東大 過去問 2012年 地学|AI解答・解説・シミュレーション|アトリエファクトリー

東大理系科目 AI解答・シミュレーション‹ 東大地学 2012‹ 地学2012

このページの出典

東京大学 第2次学力試験(前期)2012年 理科「地学」(東京大学がかつて公開したPDFの Internet Archive 保存版)

問題・出題の意図・東京大学の解答例(東京大学の公表資料)

東京大学の利用規定について

東京大学は、入試問題と出題の意図・解答の2次利用について「東京大学第2次学力試験入学試験問題等の2次利用について」(令和6年7月1日改定)で条件を定めている。このサイトでの対応は次のとおり。

解答とシミュレーション(AIで作成)

制作

制作:アトリエファクトリー(aTELiER FACTORY) https://atelierfactory.jp/

修正履歴

お知らせ(2026年10月4日)

解答・解説・シミュレーションは、すべて Claude Opus 5.5 で作成しています。作ったあとの確かめ方は、科目によって違います。

どの科目も、東京大学が公表した解答ではありません。くわしくは「問題取得方法と回答生成方法」をご覧ください。

— 60 —

地 学

第1問 恒星のスペクトル型を横軸にとり,絶対等級を縦軸にとった図をHR図(ヘルツシュプルング・ラッセル図)と呼ぶ。これに関して,次の問Ⅰ~Ⅴに答えよ。ただし,必要なら次の近似 100.5=3.16,100.25=1.78 を使用してよい。

問Ⅰ 図1—1は,銀河系の中で太陽に比較的近い距離にある恒星のHR図である。点線の交点は,HR図上での現在の太陽の位置を表す。恒星の進化をこの図の上で考えて,以下の文中の ア ~ エ に当てはまる語を答えよ。ただし,同じ記号の   には同じ語が入る。

 太陽程度の質量を持つ恒星の進化は,冷たい星間ガスが重力収縮して原始星が形成されることから始まる。原始星は,図1—1で右上に位置する。原始星は収縮するにつれて,HR図上を左下方向に移動する。中心部の温度が十分高くなって水素の ア 反応が始まると,主系列上の一点に落ち着く。この時期は極めて安定で,太陽の場合は約 100 億年続く。中心部分の水素の大部分がヘリウムに変わると,外層が膨張をはじめ, イ へと進化する。さらに, ア 反応によって中心部分のヘリウムがより重い元素に変換されてなくなり,外層が不安定となってガスを放出すると,図1—1で左下に位置する ウ となって一生を終える。質量が太陽より十分に大きい恒星の場合には,超新星と呼ばれる爆発現象をおこして質量の大半を星間空間に放出し,後には半径 10km 程度の エ や,重力が大きいために光も脱出できないブラックホールが残る。

— 61 —

問Ⅱ 図1—1の恒星Sの表面温度は絶対温度で太陽の 2 倍であり,その光度(恒星の全表面から毎秒放射される光のエネルギー)は太陽の 1000 倍である。恒星Sの半径は太陽半径の何倍か。有効数字 2 桁で求めよ。途中の計算過程も示せ。ただし,恒星は表面でシュテファン・ボルツマンの法則にしたがってエネルギーを放射しているとする。

問Ⅲ 図1—2は球状星団CのHR図である。球状星団の恒星は,過去のある時に一斉に誕生したと考えられている。球状星団Cの恒星と太陽とでは,どちらが先に誕生したと考えられるか。図1—2に基づいて 1 行程度で説明せよ。ただし,点線の交点は現在の太陽の位置を表す。

問Ⅳ 図1—1では,球状星団Cと異なり,太陽に比べて表面温度が高く光度が大きい恒星が存在している。その理由を 2 行程度で説明せよ。

問Ⅴ ある恒星が主系列にとどまる時間を,その恒星の寿命と呼ぶことにする。恒星の寿命は,その恒星が誕生した時にもっている水素の総量に比例し,その全表面から毎秒放射されるエネルギーに反比例する。すなわち,恒星の質量に比例し,光度に反比例する。また,恒星の光度は質量の 4 乗に比例するものとする。太陽の寿命を 100 億年としたとき,問Ⅱの恒星Sの寿命を有効数字 2 桁で求めよ。計算過程も示せ。なお,恒星の光度は,その寿命のあいだ変化しないものとする。

— 62 —
図1—1 太陽に比較的近い距離にある恒星のHR図。左ほど表面温度が高い。矢印で示した点は恒星Sを示す。
図1—1 太陽に比較的近い距離にある恒星のHR図。左ほど表面温度が高い。矢印で示した点は恒星Sを示す。
— 63 —
図1—2 球状星団CのHR図。左ほど表面温度が高い。
図1—2 球状星団CのHR図。左ほど表面温度が高い。
— 66 —

第2問 雲・降水および海洋に関する以下の問Ⅰ~Ⅲに答えよ。

問Ⅰ 雲粒の生成と成長に関する以下の(1)~(4)に答えよ。ただし,氷晶の存在は考えなくてよい。

(1) 大気中の空気塊に含まれる水蒸気の分圧を p とし,この空気塊の温度における飽和水蒸気圧を p0 とする。相対湿度 H [%] を表す式を求めよ。

(2) 雲粒が生成するためには,相対湿度 H が 100% を超えることが必要である。空気塊のこのような状態を何と呼ぶか。

(3) 大気が窒素,酸素,水蒸気のみで構成されているとすると,相対湿度 H が 100% よりもはるかに大きい値にならないと水蒸気の凝結が起こらないため,雲粒は生成しにくい。ところが実際の大気では,H が 100% をわずかに超えた程度でも雲粒が生成する。その理由を 1 行程度で答えよ。

(4) 凝結によって生成する雲粒の直径は 0.01mm 程度であるが,雨滴の直径は 1mm 程度になることがある。雲粒から雨滴への成長過程を 2 行程度で説明せよ。

— 68 —

問Ⅱ 酸性雨の原因となる大気中の物質Aが,雨滴へ溶け込み地表面に落下する過程について,以下の(1)~(3)に答えよ。なお,図2—1は,その過程を模式的に表したものである。

(1) 地表面から高さ h [m] の雲底までの間で,全ての雨滴は半径 r [m] の球形であるとする。また,雨滴の単位表面積あたりに毎秒溶け込む物質Aの分子数を f [個/(m2・秒)] とする。r と f が高さによらず一定であるとき,雨滴 1 個に毎秒溶け込む物質Aの分子数 n [個/秒] を求めよ。

(2) 前問(1)の条件に加えて,雨滴の落下速度は高さによらず ar [m/秒] で表されるものとする。ここで a は定数である。地表面に到達した雨滴 1 個あたりに含まれる物質Aの分子数 N [個] を求めよ。ただし,雨滴が雲底を離れた瞬間から地表面に到達するまで物質Aが雨滴に溶け込み続けるものとする。

(3) 降水に含まれる物質Aの濃度が高いほど,降水のpHは小さな値になるものとする。前問(2)の条件で,雨滴の半径が r1 と r2 の 2 つの場合を考えたとき(ただし r1>r2 とする),地表面で観測される降水のpHはどちらの場合が小さいか。理由とともに答えよ。

— 69 —
図2—1 物質Aが,落下中の雨滴へ溶け込む過程。雨滴の周りの拡大図において,実線矢印は雨滴の落下方向,破線矢印は物質Aが雨滴に溶け込む様子を表す。
図2—1 物質Aが,落下中の雨滴へ溶け込む過程。雨滴の周りの拡大図において,実線矢印は雨滴の落下方向,破線矢印は物質Aが雨滴に溶け込む様子を表す。
— 70 —

問Ⅲ 図2—2は北緯 70 度から南緯 70 度までの太平洋,大西洋,南大洋(南極海)の海面における,海水の温度(水温)と塩分の年平均分布である。なお塩分とは,海水 1kg 中に溶けている塩類のグラム数である。これらの図を見て以下の(1)~(4)に答えよ。

(1) 水温分布を決める最大の要因は,海面を通じて出入りする熱であり,水温は低緯度側で高く,高緯度側で低い傾向にある。しかしながら,図2—2(a)において水温の等値線は必ずしも東西方向ではない。北緯 30 度付近では,海流の働きにより,等値線が北西—南東方向にやや傾いている。そのしくみを 2 行程度で説明せよ。

(2) 太平洋の低緯度東側では,貿易風の働きにより,北緯 10 度から南緯 10 度の範囲で赤道に近いほど水温が低い傾向にある。貿易風によって赤道付近の水温が低くなるしくみを 2 行程度で説明せよ。

(3) 図2—2(b)において,塩分の南北変化の特徴を 1 行程度で説明せよ。ただし,陸地の近くでの変化は考えなくてよい。

(4) 陸地の近くを除くと,塩分分布を決める最大の要因は,大気・海洋間の淡水のやり取り(蒸発および降水)である。北緯 40 度から南緯 40 度の範囲における大気の循環と塩分の南北変化との関係を 2 行程度で説明せよ。

— 71 —
図2—2 海面における(a)水温および(b)塩分の年平均分布。等値線間隔は(a)が2℃,(b)が0.5である。なお,図を見やすくするために,塩分が33未満の等値線は描かれていない。
図2—2 海面における(a)水温および(b)塩分の年平均分布。等値線間隔は(a)が2℃,(b)が0.5である。なお,図を見やすくするために,塩分が33未満の等値線は描かれていない。
— 72 —

第3問 地球,月,小惑星に関する以下の問Ⅰと問Ⅱに答えよ。

問Ⅰ 1960~70 年代のアポロ計画により,月の岩石が採取され,形成年代が測定された。図3—1は地球と月の表面のさまざまな場所で採取した岩石の形成年代(絶対年代)を年代別の頻度分布で示している。図3—2は月の「高地」と「海」の境界付近の写真である。図3—3は,月表面の形成年代とクレーター数密度(単位面積あたりのクレーター数)との関係を示している。以下の(1)~(4)に答えよ。

(1) 図3—1で示されているような,数億年から数十億年前に形成された月や地球の岩石の絶対年代を推定する方法を 1 つあげ,その原理について 1~2 行程度で説明せよ。

(2) 月と比較すると,地球の表面の岩石は新しい形成年代を持つものが多い。月と地球のそれぞれの進化過程を考慮し,形成年代の頻度分布が異なる理由を 2 行程度で説明せよ。

(3) 図3—2にみられるように,「高地」にはクレーターが多いのに対し,「海」では少ない。この理由を,図3—1と図3—3に基づいて,2 行程度で説明せよ。

(4) 「海」はどのように形成されたと考えられるか。図3—1と図3—3に基づいて 2 行程度で説明せよ。

— 73 —
図3—1 地球と月で採取された岩石の形成年代の頻度分布
図3—1 地球と月で採取された岩石の形成年代の頻度分布
図3—2 月の「高地」と「海」との境界(破線)付近の写真
図3—2 月の「高地」と「海」との境界(破線)付近の写真
— 74 —
図3—3 月表面の形成年代と直径1km以上のクレーター数密度との関係
図3—3 月表面の形成年代と直径1km以上のクレーター数密度との関係
— 76 —

問Ⅱ 月の「海」の岩石には,かんらん石という鉱物が多く含まれている。この鉱物は地球の上部マントルを構成すると考えられ,また惑星探査機「はやぶさ」が小惑星イトカワ(長径約 500m)の表面から持ち帰った微粒子の中からも発見された。かんらん石は Mg2SiO4 という化学組成の鉱物(マグネシウムかんらん石)と Fe2SiO4 という化学組成の鉱物(鉄かんらん石)の固溶体となっている。この固溶体中の Mg 原子と Fe 原子の数の総和に対する Fe 原子の数の割合を x とする(x=0 はマグネシウムかんらん石,x=1 は鉄かんらん石)。この x の値は地球の上部マントル,月の「海」,イトカワのかんらん石において異なっており,例えば上部マントル起源の岩石からは x が約 0.1,イトカワからは x が約 0.3 のかんらん石が見つかっている。以下の(1)~(4)に答えよ。

(1) 固溶体はケイ酸塩鉱物によく見られる。次の鉱物の中で固溶体と見なされる化学組成を持つものをすべて選べ。また,選んだ各鉱物について,割合が変わる主要な 2 つの元素を記せ。

石英,斜長石,輝石,紅柱石

(2) マグマの結晶分化作用などを考える上で,鉱物の密度は重要な指標となる。かんらん石の 1 モルあたりの体積(モル体積)は,x によらず一定であるとする。この場合 x=0.3 のかんらん石の密度は x=0.1 のかんらん石に比べ,何 % 高いか。計算過程とともに有効数字 2 桁で求めよ。ただし Mg,Fe,Si,O の原子量をそれぞれ 24.3,55.8,28.1,16.0 とする。

(3) かんらん石のモル体積は,実際には x が変わることにより変化し,マグネシウムかんらん石の密度は 3.20g/cm3,鉄かんらん石の密度は 4.40g/cm3 となっている。かんらん石のモル体積が x の 1 次式で表されるとすると,x=0.3 のかんらん石の密度は x=0.1 のかんらん石に比べ,何 % 高いか。計算過程とともに有効数字 2 桁で求めよ。

— 77 —

(4) 地球とイトカワは,それらの誕生時には内部構造が一様で,両者の化学組成が同じであったと仮定する。現在の地球の上部マントルとイトカワで,かんらん石の化学組成の違いが見られる原因としてどのようなことが考えられるか。2 つの天体の大きさと形成過程などをもとに考察し,3~4 行程度で述べよ。