D より V = 450 − 11.9 30.0 = 14.6 )
問1(3) 図2—2 で、長方形 X と Y の縁を横切る矢印をくらべる。
X(日本の東)では矢印はほぼ真東を向き、西の縁より東の縁の方が長い。デモで画素を読むと、北緯 35° の列で東経 141° では 12、167° では 31(目もりの矢印 48 画素=400 kg/(m·s) で約 100 と 260 kg/(m·s))と、風下ほど強い。出ていく方が多いので、柱の中の水蒸気は横の出入りでは減る一方。それをおぎなっているのが海面からの蒸発で、蒸発の総量が降水の総量より多い。冬の季節風の冷たく乾いた空気が、暖かい黒潮の上を吹くので、蒸発がとても多い所である。
Y(南太平洋)では、東の縁から長い矢印(貿易風に乗った流れ)が入ってくるが、長方形の中では矢印が短くなり、向きも南へ曲がって集まってくる(収束)。入る方が多いので、余った水蒸気が雨として出ていく:降水の総量が蒸発の総量より多い。降水量の網かけも、Y は 10 mm/日以上の濃い所にある。
ポイントは「矢印が長いか短いか」ではなく「縁から縁へ、長さがどう変わるか」。デモで全体に同じ流れを足しても、入る量と出る量の差は変わらない。
答え Xでは水蒸気流の矢印が風下の東ほど長く,領域から流出する水蒸気が流入より多い。この不足は海面からの蒸発で補われるので,蒸発の総量が降水の総量より多い。Yでは東や北から流入した水蒸気流が領域内で弱まって収束し,流入が流出より多い。余った水蒸気は降水となるので,降水の総量が蒸発の総量より多い。
問1(4) 水が蒸発するときには熱を吸収し、水蒸気が凝結して雨粒になるときにはその熱を出す。この熱が潜熱 。水蒸気は、潜熱を運ぶ「熱の入れ物」として大気の熱輸送の一部を担っている。
X では水蒸気が横から出ていく方が多いので、潜熱も領域の外へ出ていく(流出)。X の海で蒸発に使われた熱が、水蒸気といっしょに東へ運ばれていく。
Y では水蒸気が入ってくる方が多く、それが雨になるとき潜熱を出して大気をあたためる。潜熱は外から入ってくる(流入)。
問2(1) 対馬暖流は暖かい水なので、密度が小さく、その分だけ海面が高く盛り上がる。図2—3(a) で暖かい水は本州に沿って(岸の側に)あるので、海面は岸(東)の側が高く、沖(西)へ下がる。
圧力傾度力は海面の高い方から低い方へはたらくので、沖(西)向き 。一方、流れは北向きで、北半球の転向力は進む向きの右へはたらくので岸(東)向き 。
地衡流では、この 2 つの力がつり合っている。だから 2 本の矢印は、流れの矢印に直角で、同じ長さ・逆向き に描く。デモで止まった海水を放すと、はじめは坂を下って西へ動き出すが、転向力で右へ曲げられ、くるくる回りながら平均すると北へ流れる。
答え 北向きの流れに直角に,圧力傾度力を沖(西)向き,転向力を岸(本州,東)向きに,同じ長さの逆向きの矢印で描き,それぞれ名前を書く。
問2(2) 地衡流の速さを v 、コリオリのパラメータを f とすると、転向力は f v (1 kg あたり)。これが圧力傾度力(海面の坂 × g )とつり合うので
f v = g × Δ η Δ x ⟹ v = g f Δ η Δ x
問題の約束で、等温線は海面の高さの等高線とみなせる。北緯 39°〜41°、東経 138°〜140° を見ると、11 月(右)は本州の近くに等温線がぎっしりこんでいるが、5 月(左)は間がゆったりしている。デモで等温線を数えると、11 月の方が多い。
等温線の間隔がせまい=海面の坂が急=圧力傾度力が大きい。つり合う転向力も大きくなければならないので、11 月の方が流れが速い。
答え 11月の方が速い。11月は5月より等温線の間隔が狭く,海面高度の傾きが大きいので,圧力傾度力が大きく,それとつり合う転向力,すなわち流速も大きくなるから。
問2(3) 風が海面をこすると、表面の水が引きずられる。北半球では転向力で右へ曲げられ、深さとともにさらに右へ曲がっていくので、表面の層全体として運ばれる向きは風の向きの直角右 になる(エクマン輸送)。
北風は北から南へ吹く風。南を向いて右は西。北緯 40° 付近の日本海側の海岸は南北に走り、海は西側にあるので、表面の水は沖へ 運ばれる。
岸の近くでは、沖へ出ていった水をおぎなうように、下の方から水がわき上がる(沿岸湧昇)。深い所の水は冷たいので、岸の近くの海面水温が下がる。
デモで南風にすると、運ばれる向きが岸へ変わり、水は岸で沈みこむので、冷たい水は上がってこない。風の向き(北風)と海岸の向き(南北)の組み合わせが、答えを決めている。
答え 北風によるエクマン輸送は風の直角右の西向きで,表層の水が沖へ運ばれる。これを補うように沿岸で下層の冷たい水が湧昇するので,沿岸の海面水温が低下する。
問2(4) 波長が水深よりずっと長い波(長波)の速さは、重力加速度 g と水深 h だけで決まり、
c = g h = 9.8 × 2300 = 22540 ≈ 150 m / s
時速にすると約 540 km で、ジェット機に近い速さ。
t = 9.0 × 10 5 150 = 6.0 × 10 3 s = 100 分
深い海ほど速いので、同じ距離でも水深 4000 m なら約 76 分、200 m なら約 340 分かかる。デモでは、震源からの盛り上がりが同じ形のまま進んでいく。
答え 1.0 × 10 2 分( 9.8 × 2300 = 150 m / s , 9.0 × 10 5 150 = 6.0 × 10 3 s )
第3問 褶曲した地層と、氷床が消えたあと 出題の意図(東大) 問1 断層と地震のメカニズムに関する基礎的な力学的理解、および、地質構造を定量的に分析する力を問うています。 問2 (1)では、過去数百万年間の地球の気候変動を特徴づける氷期‐間氷期変動の基礎的知識と、その変動を起こす要因に関する理解を、(2)では、最終氷期以降の大陸氷床の融解を題材にし、アイソスタシーについての理解や応用力を問うています。
東大の解答例(答えが1つに決まる小問) 問1(1):ア 南北、イ 南北、ウ 東西 問1(2):tanθ = 0.5、層厚 90 m 問1(3):0.09 もしくは 0.1(どちらも正解) 問1(4):エ 日本海、オ 背斜 問2(1)(a):ア 第四紀(更新世でも可)、イ ミランコビッチ、ウ 酸素、エ 北米大陸・スカンジナビア半島など1つ、オ モレーン 問2(1)(b):自転軸の傾き・離心率・歳差運動 問2(2)(a):3.0×10³ m 問2(2)(b):23 m 沈降した 下の答えと全部一致
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 前半(問1)は地質図の読み取り。等高線つきの地質図では、地層の境界線が同じ高さの等高線と交わる点を結ぶと、その高さの走向線になる 。走向線が向いている方向が走向、走向線の高さが水平にどれだけ進むとどれだけ変わるかで傾斜が分かる。問題の約束で、地層の境界面は平面で、褶曲軸のところで急に折れ曲がっている。だから軸の両側は、それぞれ1枚の平らな面として扱える。
図の地質図では、泥岩(上)が中央に、礫岩(下)が外側に見える。上の地層が内側にある褶曲は、谷の形に曲がった向斜 である。
後半(問2)は、第四紀の氷期とアイソスタシー (地殻がマントルに浮かんでつり合っていること)の問題。深い所のある高さ(補償面)では、上にのっている物の重さがどこでも同じになる。氷がのれば陸は沈み、氷がとければ浮き上がる。とけた水は海に入り、今度は海底を押し下げる。
問1(1) 泥岩と砂岩の境界線を見ると、高さ 200 m の等高線と交わる点は東西の座標 400 m のところ(南の端と北の端)に並ぶ。400 m の等高線と交わる点は 800 m のところ、砂岩と礫岩の境界も、200 m の等高線とは 600 m、300 m とは 800 m、400 m とは 1000 m のところで交わる。
同じ高さの点は、南北にまっすぐ並んでいる。つまり走向線は南北で、地層の走向は南北 。
境界線は東西 400 m の線(南北方向)で折れ曲がっていて、その西側では西へ行くほど、東側では東へ行くほど境界が高くなる。だから褶曲軸は南北で、軸のところが一番低い谷の形(向斜)。南北の軸をもつ褶曲は、それと直角の東西方向 から押されてできる。
問1(2) C 地点は軸(400 m)より東の翼にある。東の翼では、泥岩と砂岩の境界は、東西 400 m で高さ 200 m、800 m で高さ 400 m。水平に 400 m 進むと 200 m 高くなるので
tan θ = 200 400 = 0.5
砂岩と礫岩の境界は、同じ東西の位置で見ると、泥岩と砂岩の境界よりちょうど 100 m 低い(600 m で 200 m、800 m で 300 m)。つまり砂岩層は、鉛直に測ると 100 m の厚さ。
層の厚さは層理面に直角 に測る。鉛直の厚さ 100 m に cos θ をかける。tan θ = 0.5 のとき cos θ = 2 5 なので
100 × 2 5 = 200 2.2 ≈ 91 m
(指定の 5 = 2.2 を入れると約 91 m、5 を丸めずに計算すると 89.4 m。どちらも有効数字1桁で 90 m) 有効数字 1 桁にまとめる。デモの断面では、C の下で 2 つの境界の間に層と直角な線を引いて、この厚さを見ている。
答え tan θ = 0.5 (東へ 400 m で境界が 200 m 高くなる),層厚 9 × 10 m (上下の境界の高さの差 100 m に cos θ = 2 5 をかけて 89 m )
問1(3) もとは水平だった地層が、軸のところで折れ曲がって傾斜 θ の坂になった。坂になった層の長さ(もとの長さ)を L 0 とすると、水平に測った長さは L = L 0 cos θ 。両側の傾斜は同じなので、どこでも同じ割合でちぢんでいる。
水平短縮ひずみは、ちぢんだ長さをもとの長さで割ったもの。
L 0 − L L 0 = 1 − cos θ = 1 − 2 5 = 1 − 0.894 = 0.106
傾斜が約 27° もある褶曲でも、水平のちぢみは 1 割ほど。傾斜が小さいとちぢみはとても小さく、tan θ = 0.2 なら 2 % にしかならない。
問1(4) 日本列島は、新第三紀(約 2000 万〜1500 万年前)に大陸から離れ、そのあいだに日本海 が広がった。このとき沈んだ所に厚い地層(新第三系)がたまった。これが今の新潟県の地層である。
石油は水より軽いので、地層の中を上へ上へと移動し、液体を通しにくい地層にふたをされた所にたまる。褶曲では山の形に曲がった背斜 の軸(てっぺん)が一番高い所なので、そこに集まる。
問1(5) GPS で測るのは、ここ数十年の短い間の地面の動き。大きな地震が起きていない間、沈みこむ太平洋プレートと陸のプレートの境界はくっついて(固着して)いて、陸は引きずられて押し縮められる。この縮みの多くは弾性的 (ばねのように、力が消えればもどる)なものである。
プレート境界で巨大地震が起きると、くっついていた所が一気にずれ、ためこまれた弾性の縮みがもどる(2011 年の東北地方太平洋沖地震のあとには、東日本が大きく東へ動いた)。
地層の褶曲に残るのは、こうしてもどらずに残った永久的な変形 だけ。長い時間で割った速さはとても小さくなる。GPS の速さは、あとでもどる分まで含んでいるので、地質から求めた速さより著しく大きい。デモでは、ちぢみがのこぎりの歯のように増えてはもどり、地層に残る点線の傾きより、歯の坂の方がずっと急なことが分かる。
答え GPSで測る短期のひずみには,プレート境界の固着で蓄積し巨大地震で解放されて元に戻る弾性ひずみが含まれるが,地質構造には戻らずに残った永久的な変形だけが記録されるから。
問2(1)(a) 約 260 万年前から今までの地質時代は第四紀 。氷期と間氷期のくり返しの原因とされるのはミランコビッチ サイクルで、地球の軌道や自転軸がゆっくり変わることで、高緯度の夏にとどく日射の量が変わる。
氷期と間氷期の記録は、海底の堆積物にふくまれる有孔虫の殻の酸素 同位体比(重い酸素 18 O と軽い酸素 16 O の比)に残る。軽い酸素をふくむ水の方が蒸発しやすいので、氷床が大きくなると海水には重い酸素が多く残る。
最終氷期には、北アメリカ大陸の北部(ローレンタイド氷床)や北ヨーロッパ(スカンジナビア氷床)にも厚い氷床があった。氷河が運んだ礫・砂・泥が、氷のとけた先にたまった小さな丘がモレーン (氷堆石)で、その分布から氷床の広がりが分かる。
答え ア 第四紀,イ ミランコビッチ,ウ 酸素,エ 北アメリカ大陸北部や北ヨーロッパ(スカンジナビア半島),オ モレーン(氷堆石)
問2(1)(b) 公転軌道の離心率 (楕円のつぶれ具合)の変化:約 10 万年と約 40 万年の周期。
自転軸(地軸)の傾き の変化:約 22° から 24.5° の間を約 4.1 万年の周期で。
自転軸の向きがこまのように回る歳差運動 :自転軸の向き自体は約 2.6 万年で1回りする。近日点の向きもゆっくり動くので、それと組み合わさって、季節と近日点の関係(気候にきく歳差)は約 2 万年(1.9 万〜2.3 万年)の周期でくり返す。
これらが重なって、北半球の高緯度の夏の日射量が変わり、氷床が大きくなったり小さくなったりする。
答え 公転軌道の離心率の変化,自転軸(地軸)の傾きの変化,自転軸の向きが回る歳差運動
問2(2)(a) アイソスタシーが成り立っているので、氷がのっていたときと今とで、深い所(補償面)にかかる重さは同じ。
氷があったときは、氷の重さの分だけ陸が沈んでいた。氷がとけると陸が 810 m 上がり、その下には深い所からマントルが入りこんでくる。つまり、なくなった氷の重さと、入りこんだマントル(厚さ 810 m)の重さが等しい。面積 1 m² あたりで
0.90 × 10 3 × h = 3.3 × 10 3 × 810
h = 3.3 × 810 0.90 = 2970 m
隆起した 810 m の 3.7 倍ほどの氷がのっていたことになる。氷はマントルより軽いので、氷の厚さの方がずっと大きい。
答え 3.0 × 10 3 m ( 0.90 × 10 3 × h = 3.3 × 10 3 × 810 より h = 2970 )
問2(2)(b) とけた氷は全部海に入る。氷の質量は 0.90 × 10 3 × 2970 × ( 1.0 × 10 7 k m 2 ) 。これを海の面積 3.6 × 10 8 k m 2 に広げた水の厚さは
h w = 0.90 × 2970 × 1.0 × 10 7 1.0 × 3.6 × 10 8 ≈ 74 m
海にのった水の重さで、海底は沈む。(a) と同じ考えで、のった水の重さ=押し出されたマントルの重さなので、沈む深さを s として
1.0 × 10 3 × 74.25 = 3.3 × 10 3 × s , s = 22.5 m
海底は隆起ではなく沈降 する。有効数字 2 桁にまとめる。
別の見方もできる。陸の下に入りこんだマントル(810 m × 陸の面積)は、海の下から移ってきたと考えると、s = 810 × 1.0 × 10 7 3.6 × 10 8 = 22.5 m と同じ値になる。密度を使わなくても出る。
海面は、入った水 74 m から海底の沈み 22.5 m を引いた約 52 m だけ上がることになる。
答え 2.3 × 10 m 沈降(とけた水 0.90 × 2970 × 1.0 × 10 7 1.0 × 3.6 × 10 8 = 74 m 分の重さで 1.0 × 74 ÷ 3.3 = 22.5 m )