東大 過去問 2010年 地学|AI解答・解説・シミュレーション|アトリエファクトリー

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東京大学 第2次学力試験(前期)2010年 理科「地学」(東京大学がかつて公開したPDFの Internet Archive 保存版)

問題・出題の意図・東京大学の解答例(東京大学の公表資料)

東京大学の利用規定について

東京大学は、入試問題と出題の意図・解答の2次利用について「東京大学第2次学力試験入学試験問題等の2次利用について」(令和6年7月1日改定)で条件を定めている。このサイトでの対応は次のとおり。

解答とシミュレーション(AIで作成)

制作

制作:アトリエファクトリー(aTELiER FACTORY) https://atelierfactory.jp/

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お知らせ(2026年10月4日)

解答・解説・シミュレーションは、すべて Claude Opus 5.5 で作成しています。作ったあとの確かめ方は、科目によって違います。

どの科目も、東京大学が公表した解答ではありません。くわしくは「問題取得方法と回答生成方法」をご覧ください。

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地 学

第1問 渦巻銀河に関する次の文章を読み,問Ⅰ~Ⅶに答えよ。

 渦巻銀河の円盤部の星は銀河中心の周りを同じ向きに公転している。これを銀河回転という。図1—1に模式的に示すように,銀河回転の速さは銀河中心から比較的近い距離 R0 で最大値(V0 と表す)に達し,それ以降は距離によらずに最大値を維持する。明るい銀河ほど V0 は大きく,

M=−7.5log10V0−3.0(1)

という関係が成り立つことが知られている。ここで M は絶対等級であり,V0 の単位は km/秒である。(1)式は渦巻銀河までの距離の測定に用いられる。

 V0 を求める方法を図1—2と図1—3に示す。図1—2のように,渦巻銀河の回転軸と視線方向のなす角(傾き角)を θ とする。回転軸は紙面内にある。円盤部は十分薄いので,θ≠0 のときは図1—3のように銀河は楕(だ)円に見え,その長軸と短軸の長さの比から θ を求めることができる。θ=0 では銀河は円に見える。長軸上のある位置で星の視線速度を測り,銀河中心の視線速度を差し引けば,その位置での回転速度の視線方向成分が得られる。これと傾き角から,その位置での回転の速さが求められる。同様の測定を長軸に沿って円盤部の外縁まで行えば V0 がわかる。なお,渦巻銀河は銀河自身の大きさに比べて十分遠くにあるとする。

問Ⅰ 図1—3に示すように,円盤部の長軸の長さを a,短軸の長さを b とする。θ と a,b の関係式を求めよ。

問Ⅱ 図1—3で,長軸上のXにおける回転速度の視線方向成分が Vr のとき,この位置での回転の速さを Vr と θ を用いて表せ。ただし Vr>0 とする。

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図1—1 銀河回転の速さと銀河中心からの距離との関係
図1—1 銀河回転の速さと銀河中心からの距離との関係
図1—2 渦巻銀河と観測者との位置関係
図1—2 渦巻銀河と観測者との位置関係
図1—3 渦巻銀河の円盤の見かけの形
図1—3 渦巻銀河の円盤の見かけの形
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問Ⅲ 渦巻銀河Aの回転の速さを測った結果,V0=200km/秒を得た。また,この銀河の見かけの等級は 14.75 等である。(1)式を利用して,この銀河までの距離をパーセク単位で有効数字 2 桁で求めよ。必要なら log102=0.30 を用いてよい。

問Ⅳ 渦巻銀河Aの中心の視線速度は 7000km/秒である。この銀河にハッブルの法則が成り立つとして,ハッブル定数 H を km/(秒・メガパーセク)の単位で有効数字 2 桁で求めよ。ここで,1 メガパーセク =106 パーセクである。

問Ⅴ 図1—4は,渦巻銀河Aの円盤部上の 3 つの位置(図1—3のO,X,Yに相当する位置)におけるスペクトルを模式的に示したものである。どのスペクトルにも同じ元素による同じ輝線が見える。(ア)は銀河中心Oに対応する。(イ)と(ウ)がXとYのどちらに対応するかを 1 ~ 2 行の理由とともに述べよ。ただし,XとYは図1—1の R0 よりも外側にあるとする。

問Ⅵ 渦巻銀河Bについても,問Ⅰ~Ⅲの要領で距離を求め,dB という値を得た。ところが,その後,短軸の長さの測定に誤りがあり,正しい短軸長はもっと短いことが判明した。それ以外の測定量に誤りはなかった。正しい距離と dB との大小関係を 2 ~ 3 行の理由とともに答えよ。

問Ⅶ 渦巻銀河Cについても,問Ⅰ~Ⅲの要領で距離を求め,dC という値を得た。ところが,その後の詳しい観測により,この銀河から観測者に届くはずの光のうちの半分が,途中にある銀河系の星間物質に吸収されてしまっていることが判明した。正しい距離を dC を用いて表せ。

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図1—4 渦巻銀河Aの円盤上の3つの位置で得られたスペクトル
図1—4 渦巻銀河Aの円盤上の3つの位置で得られたスペクトル
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第2問 海水位の変動に関する次の文章を読み,問Ⅰ~Ⅴに答えよ。数値での解答では途中の計算過程も示すこと。

 海水位はさまざまな原因によって変動する。比較的短期間の海水位変動の要因としては,太陽や月の運動による a ,沿岸や外洋の海洋波動,地震による b ,(ア)海面気圧の変化,強風による波浪や海水の吹き寄せなどが挙げられ,沿岸域に深刻な災害をもたらすことがある。

 (イ)海水の蒸発や降水,河川水や地下水の流入,陸氷(大陸氷床や山岳氷河)の融解もそれぞれ海水位を変化させ得るが,地球全体で海洋・陸面・大気それぞれの水収支のつり合いが成り立っていれば,海水(海氷も含む)の全質量に長期的な変化は起こらない。しかし,(ウ)地球温暖化によって陸氷の融解が進めば,水収支のつり合いが崩れて海水の全質量が増加し,地球全体の平均的な海水位の長期的な上昇につながる。

 また,海水位の上昇は海水の全質量が増加しなくても起こることがある。地球温暖化が起こると,海洋表層の水温が上昇するのはもちろんのこと,海洋大循環の結果として深層の水温も有意に上昇すると予測されている。(エ)この海水温上昇は海水の熱膨張を伴い,海水位の上昇につながる。

問Ⅰ 上の文章中の空欄 a と b に入れるべき最も適切な語をそれぞれ解答せよ。

問Ⅱ 下線部(ア)に関連して,図2—1は 1959 年台風 15 号の進路を示したものである。この台風は記録的な高潮によって東海地方に甚大(じんだい)な被害をもたらした。その要因としては,強風により伊勢湾奥に向けて海水が吹き寄せられたこと,および,気圧が非常に低いために海面が吸い上げられたことが挙げられる。これに関する以下の(1)と(2)に答えよ。

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(1) 伊勢湾奥に向けて海水が吹き寄せられた理由を,台風の進路と風向きの関係を考慮して,2 行程度で説明せよ。

(2) 台風の中心が最も接近したとき,伊勢湾奥での海面気圧は 958hPa であった。気圧差による吸い上げ効果だけを考える場合,このときの伊勢湾奥の海面は,その周囲にある 1 気圧(1013hPa)の海面と比べてどれだけ高くなるか。有効数字 2 桁で求めよ。なお,重力加速度を 9.8m/秒2,海水の密度を 1.0×103kg/m3 とする。

図2—1 1959年台風15号の各日時における中心位置とおおまかな進路
図2—1 1959年台風15号の各日時における中心位置とおおまかな進路
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問Ⅲ 下線部(イ)にあるように,地球表面にある水は海洋・陸面・大気の間を循環している。特に大気中にある水蒸気は,液体の水や固体の氷になる際に大量の潜熱を放出することで熱収支に影響を与えたり,雲・雨・雪を形成して天気に関わる現象において重要な役割を担ったりする。水が海洋・陸面から蒸発によって大気に輸送され,降水によって再び海洋・陸面に戻る過程に関連する以下の(1)と(2)に答えよ。

(1) 海洋・陸面・大気それぞれにおける水の収支はつり合ってほぼ一定の状態が保たれている。陸面と海洋の間での水の輸送の大部分は河川水によって行われることを考慮すると,海洋全体で平均した年間降水量と年間蒸発量との大小関係が推定できる。どちらが大きいと考えられるかを,水の収支のつり合いの観点から,根拠も含めて 2 行程度で答えよ。

(2) 降水は,主に気温の違いにより降雨や降雪の形をとる。図2—2に模式的に示されているように,上空の雲の中で氷晶が成長するとき,それがとけずに地面まで到達すると雪になるのに対し,気温が高くて途中でとけると「冷たい雨(氷晶雨)」と呼ばれる雨になる。ところが,地上気温が 0 ℃ 以上でも降雪が観測されることがあり,特に湿度が低いときにこの傾向は顕著である。湿度の低い大気の中を落下する氷晶(雪)の表面でどのようなことが起こるかを考えることにより,湿度が低いときに降雪が観測されやすい理由を推測し,2 行程度で述べよ。

問Ⅳ 下線部(ウ)に関連して,地球温暖化は一般に陸氷を減少させると考えられるが,今後しばらくは,陸氷のうち南極大陸上の氷床はむしろ増大する可能性も指摘されている。南極大陸上の氷床の質量収支のうち増加に寄与するものは降雪であり,低緯度側から大気を通して運ばれてくる水蒸気がその源になっている。このことを参考にして,なぜ温暖化の結果として氷床の増大が起こり得るか,2 行程度で考えを述べよ。

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問Ⅴ 下線部(エ)に述べた熱膨張による全地球的な海水位上昇を簡単に見積もってみよう。地球温暖化の将来予測を参考に,今世紀末までに海洋表層では一様に 2.0 ℃,それより深い場所では一様に 0.40 ℃ の温度上昇が起こるとする。仮に海底までの水深が場所によらずに 4000m であるとし,また,表層が水深 0 ~ 100m を指すとするとき,今世紀末までに海水位がどれだけ上昇するか。有効数字 2 桁で求めよ。海水の熱膨張率(水温上昇に伴う体積増加率)は水温等に依存するが,ここでは表層では一様に 2.5×10−4℃−1,それより深い場所では一様に 1.0×10−4℃−1 とする。また,海水位上昇に伴う海洋表面積の変化は考えない。

図2—2 冷たい雨(氷晶雨)による降雨および降雪が観測される状況を示す模式図
図2—2 冷たい雨(氷晶雨)による降雨および降雪が観測される状況を示す模式図
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第3問 地殻と岩石の形成に関する次の文章を読み,問Ⅰ~Ⅵに答えよ。

 海洋地殻は,海嶺(かいれい)下に上昇してくるマントル物質から生じたマグマが固化したもので,玄武岩質岩石でできており,プレート運動に伴って沈み込み帯でマントルへと戻っていく。このため,現在の海洋底に見られる最も古い海洋地殻は,(ア)ジュラ紀のものである。一方,大陸地殻は,上部が花こう岩質岩石で,下部が玄武岩質岩石でできている。大陸地殻には一部におよそ 40 億年前のものがあるが,大部分はもっと若い形成年代を示し,(イ)造山運動によって時間とともにその質量を増加させてきたと考えられている。

 岩石は様々な鉱物からできており,その構成鉱物を詳細に検討することによって,岩石の形成過程や形成条件がわかる。例えば,地殻の主要な構成要素の一つである火成岩は,マグマから鉱物が直接結晶化してつくられており,鉱物の種類や組織の解析から,(ウ)鉱物の晶出した順序や(エ)晶出に伴う分化過程を知ることができる。また,地下の岩石が高温や高圧を受けて,構成する鉱物の種類や組織が異なる別の岩石に生まれ変わることがある。このような岩石を a と呼ぶ。一方,(オ)地表に露出した岩石は,その構成鉱物が,酸素や二酸化炭素を含んだ雨水や地下水と反応して別の鉱物に変化したり,物理的過程で細粒化したりする。このような現象は風化と呼ばれる。風化により,地表には土壌が形成される。こうした土壌の一部は風や河川によって移動し,海洋底などの別の場所に堆積する。堆積物は,長い時間を経て構成粒子間の間隙(かんげき)が圧縮されて緻(ち)密になるとともに,間隙に新たな鉱物ができて堆積岩となる。堆積物が堆積岩に変化するこのような過程を b 作用と呼ぶ。

問Ⅰ 上の文章中の空欄 a と b に入れる最も適切な語句をそれぞれ答えよ。

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問Ⅱ 下線部(ア)のような地質年代は,地表で観察される様々な事象を使って区分されている。次に示す 5 つの事象について,ジュラ紀よりも古い事象をすべて選び,時代が古いものから順に並べよ。

三葉虫の絶滅,シダ植物の出現,日本海の形成,縞(しま)状鉄鉱層の形成,ゴンドワナ大陸の形成

問Ⅲ 下線部(イ)の造山運動はいろいろな作用を含む概念であるが,そのなかで,大陸地殻の質量の増加に寄与するものを 2 つあげて,2 行程度で説明せよ。

問Ⅳ 下線部(ウ)に関連して,マグマがゆっくりと固化してできたある岩石の組織を光学顕微鏡で観察し,3 種類の鉱物A,B,Cを見いだした。これを模式的に表したのが図3—1である。この図を見て,結晶が晶出した順序を書き,そのように考えられる理由を 2 行程度で答えよ。

図3—1 岩石組織の模式図
図3—1 岩石組織の模式図
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問Ⅴ 下線部(エ)に関連して,海洋地殻に存在する鉱物から代表的な 4 種類を選び,それらの酸化物組成を表3—1に示した。これを用いて,以下の(1)と(2)に答えよ。

(1) 海洋地殻のある岩石を分析したところ,Ca に富む斜長石とかんらん石の 2 種類の鉱物だけからできており,岩石全体の SiO2 量が 44.0 質量%であった。この岩石に含まれる 2 種類の鉱物の質量%を,それぞれ有効数字 2 桁で求めよ。

(2) マグマが冷える過程で,結晶を晶出しながら残りの液体部分の組成を変化させていくことを,マグマの結晶分化作用という。図3—2に,海嶺下のマントルで最初にできたマグマ組成と,掘削によって 2 カ所から採取された海洋地殻の組成を示した。これらの海洋地殻は,最初にできたマグマから 1 種類だけの鉱物の結晶分化作用を受けたマグマが固化して作られたとすると,結晶化した鉱物は何か。表3—1の中から 1 つの鉱物を選んで,その鉱物名とそのように判断できる理由を 2 行程度で述べよ。

表3—1 鉱物の酸化物組成 (質量%)
表3—1 鉱物の酸化物組成 (質量%)
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図3—2 マグマと海洋地殻の組成
図3—2 マグマと海洋地殻の組成
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問Ⅵ 下線部(オ)のような現象を利用して,地質時代の大気組成を推定できる場合がある。現在の大気のもとでの典型的な風化では,大陸地殻の代表的な鉱物である石英,黒雲母,灰長石は,次の(ⅰ),(ⅱ),(ⅲ)のように反応する。以下の(1)と(2)に答えよ。

(ⅰ) SiO2(石英)+2H2O⟶H4SiO4

(ⅱ) 2KMgFe2AlSi3O10(OH)2(黒雲母)+O2+6CO2+11H2O⟶2Fe2O3(赤鉄鉱)+Al2Si2O5(OH)4(カオリン)+2K++2Mg2++6HCO3−+4H4SiO4

(ⅲ) CaAl2Si2O8(灰長石)+2CO2+3H2O⟶Al2Si2O5(OH)4(カオリン)+Ca2++2HCO3−

(注:H4SiO4 は水に溶けている物質であり,赤鉄鉱とカオリンは土壌の成分となる。)

(1) 風化による(ⅰ),(ⅱ),(ⅲ)の化学反応は,大気組成をどのように変化させる方向に働くか,1 行程度で述べよ。

(2) ここで,石英,黒雲母,灰長石の 3 種の鉱物からなる岩石を考える。ある地質時代Pにこの岩石の風化で形成された土壌には,赤鉄鉱とカオリンの両方が存在したが,別の地質時代Qにこの岩石の風化で形成された土壌には,カオリンは存在していたものの赤鉄鉱は存在していなかった。地質時代Qの大気は地質時代Pの大気に比べ,どのように異なっていたか。(ⅰ),(ⅱ),(ⅲ)の化学反応をもとにして,理由とともに 2 行程度で述べよ。