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地 学
第1問 恒星(以下では星と書く)はその寿命の大半を主系列星として過ごす。主系列星のエネルギー源,寿命,および星の質量分布に関する以下の文章を読み,問に答えよ。数値は有効数字 1 桁で答えよ。
問1 主系列星のエネルギー源はその星の中心部で起こる水素核融合反応である。つまり,4 個の水素原子核が核融合反応を起こし 1 個のヘリウム原子核になる際,質量が 0.7 % 減少する。この質量差がアインシュタインの式 E = m c 2 に従い,星から放射されるエネルギーに変わる。主系列星である太陽はその質量のうちの 75 % (重量 % )が水素で,残りの大部分がヘリウムであることがわかっている。主系列星である期間に,この水素の 10 % が上記の核反応を起こしてヘリウムに変換すると仮定する。光速は c = 3.0 × 10 8 m / s である。
(a) 太陽において,この核融合反応で発生するエネルギーの総量を求めよ。ここで太陽質量は 2.0 × 10 30 k g である。
(b) 太陽の主系列星における寿命が何年になるかを求めよ。ここで,太陽のエネルギー放射率は 3.9 × 10 26 J / s であり,主系列星である期間,エネルギー放射率は変化しないと仮定する。
(c) 主系列星の光度(エネルギー放射率),すなわち単位時間あたりの核燃料の消費量はその星の質量の 4 乗に比例する。このことから,主系列星における星の寿命はその質量の何乗に比例すると考えられるかを答えよ。
(d) 質量が太陽の 20 倍の主系列星の寿命を求めよ。
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問2 星は宇宙空間に漂うガスが収縮して生まれる。銀河系には星形成の母体となる分子雲(暗黒星雲)があちこちに存在しており,そこでは様々な質量の星が生まれている。ある分子雲で様々な質量の星が生まれ,ある時刻(t = 0 とする)に同時に主系列星になったとする。その分子雲では太陽質量の m 倍の質量を持つ星が N ( m ) = N 0 × m − 2.5 個生まれたと仮定する。ここで,N 0 は太陽質量の星が生まれた個数で,1.0 × 10 5 個とし,星の質量は太陽質量の 0.1 倍から 50 倍まで上記の関係式に従って連続的に分布していると仮定する。
(a) この分子雲では m = 20 の星は何個生まれたかを求めよ。
(b) t = 1000 万年でこの分子雲に存在している質量の最も大きな主系列星の質量は太陽質量の何倍かを求めよ。
(c) 星は進化の最終段階で超新星爆発を起こす場合がある。超新星は大別すると 2 種類あるが,ここでは,質量が太陽質量の約 10 倍より大きな星の最期を考える。t = 0 から t = 1000 万年までに起こる超新星爆発の総数を求めよ。なお,ある質量範囲の星の総個数を求めるには,上記の N ( m ) を質量の下限値から上限値まで m について積分すればよい。ただし、m − 2.5 の不定積分は、− m − 1.5 1.5 + 積分定数 である。
(d) 銀河系内に上記と同じ分子雲が 100 個あり,同時に同様の星形成が起こったとする。t = 0 から t = 1000 万年までに,銀河系全体では平均して何年に 1 個の超新星爆発が発生するかを求めよ。
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第2問 次の文章を読み,以下の問いに答えよ。
地球を生命溢れる豊かな惑星としている理由として,海の存在が地球の気候を安定させる効果を持つことが挙げられる。(ア)海に存在する大量の水は莫大な熱量を貯め込むと同時に,(イ)大気と同様に海流が極向きに熱を輸送し高緯度と低緯度の温度差を緩和する。また,大気中の二酸化炭素を吸収して急激な気候の変化を抑えている。二酸化炭素や熱の循環に関わる海洋内部の流れを直接測定することは難しいが,(ウ)海水成分の分布から海洋内部の循環が推測されている。
問1 下線部(ア)に関連して,次の問いに答えよ。
単位面積あたりの大気質量 M a = 1 × 10 4 k g / m 2 ,大気比熱 C a = 1 × 10 3 J / ( K · k g ) (大気 1 k g を温度 1 ℃ 上昇させるのに必要な熱量),海水密度 ρ s = 1 × 10 3 k g / m 3 ,海水比熱 C s = 4 × 10 3 J / ( K · k g ) ,海底深度 D = 4 × 10 3 m ,地表に占める海洋の面積比を 7 割(R = 0.7 ),地球の表面積を S とする。
(a) 海水の平均温度を 1 ℃ 上昇させるのに必要な熱量を,ρ s ,C s ,R ,S ,D を用いて表せ。
(b) 大気温度を x ℃ 上昇させるのに必要な熱量を,M a ,C a ,S ,x を用いて表せ。
(c) 海水の平均温度が 1 ℃ 上昇することに使われる熱量がすべて大気の温度上昇に使われたとしたら,大気の平均温度は何度上昇するか。有効数字 1 桁で求めよ。
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問2 下線部(イ)に関連する大気の熱輸送について,次の問いに答えよ。
低緯度では,日射によって暖められて上昇した空気を運ぶ a 循環に伴って熱が高緯度方向に運ばれている。地球の回転のため北半球では流れの方向に対して右向きの b 力が働いて,a 循環の低緯度側下層では西向きの c 風が,高緯度側上空では東向きの d 風がそれぞれ吹いている。中緯度では d 風が上空で蛇行しており,これに伴う低気圧の発達などの大気下層の擾乱によって熱が輸送されている。
(a) 文中の a ~ d に最もふさわしい語句を答えよ。
(b) 熱帯域では,雨季と乾季がある。このような気候をもたらす原因を,「a 循環」という言葉を含めて 100 字程度で説明せよ。
(c) 北半球中緯度の低気圧に伴う前線と等圧線を描き,暖気と寒気の水平方向の流れの構造を矢印で示せ。
(d) 中緯度の低気圧の発達と移動に伴い,低緯度側の熱はどのようにして高緯度側に輸送されるか。暖気と寒気の水平方向及び上下方向の流れに留意して,150 字程度で説明せよ。
問3 下線部(ウ)に関連して次の文を読み,問いに答えよ。
海面から約 100 m 深までの太陽光が到達する表層では,光合成により,海水中に溶けているリン酸等栄養物質や炭素を使って植物プランクトンが有機物を作る。表層で作られた有機物の一部は粒子となって沈降する。沈降する間に,海水中の酸素を消費して有機物が分解され,リン酸や炭素が海水中に溶け出す。粒子は分解しながら沈降し,一部は数日から数ヶ月で海底にまで達する。これら一連の過程は,植物プランクトンの働きがきっかけになって表層水の炭素やリン酸が鉛直下方に輸送されることから,生物ポンプと呼ばれている。
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南北高緯度域の海では,大気に冷却される効果と,海氷の形成に伴い表層の海水の塩分濃度が高くなる効果によって,密度が高くなり下降流が生じる。この沈み込みに伴って 2000 ~3000 m 深の深層での流れが生ずることになる。海底の地形の影響等から,北大西洋高緯度域での沈み込みに伴う流れは,地球全体の規模のものとなり,世界の海洋大循環になると考えられている。この深層流を追跡すると,生物ポンプの働きによって,時間とともに酸素濃度は減少し,リン酸濃度は増加することになる。
(a) 図2—1に基づき,深さ 2500 m 付近での酸素濃度について北太平洋と北大西洋における違いを述べよ。同様に,リン酸濃度における違いを述べよ。
(b) 図2—1に基づき,深さ 2500 m 付近での酸素濃度とリン酸濃度の緯度方向の変化傾向とそれから推測される緯度方向の流れの向きを,太平洋と大西洋のそれぞれについて述べよ。
(c) 図2—1(a)の酸素濃度分布に着目すると,深さ 2500 m 付近での大西洋から太平洋への流れはどこを通っていると考えられるか。理由を付けて 50 字程度で述べよ。
(d) 深さ 2500 m 付近において北大西洋A点(北緯 55 度,西経 45 度)にあった深層水が同じ深さの北太平洋B点(北緯 40 度,西経 170 度)に移動したとする。放射性炭素同位体の分析から,移動に要した時間は約 1000 年とわかったとする。酸素濃度の変化率(1 年あたりの変化量)を求めよ。また,深層水の移動速度は時速何メートルかを求めよ。それぞれ有効数字 1 桁で答えよ。A点とB点の間の移動距離は地球の赤道一周分とする。
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図2—1 深さ2500m付近における(a)酸素濃度(mℓ/ℓ)と(b)リン酸濃度(μmol/ℓ)の分布。等値線間隔は0.5で表示されている。
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第3問 次の文章を読み,下の問いに答えよ。
図3—1
上の図3—1は,東西に延びる谷に沿って作成した地質探査図(ルートマップ)である。このルートで得られた地質調査の観察結果は次のようにまとめられる。
沢の入り口から上流に向かってアンモナイトや二枚貝のイノセラムスの化石を含む泥岩層が約 150 m 続いた後,A地点で砂岩層に変わった。そこでの泥岩層と砂岩層の地層境界面(層理面)の走向と傾斜をクリノメーターで測定したところ,それぞれ NS,45 ∘ W であった。A地点から 80 m ほど二枚貝のモノチスの化石を含む砂岩層が続いたが,B地点でフズリナ(紡錘虫(ぼうすいちゅう))やサンゴの化石を多く含む石灰岩層に変わった。B地点から上流に向かってしばらくこの石灰岩層が続いた後,C地点では断層を挟んで東側にモノチスの化石を含む砂岩層が認められた。この断層面の走向は NS で,傾斜は垂直であった。C地点からしばらく砂岩層が続いた後,D地点では砂岩の下位にB—C間に分布していた石灰岩層中のものと同じ種類の化石を含む石灰岩層が観察された。この石灰岩層の走向・傾斜は NS,45 ∘ W であった。D地点から上流側約 250 m にわたり石灰岩層の連続的な露出が認められた。この間,地層の走向は NS で変化しなかったが,地層の傾斜は次第に緩くなり,E地点ではほぼ水平であった。
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E地点を過ぎると地層の傾斜の向きは東側に変わり,F地点では 60 ∘ E であった。F地点では石灰岩層とモノチス化石を含む砂岩層の境界が,またG地点ではモノチス化石を含む砂岩層とイノセラムスやアンモナイトの化石を含む泥岩層の境界が,それぞれ観察された。(ア)H地点では,泥岩層と火成岩体との境界部が確認され,火成岩体の周囲の泥岩は黒っぽく硬く緻密な岩石に変わっていた。火成岩の新鮮な部分をハンマーで割って,その表面をルーペで観察したところ,(イ)全体として灰白色で,大きさのそろった粗粒の鉱物からなり,無色鉱物として長石と石英が,また有色鉱物として黒雲母が確認できた。最上流のI地点や支流のJ地点では,ほぼ水平なれき層が不規則な境を持って火成岩の上に重なり,その中には下位の火成岩に由来するれきが多く含まれていることが観察された。沢の北側のK地点でも,れき層の基底部が認められ,そこからマンモス象の臼歯の化石が発見された。また,H地点やJ地点で認められたものと同じと考えられる火成岩はC地点から 200 m 南のL地点でも観察され,そこではC地点から延びる断層により火成岩が切られていることが確認された。
問1 A地点での砂岩層と泥岩層の地層境界線は地形図上でどのように現れるか。下の図3—2の 1 から 4 の中で,最も適当なものを選び,その理由を 70 字程度で述べよ。ただし,A地点の高度を 350 m とする。
図3—2
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問2 C地点で確認された断層の垂直方向のずれ(落差)は何メートルか。東側が何メートル下がった,あるいは上がったというように答えよ。ただし,B地点での地層の走向と傾斜はA地点での値と同じで,B地点,C地点,D地点の高度をそれぞれ 375 m ,400 m ,425 m ,B—C間,C—D間の水平距離をそれぞれ 70 m ,50 m とする。
問3 下線部(ア)で述べている泥岩から変わった硬く緻密な岩石とは何か。また,このような変化をもたらした作用を何とよぶか。
問4 下線部(イ)で述べている火成岩の種類は何か。また,この岩石に特徴的な組織を何とよぶか。
問5 この地域で過去に起きた以下の地学的事象を時代順に並べ替え,その根拠を 200 字以内で記せ。なお,地層については産出化石に基づく地質時代も記すこと。
(a) 泥岩層の堆積
(b) 砂岩層の堆積
(c) 石灰岩層の堆積
(d) れき層の堆積
(e) 火成岩の形成
(f) 断層の形成
(g) 不整合の形成
第1問 星の寿命と、超新星の数 答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 前半(問1)は「星はどれだけの燃料を持ち、どれだけの速さで使うか」の問題。主系列星(一生の大部分の、安定して光っている時期の星)は、中心で水素4個をヘリウム1個に変える核融合でエネルギーを出す。このとき質量が 0.7 % だけ減り、その分が E = m c 2 で光のエネルギーになる。
寿命 = 燃料 ÷ 使う速さ という考え方が全体をつらぬく。燃料(燃やせる水素)は星の質量に比例し、使う速さ(明るさ)は質量の4乗に比例する、というのが問題の設定。
後半(問2)は、たくさんの星が同時に生まれたとき、重い星から順に寿命がつきていく、という話。質量ごとの星の数 N ( m ) は「質量の幅 1 あたりの数」なので、ある範囲の星の数は N ( m ) をその範囲で積分して求める。数値は有効数字1桁で答える。
問1(a) 太陽の質量のうち水素は 75 % 、そのうち 10 % が燃えるので、燃える水素の質量は
2.0 × 10 30 × 0.75 × 0.10 = 1.5 × 10 29 k g
この 0.7 % が消えてエネルギーになる。消える質量は 1.5 × 10 29 × 0.007 = 1.05 × 10 27 k g なので
E = m c 2 = 1.05 × 10 27 × ( 3.0 × 10 8 ) 2 = 9.45 × 10 43 J
太陽の質量のうち、光に変わるのは 0.75 × 0.10 × 0.007 、つまり約 0.05 % だけ。それでもこれだけの量になるのは、c 2 がとても大きいから。デモでは、中心の燃料(青)がヘリウム(赤)に変わっていく。
答え 9 × 10 43 J ( 2.0 × 10 30 × 0.75 × 0.10 × 0.007 × ( 3.0 × 10 8 ) 2 = 9.45 × 10 43 )
問1(b) 1 秒に 3.9 × 10 26 J ずつ出すので、(a) のエネルギーを使い切るまでの時間は
9.45 × 10 43 3.9 × 10 26 = 2.4 × 10 17 s
1 年は 365 × 24 × 3600 ≈ 3.15 × 10 7 s なので、年に直すと約 7.7 × 10 9 年。有効数字1桁にまとめる。
途中で丸めた 9 × 10 43 を使うと 7 × 10 9 年になるので、計算の途中では丸めずに進める。
答え 8 × 10 9 年 ( 9.45 × 10 43 3.9 × 10 26 = 2.4 × 10 17 s ,1年 = 3.15 × 10 7 s )
問1(c) 燃料(燃やせる水素)は星の質量 M に比例する。1 秒あたりに使う量は光度(明るさ)に比例し、問題の設定で M 4 に比例する。したがって
寿命 ∝ M M 4 = M − 3
重い星は燃料が多いのに、使う速さがそれ以上に増えるので、ずっと早く燃えつきる。デモのグラフ(両対数)では、傾き − 3 の直線になる。
答え − 3 乗(寿命 ∝ 燃料 消費の速さ ∝ M M 4 = M − 3 )
問1(d) (c) より、寿命は質量の − 3 乗に比例する。太陽の寿命を (b) の 8 × 10 9 年として
8 × 10 9 × 20 − 3 = 8 × 10 9 8000 = 1 × 10 6 年
燃料は太陽の 20 倍あるが、使う速さは 20 4 = 1.6 × 10 5 倍。寿命は太陽の 8000 分の 1 になる。デモでは、20 倍の星の燃料計が、太陽よりはるかに早く空になる。
問2(a) N ( m ) = N 0 m − 2.5 に m = 20 を入れるだけでよい。
N ( 20 ) = 1.0 × 10 5 × 20 − 2.5 = 1.0 × 10 5 20 2 20 = 1.0 × 10 5 400 × 4.47 ≈ 56
有効数字1桁にまとめる。N ( m ) は「質量の幅 1 あたりの数」なので、質量 19.5〜20.5 倍の星を数えたものと考えてもほぼ同じになる。
答え 6 × 10 個 ( 1.0 × 10 5 × 20 − 2.5 = 56 )
問2(b) 1000 万年たったとき、まだ主系列星でいられるのは、寿命が 1000 万年より長い星。(c)(d) より太陽質量の m 倍の星の寿命は 8 × 10 9 × m − 3 年なので、寿命がちょうど 1000 万年になる質量を求める。
8 × 10 9 × m − 3 = 1 × 10 7 ⟹ m 3 = 800
9 3 = 729 、10 3 = 1000 なので m は約 9.3。有効数字1桁にまとめる。
これより重い星は、もう寿命がつきている。星の集団の「一番重い主系列星」から、その集団の年齢が分かる。
答え 9 倍 ( 8 × 10 9 × m − 3 = 1 × 10 7 より m = 800 1 / 3 )
問2(c) 超新星になるのは、質量が太陽の約 10 倍より重い星。(b) より、1000 万年までに寿命がつきるのは約 9 倍より重い星なので、10〜50 倍の星はすべて 1000 万年までに超新星爆発を起こす。
その数は、N ( m ) を 10 から 50 まで積分する。不定積分 − m − 1.5 1.5 を使うと
∫ 10 50 N 0 m − 2.5 d m = N 0 1.5 ( 10 − 1.5 − 50 − 1.5 )
= 1.0 × 10 5 1.5 ( 0.0316 − 0.0028 ) ≈ 1.9 × 10 3
分子雲で生まれた星は全部で約 2 × 10 6 個なので、超新星になるのは約 1000 個に 1 個。デモのグラフでは、超新星の数は約 770 万年(10 倍の星の寿命。太陽の寿命を丸めない 7.7 × 10 9 年で計算している。8 × 10 9 年で計算すれば 800 万年)で増えるのが止まる。
答え 2 × 10 3 個 ( ∫ 10 50 N 0 m − 2.5 d m = N 0 1.5 ( 10 − 1.5 − 50 − 1.5 ) = 1.9 × 10 3 )
問2(d) 同じ分子雲が 100 個あるので、1000 万年の間に起きる超新星は 100 × 1.9 × 10 3 = 1.9 × 10 5 個。平均の間隔は
1 × 10 7 1.9 × 10 5 ≈ 52 年
実際の銀河系でも、重い星の超新星は数十年に1回ほど起きていると見積もられていて、同じくらいの大きさになる。
答え 5 × 10 年に1個 ( 1 × 10 7 100 × 1.9 × 10 3 )
第2問 海が気候を安定させる:ためる・運ぶ・めぐる 答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 海が気候を安定させる3つのはたらきを、順に考える問題。
問1は熱をためる はたらき。温度を 1 ℃ 上げるのに要る熱は「質量 × 比熱」。海と大気の質量と比熱をくらべる。問2は熱を運ぶ はたらきのうち大気の方で、低緯度のハドレー循環と、中緯度の低気圧が熱を高緯度へ運ぶしくみ。問3は海の深い所の流れ を、海水にとけている酸素とリン酸の分布から読む問題。
問3の手がかりは「生物ポンプ」。表層で作られた有機物が沈みながら分解されるので、深層水は時間がたつほど酸素が減り、リン酸が増える。酸素が少なくリン酸が多い水ほど「古い」水 なので、新しい水から古い水の向きに流れていると読める。
問1(a) 海水の体積は、地球の表面積 S のうち海の割合 R の面積に、深さ D を掛けて R S D 。質量はこれに密度を掛けて ρ s R S D 。
1 ℃ 上げるのに要る熱は「質量 × 比熱」なので、これに C s を掛ける。
問1(b) M a は 1 m² あたりの大気の質量なので、大気全体の質量は M a S 。温度を x ℃ 上げるのに要る熱は「質量 × 比熱 × 上がる温度」なので、M a C a S x 。
問1(c) (a) と (b) を等しいとおくと、S が両方にあるので消える。
x = ρ s C s R D M a C a = 1 × 10 3 × 4 × 10 3 × 0.7 × 4 × 10 3 1 × 10 4 × 1 × 10 3 = 1120
大気 1 m² の上にある空気(約 10 t)が 1 ℃ 上がる熱は、水なら深さ 2.5 m 分を 1 ℃ 上げる熱にしかならない。海は大気の 1000 倍もの熱をためられる。デモでは、大気の □ 1 つに対して、海の □ が 1120 個並ぶ。
大気 1 m² の質量 1 × 10 4 k g は、地上の気圧(約 1013 h P a )を重力加速度で割った値とほぼ同じ。
答え 1 × 10 3 ℃ ( x = ρ s C s R D M a C a = 10 3 × 4 × 10 3 × 0.7 × 4 × 10 3 10 4 × 10 3 = 1120 )
問2(a) 低緯度で、暖められて上昇した空気が高緯度側へ流れ、亜熱帯で下りてくる南北の循環がハドレー循環。
地球の自転のために、動く空気には北半球で進む向きの右へ曲げる見かけの力(転向力、コリオリの力)がはたらく。ハドレー循環の下層では空気が赤道へ向かって(南へ)流れ、右(西)へ曲げられて東寄りの風(西へ向かう風)=貿易風になる。上空では北へ流れる空気が右(東)へ曲げられ、西寄りの風(東へ向かう風)になる。これが中緯度の上空で蛇行する偏西風につながる。
答え a ハドレー,b 転向力(コリオリの力),c 貿易,d 偏西
問2(b) ハドレー循環の上昇域が熱帯収束帯。強い上昇気流で積乱雲が発達し、雨が多い。一方、下降域の亜熱帯高圧帯では、空気が下りてきて乾き、雲ができにくい。
太陽が真上に来る緯度は、季節とともに北回帰線と南回帰線の間を動く。一番強く暖められる場所が動くので、熱帯収束帯もそれを追って南北に動く。
ある熱帯の場所には、熱帯収束帯がかかる季節(雨季)と、はずれて亜熱帯高圧帯の側の下降気流の中に入る季節(乾季)が交互に来る。デモでは 1 年を回すと、見る場所に雲の列が来たり離れたりする。赤道の近くでは、帯が行きと帰りに2回通るので雨季が年2回になることもある。
答え ハドレー循環の上昇域である熱帯収束帯は,太陽が真上に来る緯度を追って季節とともに南北に動く。これが来る季節は上昇気流で積乱雲が発達して雨季に,離れて亜熱帯高圧帯側の下降気流域に入る季節は乾季になる。
問2(c) 北半球の温帯低気圧では、中心から東〜南東へ温暖前線、南西へ寒冷前線がのびる。2つの前線にはさまれた南側が、暖かい空気のある暖域。
等圧線は中心を囲む閉じた曲線で、前線をまたぐ所で、低気圧から遠ざかる向きに折れ曲がる(前線は気圧の谷になっている)。風は低気圧のまわりを反時計回りに回りながら、等圧線を斜めに横切って中心へ吹きこむ。
暖域では南寄りの風で暖気が北へ流れ、温暖前線へ向かう。寒冷前線の後ろ(西側)では、北西の風で寒気が南へ流れこむ。温暖前線の前方(北側)では、東寄りの風になる。前線の記号は、温暖前線が半円、寒冷前線が三角で、進む向きの側につける。デモの左の絵がこの答えの形。
答え 低気圧の中心から東〜南東へ温暖前線,南西へ寒冷前線がのびる。等圧線は中心を囲む閉じた曲線で,前線の所で低気圧から遠ざかる向きに折れ曲がる。風は等圧線を斜めに横切り反時計回りに中心へ吹きこむ。暖域では南寄りの風で暖気が北へ(温暖前線に向かう),温暖前線の前方では東寄りの風,寒冷前線の後方では北西の風で寒気が南へ流れる。
問2(d) 低気圧の東側では、南からの暖気が北へ進み、温暖前線にぶつかる。暖気は軽いので、寒気の上を前線面に沿ってゆるやかにはい上がる。西側では、北からの寒気が南へ進み、寒冷前線で重い寒気が暖気の下にもぐりこんで、暖気を押し上げる。
こうして暖かい空気は北へ、しかも上へ運ばれ、冷たい空気は南へ、下へ運ばれる。重い空気が下に、軽い空気が上に入れかわると、全体の重心が下がり、位置エネルギーが減る。減った分が風の運動エネルギーになり、低気圧が発達する。
デモの渦のモデルでは、回る流れだけで、東側の暖気の舌が北へ、西側の寒気の舌が南へのびて、北へ熱が運ばれる。ただし回るだけだと半周をこえると暖気が戻ってくる。実際の低気圧では、暖気が上がり寒気が下がって入れかわるので、熱は高緯度に置いていかれる。前線の断面の箱((c) の場面)では、境目がたてからよこにたおれると位置エネルギーが減ることを確かめられる。
答え 低気圧の東側では,南から入る暖気が温暖前線面に沿って寒気の上をはい上がりながら北へ進む。西側では,北から入る寒気が寒冷前線で暖気の下にもぐりこみ,暖気を押し上げて南へ進む。軽い暖気が北上・上昇し重い寒気が南下・下降して,位置エネルギーが運動エネルギーに変わり低気圧が発達し,熱が高緯度側へ運ばれる。
問3(a) 図2—1 の深さ 2500 m 付近の分布を、北大西洋と北太平洋でくらべる。
酸素は、北大西洋では濃い色(6 の等値線のあたり、約 6 mℓ/ℓ)、北太平洋では一番うすい色の範囲(約 2〜3 mℓ/ℓ)。リン酸は逆で、北大西洋はうすい色(約 1 μmol/ℓ)、北太平洋は濃い色(約 3 μmol/ℓ)。
北大西洋には酸素が多くリン酸が少ない「新しい」水、北太平洋には酸素が少なくリン酸が多い「古い」水がある。
答え 酸素:北大西洋で高く(約6 mℓ/ℓ),北太平洋で低い(約2〜3 mℓ/ℓ)。リン酸:北大西洋で低く(約1 μmol/ℓ),北太平洋で高い(約3 μmol/ℓ)。
問3(b) 大西洋では、北ほど酸素が多くリン酸が少なく、南へ行くほど酸素が減りリン酸が増える。生物ポンプで時間がたつほど酸素が減りリン酸が増えるので、水は北(新しい)から南(古い)へ流れていると考えられる。
太平洋では逆に、南ほど酸素が多くリン酸が少なく、北へ行くほど酸素が減りリン酸が増える。水は南から北へ流れていると考えられる。デモのグラフでは、図から読んだ値で、大西洋(青)と太平洋(赤)の向きが逆になっているのが見える。
答え 大西洋:南へ行くほど酸素が減りリン酸が増える→北から南へ流れる。太平洋:北へ行くほど酸素が減りリン酸が増える→南から北へ流れる。
問3(c) 深さ 2500 m で大西洋と太平洋をつなぐ道を考える。北では、アメリカ大陸やベーリング海峡の浅い海がじゃまをして、つながっていない。
図2—1(a) を見ると、南極大陸のまわり(南大洋)には酸素の多い水が帯のようにぐるりと続き、大西洋の南からアフリカの南、インド洋の南を通って太平洋の南へつながっている。大西洋を南へ流れた水は、この南大洋を東へ回って太平洋に入ると考えられる。
答え 南極大陸を囲む南大洋を通る。酸素の多い水の帯が大西洋の南からアフリカの南を回り太平洋の南へ続くから。
問3(d) A 点(北大西洋)の酸素は約 6 mℓ/ℓ、B 点(北太平洋)は右の色の目盛りの「2.5」より下の一番うすい色で約 2 mℓ/ℓ と読める。1000 年で約 4 mℓ/ℓ 減るので、1 年あたりの変化は
2 − 6 1000 = − 4 × 10 − 3 m ℓ / ℓ
B の値を 2.5〜3 と読むと − 3.5 × 10 − 3 〜− 3 × 10 − 3 になり、有効数字 1 桁では − 3 × 10 − 3 と − 4 × 10 − 3 のどちらにもなりうる。図の読みが答えを少し動かす。
移動距離は赤道一周分で、地球の半径(約 6400 km)から約 4.0 × 10 7 m 。1000 年は 1000 × 365 × 24 = 8.76 × 10 6 時間なので
4.0 × 10 7 8.76 × 10 6 ≈ 4.6
で、時速約 4.6 m。有効数字1桁にまとめる。人が歩く速さの 1000 分の 1 ほどのゆっくりした流れが、1000 年かけて地球をめぐる。
答え 酸素 − 4 × 10 − 3 m ℓ / ℓ (1年に約 4 × 10 − 3 減る。A 約6,B 約2) ,速さ 時速 5 m ( 4.0 × 10 7 1000 × 365 × 24 = 4.6 )
第3問 ルートマップを読む:V 字・断層・地層の歴史 答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 ルートマップ(沢ぞいに歩いて観察したことを書きこんだ地図)を読む問題。まず観察の記録を、西(沢の入り口)から東(上流)へ整理する。
A の西に泥岩層(アンモナイト・イノセラムス)、A〜B に砂岩層(モノチス)、B〜C に石灰岩層(フズリナ・サンゴ)、C の断層の東に砂岩層、D〜F に石灰岩層、F〜G に砂岩層、G〜H に泥岩層、H の東に火成岩、I・J にれき層。走向はどこも南北で、D までは西へ傾き、E で水平、F では東へ傾く。つまり E を軸にして地層が山形に曲がった背斜 で、一番古い石灰岩層が軸のまわりに出ている。
走向 (地層の面と水平面が交わる線の向き)と傾斜 (面の傾きの角度と向き)から、面の高さが場所によってどう変わるかを考えるのが、問1と問2の中心。
問1 A での境界の面は、走向が南北で、西へ 45 ∘ 傾く。だから東へ 1 m 進むごとに面は 1 m 高くなる。A の高さが 350 m なので、高さ 400 m の所では、面は A の 50 m 東を通る。
地層の境界線は、地面と境界の面が交わる所に現れる。谷底は東(上流)へ上っているが、図3—2 の等高線を見ると、350 m と 400 m が谷を切る所の間は約 100 m 以上あり、上り方は約 25 ∘ しかない。面の傾き 45 ∘ の方が急なので、谷の中では境界線は A から離れず、谷の両側の斜面を上るにつれて東へずれていく。そのため境界線は、谷の所で下流(西)に尖る V 字 になる。
選択肢のうち V が下流を向くのは 3 と 4。3 は 400 m の等高線を A からおよそ 90 m 東で切っていて、面の傾きにすると約 30 ∘ のゆるい面の形。4 はおよそ 40 m 東で切っていて(傾きにすると約 50 ∘ )、45 ∘ に一番近い。1 と 2 は上流に尖っていて、面が谷底よりゆるいか、上流(東)へ傾くときの形。
デモでつまみの傾きを 20 ∘ にすると谷底よりゆるくなり、V の向きが上流に変わる。V の尖る向きは、地層の傾きと谷底の傾きのくらべで決まる。
答え 4。地層は西へ45°傾き,谷底の上り(約25°)より急なので,境界線は谷で下流の西に尖るV字になり,高度400 mでAの50 m東を通る。
問2 砂岩層と石灰岩層の境の面を、断層の両側で別々に追う。B でも走向・傾斜は A と同じ(南北、西へ 45 ∘ )なので、東へ 1 m 進むと面は 1 m 高くなる。
西側:境は B(375 m)を通る。断層(C)は B の 70 m 東なので、断層の所での境の高さは 375 + 70 = 445 m。
東側:D で砂岩の下に石灰岩が出ているので、境は D(425 m)を通る。D は断層の 50 m 東なので、断層の所での境の高さは 425 − 50 = 375 m。
同じ境が、断層の所で西側 445 m、東側 375 m にあるので、東側が 70 m 下がっている。実際、C の西は石灰岩(境より下)、東は砂岩(境より上)で、観察と合う。デモでは東の地塊を少しずつ下げると、境が谷に出る所が東へ動き、70 m 下げたときにちょうど D に来る。
答え 東側が 70 m 下がった(断層の位置で,砂岩層と石灰岩層の境は西側で 375 + 70 = 445 m ,東側で 425 − 50 = 375 m )
問3 H では泥岩が火成岩のまわりで黒っぽく硬く緻密な岩石に変わっていた。マグマの熱で、まわりの岩石が溶けずに固体のまま鉱物の組み合わせや組織を変えることを接触変成作用 という。泥岩や砂岩がこの作用を受けてできる、硬く緻密な岩石がホルンフェルス 。石灰岩が受けると結晶質石灰岩(大理石)になる。
問4 粗い粒の鉱物で大きさがそろっているのは、マグマが地下深くでゆっくり冷えて固まった深成岩の特徴。このような組織を等粒状組織 という(地表近くで急に冷えた火山岩は、細かい石基の中に大きな斑晶がある斑状組織)。
灰白色で、無色鉱物に長石と石英、有色鉱物に黒雲母を含むのは、二酸化ケイ素の多いマグマからできた深成岩で、花こう岩 。
問5 観察から、2つのできごとの前後が分かる所を集める。
化石から、石灰岩層(フズリナ)は古生代の石炭紀〜ペルム紀、砂岩層(モノチス)は中生代の三畳紀、泥岩層(イノセラムス・アンモナイト)は中生代の白亜紀。D で砂岩の下に石灰岩があり、A で砂岩の上側に泥岩があるので、地層は逆転しておらず、(c)→(b)→(a) の順にたまった。
火成岩は泥岩を接触変成しているので、泥岩より後((a)→(e))。L では C から延びる断層が火成岩を切っているので、断層は火成岩より後((e)→(f))。I・J では、火成岩の上にほぼ水平なれき層が不規則な境で重なり、火成岩のれきを含む。火成岩が地表でけずられたあとに、その上にれき層がたまった不整合なので (e)→(g)→(d)。K のマンモスの化石から、れき層は新生代第四紀。
ここまでが観察から言えること。断層と不整合・れき層の前後は、観察からは決まらない。図3—1 で断層が確かめられたのは C と L、れき層は I・J・K で、断層とれき層(または不整合の面)が出会う所は図にも文にも無いからである。そこで、古い地層は曲がって傾いているのに、れき層はほぼ水平で乱れていないことから、地層を曲げた変動(断層もふくむ)が終わってから、けずられてれき層がたまった、と読む。こう読むと断層は不整合より前((f)→(g))で、答えの順になる。出題もこの順を考えていると思われるが、これは読みであって、「れき層が断層に切られていない」と観察されたわけではない。
デモでは、観察の前後にこの読みを足した決まりをすべて満たす並べ方を 5040 通りの中から数えると、1 通りだけになる。読みを外して観察だけにすると、断層の時期が火成岩のあとのどこでもよくなり、(e)→(f)→(g)→(d)・(e)→(g)→(f)→(d)・(e)→(g)→(d)→(f) の 3 通りが残る。かりに「れき層は断層に切られていない」が確かめられても、言えるのは断層がれき層より前ということだけで、断層と不整合の前後までは決まらない(2 通り)。
答え (c)→(b)→(a)→(e)→(f)→(g)→(d)。石灰岩層はフズリナから古生代石炭紀~ペルム紀,砂岩層はモノチスから中生代三畳紀,泥岩層はイノセラムスとアンモナイトから中生代白亜紀で,この順に堆積した。火成岩は泥岩を接触変成しているので泥岩より新しく,断層は火成岩を切るのでそれより新しい。れき層は傾いた地層と違い水平で,断層を生じた変動の後に,侵食された火成岩をそのれきを含んで不整合に覆ったと考えられる。れき層はマンモスから新生代第四紀である。