PDFの 44 枚目
地 学
第1問 宇宙に関する次の問い(問1~2)に答えよ。
問1 地球から天体までの距離を求めるには様々な方法がある。天体までの距離を求める方法について,以下の問いに答えよ。数値での解答には有効数字 2 桁で単位とともに答え,計算の過程も示せ。
(1) 太陽,金星,地球がほぼ一直線上に並ぶ位置にあるとき,地球上からは,太陽の表面に金星の影(太陽の光球を背景とした黒い円)を観測できる。ここでは簡単のため,これら 3 天体の中心が完全に一直線上に並んでいるとしよう。太陽と金星の間の距離は,太陽と地球の間の距離の 0.72 倍である。図1—1のように観測者Aは太陽,金星,地球の中心を結ぶ線分上に,観測者Bはその線分から垂直方向に直線距離 d 離れた場所にいるとする。観測者AとBは金星の影を同時に観測し撮影する。両者から見える太陽表面での影の中心位置は距離 D ずれている。観測者Aから太陽表面までの距離を L とする。ただし,天体間の距離は天体のサイズに比べて非常に大きい。
(a) 距離 D は d の何倍か求めよ。
(b) 観測者Bから送られてきた写真を,観測者Aが自分で撮影した写真と詳しく比較したところ,両者の観測した金星の影の中心位置は,図1—1のように角度にして θ ずれていた。距離 L を d と θ を用いて表せ。
(c) 距離 d が 3000 k m のとき,θ は 11 ″ であった。この観測結果から,距離 L を求めよ。ただし,1 ″ は 4.8 × 10 − 6 ラジアンとしてよい。また,必要であれば,θ が微小の時,tan θ ≒ θ と近似してよい。
PDFの 45 枚目
図1—1 金星の影の観測を表す模式図。天体間の距離は,実際には天体のサイズに比べて非常に大きい。
(2) 地球からある銀河までの距離は,その銀河内にある I a 型超新星や脈動型変光星を観測することで推定できる。
(a) I a 型超新星は,爆発に伴う急激な増光後,数十日かけて徐々に減光していくが,最も明るくなったときの絶対等級は − 19.5 等であることが知られている。ある遠方の銀河で I a 型超新星が観測され,最も明るくなったときの見かけの等級は 15.5 等であった。地球からこの銀河までの距離は何パーセクか推定せよ。
(b) 距離測定のための観測対象として I a 型超新星と脈動型変光星を比較したとき,それぞれの利点として考えられることを 1 ~ 2 行ずつ述べよ。
PDFの 46 枚目
問2 ケプラーの法則に従って,太陽を焦点の 1 つとする軌道長半径 a ,離心率 e の楕円軌道を描く,公転周期 P の彗星があるとする。このとき,以下の問いに答えよ。なお,地球もケプラーの法則にしたがうものとし,その軌道長半径 a E と公転周期 P E に対して,K = a E 3 / P E 2 とする。
(1) 彗星の公転周期 P を a ,K を用いて表せ。
(2) 太陽と彗星を結ぶ線分がある時間 τ (ただし,τ < P とする)の間に通過する面積を S とするとき,S / τ を a ,e ,K を用いて表せ。なお楕円の面積が π ( 1 − e 2 ) a 2 と書けることを用いてよい。
(3) 図1—2の太線部分のように,近日点をはさんで角度 θ にわたって,この彗星の核から H 2 O の氷が気化(蒸発)し,H 2 O ガスが放出されたとする。この過程で単位時間当たりに放出される H 2 O 分子の個数 Q は,太陽に近いほど大きく,太陽と彗星の間の距離 r を用いて Q = A / r 2 (A は定数)と表せるとする。以下では図1—2の角度 θ にわたるガスの総放出量を,順を追って考える。
(a) ある微小な時間 Δ t の間に,彗星の公転運動により太陽と彗星を結ぶ線分が Δ θ だけ回転したとする。この Δ t の間に線分の通過する面積が Δ S であったとして,この間の H 2 O ガス放出量 Q Δ t を A ,Δ θ ,Δ t ,Δ S を用いて表せ。ただし,ここでは Δ t が十分小さいことを用いて Δ S = r 2 Δ θ / 2 と近似すること。
(b) r = 2.0 天文単位のときに Q = 2.0 × 10 27 個/秒だったとする。a = 9.0 天文単位,e = 0.80 ,θ = 2 π / 3 ラジアンとして,角度 θ にわたる彗星の H 2 O ガスの総放出質量を k g の単位で求めて有効数字 2 桁で答えよ。計算の過程も示すこと。ただし,H 2 O 分子 1 個の質量を 3.0 × 10 − 26 k g とする。また,ガスの放出に伴う彗星の軌道の変化は無視できるものとする。
PDFの 47 枚目
(4) 公転軌道を保って太陽に繰り返し接近する彗星では,近日点に近づくたびに H 2 O の氷の気化(蒸発)によるガス放出が繰り返されるが,その放出量は長期的に減っていく傾向が想定される。そのように考えられる要因 1 つを 1 ~ 2 行で答えよ。
図1—2 彗星が描く楕円軌道と太陽の位置関係
PDFの 50 枚目
第2問 大気と海洋に関する次の問い(問1~2)に答えよ。
問1 次の文章を読み,以下の問いに答えよ。
地表付近の水蒸気を含む未飽和の空気塊が上昇し続け,その間,周囲と熱のやりとりがないとすると,空気塊の温度は乾燥断熱減率にしたがって低下する。やがて空気塊の水蒸気が飽和に達すると,その後は高さとともに湿潤断熱減率にしたがって温度が低下する。最初に飽和に達する高さを( ア )といい,これは雲底の目安になる。
気温減率が乾燥断熱減率よりも大きい場合の大気の状態を( イ )といい,湿潤断熱減率よりも小さい場合を( ウ )という。その中間にある場合には,条件つき不安定という。このように,対流圏においては高さとともに気温が低下しているのが一般的だが,( エ )と呼ばれる,高さとともに気温が上昇する領域が形成されることもある。
(1) 空欄(ア)~(エ)に入る適切な語句をそれぞれ答えよ。
(2) 下線部について,どのような条件が満たされると不安定になるか,1 行程度で説明せよ。
(3) 図2—1の(a)と(b)のうち,積乱雲がより発生・発達しやすいと考えられるのはどちらか答えよ。また,その理由を 3 行程度で説明せよ。
(4) 対流圏において空欄(エ)が形成される仕組みを 2 つ挙げ,それぞれ 2 行程度で説明せよ。
PDFの 51 枚目
(5) ある空気塊が,山頂の標高が 3000 m の山を越える場合を考える。標高 0 m の風上側山麓における空気塊の温度を T = 26 ℃,露点を T d = 18 ℃ とし,空欄(ア)の高さ h (単位は m )は h = 125 ( T − T d ) で与えられるとする。山頂を越えるときにちょうど雲が消失するとして,空気塊が標高 0 m の風下側山麓に達した時の温度を有効数字 2 桁で求めよ。ただし,乾燥断熱減率を 1.0 ℃/ 100 m ,湿潤断熱減率を 0.50 ℃/ 100 m で一定とし,計算の過程も示すこと。
図2—1 気温の高度分布の模式図。実線は観測された状態曲線(高度による気温変化),破線は乾燥断熱線(乾燥断熱減率にしたがう気温変化),鎖線は湿潤断熱線(湿潤断熱減率にしたがう気温変化)を表す。点A,B,C,Dはそれぞれ交点を表す。点Dは文中の空欄(ア)に相当し,点A,C,Dのそれぞれの高度および気温は(a)と(b)で等しい。
PDFの 52 枚目
問2 次の文章を読み,以下の問いに答えよ。
図2—2は長期平均した海面高度(ジオイド面からの海面高低差)分布である。①海面高度の水平分布から,赤道付近を除き,大まかな海流の方向を推定することができる。日付変更線(経度 180 度)に沿う海面高度の緯度変化から,②南緯 50 ~ 60 度に周囲の緯度帯に比べて速い海流が分布していることがわかる。図2—3は,日付変更線付近の経度での水深 0 ~ 2000 m における,長期平均した水温の南北断面図である。③南北 30 度付近で 10 ℃ 前後の等温線が下に凸の形状をしている。この構造は,海面直上の風によって引き起こされる海洋表層の沈降流と関係していると考えられている。北緯約 35 度から約 45 度にかけて,4 ℃ 以上の等温線が右上方向に傾いている。このことは,各水深で,北ほど冷たく高密度の海水が分布することを示している。この緯度帯での,各水深における海水圧力の南北勾配(絶対値)が,深くなるにつれて(ア)(大きく,小さく)なることを考慮すると,海面で(イ)(東,西)向きの海流は,深くなるにつれて(ウ)(強く,弱く)なる,と推定できる。
(1) 下線部①の海流の方向を推定できる理由について,2 行程度で説明せよ。
(2) 下線部②の海流の名称を答えよ。また,周囲の緯度帯に比べて海流が速いと判断できる理由を 2 行程度で説明せよ。
(3) 下線部③の沈降流が生じる理由を,上空の風の向きと強さに関連付けて,2 行程度で説明せよ。
(4) 下線部(ア)~(ウ)に入る適切な語句を選択せよ。
PDFの 53 枚目
図2—2 長期平均した海面高度分布(等値線間隔0.1 m,H:極大,L:極小)
図2—3 日付変更線(経度180度)付近を南北に横切る長期平均水温断面図(単位℃,等値線間隔2℃)
PDFの 56 枚目
第3問 地球の形・地質・地震に関する次の問い(問1~3)に答えよ。
問1 地球の形に関する以下の問いに答えよ。
(1) エラトステネスは地球が球形であると仮定し,ほぼ同じ経度にある 2 地点間の緯度差と距離から地球の全周の長さを求めた。その後,地球が赤道方向に膨らんだ回転だ円体に近いことが 18 世紀の幾何学的測量で確かめられた。どのような根拠に基づいてそのことが確かめられたのか,地球の断面図を描いて緯度の定義を示すとともに 2 行程度で説明せよ。
(2) 地球の形は,地球を構成する物質による万有引力と自転による遠心力との合力である重力に垂直な地表面の形と考えることができる。
(a) 北極と赤道において同一の振り子で測定した周期はどちらが何 % 短くなるか,計算の過程を示すとともに有効数字 1 桁で答えよ。簡単のため,地球は半径 6 × 10 3 k m の球体で,万有引力だけにより生じる加速度の大きさ(10 m / s 2 )は地球上のどこでも一定としてよい。また,測定環境は緯度によらず空気抵抗やコリオリ力も無視できるとする。遠心力により生じる加速度の大きさは,自転軸からの距離 r ,自転角速度 ω (ラジアン/s)を用いて r ω 2 で与えられること,振り子の周期は重力加速度の大きさの平方根に反比例すること,微小量 Δ に対して 1 − Δ ≒ 1 − 1 2 Δ が成り立つことを用いてよい。円周率は 3 とせよ。
(b) ニュートンは,地球を構成する物質が一様な密度をもった流体である場合に地球の形が回転だ円体になることを示し,その偏平率として 1 / 230 を得た。一方,ホイヘンスは地球中心に地球の質量が集中していると仮定して地球の形を求め,その偏平率として 1 / 578 を得た。現実の地球の赤道半径は約 6378 k m ,極半径は約 6357 k m である。現実の地球の偏平率と,ニュートンとホイヘンスが求めた 2 つの偏平率の大小関係を,地球の内部構造と関係付けて 2 行程度で説明せよ。
PDFの 57 枚目
(3) 近年の観測の結果,地球表層の質量分布の変化によって地球の形が時間的にも変動することがわかってきた。広域的な質量分布の変化を引き起こす現象の一つに氷床の変動がある。第四紀には,数万年~ 10 万年程度の周期で氷期・間氷期が繰り返した。最終氷期に厚さ最大数 k m の氷床で覆われていた北極域周辺の陸域では,浅瀬に生息する貝類の化石に基づいて過去の海面の高さが復元されている。図3—1は,約 1 万年前から現在までのそれらの化石の年代と採取地の現在の標高を示す。図から読み取れることと,その原因として考えられることを,下記の語句をすべて用いてあわせて 5 行程度で説明せよ。ただし,グラフの傾きがしだいにゆるやかになっている点は考慮しなくてよい。
語群:最終氷期,急速な融解,アイソスタシー,アセノスフェア
図3—1 北極域周辺の陸域における貝類の化石の年代と採取地の現在の標高
PDFの 58 枚目
問2 地質に関する以下の問いに答えよ。
図3—2は,ある場所における露頭の地質スケッチである。ただし,D 層より上位の各堆積岩については,整合的に堆積したことが観察されている。
図3—2 ある露頭の地質スケッチ。なお石灰岩中に見られる破線は,層理面を示す。
PDFの 59 枚目
(1) 境界 X と Y をそれぞれ何と呼ぶか答えよ。また,Z において形成された接触変成岩の名称を答えよ。
(2) F の花崗岩から黒雲母を取り出し,K–Ar(カリウム–アルゴン)法によって放射年代を測定した。分析の結果,F の形成時にあった 40 K の 10 % が壊変(崩壊)して 40 A r 等の安定な同位体に変わっていたことがわかった。40 K の半減期を 13 億年とすると,F は何年前に形成されたものか,計算式を示し,有効数字 2 桁で答えよ。必要であれば,log 10 2 = 0.30 ,log 10 3 = 0.48 を用いてよい。
(3) A ,B ,C ,D には化石が含まれていなかったため,どの地質年代に属するのかが不明であった。しかし,C は他の露頭でも認められ,その露頭では化石を含む堆積岩層にはさまれていた。その化石によって,C の年代がわかり,B とD のおおよその年代も推定することができた。
(a) 下線部の化石として適当なものを 1 つ選べ。
① アノマロカリス
② フズリナ
③ 三葉虫
④ ヌンムリテス(カヘイ石)
(b) C のように,地層の対比に重要な役割を果たす地層を鍵層と呼ぶ。鍵層として用いることができるために望ましい地層の特徴を 2 つ挙げよ。
(4) 設問(1)~(3)の情報をふまえ,図3—2の露頭から読み取れる,過去から現在に至る地層形成や地殻変動の歴史を,下記の語をすべて用いて 3 行程度で述べよ。なお,石灰岩は古生代に形成されたものとする。
語群:貫入,新生代,褶曲
PDFの 60 枚目
問3 地震に関する以下の問いに答えよ。
地下のマグマの動きによって生じた地震活動を地表に置かれた 2 つの地震計で観測した。図3—3に示すように,観測点Qの直下で発生した地震から放射されたP波を観測点Qと観測点Rで記録した。震源,観測点Q,観測点Rを通る鉛直断面の 2 次元座標系を考え,x 軸を水平方向にとり,z 軸は地表をゼロとし鉛直下向きを正として定義する。なお,地表面は水平であるとし,また,地下のP波速度は一定とする。観測点Qを原点 ( 0 , 0 ) ,観測点Rの位置を ( r , 0 ) ,震源の位置を ( 0 , z 0 ) ,P波速度を v とする。
(1) 震源から観測点QまでのP波の走時を t Q ,震源から観測点RまでのP波の走時を t R とおく。P波の走時差 ( t R − t Q ) を r ,z 0 ,v を用いて式で表せ。
(2) 震源が z 軸に沿って浅い場所から深い場所へ移動すると,P波の走時差 ( t R − t Q ) はどのように変化するか。震源の深さを横軸に,P波の走時差 ( t R − t Q ) を縦軸にとってグラフを描いて 1 行程度で説明せよ。
(3) P波の走時差 ( t R − t Q ) が設問(2)のような変化を示す理由を,波の伝わる様子と関係付けて,3 行程度で述べよ。
図3—3 震源,観測点Q,観測点Rを通る鉛直断面
第1問 天体までの距離と、彗星のガス 出題の意図(東大) 地球から天体までの距離の測定には,その距離に応じてさまざまな手法が用いられますが,問 1 では,それぞれの手法の特徴や利点の理解,および地球から題意の天体までの距離を定量的に推定する思考力を問うています。問 2 では,太陽系での天体の軌道運動に関する理解と,それを具体的な問題に適用する応用力を問うています。また,天体の(質点としてではない)性質に関する理解と,その長期進化を議論する思考力を問うています。
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 前半(問1)は「天体までの距離をどう測るか」の問題。2つのやり方が出てくる。
1つめは視差 (見る場所を変えると、近い物ほど背景に対してずれて見えること)。地球の上の2か所から金星の影を同時に撮ると、影の位置が少しずれる。そのずれと2か所の間の距離から、太陽までの距離が出る。ここで使うのは、相似な三角形(形が同じで大きさがちがう三角形)と、小さい角度では tan θ ≈ θ という近似だけ。
2つめは標準光源 (本当の明るさが分かっている天体)。Ia 型超新星は一番明るいときの絶対等級(10 パーセクの所から見たときの等級)がほぼ決まっている。見かけの等級 m と絶対等級 M には m − M = 5 log 10 d 10 p c の関係がある。
後半(問2)は、ケプラーの法則の問題。第3法則(a 3 / P 2 が太陽のまわりのどの天体でも同じ)と第2法則(太陽と天体を結ぶ線が同じ時間に通る面積は一定=面積速度一定)を使って、彗星が近日点のまわりで出すガスの総量を求める。
問1(1)(a) A と B から金星の中心を通る2本の線を考える。A の線は3つの中心を結ぶ線そのもので、太陽の表面の中心に当たる。B の線は金星の中心で A の線と交わり、反対側へ広がって、太陽の表面で D ずれた所に当たる。
金星の中心で交わる2つの三角形(地球側の、底辺 d の三角形と、太陽側の、底辺 D の三角形)は形が同じ(相似)。高さはそれぞれ「地球~金星」と「金星~太陽」の距離なので、太陽と地球の距離を 1 とすると
D d = 0.72 1 − 0.72 = 0.72 0.28 = 18 7 ≈ 2.57
金星は太陽より地球の方にずっと近いので、影のずれは2か所の間の距離より大きく広がって見える。デモで惑星の位置を太陽に近い 0.39(水星)にすると、D は d の 0.64 倍にしかならない。
答え 2.6 倍 ( D d = 0.72 1 − 0.72 = 18 7 )
問1(1)(b) A が撮った写真で、影のずれ D は角度 θ に見える。D は A から距離 L の太陽の表面の上の長さなので
tan θ = D L
θ はとても小さいので tan θ ≈ θ とおける。(a) の D = 18 7 d を入れて L について解く。
答え L = 18 d 7 θ ( ≈ 2.6 d θ 。 tan θ = D L ≈ θ )
問1(1)(c) θ = 11 × 4.8 × 10 − 6 = 5.28 × 10 − 5 ラジアン
これと d = 3000 k m を (b) の式に入れる。
L = 18 × 3000 7 × 5.28 × 10 − 5 ≈ 1.46 × 10 8 k m
これは実際の地球から太陽の表面までの距離(約 1.49 × 10 8 k m )とよく合う。地球の上のわずか 3000 km の差から、太陽までの距離が測れる。
答え 1.5 × 10 8 k m ( θ = 11 × 4.8 × 10 − 6 = 5.28 × 10 − 5 , L = 18 × 3000 7 × 5.28 × 10 − 5 ≈ 1.46 × 10 8 )
問1(2)(a) 15.5 − ( − 19.5 ) = 35 = 5 log 10 d 10 p c
より log 10 d 10 p c = 7 、つまり d = 10 8 p c 。
5 等級の差は明るさで 100 倍、距離で 10 倍にあたる。35 等級の差は、10 パーセクの 10 の 7 乗倍の距離。途中のちりなどによる吸収は考えていない。吸収で暗くなっていれば、本当の距離はこれより近い。
答え 1.0 × 10 8 パーセク ( 15.5 − ( − 19.5 ) = 35 = 5 log 10 d 10 より d = 10 8 )
問1(2)(b) Ia 型超新星は、一番明るいとき絶対等級 − 19.5 等と、1つの銀河全体に近いほど明るい。だから、1つ1つの星が見分けられないほど遠い銀河でも見える。その代わり、いつどの銀河で起こるか分からず、同じ星の爆発は一度きりで、くり返さない(爆発のあと明るさが変わっていく様子は何度も観測できるが、脈動変光星のように同じ変化をくり返して何度も測り直すことはできない)。
脈動型変光星(セファイドなど)は、明るさの変わる周期と本当の明るさの間に決まった関係があり、この関係は近くの(年周視差で距離の分かる)星で確かめられている。何度でもくり返し観測できるので、いつでも測れて、周期も明るさもていねいに求められる。ただし絶対等級は − 5 等ほどで、超新星よりずっと暗い。デモの (a) の距離に置くと 30 等になり、超新星の 60 万分の1 ほどの明るさしかない。
答え Ia型超新星:非常に明るいので,脈動型変光星が見えないほど遠い銀河までの距離を測れる。脈動型変光星:明るさの変化をくり返すのでいつでも何度も観測でき,近くの星で周期と明るさの関係を確かめて使えるので精度が高い。
問2(1) ケプラーの第3法則は「太陽のまわりを回る天体では、軌道長半径の3乗 ÷ 公転周期の2乗 が同じ値になる」。地球の値が K なので、彗星でも
a 3 P 2 = K
問2(2) 第2法則(面積速度一定)より、太陽と彗星を結ぶ線が通る面積は時間に比例する。だから S / τ はどの時間 τ で考えても同じで、1 周で考えてよい。1 周で通る面積は楕円の面積 π 1 − e 2 a 2 、かかる時間は P なので
S τ = π 1 − e 2 a 2 P
(1) の P = a 3 / 2 K を入れて整理すると、a 2 ÷ a 3 / 2 = a が残る。
答え S τ = π ( 1 − e 2 ) K a (楕円の面積 π 1 − e 2 a 2 を周期 P で割る)
問2(3)(a) Q = A r 2 なので、Δ t の間の放出量は Q Δ t = A r 2 Δ t 。
ここで r を消す。Δ t が小さいとき、線分が通る面積は半径 r ・角度 Δ θ の細いおうぎ形なので Δ S = r 2 Δ θ 2 。これより r 2 = 2 Δ S Δ θ を入れる。
こうすると、Δ S Δ t は (2) の一定の値なので、放出量は Δ θ に比例する ことが分かる。太陽に近い所は速く通りすぎる(時間は短い)が、そのぶん Q が大きい。2つがちょうど打ち消しあう。
問2(3)(b) (a) から、角度 θ 全体の放出個数は、Δ θ を足しあわせて
N = A θ 2 ( S / τ )
A = Q r 2 = 2.0 × 10 27 × 2.0 2 = 8.0 × 10 27 (個/秒・天文単位²)。K は地球の値なので、天文単位と年を使えば K = 1 で、S / τ = π ( 1 − 0.80 2 ) × 9.0 = π 3.24 = 1.8 π 天文単位²/年。
N = 8.0 × 10 27 × 2 π 3 2 × 1.8 π = 8.0 × 10 27 5.4 (個/秒 × 年)
1 年を約 3.16 × 10 7 秒として N ≈ 4.7 × 10 34 個。1 個 3.0 × 10 − 26 k g をかけて質量にする。
デモでは、彗星を細かい時間で動かして Q を時間で足しあげた値が式とぴったり合い、たまった量のグラフが角度に対してまっすぐな直線になる。
答え 1.4 × 10 9 k g ( A = 2.0 × 10 27 × 2.0 2 = 8.0 × 10 27 , S τ = π 0.36 × 9.0 = 1.8 π 天文単位²/年,個数 A θ 2 S / τ = 8.0 × 10 27 5.4 × 3.16 × 10 7 = 4.7 × 10 34 , × 3.0 × 10 − 26 )
問2(4) 彗星の核は、氷とちり(岩石の細かいつぶ)が混ざったかたまり。近日点に近づくと表面近くの氷が気化してガスになり、ちりの一部はガスといっしょに飛んでいくが、残ったちりは表面にたまっていく。
近づくたびにこれがくり返されると、表面をちりの層がおおい、太陽の熱が内部の氷まで届きにくくなる。そのうえ、核の氷そのものも少しずつ減っていく。そのため、同じ軌道で近づいても、出るガスの量は長い目で見ると減っていく。
答え 近日点を通るたびに核の表面の氷が失われ,あとに残ったちりが表面をおおうので,内部の氷に太陽の熱が届きにくくなるから。
第2問 山を越える風と、海面の坂 出題の意図(東大) 問1では,大気の鉛直方向の安定・不安定に関する気象学の基礎的な知識とそれを実際の大気現象に結びつけて考える応用力を問うています。問 2 では,地衡流に関する基礎的な理解とともに,海面高度の水平分布と水温の鉛直断面から大規模な海流の分布を見積もる手法についての理解を問うています。
東大の解答例(選ぶ問題だけ) 問1(3):(a) 問2(4):(ア) 小さく、(イ) 東、(ウ) 弱く 下の答えと全部一致
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 前半(問1)は、上昇する空気のかたまり(空気塊)の温度の下がり方の問題。まわりと熱のやりとりをせずに上がる空気は、ふくらんで冷える。水蒸気が飽和していないときは 100 m で約 1.0 ℃(乾燥断熱減率 )、飽和して雲ができているときは、水蒸気が水になるときに出す熱(凝結熱)の分だけ冷え方がゆるく、100 m で約 0.5 ℃(湿潤断熱減率 )。
大気が安定か不安定かは、「少し押し上げた空気塊が、まわりより冷たくなって戻るか、まわりより暖かいままで上がり続けるか」で決まる。まわりの気温が高さとともに下がる割合(気温減率)と、空気塊の冷え方をくらべればよい。
後半(問2)は、海面の高さの分布から海流を読む問題。海面が傾いていると、海水には高い方から低い方へ押す力(圧力傾度力)がはたらく。地球の自転によるコリオリの力(転向力。北半球では進む向きの右へ、南半球では左へ曲げる見かけの力)とこの力がつり合うと、海水は坂を下らずに、海面の高さの等しい線にそって流れる(地衡流 )。
問1(1) 地表の空気塊が上がると、乾燥断熱減率で冷えていく。露点まで冷えると水蒸気が飽和し、雲ができはじめる。この高さを持ち上げ凝結高度 (凝結高度)といい、雲の底の高さの目安になる。
まわりの気温減率が乾燥断熱減率より大きい(高さとともに急に冷える)と、乾いていても飽和していても、押し上げた空気塊はまわりより暖かいままで上がり続ける。これが絶対不安定 。逆に湿潤断熱減率より小さいと、どちらの空気塊もまわりより冷たくなって戻る。これが絶対安定 。
高さとともに気温が上がる層は逆転層 。とても安定で、下からの空気の上昇をおさえる「ふた」になる。
答え ア 持ち上げ凝結高度(凝結高度),イ 絶対不安定,ウ 絶対安定,エ 逆転層
問1(2) 条件つき不安定は、まわりの気温減率が 0.5~1.0 ℃/100 m の間にある状態。
乾いた空気塊を押し上げると 1.0 ℃/100 m で冷えるので、まわり(それより冷え方がゆるい)より冷たくなり、戻ってくる。ところが飽和した空気塊は 0.5 ℃/100 m でしか冷えないので、まわりより暖かくなり、浮力で上がり続ける。
つまり、この状態が不安定になるかどうかは、空気塊が飽和しているかどうかで決まる。デモで気温減率を 0.65 にすると、乾いた空気塊(青)はゆれながら戻り、飽和した空気塊(赤)は離れていく。
答え 上昇する空気塊が水蒸気で飽和している(雲ができている)とき。
問1(3) 図2—1 の太い実線はまわりの気温、A から左上へのびる破線は空気塊が乾燥断熱減率で冷える線、D からの一点鎖線は湿潤断熱減率で冷える線と読める。A の空気塊は D で飽和し(D が持ち上げ凝結高度)、B でまわりの気温と同じになる。B より上ではまわりより暖かく、自分で上がっていく(B を自由対流高度 という)。C で再びまわりと同じ温度になり、そこが雲の頂上の目安になる。
(a) では B が D のすぐ上にあり、D~B の「まわりより冷たい」部分がわずか。少し持ち上げられるだけで B に届き、そこから C まで厚い層で浮力を受け続ける。(b) では B が D よりずっと高く、その間は空気塊がまわりよりかなり冷たいので、強く持ち上げないと B に届かない。B~C の浮力を受ける層も (a) より薄い。
図を読んで面積をくらべると、押し上げの壁(地面 A から B までの、まわりより冷たい部分)は (b) が (a) の約 5 倍(D〜B だけなら約 11 倍)、浮力を受ける部分は (a) が (b) の約 2.3 倍。積乱雲は、背の高い層で強い浮力を受けて育つ雲なので、(a) の方が発生・発達しやすい。
答え (a)。(a)は凝結高度Dのすぐ上の自由対流高度Bから,空気塊が周囲より暖かく浮力を受ける層がCまで厚い。(b)はBがDよりずっと高く,D~B間で空気塊が周囲より冷たいので強い持ち上げが要り,浮力を受ける層も薄い。
問1(4) 逆転層は、下の空気が上より冷たくなるか、上の空気が下より暖かくなるとできる。
放射冷却 :晴れて風の弱い夜は、地面が赤外線を宇宙へ出して冷え、地面にふれている空気も冷やされる。上空の空気はあまり冷えないので、地面近くに「下ほど冷たい」層ができる(接地逆転層)。
沈降 :高気圧の中では、上空の空気がゆっくり下りてくる。下りる空気は圧縮されて乾燥断熱減率で温まるので、下の空気より暖かい層ができる(沈降性逆転層)。
このほか、暖かい空気が冷たい空気の上にはい上がる前線面でもできる(前線性逆転層)。
答え 放射冷却:晴れて風の弱い夜に地面が赤外線を放射して冷え,地面に接する空気が上空より冷たくなる。沈降:高気圧の中で上空の空気がゆっくり下降すると断熱圧縮で温まり,下の空気より暖かい層ができる。
問1(5) まず雲ができはじめる高さ:h = 125 × ( 26 − 18 ) = 1000 m 。
風上側:標高 0 m から 1000 m までは乾燥断熱減率で下がるので 26 − 1.0 × 10 = 16 ℃。1000 m から山頂 3000 m までは雲の中なので湿潤断熱減率で、さらに 0.50 × 20 = 10 ℃ 下がり、山頂で 6 ℃。
風下側:山頂で雲が消えるので、下りはずっと乾燥断熱減率で温まる。3000 m 下りると 1.0 × 30 = 30 ℃ 上がる。
6 + 30 = 36
上りの雲の中では、凝結熱の分だけ冷え方がゆるかった。その水は雨として風上に落ちたので、下りでは取りもどされない。これが風下が暖かく乾いた風になるフェーン のしくみ。デモでは、本物の空気の式で計算しても雲のできる高さは約 1000 m、風下は約 36 ℃ になる。
答え 36 ℃ ( h = 125 × ( 26 − 18 ) = 1000 m ,山頂 26 − 10 − 0.50 × 20 = 6 ℃,風下 6 + 1.0 × 30 = 36 )
問2(1) 海面が傾いていると、同じ深さでも高い側の方が上にある水が多く、圧力が大きい。この差で、海水は高い側から低い側へ押される。
地球の上で動く海水には、コリオリの力もはたらく。広い海で長い時間がたつと、2つの力がつり合って、海水は坂を下らずに海面の高さの等しい線にそって流れる (地衡流)。北半球では高い側を右に見る向き、南半球では左に見る向き。
だから海面高度の地図の等値線から、海流の向きが分かる。赤道付近ではコリオリの力がほとんど 0 になり、このつり合いが成り立たないので除かれている。デモで緯度を 2° にすると、海水は曲がりきるまでに何百 km も坂を下ってしまう。
答え 海面の傾きによる圧力傾度力と転向力がつり合う地衡流となり,海流は海面高度の等値線に沿って,北半球では高い側を右に見て流れるから。
問2(2) 南緯 50~60 度で、南極大陸のまわりを西から東へ一周している海流は南極環流 (南極周極流)。
地衡流の速さは、つり合いの式「コリオリの力 = 圧力傾度力」から、海面の傾きに比例する。図2—2 の日付変更線にそって見ると、この緯度帯で海面高度の等値線の間隔がまわりより狭い。間隔が狭いほど傾きが大きいので、流れが速いと分かる。
図の画素から 180° のすぐ東で等値線を横切る数を 5 度ごとに数えると、南緯 55~65 度が約 2.5 本で、南緯 40~50 度の約 1 本より多い。
答え 南極環流(南極周極流)。南緯50~60度では海面高度の等値線の間隔が狭く,海面の傾きが大きいので,それとつり合う地衡流も速いから。
問2(3) 海面を吹く風は、表面の海水を引っぱる。北半球では、引っぱられた表面の層の海水は、コリオリの力で風の右 90° の向きに運ばれる(エクマン輸送。南半球では左 90°)。
南北 30 度付近は亜熱帯高圧帯で風が弱い。その低緯度側では東風の貿易風、高緯度側では西風の偏西風が吹く。北半球では、東風の下の海水は右=北へ、西風の下の海水は右=南へ運ばれるので、30 度付近に両側から集まる。集まった水は行き場がなく、下へ沈む。南半球でも左へ運ばれるので、同じように 30 度付近に集まる。
この沈降で暖かい表層の水が下へ押しこまれ、等温線が下に凸になる。デモでは、30°N で 1 年に約 40 m 沈む。
答え 30度付近は風が弱く,低緯度側で東風の貿易風,高緯度側で西風の偏西風が吹く。表層水は風の右(南半球では左)へ運ばれ,両側から集まって沈む。
問2(4) 深さ z の圧力は、その上にある海水の重さで決まる。海面では、南の方が海面が高い分だけ圧力が大きい。深くなるにつれて、北の柱には冷たく重い水が、南の柱には暖かく軽い水が積み重なるので、北の圧力の増え方の方が大きい。そのため、南北の圧力差(南の方が大きい)は深くなるにつれて小さく なる。
図2—2 では、北太平洋の北緯 35~45 度は、南の亜熱帯の高まり(H)から北の低まり(L)へ海面が下がっている。北半球の地衡流は圧力の高い側を右に見て流れるので、南が高いこの緯度帯の海面の流れは東 向き。圧力差が小さくなるほど地衡流は遅くなるので、深くなるにつれて弱く なる。
デモでは、図2—3 から読んだ北緯35度と45度の水温で2本の柱の重さを 1 m ごとに足している。海面の差を 1.0 m とすると、東向きの流れは海面の約 9 cm/s から 1000 m で約 2 cm/s に弱まる。
第3問 地球の形、地層の歴史、地震の走時差 出題の意図(東大) 問1では,地球の形状やアイソスタシーに関する基礎的理解や論理的に思考を表現する力を問うています。問2では,地質断面図についての基礎的理解,放射年代の測定,化石の産出状況,地層の対比などをもとに地史を推定する能力を問うています。問 3 では,地震波の走時に関する基礎的理解に加えて,地震波の伝わる様子についての考察力を問うています。
東大の解答例(選ぶ問題だけ) 問2(3)(a):④ 下の答えと全部一致
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 問1は地球の形の問題。地球の表面は、万有引力と自転による遠心力を合わせた重力に垂直な面 になっている。自転があるので赤道方向にふくらみ、極方向につぶれた形(回転だ円体)になる。つぶれ方は偏平率 赤道半径 − 極半径 赤道半径 で表す。最後の問いは、氷床の重さで沈んだ地殻がもとにもどるアイソスタシー (地殻が下のアセノスフェアに浮いてつり合っていること)の話。
問2は露頭のスケッチから地層ができた順番を読む問題。「切っている方が新しい」「上にある方が新しい」という決まりと、放射年代・化石の年代を組み合わせる。
問3は地震の走時の問題。P 波の速さが一定なら、波は震源からまっすぐ進むので、走時は「道のり ÷ 速さ」で出る。
問1(1) 緯度は、その場所の鉛直線 (重力の向き、糸におもりをつるした向き)と赤道面 のなす角で決める。断面図では、地表の1点から地面に垂直な線を引き、それが赤道面と交わる角を示す。
球なら、緯度 1° 分の子午線(南北の線)の長さはどこでも同じ。ところが 18 世紀に高緯度(ラップランド)と低緯度(ペルー)で測ると、高緯度の方が 1° あたりの長さが長かった 。1° 進むのに長く歩く必要がある=そこでは地面の曲がり方がゆるい。極の近くで平たく、赤道の近くでよく曲がっている形、つまり極方向につぶれた回転だ円体だと分かった。
デモの形(赤道半径 6378 km、極半径 6357 km)で計算すると、1° の長さは赤道で約 110.6 km、極で約 111.7 km になる。
答え (断面図:地表のある点の鉛直線(重力の方向)と赤道面のなす角を緯度として描く)緯度1°あたりの子午線の弧の長さを高緯度と低緯度で測ると,高緯度ほど長く,極付近ほど地表の曲がりがゆるいと分かったから。
問1(2)(a) 北極は自転軸の上なので遠心力は 0 で、重力の大きさは 10 m / s 2 のまま。赤道では自転軸からの距離が半径 r なので、外向きの遠心力の分だけ重力が小さい。
円周率を 3 として ω = 2 × 3 24 × 3600 ≈ 6.9 × 10 − 5 ラジアン/s。
r ω 2 = 6 × 10 6 × ( 6.9 × 10 − 5 ) 2 ≈ 2.9 × 10 − 2 m / s 2
赤道の重力は 10 ( 1 − Δ ) 、Δ = r ω 2 10 ≈ 2.9 × 10 − 3 。
T 北極 T 赤道 = 10 ( 1 − Δ ) 10 = 1 − Δ ≈ 1 − Δ 2
北極の方が Δ 2 ≈ 1.4 × 10 − 3 だけ短い。百分率にして有効数字1桁にまとめる。
デモで 1 m の振り子を実際に振らせて周期を測っても、北極の方が 0.145 % 短い。
答え 北極の周期が 0.1 % 短い( ω = 2 × 3 86400 ≈ 6.9 × 10 − 5 ,赤道の遠心力 r ω 2 = 6 × 10 6 × ω 2 ≈ 2.9 × 10 − 2 m / s 2 , Δ = 2.9 × 10 − 3 , T 北極 T 赤道 = 1 − Δ ≈ 1 − Δ 2 )
問1(2)(b) 現実の偏平率は 6378 − 6357 6378 = 21 6378 ≈ 1 304 。大小を並べると
1 230 > 1 304 > 1 578
で、現実の地球はニュートンとホイヘンスの間にある。
質量が中心に集まっているほど、外側の重力は中心へ向かうまとまった引きになり、遠心力でふくらみにくい。一様な密度(ニュートン)は集まり方がいちばん弱い場合、中心に全部(ホイヘンス)はいちばん強い場合。現実の地球は、中心に重い核があって中心ほど密度が大きいが、質量が中心の1点に集まっているわけではないので、その間になる。
デモで「中心への集まり具合」を一様な球の 0.4 から下げていくと偏平率は小さくなり、現実の地球の値 0.33 で約 1/300 になる。
答え 現実の約1/300はニュートンの1/230とホイヘンスの1/578の間。地球は中心ほど密度が大きいが,質量が中心に集まりきってはいないから。
問1(3) 図3—1 では、いちばん古い約 9000 年前の貝の化石が標高約 270 m、新しいものほど低く、いまに近いものは 10 m ほど。浅瀬の貝は、生きていたときは海面近くにいたはずなので、そこの陸は約 9000 年で約 270 m 持ち上がったことになる(平均で 1 年に約 3 cm。ただし化石の高さが直接示すのは「海面に対して」どれだけ上がったかで、この間に海面そのものが上がっていれば、陸の本当の隆起はそのぶん大きい。ここでは当時と今の海面の高さを同じとみた近似)。最終氷期のあとは世界の海面も上がり続けていたので、答えでは「海面の変化を考えなければ」と断って「約 9000 年で約 270 m」と書く(海面が上がっていれば、本当の隆起はそれより大きい)。
最終氷期には、この陸域に厚さ数 km の氷床がのっていた。地殻はその重さで下のアセノスフェアに沈みこみ、重さのつり合い(アイソスタシー)が成り立っていた。つり合いで沈む深さは、氷の厚さ × 氷の密度 ÷ アセノスフェアの密度 くらいで、氷 1 km あたり約 280 m。
最終氷期の終わりに氷床が急速に融解すると、重さがなくなる。ところがアセノスフェアはねばりけ(粘性)がとても大きく、沈んだ地殻の下へゆっくりとしか流れこめない。そのため陸は、氷がとけたあとも何千年もかけて少しずつ上がり、新しいつり合いに向かって今も隆起を続けている。
デモでは、図の 35 個の点を「ゆっくり戻る」モデルに合わせると、戻り方の時定数は約 6 千年で、いまも 80 m ほどの隆起が残る計算になる。
答え 約9000年前に海岸にいた貝の化石が今は標高約270mにあり,新しいものほど低い。海面の変化を考えなければ陸域は約9000年で約270m隆起した。最終氷期には厚い氷床の重さで地殻がアセノスフェアに沈み,アイソスタシーが成り立っていた。氷床の急速な融解で重さがなくなると,粘性の大きいアセノスフェアがゆっくり流れこみ,陸域は今も隆起を続けている。
問2(1) X は、A の下までの地層(B・C・D)と花崗岩 F を切って、両側の地層をずらしている線なので断層 。右側(断層面の上にのっている側=上盤)の地層が左側より下がっているので、正断層にあたる。X は A の下で止まっていて、A は切られていない。
Y は、褶曲した石灰岩 E や花崗岩 F を平らに削った面で、その上に基底に礫をもつ砂岩 D がのっている。下の地層が一度陸になって侵食されたあと、また海の底で堆積が始まったことを示す不整合 (下の地層の傾きがちがうので傾斜不整合)。
Z は、花崗岩 F に接する石灰岩 E の部分で、マグマの熱で焼かれて再結晶した接触変成岩。石灰岩からできるのは結晶質石灰岩 (大理石)。
答え X 断層(正断層),Y 不整合(傾斜不整合),Z 結晶質石灰岩(大理石)
問2(2) F ができたときの 40 K の 10 % が壊変したので、残りは 0.90 。半減期 13 億年ごとに半分になるので、t 年後の残りは ( 1 2 ) t / 13 億年 。
( 1 2 ) t / 13 億年 = 9 10
t 13 億年 × log 10 2 = log 10 10 9 = 1 − 2 log 10 3
問題の値 log 10 2 = 0.30 、log 10 3 = 0.48 を入れると右辺は 1 − 0.96 = 0.04 なので
t = 13 億年 × 0.04 0.30 ≈ 1.73 億年
なお、対数の値を正確に使うと約 2.0 億年になる。log 10 3 の小さな丸めが、1 − 2 log 10 3 という小さな差に大きく効くため。どちらでも中生代にあたる。
答え 1.7 × 10 8 年前( ( 1 2 ) t / 13 億年 = 0.90 より t = 13 億年 × log 10 10 9 log 10 2 = 13 億年 × 1 − 2 × 0.48 0.30 )
問2(3)(a) C の年代の手がかりは、スケッチの中にある。C は不整合 Y より上にあり、Y は中生代((2) で約 2 億年前)にできた花崗岩 F を削っている。だから C は F より新しく、中生代の中ごろより後。
選択肢のうち、アノマロカリス(カンブリア紀)、フズリナ(石炭紀〜ペルム紀)、三葉虫(カンブリア紀〜ペルム紀)はどれも古生代の化石。ヌンムリテス(カヘイ石)は新生代の古第三紀の示準化石なので、これだけが合う。
問2(3)(b) 鍵層は、はなれた場所の地層を「同じ時にできた層だ」と結びつける目印。そのためには、1つは短い期間に広い範囲に堆積している こと(そうでないと同じ時代の面にならない)。火山灰の層(凝灰岩)はその代表で、噴火で一度に広く降る。
もう1つは、ほかの層と見分けやすい特徴がある こと。色や岩質、ふくまれる鉱物などがはっきりしていれば、別の露頭でもすぐに同じ層だと分かる。
答え ①短い期間に広い範囲に堆積していて,同じ時代の面とみなせる。②色や岩質などに特徴があり,ほかの層と見分けやすい。
問2(4) 切ったり削ったりしている方が新しい、という順に並べる。
いちばん古いのは石灰岩 E(古生代)。E は波打つように曲がっている(褶曲)。花崗岩 F は E の褶曲した構造を切って入りこみ(貫入)、まわりの E を接触変成させている。F の年代は (2) より中生代。
その後、地域が隆起して E と F が侵食され、不整合 Y ができた。再び沈んで海になり、礫をふくむ D から C・B が整合に堆積した(C の化石から新生代)。B まで堆積したあと正断層 X が動き、そのあと断層をおおって A が堆積した。最後に隆起・侵食されていまの地表になった(いま露頭として見えているのはそのため。答えの終わりもここまで書く)。デモの「歴史の段階」のつまみで、この順に絵を積み上げられる。
答え 古生代に石灰岩Eが堆積して褶曲し,中生代に花崗岩Fが貫入してEを接触変成した。隆起・侵食で不整合Yができ,新生代に沈降してD~Bが堆積し,正断層Xが生じた後にAが堆積し,その後隆起して侵食された。
問3(1) P 波の速さは一定なので、波は震源からまっすぐ進み、走時は道のりを速さで割れば出る。
Q は震源の真上なので道のりは z 0 、t Q = z 0 v 。R までの道のりは三平方の定理で r 2 + z 0 2 、t R = r 2 + z 0 2 v 。この差をとる。
問3(2) (1) の式で、震源が浅いとき(z 0 = 0 )は走時差は r v 。深くなるにつれて r 2 + z 0 2 − z 0 は小さくなる。分子を有理化すると
r 2 + z 0 2 − z 0 = r 2 r 2 + z 0 2 + z 0
で、分母が z 0 とともに大きくなるので、走時差は深さとともに単調に減り、とても深いと r 2 2 v z 0 のようにふるまって 0 に近づく。
グラフは、縦軸の r v から始まって下がり続け、横軸に近づいていく下に凸の曲線になる。
答え (グラフ:横軸 深さ,縦軸 走時差。深さ0で r/v から始まり,深くなるにつれて単調に減って0に近づく,下に凸の曲線)震源が深いほど走時差は小さくなり,0に近づく。
問3(3) P 波は震源から球面状に広がる。震源から Q までの距離 z 0 を半径とする球面を考えると、Q にとどいたとき、R へ向かう波はまだ球面の外の「余分な道のり」r 2 + z 0 2 − z 0 を進む必要がある。これが走時差のもと。
震源が深いと、Q と R へ向かう波の進む向きの差(角度)が小さくなり、2つの道のりの長さはほとんど同じになる。遠くから来る波の先頭は、Q と R のまわりではほぼ平らな面(平面波)になり、真下から同時に近い時刻でとどく。だから走時差は 0 に近づく。
デモでは、震源を深くすると、灰色の円の外にはみ出す赤い部分(余分な道のり)が短くなっていく。
答え P波は震源から球面状に広がる。震源が深いほど,QとRへ向かう波の向きの差が小さくなり,両点までの距離の差も小さい。深い震源の波はほぼ真下から平面波のように両点に届くので,到着時刻の差が0に近づく。