東大 過去問 2009年 地学|AI解答・解説・シミュレーション|アトリエファクトリー

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東京大学 第2次学力試験(前期)2009年 理科「地学」(東京大学がかつて公開したPDFの Internet Archive 保存版)

問題・出題の意図・東京大学の解答例(東京大学の公表資料)

東京大学の利用規定について

東京大学は、入試問題と出題の意図・解答の2次利用について「東京大学第2次学力試験入学試験問題等の2次利用について」(令和6年7月1日改定)で条件を定めている。このサイトでの対応は次のとおり。

解答とシミュレーション(AIで作成)

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制作:アトリエファクトリー(aTELiER FACTORY) https://atelierfactory.jp/

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お知らせ(2026年10月4日)

解答・解説・シミュレーションは、すべて Claude Opus 5.5 で作成しています。作ったあとの確かめ方は、科目によって違います。

どの科目も、東京大学が公表した解答ではありません。くわしくは「問題取得方法と回答生成方法」をご覧ください。

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地 学

第1問 太陽系以外の惑星系に関する以下の問Ⅰと問Ⅱに答えよ。

問Ⅰ ある恒星が惑星を持ち,我々がその惑星の公転面をほぼ真横から見る位置にいる場合,惑星が恒星の手前を通過すると恒星の光をわずかに隠す。これを恒星面通過という。現在の望遠鏡の能力では,恒星は広がりのない点状にしか見えず,惑星は直接見ることすらできない。しかし,恒星面通過を観測することで,惑星の存在が確認でき,加えてその大きさや公転周期が推定できる。恒星面通過は太陽系以外の惑星系を探るための重要な現象である。

 恒星Sと惑星Xからなる惑星系がある。惑星Xは恒星Sを中心とする半径 a の円軌道を公転しており,恒星Sの万有引力による加速度 GM/a2 と遠心力による加速度 V2/a とがつりあっている。ここで G は万有引力定数,M は恒星Sの質量,V は惑星Xの公転の速さである。恒星Sは惑星Xよりはるかに重いため,静止していると考えてよい。惑星Xは光を出さない球とみなすことができ,恒星Sの手前を通過する際は,自身と重なる部分の恒星表面からの光を完全にさえぎる。

 地球から恒星Sの明るさ(放射エネルギー)を測定したところ,図1—1に示すように,惑星Xの恒星面通過により,周期 P=2.7×10−2 年で,ΔT=7.0×103 秒の間だけ規則的に暗くなることがわかった。相対的な減光量 δ は 1.6×10−3 である。ここで δ は,恒星Sの通常の明るさを F1,暗くなっているときの明るさを F2 として,δ=(F1−F2)/F1 で定義される。図1—2は恒星面通過の際の惑星Xの動きの想像図である。恒星Sは一様に光る円盤とみなせ,惑星Xはその手前をA~Eのいずれかを通って左から右に横切るものとする。

 恒星Sは太陽と同じ質量,半径,絶対等級を持つことがわかっている。以下では,地球の公転軌道を半径 1.0 天文単位の円とし,その公転の速さを 3.0×104m/秒,太陽の半径を 7.0×108m,地球から見た太陽の見かけの等級を −26.8 等級,log102=0.301,log103=0.477 とせよ。

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(1) 惑星Xの公転の速さが V=1.0×105m/秒であることを導け。

(2) 恒星面通過の際の惑星Xの動きとして可能性のあるものを,図1—2のA~Eのうちからすべて選び,その理由を 1 ~ 2 行で示せ。

(3) 惑星Xの半径を有効数字 2 桁で求めよ。

(4) 惑星Xから見た恒星Sの見かけの等級を小数点以下 1 桁まで求めよ。

図1—1 恒星Sの明るさの時間変化
図1—1 恒星Sの明るさの時間変化
図1—2 恒星面通過の際の惑星Xの動きの想像図。惑星Xは恒星Sの手前をA~Eのいずれかを通って左から右に横切る。Cは恒星Sの中心を通る。
図1—2 恒星面通過の際の惑星Xの動きの想像図。惑星Xは恒星Sの手前をA~Eのいずれかを通って左から右に横切る。Cは恒星Sの中心を通る。
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問Ⅱ 大気をもつ惑星Yの恒星面通過を考える。図1—3に示すように,惑星Yは恒星Qを焦点とした楕円上を公転する。また,地球は惑星Yの公転面上にあり,速さ v で恒星Qから遠ざかる。惑星Yが恒星Qと地球の間を通過する際の速度ベクトルを,地球を向く成分とその垂直方向の成分に分解し,それぞれの大きさを V1,V2 とする。v,V1,V2 は,いずれも恒星Qに対する速さである。このとき,恒星Q,惑星Y,地球それぞれの大気による吸収線の波長のドップラー効果による変化を測ることによって,これら 3 つの天体の相対速度を知ることができる。以下では,天体の自転の影響は無視できるものとする。

 惑星Yの恒星面通過が起こる直前に地球から恒星Qを観測した。そのとき得られたスペクトルの一部を図1—4(a)に模式的に示す。この波長域にある吸収線はすべて元素Aによるものと考えられる。波長 λ0 での吸収は,恒星Qの光が地球の大気を通過する際に起きたものである。一方,地球と恒星Qの間に相対速度があるため,光の速さを c とすると,恒星Qの大気中で起きた吸収の波長は (v/c)λ0 だけ変化し,λ1= ア として観測される。この波長域に 2 本の吸収線があることから,地球と恒星Qのいずれの大気にも元素Aが含まれることがわかる。

 惑星Yの恒星面通過中にも,地球から惑星Yの大気を通して恒星Qのスペクトルを観測した。得られたスペクトルを図1—4(b)に示す。波長 λ0,λ1,λ2 に吸収線があることから,惑星Yの大気にも元素Aが含まれることがわかる。

 図1—4(b)にある吸収線の波長 λ1 は,次のように 2 段階に分けて考えることにより求めることもできる。「仮に,惑星Yにいる人が恒星Qのスペクトルを観測できたとしたら,図1—4(c)のように波長 λ0 と λ3 の吸収線が観測されるであろう。そして,惑星Yを図1—4(c)のスペクトルを放つ光源とみなし,地球からこの光源を観測した」と考えるとよい。

(1) 文章中の空欄 ア に入る適切な式を記せ。

(2) 波長 λ2 を λ0,c,v,V1,V2 のうち必要なものを用いて表せ。また,λ2 と λ0 の位置関係をもとに,v と V1 の大小を 1 行程度の理由とともに記せ。

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(3) 波長 λ3 を λ0,c,v,V1,V2 のうち必要なものを用いて表せ。

(4) 文章中の下線部の考え方に基づき波長 λ1 を求め,(1)の答えと一致することを示せ。途中の計算過程も簡潔に示すこと。ただし,v,V1,V2 はいずれも c に比べ十分に小さいので,(v/c) や (V1/c) などの 1 次の項に比べ,(v/c)2,(V1/c)2,(vV1/c2) などの 2 次以上の項は無視してよい。

図1—3 恒星面通過中の模式図。地球の相対速度は恒星Qと地球を通る直線上にあり,これ以外の成分を持たない。
図1—3 恒星面通過中の模式図。地球の相対速度は恒星Qと地球を通る直線上にあり,これ以外の成分を持たない。
図1—4 元素Aの吸収線の模式図。(a)地球から恒星Qを観測。波長 \lambda_0 と \lambda_1 に吸収線がある。(b)地球から惑星Yの大気を通して恒星Qを観測。(c)惑星Yから恒星Qを観測。
図1—4 元素Aの吸収線の模式図。(a)地球から恒星Qを観測。波長 λ0 と λ1 に吸収線がある。(b)地球から惑星Yの大気を通して恒星Qを観測。(c)惑星Yから恒星Qを観測。
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第2問 大気や海洋の運動は熱・水・塩分などの輸送に大きな影響を与えている。このことに関連する以下の問Ⅰと問Ⅱに答えよ。

問Ⅰ 中緯度では,大気による熱や水の輸送に偏西風波動が大きな役割を果たしている。図2—1は,5 月のある日の日本付近の 700hPa の高層天気図である。等圧面等高線と等温線はともに南北に波打っているが,さらに詳細に見ると,等温線は等圧面等高線より西にずれ,気圧の谷より少し西で寒気が南に張り出していることがわかる。図2—2(a)はこの様子を模式的に示したものである。

図2—1
図2—1
図2—2
図2—2

(1) 上空で吹く風はほぼ地衡風であると考えてよい。図2—2(a)の点Xにおいて,気圧傾度力の向きと風が吹いている向きを矢印で示すとどの方向になるか。a~hのうちからそれぞれ 1 つずつ選べ。

(2) このように寒気が南に張り出している位置が気圧の谷より西にずれている状況で熱の南北輸送を考えるとき,熱は風によって差し引き南向き,北向きのどちらに輸送されることになるか。理由をつけて 2 行程度で答えよ。

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(3) このとき,地上の低気圧がある経度は上空の気圧の谷の経度とは異なっていた。このずれは,気圧の谷より西にずれたところで寒気が南に張り出していることと関連がある。図2—2(a)において 700hPa の気圧の谷の東西にある同高度・同気圧の 2 点AとBを考え,両点を通る北緯Y度線に沿った鉛直断面図を図2—2(b)に示す。点AとBの直下で同じ標高の地表面の点A′とB′のどちらの気圧が低いか。理由をつけて 2 行程度で答えよ。ただし,気圧の谷より西で寒気が南に張り出している状況は地表まで続いているものとする。

(4) 偏西風波動に伴ってできる温帯低気圧の多くは,発達すると地上に降水をもたらすが,その水は同じ場所で蒸発して供給されたものだけではない。図2—3のように面積が Sm2 の領域をとったところ,領域で平均した単位面積あたりの年間蒸発量が Em なのに対し,年間降水量は Pm であった。一方,この領域の上空の大気全体では,1 年間で質量 Ckg の水が凝結したが,水蒸気と雲の量はともに 1 年経過した後も変わっていなかった。以下では,液体の水の密度を ρkg/m3,単位質量の水の凝結熱を LJ/kg とし,輸送量は差し引きして外からこの領域に運ばれてくる場合を正にとるものとする。

(a) 水全体の収支のつりあいを考えることにより,大気の水平運動により 1 年間にこの領域に輸送される水の量(kg)を表す式を導け。

(b) とくに水蒸気の形で輸送される水は,熱の収支の観点からすると,その水蒸気が凝結したときに放出する凝結熱(潜熱)を運ぶことになり,これを「潜熱輸送」という。水蒸気の収支のつりあいを考えることにより,大気の水平運動により 1 年間に領域に輸送される潜熱(J)を表す式を導け。

図2—3
図2—3
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問Ⅱ 図2—4は大西洋付近の海水塩分分布を描いたものである。この図において塩分の単位を表す‰とは,海水 1kg 中に溶けている塩類のグラム数を指す。この図に示した塩分分布は,少なくとも過去 100 年程度の間では大きく変化していないことが知られている。この塩分分布のさまざまな側面について述べた次の文章を読み,下の問いに答えよ。ただし,ここではアフリカ大陸南端に相当する南緯 30 度を大西洋南端,それより南を南大洋とみなす。

 大西洋中央部の海面塩分は熱帯で極小,亜熱帯で極大となっている。その主な原因は降水や蒸発の大小であるが,それのみでは海面塩分は熱帯で低下,亜熱帯で上昇し続ける。(ア)両者の塩分差拡大を抑える主要因の 1 つは,風を原因とする海洋表層の運動が南北方向に海水を運ぶことである。

 グリーンランド海の海面付近には比較的高塩分の海水が存在し,これが冷却によって高密度化して沈降することが,後述する深層流の起源になっている。グリーンランド海が高塩分なのは,(イ)湾流(メキシコ湾流)とそれに続く北大西洋海流が亜熱帯から高塩分海水を運び込むことによる。

 北極海の海面塩分は非常に低く,これは周囲の大陸から河川水が大量に流入していることと関係がある。(ウ)これに対して,北極海の海面塩分が低下し続けない原因としては,海氷に関わる過程が重要なものの 1 つに挙げられる。

 大西洋から北極海までを含む南緯 30 度より北の領域全体でみた場合,蒸発・降水・河川水流入の結果として,差し引きで海面から M=3×108kg/秒の水が失われていると推定される。塩分分布からは,深さ 3000m 付近を中心に南下する深層流や,深さ 1000m 付近で北上する中層流の存在が示唆される。(エ)これらによって大西洋と南大洋の間で海水が交換されることで,大西洋から北極海までの領域の海水量や塩分分布を一定に保つことができる。

(1) 下線部(ア)について,北半球の海面付近ではこの運動はどちら向きになるか。熱帯海上の風向きを考慮して,理由とともに 1 ~ 2 行で答えよ。

(2) 下線部(イ)に挙げた湾流は世界でも有数の強い海流であるが,これは何を原因としてどのように形成されているか。3 行程度で説明せよ。

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(3) 北極海には年間を通じて海氷が存在し,それは冬季の生成と夏季の融解を繰り返す。海氷には海水中の塩類がとりこまれにくいため,海氷生成は周囲の海水塩分を高め,融解はそれを低める。また,海氷は風や海流の影響を受けて運動する。北極海の海氷量が経年変動しない場合,1 年を通してみて海氷が下線部(ウ)に述べた働きをするためには,北極海の海氷についてどのような状況が必要か。上記を参考にして 1 ~ 2 行で述べよ。

(4) 下線部(エ)に関連して,この領域内の海水質量と総塩量が変化しないという事実を用いると,大西洋南端における海水交換量を推定できる。図2—4(b)より,南緯 30 度において,深層では塩分 S1=34.9 ‰ の海水が F1kg/秒だけ大西洋から流出し,中層では塩分 S2=34.4 ‰ の海水が F2kg/秒だけ大西洋に流入しているとみなす。これ以外の海水交換が無いものとして,F1 を有効数字 1 桁で求めよ。解答を導く過程も記述すること。

図2—4 年平均海水塩分分布。(a)海面,(b)緯度—深さ面上に0度から西経60度までの東西平均を描いたもの。等値線間隔は0.5‰。ただし,(b)では34‰から35‰の間のみ細線が0.1‰間隔で描かれている。(b)において黒く塗りつぶした領域は海底地形を示す。なお,グリーンランド海と北極海の海面付近は塩分変化が大きいため,(b)においてはすべての等値線が描かれているわけではない。
図2—4 年平均海水塩分分布。(a)海面,(b)緯度—深さ面上に0度から西経60度までの東西平均を描いたもの。等値線間隔は0.5‰。ただし,(b)では34‰から35‰の間のみ細線が0.1‰間隔で描かれている。(b)において黒く塗りつぶした領域は海底地形を示す。なお,グリーンランド海と北極海の海面付近は塩分変化が大きいため,(b)においてはすべての等値線が描かれているわけではない。
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第3問 活断層と地震に関する以下の問Ⅰと問Ⅱに答えよ。

問Ⅰ 長さ約 30km の横ずれ活断層Fにおいて,断層に沿ったいくつかの地点で地表面をはぎとり,活断層Fとそれに接する地層を水平面上に露出させた。そのうちの 1 つの地点でのスケッチを図3—1に示す。

 この地点の断層と地層の関係は次のようであった。地層は主に河川の堆積物からなる。下位より砂層 a,砂礫(れき)層 b からなり,西に緩く傾斜している。砂礫(れき)層 b は礫(れき)層 c に不整合で覆われている。玄武岩質の火成岩岩脈 d が,a,b,c 各層に貫入している。礫(れき)層 e は不整合によってこれらの地層の一部を覆っている。さらに砂層 f が不整合によって a,e 各層および断層を覆っている。このはぎとり地点では,活断層F以外の断層は見いだされなかった。また,この活断層は水平面に対して垂直であり,横ずれ変位を繰り返している。

 各地層は木片化石を豊富に含んでいる。図3—1中の★印の各地点から木片化石を採取し,放射性同位体を用いて年代測定を行ったところ,次の結果を得た。① 8000 年前,② 7700 年前,③ 7500 年前,④ 5700 年前,⑤ 7800 年前,⑥ 8100 年前,⑦ 2000 年前,⑧ 1400 年前。ただし,木片化石は再堆積したものではない。図3—1のスケッチ地点の付近には,火成岩岩脈 d と同時期に流出した玄武岩質溶岩が分布している。その中に含まれる炭化した木片の年代は 3700 年前であった。年代測定の誤差はここでは考えないものとする。

図3—1 活断層Fとそれに接する地層のはぎとりスケッチ。点線は不整合を示す。
図3—1 活断層Fとそれに接する地層のはぎとりスケッチ。点線は不整合を示す。
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(1) 図3—1の矢印で示される砂層 a と砂礫(れき)層 b の整合境界について断層による変位量をメートル単位で答えよ。また,その整合境界が形成された年代の範囲を推定し,その根拠とともに 2 ~ 3 行程度で記述せよ。

(2) 図3—1の調査結果から,図3—2の灰色四角 1,2,3 に示される断層活動の年代—横ずれ変位量の関係が復元された。そのうち 1 については次のように説明できる。「2000 年前の年代を示す礫(れき)層 e の変位量は 2m である。また活断層Fは,1400 年前の年代を示す砂層 f に覆われている。したがって,2000 年前から 1400 年前の間に起こった断層活動による変位量の合計は 2m である。」これを参考にして 2 の断層活動を復元し,3 行程度で説明せよ。

(3) はぎとりを行った他の地点でも同様の調査を行った結果,8000 年前から現在までの間の横ずれ変位量と年代の関係がさらに細かく分かり,図3—2の太い実線のようになっていることが明らかにされた。図中の Ⅰ ~ Ⅴ に見られる急激な変位は,大地震にともなう活断層の横ずれによるものと考えられる。図3—2から,大地震の起こった時期と横ずれ変位量の間に,太い点線で示される一定の関係があると見ることができる。この関係を用いて活断層の 1000 年あたりの変位量を有効数字 2 桁で答えよ。また,次回の大地震がいつ起こるかを有効数字 1 桁で推定せよ。

図3—2 活断層の活動時期と8000年前からの横ずれ変位量の関係
図3—2 活断層の活動時期と8000年前からの横ずれ変位量の関係
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問Ⅱ 問Ⅰでみた活断層F(以下で,F断層と呼ぶ)は,水平面に対して垂直な横ずれ断層である。ここでは現在も,マグニチュード 3 以下の小さな地震(以下で,微小地震と呼ぶ)が活発に起こっている。ただし,微小地震による変位は小さく,問Ⅰのような方法で測定される断層全体の横ずれ変位にはほとんど影響を与えないことがわかっている。これらの微小地震について調べるため,地表にある 3 つの観測点A,B,Cで地震の観測を行った。図3—3のように,F断層が yz 平面に一致するように座標軸をとり,x 軸は北向きを正に,y 軸は東向きを正に,z 軸は下向きを正にとる。3 つの観測点の座標(km 単位)は,A (8, 0, 0),B (−8, 0, 0),C (8, 10, 0) である。

 得られた地震記録から,まず(ア)微小地震の震源の位置を決定するため,3 つの観測点におけるP-S時間(P波が到着してからS波が到着するまでの時間)を測定した。その結果,(イ)観測されたどの微小地震においてもAとBの 2 つの地点で観測されるP-S時間が等しいことから,微小地震の震源は全てF断層面上にあることがわかった。さらに(ウ) 3 つの観測点におけるP波初動(P波の最初の動き)を調べたところ,微小地震の際に生じる断層の変位の向きは,70 ページの図3—1からわかる断層の変位の向きに一致することがわかった。

 以下では,地震波は震源から観測点まで直線的に伝播し,P波およびS波の速さは場所によらず一定で既知であるものとする。

図3—3 観測点A,B,Cの配置。原点Oは地表面にある。
図3—3 観測点A,B,Cの配置。原点Oは地表面にある。
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(1) 下線部(ア)に述べたように,一般に,地表にある 3 つの観測点におけるP-S時間 T1,T2,T3 がわかると,各観測点から震源までの距離 d1,d2,d3 がそれぞれわかるため,震源の位置を決定できる(ただし 3 つの観測点は一直線上にはないものとする)。しかし,3 つの観測点にP波が到着した時刻 t1,t2,t3 のみからでは震源までの距離 d1,d2,d3 がわからず,震源の位置を決定できない。決定できない理由を 1 ~ 2 行程度で述べよ。

(2) 下線部(イ)に関連して,ある微小地震では,観測点AとBで観測されたP-S時間がともに 2 秒,観測点Cで観測されたP-S時間が 3 秒であった。この微小地震の震源の座標(km 単位)を有効数字 1 桁で答えよ。ただし,P-S時間 T と震源までの距離 d の関係は定数 k を用いて d=kT と与えられ,ここでは k=6km/秒であるとする。

(3) P波初動は,震源から外に向く押し波である場合を「押し」,震源の側に向く引き波である場合を「引き」と呼ぶ。下線部(ウ)の結果を踏まえて,y=5km 付近で起こった地震のP波初動は,3 つの観測点A,B,Cでそれぞれ「押し」であるか「引き」であるかを答えよ。

(4) 問ⅠではF断層の全体が破壊してずれた地震の跡をみた。一方,下線部(イ)と(ウ)の結果から,微小地震もまたF断層面上の一部が破壊してずれた結果であることがわかる。長さ 30km の断層が 2m の横ずれ変位を起こすと,マグニチュード 7 の地震が起こるとする。地震のマグニチュードが 2 増えると放出されるエネルギーは 1000 倍に増える。断層の破壊は岩盤にたまったひずみが限界を超えることで生じる。限界となるひずみの大きさは地震の規模によらずほぼ一定と考えてよいため,1 回の地震で破壊される断層の長さを L とすると,変位量 D は L に比例して増え,放出されるエネルギーは L の 3 乗に比例して増えると考えてよい。これらの考えにもとづいて,マグニチュード 3 の地震で破壊される断層の長さと横ずれ変位量を推定し,それぞれ有効数字 1 桁で答えよ。