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地 学
第1問 宇宙に関する次の問い(問1~2)に答えよ。
問1 銀河系の回転運動を銀緯 90 ∘ の方向(北銀極)より見た場合の模式図を図1—1に示す。銀河系円盤に属する天体や物質は,円盤内を銀河系中心の周りに同じ向きで円運動しているとする。また,太陽は銀河系中心から 8 キロパーセクの距離 R 0 に位置し,220 k m / s の速さ v 0 で円運動しているとする。以下の問いに答えよ。数値での解答には有効数字 1 桁で答え,計算の過程も示せ。ただし,1 パーセク = 3.1 × 10 13 k m ,円周率 π = 3.1 ,1 年 = 3.1 × 10 7 秒とする。
(1) 太陽が銀河系を 1 周する時間を年の単位で答えよ。
(2) 図1—1に示すように,銀河系中心から距離 R (ただし R < R 0 )に位置し,速さ v で円運動する銀河系円盤に属する天体Pを考える。太陽から見て,Pと銀河系中心の間の離角を θ とする。
(a) 太陽の位置から見たPの視線方向の速度成分 v r (視線速度)が,
v r = ( v R − v 0 R 0 ) R 0 sin θ (式1—1)
と記述できることを示せ。
図1—1 銀河系の回転運動を北銀極より見た場合の模式図
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(b) 宇宙空間に分布する中性水素原子は電波の輝線を放射することが知られている。この電波輝線の観測から中性水素原子の視線速度を導出する方法を 1 行程度で答えよ。
(c) 図1—2に銀河面に沿って観測された中性水素原子が放射する電波輝線の強度分布を示す。横軸は図1—1において太陽から見て銀河系中心の方向から左回りに測った離角 θ に相当する。縦軸は電波輝線の観測から導出された中性水素原子の視線速度 v r であり,太陽から遠ざかる方向を正の数と定義する。太陽より内側に位置する物質は,銀河系中心の近傍をのぞき,太陽とほぼ同じ速さで円運動していることが知られている。北銀極より見た場合に,観測された中性水素原子が銀河系中心の周りを左右いずれの向きに回転していると言えるか,図1—2から読み取れる情報と式1—1を使って 2 行程度で説明せよ。
図1—2 銀河面に沿って観測された中性水素原子が放射する電波輝線の強度分布
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(3) 銀河系内に分布する星間塵(じん)により星の見かけの明るさが本来の明るさより暗く見える現象(減光)がしばしば観測される。ある恒星を観測したところ,可視光での見かけの明るさは 12 等級であり,年周視差は 0.001 秒角であった。この恒星は,分光的特性からB0型の主系列星(可視光の絶対等級が − 3 等級)であり,かつ星間塵による減光を受けていることがわかっている。この恒星の可視光の明るさは星間塵により何等級暗くなっているか答えよ。
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問2 次の会話文を読んで以下の問いに答えよ。数値での解答には計算の過程も示し,有効数字 1 桁で答えること。ただし,必要であれば円周率 π = 3.1 ,および 2 = 1.4 ,3 = 1.7 ,5 = 2.2 を用いてよい。
生徒:先生,ケプラーは惑星の観測データから(A)ケプラーの法則を発見したということですが,その手順について教えてください。
先生:では例として火星の観測を使うことにして,一緒に考えてみましょう。まず,火星の公転周期はどのように求められますか。
生徒:(B)火星の会合周期の観測から求めることができます。
先生:では火星の公転面上の軌道はどうでしょうか。地球から観測されるのは火星の天球上での見かけの運動ですから,火星の軌道を決めるためには,まずは地球の軌道を正確に決めなくてはいけませんね。
生徒:どうしたらよいでしょうか。
先生:火星の方向(天球上での火星の見かけの位置)と太陽離角(地球から見た太陽と火星の方向のなす角度)を観測することで,太陽と火星を基準とした相対的な地球の位置は決められますね。
生徒:でも,火星も運動しているので複雑になりそうです。
先生:まずは火星が衝のときからはじめて,ア ごとに火星を観測していけば火星の イ はいつも同じなので,地球の相対的な軌道が決定できますね。
生徒:なるほど。地球の軌道が決定できれば,今度は火星の軌道も同じ要領で決められそうですね。
先生:ケプラーの法則は惑星の運動を非常に正確に記述することができたので,地動説が広く受け入れられることになりました。後に別の観測からも地球が太陽の周りを公転している証拠が得られています。
生徒:年周光行差や年周視差ですね。
先生:歴史的には,より値の大きい(C)年周光行差が先にブラッドレーによって観測されました。年周光行差は光の速さが有限であることも示しています。
生徒:惑星と言えば,太陽以外にも惑星を持つ恒星があるそうですね。
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先生:系外惑星ですね。
生徒:公転周期が地球よりずっと短い惑星もあると聞きました。でも,ケプラーの法則を考えると中心の恒星に近すぎるので,生命を育むのに適した環境ではなさそうですね。
先生:そうとも限りませんよ。(D)恒星の光度や質量にも依存しますからね。
生徒:そうなのですね。もしかしたら系外惑星にも生命が存在するかもしれませんね。将来の観測が楽しみです。
(1) 下線部(A)について,太陽と惑星の平均距離 R ,公転周期 P ,および定数 K を用いてケプラーの第 3 法則を R α / P β = K と表すとき,正の整数 α ,β の組として最小のものを答えよ。
(2) 下線部(B)について,地球の公転周期を 3.6 × 10 2 日として,観測された火星の会合周期 7.8 × 10 2 日から火星の公転周期が何日になるか求めよ。
(3) 空欄 ア および イ に当てはまる最も適当なものを以下の選択肢からそれぞれ選んで答えよ。
[アの選択肢]
地球の公転周期,地球の自転周期,火星の公転周期,火星の会合周期
[イの選択肢]
方向,太陽離角,公転面上での位置,地球との距離
(4) 下線部(C)について,地球の公転面に対して垂直な方向にある恒星の年周光行差を θ とするとき tan θ の値を求めよ。ただし,地球の公転を円運動と仮定し,軌道半径 1.5 × 10 11 m ,公転周期 3.1 × 10 7 s ,光の速さ 3.0 × 10 8 m / s を用いること。
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(5) 下線部(D)について,質量 M = 0.25 M s ,光度 L = 0.010 L s の恒星のまわりを公転する系外惑星を考える。ここで,M s は太陽の質量,L s は太陽の光度を表す。恒星と惑星の平均距離だけ恒星から離れた点における,単位時間・単位面積あたりの恒星からの放射エネルギーが,地球とこの系外惑星で等しくなるとき,この系外惑星の公転周期が地球の公転周期の何倍になるか求めよ。ただし,設問(1)の定数 K は恒星の質量 M に比例すると仮定する。
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第2問 大気と海洋に関する次の問い(問1~2)に答えよ。
問1 大気の気圧に関する次の文章を読み,以下の問いに答えよ。
①気圧は,その地点より上にある大気の重さによる圧力である。その分布は,大気の運動の様子を把握したり,天気を予報したりするための重要な情報となる。
冬季の日本周辺の地上付近ではしばしば,大陸上で高気圧,太平洋上で低気圧が発達する「西高東低」の気圧配置となる。等圧線がちょうど南北方向にのびているとき,仮に( ア )の影響が無視できるとすれば,気圧分布によって生じる( イ )が( ウ )とほぼつりあって( エ )風が吹くことになる。しかし実際には地上付近では( ア )の影響のため,それに比べて( オ )寄りの風になる。
日本付近の上空では等圧線は東西方向にのびていることが多く,このような等圧線に対応した偏西風が吹いている。②この風は気温の南北分布と関連があり,南北の気温差が大きくなる冬季には特に強くなる傾向にある。上空の偏西風の様子を詳しく見ると,通常,偏西風波動と呼ばれる南北に蛇行した構造をとっている。③上空の偏西風の低緯度側への変位を伴う気圧の谷は,地上付近の温帯低気圧の中心位置の真上よりずれたところにあることが多い。
一方,日本の南方の低緯度海域では,夏から秋にかけて熱帯低気圧が多く見られる。④熱帯低気圧は,中心付近で気圧が非常に低くなって,強い上昇流を伴った台風へと発達することがある。
(1) 上の文章中の( ア )~( オ )に入る適切な語句をそれぞれ答えよ。ただし,( ア )~( ウ )は空気塊にはたらく力を以下の語句から選び,( エ )および( オ )には四方位での方角を入れよ。
語句群:転向力,気圧傾度力,起潮力,遠心力,浮力,摩擦力
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(2) 下線部①より,地球上に存在する大気の質量を地上気圧から推定することができる。固体地球の質量は大気の質量の何倍になるかを有効数字 1 桁で求めよ。計算の過程も示せ。ただし,固体地球は半径 6.4 × 10 3 k m ,平均密度 5.5 g / c m 3 の球であるとし,大気の平均地上気圧を 1.0 × 10 3 h P a ,地表面付近での重力加速度を 9.8 m / s 2 とする。
(3) 下線部②について,日本付近で冬季に上空の偏西風が強くなる理由を,南北の気温差が大きくなることにもとづき,以下の語句を全て用いて 2 行程度で説明せよ。ただし,地上での南北の気圧差の季節による変化は小さいものとする。
語句群:気圧差,空気の密度,地衡風
(4) 下線部③について,通常,上空の気圧の谷は地上の低気圧の中心位置の真上より,東西のどちらにずれているかを,地上の低気圧の中心のすぐ東側と西側に 2 地点をとって以下のように考える。
(a) 両地点では,通常,どちらの気温が低くなっているかを,低気圧の周囲での風の吹き方を考慮することによって 1 行程度で説明せよ。
(b) このとき両地点の上空では,どちらの気圧が低くなるのかを考察し,その結果にもとづいて,上空の気圧の谷が地上の低気圧の中心位置の真上より東西のどちらにずれるのかを 2 行程度で説明せよ。
(5) 下線部④について,平均的な鉛直気温分布の大気中で地上付近にある空気塊が上昇するとする。その場合,断熱膨張によって気温が低下し,上昇流域の上空は周囲と比べて冷たい空気で占められて地上付近の気圧が高くなり,低気圧の発達が阻害されるはずである。それにもかかわらず,地上の気圧が低下して台風へと発達することがあるのは,どのような効果がはたらくことによるのか。1 行程度で説明せよ。
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問2 北半球の中緯度にある縁海を考える。図2—1のように,この縁海は 1 か所の狭く浅い海峡を通じて西にある大洋とつながっている。海峡では上層で大洋からの流入,下層で大洋への流出があり,正味では 1 年間に 2080 k m 3 の流入となっている。また,この縁海の海面には 1 年間に 0.34 m の降水と 1.40 m の蒸発があり,周囲の陸地から表流水が流入する。この縁海の海面の面積を 2.50 × 10 6 k m 2 として,以下の問いに答えよ。ただし,降水と表流水の塩分は 0 ‰ とする。
図2—1 縁海における水循環の模式図(東西断面図)
(1) 蒸発がおきると,海水の水温と塩分は変化する。蒸発により水温と塩分の値はそれぞれどのように変化するか,理由とともに 1 行程度で述べよ。
(2) 縁海の海面の高さが 1 年を通じて変化しないとすると,表流水の流量は 1 年間に何 k m 3 になるか有効数字 2 桁で求めよ。計算の過程も示せ。
(3) 水深 300 m の海峡を挟んで少し離れた観測点AとBにおいて,海面から深さ 300 m まで水温と塩分を測定した。図2—2は,そのデータを縦軸に水温,横軸に塩分をとって表示したもの(T–S図)である。
(a) 縁海側(東側)の観測点はAとBのどちらであると考えられるか,理由とともに 1 行程度で述べよ。
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(b) 流入する海水と流出する海水の平均的な塩分をそれぞれ大洋側観測点の深さ 50 m の塩分と縁海側観測点の深さ 250 m の塩分とする。これらの塩分の値を図2—2から小数第 1 位まで読み取ってそれぞれ答えよ。
(c) 流入する海水と流出する海水の塩分が 1 年を通じて(b)の値で近似できるとして,海峡上層の流入量が 1 年間に何 k m 3 になるか,有効数字 2 桁で求めよ。計算の過程も示せ。なお,縁海全体で平均した塩分は 1 年を通じて変化しないものとする。
(4) この縁海の北部では,冬季に表層水が底層に間欠的に沈降する。偏西風が卓越する海域であることが北部で沈降が起きやすいことに関連している。偏西風が吹くことで北部の表層と底層の水温差はどのように変化するか,理由とともに 2 行程度で説明せよ。
図2—2 観測点AとBにおけるT–S図。どちらも海面から深さ300 m まで表示し,50 m 間隔で●の記号をつけている。
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第3問 プレートテクトニクスと火山に関する次の問い(問1~2)に答えよ。
問1 プレートの運動に伴う現象について述べた次の文章を読み,以下の問いに答えよ。
地球の表面は,十数枚の大小のプレートで覆われている。プレートは地殻とマントル最上部で構成される( ア )からなり,より柔らかく流動性に富む( イ )の上を運動している。2 つ以上のプレートが接する境界付近では,その相対運動によって多くの地震が発生している。
海中の大山脈である海嶺はプレートの拡大する境界にできる地形である。図3—1に示すように,海嶺軸はしばしばそれと直交する断裂構造でくい違っており,くい違った海嶺軸を結ぶ断裂構造は( ウ )断層と呼ばれている。海嶺軸で形成された海洋プレートは( イ )の上を移動し,海底は海嶺軸から遠ざかるにしたがって深くなる。これは海洋プレートが時間とともに厚さを増し,アイソスタシーによって沈降するためと考えられる。
図3—1 プレートの拡大する境界(海嶺)周辺を上から見た模式図。灰色矢印はプレートの拡大方向を示す。
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(1) 文中の( ア )~( ウ )に入る適切な語句をそれぞれ答えよ。
(2) プレートの相対運動によって,プレート境界は拡大する境界,収束する境界,およびすれ違う境界の 3 つのタイプに分類される。さらに,収束する境界は沈み込み境界と衝突境界に分類される。表3—1において,①~④には深さ 100 k m より浅部で発生する地震の主な断層の型を,⑤~⑧には深さ 400 k m より深部で発生する深発地震の有無を答えよ。
表3—1 プレート境界の種類と,そこで発生する地震の特徴
(3) 図3—1に示す海嶺周辺で,海底に地震計を設置して地震を観測する。図中のくい違った海嶺軸を結ぶ断裂構造で発生するすべての地震のP波初動が,常に押し波で観測される領域はどこか。図3—1を矢印や語句は省略して解答用紙に書き写し,その中に図示せよ。
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(4) 図3—2に示すように,海洋プレートが海嶺軸に対して 5.0 c m / 年の速さ v で矢印の方向に拡大し,移動しているとする。海嶺軸での海底の水深 h 0 が 2.5 k m ,海嶺軸から 3.2 × 10 3 k m 離れた地点Xにおけるこのプレートの厚さ h p が 62 k m であった。海洋プレートの平均密度 ρ p (単位:k g / m 3 )を有効数字 2 桁で求めよ。計算の過程も示せ。ただし,海嶺軸での海洋プレートの厚さは 0 k m とし,海洋プレートが形成されてから時間 t (単位:年)経過したときの海底の沈降量 d (単位:k m )は d = 3.5 × 10 − 4 t と表されるとする。また,どの場所でもアイソスタシーは成り立っているものとする。海水および海洋プレートより深部を構成する物質の平均的な密度はそれぞれ ρ w = 1.0 × 10 3 k g / m 3 ,ρ m = 3.3 × 10 3 k g / m 3 とする。
図3—2 プレートの拡大・移動方向に沿った鉛直断面の模式図。灰色領域は海嶺軸で形成された海洋プレートを,矢印は海洋プレートの拡大方向を示す。
(5) 海嶺から十分に離れた海洋プレートと大陸プレートとの境界は,表3—1にあるA~Dのどの境界に属するか。もっとも適当なものを一つ選べ。また,その境界では海洋プレートは大陸プレートおよびその下のマントルに対しどのように運動するかを,密度に関する考察から 1 行程度で説明せよ。
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問2 次の文章を読み,以下の問いに答えよ。数値での解答には計算の過程も示せ。
プレートの沈み込み帯では,地表に多くの火山が形成され,地球内部の熱や物質を放出する場となっている。日本列島の火山活動も,沈み込み帯でのマグマの発生に起因している。沈み込んだプレートの上にある(Ⅰ)マントルで発生したマグマは,マントルおよび地殻内を,上昇と滞留を繰り返しながら移動する。この間,マグマの化学組成や物性は,マグマ溜り内での(Ⅱ)結晶分化作用やマグマ混合などにより,しだいに変化していく。
地殻内のマグマの多くは,地表に達することなく固まって岩石となり,大陸地殻の一部を作ることに寄与する。このような岩石のうち,大陸地殻上部を主に構成する( ア )は,(Ⅲ)火山活動がない地域における顕著な熱源となっている。これは,( ア )がウランなどの( イ )を豊富に含むため,発熱量が多いことが原因である。一方,地下の浅部に達したマグマ中で,揮発性物質が発泡すると,気体が混ざった状態のマグマは( ウ )が著しく低下し,これによりマグマはさらに上昇して火山噴火に至る場合がある。火山噴火に至るマグマのうち(Ⅳ)最も分化が進んだものが( エ )質マグマであり,爆発的な噴火を起こしやすい性質をもつ。
(1) 文中の( ア )~( エ )に当てはまる語句を答えよ。( ア )と( エ )については,岩石名を書け。
(2) 下線部(Ⅰ)について,沈み込み帯でマグマが発生しやすくなる理由について,下記の語句をすべて用いて 2 行程度で説明せよ。
語句群:海洋プレート,マントル,融点,水
(3) 下線部(Ⅱ)のマグマ溜りにおける結晶分化作用について,表3—2をもとに考えてみよう。表3—2に示す化学組成のマグマXから,同表に示す鉱物A,鉱物B,輝石が,それぞれ 10 ,20 ,10 質量%晶出し,マグマ溜りに沈積したとする。
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(a) 表3—2に示した化学組成の特徴をもとに,鉱物A,鉱物Bに対応する鉱物名を下記の選択肢からそれぞれ答えよ。
選択肢:石英,斜長石,カリ長石,かんらん石,方解石
(b) 表3—2に示した化学組成をもとに,残ったマグマの S i O 2 含有量(質量%)を有効数字 2 桁で求めよ。
表3—2 マグマXと晶出した鉱物A,鉱物B,輝石の化学組成(単位は質量%)
(4) 下線部(Ⅲ)について,日本列島のとある非火山地域の岩体で地温勾配を測定したところ,深さ 400 m 毎に 10 ℃ 上昇するというデータを得た。このデータから算出される地殻熱流量を,日本列島の平均的な地殻熱流量の値と仮定し,日本列島の陸域で 1 年間に放出される熱を有効数字 1 桁で求めよ。ただし,地温勾配を測定した岩石の熱伝導率を 3.0 W / ( m · K ) ,1 年を 3.1 × 10 7 秒,日本列島の陸域の面積を 3.8 × 10 5 k m 2 とし,地温勾配は一定であるとする。
(5) 下線部(Ⅳ)について,この種のマグマが爆発的噴火を起こしやすい理由を 2 行程度で説明せよ。
第1問 銀河の回転と、火星から地球の軌道を測る 答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 前半(問1)は、銀河系の中の天体が中心のまわりを回る運動の問題。太陽も、ほかの星やガスも、銀河系の中心のまわりを同じ向きに円運動している。地球(太陽)から見えるのは、相手の速度のうち視線の方向の成分(視線速度) だけで、これは光や電波のドップラー効果(遠ざかる物からの波は波長がのびる)で測れる。
視線速度は「相手の速度 − 太陽の速度」を視線の向きに取ったもの。太陽より内側の天体は、同じ速さで回っていても1周が短い(角速度 v / R が大きい)ので、太陽を追いこしていく。この「追いこし方」が視線速度の符号に出る。
後半(問2)は、ケプラーが火星の観測から惑星の運動の法則を見つけた手順をたどる問題。使う道具は、会合周期 (地球から見て同じ並び方にもどるまでの時間)と公転周期の関係、ケプラーの第3法則 (公転周期の2乗は平均距離の3乗に比例する)、そして、動く地球から光を見ると向きがずれる年周光行差 。
数値は有効数字1桁で答える。問題の指定(π = 3.1 、1 年 = 3.1 × 10 7 秒 など)を使うと、きれいに割り切れるように作られている。
問1(1) 1周の道のりは円周 2 π R 0 。これを速さ v 0 で割れば1周の時間になる。単位をそろえるのが大事で、距離を km にする。
R 0 = 8 × 10 3 p c = 8 × 10 3 × 3.1 × 10 13 k m
T = 2 π R 0 v 0 = 2 × 3.1 × 8 × 10 3 × 3.1 × 10 13 220 ≈ 7.0 × 10 15 s
年にするには 3.1 × 10 7 で割る。分子にも 3.1 が2つあるので計算しやすい:T ≈ 2.25 × 10 8 年。有効数字1桁にまとめる。
太陽は、地球ができてからの 46 億年の間に、銀河系を 20 周ほどしかしていない。
答え 2 × 10 8 年 ( 2 × 3.1 × 8 × 10 3 × 3.1 × 10 13 k m 220 k m / s = 7.0 × 10 15 s , ÷ 3.1 × 10 7 で 2.25 × 10 8 )
問1(2)(a) 太陽を S、銀河系の中心を C とする。円運動の速度は、中心からの半径に垂直な向き。だから P の速度 v は CP に垂直、太陽の速度 v 0 は SC に垂直。
太陽の分 :視線 SP は SC と角 θ をなす。v 0 は SC に垂直なので、v 0 と視線のなす角は 90 ∘ − θ 。視線方向の成分は v 0 sin θ 。
P の分 :三角形 SCP の P の角を ∠ S P C とすると、同じように考えて、v の視線方向の成分は v sin ∠ S P C 。この角は、三角形の正弦定理(辺の長さ ÷ 向かい合う角の sin が等しい)で θ と結べる。
R sin θ = R 0 sin ∠ S P C ⟹ sin ∠ S P C = R 0 sin θ R
視線速度は、P の成分から太陽の成分を引いたもの。
v r = v R 0 sin θ R − v 0 sin θ = ( v R − v 0 R 0 ) R 0 sin θ
v / R は P の角速度、v 0 / R 0 は太陽の角速度。角速度の差 が視線速度を決める、という形になっている。デモでは、P を視線の上のいろいろな所に置き、速度のベクトルの差を視線に射影した値と式1—1 が一致する。
答え P の速度 v は CP に垂直なので,視線方向の成分は v sin∠SPC(S は太陽,C は中心)。三角形 SCP の正弦定理 R/sinθ=R₀/sin∠SPC より sin∠SPC=R₀sinθ/R。太陽の速度 v₀ は SC に垂直なので視線方向の成分は v₀sinθ。よって v r = v R 0 sin θ R − v 0 sin θ = ( v R − v 0 R 0 ) R 0 sin θ
問1(2)(b) 中性水素原子は、決まった波長(約 21 cm)の電波を出す。遠ざかる原子からの電波は波長が長く、近づく原子からの電波は短く観測される(ドップラー効果)。
観測した波長 λ と本来の波長 λ 0 のずれから、v r = c λ − λ 0 λ 0 と視線速度が出る(c は光の速さ)。
答え 輝線の波長の本来の波長からのずれを測り,ドップラー効果で求める。
問1(2)(c) 図1—2 の、電波が強い所の形を見る。θ が 0 ∘ から 90 ∘ の側(図の左半分の真ん中寄り)では、v r が正の方へ大きく(最大 + 120 k m / s ほど)のびている。0 ∘ から − 90 ∘ の側では負の方へのびている。
太陽より内側(R < R 0 )の物質は、太陽とほぼ同じ速さ v ≈ v 0 で回っているので、v R > v 0 R 0 。式1—1 の括弧の中は正になり、v r の符号は sin θ の符号と同じ:θ > 0 で正、θ < 0 で負。これは図1—2 の縁(いちばん速く遠ざかる・近づく所。太陽より内側のガス)と合う。図1—2 には θ > 0 でも v r < 0 の所があるが、これは太陽より外側(R > R 0 )のガスで、そこでは v R < v 0 R 0 なので符号が逆になる。答えで「θ > 0 で v r > 0 」と書いたのは、この縁の向きのこと。
式1—1 は、図1—1 の向き(太陽の速度が右向き=北銀極から見て右回り)で導いた式。もし左回りなら、速度がすべて逆向きになり、式の符号も逆になって図と合わなくなる。デモで回る向きを切りかえると、曲線が上下ひっくり返って、図から読んだ点と合わなくなる。
大きさも確かめられる:内側の速さが太陽と同じ v 0 なら、視線の上で一番速く遠ざかるのは、視線が円にふれる所(接点、R = R 0 sin θ )の雲で、v r = v 0 ( 1 − sin θ ) 。θ = 30 ∘ なら 110 k m / s で、図の縁(約 114 k m / s )とほぼ同じ。
答え θ>0でv_r>0,θ<0でv_r<0。内側はv/R>v0/R0なので,図1—1の右回りで導いた式1—1と符号が合い,右回り(時計回り)。
問1(3) 年周視差 p (秒角)の星までの距離は d = 1 p パーセク。p = 0.001 なので d = 1000 p c 。
絶対等級 M は、その星を 10 p c の所から見たときの等級。距離が d なら、塵が無いときの見かけの等級は
m 0 = M + 5 log 10 d 10 = − 3 + 5 log 10 100 = − 3 + 10 = 7
実際に見えたのは 12 等。等級は数字が大きいほど暗いので、塵のせいで 12 − 7 等級だけ暗くなった。5 等級は明るさで 100 分の 1 にあたる。
もし減光に気づかずに m − M = 15 から距離を出すと、10 4 p c と 10 倍遠くに見積もってしまう。銀河面の方向の星の距離を明るさで決めるとき、減光は大きな落とし穴になる。
答え 5 等級 (距離 1 / 0.001 = 1000 p c ,減光が無ければ − 3 + 5 log 10 1000 10 = 7 等, 12 − 7 = 5 )
問2(1) ケプラーの第3法則は「公転周期 P の2乗は、平均距離 R の3乗に比例する」。
R 3 P 2 = K
R α / P β の形で書くと、α = 3 、β = 2 。R 6 / P 4 = K 2 なども同じ法則を表すが、最小の組は ( 3 , 2 ) 。
たとえば火星(平均距離 1.52 AU、公転周期 1.88 年)では 1.52 3 / 1.88 2 ≈ 1.00 で、地球(1 AU・1 年)と同じ値になる。
問2(2) 地球は1日に 1 E 周、外側の火星は 1 P 周する(E 、P はそれぞれの公転周期)。地球の方が速いので、1日に 1 E − 1 P 周ずつ火星を追いこしていく。ちょうど1周分追いこすと、同じ並び方(たとえば衝)にもどる。これが会合周期 S 。
1 S = 1 E − 1 P ⟹ 1 P = 1 360 − 1 780 = 780 − 360 360 × 780
P = 360 × 780 420 ≈ 669 日
有効数字1桁にまとめる。デモのグラフでは、地球と火星の角度の差が 360° ずつ増えて 0 にもどる間隔が会合周期になる。
答え 7 × 10 2 日 ( 1 P = 1 360 − 1 780 より P = 669 )
問2(3) 地球から測れるのは「火星の方向」と「太陽離角(太陽と火星の方向のなす角)」だけ。これで地球の位置を決めるには、太陽と火星を結ぶ線を物差しにして、三角形を作ればよい。ただし火星も動いているので、物差しがいつも同じでないと、観測を並べられない。
火星は、火星の公転周期 ごとに、軌道の上の同じ場所にもどってくる。そのとき地球は毎回ちがう場所にいるが、太陽と火星は同じ位置なので、太陽—火星の線を底辺にした三角形から、地球の位置が決まっていく。つまり、ア は火星の公転周期、イ は火星の公転面上での位置。
火星の会合周期ごとでは、火星は毎回 60° ずつずれた場所にいるので物差しにならない。火星の「方向」や「太陽離角」や「地球との距離」は、地球が動くので毎回変わる。デモでは、火星の公転周期ごとに測った向きだけから出した地球の位置が、どれも半径 1 AU の円の上に乗る。
問2(4) 雨がまっすぐ降っているとき、走る人から見ると雨は前から斜めに降ってくる。光でも同じことが起こる。望遠鏡の筒の中を光が上から下まで進む間に、地球(望遠鏡)は横へ進むので、光を筒のまん中に通すには、筒を進む向きへ少し傾けないといけない。
公転面に垂直な方向の星の光は、公転の向きに対して真横から来る。光が筒の長さ l を進む時間 l / c の間に、筒は v l / c 進む。傾き θ は
tan θ = v c
v = 2 π r T = 2 × 3.1 × 1.5 × 10 11 3.1 × 10 7 = 3.0 × 10 4 m / s
角度にすると約 20″(秒角)。一番近い恒星の年周視差(約 0.75″)より 30 倍ほど大きいので、年周視差より先に見つかった(下線部(C))。光の速さが無限なら tan θ = 0 で光行差は無い。だから光行差は、光の速さが有限であることも示している。
答え tan θ = 1 × 10 − 4 ( v = 2 × 3.1 × 1.5 × 10 11 3.1 × 10 7 = 3.0 × 10 4 m / s , v c = 3.0 × 10 4 3.0 × 10 8 )
問2(5) 同じ明るさを受ける距離 :恒星の光は球面に広がるので、距離 a の所で 1 m² が受ける光は L 4 π a 2 。地球(L s 、1 A U )と同じにするには
0.010 L s a 2 = L s ( 1 A U ) 2 ⟹ a = 0.010 = 0.10 A U
公転周期 :a 3 P 2 = K で、K は恒星の質量 M に比例する。地球とくらべると
P P 地球 = ( a / 1 A U ) 3 M / M s = 0.10 3 0.25 = 0.004 = 0.02 10
10 = 2 × 5 ≈ 1.4 × 2.2 を使うと約 0.062 、正確には約 0.063 。どちらも有効数字1桁で同じになる。
1年が約 23 日の惑星。暗い恒星のまわりでは、地球と同じ明るさの場所がずっと近くにあり、そこでは公転がとても速い。「近すぎて生命には向かない」とは限らない、というのが先生の言いたいこと。
答え 6 × 10 − 2 倍 ( L a 2 が等しいので a = 0.010 = 0.10 AU, a 3 P 2 ∝ M より P = 0.10 3 0.25 = 0.02 10 ≈ 0.063 )
第2問 気圧と風、塩からい縁海 答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 前半(問1)は、すべて下線部①「気圧は、その地点より上にある大気の重さによる圧力」から出発する問題。空気の柱の重さで気圧が決まるので、冷たく密度の大きい空気の柱では、上へ行くほど気圧が早く下がる 。この1つの考えで、冬の偏西風の強さ(問1(3))、上空の気圧の谷のずれ(問1(4))、台風の発達(問1(5))が説明できる。
風の問いでは、空気にはたらく力のつり合いを考える。気圧傾度力 (気圧の高い方から低い方へ押す力)、転向力 (地球の自転による見かけの力。北半球では進む向きの右へはたらく)、地面近くでは摩擦力 。気圧傾度力と転向力だけがつり合って等圧線にそって吹く風が地衡風 。
後半(問2)は、縁海(狭い海峡で大洋とつながった海)の水と塩の出入りの勘定。海面の高さと塩分が変わらないなら、入る量と出る量がつり合う。降水と川の水には塩が無く、蒸発では水だけが出ていく。塩は海峡を通ってしか出入りしない、というのが鍵。
問1(1) 西の大陸に高気圧、東の太平洋に低気圧があり、等圧線は南北にのびている。気圧傾度力は、西から東へ向く。
摩擦力が無ければ、気圧傾度力と転向力がつり合う。転向力は進む向きの右にはたらくので、気圧傾度力(東向き)とつり合うには、転向力が西向き、つまり風は南へ向かって吹く。北から吹いてくる風なので北風 。北半球の地衡風は、気圧の低い方を左に見て吹く、と覚えてもよい。
地上付近では摩擦力が風を弱める。転向力は速さに比例するので、風が弱まると転向力も弱まり、気圧傾度力の方が勝って、風は気圧の低い東へ少し向かう。南へ向かいながら東へ寄る風は、北西から吹いてくる風。北風にくらべて西寄り になる。冬の日本の北西の季節風はこれ。
デモでは、止まった空気を放すと、東へ動き出してから右へ曲がる。摩擦がまったく無いと、北風のまわりを小さな輪をえがいて回る動き(慣性振動)が消えずに続き、1周分を平均すると北風(地衡風)になる。答えの「北風」は、この平均の(つり合った)風のこと。摩擦を 5 × 10 − 5 / s にすると、北風から約 31° 西寄りになる。
答え ア 摩擦力,イ 気圧傾度力,ウ 転向力,エ 北,オ 西
問1(2) 地上の気圧 p は、1 m² の上にある空気の重さ。地球全体では、表面積 4 π R 2 に p をかけたものが大気全体の重さ(M g )になる。
M 大気 = 4 π R 2 p g
固体地球の質量は、体積 × 密度:M 地球 = 4 3 π R 3 ρ 。比をとると π が消える。
M 地球 M 大気 = R ρ g 3 p = 6.4 × 10 6 × 5.5 × 10 3 × 9.8 3 × 1.0 × 10 5 ≈ 1.1 × 10 6
単位は m、kg/m³、m/s²、Pa にそろえる(5.5 g / c m 3 = 5.5 × 10 3 k g / m 3 、1.0 × 10 3 h P a = 1.0 × 10 5 P a )。
大気は地球全体のわずか 100 万分の 1 ほどの重さしかない。実際の値(地球 6.0 × 10 24 k g 、大気 5.1 × 10 18 k g )でも同じくらいになる。
答え 1 × 10 6 倍 (大気 4 π R 2 p g ,固体地球 4 3 π R 3 ρ ,比 R ρ g 3 p = 6.4 × 10 6 × 5.5 × 10 3 × 9.8 3 × 1.0 × 10 5 = 1.1 × 10 6 )
問1(3) 地上での南北の気圧差は季節であまり変わらない、という条件がついている。では上空ではどうか。
ある高さの気圧は、そこより上の空気の重さ。地上で同じ気圧でも、冷たい空気は密度が大きい(重い)ので、下の方に空気の重さが集まり、上へ行くと気圧が早く下がる。だから、北(冷たい)の柱では同じ高さの気圧が南(暖かい)の柱より低くなり、その差は上へ行くほど大きい。
上空の偏西風は、この南北の気圧差(気圧傾度力、北向き)と転向力がつり合った地衡風 。冬は南北の気温差が大きいので、上空の気圧差が大きく、地衡風(偏西風)が強くなる。
デモでは、北 263 K・南 293 K(冬)で、高さ 5 km の南北の気圧差は 39 hPa。夏(北 288 K・南 300 K)は 14 hPa で、偏西風は3分の1 ほど。
答え 冬は北側の気温が低く空気の密度が大きいので,上空ほど北側の気圧が低くなり南北の気圧差が大きくなる。この気圧差とつりあう地衡風が強まる。
問1(4)(a) 北半球の低気圧のまわりでは、風は反時計回りに吹く(中心へ向かう気圧傾度力と転向力のつり合い)。
反時計回りなので、低気圧の中心の西側では北風 、東側では南風になる。北風は北の冷たい空気を運んでくるので、西側の気温が低くなる。東側は南風が南の暖かい空気を運んでくるので気温が高い。
答え 西側。反時計回りの風で,西側には北風が北の冷たい空気を運ぶから。
問1(4)(b) (a) より、地上の低気圧の西側の柱は冷たく、東側の柱は暖かい。問1(3) と同じ考えで、冷たく密度の大きい西側の柱では、上へ行くほど気圧が早く下がる。
地上では低気圧の中心がいちばん気圧が低いが、上空では、西側の気圧の下がり方が大きい分だけ、いちばん低い所が西へずれる。つまり上空の気圧の谷は、地上の低気圧の中心の真上より西 にある。
デモでは、西が 10 K 冷たいとき、高さ 5 km の気圧の谷は約 320 km 西にずれ、高くなるほど西へ傾いていく。温帯低気圧が発達するときは、この「西へ傾いた構造」になっている。
答え 気温の低い西側では密度が大きく,高さとともに気圧が大きく下がるので上空の気圧は西側が低い。よって気圧の谷は西へずれる。
問1(5) 乾いた空気が上昇すると、断熱膨張で 1 km あたり約 10 K 下がる。まわりの大気(平均で 1 km あたり約 6.5 K)より冷たくなり、上昇流域の上空は冷たく重い空気で占められる。それなら地上の気圧は高くなるはず、というのが問題の前半。
ところが熱帯の海の上の空気は水蒸気をたくさん含んでいる。上昇して冷えると水蒸気が凝結して雲になり、そのとき潜熱(凝結熱) を出して空気を温める。雲の中では気温の下がり方が 1 km あたり 4〜5 K ほどにゆるみ、上昇する空気はまわりより暖かく軽くなる。
中心付近の上空が暖かく軽い空気で占められると、その下の地上の気圧は低くなる(空気を暖めるだけでは柱の空気の量は変わらないので、正確には「暖まってふくらんだ上空の空気が外へ流れ出し、柱の中の空気が減る」ことで地上の気圧が下がる。デモは、上空 12 km の気圧がまわりと同じに保たれる=上で外へ流れ出す、として計算している)。気圧が下がると周囲から水蒸気を含む空気が集まり、さらに上昇・凝結が進む。デモでは、湿度 90% の空気の柱にすると地上の気圧が約 54 hPa 下がり、乾いたままなら約 160 hPa 上がる。
答え 上昇する空気中の水蒸気が凝結して出す潜熱で,空気が暖められる効果。
問2(1) 蒸発では、水だけが水蒸気になって出ていき、塩は海に残る。同じ量の塩が、より少ない水に溶けていることになるので、塩分は高くなる 。
また、水が蒸発するときには潜熱(気化熱)を海からうばう。だから水温は下がる 。
答え 水温は蒸発の潜熱を奪われて下がり,塩分は水だけが出ていくので上がる。
問2(2) 海面の高さが変わらないので、1 年間に入る水と出る水が等しい。縁海の面積 2.50 × 10 6 k m 2 に水の深さ(km)をかけて体積を出す。
降水 = 0.34 × 10 − 3 × 2.50 × 10 6 = 850 k m 3
蒸発 = 1.40 × 10 − 3 × 2.50 × 10 6 = 3500 k m 3
入る水:海峡の正味 2080 + 降水 850 + 表流水 X 。出る水:蒸発 3500 。
2080 + 850 + X = 3500 ⟹ X = 570
答え 5.7 × 10 2 k m 3 (蒸発 1.40 × 10 − 3 × 2.50 × 10 6 = 3500 ,降水 850 , 3500 − 850 − 2080 = 570 )
問2(3)(a) 縁海は蒸発が降水と表流水より多い(問2(2))ので、縁海の水は塩分が高い。塩分が高い水は重いので、深い所にたまり、海峡の下層から大洋へ流れ出す。
図2—2 で、観測点A は 0〜300 m のどこでも塩分が 35.8〜36.4 ‰ ほど。観測点B は浅い所では A と同じくらいだが、深くなるにつれて塩分が上がり、38.5 ‰ 近くになる。深い所に塩分の高い縁海の水がある B が縁海側。
答え B。蒸発が多く塩分の高い縁海の水が,深い所にあるから。
問2(3)(b) どちらの線にも黒い点が 7 つずつあり、海面から 300 m まで 50 m ごとの測定と読める(点は、浅い方から順に線でつながっている)。
大洋側の A の 2 つ目の点(50 m)は、水温 16.5 ℃ ほど、塩分は 36.3 ‰ ほど。縁海側の B の 6 つ目の点(250 m)は、水温 13.1 ℃ ほど、塩分は 38.4 ‰ ほど。B の線は、6 つ目の点で水温が一番低くなり、最後の 7 つ目(300 m)で少し上がっている。
デモでは、図の点を画素から読むと、A の 50 m は 36.31 ‰、B の 250 m は 38.39 ‰ になる。
問2(3)(c) 海峡の上層の流入量を Q 入 、下層の流出量を Q 出 とする。2 つの勘定を立てる。
水の勘定 :海峡を通る正味の流入が 2080 k m 3 。
Q 入 − Q 出 = 2080
塩の勘定 :縁海の塩分は変わらない。降水と表流水には塩が無く、蒸発では塩は出ていかない。だから塩は海峡でしか出入りせず、入る塩と出る塩が等しい。
36.3 Q 入 = 38.4 Q 出
Q 入 = 2080 × 38.4 38.4 − 36.3 = 2080 × 38.4 2.1 ≈ 3.80 × 10 4
正味の 2080 にくらべて、18 倍もの水が海峡を出入りしている。塩分の差が 2.1 ‰ しかないので、塩の勘定をそろえるには大量の水の入れかえが必要になる。デモで流出の塩分を 39.0 にすると、流入は 3.0 × 10 4 に減る。
答え 3.8 × 10 4 k m 3 ( Q 入 − Q 出 = 2080 , 36.3 Q 入 = 38.4 Q 出 より Q 入 = 2080 × 38.4 2.1 )
問2(4) 海面を風が吹くと、表層の水が引きずられる。北半球では、動き出した水は転向力で右へ曲げられ、深くなるほどさらに右へ回りながら弱くなる。表層全体で足しあわせると、水は風の向きの右 90° の方向へ運ばれる(エクマン輸送)。
偏西風(西から東へ吹く風)なら、右 90° は南。北部の表層の暖かい水は南へ運び出され、そのかわりに下から冷たい底層の水が湧き上がってくる。暖かい表層がうすくなり、冷たい水が海面に近づくので、北部の表層と底層の水温差は小さくなる 。
水温差(密度の差)が小さいと、冬に表層が冷やされたとき、表層の水が底層と同じくらい重くなりやすく、底まで沈みこみやすい。デモでは、0.1 N/m² の偏西風が 90 日吹くと、北部の暖かい層が約 78 m うすくなる(北の 100 km の帯で見積もった目安)。
答え 北半球では偏西風によるエクマン輸送で表層水が南へ運ばれ,北部では冷たい底層水が湧き上がるので,表層と底層の水温差は小さくなる。
第3問 海嶺の地震と、重くなるプレート 答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 前半(問1)は、プレートの動きと地震の問題。プレートの境界には、広がる(拡大する)境界、近づく(収束する)境界、すれ違う境界がある。境界の種類ごとに、起きる地震の断層の型が決まる:引っぱられる所は正断層、押される所は逆断層、すれ違う所は横ずれ断層。
P 波の初動(最初のゆれの向き)は、震源の断層の動きで決まる。震源を中心に、断層の面とそれに垂直な面で4つの区画に分かれ、「押し」(観測点が震源から押される)と「引き」(引かれる)が交互に並ぶ。問1(3) はこれを複数の地震で重ねる問題。
問1(4) はアイソスタシー (地下のある深さより下では、どこでもその上の重さが同じになっている、という考え)。海嶺でできた海洋プレートは、離れるにつれて冷えて厚く重くなり、海底が沈んでいく。
後半(問2)は、沈み込み帯の火山とマグマの問題。マグマのでき方、マグマ溜りで結晶ができて抜けていく結晶分化作用 、地下から出てくる熱の量(地殻熱流量)、爆発的な噴火のわけを考える。
問1(1) プレートは、地殻とマントル最上部をあわせた、冷たくてかたい層。これをリソスフェア という。その下の、温度が高くやわらかい(流れやすい)層がアセノスフェア で、プレートはこの上をすべるように動く。
海嶺軸がくい違っている所で、ずれた軸どうしをつなぐ断層は、両側のプレートがすれ違う向きに動く特別な横ずれ断層で、トランスフォーム 断層と呼ばれる。
答え ア リソスフェア,イ アセノスフェア,ウ トランスフォーム
問1(2) 浅い地震の断層の型 :拡大する境界(海嶺)では、両側に引っぱられて割れるので正断層。沈み込み境界と衝突境界は、両側から押されるので逆断層。すれ違う境界(トランスフォーム断層)は横ずれ断層。
深さ 400 km より深い地震(深発地震) :地震はかたい岩石が割れて起きるので、深い所で起きるには、冷たくかたいプレートがそこまで入りこんでいる必要がある。沈み込み境界では、海洋プレートがマントルの深くまで沈み込み、その中で深さ 600 km 以上の地震まで起きる。拡大する境界やすれ違う境界にはそのようなプレートが無い。衝突境界では、大陸プレートどうしは軽くて深くまで沈み込めないので、深発地震は起きない。
答え ① 正断層,② 逆断層,③ 逆断層,④ 横ずれ断層,⑤ 無,⑥ 有,⑦ 無,⑧ 無
問1(3) まず、断裂のどちら側がどう動くかを決める。海嶺軸から両側へプレートが広がるので、軸の西側は西へ、東側は東へ動く。
上の断裂(地震が起きるのは、真ん中の軸と上の軸にはさまれた部分)では、北側は上の軸の西側なので西へ、南側は真ん中の軸の東側なので東へ動く。南側から見て北側が左へ動く左横ずれ 。下の断裂では、北側は真ん中の軸の東側で東へ、南側は下の軸の西側で西へ動く右横ずれ 。
横ずれ断層の初動は、断層(東西の線)と、震源を通る南北の線で4つに分かれる。それぞれの側のプレートが進んでいく先の区画が「押し」になる。上の断裂の地震は、北西と南東の区画が押し。下の断裂の地震は、北東と南西の区画が押し。
断裂の上のどこで地震が起きても押しになる所を探す。上の断裂の地震すべてで押しになるのは、「真ん中の軸より西で上の断裂より北」か「上の軸より東で上の断裂より南」。下の断裂の地震すべてで押しになるのは、「下の軸より東で下の断裂より北」か「真ん中の軸より西で下の断裂より南」。両方に入るのは、下の軸(一番東の軸)より東で、2本の断裂にはさまれた領域 だけ。
デモで「重ねる」を選ぶと、この領域だけが残る。格子の点ごとにすべての地震を調べた計算とも一致する。
答え 図の右下の海嶺軸(3本のうち一番東の軸)より東側で,上下2本の断裂構造にはさまれた領域(上の断裂は左横ずれ,下の断裂は右横ずれで,すべての地震の押しの象限が重なるのはここだけ)
問1(4) 地点X のプレートの年代 :プレートは海嶺軸から 5.0 cm/年で離れていくので、3.2 × 10 3 k m = 3.2 × 10 8 c m 進むのにかかった時間は
t = 3.2 × 10 8 5.0 = 6.4 × 10 7 年
海底の沈降量 :t = 8.0 × 10 3 なので、d = 3.5 × 10 − 4 × 8.0 × 10 3 = 2.8 k m 。地点X の水深は h 0 + d 。
アイソスタシー :地点X のプレートの底の深さ(h 0 + d + h p )で、その上の重さを海嶺軸と地点X でくらべる。
海嶺軸の柱:海水 h 0 、その下はすべてマントル(厚さ d + h p )。地点X の柱:海水 h 0 + d 、その下にプレート h p 。重さ(密度 × 厚さ)が等しいので
ρ w h 0 + ρ m ( d + h p ) = ρ w ( h 0 + d ) + ρ p h p
ρ p = ρ m + ( ρ m − ρ w ) d h p = 3.3 × 10 3 + 2.3 × 10 3 × 2.8 62 ≈ 3.3 × 10 3 + 1.0 × 10 2
海底が沈んだ分、海水(軽い)が増えるので、そのかわりプレートがマントルより重くないと重さがそろわない。沈降量もプレートの厚さも t に比例するとすれば、d / h p はどこでも同じなので、ρp もどこでも同じになる。
答え 3.4 × 10 3 k g / m 3 ( t = 3.2 × 10 8 c m 5.0 c m / 年 = 6.4 × 10 7 年, d = 3.5 × 10 − 4 × 8.0 × 10 3 = 2.8 k m , ρ w h 0 + ρ m ( d + h p ) = ρ w ( h 0 + d ) + ρ p h p より ρ p = ρ m + ( ρ m − ρ w ) d h p = 3.3 × 10 3 + 2.3 × 10 3 × 2.8 62 )
問1(5) 海嶺から十分に離れた海洋プレートが大陸プレートと出会う所は、日本列島のような沈み込み境界(B) 。
問1(4) で求めたように、古く冷えた海洋プレートの平均密度(約 3.4 × 10 3 k g / m 3 )は、その下のマントル(3.3 × 10 3 )より大きい。大陸プレートは花こう岩質の軽い地殻を含むので、さらに軽い。だから重い海洋プレートが、大陸プレートとその下のマントルの下へ沈み込み、マントルの中へ沈んでいく。
答え B。密度がマントルより大きいので,大陸プレートの下のマントル中へ沈み込む。
問2(1) 大陸地殻の上部をつくる代表的な深成岩は花こう岩 。花こう岩にはウラン・トリウム・カリウムなどの放射性元素 (放射性同位体)が多く含まれ、これらが壊れるときに出す熱のため、火山の無い地域でも地下から熱が出てくる。
地下の浅い所でマグマの中の水などが泡になると、泡を含んだマグマは全体として密度 が小さくなり、浮力でさらに上がる。
結晶分化がもっとも進んだマグマは SiO₂ が多い流紋岩 質マグマ(深い所で固まると花こう岩になる)。
答え ア 花こう岩,イ 放射性元素(放射性同位体),ウ 密度,エ 流紋岩
問2(2) マントルのかんらん岩は、ふつうの状態では沈み込み帯の深さでもとけない。ここで鍵になるのが水。
沈み込む海洋プレートは、海底で水を含んだ鉱物を持っている。深く沈んで温度と圧力が上がると、この水が放出され、その上のマントルに加わる。岩石は水が加わると融点が下がる ので、同じ温度でも一部がとけ始め、マグマができる。日本列島の火山が、海溝から一定の距離の所に並ぶ(火山前線)のは、このため。
答え 沈み込む海洋プレートから放出された水がその上のマントルに加わると,マントルの岩石の融点が下がり,部分的にとけてマグマができる。
問2(3)(a) 鉱物A :MgO(44.0)と FeO(16.6)が多く、Al₂O₃ が 0、SiO₂ が 39.0 と少ない。Mg・Fe とケイ素だけでできた鉱物で、( M g , F e ) 2 S i O 4 のかんらん石 。この Mg と Fe の量から化学式どおりに SiO₂ を計算すると約 39.6 % になり、表と合う。
鉱物B :Al₂O₃(34.2)と CaO(18.0)が多く、Na₂O も少し含む。Ca の多い斜長石 (C a A l 2 S i 2 O 8 と N a A l S i 3 O 8 のまざり)。
ほかの選択肢は、石英は SiO₂ だけ、カリ長石は K₂O を含む、方解石は C a C O 3 で SiO₂ を含まないので、どれも合わない。
問2(3)(b) マグマX を 100 g とすると、鉱物A が 10 g、鉱物B が 20 g、輝石が 10 g、あわせて 40 g が結晶になって抜ける。残りのマグマは 60 g。
残りの SiO₂ の量は、もとの SiO₂ から、それぞれの鉱物に入った SiO₂ を引けばよい。
51.2 − ( 10 × 0.390 + 20 × 0.457 + 10 × 0.511 )
= 51.2 − ( 3.90 + 9.14 + 5.11 ) = 33.05 g
33.05 60 × 100 ≈ 55.1 %
SiO₂ の少ない鉱物(かんらん石 39 %、斜長石 46 %)が先に抜けるので、残ったマグマの SiO₂ はもとの 51.2 % より多くなる。これをくり返して、玄武岩質のマグマから安山岩質・流紋岩質のマグマができていく。
答え 55 % ( S i O 2 : 51.2 − ( 0.1 × 39.0 + 0.2 × 45.7 + 0.1 × 51.1 ) = 33.05 g ,残り 60 g で割って 55.1 )
問2(4) 地殻熱流量(1 秒に 1 m² から出てくる熱)は、熱伝導率 × 地温勾配。
q = 3.0 × 10 400 = 0.075 W / m 2
日本列島の陸の面積 3.8 × 10 5 k m 2 = 3.8 × 10 11 m 2 、1 年 3.1 × 10 7 秒をかける。
0.075 × 3.8 × 10 11 × 3.1 × 10 7 ≈ 8.8 × 10 17 J
75 m W / m 2 は、大陸の平均的な地殻熱流量(約 65 m W / m 2 )と同じくらいの大きさ。デモでは、岩の柱の温度を時間で進めると、温度の分布がまっすぐな線に落ち着き、そのときの表面の熱の流れが同じ値になる。
答え 9 × 10 17 J (熱流量 3.0 × 10 400 = 0.075 W / m 2 , 0.075 × 3.8 × 10 11 × 3.1 × 10 7 = 8.8 × 10 17 )
問2(5) 流紋岩質マグマは SiO₂ がいちばん多く、ねばりけ(粘性)がとても大きい。
マグマが上昇して圧力が下がると、溶けていた水などの揮発性成分が泡になる。玄武岩質のようなさらさらのマグマなら、泡は抜け出していく。しかしねばりけの大きいマグマでは泡が抜け出しにくく、中にたまってガスの圧力が高まる。限界をこえると、マグマが一気に引きちぎられて、爆発的な噴火になる。
答え SiO₂に富み粘性が大きいため,揮発性成分が発泡しても気泡が抜けにくく,ガスの圧力が高まって一気に破裂するから。