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地 学
第1問 宇宙に関する次の問い(問1~2)に答えよ。
問1 恒星の表面の明るさに関する以下の問いに答えよ。計算の過程も示せ。
(1) 半径 ,表面温度 のある恒星の光度 (単位時間あたりに放射されるエネルギー)を求めよ。シュテファン・ボルツマン定数を とする。また,その恒星までの距離が であるとき,我々が観測するみかけの明るさ (単位時間あたりに,光線に垂直な面の単位面積を通過するエネルギー)を求めよ。
(2) その恒星は半径が角度 の円に見え,天球面上での面積は となる。ひろがって見える天体の面輝度 を,天球面上の単位面積あたりの明るさと定義する。この恒星の平均の面輝度 は, を で割ったものとなる。 を と で表した上で(単位はラジアンとする), を求めよ。
(3) 以下では,面輝度は恒星のみかけの円内でどこでも一定で,前問で求めた であるとする。図1—1のような食連星を考える。光度 がより明るい星を主星と呼ぶ。二つの食において,恒星が隠される部分の面積は同じであるとする。
図1—1 地球から見たある食連星の模式図。主星を固定して描いてあり,矢印は公転方向を表す。
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(a) 連星の二つの星はともに主系列星であるとする。伴星がAの位置から主星の周りを一周する間の,この食連星全体のみかけの明るさ の時間変化を,横軸に時間,縦軸に をとって図示せよ。二つの食における光度変化量の違いを明示すること。
(b) 二つの星が主系列星と限らない場合,どのような種類の恒星の連星ならば二つの食における光度変化量の大小が(a)の場合と逆になるか。理由も含めて 行程度で述べよ。
(4) 観測者が恒星の中心から見込む角度を とする。現実の恒星の面輝度 は中心()から境界()にむかって暗くなる(周辺減光)。これを以下のように単純化して考えよう。恒星を,半径 の内側では密度が一定,外側では密度ゼロのガス球とする。恒星からの光はガス球の表面ではなく,それよりわずかに内側の光球面から放たれる。光球面は,それより外側のガスによって光が吸収されるかどうかの境界であり,図1—2に示すように,光球面からガス球表面まで光が観測者にむかって伝搬する距離 は, によらず一定であるとする。なお, は よりはるかに小さいとする。
(a) ガス球表面から測った光球面の深さ は によって異なる。 を ,, を用いて表せ。図中に示された角度 を途中で用いてもよい。
(b) 恒星の温度は,ガス球表面から恒星内部に向かって高くなる。(a)の結果に基づいて,周辺部ほど面輝度が減少する理由を 行程度で説明せよ。
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図1—2 恒星の表面付近の光の経路の模式図
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問2 太陽系の惑星と衛星に関する以下の問いに答えよ。数値での解答には計算の過程も示せ。必要に応じて, を用いてよい。
(1) 太陽の周りを公転する惑星と同様に,惑星の周りを公転する衛星の運動もケプラーの法則に従っている。木星にはガリレオ衛星と呼ばれる特に大きな つの衛星イオ,エウロパ,ガニメデ,カリストがある。そのなかで,イオ,エウロパ,ガニメデのそれぞれの公転周期 ,, は の整数比の関係が成り立つことが知られている。
(a) イオの公転軌道の長半径(木星からの最大距離と最小距離の平均)を として,エウロパとガニメデの軌道の長半径 , を有効数字 桁でそれぞれ求めよ。
(b) イオでは活発な火山活動が起こっており,内部が高温になっていると考えられている。この高温の最も重要な原因と考えられるものを答えよ。
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(2) 水星は惑星のなかで最も小さいが,平均密度は惑星の中で 番目に大きく,表面には地球の衛星である月と同様に,他の地球型惑星に比べて多くのクレーターを残している。また,水星の公転軌道は他の惑星と比較して特に大きな離心率を持っている。
(a) 水星が大きな平均密度を持つことは,水星の内部構造のどのような特徴を反映していると考えられるか,簡潔に答えよ。
(b) 水星表面に多くのクレーターが消えずに残されていることの主要な原因を つ, ~ 行で答えよ。
(c) 水星の遠日点での公転速度 に対する近日点での公転速度 の比を,図1—3を参考にして,軌道離心率 を用いて表せ。また, として公転速度の比を有効数字 桁で求めよ。
(d) 水星の近日点において太陽方向に直交した平面が受ける単位時間,単位面積あたりの太陽放射エネルギーは遠日点の何倍か,軌道離心率 を用いて表せ。
図1—3 水星の公転軌道の模式図
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第2問 大気と海洋に関する次の問い(問1~2)に答えよ。
問1 以下の問いに答えよ。
(1) 等圧面が水平方向と高度に対して図2—1のように分布している。ここで等圧面の圧力は の関係を満たし,等圧面の間隔は左ほど大きい。大気組成は均一とする。
図2—1 等圧面の構造
(a) 圧力が , の等圧面に挟まれた領域Aの平均気温と領域Bの平均気温のうちどちらが高いかを答え,その理由を,気圧はその高度より上にある単位面積あたりの大気の重さに等しいことを用いて 行程度で述べよ。
(b) 図2—1が夜間の海陸風の模式図であるとき,表面 (左)と表面 (右)のどちらが海面であるかを,海洋の熱容量が大きいことを考慮して答えよ。また,点Cにおける風の向きを「右向き」「左向き」から選べ。
(c) 図2—1を海陸風ではなく南半球の地衡風の模式図とする。紙面に垂直方向の気圧傾度力はないものとする。このとき,点Dにおける風の向きを「右向き」「左向き」「手前向き」「奥向き」の中から選べ。
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(d) 点Cにおいて,気圧傾度力とコリオリの力(転向力)と摩擦力がつり合っており,摩擦力の大きさは気圧傾度力の半分の大きさであるとする。このときの風速は,摩擦力が働かず気圧傾度力とコリオリの力がつり合っているときの風速の何倍であるかを,計算の過程も示して答えよ。計算の過程では気圧傾度力の大きさを ,コリオリの力の大きさを ,摩擦力の大きさを とする。
(2) 北半球中緯度で発達しつつある偏西風波動を考える。図2—2は地表の気圧分布の模式図である。同心円に囲まれた領域Eと領域Fのうち,いずれかが低気圧で,いずれかが高気圧である。
図2—2 地表の気圧分布
(a) 線分Gと線分Hのいずれかに沿った白丸の地点における風向が図2—3の矢印のように表される。これらの風向は線分G,Hのいずれに沿ったものであるかを答えよ。また,領域E,Fのいずれが低気圧であるかを答えよ。
図2—3 風向の分布
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(b) 線分Gの上空の 等圧面における風向と,気圧の谷(「低」で表す),あるいは尾根(「高」で表す)の位置として,適切なものを次の(a)~(d)から選べ。
(c) 偏西風波動が発達するとき,上空の気圧の谷の東側で気温が高く,西側で気温が低くなっている。このことと上記の風向を使って,偏西風波動が地球全体のエネルギー収支においてどのような役割を果たしているかを,「太陽放射」という語を用いて ~ 行で述べよ。
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問2 以下の問いに答えよ。数値による解答は有効数字 桁で答え,計算の過程も示せ。なお,重力加速度は ,円周率は とする。
(1) 太平洋域には複数のプレート(図2—4)が存在し,プレート境界で発生した巨大地震が引き起こす津波は遠洋に広がる。 年東北地方太平洋沖地震によりE1において発生した津波は,地震発生から 時間後,津波計が深海に設置されている観測点S1に到達した。同様に 年チリ地震によりE2において発生した津波は, 時間 分後,津波計が深海に設置されている観測点S2に到達した。E1からS1までの大円距離(地球表面に沿った最短距離)を ,E2からS2までの大円距離を とし,津波の伝播の速さから,それぞれの津波伝播経路の平均水深を求めよ。簡単のため,それぞれの伝播経路の水深を平均水深で,伝播経路を大円で近似できるものとする。
図2—4 太平洋を中心とする海陸分布とプレート境界
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(2) (1)で求めたE1-S1間とE2-S2間の平均水深が異なる理由を,以下の語をすべて用いて 行程度で述べよ。
語群:東太平洋中央海嶺,プレート,海洋底年代,リソスフェア,冷却
(3) 海上の強風が生成する波浪は,強風域から遠く離れると,形の整った( ア )と呼ばれる海洋波浪として観測される。いま,水深 の平坦な深海底に設置されている流速計の直上の海面を,波高が で周期 秒の( ア )が一方向に伝わっている。
(a) 空欄( ア )に入る適切な語句を答えよ。
(b) 下線部の波の波長と波の伝わる速さを答えよ。
(c) 流速計は海水の流速を計る。例えば,この流速計の直上の海面を一方向に伝播する波高 の津波は,海底付近で最大 程度の水平方向の流速を生じる。一方,下線部の波は海底付近で流れを伴わず,この流速計は( ア )を検知しない。下線部の波が海底付近で流れを伴わない理由を 行程度で述べよ。
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第3問 地震と地質に関する次の問い(問1~2)に答えよ。
問1 地震と断層に関する以下の問いに答えよ。
(1) P波の振動方向などの地震波形の特徴を分析すると, 点での観測であっても震源の方向と震源までの距離が推定でき,このことは緊急地震速報で活用されている。いま, 軸を鉛直上向きにとった 次元 –– 座標系上で位置(,,)に設置された観測点でP波が観測され,震源が観測点から方向 および距離 の位置にあると推定された。ここで は観測点から震源の位置へ向いた単位ベクトルであり,地表面は に位置する。また,P波速度 ,S波速度 は場所によって変化しないものとする。
(a) –– 座標系上での震源の位置(,,)を,それぞれの成分ごとに ,,,,, を用いて表せ。
(b) 観測点でP波が検知され瞬時に緊急地震速報が発令されたとしても,S波(主要動)の到達に緊急地震速報が間に合わない領域内の点(,,)が地表面上にある場合を考える。, が満たす不等式を ,,,,, を用いて記せ。
(c) (b)の結果をもとに,地表面における緊急地震速報が間に合わない領域と観測点のおよその位置を – 平面上に図示せよ。簡単のため とする。
(d) 陸側プレート内の浅部で発生する地震(直下型地震)に対して緊急地震速報を全ての地域で間に合わせるには難しさがある。(c)までの考察をもとに,多数の観測点からなる地表の観測ネットワークをどのように整備すれば間に合わない地域の範囲を狭められるか理由を含め 行程度で述べよ。
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(2) 実際の断層は点ではなく,大きさのある面であり,断層のずれは,一定の速度 (マグニチュードによらずS波速度の数十%程度)で断層面の上を移動する震源として表される。各地点での揺れは,断層から放出された最初の地震波が到達したら始まり,最後の地震波が到達するまで継続する。以下では,P波による揺れのみを考え,S波や屈折波,反射波の影響は考えないものとし,P波速度 は場所により変化しないものとする。断層面の幅(深さ方向の長さ)は無視できるほど小さいものと考えよ。
図3—1 鉛直な断層面を上から見た平面図。太線は断層面であり,白矢印は白丸の位置にある震源が断層面上を移動する方向,点A~Dは観測点を示す。
(a) 一般に,地表面で揺れが継続する時間は,地震のマグニチュードとどのような関係にあるか,その理由を含めて 行程度で説明せよ。
(b) まず簡単のため,図3—1の×の位置に移動しない右横ずれの震源を考える。観測点A~Dでの初動の向きをそれぞれ押し波か引き波で答えよ。
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(c) つぎに,図3—1の白矢印のように断層の西端から移動を開始し東端で停止する右横ずれの震源を考える。初動が押し波の領域と引き波の領域を分ける境界線を,断層上の震源の移動開始点と停止点の位置とともに図示せよ。
(d) (c)の場合で,観測点AとBでの揺れの継続時間を断層の長さ ,, を用いて表し,震源の移動が各点での継続時間に与える影響を 行程度で説明せよ。ここでは,断層面の上端は地表面に位置し,観測点AとBは断層の端から等距離にあり図3—1での距離 と には, の近似が成り立つとせよ。震源は,それぞれの位置で瞬間的に地震波を放出しながら移動するものとする。
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問2 日本列島の地質構造に関する次の文章を読み,以下の問いに答えよ。
日本列島は,ユーラシア大陸と太平洋の間に位置する島弧であり,プレートの沈み込みに伴う造山運動が過去約 億年間にわたって繰り返されてきた。海洋プレート表面の物質や陸源の砕屑物が,海溝で陸のプレートに押し付けられて形成された地質体を( ア )と呼び,(Ⅰ)ジュラ紀に形成された美濃・丹波帯や,(Ⅱ)白亜紀から新第三紀にかけて形成された四万十帯はその一例である。また,( ア )の一部は変成作用により鉱物が再結晶して変成岩となっている。西南日本の広域変成帯である領家帯と三波川帯の境界は( イ )と呼ばれる断層である。新第三紀には日本海の拡大や,( ウ )プレートと呼ばれる海洋プレート上にある伊豆—小笠原弧の西南日本弧への衝突などが生じ,日本列島の形が作られてきた。
(1) 空欄( ア )~( ウ )に入る適切な語句を答えよ。
(2) 下線部(Ⅰ)に関して,美濃・丹波帯の中には石灰岩の採掘がおこなわれている場所がある。美濃・丹波帯の中の石灰岩はどのような場所で形成されたか 字以内で述べよ。また,これらの石灰岩が美濃・丹波帯の中にとりこまれるまでの過程について,プレートの運動と沈み込み帯を表す模式的な断面図を描いて説明せよ。
(3) 下線部(Ⅱ)に関して,図3—2は四国における四万十帯の複数の地点(A~D)において産出する岩石の種類と年代を示した模式柱状図である。
(a) 岩石種P,R,Sはそれぞれ何だと考えられるか。以下のうちから適切な語句を選択せよ。
流紋岩 玄武岩 花崗岩 砂岩・泥岩 チャート 岩塩
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図3—2 四国における四万十帯の地点A~Dに産出する岩石の種類と年代を示す模式柱状図。柱状図の縦軸は層厚と一致しないことに注意。
(b) 岩石種Qは異なる起源をもつ粒子から構成されている。岩石種Qを構成する粒子の起源を つ挙げ,そう考えた理由を岩石種Qが形成された場所と関連付けて 行以内で答えよ。
(c) 地点A~Dのうち,最も南側に位置すると考えられるのはどの地点か。理由とともに 行以内で答えよ。
(d) 図3—2では,岩石種Rの形成が生じていた期間が地点により異なる。この原因として,白亜紀後期に沈み込んでいた海洋プレートにどのような変化が生じたことが考えられるか。 行以内で答えよ。
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(e) 地点Aと地点Dから採取された岩石の分析の結果,両地点の岩石はいずれも,岩石種にかかわらず ℃ の温度に達する弱い変成作用を受けたことが判明した。岩石種Pの最も若い年代と岩石種Sの最も若い年代の差が沈み込む海洋プレートの年齢をあらわしていると仮定して,地点A,Dの岩石はそれぞれ地下何 まで沈み込んだと考えられるか,計算の過程とともに有効数字 桁で求めよ。なお,沈み込み帯におけるプレート境界浅部の地殻熱流量は,海溝に到達した海洋プレート内の地殻熱流量と同じであると仮定し,海洋プレートの年齢 (単位:百万年)と地殻熱流量 (単位:)には,
地温勾配 ,地殻熱流量 ,岩石の熱伝導率 の間には
の関係が成り立っているとする。また,プレート境界浅部における岩石の平均的な熱伝導率は ,海底面の温度は ℃ とし,岩石は沈み込みに伴って埋没し,弱い変成作用を受けた後には再加熱されていないものとする。
第1問 星の明るさと、木星・水星の軌道
出題の意図(東大) 問 1 では, 恒星表面の明るさを題材として, 現象を図示して説明する力や思考力を問うています。問 2 では, 太陽系内天体に関する理解と, その軌道運動を記述する法則を具体的な問題に適用する応用力を問うています。
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方
前半(問1)は「星の明るさ」を3つの量に分けて考える問題。光度 は星が1秒間に出す全部のエネルギー、見かけの明るさ は地球で の面が1秒間に受け取るエネルギー、面輝度 は空に見える星の円板の「単位面積あたりの明るさ」。
使う道具はシュテファン・ボルツマンの法則(表面 から1秒間に出るエネルギーは 、 は表面温度)と、「光は距離の2乗に反比例して薄まる」ことの2つ。これを食連星(2つの星がたがいに隠し合う連星)と、星の円板のふちが暗く見える周辺減光に使う。
後半(問2)はケプラーの法則の問題。第3法則(公転周期の2乗は軌道の長半径の3乗に比例)と、第2法則(面積速度一定:太陽と惑星を結ぶ線が同じ時間に掃く面積は同じ)を、木星の衛星と水星に使う。あいだに、水星とイオの特徴を問う知識の問いがはさまる。
問1(1)
半径 の球の表面積は 。 あたり を出すので、全部で
この光は四方八方に同じように広がる。距離 の所では、半径 の球面(面積 )に均等に分かれるので
太陽の値(半径 、表面温度 、距離 )を入れると約 になり、実際に測られている太陽定数(約 )とほぼ一致する(半径 ・距離 のもっと細かい値を使うと )。
答え,
問1(2)
星の半径 は、距離 から見ると角度 に見える。 は よりずっと小さいので、円の弧の長さと同じように考えて (ラジアン)。
面輝度の平均は、見かけの明るさを空の上の円の面積 で割ったもの:
も も消えてしまう。遠くの星は小さく、暗く見えるが、円板の「面の明るさ」は変わらず、表面温度だけで決まる。次の (3) はこの性質を使う。
問1(3)(a)
図1—1 では、下を通る伴星は主星に重なって手前に、上を通る伴星は主星の後ろに描かれている。つまり見ている人は下の側にいる。A から矢印の向きに回ると、まず手前(下)を通り、そのあと奥(上)を通る。
食の外では2つの星の光がそのまま届くので、 は一定。
1/4 周のころ、伴星が主星の前を通り、主星の一部が隠れる。3/4 周のころ、伴星が主星の後ろに入り、伴星の一部が隠れる。問題の条件で、隠れる面積はどちらも同じ( とする)。隠れた部分から来るはずだった光は、面輝度 × 面積なので
(2) より面輝度は に比例するので、2つの減り方の比は 。
主系列星は、重いほど光度が大きく、表面温度も高い。光度の大きい主星の方が高温なので、主星が隠れる食(伴星が前を通るとき)の方が深い。グラフには、深いくぼみ(1/4 周)と浅いくぼみ(3/4 周)を、その違いがはっきり分かるようにかく。デモでは 7000 K と 5000 K で深さの比が になる。
答えは食の外では一定。Aから1/4周で伴星が主星の前を通り主星が隠れる食で大きく下がり,3/4周で伴星が主星の後ろに隠れる食で小さく下がる(隠れる面積は同じなので,下がる量の比は面輝度の比 。主系列星では光度の大きい主星の方が高温)。
問1(3)(b)
(a) の比が逆になるのは、主星(光度が大きい方)より伴星の方が表面温度が高いとき。
光度は なので、温度が低くても半径がとても大きければ光度は大きくなる。そういう星が赤色巨星(表面温度は 3000〜4000 K ほどだが、半径が太陽の数十倍以上)。その伴星が、小さくても高温の星(高温の主系列星や白色矮星)なら、光度は主星の方が大きいのに、面輝度は伴星の方が大きい。
このとき、伴星が主星の後ろに隠れる食の方が深くなる。デモで主星を 4000 K、伴星を 10000 K・半径 0.1 にすると、深い方と浅い方が入れかわり、比は約 39 倍になる。
答え主星が赤色巨星(低温だが大きいので光度が大きい),伴星が高温の主系列星や白色矮星の連星。面輝度はσT⁴/πで表面温度だけで決まるので,高温の伴星が隠される食の方が減光が大きくなる。
問1(4)(a)
図1—2 のように、見ている人は左にいて、光はまっすぐ左へ進む。恒星の中心から、見ている所へ引いた半径と、見ている向き(横の線)とのなす角が 。見ている所の高さは で、これを角度で表すと 、つまり 。
は よりずっと小さいので、見ている所の近くでは、ガス球の表面と光球面を平行な平らな面と考えてよい。表面の向き(外向きの垂線)は半径の向きなので、光の道すじ(横)と表面の垂線のなす角も 。
光球面から表面まで、光はななめに だけ進む。表面に垂直に測った深さ は、その を垂線の向きに写したものなので
中心()では 、ふち()では 。デモの右の断面で、見ている所をふちへ動かすと が縮んでいく。
答え()
問1(4)(b)
私たちが見る光は、光球面から出た光。(a) より、中心では深さ の所の光を、ふちに近づくほど浅い所の光を見ている。
恒星の温度は、表面から内部に向かって高くなる。だから、ふちで見ているのは温度の低い層の光になる。面輝度は (2) のとおり で、温度の4乗に比例するので、温度が少し低いだけでも暗さははっきり出る。
デモでは、温度の4乗が深さとともに直線で増えるとして、ふちの明るさが中心の約 0.4 倍になる。表面まで内部と同じ温度にすると、周辺減光は起きない。「内部ほど熱い」ことが、ふちが暗くなる理由だと分かる。
答え周辺部ほど光球面の深さrが浅く,表面に近い低温の層から出た光を見ることになる。面輝度は温度の4乗に比例するので,周辺部ほど暗くなる。
問2(1)(a)
ケプラーの第3法則は、同じ木星のまわりを回る衛星どうしでも成り立つ: がどの衛星でも同じ。したがって
なので 。ガニメデは 4 倍なので
で、。 有効数字2桁にまとめる。実際のエウロパ()、ガニメデ()とよく合う。
答え, (ケプラーの第3法則 ,)
問2(1)(b)
イオは木星のすぐ近くを回っている。イオ・エウロパ・ガニメデの周期が なので、3つは決まった並びで何度も近づき、そのたびに引き合う。このためイオの軌道はわずかにつぶれた楕円のまま保たれる。
楕円軌道では木星との距離が1周の間に変わるので、木星がイオを引きのばす潮汐力(場所によって引く強さが違うために生まれる、引きのばす力)の大きさも変わる。イオはくり返しもまれて、内部の摩擦で熱が生まれる。これが活発な火山活動のもとになっている。
問2(2)(a)
惑星の平均密度は、重い金属(おもに鉄)の核と、軽い岩石のマントルの割合で決まる。水星は小さい惑星なので、内部の圧力で押し縮められる効果は地球より小さい。それでも平均密度が大きいのは、体積に対して鉄の中心核の割合がとても大きいからと考えられる(核の半径は水星の半径の 8 割ほど)。
答え半径の割に大きな鉄(金属)の中心核をもち,岩石のマントルが薄い。
問2(2)(b)
クレーターが消えるのは、風や水による風化・侵食で削られたり、堆積物で埋められたり、火山活動やプレートの運動で表面がつくり直されたりするとき。
水星は重力が小さく高温なので、大気をほとんど保てない。大気や水がほとんど無いので、大気や流水による風化・侵食や堆積がほとんど起こらず、できたクレーターは削られも埋められもせずに長く残る(隕石がぶつかってくだけた物が積もる、太陽風などで表面が少しずつ変わる、といったことはあるが、とても遅い)。月にクレーターが多いのと同じ理由である。
答え大気や流水がほとんど無く,風化・侵食や堆積がほとんど起こらないから。
問2(2)(c)
図1—3 で、遠日点での太陽からの距離は 、近日点では 。
近日点と遠日点では、水星の速さの向きは太陽の方向に直角。このとき、短い時間 に掃く面積は、底辺 ・高さ の三角形で 。ケプラーの第2法則(面積速度一定)より
を入れると 。有効数字2桁にまとめる。
デモで水星を太陽の引力だけで動かすと、同じ時間に掃く面積が同じまま、近日点では速く(約 59 km/s)、遠日点ではゆっくり(約 39 km/s)回る。
答え(面積速度一定:)
問2(2)(d)
太陽の放射は四方に広がるので、太陽に直角な面が受けるエネルギーは距離の2乗に反比例する((1) の と同じ)。近日点の距離 と遠日点の距離 の比から
では約 2.3 倍。速さの比 (c) の2乗になっている。地球()では約 1.07 倍しか変わらない。
答え 倍(日射は太陽からの距離の2乗に反比例)
第2問 等圧面のすき間と風、津波とうねり
出題の意図(東大) 問 1 では, 地表における気圧分布と陸海風や地衡風の関係, 偏西風波動やその地球全体のエネルギー収支における役割に関する理解を問うています。問 2 では, 津波を題材として,海域を伝わる異なる種類の波動を定量的に理解する力を問うています。
東大の解答例(選ぶ問題だけ) 問1(1)(a):領域 A 問1(1)(b):表面 1、左向き 問1(1)(c):奥向き 問1(2)(a):H、領域 F 問1(2)(b):(c) 下の答えと全部一致
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方
前半(問1)は、気圧は「その高さより上にある空気の重さ」という一つの考えから、等圧面の間隔・気温・風を読みとる問題。同じ気圧の差の間に入っている空気の重さは同じなので、層が厚いほど空気は軽い(密度が小さい)=暖かい。
風は、気圧の高い方から低い方へ押す気圧傾度力と、地球の自転によるコリオリの力(北半球では進む向きの右へ、南半球では左へ曲げる見かけの力)、地面近くでは摩擦力のつり合いで決まる。後半の問いは、この力のつり合いを地上天気図と上空の偏西風の波に当てはめる。
後半(問2)は海の波の問題。波長が水深よりずっと長い波(津波)の速さは で水深だけで決まり、波長が水深よりずっと短い波(深海波)の速さは周期だけで決まる。この違いが、津波の平均水深の求め方と、うねりが海底に届かない理由につながる。
問1(1)(a)
領域Aも領域Bも、圧力 の面と の面にはさまれている。気圧はその高さより上の空気の重さなので、 は「A(または B)の柱の中の空気の あたりの重さ」になる。つまり A と B の空気の重さは同じ。
同じ重さの空気が、A では高く、B では低く積まれている。A の方が密度が小さい。同じくらいの気圧のもとで密度が小さいのは、気温が高いとき(空気は温まるとふくらむ)。だから A の方が暖かい。
デモで左の空気を 5 ℃ 暖かくすると、A の層は約 1564 m、B は約 1537 m になる。
答え領域A。P₂とP₃の間の空気の重さはAもBも同じなので,厚いAの方が密度が小さい。同じ気圧で密度が小さいのは気温が高いから。
問1(1)(b)
夜は地面も海面も放射で冷えるが、海は熱容量が大きいので温度が下がりにくい。夜は海の上の空気の方が暖かい。
図2—1 では左ほど等圧面の間隔が大きい=左の空気が暖かい。だから左の表面1が海面、右の表面2が陸。
点Cの高さでは、 の面が右ほど高い。その高さで横に比べると、右(陸)の方がまだ等圧面の下にいる=気圧が高い。風は気圧の高い方から低い方へ吹くので、点Cの風は右(陸)から左(海)へ向かう。夜に陸から海へ吹く陸風になっている。
問1(1)(c)
点Dの高さでは、 の面が左ほど高い。点Dの高さで比べると、左の方が気圧が高く、気圧傾度力は右向き。
地衡風は、気圧傾度力とコリオリの力がつり合って等圧線に平行に吹く風。南半球ではコリオリの力が進む向きの左にはたらくので、左向き(高圧側)のコリオリの力を受けるには、進む向きの左が高圧側=低圧側を右に見て吹けばよい。
低圧側(右)を右手に見るには、紙面の奥へ向かって進めばよい。したがって奥向き。北半球なら逆に手前向きになる。
問1(1)(d)
3つの力の向きを考える。摩擦力 は風と逆向き、コリオリの力 は風に直角。だから と は直角で、この2つを合わせたものが気圧傾度力 とつり合う。三平方の定理より
摩擦が無いとき(地衡風)は 。コリオリの力の大きさは風速に比例するので、風速の比はコリオリの力の比と同じで 倍。
このとき風は等圧線に平行ではなく、低い方へ 横切って吹きこむ()。デモでは止まった空気が動き出し、うずを巻きながらこの速さに落ち着く。
答え倍(, より 。摩擦なしでは 。コリオリの力は風速に比例)
問1(2)(a)
地上の風は、(1)(d) のように摩擦があるので、等圧線を横切って低気圧に吹きこみ、高気圧から吹き出す。北半球では、低気圧のまわりは反時計回り、高気圧のまわりは時計回り。
線分H(南側)で考えると、E が高気圧・F が低気圧のとき:E の南西の点は時計回りで西向き(少し外へ)、E の南東の点は南西向き(ほぼ南)、F の南西の点は反時計回りで東向き、F の南東の点は北東向き(ほぼ北)。これは図2—3 の「西・南・東・北」と一致する。
線分G(北側)や、E が低気圧の組み合わせでは、どれも4本がそろわない。画素から矢印を読んで確かめると、合うのはこの組み合わせだけで、矢印は等圧線を約 38° 横切っている。
問1(2)(b)
発達している温帯低気圧では、上空の気圧の谷は地上の低気圧より西にある(高さとともに西へ傾く)。地上の低気圧 F は東、高気圧 E は西なので、上空の谷は E と F の間、線分Gの上空のまん中あたりにくる。
偏西風は谷のまわりを、谷の西側では北西から南東へ(右下向き)、谷の東側では南西から北東へ(右上向き)流れる。「低」が真ん中にあり、左の2本が右下向き、右の2本が右上向きの選択肢を選ぶ。
(a) と (d) は、矢印の曲がり方と「低」「高」が食い違っている(右上向きから右下向きへ曲がるのは尾根のまわり)。(b) は尾根の形だが、線分Gの上空のまん中にあるのは谷なので合わない。
問1(2)(c)
谷の東側では南寄りの風が吹き、そこは暖かい。谷の西側では北寄りの風が吹き、そこは冷たい。つまり、暖かい空気は北へ、冷たい空気は南へ運ばれている。差し引きで、熱が南(低緯度)から北(高緯度)へ運ばれる。
なぜ熱を運ぶ必要があるのか。太陽放射は低緯度で多く、高緯度で少ない。デモのグラフのとおり、1年の平均で赤道では約 、北極では約 が大気の上に届く。一方、地球が宇宙へ出す放射は緯度による差が小さい。だから低緯度では熱が余り、高緯度では足りない。
偏西風波動は、この余った熱を中緯度で北へ運び、南北の温度差が大きくなりすぎないようにしている。
答え谷の東側では南寄りの風が暖かい空気を北へ,西側では北寄りの風が冷たい空気を南へ運ぶ。太陽放射を多く受けて熱が余る低緯度から,熱が足りない高緯度へ熱を運び,南北の温度差を小さくする役割。
問2(1)
津波は波長が数百 km あり、水深(数 km)よりずっと長い。このような波は、海底までの水全体が動き、速さは水深だけで決まる:。逆に 。
E1-S1: 時間 で 進むので
E2-S2: 時間 分 で 進むので
有効数字2桁にまとめる。デモでは、その水深の海で波を細かく動かし、ちょうど同じ時間でとどくことを確かめている。
答えE1-S1:,E2-S2:(津波の速さ )
問2(2)
図2—4 を見ると、E1(日本海溝の近く)から S1 までの道すじは西太平洋を通り、E2(チリ沖)から S2 までの道すじは東太平洋中央海嶺をまたぐ。
海洋プレートは海嶺でつくられ、両側へ広がっていく。海嶺から離れるほど海洋底年代は古い。できたばかりのリソスフェア(プレートの固い部分)は熱いが、時間とともに冷却されて厚く、密度も大きくなる。重くなったプレートはアイソスタシー(浮力のつり合い)で深く沈むので、古い海底ほど深い。
西太平洋の海底は海嶺から遠く古い(1 億年ほど)ので深く、東太平洋中央海嶺の近くは若いので浅い。実際の海底の深さと年代の関係にあてはめると、5.7 km は約 9 千万年、3.9 km は約 1600 万年の海底の深さにあたる。
答え海洋プレートは東太平洋中央海嶺でつくられ,海嶺から離れるほど海洋底年代が古い。古いプレートほどリソスフェアの冷却が進んで厚く重くなり,沈むので海は深くなる。E1-S1間は海嶺から遠い古いプレートの上を,E2-S2間は海嶺に近い若いプレートの上を通るので,E1-S1間の方が深い。
問2(3)(a)
強い風が吹いている海域でできる、とがって不規則な波を風浪という。風浪が風の弱い所まで伝わってくると、短い波は弱まり、周期の長い波が残って、丸みを帯びた形の整った波になる。これがうねり。
問2(3)(b)
水深 は、周期 12 秒の波の波長(数百 m)よりずっと深い。このような深海波の波長 と周期 には の関係がある(水の粒子が円運動をしながら波が進む、という深海波の性質から出る)。
それぞれ有効数字2桁にまとめる。波長を先に丸めて とすると 18 になってしまうので、丸める前の値で割る。
水深 ÷ 波長は約 18 で、深海波の条件(水深が波長の半分より深い)を十分に満たしている。
答え波長 ,速さ (水深が波長の半分より深い深海波)
問2(3)(c)
深海波では、水の粒子は円をえがいて動くが、その円の半径は深くなるほど急に小さくなる(深さ で 倍)。波長の半分(約 110 m)の深さで海面の約 、1 波長(約 220 m)で約 。
流速計のある 4000 m は、波長の約 18 倍も深い。そこでは水の動きは計算すると海面の 倍で、流れはまったく生じない。
津波は波長が水深よりずっと長いので、水は海底まで同じように横に動く(高さ 2 m の津波で約 10 cm/s)。うねりと津波の違いは、波長と水深の比にある。
答え水深が波長(約220 m)よりずっと深いので,水の粒子の円運動は深くなるほど急に小さくなり,波長の半分ほどの深さでほぼ消えるから。
第3問 地震の速報・動く震源と、海から来た岩
出題の意図(東大) 問 1 では, 地震における波の伝播を 3 次元的に考察する力, さらに断層面を移動する震源を題材として科学的思考力を問うています。問 2 では, 日本列島の地質構造に関する理解と柱状図を的確に読み取る理解力, 地殻における熱流量を与えられた式を用いて考察する力を問うています。
東大の解答例(選ぶ問題だけ) 問1(2)(b):A 引き波、B 押し波、C 引き波、D 押し波 問2(3)(a):P 砂岩・泥岩、R チャート、S 玄武岩 問2(3)(c):地点 D 下の答えと全部一致
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方
前半(問1)は地震波の到着時刻の問題。P波(縦波、速い)と S波(横波、遅い、揺れが大きい)の速さの違いを使う。緊急地震速報は、震源の近くで先に届いた P 波をとらえて、大きな揺れ(S 波)が来る前に知らせるしくみ。どこでなら間に合わないかを、時刻の比べ方で考える。
後半の揺れの継続時間は、震源が1点ではなく、断層の上を一定の速さ で動いていくことがポイント。震源が近づいてくる側と遠ざかる側で、波の届き方が変わる。
後半(問2)は日本列島の地質の問題。海洋プレートの上にたまった物(玄武岩・チャート・石灰岩・泥・砂)が、海溝で陸側に押し付けられてできた付加体の読み方を問う。柱状図から、付加した順番と、沈み込んだプレートの年齢を読みとる。最後はその年齢から地下の温度を計算する。
問1(1)(a)
は観測点から震源へ向かう長さ 1 のベクトルなので、観測点の位置に を足せば震源の位置になる。観測点は なので、成分ごとに 、、。
震源は地下にあるので 、つまり になる。
答え, ,
問1(1)(b)
地震が起きた時刻を 0 とする。P 波が観測点に届くのは 秒後で、このとき速報が出る。
地表の点 と震源の距離は なので、S 波が届くのは
秒後。これが 以下なら、速報より先に(または同時に)S 波が来て間に合わない。両辺に をかけて2乗して整理すると、、 の不等式になる。
答え
問1(1)(c)
とすると、(b) の不等式は 。これは震央(原点)を中心とする円の内側を表す。
観測点は で、(震源から観測点までの距離が )なので、震央からの距離は 。 なので となり、観測点は円の外にある。観測点では P 波が先に届いてから S 波が来るのだから、当然である。
図には、原点を中心とする円(内側を塗る)と、円の外の 軸上に観測点をかく。デモでは深さ 10 km・震源距離 30 km で、半径約 14 km の円になる。
答え震央(原点)を中心とする半径 の円の内側。観測点 , は震央から 離れていて, なのでこの円の外側にある。
問1(1)(d)
円の半径 を小さくするには、(最初に P 波をとらえる観測点までの震源距離)を小さくすればよい。 になれば根号の中が負になり、間に合わない所は無くなる。
直下型地震は震源が浅い( が小さい)ので、この条件はきびしい。どこで地震が起きても、すぐ近くに観測点があるように、観測点の間隔を狭めて密に置く必要がある。デモで震源距離を 15 km にすると、深さ 10 km の地震でも間に合わない所は無くなる。
答え観測点を密に置き,どこで地震が起きても震源の近くに観測点があるようにする。震源距離Rが小さいほど速報が早く,間に合わない円が小さくなるから。
問1(2)(a)
マグニチュードが大きい地震ほど、ずれた断層の面は大きく、長い。震源(ずれ始めの点)は断層の上を で動いていくので、断層の長さ を動き終えるのに の時間がかかる。その間ずっと地震波が出続けるので、揺れも長く続く。
答えマグニチュードが大きいほど断層が長く,震源が断層の上を一定の速さで移動し終えるのに時間がかかるので,揺れの継続時間は長くなる。
問1(2)(b)
右横ずれ断層では、断層の向こう側が右へずれる。東西の断層なら、北側は東へ、南側は西へ動く。
北側が東へ動くと、その東の方(北東)の岩は押されて、最初の動きが震源から遠ざかる向き=押し波。北側が去っていく西の方(北西)は引っぱられて引き波。南側が西へ動くので、南西は押し波、南東は引き波。
A は北西、B は北東、C は南東、D は南西にあるので、引き・押し・引き・押しになる。境目は、断層の面と、それに直角で震源を通る南北の面の2つ。
答えA 引き波,B 押し波,C 引き波,D 押し波
問1(2)(c)
震源が動くとき、ある地点に最初に届くのはどの点から出た波か。断層の上の点 (西の端から測る)から出る波は、時刻 に出て、距離 ÷ だけかかって届く。 が少し増えると、出る時刻は の割合で遅れ、距離は多くても同じ割合でしか縮まないので、とどく時刻は 以上の割合で遅れる()。
だから、どの地点でも最初に届くのは移動開始点(西の端)から出た波で、初動の押し・引きは開始点の位置で決まる。境界線は、断層を通る東西の直線と、開始点を通る南北の直線になる。開始点の北東と南西が押し波、北西と南東が引き波。停止点(東の端)は初動には関係しない。
答え断層を含む東西の直線と,震源の移動開始点(断層の西端)を通る南北の直線が境界。開始点から見て北東と南西が押し波,北西と南東が引き波の領域(最初の波はいつも開始点から届くので,停止点は境界に関係しない)。
問1(2)(d)
揺れは、最初の波(開始点から時刻 0 に出た波)が届いてから、最後の波(停止点から時刻 に出た波)が届くまで続く。
A は開始点から 、停止点から の所にあるので
震源が近づいてくる B では、後から出た波ほど近い所から出るので、波が詰まって短い時間に届く(揺れが強くなりやすい)。遠ざかる A では、波が間延びして長く続く。デモで ・ とすると、A は約 33 秒、B は約 17 秒。
答え, 震源が遠ざかっていく西側のAでは揺れが長く続き,震源が近づいてくる東側のBでは揺れが短い時間に集中して継続時間が短くなる。
問2(1)
海溝で、沈み込む海洋プレートの上の物(玄武岩、チャート、石灰岩)と、陸から運ばれてきた砂や泥が、陸側にはぎ取られて押し付けられ、くさび形に積み重なった地質体が付加体。
西南日本では、高温で低圧の変成作用を受けた領家帯(北側)と、低温で高圧の三波川帯(南側)が、大きな断層である中央構造線で接している。
伊豆—小笠原弧は、フィリピン海プレートの上にある火山の列。フィリピン海プレートが北へ動くため、伊豆半島のあたりで本州にぶつかっている。
問2(2)
付加体の中の石灰岩は、サンゴなどの生物がつくった炭酸カルシウムの岩。こうした石灰岩は、日の光が届く浅くて暖かい海でできる。一方、まわりにある玄武岩やチャートは、遠洋(陸から遠い大洋)の深い海底の物である。遠洋の深い海の中の浅い所といえば、火山島や海山の頂上。サンゴ礁ができるのは暖かい低緯度の海なので、場所は「低緯度の遠洋の海山頂部の浅海」(14 字。句点は付けずに数えた。「浅い海。」と書くと句点まで入れて 16 字になり、15 字をこえる)。
過程:中央海嶺やホットスポットでできた火山島の頂上(低緯度の浅い海)に、サンゴ礁などの石灰岩ができる。火山島はプレートとともに動くうちに冷えて沈み、頂上が平らな海山になる。海山は海洋プレートに乗って海溝まで運ばれる。海溝では、海山の上の部分(石灰岩とその下の玄武岩)が沈み込めずにはぎ取られ、陸側に押し付けられて、チャートや砂岩・泥岩と一緒に付加体にとりこまれる。
断面図には、海嶺(またはホットスポット)から海溝へ向かって動く海洋プレート、その上の石灰岩をのせた海山、海溝で陸のプレートの下に沈み込むプレート、陸側にくさび形に積み重なる付加体と、その中にとりこまれた石灰岩をかく。デモの断面の絵がその例。
答え場所:低緯度の遠洋の海山頂部の浅海 過程:中央海嶺やホットスポットでできた火山島の頂部の浅い海で石灰岩がつくられ,火山島は沈んで海山となり,海洋プレートに乗って海溝まで運ばれる。海溝で海山の上部(石灰岩とその下の玄武岩)がはぎ取られて陸側に押し付けられ,チャートや砂岩・泥岩とともに付加体にとりこまれる(断面図:海嶺側から海溝へ動くプレートの上の海山,海溝で沈み込むプレートと,その陸側にくさび形に積み重なる付加体)。
問2(3)(a)
付加体の柱状図は、下(古い)から上(新しい)へ、海洋プレートの一生をそのまま記録している(海洋プレート層序)。
海嶺で海洋地殻ができる → 遠洋の深い海底で、放散虫の殻がとてもゆっくりたまる → 海溝に近づくと陸から来た泥がまざる → 海溝で陸から流れこんだ砂や泥が厚くたまる → 付加する。
図3—2 では、どの地点も一番下が S、その上に長い期間の R、短い Q、一番上が P。一番下で海嶺でできた S は玄武岩、長い時間をかけてたまった R はチャート、一番上で最後にたまった P は海溝の砂岩・泥岩。
問2(3)(b)
Q はチャート R と砂岩・泥岩 P の間にある。つまりプレートが遠洋から海溝に近づいていく途中でたまった物。
遠洋では、プランクトン(放散虫など)の殻が海底にたまり続けている。陸に近づくと、陸から風や水で運ばれた細かい泥(粘土)も届き始める。Q はこの両方がまざってできた岩(珪質な泥岩など)と考えられる。
答え放散虫など遠洋のプランクトンの殻と,陸から運ばれた細かい泥。Qは遠洋から海溝に近づき,陸の泥が届き始めた所でたまったから。
問2(3)(c)
付加体は、海溝で新しい物が陸側の古い付加体の下に押しこまれるように付け加わって成長する。だから、新しく付加したものほど海溝側にある。四国では海溝(南海トラフ)は南にあるので、新しいものほど南。
付加した時期は、海溝で最後にたまった砂岩・泥岩 P の最も若い年代で分かる。図3—2 では P の最も若い年代は A 8000 万年前、B 約 7600 万年前、C 約 7400 万年前、D 約 7100 万年前で、D が最も新しい。だから D が最も南にある。
答え地点D。付加体は海溝側(南)に新しいものが付け加わって成長するので,海溝でたまった砂岩・泥岩Pが最も若いDが最も南にある。
問2(3)(d)
チャート R がたまった期間は、プレートが遠洋を旅した時間。図3—2 では A 約 4800 万年、B 約 4200 万年、C 約 3000 万年、D 約 900 万年と、あとで付加したものほど短い。
S の最も若い年代から P の最も若い年代を引くと、海嶺で生まれてから海溝に着くまでの時間=沈み込んだときのプレートの年齢になる。これも A 64、B 58、C 46、D 25(百万年)と若くなっている。
生まれてから海溝に着くまでの時間が短くなったのは、海嶺が海溝に近づいてきたからと考えられる。白亜紀後期には、沈み込むプレートがだんだん若くなっていった。
答え沈み込む海洋プレートの年齢が若くなった。中央海嶺が海溝に近づき,海嶺で生まれてから海溝に着くまでの時間が短くなったから。
問2(3)(e)
(d) と同じく、プレートの年齢は S の最も若い年代と P の最も若い年代の差。図から、A は 万年 百万年、D は 万年 百万年。
海底が 0 ℃ で、深さに比例して温度が上がるので、150 ℃ になる深さは :
若いプレートほど熱く、地温勾配が大きいので、浅い所で 150 ℃ に達する。年齢が 、 になっていて、平方根がきれいに出るように作られている。
答えA:,,,深さ 。D:,,,深さ