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地 学
第1問 宇宙に関する次の問い(問1~2)に答えよ。
問1 近年,銀河系内にある星ならばその年周視差が測定できるようになってきた。その結果によると,星団Aにある星の年周視差は 0.0025 ″ ,星団Bにある星の年周視差は 0.00078 ″ であった。図1—1に各星団の星のHR図を示す。以下の問いに答えよ。数値での解答には計算の過程も示せ。なお,太陽の質量と光度はそれぞれ M s = 2 × 10 30 k g ,L s = 4 × 10 26 W とし,1 パーセク = 3.1 × 10 16 m とする。また,計算に必要なら log 10 2 = 0.30 および log 10 3 = 0.48 を用いよ。
(1) 各星団の距離(単位:パーセク)をそれぞれ有効数字 2 桁で求めよ。
(2) 各星団で最も明るい主系列星の見かけの明るさ(単位:W / m 2 )はおよそいくらか。以下のうちから一つずつ選び,それぞれ答えよ。
星団A:1 × 10 − 8 , 1 × 10 − 12 , 1 × 10 − 14
星団B:2 × 10 − 12 , 2 × 10 − 14 , 2 × 10 − 17
(3) 星団Bで最も明るい主系列星の光度(単位:W )を有効数字 1 桁で求めよ。ただし,星の見かけの明るさは視線に垂直な面が単位時間,単位面積あたりに受けるエネルギーとし,その値には設問(2)で答えた値を用いよ。
(4) 主系列星の質量 M と光度 L の関係は
M M s = { ( L L s ) 1 4 ( 0.43 M s < M ≦ 2 M s ) 0.9 ( L L s ) 2 7 ( 2 M s < M < 30 M s )
で表されるとする。これを用いて,星団Bの最も明るい主系列星の質量が太陽質量の何倍になるか,有効数字 1 桁で求めよ。
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(5) 星団Bの年齢は最も明るい主系列星の寿命から推定できる。その理由を 2 行程度で答えよ。
(6) 星団A,Bのうちどちらかは散開星団である。どちらが散開星団か,理由とともに 1 ~ 2 行で答えよ。
図1—1 二つの星団A,Bの星のHR図
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問2 次の文章を読んで以下の問いに答えよ。数値での解答には計算の過程も示せ。
太陽のエネルギー源は中心部で起こっている核融合反応である。核融合反応で発生したエネルギーは太陽内部においては,中心側では放射によって,光球面側では A によって,光球面まで運ばれる。光球面からは,エネルギーは放射によって宇宙空間に放出される。この放射エネルギーのピーク波長は 5.0 × 10 − 7 m であり,これは ア に対応する。光球面の平均温度は 5.8 × 10 3 K であるが,太陽内部で起こっている A の影響によって光球面の温度には非一様性がある。また,黒点では強い B の影響によって,周囲よりも温度が低くなっている。一方で,太陽の上層大気であるコロナは光球面よりも高温になっており,イ を放射している。また,コロナからは高速の太陽風が周囲に吹き出し,地球軌道よりも遥か遠方まで到達している。短時間のうちに様々な波長の光が急激に強くなるフレアや,より高密度・高速の太陽風が周囲に放出されるコロナ質量放出は,黒点数の多い太陽極大期に頻繁に発生する。このことは,太陽の活動現象に B が重要な役割を果たしていることを示唆する。
地球は光球面から放射される ア だけでなく,コロナから放射される イ や,太陽風の影響も受けている。地球の上層大気には,太陽放射によって一部の分子や原子が電離した電離層と呼ばれる層が形成されている。地球の高緯度地方で見られる C は,宇宙空間から高エネルギーの荷電粒子が高層大気に流入し,原子や分子と衝突することによって,大気が発光する現象である。太陽風はこのような C の活動に大きな影響を与えている。太陽におけるフレアやコロナ質量放出などの突発的な爆発現象は,地球ではデリンジャー現象や磁気嵐などを引き起こしたり,人工衛星や宇宙ステーションに影響を与えたりすることがある。
(1) 空欄 A ~ C に当てはまる適切な語句をそれぞれ答えよ。
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(2) コロナの典型的な温度は 2.0 × 10 6 K であることが知られている。ウィーンの変位則が成り立つと仮定したとき,この温度に対応する放射エネルギーのピーク波長を有効数字 2 桁で求めよ。
(3) 空欄 ア および イ に当てはまる最も適切な語を以下の選択肢からそれぞれ一つ選び,その番号を答えよ。
① 電波
② 赤外線
③ 可視光線
④ 紫外線・X線
⑤ ガンマ線
(4) 地球軌道(太陽からの距離が 1 天文単位の位置)における太陽風の質量密度 ρ および速度 V は,それぞれ ρ = 1.6 × 10 − 20 k g / m 3 ,V = 4.0 × 10 5 m / s 程度である。以下では地球軌道での値としてこれらを用い,球対称かつ定常な太陽風を考える。なお,1 年は 3.2 × 10 7 s ,1 天文単位は 1.5 × 10 11 m とし,数値は有効数字 1 桁で求めよ。
(a) 太陽風によって,単位時間,単位面積あたりに外向きに運ばれる質量は,質量密度と速度の積で与えられる。これを用いて,太陽の寿命 1.0 × 10 10 年の間に太陽が失う質量は太陽質量 2.0 × 10 30 k g の何 % にあたるか求めよ。
(b) 太陽風が持つ圧力は質量密度と速度の 2 乗との積で与えられる。また,太陽風の圧力は太陽からの距離の 2 乗に反比例して遠方に向かって減少する。太陽風は周囲の星間物質を押しのけ,太陽圏と呼ばれる太陽の勢力圏を形成している。太陽風の圧力と星間物質の圧力が等しくなる距離を太陽圏の大きさと定義するとき,太陽圏の大きさを天文単位で求めよ。ただし,星間物質の圧力として P = 1.0 × 10 − 13 P a = 1.0 × 10 − 13 k g / ( m · s 2 ) を用いること。
(5) あるときフレアとコロナ質量放出がほぼ同時刻に太陽で発生した。これらによって,地球ではデリンジャー現象および磁気嵐が時間差をもって引き起こされた。デリンジャー現象と磁気嵐が発生した順番を答えよ。また,両者の時間差が生じた理由を 1 ~ 2 行程度で述べよ。
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第2問 大気と海洋に関する次の問い(問1~2)に答えよ。
問1 降雪や降雨について,以下の問いに答えよ。数値での解答には有効数字 2 桁で単位とともに答え,計算の過程も示せ。
(1) 以下の文章の空欄 ア ~ ウ に入る適切な語句をそれぞれ答えよ。
大気中の雲の水滴は,微粒子(エーロゾル)の一部が ア 核として働くことにより生成される。水滴は,周囲の気温が氷点下に下がっても容易には凍結しない。氷点下の状態にある水滴を イ 水滴と呼ぶ。やがてこれらの水滴のごく一部が,氷晶核と呼ばれる微粒子の作用により凍結して氷晶を形成すると,雲は水滴と氷晶とが共存した状態になる。降雪はこの氷晶が大きく成長し氷粒子のまま地表面まで落下することによりもたらされる。落下途中で,氷粒子が融解して生成する雨を ウ 雨という。
(2) 水滴と氷晶とが共存した雲内において,水蒸気が液体の水に対して常に飽和した状態を考える。氷の飽和水蒸気圧 p i は水の飽和水蒸気圧 p w よりも低いため,この雲内の水蒸気は氷に対しては過飽和となる。このため氷晶は昇華により成長する。氷晶はさまざまな形状をもつが,図2—1に模式的に示したように,その大きさ(長さ)を L としよう。また空気と水滴と氷晶の温度 T は 260 K で一定とし,この温度において p w = 2.25 h P a ,p i = 1.99 h P a とする。なお,1 μ m = 10 − 6 m である。
(a) 単位時間あたりの L の変化量が,定数 a を用いて a ( p w − p i ) / T と書けるものとする。t = 0 において L = 0 μ m とみなせる小さな氷晶が,時刻 t においてもつ大きさ L を,p w ,p i ,a ,T ,t を用いた式で表せ。またこの式を用いて,L = 800 μ m まで成長するのに要する時間を求めよ。ただし,a = 400 μ m · K / ( s · h P a ) とする。
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(b) 氷晶は成長しながら,その L に応じた空気の抵抗を受けつつ落下する。設問(a)の氷晶の落下速度 U が定数 k を用いて U = k · L と書けるとする。この氷晶が t = 0 から t 1 まで成長しながら落下するとき,この間の氷晶の平均の落下速度 ⟨ U ⟩ を,p w ,p i ,k ,a ,T ,t 1 を用いて表せ。またこの氷晶が L = 800 μ m まで成長する間に落下する距離を求めよ。ただし,k = 1.2 × 10 3 / s とし,雲内での上昇流などの空気自体の運動は無視する。
(c) 設問(a)の氷晶の成長で使用される水蒸気は,周囲の複数の水滴の蒸発によりまかなわれているとする。これらの水滴は全て同じ半径 r をもつ球形とし,水の質量密度を ρ w とする。また氷晶の質量 M は,定数 b を用いて M = b · L 2 と書けるとする。この氷晶が L = 0 から 800 μ m まで成長するのに水滴何個分の蒸発が必要か求めよ。ただし,r = 4.0 μ m ,b = 2.3 × 10 − 14 k g / μ m 2 ,ρ w = 1.0 × 10 3 k g / m 3 とする。
(3) 降雪や氷晶由来の降雨には,落下するのに十分な大きさの氷晶の形成が必要となる。通常,空気中の氷晶核の数は,水滴を形成する微粒子と比較して非常に少ない。このため一般に水滴と氷晶が共存した雲内では,水滴の数と比較して氷晶の数は非常に少ない。いま,空気中の氷晶核の数のみが増加して,水滴を形成する微粒子と同程度となった仮想的な状況を考えてみよう。この状況では,氷晶核が少ない通常の状況と比較して,氷晶の大きさにはどのような違いが生じるか,その理由とともに 2 行程度で答えよ。
図2—1 氷晶の大きさ(長さ)L を示した模式図
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問2 次の文章を読み,以下の問いに答えよ。
図2—2は北太平洋の海面ならびに深さ 300 ,600 m における水温の平均的な分布である。水温は海面では,太平洋西部の赤道付近で 29 ℃ 以上と最も高いが,深さ 300 m と 600 m では,北緯 15 度から北緯 35 度までの間で最も高い。このような,北緯 15 度から北緯 35 度までの間で水温が最も高いという構造は,深さ 200 m から 1 k m まで見られる。深さ 1 k m より下では,水温の水平方向の変化は小さい。
(1) 下線部に関連して,赤道付近の海面の水温分布について説明した次の文章の空欄 ア ~ エ に入る適切な語句をそれぞれ答えよ。
赤道上ではコリオリの力が働かないため,海上を吹く ア と呼ばれる東風により,海面付近の暖かい水が吹き寄せられ,太平洋西部の海面の水温は高くなる。一方,ア により,赤道より少し北では イ 向き,少し南では ウ 向きのエクマン輸送が生じるため,太平洋東部の赤道上ではそれを補うように下層から冷たい水が湧き上がり,海面の水温は低くなる。この湧き上がりによる水温低下が太平洋東部で生じやすいのは,エ が浅いためである。
(2) 深さ 200 m から 1 k m では北緯 15 度と北緯 35 度の間で水温が高いという構造は,北太平洋を巡る海洋の大きな流れと対応している。どのように対応しているのかを 2 ~ 3 行程度で説明せよ。ただし,以下の語句をすべて用いること。なお,塩分の効果は無視してよい。
語句群:海水密度,海面高度,コリオリの力
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図2—2 海面ならびに深さ300,600 m における海水温の平均的な分布(単位:℃)
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(3) 海面の水温は北緯 15 度より北では北に行くほど低くなるが,同じ緯度の水温は必ずしも等しくはない。すなわち,水温の等値線は必ずしも東西方向に伸びてはいない。北緯 15 度と北緯 35 度の間では,水温の等値線が西北西—東南東方向に傾いている。設問(2)で述べた海洋の大きな流れが,どのようにしてこのような傾いた等値線分布をつくるのかを,1 ~ 2 行程度で説明せよ。
(4) 北緯 40 度より北では,海面の水温の等値線は,北緯 15 度から北緯 35 度までの海域とは反対に,西南西—東北東方向に傾いている。このことから,北緯 40 度より北の海面付近における海洋の大きな流れが,熱を正味で北向きと南向き,どちらに輸送していると考えられるのかを,理由とともに 2 ~ 3 行程度で説明せよ。
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第3問 地震と地質に関する次の問い(問1~2)に答えよ。
問1 図3—1は,ある沈み込み帯でのプレートが沈み込む方向(東西方向)に沿った鉛直断面と,太黒線で示された幅 220 k m の陸域下におけるP波速度を表したものである。陸の東端を原点とし,水平西向きに x 軸,鉛直下向きに z 軸をとる。多数の灰色点および黒点L~Nは断面上にある地震の震源を,線影(A)~(C)は地震のグループを示す。陸上には,①~⑫で示された地震観測点が x 軸上に 20 k m の等間隔で配置されている。陸域下におけるP波速度は深さのみで決まり,z < 40 k m で 6.0 k m / s ,z ≧ 40 k m で 8.5 k m / s とする。この断面に見られる地震について,以下の問いに答えよ。簡単のため,地球の曲率,断層の大きさ,および地震観測点の標高は無視できるものとする。なお,計算には以下の関係を使用してもよい。
tan 15 ∘ = 0.27 tan 30 ∘ = 0.58
図3—1 左:沈み込み帯の断面における震源分布および地震のグループ。右:陸域下のP波速度の鉛直分布(実線)。
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(1) 以下の文の空欄 ア ~ エ に入る適切な語句を,それぞれ答えよ。
沈み込み帯で発生する地震は,その発生する場所によって大きく 3 つのグループ(A)~(C)に分けることができる。グループ(A)は陸のプレート内で発生する浅い地震で,グループ(B)はプレート ア で発生する イ 断層型の地震である。グループ(C)は沈み込むプレート内で発生し,その分布は深さ 700 k m 程度の地下深部にまで及ぶ。このような深部で発生する地震は ウ と呼ばれ,これらの震源が分布する面は,その存在を明らかにした 2 人の地震学者の名前にちなんで エ と呼ばれる。
(2) 図3—1中のグループ(A)に属する点Lを震源とする地震は,x = 160 k m ,z = 30 k m の,紙面に垂直な傾斜 60 ∘ W の断層面で発生した正断層型の地震であった。図3—2の黒丸は,観測点①~⑫で観測された,この地震のP波初動の走時 t を示す。走時曲線は,直接波の走時(曲線1)と,z = 40 k m のP波速度の境界に 45 ∘ で入射する屈折波の走時(直線2)で表すことができる。以下の問いに答えよ。
(a) 曲線1および直線2で示された走時 t (単位:s )を x (単位:k m )で表す式をそれぞれ答えよ。直線2については導出の過程を示すとともに,傾きと切片を有効数字 2 桁の値で表せ。
(b) 曲線1で示されるP波初動(観測点④~⑫)のうち,引き波が観測される観測点と,そのように考えられる根拠を説明せよ。図を用いて説明してもよい。
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図3—2 点Lで発生した地震の,陸上地震観測点におけるP波初動の走時(黒丸)と計算された走時曲線
(3) 図3—1中の点MおよびNを震源とする地震について,観測点①~⑫で観測されるP波初動の押し引き分布について考える。グループ(B)に属する点Mの地震は,震源が x = 10 k m ,z = 45 k m ,紙面に垂直な傾斜 15 ∘ W の断層面で発生し,グループ(C)に属する点Nの地震は,x = 130 k m ,z = 115 k m ,紙面に垂直な傾斜 75 ∘ W の断層面で発生した。また点Mで示される地震のP波初動は,観測点①と②~⑫とで押し引きが異なっていた。以下の問いに答えよ。
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(a) 点Mの地震のP波初動にあたる地震波は,観測点①~⑫までどのように伝わるか,その伝播経路について最も適切に示しているものを以下の図㋐~㋓から選べ。また,観測点①ではP波初動が押し波か引き波のどちらであるか答えよ。なお,図㋐~㋓は水平方向に対して深さ方向を 3 倍に拡大してあることに注意せよ。
(b) 点Nの地震は,プレートの沈み込み方向に押される力により発生した。この地震のP波初動が押し波である観測点を①~⑫から全て選んで答えよ。
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問2 図3—3は,ある地域の地質図である。破線は 20 m ごとの等高線である。この地質図について,以下の問いに答えよ。なお,地層の逆転や褶曲はないものとする。
図3—3 ある地域の地質図
(1) 以下の文中の ア ~ エ について,それぞれ適切な語句や数字を選んで答えよ。
F層は走向が ア:東西・南北 で,傾斜が イ:東・西・南・北 に約 ウ:15・30・45・60 度であり,厚さが約 エ:14・28・42・56・70・84 m である。
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(2) G層は凝灰岩であり,地域間の地層の対比に利用できることが判明した。このような対比に利用できる地層を何というか答えよ。また,そのような地層として望ましい条件を 2 つ挙げ,それぞれ 1 行程度で説明せよ。
(3) E層は,砕屑粒子からなる堆積岩である。その砕屑粒子の粒径を測定したところ,0.002 ~ 0.05 m m であった。この堆積岩の名称を答えよ。
(4) 図3—3の地質図から,この地域の地史について考える。岩脈CとG層の年代測定を行ったところ,それぞれ 260 万年前,6600 万年前の年代値を得た。
(a) F層に含まれる化石として,適当なものを以下の選択肢から選んで答えよ。
選択肢:アンモナイト,イノセラムス,コノドント,三葉虫,トリゴニア,ヌンムリテス(カヘイ石),フズリナ(紡錘虫)
(b) 図3—3の地質図から読み取ることができるA~Hの地層や岩脈の形成順序を,以下の語群に含まれる語を全て用いて 3 行程度で説明せよ。
語群:中生代,新生代,第四紀,傾斜,貫入
(5) H層に含まれる礫からある鉱物を取り出し,その鉱物について半減期 7.0 × 10 8 年の放射性同位体Xを用いて放射年代を測定した。分析の結果,この鉱物の形成時に含まれていた放射性同位体Xの 40 % が放射壊変して別の安定同位体に変わっていたことが判明した。この鉱物の形成年代を,有効数字 1 桁で答えよ。計算過程も示すこと。必要であれば log 10 2 = 0.30 ,log 10 3 = 0.48 を使用してよい。
第1問 星団の年齢と、太陽風のとどく所 答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 前半(問1)は「星団の HR 図から、距離・光度・質量・年齢を順に引き出す」問題。流れは1本道で、年周視差 → 距離 → 見かけの明るさと距離から光度 → 質量と光度の関係から質量 → 質量と寿命から年齢、と進む。
年周視差と距離 :地球が太陽のまわりを回るので、近い星は1年の間に少しずれて見える。そのずれの角(年周視差)が 1 ″ のときの距離を 1 パーセクと決めてあるので、距離(パーセク)は年周視差(秒)の逆数になる。
見かけの明るさと光度 :星が出す光は、星を中心とする球面に一様に広がる。距離 d の所で 1 m² が受けるエネルギー(見かけの明るさ F )は、光度 L を球の面積で割ったもの:F = L 4 π d 2 。
後半(問2)は太陽。表面(光球)とコロナの温度から出る光の波長、太陽風が運ぶ質量と圧力、そして太陽で起きた爆発の影響が地球にとどくまでの時間を考える。
問1(1) d A = 1 0.0025 = 400 p c , d B = 1 0.00078 = 1282 p c
星団B の方が約 3 倍遠い。遠い星ほど年周視差が小さく測りにくいが、近年は 0.001 ″ より小さい年周視差も測れるようになった、というのが問題の書き出しの意味。
答え 星団A 1 0.0025 = 4.0 × 10 2 p c ,星団B 1 0.00078 = 1.28 × 10 3 → 1.3 × 10 3 p c
問1(2) HR 図のうち、左上から右下へ斜めにのびる帯が主系列。その帯のいちばん上(左上の端)の星が、主系列で最も明るい星。
星団A の図は、ほぼ全体が主系列の1本の帯で、左上の端の点は約 1.4 × 10 − 8 W / m 2 にある。選択肢では 1 × 10 − 8 。
星団B の図には3つの部分がある。右下から左上へのびる主系列の帯は、約 8000 K・2 × 10 − 14 W / m 2 あたりで止まり、そこから右上へ折れ曲がる(巨星へ進む星の列)。左下の、暗いのに高温な列は白色矮星。主系列の上の端は 2 × 10 − 14 で、2 × 10 − 12 は巨星の列の先、2 × 10 − 17 は主系列の暗い方の端なので、どちらも「最も明るい主系列星」ではない。
答え 星団A 1 × 10 − 8 W / m 2 ,星団B 2 × 10 − 14 W / m 2
問1(3) 見かけの明るさの式を光度について解くと L = 4 π d 2 F 。距離をメートルに直すと
d B = 1282 × 3.1 × 10 16 = 3.97 × 10 19 m
L = 4 π × ( 3.97 × 10 19 ) 2 × 2 × 10 − 14 ≈ 4.0 × 10 26 W
太陽の光度 L s = 4 × 10 26 W とほぼ同じになる。星団B の主系列の上の端にいるのは、太陽とよく似た星だということ。
答え 4 × 10 26 W ( L = 4 π d 2 F , d = 1.28 × 10 3 p c )
問1(4) M M s = ( L L s ) 1 4 = 1 1 4 = 1
これは第1式の使える範囲(0.43 M s < M ≦ 2 M s )に入っているので、第1式でよい。
式を選ぶときは、「求めた質量がその式の範囲に入っているか」を確かめる。もし (2) で巨星の値 2 × 10 − 12 を選ぶと光度は約 100 倍になり、第1式では 3 倍を超えて範囲外、第2式を使うことになる。
答え 1 倍( L / L s = 0.99 ≈ 1 なので 0.43 M s < M ≦ 2 M s の式で M / M s = 1 1 / 4 = 1 )
問1(5) 星団の星は、同じガスの雲からほぼ同時に生まれたと考えてよい。主系列にいる間は、中心で水素をヘリウムに変えて光る。使える燃料は質量に比例し、使う速さは光度で、光度は質量の約 4 乗で大きくなるので、重い星ほど寿命が短い 。
時間がたつと、重く明るい星から順に燃料を使いきって主系列を離れ、巨星になる。だから、今も主系列に残っている星のうちいちばん明るい星(転向点の星)は、「ちょうど今、寿命をむかえた星」。その寿命が、星団が生まれてからの時間=星団の年齢になる。
星団B の転向点の星は太陽とほぼ同じ質量なので、年齢は太陽の寿命と同じ約 100 億年。デモでは星を同時に生まれさせて時間を進め、主系列の上の端が下がっていくのを見せている。
答え 星団の星はほぼ同時に生まれ,重く明るい星ほど寿命が短く先に主系列を離れるので,まだ主系列に残る最も明るい星の寿命が経過した時間に等しいから。
問1(6) 散開星団は、銀河の円盤の中で最近生まれた若い星の集まり。球状星団は、銀河ができたころに生まれた年老いた星の集まり。つまり「若い方」が散開星団。
星団A は、主系列が高温で明るい方まで続いていて、転向点も巨星も見えない。(3) と同じ計算をすると、いちばん明るい星は距離 400 pc・10 − 8 W / m 2 から光度が太陽の約 5 × 10 4 倍、質量は第2式で太陽の約 20 倍、寿命は数百万年しかない。そんな星がまだ残っているのだから、星団A は数百万年以下の若い星団。
星団B は、転向点が低温側(太陽くらいの星)にあり、巨星の列や白色矮星まであるので、約 100 億年の年老いた星団(球状星団)。
答え 星団A。高温で明るい主系列星まで残っていて若いから。Bは転向点が低温側にあり巨星や白色矮星もある年老いた星団(球状星団)。
問2(1) 太陽の中心では核融合でエネルギーが生まれる。中心に近い所では、エネルギーは光(放射)として少しずつ外へ運ばれる。外側(光球に近い所)では、ガスがわき上がったり沈んだりする対流 で運ばれる。光球の表面の「粒状斑」のまだら模様は、この対流のてっぺんが見えているもの。
黒点は、強い磁場 が対流による熱の運び上げをじゃまするので、まわりより温度が低く暗く見える。フレアやコロナ質量放出が黒点の多い時期に多いことも、磁場が太陽の活動を動かしていることを示す。
高緯度で見られる、宇宙から入ってきた高エネルギーの荷電粒子が大気の分子や原子にぶつかって光る現象はオーロラ 。
問2(2) ウィーンの変位則:放射のいちばん強い波長 λ max は温度 T に反比例し、λ max T は一定。その値は、問題の光球の値から出せる。
λ max T = 5.0 × 10 − 7 × 5.8 × 10 3 = 2.9 × 10 − 3 m · K
λ max = 2.9 × 10 − 3 2.0 × 10 6 = 1.45 × 10 − 9 m
温度が約 350 倍なので、山の波長は約 350 分の 1 になる。
答え 1.5 × 10 − 9 m ( λ = 5.0 × 10 − 7 × 5.8 × 10 3 2.0 × 10 6 = 1.45 × 10 − 9 )
問2(3) 可視光線の波長はおよそ 3.8 × 10 − 7 ~7.7 × 10 − 7 m 。光球の山 5.0 × 10 − 7 m はその真ん中なので、アは可視光線。
コロナの山 1.5 × 10 − 9 m (約 1.5 nm)は、紫外線よりさらに短く、X線の波長。選択肢では「紫外線・X線」。実際、コロナは X 線で撮ると明るく光って見える。ガンマ線はさらに短い(10 − 11 m くらいより短い)ので当てはまらない。
問2(4)(a) 太陽風が球対称で定常なら、地球軌道の球面(半径 1 天文単位)を1秒間に通りぬける質量が、太陽が1秒間に失う質量。単位時間・単位面積あたりに運ばれる質量は ρ V なので
ρ V × 4 π r 2 = 1.6 × 10 − 20 × 4.0 × 10 5 × 4 π × ( 1.5 × 10 11 ) 2 ≈ 1.8 × 10 9 k g / s
太陽の寿命 1.0 × 10 10 年は 1.0 × 10 10 × 3.2 × 10 7 = 3.2 × 10 17 s なので、失う質量は約 5.8 × 10 26 k g 。太陽の質量で割ると 2.9 × 10 − 4 、パーセントにして有効数字1桁にまとめる。
1秒に 18 億 kg(180 万トン)も失うが、太陽全体から見るとごくわずかだと分かる。
答え 3 × 10 − 2 % ( ρ V · 4 π ( 1.5 × 10 11 ) 2 = 1.8 × 10 9 k g / s , × 1.0 × 10 10 × 3.2 × 10 7 ÷ 2.0 × 10 30 = 2.9 × 10 − 4 )
問2(4)(b) ρ V 2 = 1.6 × 10 − 20 × ( 4.0 × 10 5 ) 2 = 2.56 × 10 − 9 P a
これが距離の2乗に反比例して弱まるので、距離 r (天文単位)では 2.56 × 10 − 9 / r 2 。星間物質の圧力と等しくなるのは
2.56 × 10 − 9 r 2 = 1.0 × 10 − 13 ⟹ r 2 = 2.56 × 10 4 , r = 160
距離の2乗に反比例するのは、太陽風の速さが遠くまで変わらず、同じ量の質量が広がる球面の面積が r 2 に比例して増えるので密度が 1 / r 2 で下がるから。実際、探査機ボイジャー1号が太陽圏の外へ出たのは約 120 天文単位で、桁が合う。
答え 2 × 10 2 天文単位( ρ V 2 = 2.56 × 10 − 9 P a , r = 2.56 × 10 − 9 1.0 × 10 − 13 = 160 )
問2(5) 2つの現象の原因と、それが地球へとどく速さをくらべる。
デリンジャー現象は、フレアで強まった X 線や紫外線が地球の昼側の電離層を急に強く電離させ、短波の通信ができなくなる現象。光(電磁波)なので、1 天文単位を 1.5 × 10 11 3.0 × 10 8 = 500 s 、約 8 分でとどく。
磁気嵐は、コロナ質量放出で出たプラズマ(電気を帯びた粒子)のかたまりが地球の磁場にぶつかって起こる。プラズマの速さは数百~千数百 km/s なので、とどくまで 1~数日かかる(4 × 10 5 m / s なら約 4 日)。
だから同時に起きても、先にデリンジャー現象、あとで磁気嵐が起こる。
答え デリンジャー現象が先,磁気嵐が後。デリンジャー現象はフレアのX線・紫外線が光の速さで約8分で届いて起こり,磁気嵐はコロナ質量放出のプラズマが1〜数日かけて届いて起こるから。
第2問 雪になる氷晶と、北太平洋をめぐる海流 答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 前半(問1)は、雲の中で雪のもとになる氷晶がどう育つかの問題。カギは「氷の飽和水蒸気圧は、同じ温度の水の飽和水蒸気圧より低い」こと。水滴と氷晶がまざった雲の中は、水にとってちょうど飽和でも、氷にとっては過飽和になる。だから水滴は少しずつ蒸発し、その水蒸気が氷晶にくっついて(昇華して)氷晶だけが育つ。
計算の部分は、与えられた式をそのまま積み上げていけばよい:大きさの伸びる速さは一定 → 大きさは時間に比例 → 落ちる速さも時間に比例 → 平均の速さと落ちる距離 → 必要な水の量。
後半(問2)は、北太平洋の水温の分布図(海面・深さ 300 m・600 m)を読む問題。赤道の湧昇、深い所の暖かい水と海面の高さ、地衡流(圧力の坂とコリオリの力がつり合った流れ)、そして海流が水温の線を傾けるしくみを考える。北半球では、コリオリの力は動く向きの右にはたらく。
問1(1) 雲の水滴は、空気中の小さな粒(エーロゾル)を芯にして水蒸気が集まってできる。この芯を凝結核 という。
0 ℃ より冷えても凍っていない水滴を過冷却 水滴という。小さくきれいな水滴は、氷晶核(凍るきっかけになる粒)が無いと − 20 ℃ くらいまで凍らないことも多い。
雲の中で育った雪(氷の粒)が、落ちる途中で暖かい空気の層に入ってとけ、雨になったものを冷たい 雨という。日本の雨の多くはこの形で降る。これに対し、氷の粒を通らず、水滴どうしがぶつかって大きくなって降る熱帯の雨を「暖かい雨」という。
問1(2)(a) 単位時間あたりの L の変化(伸びる速さ)が a ( p w − p i ) T で、温度も水蒸気圧も一定なので、この速さは時間によらず一定。t = 0 で L = 0 なので、L は時間に比例する。
L = a ( p w − p i ) T t
400 × ( 2.25 − 1.99 ) 260 = 0.40 μ m / s
800 μm まで育つ時間は 800 ÷ 0.40 。約 33 分かかる。
答え L = a ( p w − p i ) T t , t = 800 × 260 400 × 0.26 = 2.0 × 10 3 s
問1(2)(b) 落ちる速さは U = k L で、L が時間に比例するので、U も時間に比例して一様に増える。
U = k a ( p w − p i ) T t
一様に増える量の平均は、最初(0)と最後の値のまん中。t = t 1 での値の半分が平均になる。
落ちる距離は「平均の速さ × 時間」。800 μm になるときの速さは k L = 1.2 × 10 3 × 800 = 9.6 × 10 5 μ m / s = 0.96 m / s 、平均はその半分の 0.48 m / s で、(a) の 2.0 × 10 3 s をかける。
落ちる距離は時間の2乗に比例する(速さが一様に増える運動と同じ形)。デモのグラフは放物線になり、平均の速さの直線と終わりの点で交わる。雪の結晶の実際の落ちる速さは約 1 m/s で、この数値は現実的。
答え ⟨ U ⟩ = k a ( p w − p i ) t 1 2 T , 9.6 × 10 2 m ( ⟨ U ⟩ = 0.48 m / s で 2.0 × 10 3 s )
問1(2)(c) 氷晶の質量は M = b L 2 = 2.3 × 10 − 14 × 800 2 = 1.47 × 10 − 8 k g 。
水滴1個の質量は、半径 r = 4.0 × 10 − 6 m の球の体積 × 密度:
4 3 π r 3 ρ w = 4 3 π × ( 4.0 × 10 − 6 ) 3 × 1.0 × 10 3 = 2.68 × 10 − 13 k g
氷晶の質量を水滴1個の質量で割れば、必要な水滴の数。約 5 万 5 千個の水滴が消えて、やっと1つの氷晶になる。
答え 5.5 × 10 4 個( b L 2 4 3 π r 3 ρ w = 1.47 × 10 − 8 2.68 × 10 − 13 )
問1(3) (2)(c) で分かったように、1つの氷晶を 800 μm まで育てるには約 5.5 万個の水滴の水が必要。ふつうは氷晶が水滴よりずっと少ないので、1つの氷晶がまわりのたくさんの水滴の水を独り占めでき、大きく育って落ちてくる。
氷晶核が増えて氷晶が水滴と同じくらいの数になると、雲の中の水(水滴から出る水蒸気)は変わらないので、たくさんの氷晶で分け合うことになる。1つの氷晶が使えるのは水滴 1 個分くらいで、M = b L 2 から L = 2.68 × 10 − 13 / 2.3 × 10 − 14 ≈ 3.4 μ m にしかならない。
小さい氷晶は落ちる速さも小さい(k L で約 4 mm/s)ので、雪や雨として落ちてきにくい。氷晶核が「少ない」ことが、大きな氷晶と降水を生む条件になっている。
答え 氷晶が小さくなる。水滴から供給される限られた水蒸気を多数の氷晶で分け合うので,1個あたりの成長量が小さく,大きく育たないから。
問2(1) 赤道の近くの海上では、北東と南東から貿易風 (東風)が吹く。この風で海面近くの暖かい水が西へ吹き寄せられ、太平洋西部に暖かい水がたまる(下線部)。
風が吹き続けると、海の上の層(エクマン層)の水は全体として、北半球では風の向きの右 90°、南半球では左 90° の向きへ運ばれる(エクマン輸送)。東風(西向きの風)の右は北 、左は南 。赤道をはさんで水が北と南へ分かれて出ていくので、その分を補うように下から冷たい水がわき上がる(赤道湧昇)。
赤道の真上ではコリオリの力が 0 なのでこの運びは起こらないが、少しずれれば起こる。デモでは、海の層を細かく分けて風の摩擦とコリオリの力のつり合いを解き、層全体の運びが風の右 90° になることを確かめている。
太平洋東部では、暖かい水が西へ運ばれて薄くなっているので、水温躍層 (水温が深さとともに急に下がる層)が浅い。浅い所にすぐ冷たい水があるので、わき上がる水が冷たく、海面の水温が下がりやすい。
答え ア 貿易風,イ 北,ウ 南,エ 水温躍層(温度躍層)
問2(2) 図2—2 の深さ 300 m・600 m では、北緯 15~35 度の水温が高い。水は暖かいほど軽い(海水密度 が小さい)ので、この海域には軽い水が厚くたまっている。
深い所(1 km より下)では水平の差が小さく、そこでの圧力がほぼそろっていると考える。圧力は上にある水の重さなので、軽い水の柱ほど高く積み上がらないと同じ重さにならない。だから北緯 15~35 度の上の海面高度 は、まわりより高い(北太平洋のまん中が山のように盛り上がる)。デモで図から読んだ水温で計算すると、25°N と 45°N の海面の高さの差は約 1.3 m になる。
海面が傾いていると、水は高い所から低い所へ押される(圧力傾度力)。北半球では流れに対して右向きにコリオリの力 がはたらき、両者がつり合うと、流れは坂を下らず坂にそって進む(地衡流)。山の北側では東向き、南側では西向きになり、高まりのまわりを時計回りにめぐる流れ、つまり北太平洋の亜熱帯循環(黒潮・北太平洋海流・カリフォルニア海流・北赤道海流)になる。
答え 北緯15〜35度の200m〜1kmは水温が高く海水密度が小さいので,その上の海面高度が周りより高い。この高まりのまわりでは外向きの圧力傾度力とコリオリの力がつり合い,時計回りの地衡流=亜熱帯循環が流れている。
問2(3) (2) の亜熱帯循環は時計回りなので、西側では南から北へ、東側では北から南へ流れる。
西側を北へ流れる黒潮は、南の暖かい水を北へ運ぶ。東側を南へ流れるカリフォルニア海流は、北の冷たい水を南へ運ぶ。その結果、同じ緯度でも西の方が暖かく、東の方が冷たくなる。
等温線でいうと、同じ水温の線が西ほど北へ押し上げられ、東ほど南へ押し下げられるので、西北西—東南東の向きに傾く。デモの箱の模型でも、時計回りの流れを入れると等温線がこの向きに傾く。
答え 時計回りの亜熱帯循環の西側で黒潮が暖水を北へ,東側でカリフォルニア海流が冷水を南へ運ぶので,同じ緯度では西ほど水温が高くなるから。
問2(4) 北緯 40 度より北では、等温線が西南西—東北東に傾いている。つまり同じ緯度なら東の方が暖かい。
これは (3) と逆の形なので、流れも逆回り、反時計回りの循環(亜寒帯循環)があると考えられる。東側では南の比較的暖かい水が北へ(アラスカ海流)、西側では北の冷たい水が南へ(親潮)運ばれている。
北へ動く水の方が暖かく、南へ動く水の方が冷たいので、運ばれる熱を足し合わせると北向きになる。流れる水の量は北向きと南向きで同じでも、温度がちがうので熱は正味で北へ運ばれる。デモで循環の向きを逆にしても、熱の運びは北向きのまま(暖かい側が必ず北へ流れる)で、変わるのは等温線の傾きだけ。
答え 北向き。等温線が西南西—東北東に傾き,同緯度では東ほど暖かい。反時計回りの亜寒帯循環で,東側のアラスカ海流が暖かい水を北へ,西側の親潮が冷たい水を南へ運ぶので,熱は正味で北へ運ばれる。
第3問 沈み込み帯の地震の波と、ななめの地層 答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 前半(問1)は、沈み込み帯の断面で起きた3つの地震の問題。地下は深さ 40 km を境に、上が 6.0 km/s、下が 8.5 km/s の2層になっている。使う考え方は2つ。
走時と屈折波 :波は速さのちがう層の境目で曲がる(スネルの法則 sin i 1 v 1 = sin i 2 v 2 )。下の層の方が速いと、ある角度(臨界角)で入った波は境目にそって速い層を進み、また同じ角度で上がってくる(屈折波・ヘッドウェーブ)。遠くの観測点では、遠回りでも速い層を通るこの波が先に着く。
初動の押し引き :断層がずれると、震源のまわりは「押される向き」と「引っぱられる向き」に4つに分かれる。P 波が最初に地面を押し上げる(押し)か引き下げる(引き)かは、震源から観測点へ波が出ていった向きで決まり、境目は断層面と、それに直角なもう1つの面(節面)。
後半(問2)は地質図の読み取りと地史。等高線と地層の境界の交わり方から走向・傾斜・厚さを出し、年代の分かった層(G 層・岩脈 C)を手がかりに地層のでき方の順番を考える。
問1(1) 沈み込み帯の地震は、陸のプレートの中の浅い地震(A)、プレート境界 の地震(B)、沈み込むプレートの中の地震(C)に分けられる。
プレート境界の地震は、沈み込む海のプレートに引きずられた陸のプレートが、ひずみに耐えきれずにはね上がって起こる。上盤(陸側)がずり上がる形なので逆 断層型。
深さ数百 km まで起こる地震は深発地震 。その震源が並ぶ傾いた面は、和達清夫とベニオフの名前をとって和達—ベニオフ帯 (深発地震面)とよばれ、沈み込んだプレートの位置を示す。
答え ア 境界,イ 逆,ウ 深発地震,エ 和達—ベニオフ帯(深発地震面)
問1(2)(a) 曲線1(直接波) :震源 L(x = 160 、z = 30 )から観測点(x 、z = 0 )へ、上の層をまっすぐ進む。距離は ( x − 160 ) 2 + 30 2 km、速さ 6.0 km/s なので、走時はそれを 6.0 で割ったもの。x = 160 で最小の 5.0 s になり、左右対称の曲線になる。
直線2(屈折波) :臨界角は sin i = 6.0 8.5 = 0.71 でほぼ 45 ∘ 。震源から境目まで下る 10 km と、境目から地表まで上る 40 km を 45 ∘ で進むので、この2つの斜めの道の長さは 2 × ( 10 + 40 ) = 50 2 km、水平には 10 + 40 = 50 km 進む。残りの水平距離 ( 160 − x ) − 50 km を境目にそって 8.5 km/s で進む。
t = 50 2 6.0 + 110 − x 8.5 = 11.8 + 12.9 − 0.118 x
傾きは − 1 8.5 = − 0.118 、切片は 24.7 s。2桁にまとめる。傾きの逆数が下の層の速さになっていることがポイント。
図3—2 の点を読むと ① 24.7 s、③ 20.0 s で、この直線にぴったり乗る。直接波と屈折波が同時に着くのは x ≈ 54 km。④(60 km)までは直接波、それより東の ①~③ では屈折波が先に着く。
答え 曲線1 t = ( x − 160 ) 2 + 30 2 6.0 ,直線2 t = 110 − x 8.5 + 50 2 6.0 = − 0.12 x + 25 (傾き − 0.12 s / k m ,切片 25 s )
問1(2)(b) 正断層は、左右に引っぱられて上盤がずり下がる断層。引っぱる力の軸が水平、押す力の軸が鉛直になる。押す軸の向きへ出ていく波は「引き」、引っぱる軸の向きへ出ていく波は「押し」になる。だから震源の真上に近い向きへ出る波は引き、水平に近い向きへ出る波は押し。
境目の2つの面を地表までのばす。断層面は 60 ∘ W に傾いているので、震源から東へ上がって地表に出る点は x = 160 − 30 tan 30 ∘ = 160 − 17 = 143 km。もう1つの節面はそれに直角で東に 30 ∘ 傾き、西へ上がって x = 160 + 30 tan 30 ∘ = 160 + 52 = 212 km で地表に出る。
この2点の間(143~212 km)は、真上に近い向きへ出た波がとどく所なので引き。観測点 ④~⑫ のうち、この範囲にあるのは ⑨(160)・⑩(180)・⑪(200)。⑧(140)はわずかに外で押し、⑫(220)も外で押し。
答え ⑨,⑩,⑪。正断層では押す力の軸が鉛直で,真上に近い向きへ出る波は引きになる。節面は地表の x = 160 − 30 tan 30 ∘ ≈ 143 と x = 160 + 30 / tan 30 ∘ ≈ 212 k m で,その間の⑨⑩⑪が引き。
問1(3)(a) 点M は深さ 45 km で、境目(40 km)より下の速い層にある。下の層の中では波はまっすぐ進み、境目で上の遅い層に入るとき、鉛直に近づくように曲がる(入る角より出る角が小さい)。
遠くの観測点へは、下の層を境目のすぐ下までほぼ水平にまっすぐ進み、境目で曲がって約 45 ∘ で上がってくる道がいちばん早い。これが ㋓ の形。㋐ は境目で曲がっていない、㋑ は1点に集まってから広がっていて、どれも波の進み方に合わない。㋒ は境目まで上がってから境目にそって進むが、下の層の中で折れ曲がる道はまっすぐより遠回り。デモで ⑫ までの時間をくらべると、㋓ の形が 29.4 s、㋒ が 30.0 s、㋐ が 34.6 s。
押し引き:点M の地震は低角(15 ∘ W )の逆断層。押す軸は水平に近く(西へ 30 ∘ ほど上がる向き)、引っぱる軸は鉛直に近い。真上に近い向きへ出る波は押し、西へ水平に近く出る波は引き。①(点M の東 10 km)へはほぼ真上へ出る波がとどくので押し、②~⑫ へは西向きに寝た波がとどくので引き。
境目で曲がることで、押し引きの境目は x = 18.8 km になり、② は引きの側に入る。もし曲がらずにまっすぐ進むとすると境目は 10 + 45 tan 15 ∘ = 22 km になって ② も押しになり、「① と ②~⑫ で異なる」と合わない。
問1(3)(b) 点N の地震は、沈み込むプレートの中で、沈み込む向き(西へ約 30 ∘ 下がる向き)に押されて起こった。断層面(75 ∘ W )ともう1つの節面(15 ∘ E )の間の角を2等分する向きのうち、沈み込む向きにそろうのが押す軸で、それに直角な、鉛直から西へ 30 ∘ 傾いた上向き(水平から測ると 60 ∘ )が引っぱる軸。
引っぱる軸に近い向きへ出る波が押しになる。上へ出る波では、断層面(東へ上がる、鉛直から 15 ∘ )より西寄りに出る波はすべて押し、それより東へ寝た波は引き。
N は深さ 115 km で、下の層の 75 km をまっすぐ上がり、境目で鉛直に近づくように曲がる。鉛直から 15 ∘ で出た波が地表に着くのは、下の層で東へ 75 tan 15 ∘ = 20 km、上の層で約 7.4 km の、N から東へ約 27.5 km、x ≈ 102.5 km。これより西(x が大きい)の ⑦(120)~⑫ が押し、⑥(100)より東は引き。
曲がらずにまっすぐとすると 130 − 115 tan 15 ∘ = 99 km になり ⑥ も押しになってしまう。(a) で確かめた「境目で曲がる」ことを使うのがポイント。
問2(1) 走向 :同じ地層の境界が同じ高さの等高線と交わる点を結んだ線が走向。図3—3 で F 層の上下の境界(E/F、F/G)が 100 m の等高線と交わる点などを探すと、同じ高さの点はほぼ東西に並ぶ(南北にはずれない)。走向は東西。
傾斜 :同じ境界が、北の点ほど低い高さの等高線と交わる。たとえば図の西の端近くの D/E 境界は、南の端から北へ 142 m の所で 120 m、160 m の所で 100 m の等高線と交わる。北へ約 18 m 進むと 20 m 下がるので、北に傾斜し、その角は約 45 ∘ (水平に進んだ分だけ下がる)。ほかの境界の点もまとめて計算すると 46 ∘ ほどで、選択肢では 45 ∘ 。
厚さ :F 層の上の面(E/F)と下の面(F/G)の高さの差を、同じ場所で比べると約 40 m(等高線2本分)。傾いた地層の厚さは、鉛直の幅に cos (傾斜)をかけたもの:40 × cos 45 ∘ ≈ 28 m。
選択肢の厚さがすべて 14 の倍数なのは、45 ∘ の地層で等高線 1 本分(20 m)の高さの差が 20 cos 45 ∘ ≈ 14 m の厚さになるから、と考えると筋が通る。
問2(2) 離れた地域の地層を「同じ時代にできた」と結びつける(対比する)のに使える地層を鍵層 という。火山灰(凝灰岩)の層は代表的な鍵層。
鍵層として望ましいのは、まず、ごく短い期間に広い範囲へほぼ同時に積もった層であること。火山の大噴火の火山灰は、数日~数週間のうちに数百 km 先まで降り積もるので、どこでも「同じ時刻の面」になる。
もう1つは、色・鉱物の組み合わせ・ふくまれるガラスの成分など、ほかの層と見分けやすい特徴をもつこと。似た層がたくさんあると、どれとどれが同じか決められない。
答え 鍵層。条件1:短い期間に広い範囲へほぼ同時に堆積した層であること。条件2:色や鉱物の組成など,ほかの層と区別しやすい特徴をもつこと。
問2(3) 砕屑岩は、粒の大きさ(粒径)で名前が決まる。2 mm より大きいのが礫岩、1 16 ~2 mm が砂岩、1 16 mm より小さいのが泥岩。泥はさらに、大きい方をシルト、小さい方を粘土に分ける。この境は区分の仕方でちがい、地質でよく使う区分では 1 256 ≈ 0.004 mm、土の区分では 0.002 mm。
E 層の粒は 0.002 ~0.05 mm で、これは 0.002 mm を境にする区分でのシルトの範囲(0.002 ~0.05 mm)そのもの。砂(0.06 mm くらいより大きい)より小さく、粘土(0.002 mm より小さい)より大きい、ちょうどシルトの大きさ(1 256 mm を境にすると下の端が粘土にかかるが、ほとんどはシルト)。泥岩のうち、シルトでできたものの名前で答えるので「シルト岩」。高校の教科書には、シルト岩と粘土岩をまとめて「泥岩」と呼ぶものもあるので、答えには「シルト岩(泥岩)」と添えておく。
問2(4)(a) 地層の逆転は無いので、G 層の上にある F 層は G 層より新しい。G 層は 6600 万年前で、これは中生代と新生代の境目。だから F 層は新生代の地層で、新生代の示準化石をふくむ。
選択肢のうち、アンモナイト・イノセラムス・トリゴニアは中生代、コノドント・三葉虫・フズリナは古生代(コノドントは三畳紀まで)の化石。新生代(古第三紀)の示準化石はヌンムリテスだけ。
問2(4)(b) H・G・F・E・D 層は、どれも走向が東西で北へ 45 ∘ 傾いた、平行な境界をもつ一続きの地層。下の方が古いので H → G → F → E → D の順に積もった。G 層が 6600 万年前なので、F・E・D 層は新生代に堆積した。H 層は G 層より古い(6600 万年前より前)。また、H 層にふくまれる礫の鉱物は 5 億年前にできた(問2(5) で求める年代)ので、H 層はそれより新しい。5 億年前~6600 万年前には古生代の大半と中生代の全部が入るので、H 層の時代は「5 億年前より後で 6600 万年前より前」までしか決まらない。図では H 層と G 層が平行に重なっているが、それだけでは「中生代」と言い切る根拠にならないので、答えでは時代名を書かずに「5億年前より後に」と書く。語群の「中生代」は、G 層の年代(6600 万年前=中生代の終わり)のところで使う。
その上の B 層・A 層は、境界が等高線にそっていて水平。B 層の下の面は、傾いた D 層や E 層を斜めに切っている。つまり、D~H 層が積もったあと、地層全体が北へ傾斜し、陸になって侵食され、その削られた面(不整合面)の上に B 層・A 層が水平に積もった。
岩脈 C は、A~H のすべての地層を南北につらぬいているので、いちばん新しい。その年代 260 万年前は第四紀のはじまりにあたり、このころマグマが貫入した。
答え 5億年前より後にH層,中生代末(6600万年前)にG層,新生代にF・E・D層が堆積した。その後これらが北へ傾斜し侵食されて不整合ができ,B層・A層が水平に堆積した。第四紀のはじめに岩脈Cが全層を貫入した。
問2(5) 形成時にあった放射性同位体 X の 40 % がこわれたので、残りは 60 %。半減期 T ごとに半分になるので、経過した時間を t とすると
( 1 2 ) t / T = 0.6 = 3 5
t T log 10 2 = log 10 5 3 = 1 − log 10 2 − log 10 3 = 1 − 0.30 − 0.48 = 0.22
t = 7.0 × 10 8 × 0.22 0.30 ≈ 5.1 × 10 8 年
log 10 5 = 1 − log 10 2 を使うのがコツ。半減期(7 億年)より短い時間なので、半分より多く残っていることとも合う。
この年代は、礫の中の鉱物ができた時代(約 5 億年前、古生代の初め)。H 層そのものは、この礫が削られて運ばれてきたあとの、もっと新しい時代(5 億年前より後で 6600 万年前より前)にできた。問2(4)(b) で H 層の時代を「5億年前より後に」と書いたのはこのため。
答え 5 × 10 8 年前( t = 7.0 × 10 8 × 1 − 0.30 − 0.48 0.30 = 5.1 × 10 8 )