東大 過去問 2008年 地学|AI解答・解説・シミュレーション|アトリエファクトリー

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東京大学 第2次学力試験(前期)2008年 理科「地学」(東京大学がかつて公開したPDFの Internet Archive 保存版)

問題・出題の意図・東京大学の解答例(東京大学の公表資料)

東京大学の利用規定について

東京大学は、入試問題と出題の意図・解答の2次利用について「東京大学第2次学力試験入学試験問題等の2次利用について」(令和6年7月1日改定)で条件を定めている。このサイトでの対応は次のとおり。

解答とシミュレーション(AIで作成)

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制作:アトリエファクトリー(aTELiER FACTORY) https://atelierfactory.jp/

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お知らせ(2026年10月4日)

解答・解説・シミュレーションは、すべて Claude Opus 5.5 で作成しています。作ったあとの確かめ方は、科目によって違います。

どの科目も、東京大学が公表した解答ではありません。くわしくは「問題取得方法と回答生成方法」をご覧ください。

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地 学

第1問 宇宙膨張に関する以下の文章を読み,問Ⅰ~Ⅵに答えよ。

 宇宙膨張の特徴として,私たちの銀河を含む任意の銀河から十分遠方にある別の銀河に対し,「観測される後退速度については,ハッブルの法則が成り立ち」かつ(ア)「異なる方向の銀河の運動については,距離が等しければ方向によらず相対速度の大きさは同じであること」があげられる。この特徴を利用すると,宇宙膨張に伴う十分遠方の銀河の速度について,観測者と銀河を結ぶ方向(視線方向)にハッブルの法則に従う後退速度成分のみがあり,視線方向に垂直な方向の速度成分を持たないことが導かれる。このことを,以下のような単純なモデルを利用して示してみよう。ただし,現実の宇宙では,銀河の視線方向に垂直な速度成分は数百 km/秒から千 km/秒程度の大きさを持つことがあるが,数百 Mpc(1Mpc=106 パーセク)以上の遠い銀河では,その大きさは視線方向の速度の大きさに比べて小さく,本問で考えている状況が近似的に成り立っている。

 図1—1のように,地球を原点Oとする直交座標(以後,O座標系と呼ぶ)を取り,x 軸,y 軸,z 軸上で,原点から十分に離れた距離 d のところに,3 つの銀河 G1,G2,G3 があるとする。このとき,3 つの銀河が視線方向に垂直な方向の速度成分を持つと仮定し,O座標系におけるそれぞれの速度成分を (u1, v1, w1),(u2, v2, w2),(u3, v3, w3) とする。ただし座標系の取り方は,銀河 G1 の速度ベクトルが xy 平面内にあるように設定されており,w1=0 である。また,地球から観測した銀河 G1 の視線方向の速度の大きさを V0 とすると,u1=V0 である。

 さて,図1—2はO座標系の xy 平面であるが,これを参考にすると,(イ)銀河 G1 の速度の G1G2 方向の速度成分は (v1−V0)/2 であり,銀河 G2 の速度の G1G2 方向の成分は (v2−u2)/2 である。したがって,銀河 G1 から観測した銀河 G2 の後退速度の大きさは (v2−u2)/2−(v1−V0)/2 となる。

 なお,本問で考えている距離の範囲では空間は曲がっていないとする。

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図1—1
図1—1
図1—2
図1—2
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問Ⅰ 地球から十分に離れた銀河を考える。地球からその銀河までの距離を rMpc,地球上の観測者から見た銀河の視線方向の後退速度の大きさを vkm/秒,ハッブル定数を Hkm/(秒・Mpc)として,ハッブルの法則を書け。

問Ⅱ 銀河 G2 の速度の y 方向成分 v2 と銀河 G3 の速度の z 方向成分 w3 を,V0 を使って表せ。

問Ⅲ 銀河 G1 から観測したときの銀河 G2 の後退速度の大きさを,下線部(イ)とは異なる考え方に基づき,V0 を使って表せ。

問Ⅳ 下線部(イ)と,問Ⅱ,問Ⅲの結果に基づき,v1+u2=0 の関係を導け。

問Ⅴ 問Ⅱ,問Ⅲ,問Ⅳの考え方を参考にして,以下のことを導け。

(1) 銀河 G1 から観測した銀河 G3 の後退速度の大きさは (2V0−u3)/2 であること。

(2) 銀河 G2 から観測した銀河 G3 の後退速度の大きさは (2V0−v3−w2)/2 であること。

(3) u3=0,w2+v3=0 であること。

問Ⅵ 下線部(ア)と,問Ⅱ,問Ⅳ,問Ⅴで導かれた関係を利用して,視線方向に垂直な運動の速度成分は全てゼロになることを示せ。

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第2問 月のマグマ活動に関する以下の文章を読み,問Ⅰ~Ⅱに答えよ。

 月の表面には,後に示す図2—1のように,巨大隕石の衝突によって生じた衝突盆地と呼ばれるくぼみが多数存在し,その中には,内部からマグマが噴き出したところが少なくない。噴出した溶岩流に覆われた衝突盆地は月の海と呼ばれ,それ以外の場所は月の高地と呼ばれる。地震波の観測から,月の高地には深さ数十 km のところに境界があることが分かっており,それよりも浅い部分を月の地殻,深い部分を月のマントルと呼ぶ。このような地殻とマントルの境界は,衝突盆地の部分ではアイソスタシーのために浅くなっている。

問Ⅰ 表2—1は,アポロ計画で月から採集された岩石(a)(b),および地球の地殻と上部マントルの主要な構成鉱物であるかんらん石,輝石,斜長石,石英,カリ長石の化学組成と密度を示したものである。化学組成は酸化物重量%,岩石(a)の密度は溶融状態,その他は固体状態での値である。

 岩石(a)は 40 億年~30 億年前に月の海を広く覆った黒色の溶岩で,かんらん石,輝石,斜長石が含まれ,球状の空隙やガラス質の部分を含むものもある。岩石(b)は月の高地に産し,45 億年前後の放射年代を示す緻密な白っぽい岩石で,空隙やガラス質の部分は含まない。(ア)月のマントルは,地震波速度から,主としてかんらん石と輝石から構成されていると推定されている。その上にある月の地殻は,主として(b)のような岩石で構成されているとする。表2—1にもとづき,以下の問いに答えよ。

(1) 岩石(a)に類似した特徴を持ち SiO2 を 50 重量%程度含むものは,地球上の多くの火山に産するが,この地球上の岩石は何と呼ばれるか。

(2) 岩石(b)は,一種類の無色透明鉱物を約 90 重量%含む。この鉱物名を表2—1から選択し,その選択理由を 1 行程度で説明せよ。

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(3) 月は形成直後に高温になり,数百 km の深さまで溶融状態にあったと考えられている。その後に月は冷却し,かんらん石,輝石,斜長石が同時に結晶化する時期に,下線部(ア)のような地殻とマントルの構造が形成されたと推測されている。この内部構造の形成過程を 2 行程度で説明せよ。

表2—1
表2—1
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問Ⅱ 40 億年~30 億年前に起きた月の海でのマグマの噴出を,図2—1に示した簡単なモデルにしたがって考察しよう。噴出前には,衝突盆地の内外でアイソスタシーが成り立っている。マグマは深さ L の位置で発生し,地表までつながる変形しない鉛直の亀裂中をゆっくり上昇する。マグマ上端が深さ x に達すると,(イ)深さ L にあるA点とB点にかかる圧力が等しくなってマグマの上昇が止まる。衝突盆地の深さ d が x より大きい場合にはマグマが地表に噴出し,d が x より小さい場合には噴出は起きない。

 以下では,B点における地殻の厚さを H,マグマの密度を ρl,地殻の密度を ρc,マントルの密度を ρm とし,ρl,ρc,ρm は,それぞれ場所によらず一定であるとする。また,深さ L にあるマグマは水平に薄く広がっており,その厚さは無視できるものとする。

図2—1 40億年~30億年前の月の地下構造の模式図
図2—1 40億年~30億年前の月の地下構造の模式図
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(1) 地下深いところでは,その深さより上にある物質の単位面積あたりの質量と重力加速度 g の積に等しい圧力を受ける。したがって,下線部(イ)の状態にまでマグマが満ちた亀裂の底(図2—1のA点)における圧力は (L−x)ρlg となる。同様に考えると,図2—1のB点における圧力を H,L,ρc,ρm の関数として表すことができる。A,B両点の圧力が等しいことを用いて,x を H,L,ρl,ρc,ρm で表せ。

(2) 溶岩流が見られる月の衝突盆地は,深さ d が 2km 以上のものにほぼ限られることが観測されている。ここで,H=60km,ρc=2800kg/m3,ρm=3300kg/m3 として,

(a) マグマの密度 ρl が 3000kg/m3 の場合,d が 2km 以上のときにのみマグマが噴出するためには,L の最大値は何 km となるか,有効数字 1 桁で答えよ。

(b) マグマの密度 ρl が小さくなると,L の最大値は(a)の場合と比べてどう変化するか,理由とともに答えよ。ただし,ρl は 2800kg/m3 より大きいものとする。

(3) 地球の海洋底に噴出する典型的なマグマの密度 ρl は 2700kg/m3 である。もしこのマグマが月のマントルで発生して上昇したとすると,月面のどのような場所に噴出することができるか,理由とともに 2 行程度で答えよ。ただし,マグマは月のマントルのいたるところで発生し,月の内部にはマグマの通路となる亀裂がいたるところにできているものとする。また,ρc および ρm の値は(2)と同じとする。

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第3問 約 46 億年におよぶ地球の歴史において,表層の環境は多様な変遷を経てきた。これに関連する以下の問Ⅰ~Ⅲに答えよ。

問Ⅰ 表層の海水において,溶け込む二酸化炭素の量や炭酸系物質(CO2,CO32−,HCO3−)を合計した濃度(以下,炭酸系物質濃度と略す)は,水温や生物活動,下層の海水との混合など様々な要因に依存する。大気中の二酸化炭素が海水に溶け込む量は,海水が低温なほど多い。ただし,北極海のように海氷で海面が覆われると,二酸化炭素の吸収は著しく阻害される。

(1) 北大西洋高緯度では,低緯度から北上してきた表層水が冷却され,Vm3/秒で深層へと沈降している。いま,北大西洋低緯度および高緯度での表層水の炭酸系物質濃度をそれぞれ C1mol/m3,C2mol/m3 とする。ここで,高緯度と低緯度の濃度差が,大気から海洋への二酸化炭素の吸収のみによって生じたと仮定する。このとき,高緯度海域で T 秒間に深層へと輸送される炭素量のうち,大気から北大西洋の表層水に吸収された量 A グラムを,C1,C2,V,C,T で表せ。ただし,C は炭酸系物質 1 モル中の炭素重量(=12 グラム/mol)である。

(2) (1)において,C1=2.1,C2=2.2,V=1.0×107 としたとき,炭素量 A は 1 年間(3.2×107 秒)で何ギガ(=109)トンになるか,有効数字 1 桁で答えよ。また,1 年間に海洋全体が大気から吸収する炭素量(2 ギガトンとする)に対する A の割合を求めよ。

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問Ⅱ 地球とそれをとり巻く大気(地球・大気系)の熱エネルギー収支について,下の図3—1に示す簡略化モデルに基づき考えよう。地球の全表面について平均すると,単位時間に大気の上端に達する太陽放射エネルギー量は単位面積あたり S/4 で,このうち地表に吸収される量は SE=(1−α)S/4 で与えられる。ここで,S は太陽定数である。(ア)α は太陽放射に対する地球・大気系全体の反射率を表し(0<α<1),雪氷や雲からの寄与がとくに大きい。以下の議論では,大気による太陽放射の吸収や大気の対流の効果は考えない。

 図3—1において,地球・大気系は,一様な温度 TS をもつ地表面と,一様な温度 TA をもつ大気から成るものと簡略化されている。地表面から単位時間・単位面積あたり出される赤外放射(地球放射)エネルギー量は FS である。また,大気が上方・下方にそれぞれ射出する赤外放射エネルギー量は単位面積・単位時間あたり FA で,そのうち下方に出された FA は全て地表面に吸収される。一方,(イ)大気中の水蒸気や二酸化炭素などの温室効果気体や雲などの効果により,地表面から出される FS のうち ε の割合(0<ε<1)が大気に吸収され,そのまま宇宙空間へ透過する割合は 1−ε である。

 図3—1によれば,(ウ)地表面は SE と FA を吸収して加熱されるが,それらの合計に等しい量の FS を射出することで,熱エネルギー収支のつり合いが保たれている。同様に,大気は εFS を吸収して加熱されるが,上方と下方へそれぞれ FA を射出することで,熱エネルギー収支がつり合っている。ここで,(エ)FS=σTS4,FA=σεTA4 と与えられる。定数 σ の値は不変であり,TS,TA は絶対温度である。

(1) 下線部(ウ)を参考にして,

(a) 地表面と大気のそれぞれに関する熱エネルギー収支のつり合いを表す式を求め,それらを組み合わせることにより,FS が

FS=SE/[1−(ε/2)]

と表されることを示せ。

(b) 同様に,FA を SE と ε を用いて表わせ。

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(2) 温室効果気体の濃度の増加が TA,TS をそれぞれどのように変化させようとするか,上の(1)で導いた 2 つの表式,および下線部(イ),(エ)を参考にして説明せよ。ただし,その濃度増加はわずかで,α は変化しないものとする。

(3) 地球は進化の過程において,海洋や大陸がほぼ全面的に雪氷に覆われるような,極めて寒冷な気候状態をいく度か経験してきた。こうした「全球凍結」に向う過程においては,TS や TA の低下に伴い ε と α がともに変化し,その結果として TS や TA の低下がさらに加速され,著しい寒冷化がもたらされたと考えられている。なお,雲量や S の値には変化がなかったものとする。

(a) TS の低下が α にもたらし得る変化について,下線部(ア)を参考にして 1 行で説明せよ。

(b) TS と TA それぞれの低下が ε にもたらし得る変化について,問Ⅰや下線部(イ)を参考にして,大気中の主要な 2 種類の温室効果気体の変化に関連づけて 2 行程度で説明せよ。

(c) これらの α や ε の変化が,なぜ TS や TA をさらに低下させて地球環境を「全球凍結」状態へ向わせようとするのか,上の(1)で導いた 2 つの表式に基づき,その理由を 2 行程度で述べよ。

図3—1 地球・大気系の放射エネルギー収支を表す簡略化モデル。白抜き矢印が赤外放射,陰影付き矢印が太陽放射に伴うエネルギーの輸送を示す。矢印は輸送されるエネルギー量が大きいほど太く描かれている。
図3—1 地球・大気系の放射エネルギー収支を表す簡略化モデル。白抜き矢印が赤外放射,陰影付き矢印が太陽放射に伴うエネルギーの輸送を示す。矢印は輸送されるエネルギー量が大きいほど太く描かれている。
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問Ⅲ 約 46 億年前に地球が誕生した直後には,活発な火成活動によって二酸化炭素を主成分とする原始大気が形成された。最古の堆積岩の時代は約 38 億年前と推定されており,この頃までに大陸と海洋が形成されたと考えられる。高い二酸化炭素濃度と温暖な気候のもと,大陸では強い風化・侵食作用が進行していた。約 35 億年前の地層からは,生物の外形を残した最古の化石が確認される。約 27 億年前以降の地層からは,ストロマトライトと呼ばれる炭酸塩岩が見い出され,光合成をするラン藻が繁栄した事を示している。また,堆積岩中の炭酸塩岩の割合も増加してくる。(オ)25 億年~20 億年前には,石英と赤鉄鉱が薄層をつくる縞(しま)状鉄鉱層が堆積し,約 20 億年前以降には赤色の泥岩や砂岩が堆積した。約 6 億年前の先カンブリア時代末期には,地球は著しく寒冷化し,大陸や海洋の大部分が厚い氷床で覆われる「全球凍結」状態に陥った。(カ)やがて「全球凍結」から回復すると,現在の生物界の系統にはつながらない大型の動物群が出現したが,間もなく絶滅した。古生代に入ると硬い殻を持つ生物が出現し,生物界の多様性が爆発的に拡大した。これを(キ)カンブリア大爆発と呼ぶ。

(1) 下線部(カ)の大型の動物群を何と言うか。

(2) 下線部(キ)に関連し,カンブリア大爆発において出現した主要な生物名を一つ答えよ。

(3) 原始大気の二酸化炭素濃度は現在の 1000~10000 倍もあったと推定されているが,約 20 億年前には現在の 100 倍程度にまで低下したことが分かっている。二酸化炭素濃度の低下の要因について,1 行程度で述べよ。

(4) 下線部(オ)に関連し,約 25 億年前以降に縞状鉄鉱層や赤色堆積岩が堆積した要因について,1 行程度で述べよ。

(5) 下線部(カ)に関連し,「全球凍結」を終了させた要因について,問Ⅰや問Ⅱを参考にして,2 行程度で考察せよ。なお,「全球凍結」の前後で,太陽放射エネルギーや火成活動は一定であったとする。