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地 学
第1問 渦巻銀河に関する次の文章を読み,問Ⅰ~Ⅶに答えよ。
渦巻銀河の円盤部の星は銀河中心の周りを同じ向きに公転している。これを銀河回転という。図1—1に模式的に示すように,銀河回転の速さは銀河中心から比較的近い距離 R 0 で最大値(V 0 と表す)に達し,それ以降は距離によらずに最大値を維持する。明るい銀河ほど V 0 は大きく,
M = − 7.5 log 10 V 0 − 3.0 ( 1 )
という関係が成り立つことが知られている。ここで M は絶対等級であり,V 0 の単位は k m / 秒である。(1)式は渦巻銀河までの距離の測定に用いられる。
V 0 を求める方法を図1—2と図1—3に示す。図1—2のように,渦巻銀河の回転軸と視線方向のなす角(傾き角)を θ とする。回転軸は紙面内にある。円盤部は十分薄いので,θ ≠ 0 のときは図1—3のように銀河は楕(だ)円に見え,その長軸と短軸の長さの比から θ を求めることができる。θ = 0 では銀河は円に見える。長軸上のある位置で星の視線速度を測り,銀河中心の視線速度を差し引けば,その位置での回転速度の視線方向成分が得られる。これと傾き角から,その位置での回転の速さが求められる。同様の測定を長軸に沿って円盤部の外縁まで行えば V 0 がわかる。なお,渦巻銀河は銀河自身の大きさに比べて十分遠くにあるとする。
問Ⅰ 図1—3に示すように,円盤部の長軸の長さを a ,短軸の長さを b とする。θ と a ,b の関係式を求めよ。
問Ⅱ 図1—3で,長軸上のXにおける回転速度の視線方向成分が V r のとき,この位置での回転の速さを V r と θ を用いて表せ。ただし V r > 0 とする。
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図1—1 銀河回転の速さと銀河中心からの距離との関係
図1—2 渦巻銀河と観測者との位置関係
図1—3 渦巻銀河の円盤の見かけの形
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問Ⅲ 渦巻銀河Aの回転の速さを測った結果,V 0 = 200 k m / 秒を得た。また,この銀河の見かけの等級は 14.75 等である。(1)式を利用して,この銀河までの距離をパーセク単位で有効数字 2 桁で求めよ。必要なら log 10 2 = 0.30 を用いてよい。
問Ⅳ 渦巻銀河Aの中心の視線速度は 7000 k m / 秒である。この銀河にハッブルの法則が成り立つとして,ハッブル定数 H を k m / (秒・メガパーセク)の単位で有効数字 2 桁で求めよ。ここで,1 メガパーセク = 10 6 パーセクである。
問Ⅴ 図1—4は,渦巻銀河Aの円盤部上の 3 つの位置(図1—3のO,X,Yに相当する位置)におけるスペクトルを模式的に示したものである。どのスペクトルにも同じ元素による同じ輝線が見える。(ア)は銀河中心Oに対応する。(イ)と(ウ)がXとYのどちらに対応するかを 1 ~ 2 行の理由とともに述べよ。ただし,XとYは図1—1の R 0 よりも外側にあるとする。
問Ⅵ 渦巻銀河Bについても,問Ⅰ~Ⅲの要領で距離を求め,d B という値を得た。ところが,その後,短軸の長さの測定に誤りがあり,正しい短軸長はもっと短いことが判明した。それ以外の測定量に誤りはなかった。正しい距離と d B との大小関係を 2 ~ 3 行の理由とともに答えよ。
問Ⅶ 渦巻銀河Cについても,問Ⅰ~Ⅲの要領で距離を求め,d C という値を得た。ところが,その後の詳しい観測により,この銀河から観測者に届くはずの光のうちの半分が,途中にある銀河系の星間物質に吸収されてしまっていることが判明した。正しい距離を d C を用いて表せ。
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図1—4 渦巻銀河Aの円盤上の3つの位置で得られたスペクトル
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第2問 海水位の変動に関する次の文章を読み,問Ⅰ~Ⅴに答えよ。数値での解答では途中の計算過程も示すこと。
海水位はさまざまな原因によって変動する。比較的短期間の海水位変動の要因としては,太陽や月の運動による a ,沿岸や外洋の海洋波動,地震による b ,(ア)海面気圧の変化,強風による波浪や海水の吹き寄せなどが挙げられ,沿岸域に深刻な災害をもたらすことがある。
(イ)海水の蒸発や降水,河川水や地下水の流入,陸氷(大陸氷床や山岳氷河)の融解もそれぞれ海水位を変化させ得るが,地球全体で海洋・陸面・大気それぞれの水収支のつり合いが成り立っていれば,海水(海氷も含む)の全質量に長期的な変化は起こらない。しかし,(ウ)地球温暖化によって陸氷の融解が進めば,水収支のつり合いが崩れて海水の全質量が増加し,地球全体の平均的な海水位の長期的な上昇につながる。
また,海水位の上昇は海水の全質量が増加しなくても起こることがある。地球温暖化が起こると,海洋表層の水温が上昇するのはもちろんのこと,海洋大循環の結果として深層の水温も有意に上昇すると予測されている。(エ)この海水温上昇は海水の熱膨張を伴い,海水位の上昇につながる。
問Ⅰ 上の文章中の空欄 a と b に入れるべき最も適切な語をそれぞれ解答せよ。
問Ⅱ 下線部(ア)に関連して,図2—1は 1959 年台風 15 号の進路を示したものである。この台風は記録的な高潮によって東海地方に甚大(じんだい)な被害をもたらした。その要因としては,強風により伊勢湾奥に向けて海水が吹き寄せられたこと,および,気圧が非常に低いために海面が吸い上げられたことが挙げられる。これに関する以下の(1)と(2)に答えよ。
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(1) 伊勢湾奥に向けて海水が吹き寄せられた理由を,台風の進路と風向きの関係を考慮して,2 行程度で説明せよ。
(2) 台風の中心が最も接近したとき,伊勢湾奥での海面気圧は 958 h P a であった。気圧差による吸い上げ効果だけを考える場合,このときの伊勢湾奥の海面は,その周囲にある 1 気圧(1013 h P a )の海面と比べてどれだけ高くなるか。有効数字 2 桁で求めよ。なお,重力加速度を 9.8 m / 秒2 ,海水の密度を 1.0 × 10 3 k g / m 3 とする。
図2—1 1959年台風15号の各日時における中心位置とおおまかな進路
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問Ⅲ 下線部(イ)にあるように,地球表面にある水は海洋・陸面・大気の間を循環している。特に大気中にある水蒸気は,液体の水や固体の氷になる際に大量の潜熱を放出することで熱収支に影響を与えたり,雲・雨・雪を形成して天気に関わる現象において重要な役割を担ったりする。水が海洋・陸面から蒸発によって大気に輸送され,降水によって再び海洋・陸面に戻る過程に関連する以下の(1)と(2)に答えよ。
(1) 海洋・陸面・大気それぞれにおける水の収支はつり合ってほぼ一定の状態が保たれている。陸面と海洋の間での水の輸送の大部分は河川水によって行われることを考慮すると,海洋全体で平均した年間降水量と年間蒸発量との大小関係が推定できる。どちらが大きいと考えられるかを,水の収支のつり合いの観点から,根拠も含めて 2 行程度で答えよ。
(2) 降水は,主に気温の違いにより降雨や降雪の形をとる。図2—2に模式的に示されているように,上空の雲の中で氷晶が成長するとき,それがとけずに地面まで到達すると雪になるのに対し,気温が高くて途中でとけると「冷たい雨(氷晶雨)」と呼ばれる雨になる。ところが,地上気温が 0 ℃ 以上でも降雪が観測されることがあり,特に湿度が低いときにこの傾向は顕著である。湿度の低い大気の中を落下する氷晶(雪)の表面でどのようなことが起こるかを考えることにより,湿度が低いときに降雪が観測されやすい理由を推測し,2 行程度で述べよ。
問Ⅳ 下線部(ウ)に関連して,地球温暖化は一般に陸氷を減少させると考えられるが,今後しばらくは,陸氷のうち南極大陸上の氷床はむしろ増大する可能性も指摘されている。南極大陸上の氷床の質量収支のうち増加に寄与するものは降雪であり,低緯度側から大気を通して運ばれてくる水蒸気がその源になっている。このことを参考にして,なぜ温暖化の結果として氷床の増大が起こり得るか,2 行程度で考えを述べよ。
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問Ⅴ 下線部(エ)に述べた熱膨張による全地球的な海水位上昇を簡単に見積もってみよう。地球温暖化の将来予測を参考に,今世紀末までに海洋表層では一様に 2.0 ℃,それより深い場所では一様に 0.40 ℃ の温度上昇が起こるとする。仮に海底までの水深が場所によらずに 4000 m であるとし,また,表層が水深 0 ~ 100 m を指すとするとき,今世紀末までに海水位がどれだけ上昇するか。有効数字 2 桁で求めよ。海水の熱膨張率(水温上昇に伴う体積増加率)は水温等に依存するが,ここでは表層では一様に 2.5 × 10 − 4 ℃ − 1 ,それより深い場所では一様に 1.0 × 10 − 4 ℃ − 1 とする。また,海水位上昇に伴う海洋表面積の変化は考えない。
図2—2 冷たい雨(氷晶雨)による降雨および降雪が観測される状況を示す模式図
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第3問 地殻と岩石の形成に関する次の文章を読み,問Ⅰ~Ⅵに答えよ。
海洋地殻は,海嶺(かいれい)下に上昇してくるマントル物質から生じたマグマが固化したもので,玄武岩質岩石でできており,プレート運動に伴って沈み込み帯でマントルへと戻っていく。このため,現在の海洋底に見られる最も古い海洋地殻は,(ア)ジュラ紀のものである。一方,大陸地殻は,上部が花こう岩質岩石で,下部が玄武岩質岩石でできている。大陸地殻には一部におよそ 40 億年前のものがあるが,大部分はもっと若い形成年代を示し,(イ)造山運動によって時間とともにその質量を増加させてきたと考えられている。
岩石は様々な鉱物からできており,その構成鉱物を詳細に検討することによって,岩石の形成過程や形成条件がわかる。例えば,地殻の主要な構成要素の一つである火成岩は,マグマから鉱物が直接結晶化してつくられており,鉱物の種類や組織の解析から,(ウ)鉱物の晶出した順序や(エ)晶出に伴う分化過程を知ることができる。また,地下の岩石が高温や高圧を受けて,構成する鉱物の種類や組織が異なる別の岩石に生まれ変わることがある。このような岩石を a と呼ぶ。一方,(オ)地表に露出した岩石は,その構成鉱物が,酸素や二酸化炭素を含んだ雨水や地下水と反応して別の鉱物に変化したり,物理的過程で細粒化したりする。このような現象は風化と呼ばれる。風化により,地表には土壌が形成される。こうした土壌の一部は風や河川によって移動し,海洋底などの別の場所に堆積する。堆積物は,長い時間を経て構成粒子間の間隙(かんげき)が圧縮されて緻(ち)密になるとともに,間隙に新たな鉱物ができて堆積岩となる。堆積物が堆積岩に変化するこのような過程を b 作用と呼ぶ。
問Ⅰ 上の文章中の空欄 a と b に入れる最も適切な語句をそれぞれ答えよ。
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問Ⅱ 下線部(ア)のような地質年代は,地表で観察される様々な事象を使って区分されている。次に示す 5 つの事象について,ジュラ紀よりも古い事象をすべて選び,時代が古いものから順に並べよ。
三葉虫の絶滅,シダ植物の出現,日本海の形成,縞(しま)状鉄鉱層の形成,ゴンドワナ大陸の形成
問Ⅲ 下線部(イ)の造山運動はいろいろな作用を含む概念であるが,そのなかで,大陸地殻の質量の増加に寄与するものを 2 つあげて,2 行程度で説明せよ。
問Ⅳ 下線部(ウ)に関連して,マグマがゆっくりと固化してできたある岩石の組織を光学顕微鏡で観察し,3 種類の鉱物A,B,Cを見いだした。これを模式的に表したのが図3—1である。この図を見て,結晶が晶出した順序を書き,そのように考えられる理由を 2 行程度で答えよ。
図3—1 岩石組織の模式図
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問Ⅴ 下線部(エ)に関連して,海洋地殻に存在する鉱物から代表的な 4 種類を選び,それらの酸化物組成を表3—1に示した。これを用いて,以下の(1)と(2)に答えよ。
(1) 海洋地殻のある岩石を分析したところ,C a に富む斜長石とかんらん石の 2 種類の鉱物だけからできており,岩石全体の S i O 2 量が 44.0 質量%であった。この岩石に含まれる 2 種類の鉱物の質量%を,それぞれ有効数字 2 桁で求めよ。
(2) マグマが冷える過程で,結晶を晶出しながら残りの液体部分の組成を変化させていくことを,マグマの結晶分化作用という。図3—2に,海嶺下のマントルで最初にできたマグマ組成と,掘削によって 2 カ所から採取された海洋地殻の組成を示した。これらの海洋地殻は,最初にできたマグマから 1 種類だけの鉱物の結晶分化作用を受けたマグマが固化して作られたとすると,結晶化した鉱物は何か。表3—1の中から 1 つの鉱物を選んで,その鉱物名とそのように判断できる理由を 2 行程度で述べよ。
表3—1 鉱物の酸化物組成 (質量%)
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図3—2 マグマと海洋地殻の組成
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問Ⅵ 下線部(オ)のような現象を利用して,地質時代の大気組成を推定できる場合がある。現在の大気のもとでの典型的な風化では,大陸地殻の代表的な鉱物である石英,黒雲母,灰長石は,次の(ⅰ),(ⅱ),(ⅲ)のように反応する。以下の(1)と(2)に答えよ。
(ⅰ) S i O 2 (石英)+ 2 H 2 O ⟶ H 4 S i O 4
(ⅱ) 2 K M g F e 2 A l S i 3 O 10 ( O H ) 2 (黒雲母)+ O 2 + 6 C O 2 + 11 H 2 O ⟶ 2 F e 2 O 3 (赤鉄鉱)+ A l 2 S i 2 O 5 ( O H ) 4 (カオリン)+ 2 K + + 2 M g 2 + + 6 H C O 3 − + 4 H 4 S i O 4
(ⅲ) C a A l 2 S i 2 O 8 (灰長石)+ 2 C O 2 + 3 H 2 O ⟶ A l 2 S i 2 O 5 ( O H ) 4 (カオリン)+ C a 2 + + 2 H C O 3 −
(注:H 4 S i O 4 は水に溶けている物質であり,赤鉄鉱とカオリンは土壌の成分となる。)
(1) 風化による(ⅰ),(ⅱ),(ⅲ)の化学反応は,大気組成をどのように変化させる方向に働くか,1 行程度で述べよ。
(2) ここで,石英,黒雲母,灰長石の 3 種の鉱物からなる岩石を考える。ある地質時代Pにこの岩石の風化で形成された土壌には,赤鉄鉱とカオリンの両方が存在したが,別の地質時代Qにこの岩石の風化で形成された土壌には,カオリンは存在していたものの赤鉄鉱は存在していなかった。地質時代Qの大気は地質時代Pの大気に比べ,どのように異なっていたか。(ⅰ),(ⅱ),(ⅲ)の化学反応をもとにして,理由とともに 2 行程度で述べよ。
第1問 渦巻銀河の回転で、距離を測る 答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 渦巻銀河までの距離を「回る速さ」から測る問題。筋は1本の流れになっている。
傾きを知る (問Ⅰ)→ 回る速さを知る (問Ⅱ)→ 本当の明るさ(絶対等級)を知る ((1) 式)→ 見かけの明るさとくらべて距離を出す (問Ⅲ)→ ハッブルの法則に使う (問Ⅳ)。問Ⅴ〜Ⅶは、この流れのどこかがずれたらどうなるかを考える。
(1) 式は、速く回る銀河ほど明るい、という観測から分かった関係(タリー=フィッシャー関係)。重い銀河ほど星が多く明るく、重いほど速く回る。距離の計算には、等級の式 m − M = 5 log 10 d 10 p c (m は見かけの等級、M は絶対等級=10 パーセクから見た明るさ)を使う。
視線速度(こちらへ近づく・遠ざかる向きの速さ)はドップラー効果で測る。遠ざかっていれば輝線は長い波長の側へずれる。
問Ⅰ 円盤は十分うすいので、円を傾けて見たものと考える。回転軸が視線と θ をなすとき、円盤の面は視線に垂直な面から θ だけ傾いている。
傾ける軸(図1—2 の紙面に垂直な向き)に沿った長さは、傾けても縮まない。これが長軸で、長さ a は円の直径そのもの。
それと垂直な向きの長さは、面が θ 傾いているので、見かけ上 cos θ 倍に縮む。これが短軸 b = a cos θ 。θ = 0 なら b = a で円に見える、という問題文とも合う。
デモで θ を動かすと、横の幅 a はそのまま、たての幅 b だけが縮んでいく。
問Ⅱ 長軸の上の点 X は、傾けても動かない線の上にある。そこにいる星は、中心から X へ向かう線に垂直な向き(円盤の面の中)に動いている。この向きは、長軸に垂直で円盤の面に沿った向き、つまり図1—2 の紙面の中で回転軸に垂直な向き。
回転軸は視線と θ をなすので、それに垂直なこの向きは、視線と 90 ∘ − θ をなす。回る速さを V とすると、視線方向の成分は
V r = V cos ( 90 ∘ − θ ) = V sin θ
θ が小さい(正面向きに近い)と sin θ が小さく、回転がほとんど視線方向に出てこない。デモでは、X の星の動きのうち「空に見える分」が V cos θ 、「視線方向の分」が V sin θ になっている。
問Ⅲ (1) 式に V 0 = 200 を入れる。log 10 200 = log 10 2 + 2 = 2.30 なので
M = − 7.5 × 2.30 − 3.0 = − 20.25
m − M = 14.75 − ( − 20.25 ) = 35.0 = 5 log 10 d 10
より log 10 d 10 = 7.0 、つまり d = 10 8 パーセク。有効数字2桁で書く。
デモでは、回る速さ → 本当の明るさ → 距離、の順に数字をたどれる。「明るさは距離の2乗に反比例」だけを使って、見かけの明るさがそろう距離を探しても同じ値になる(等級の式も同じ法則から作られているので、これは計算の検算)。
答え 1.0 × 10 8 パーセク ( M = − 7.5 × 2.30 − 3.0 = − 20.25 , m − M = 35.0 = 5 log 10 d 10 )
問Ⅳ ハッブルの法則は、遠ざかる速さ v が距離 d に比例する(v = H d )というもの。銀河の中心の視線速度 7000 k m / 秒 が、この銀河全体の遠ざかる速さ。
距離は 10 8 パーセク = 100 メガパーセク なので
H = 7000 100
いまの宇宙で測られている値(約 67〜73)と同じくらいになる。ただし、これは目安で、この計算が正しいことの確かめにはならない。
答え 70 km/(秒・メガパーセク) ( 7000 100 )
問Ⅴ どの輝線も、銀河全体が遠ざかる 7000 k m / 秒 の分だけ長い波長へずれている。(ア)(中心 O)からのずれは、回転による視線速度の分。(イ)(ウ) はどちらも (ア) より長い波長の側なので、X と Y はどちらも回転で遠ざかる側にある。
X と Y は R 0 より外なので、回る速さはどちらも同じ V 0 。ちがうのは動く向き。長軸の上の X では、問Ⅱのように動く向きが視線に一番近く、視線速度は V 0 sin θ 。長軸から外れた Y では、動く向きが視線からそれるので、視線速度はそれより小さい(円盤の上で長軸から測った角を φ とすると V 0 sin θ cos φ )。
したがって、ずれの大きい (ウ) が X、小さい (イ) が Y。
図1—3 では Y の方が長軸方向には X より外にある。これにだまされない。もし X と Y が R 0 より内側にあると、回る速さが場所ごとにちがうので、答えが変わりうる。たとえば内側では回る速さが中心からの距離に比例する(かたまりで回る)と置くと、視線速度は長軸方向の位置だけで決まり、長軸方向に遠い Y の方が大きくなって、答えは逆になる。ただし図1—1 で直線なのは中心の近くだけで、R 0 の手前では曲がって V 0 に近づく。この「比例」は図から言えることではなく、デモで置いた近似。
デモ(内側を距離に比例させた模型)で R 0 を大きくしていくと、円盤の上で中心から近い X(0.51)が先に内側に入り、X の回る速さが落ちていく。R 0 が約 0.69 をこえると Y のずれの方が大きくなり、Y(0.83)も内側に入ると Y÷X=1.20 で止まる。「R 0 より外」という条件が答えを決めている。
答え (イ)がY,(ウ)がX。回転の速さはどちらもV₀だが,長軸上のXは動く向きが視線方向に最も近く,長軸から外れたYより視線速度が大きいから。
問Ⅵ 短軸を長く測っていたので、正しい b はもっと短い。問Ⅰより cos θ = b a は正しくはもっと小さく、正しい傾き θ はもっと大きい。
θ が大きいと sin θ も大きいので、同じ V r から出す回る速さ V 0 = V r sin θ は、正しくはもっと小さい。
(1) 式では、V 0 が小さいほど M が大きい(暗い)。見かけの等級 m は変わらないので m − M が小さくなり、距離は短くなる。
まとめると、短軸を長く測る → 傾きを小さく見つもる → 回る速さを大きく見つもる → 明るい銀河だと思う → 遠いと思う。デモでは、θ = 60 ∘ で短軸を 20% 長く測ると、距離を 1.13 倍に出してしまう。正面向きに近い銀河ほど、このまちがいが大きく効く。
答え 正しい距離は d B より小さい。正しい短軸は短いのでcosθ=b/aが小さくθは大きい。sinθが大きい分V₀=Vr/sinθは小さくなり,(1)式の絶対等級Mは大きく(暗く)なって,m−Mが小さくなるから。
問Ⅶ 光の半分が途中で吸収されると、見かけの明るさは本来の半分になる。それを知らずに計算した d C は、「暗いのは遠いから」と考えた分だけ遠すぎる。
回る速さから出した本当の明るさ(絶対等級)は正しい。見かけの明るさは距離の2乗に反比例するので、本来の明るさ(2倍)で見えるはずの距離を d とすると
1 d 2 = 2 × 1 d C 2
等級で考えてもよい。明るさが半分なら見かけの等級は 2.5 log 10 2 = 0.75 等大きくなっている。m − M が 0.75 小さくなると、距離は 10 − 0.75 / 5 = 10 − 0.15 ≈ 0.71 倍。デモのつまみで失われる光を 50% にすると、同じ結果になる。
答え d C 2 (約 0.71 d C 。明るさは距離の2乗に反比例し,本当の明るさは見えた明るさの2倍)
第2問 海面の高さと、水のめぐり 答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 海面の高さを変える原因を、短い時間のもの(潮の満ち干・津波・高潮)から長い時間のもの(水の出入り・氷の増減・海水の熱膨張)まで順に考える問題。
使う考え方は3つ。力のつり合い (気圧が低いと、その分の重さの水が集まる。風に押された水は、海面の坂が風の力とつり合うまで積み上がる)、水の収支 (入る量=出る量ならその場所の水の量は変わらない)、熱と水蒸気 (水が蒸発・昇華するときは熱をうばう。暖かい空気ほど水蒸気を多くふくめる)。
最後の計算は、海水が温まって体積がふえる分(熱膨張)を、層ごとに足し合わせる。
問Ⅰ 太陽や月の引力によって、海面は1日に2回ほど上がり下がりする。これが潮汐 (潮の満ち干)。
地震で海底が急に持ち上がったり沈んだりすると、その上の海水全体が動き、大きな波となって広がる。これが津波 。ふつうの波とちがい、海の底から表面までの水全体が動くので、沿岸に大きな被害をもたらす。
答え a 潮汐(天体の引力による潮の満ち干),b 津波
問Ⅱ(1) 北半球の台風のまわりでは、風は中心へ向かって反時計回りに吹きこむ。図2—1 で台風は紀伊半島から伊勢湾の西側 を北北東へ進んだ。伊勢湾は進路の右側(東側)に入る。
進路の右側では、反時計回りの風は南から北へ向かって吹く。さらに台風自身が北へ進む速さが風に加わるので、進路の右側は風が特に強い(危険半円)。
伊勢湾は南に口が開き、北に湾奥がある。強い南風は、湾口から湾奥へ海水を押しこむ向きになる。押された海水は湾奥でせき止められて積み上がり、海面が大きく上がった。
デモで進路を湾の東側(たとえば 50 km 東)に変えると、一番近づいたとき湾の風は北風になり、海水は湾の外へ押し出される。台風がどちら側を通るかで、高潮の大きさがまったくちがう。(湾のすぐ近く、約 12 km 以内を東に通るときは、回転の風の南北の分が小さく、台風の進む速さの分が勝って弱い南風になる。)
答え 台風が湾の西側を北上し,湾は進路の右側に入った。反時計回りの風に台風の進む速さが加わった強い南風が,湾口から北の湾奥へ海水を吹き寄せた。
問Ⅱ(2) 気圧は、その上にある空気の重さ。湾奥の気圧はまわりより 1013 − 958 = 55 h P a 低いので、湾奥の海面を押す空気の重さがその分軽い。
海水はつり合うまで集まってくるので、海面の上がり h の水の重さが、気圧の差をおぎなう。
ρ g h = Δ p
h = 55 × 10 2 1.0 × 10 3 × 9.8 ≈ 0.561 m
1 h P a でおよそ 1 c m と覚えておくと便利。デモの湾の模型では、もとの設定(進路が湾の西 50 km・湾の深さ 20 m)のとき、吸い上げ(点線)より、風による吹き寄せの方が大きい。
答え 0.56 m ( h = ( 1013 − 958 ) × 10 2 1.0 × 10 3 × 9.8 )
問Ⅲ(1) 海洋の水の出入りを書き出す。入るのは海洋への降水 と河川水 、出るのは海洋からの蒸発 。水の量が一定に保たれているので
( 降水 ) + ( 河川水 ) = ( 蒸発 )
河川水は必ず陸から海へ流れこむ(0 より大きい)。したがって、海洋では蒸発量の方が降水量より河川水の分だけ多い。
海洋で余った水蒸気は、大気によって陸へ運ばれて雨や雪になり、それが川になって海へもどる。地球全体の値で見ると、海洋の蒸発は年に約 413 × 10 3 k m 3 、降水は約 373 × 10 3 k m 3 で、その差は川で海にもどる量と同じ。
答え 蒸発量の方が大きい。海洋には陸から河川水が流れこむので,海洋の水収支がつり合うには,蒸発量が降水量より河川水の分だけ多くなければならない。
問Ⅲ(2) 湿度が低い空気の中では、氷晶(雪)の表面から氷が直接水蒸気になる(昇華)。昇華するときは、たくさんの熱(昇華熱)を雪自身からうばう。
雪にはまわりの暖かい空気から熱が入ってくるが、昇華でうばわれる熱とつり合ったところで、雪の表面の温度は気温より低いところに落ち着く(ぬれた布を巻いた温度計が乾いた温度計より低くなるのと同じしくみ)。湿度が低いほど昇華がさかんで、雪は冷たくなる。
その温度が 0 ℃ 以下なら、気温が 0 ℃ より高くても雪はとけずに地上まで届く(昇華で少しずつ小さくはなるので、とても乾いた空気の中を長く落ちると、届く前に消えてしまうこともある)。デモでは、気温 2 ℃・湿度 50 % で雪の表面は約 − 1.4 ℃ になり、雪のまま。同じ気温でも湿度 100 % なら、昇華で冷えることがないので、表面は 0 ℃ まで温まってとけ始める。とける熱を入れずにつり合いだけを計算すると表面は約 + 1.9 ℃ と出るが、実際は 0 ℃ に達したところで、入ってくる熱は氷をとかすのに使われ、表面は 0 ℃ のままとけていく。全部とけて雨になるかどうかは、地上までに落ちる時間にもよる。
答え 湿度が低いと氷晶の表面で昇華がさかんに起こり,昇華熱をうばって氷晶を冷やす。そのため気温が0℃以上でも氷晶は0℃以下に保たれ,とけずに届く。
問Ⅳ 空気がふくむことのできる水蒸気の量(飽和水蒸気量)は、温度が高いほど大きい。南極のような低い温度でも、1 ℃ 上がるごとに約 1 割ずつ増える。
南極の雪のもとになる水蒸気は、低い緯度の海から運ばれてくる。温暖化で大気が暖まると、運ばれる水蒸気の量が増え、南極に降る雪も増える。
一方、氷床が減るのは主にとける分と海へ流れ出す分。南極の内陸は、夏でも 0 ℃ よりずっと低い(数 ℃ 暖まっても 0 ℃ をこえない)ので、とける量はほとんど増えない。差し引きで、氷床はしばらく増える可能性がある。
デモで夏の気温を 0 ℃ に近づけて温暖化させると、とける量が出てくる。「内陸はとても寒い」ことが、増えるための条件になっている。
答え 温暖化で大気がふくめる水蒸気量が増え,南極へ運ばれる水蒸気と降雪が増える。南極内陸は温暖化後も0℃よりずっと低く,融解はほとんど増えない。
問Ⅴ 体積の増える割合は(熱膨張率)×(温度上昇)。海の表面積は変わらないので、厚さ h の層が温まると、厚さが h × (熱膨張率)×(温度上昇)だけ増え、その分海面が上がる。
100 × 2.5 × 10 − 4 × 2.0 = 0.050 m
3900 × 1.0 × 10 − 4 × 0.40 = 0.156 m
温度上昇も膨張率も小さい深い所の方が、厚さが 39 倍あるので、表層の約 3 倍も海面を上げる。デモのグラフでは、深い所の層を足していくにつれて海面の上がりが着実に増えていく。
答え 0.21 m ( 100 × 2.5 × 10 − 4 × 2.0 + 3900 × 1.0 × 10 − 4 × 0.40 = 0.050 + 0.156 )
第3問 地殻と岩石のでき方 答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 岩石と地殻がどうやってできるかを、いろいろな時間の長さで考える問題。前半は知識(岩石の分類・地質年代・プレートの沈み込み)、後半は図と表を読む問い。
問Ⅳは、顕微鏡で見た鉱物の形 から、結晶ができた順番を読む。問Ⅴは、表3—1 の組成 を使った足し算・引き算(混ぜる・取り除く)。問Ⅵは、風化の反応式 で、何が使われて何ができるかを数える。
どの問いも「見えている結果(形・組成・土の中の鉱物)から、見えない過程(順番・取り除かれた鉱物・昔の大気)を逆にたどる」という筋になっている。
問Ⅰ 地下の岩石が高い温度や圧力を受けて、とけずに固体のまま鉱物の種類や組織が変わってできた岩石は変成岩 (結晶片岩・片麻岩・ホルンフェルスなど)。
たまった堆積物が、長い時間をかけて押し固められ(粒のすき間が縮む)、すき間に新しい鉱物ができて粒どうしがくっつき、かたい堆積岩になる。この過程が続成 作用。
問Ⅱ ジュラ紀は中生代のまん中で、約 2.0 億~1.5 億年前。5つの事象のおよその年代は次のとおり。
縞状鉄鉱層の形成は、主に約 25 億~19 億年前(先カンブリア時代)。海にとけていた鉄が、光合成でできた酸素と結びついて沈んだもの。ゴンドワナ大陸は、先カンブリア時代の終わり(約 6 億~5 億年前)に南の大陸が集まってできた。シダ植物は古生代のシルル紀(約 4.3 億年前)に陸上に現れた。三葉虫は古生代の終わり、ペルム紀末(約 2.5 億年前)の大量絶滅で消えた。
日本海ができたのは新生代の中新世(約 2000 万~1500 万年前)で、ジュラ紀より新しい。残りの4つを古い順に並べる。
答え 縞状鉄鉱層の形成 → ゴンドワナ大陸の形成 → シダ植物の出現 → 三葉虫の絶滅
問Ⅲ 大陸地殻の質量が増えるには、地殻の外から物質が加わる必要がある。沈み込み帯で起こることを考える。
火成活動 :沈み込むプレートから出た水がマントルをとけやすくし、マグマができる。マグマは上がってきて地殻の中で固まったり(貫入)、火山として噴き出したりして、地殻に新しい岩石を加える。
付加体の形成 :海洋プレートが沈み込むとき、その上にたまった堆積物や海洋地殻のかけらがはぎ取られ、大陸側に押しつけられてくっつく。日本列島の多くの部分は、こうしてできた付加体からなる。
ほかに、島弧(火山の島の列)がまるごと大陸にぶつかってくっつくことも、大陸地殻を増やす。
答え 沈み込み帯でマントルからマグマが生じ地殻に貫入・噴出して加わる火成活動と,海溝の堆積物などがはぎ取られて大陸側に付け加わる付加体の形成。
問Ⅳ マグマがゆっくり冷えると、鉱物は順番に結晶になっていく。最初に結晶になる鉱物は、まわりがまだ液なので、どの向きにも自由に育ち、その鉱物本来の形(自形)になる。あとから育つ鉱物は、先にできた結晶にぶつかった所で成長がさえぎられる。最後の鉱物は、残ったすき間をうめる形(他形)になる。
図3—1 を見ると、B の六角形はどれも6つの辺が全部そろっている。C の長方形は、B と重なる所で形が欠けている(B が先にあった)。A は B と C のすき間をうめる、決まった形のない粒。
したがって、晶出した順は B、C、A。デモでは育つ順を切りかえられるが、どの順でも「形がよく整っているもの=先に育ったもの」になる。図3—1 の模様を画素から分けて「面積 ÷ 外側を囲んだ形(凸包)の面積」を測っても、B、C、A の順に大きい。ただしこの数は形のへこみ の少なさを測るだけで、ほかの結晶にまっすぐ切られた形でも 1 に近くなる(切り口がまっすぐならへこみはできない)。順番の決め手は、上に書いた「どの結晶がどの結晶の成長をさえぎっているか」の関係で、数はそれと食い違わないことを見る目安。
答え B→C→A。Bは結晶の形を完全に保ち,CはBに接する所で形がさえぎられ,AはB・Cのすき間を埋めるので,先に晶出した鉱物ほど自形を示すから。
問Ⅴ(1) 岩石が「Ca に富む斜長石」と「かんらん石」だけからできているので、斜長石の質量の割合を x とすると、かんらん石は 1 − x 。岩石全体の S i O 2 は、それぞれの鉱物の S i O 2 を割合で重みをつけて足したもの。
47.0 x + 39.5 ( 1 − x ) = 44.0
7.5 x = 4.5 x = 0.60
2 種類の鉱物の割合は、1つの成分の値だけで決まる。デモのグラフでは、岩石の S i O 2 と斜長石の割合がまっすぐな線でつながっている(39.5 % ならかんらん石だけ、47.0 % なら斜長石だけ)。
答え Ca に富む斜長石 60 % ,かんらん石 40 % ( 47.0 x + 39.5 ( 1 − x ) = 44.0 より x = 0.60 )
問Ⅴ(2) マグマから、ある鉱物(組成 C )が割合 f だけ結晶になって取り除かれると、残りの液の組成 L は
L = M − f C 1 − f
(M は最初のマグマの組成)。L は、図の上で C から M へ引いた直線を、M の先へのばした線の上を動く。つまり液は、取り除いた鉱物の点から遠ざかる向きにまっすぐ動く。
図3—2 で、海洋地殻の2点は、最初のマグマ(S i O 2 約 49.6 %、F e O 約 10.6 %)から見て、S i O 2 が増え F e O が減る向きにある。この向きを逆にのばすと、S i O 2 が低く F e O が高い点、つまりかんらん石(39.5 %、16.6 %)に行き着く。
ほかの鉱物では向きが合わない。斜長石は F e O が 0 なので、取り除くと液の F e O は増える。輝石は S i O 2 が 54.5 % と高いので、取り除くと液の S i O 2 は減る。角閃石は S i O 2 がマグマとほぼ同じなので、S i O 2 はほとんど増えない。
図の点を読んで、取り除いた割合を S i O 2 と F e O の両方から出すと、かんらん石のときだけ両方が約 13 %(もう1点は約 15 %)でそろう。
答え かんらん石。地殻の2点は最初のマグマから見てかんらん石と反対向きの直線上にあり,かんらん石だけを取り除いた残りの液の組成に一致するから。
問Ⅵ(1) 3つの反応式の左側(使われる物)を見る。(ⅰ) は水だけを使う。(ⅱ) は O 2 と C O 2 を使い、(ⅲ) は C O 2 を使う。どれも大気に気体を出してはいない。
使われた C O 2 は炭酸水素イオン H C O 3 − として水にとけ、川で海へ運ばれる。したがって、風化は大気の二酸化炭素((ⅱ) では酸素も)を減らす向きにはたらく。長い時間で見ると、岩石の風化は大気の二酸化炭素を減らし、地球を冷やす方向の大切なしくみになっている。
答え 大気中の二酸化炭素((ⅱ)では酸素も)を消費して減らす方向に働く。
問Ⅵ(2) 赤鉄鉱 F e 2 O 3 ができるのは (ⅱ) だけで、(ⅱ) では黒雲母の中の鉄が O 2 によって酸化される。カオリンは (ⅱ) でもできるが、O 2 を使わない (ⅲ)(灰長石の風化)でもできる。
時代Q の土には、カオリンはあるのに赤鉄鉱が無い。カオリンができたことから、(ⅲ) を進める水と二酸化炭素はあった。赤鉄鉱が無いのは、鉄を酸化する酸素が大気にほとんど無かったからと考えられる(鉄は酸化されないまま水にとけて流れ去る)。P の土には赤鉄鉱があるので、P の大気には鉄を酸化するだけの酸素があった。だから Q の大気は、P に比べて酸素がきわめて乏しかった(ほとんど無かった)と言える。
デモで大気の酸素を 0 にすると、灰長石からカオリンはできるが、赤鉄鉱だけができなくなる。反応式から言えるのは「Q の大気は P より酸素がずっと少なかった」までで、Q がいつの時代かは問題からは決まらない。実際の地球では、大気に酸素が増え始めたのは約 24 億年前ごろで、それより古い時代の土(古土壌)には赤鉄鉱が見られないものが多い。Q のような土の例にはなるが、Q をその時代と決める根拠は問題の中には無い。
答え Qの大気はPに比べ酸素がきわめて乏しかった。赤鉄鉱は(ⅱ)で酸素により鉄が酸化されてできるが,カオリンは酸素のいらない(ⅲ)でもできるから。