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地 学
第1問 次の文章を読み,下の問いに答えよ。
太陽と太陽系惑星は,太陽の進化の時間尺度で見ればほとんど同時に形成されたと考えられている。ある種の隕石の化学組成が,太陽スペクトルの解析から得られる太陽の化学組成とよく似ていることは,この考えを支持している。隕石の年代を,放射性同位体を使って調べることにより,現在の太陽の年齢は約 46 億年であると推定されている。太陽が長年にわたって輝き続けているのは,その中心核での水素核融合反応が多量のエネルギーを発生させているからである。
太陽エネルギーは地球上の生命や環境に大きな影響を与える。地球の表面温度は,入射する太陽(現在の表面温度は約 6000 K )からの放射と地球から宇宙空間への放射との釣り合いによって決まっている。単位時間に単位面積から放射される光のエネルギー(以下では放射エネルギーと書く)が絶対温度で表した表面温度の 4 乗に比例すること(シュテファン・ボルツマンの法則)や,地球大気の温室効果などを考慮すると,現在の地球の表面温度が約 300 K であることが説明できる。
現在から約 70 億年後には,太陽の中心部では水素が消費しつくされ,太陽は膨張し,半径が現在の約 200 倍の巨星となる。この半径は,現在の地球の公転軌道に匹敵するほどの大きさである。その後,太陽の中心部ではヘリウム核融合反応が起こる。一方,外層大気は重力でとどめておくことができずに放出され,やがて太陽の質量は,現在の太陽に比べかなり減少する。さらに,ヘリウム核融合反応がとまると,太陽は収縮し,半径が現在の太陽の約 1 / 100 ,つまり地球ほどの大きさの白色矮(わい)星となる。この白色矮星は冷却の一途をたどり,放射されるエネルギーは時間とともに低下し続ける。
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問1 星の進化の理論によると,今から約 40 億年前には,太陽の放射エネルギーは現在の約 70 % しかなかった。にもかかわらず,地質学的な証拠からは,当時の地球の表面温度は現在と大きく異なってはいなかったと示唆されている。
(a) 当時の地球の大気組成と反射率が,ともに現在の地球と同じであったとすると,その当時の地球の表面温度は,現在の表面温度に比べて何度(K )低くなるか。計算過程を示した上で,有効数字 1 桁で求めよ。
(b) およそ 40 億年前の地球の表面温度が現在とほぼ同じであったことを説明する理由として,当時の地球大気の組成は現在よりも二酸化炭素が多く,これによる温室効果が大きかったとする考え方がある。その後,大気中の二酸化炭素は,どのようにして減少したと考えられているか。50 字程度で述べよ。
問2 惑星の太陽からの平均距離(楕(だ)円軌道の半長軸)の 3 乗と公転周期の 2 乗の比は一定(ケプラーの第三法則)で,その比は太陽の質量に比例する。したがって,太陽の質量が減少すると,惑星の公転にも影響を及ぼす。以下では簡単のため,地球の軌道は常に円であると仮定し,この円軌道の半径が太陽の質量の減少に伴ってどう変化するかを考える。
(a) 単位時間あたりに地球が公転軌道上を動いた円弧と軌道中心である太陽がなす扇型の面積は一定である(ケプラーの第二法則)。この面積 S を,円周率 π ,軌道半径 a ,公転周期 T で表せ。
(b) 地球の円軌道の半径は,面積 S を常に一定に保ちながら変化する。太陽の質量が現在の 70 % にまで減少したとき,地球の公転軌道の半径は,現在の軌道半径の何倍になるか。計算過程を示した上で,有効数字 2 桁で求めよ。
(c) 太陽が膨張し,半径が現在の 200 倍,表面温度が 3000 K ,質量が現在の 70 % の巨星となったとき,地球の表面温度は何度(K )になるか。地球の大気組成と反射率がともに現在の地球と同じであると仮定し,地球の軌道半径が変わったことを考慮して,計算過程を示した上で,有効数字 1 桁で求めよ。
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問3 太陽が現在の 1 / 100 の半径の白色矮星となり,放射エネルギーも現在の 1 / 100 となった進化段階を考える。
(a) この段階での太陽の表面温度は何度(K )か。計算過程を示したうえで,有効数字 1 桁で求めよ。
(b) この段階でも,地球の大気組成と反射率がともに現在の地球と同じであったと仮定すると,地球の表面温度は何度(K )か。計算過程を示したうえで,有効数字 1 桁で求めよ。
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第2問 次の文章を読み,下の問いに答えよ。
紀元前 3 世紀に,(ア)エラトステネスは,エジプトのアレキサンドリアとその南にあるシエネのそれぞれの地点で観測された夏至の日の正午の太陽高度の違いと,その 2 点間の距離を使って,地球半径を求めた。この結果は地球が球形で太陽が遠くにあるという仮定のもとで求めたものである。(イ)一方,地表面が球面ではなく平面であると仮定すると,地球と太陽の間の距離がエラトステネスの求めた地球半径程度であるという結果を得る。つまり,上の観測から正しい結果を得るためには,地球が球形であるということが他の観測から裏付けられていなければならなかったのである。
地球は自転しているために完全な球からは少しずれた形をしている。このことは,地球上の同じ子午線上にある 2 点で天の北極の高度角を観測し(この高度角が天文学的に求めたその地点の緯度となる),高度角の差が 1 ∘ となるときの 2 点間の弧の長さを測量することからもわかる。弧の長さは緯度が高いほど a なっており,地球は近似的に b 方向にふくらんだ回転楕円体になっている。
また,地球上にある物体には重力がはたらいている。重力は,地球の質量に起因する c と,地球の自転による遠心力の合力である。各地点の重力を比較するには,重力加速度の大きさを測定すればよい。重力加速度の大きさは(ウ)単振り子の周期を測ることによって測定できる。長さ ℓ の単振り子の周期 T は,重力加速度の大きさを g ,円周率を π とすると
T = 2 π ℓ g
で与えられる。角速度を一定とすると遠心力の大きさは自転軸からの距離に d するので,地球上では高緯度ほど e 。また,遠心力の方向は自転軸に f なので,重力加速度の大きさは g で最小となるはずである。実際に極付近と赤道付近で単振り子の周期を測ると,赤道付近で測る方が周期は h 。重力はこのように緯度の違いによって変化するが,それに加えて観測点近くの(エ)地下構造の違いによっても変化する。この性質を利用して資源探査や地球内部の研究が行われている。
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問1 文中の a ~ h に最もふさわしい語句を答えよ。
問2 下線部(ア)について,エラトステネスが地球半径を求めた方法を説明せよ。また,下線部(イ)について,地表面が平面であると仮定した場合に,地球と太陽の間の距離がエラトステネスの求めた地球半径程度となることを説明せよ。ただし,シエネでは夏至の日の太陽はほぼ真上にあるとし,2 地点間の太陽高度の差 θ (単位:ラジアン)は小さいので,tan θ の値は θ と近似して議論すること。文章は 200 字程度とし,それぞれの求め方に関する簡単な図をつけよ。
問3 下線部(ウ)について,長さ 1.20 m の単振り子が 20 振動するのにかかる時間を計測した。同じ条件で 10 回の計測を行った結果として表2—1が得られた。この結果を用いて,重力加速度の大きさを有効数字 3 桁で求めよ。円周率は 3.14 とし,計算過程も示せ。
問4 下線部(エ)について,図2—1のように地下に周囲より密度の高い物体があった場合に,地表のA,B,C点で観測される重力の大きさと方向が,その物体がない場合と比較してどのように変化するか述べよ。また,その 3 点のうち,重力の大きさおよび方向の変化が最大の場所はどこか,それぞれについて記せ。
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表2—1 単振り子が20振動するのにかかった時間
図2—1 A地点,B地点,C地点は東西方向(右側が東で左側が西)に等間隔で一直線に並んでおり,上図はそれらの地点を通る垂直断面を示している。密度の高い均質な物体Oは球形であり,その半径は非常に小さいので点とみなしてよい。物体O以外の部分の密度は一定である。B地点は物体Oの直上にある。
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第3問
Ⅰ 次の文章を読み,下の問いに答えよ。
地殻やマントルの化学組成は酸化物の質量パーセントで表される。地殻の質量の 50 % 以上は S i O 2 と推定され,その次に多い成分は a である。一方マントルでも S i O 2 が最も多いが,次に多い成分は(ア)M g O である。
S i O 2 という単一の化学成分をもつ鉱物のひとつが石英である。石英の構造中では 1 個のケイ素(S i )イオンは b 個の酸素(O )イオンと結合し,また 1 個の酸素イオンは c 個のケイ素イオンと結合している。(イ)石英がきれいな六角柱状の自形をしたものは水晶と呼ばれるが,花こう岩中の石英は他形を呈することが多い。また地球表層でこの石英砂が濃集した地形が砂浜や砂丘である。石英がこのように濃集する理由は,例えば長石などに比べ石英が d に強いことに起因する。
問1 文中の a ~ d に入る最もふさわしい語句あるいは数字を記せ。ただし a は化学式で答えること。
問2 下線部(ア)の M g O はマントル上部でどのような鉱物に含まれているのか。主要なものを二つ答えよ。
問3 下線部(イ)に関して石英が花こう岩中で他形になるのはどのような成因のためか。50 字程度で述べよ。
問4 堆積岩のひとつには,ほとんど S i O 2 の組成を持つチャートがある。チャートは地球上のどのような場所で,どのようにして形成されるのか。50 字程度で述べよ。
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Ⅱ 次の文章を読み,下の問いに答えよ。
地質時代の区分に関する研究は,19 世紀後半以降おもに欧州で盛んに進められた。その結果,上下に重なる一連の地層において地層ごとに含まれる化石の種類が異なることがわかり,地層の相対年代を決めたり(ウ)対比をすることができるようになった。このようにして 20 世紀初頭に確立された地質時代の区分は,基本的には生物界の変遷に基づいており,先カンブリア時代とそれに続く顕生代に大きく分けられる。(エ)顕生代は古い方から順に古生代,中生代,新生代に区分され,それらはさらにいくつかの「紀」に細分されている。古生代と中生代の境界時期には生物界の大量絶滅が起こり,e やフズリナ(紡錘虫)などの海生生物が滅んだ。また(オ)中生代と新生代の境界の時期にも生物の大量絶滅事変が起きた。
20 世紀中頃になると,放射性同位体を利用して岩石や鉱物の絶対的な年代を知ることができるようになった。(カ)放射性同位体は時間とともに放射線を出して別の安定同位体に変化(崩壊)するが,この変化の速度は放射性同位体の種類によって決まっており,周囲の温度や圧力条件に影響を受けない。したがって,この変化の速度と岩石や鉱物中に含まれる放射性同位体の量と,それから生じた安定同位体の量がわかれば,岩石や鉱物の年代を測定することができる。このようにして,地球上のいろいろな時代の岩石や隕石の放射年代が測定されたことにより地質時代の区分に時間の目盛りが入り,地球の誕生が約 46 億年前であったことや,先カンブリア時代と顕生代の境界時期が約 f 億年前であったことが明らかになった。
問1 e と f に最もふさわしい語句あるいは数字を入れよ。
問2 下線部(ウ)の対比とはどういうことか。30 字程度で説明せよ。
問3 下線部(エ)に関して,先カンブリア時代の地層に比べてカンブリア紀以降の顕生代の地層からは化石がはるかに多く産出することが知られてる。その理由を 60 字程度で答えよ。
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問4 下線部(オ)に関して,中生代末の大量絶滅事変の原因として現在有力な仮説とそれを裏付ける証拠を一つ挙げて,50 字程度で説明せよ。
問5 下線部(カ)に関して,放射性同位体の 40 K は時間とともに崩壊して安定同位体の 40 A r と 40 C a に変わり,40 K の半減期は 1.28 × 10 9 年である。40 K の原子数が元の 3.125 % になるのは何年後か。
第1問 太陽の一生と、地球の温度 答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 太陽の一生(40 億年前・いま・巨星・白色矮星)の各段階で、地球の表面温度がどうなるかを追う問題。使う道具は2つある。
シュテファン・ボルツマンの法則 :1 m² の表面から 1 秒間に出る光のエネルギーは、絶対温度の 4 乗に比例する(E = σ T 4 )。太陽全体から出る光(光度)は、これに表面積 4 π R 2 をかけた量なので、光度 ∝ R 2 T 4 。
地球の温度のつり合い :地球が受けとる熱は、太陽の光度 ÷(太陽からの距離)2 に比例する。地球が出す熱は、大気と反射率が同じなら地球の温度の 4 乗に比例する。この2つが等しいので、
T 地球 4 ∝ L d 2
となり、いまの 300 K を基準にした比で計算できる。
問題文の「放射エネルギー」は、はじめに「単位時間に単位面積(1 m²)から放射される光のエネルギー」と決めてある。けれども問1の「約 70 %」は、若いころの太陽は全体の明るさ(光度)が 7 割だった、というよく知られた話なので、この解説では問1・問3とも、太陽全体から出る量(光度)の意味で読む。ただし、はじめの決め方どおり 1 m² あたりと読む答え方もあり、問3ではその場合の答えも書いておく。問3で半径が与えられていることは、どちらの読み方でも使う(光度の読みでは温度を出すのに、1 m² あたりの読みでは光度を出すのに使う)ので、読み方の決め手にはならない。後半の軌道の問いは、ケプラーの第二法則(面積速度一定)と第三法則(a 3 / T 2 は太陽の質量に比例)を組み合わせる。
問1(a) 大気組成と反射率が同じなので、地球の温度の 4 乗は、受けとる熱(=太陽の光度。距離は同じ)に比例する。光度が 0.7 倍なら
T = 300 × 0.7 1 / 4
0.7 1 / 4 は、0.7 ≈ 0.837 のさらに平方根で約 0.915 。よって T ≈ 274 K で、いまより約 26 K 低い。有効数字1桁にまとめる。
4 乗根なので、光が 3 割へっても温度は 1 割も下がらない。それでも 274 K は水がこおる 273 K のすぐ上で、海がこおりかけていてもおかしくない温度になる。デモで「逃げる割合」を 0.7 にすると、300 K にもどる。つまり当時は、いまよりずっと熱が宇宙へ逃げにくかった(温室効果が強かった)と考えられる。
答え 3 × 10 K (地球の温度は受けとる熱の 1 4 乗に比例。 300 × 0.7 1 / 4 ≈ 274 K で,約 26 K 低い)
問1(b) 原始の大気には二酸化炭素がたくさんあった。その後、地球が冷えて海ができると、二酸化炭素は海水にとけこんだ。
海水にとけた二酸化炭素は、岩石からとけ出したカルシウムイオンなどと結びついて炭酸カルシウムになり、石灰岩などの炭酸塩岩として海の底に積もった。こうして炭素は岩石の中に閉じこめられた。
さらに、生物が現れて光合成をするようになると、二酸化炭素は有機物に変えられ、その一部は地層の中に埋もれた(同時に酸素がふえた)。
答え 海にとけた二酸化炭素がカルシウムと結びついて石灰岩として沈殿したり,光合成で有機物になったりして減った。
問2(a) 円軌道では、地球は周期 T の間に、半径 a の円の面積 π a 2 をちょうど1回掃く。
面積速度はどこでも同じなので、単位時間あたりに掃く面積は、全体の面積を周期で割ればよい。
問2(b) ケプラーの第三法則を「a 3 / T 2 = k M 」(M は太陽の質量、k は定数)と書く。(a) から T = π a 2 S なので、これを入れると
a 3 S 2 π 2 a 4 = S 2 π 2 a = k M
S は一定に保たれるので、a は M に反比例する。
質量が 0.7 倍になると、軌道半径は 1 0.7 = 1.428 ⋯ 倍。太陽の引く力が弱まるので、地球は外へ離れていく。
デモで太陽の質量を少しずつ減らすと、地球はうずまきを描いて、半径 1.43 の円に移る。ただし、一瞬で減らすと、面積速度は同じでも軌道は円にならない(平均の距離は 1.75 倍、遠い所は 2.5 倍)。「円のまま広がる」のは、質量がゆっくり減るときだけ。
答え 1.4 倍 ( a 3 T 2 = k M に T = π a 2 S を入れると S 2 π 2 a = k M , S 一定なので a ∝ 1 M 。 1 0.7 = 1.43 )
問2(c) まず巨星の光度を出す。光度 ∝ R 2 T 4 なので、いまの太陽とくらべて
200 2 × ( 3000 6000 ) 4 = 40000 × 1 16 = 2500 倍
地球の軌道は (b) より 1 0.7 倍に広がっているので、地球に届く熱は
2500 × 0.7 2 = 1225 倍
地球の温度はこの 4 乗根に比例する。1225 = 35 2 なので 1225 1 / 4 = 35 ≈ 5.9 。よって 300 × 5.9 ≈ 1.8 × 10 3 K で、有効数字1桁にまとめる。
デモで同じ縮尺にすると、巨星の半径(いまの軌道の 0.93)は、いまの軌道のすぐ内側まで来る。軌道が 1.43 に広がっていなければ、地球は星の表面のすぐそばで 2100 K をこえる。
答え 2 × 10 3 K (光度 200 2 × ( 3000 6000 ) 4 = 2500 倍,軌道 1 0.7 倍で届く熱 2500 × 0.7 2 = 1225 倍, 300 × 1225 1 / 4 ≈ 1.8 × 10 3 )
問3(a) 光度 ∝ R 2 T 4 を、温度について解く。光度が 1 100 、半径が 1 100 なので
T 4 ∝ L R 2 = 1 / 100 ( 1 / 100 ) 2 = 100
温度はいまの 100 1 / 4 = 10 ≈ 3.16 倍で、6000 × 3.16 ≈ 1.9 × 10 4 K 。有効数字1桁にまとめる。
全体の光は 1/100 でも、表面積が 1/10000 なので、1 m² あたりはいまの 100 倍明るく光っている。温度が高いので、光の山は紫外線の側(約 0.15 μm)にある。「白色」矮星という名前のとおり、白く(青白く)光る。
問題のはじめの決め方どおりに読んだ場合 :「放射エネルギー」を文字どおり 1 m² あたりの量と読み、それが 1 100 になったとすると、T 4 が 1 100 倍なので
T = 6000 × ( 1 100 ) 1 / 4 = 6000 10 ≈ 1.9 × 10 3 K
で、有効数字1桁で 2 × 10 3 K になる(光度の読みの 1/10)。この読みでは、半径は (b) で光度を出すのに使う。この解説は問1と同じ光度の読みを採り、答えを 2 × 10 4 K とした。約 1900 K は赤っぽく光る温度で「白色」という名前と合いにくいことも理由の一つだが、本文のとおり白色矮星は冷え続けるので、これだけでは決め手にならない。
答え 2 × 10 4 K (光度 ∝ R 2 T 4 より T 4 は 1 / 100 ( 1 / 100 ) 2 = 100 倍, 6000 × 100 1 / 4 ≈ 1.9 × 10 4 )
問3(b) 地球の温度は、受けとる熱(光度 ÷ 距離2 )だけで決まり、太陽の表面の温度や半径には直接よらない。問3では太陽の質量が与えられておらず、軌道がどれだけ広がるかは計算できないので、ここでは軌道半径をいまのままとして、光度 1 100 を使う(これは決め方の一つで、問題文から必ずそうなるとは言えない)。
T = 300 × ( 1 100 ) 1 / 4 = 300 10 ≈ 95 K
太陽の表面はいまより 3 倍以上熱いのに、地球は 95 K までこおりつく。もし問2(b) のように軌道が 1 0.7 倍に広がっていたとすると、届く熱はさらに 0.49 倍になり、約 79 K(有効数字1桁で 8 × 10 K )になる。白色矮星になるのは巨星(質量が 70 %)より後で、質量がふえることはないので、軌道は少なくとも 1 0.7 倍に広がったままと読むこともできる。
問題のはじめの決め方どおりに読んだ場合 :1 m² あたりが 1 100 、表面積が ( 1 100 ) 2 なので、光度は 1 100 × 1 10000 = 10 − 6 倍。軌道がいまのままなら
T = 300 × ( 10 − 6 ) 1 / 4 = 300 × 10 − 1.5 ≈ 9.5 K
で、有効数字1桁で 9 K。軌道が 1 0.7 倍に広がっていれば 9.5 × 0.7 ≈ 7.9 で 8 K になる。
答え 9 × 10 K (軌道半径は今のままとして, 300 × ( 1 100 ) 1 / 4 ≈ 95 )
第2問 地球の形と、重力のはかり方 答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 地球の形と重力をどうやって測ってきたか、という問題。エラトステネスの地球の大きさの測り方、緯度 1° の弧の長さからわかる地球の形、自転による遠心力で重力が緯度によって変わること、振り子で重力加速度を測ること、地下の重い物体で重力が変わること、の順に進む。
使う考え方は3つ。角度と弧の長さ (半径 R の円で、中心角 θ 〔ラジアン〕の弧の長さは R θ )。重力は万有引力と遠心力の合力 (遠心力は自転軸から外向きで、大きさは軸からの距離に比例)。振り子の周期 T = 2 π ℓ / g (振れ幅が小さいとき)。
問1 (a)(b):天の北極の高度はその場所の緯度に等しい。高度の差が 1 ∘ の2点では、その場所の「真上の向き」(地面に垂直な向き)が 1 ∘ ちがう。地面の曲がり方がゆるい(大きな円の一部に近い)所ほど、真上の向きを 1 ∘ 変えるのに長く歩く必要がある。測ると緯度が高いほど弧が長いので、極の近くの方が平ら。つまり地球は、赤道の方向にふくらんだ 回転楕円体。デモで2本の垂直線の交わる点(曲がり方の中心)をくらべると、北極の近くの方が遠い。
(c)〜(f):重力は、地球の質量による万有引力 と、自転による遠心力の合力。遠心力の大きさは m ω 2 r (r は自転軸からの距離)で、ω が一定なら r に比例 する。r = R cos φ (φ は緯度)は高緯度ほど小さいので、遠心力も小さくなる 。向きは自転軸に垂直 で、軸から外向き。
(g):遠心力が一番大きく、しかも万有引力とちょうど逆向きになるのは赤道 。だから重力は赤道で最小、極で最大になる。
(h):T = 2 π ℓ / g なので、g が小さい赤道の方が周期は長い 。デモでは 1.2 m の振り子で赤道 2.1989 s、極 2.1951 s。自転を速くすると、差が目で見えるほど大きくなる。
答え a 長く,b 赤道,c 万有引力,d 比例,e 小さくなる,f 垂直,g 赤道,h 長い
問2 (ア):太陽はとても遠いので、地球に届く光はどこでも平行。シエネでは太陽が真上にあるので、光はシエネの真上の向き(地球の中心とシエネを結ぶ線)に沿って来る。アレキサンドリアでは、同じ向きの光が、真上から θ ずれて見える。平行な光とくらべているので、この θ は、2地点のそれぞれの真上の向き(中心から引いた2本の線)のなす角に等しい。2地点の距離 d はこの中心角の弧の長さだから
d = R θ ⟹ R = d θ
(イ):地面が平らなら、真上の向きはどこでも同じ。それでも影の向きがちがうのは、太陽が有限の高さ h (シエネの真上)にあって、光が1点から広がっているから。アレキサンドリアから見ると、太陽は真上から θ ずれた向きにあり
tan θ = d h
θ は小さいので tan θ ≈ θ とすると h ≈ d θ 。これは (ア) の R と同じ式になる。
同じ観測(d と θ )から、「半径 d / θ の丸い地球」とも「太陽が高さ d / θ にある平らな地面」とも言える。だから、地球が丸いことを別の観測(月食のときの地球の影が丸い、船が水平線の向こうへ船体から消える、など)で確かめておく必要があった。デモのグラフで、2つの答えの線がほぼ重なる。
注(答えの図):問題は 200 字程度の文と簡単な図を別々に求めている。図は、丸い地球に平行な光が当たる図(デモの左)と、平らな地面の上の近い太陽から光が広がる図(デモの右)を描けばよい。下の答えは文の部分だけ(217 字)。
答え (ア)太陽は遠く光は平行なので,夏至の正午にシエネで真上,アレキサンドリアで天頂からθずれる太陽高度の差θは,2地点と地球の中心を結ぶ線がなす角に等しい。2地点間の距離をdとすると,弧の長さd=Rθより地球半径R=d/θが求まる。(イ)地表が平面なら鉛直方向はどこも同じなので,θは太陽が高さhの近い所にあるために生じる。太陽はシエネの真上にあるので,tanθ=d/h,θは小さいのでh≒d/θとなり,エラトステネスのRと同じになる。
問3 表2—1 の 10 回の平均をとる。43.9 s が 5 回、43.8 s が 4 回、44.0 s が 1 回なので
43.9 × 5 + 43.8 × 4 + 44.0 10 = 438.7 10 = 43.87 s
これは 20 振動の時間なので、周期は T = 43.87 ÷ 20 = 2.1935 s 。
T = 2 π ℓ / g を g について解くと g = 4 π 2 ℓ T 2 。
g = 4 × 3.14 2 × 1.20 2.1935 2 = 47.33 4.811 ≈ 9.836
1 回ずつの時間は 0.1 s ほどばらつくので、1 回だけで出すと g は 0.5 % ほど変わってしまう。10 回のばらつき(標準偏差 0.07 s)から平均の誤差を見積もると 0.02 s ほどで、g では 0.01 ほど(9.84 の 3 けた目が ±1 ほど動く)。平均すると 1 回だけのときより誤差は約 1 / 10 ≈ 1 / 3 になるが、3 けた目まできっちり決まるとまでは言えない。しかも平均で小さくなるのはばらつきの分だけで、ストップウォッチを押すくせ・振れ幅・糸の長さの測りまちがいのような、毎回同じ向きにずれる誤差は何回平均しても減らない。また、20 振動まとめて測るのは、ストップウォッチを押すタイミングのずれを 20 回分で割って小さくするため。振れ幅が大きいと周期がのびるので、小さく振って測る(デモで振れ幅を 20° にすると、同じ式では g が 1.5 % 小さく出る)。
答え 9.84 m / s 2 (10 回の平均 43.87 s,周期 T = 43.87 20 = 2.1935 s, g = 4 π 2 ℓ T 2 = 4 × 3.14 2 × 1.20 2.1935 2 )
問4 物体 O はまわりより密度が高いので、その分だけ余分な質量がある。この余分な質量は、地表のどの点も、O の方へ余分に引く。その力を「下向き」と「横向き」に分けて考える。
B は O の真上なので、余分な引力はまっすぐ下向き。重力の向きは変わらず、大きさだけ増える。しかも O に一番近いので、増え方は3点で最大。
A から見ると O は東下の方向にある。余分な引力は東下向きで、下向きの成分で重力は大きくなり(B より少し)、東向きの成分で重力の向きが東(O の側)へ少しかたむく。C は O をはさんで反対側なので、大きさの増えは A と同じで、向きは西(O の側)へかたむく。A と C は B から同じ距離なので、かたむきの大きさは等しい。
したがって、大きさの変化が最大なのは B、方向の変化が最大なのは A と C(B では方向は変わらない)。デモのグラフでは、下向きの増え(青)が B で山になり、横向きの力(赤)は B で 0、その両側で向きが逆になる。
答え A,B,C どこでも重力は大きくなる。B では真下向きのまま大きくなり,A では向きが東(Oの側)へ,C では西(Oの側)へ傾く。大きさの変化が最大はB,方向の変化が最大はAとC(同じ大きさ)。
第3問 石英のつくりと、地球の時計 答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 Ⅰは岩石と鉱物の問題。地殻の半分以上をしめる S i O 2 が、鉱物の中でどうつながっているか(ケイ素 1 個を酸素 4 個がかこむ S i O 4 四面体)、花こう岩の中で石英がどんな形になるか、石英が砂浜に集まるわけ、ほとんど S i O 2 だけでできた岩石(チャート)のでき方を問う。
Ⅱは地質時代の問題。化石で地層の順番(相対年代)を決め、離れた地域の地層をくらべる。そこに放射性同位体の崩壊で「何年前か」(放射年代)の目盛りを入れる。崩壊の問いは、半減期 (原子の数が半分になるまでの時間)ごとに 1 2 倍になる、という考え方だけで解ける。
Ⅰ問1 (a):地殻(特に大陸地殻)の平均の化学組成は、S i O 2 が約 60 %、次が A l 2 O 3 (約 15 %)。地殻に多い長石が、アルミニウムを含むケイ酸塩鉱物だから。
(b)(c):ケイ酸塩鉱物の基本は、ケイ素 1 個のまわりを酸素 4 個が正四面体の形にかこむ S i O 4 四面体。石英では、四面体の 4 つの角の酸素が、すべてとなりの四面体と共有されている。つまり酸素 1 個は 2 個のケイ素をつないでいる。
数を確かめると、ケイ素 1 個につき酸素 4 個、ただしその酸素は 2 個のケイ素で半分ずつなので、ケイ素 1 個あたりの酸素は 4 × 1 2 = 2 個。これが化学式 S i O 2 になる。デモでは、共有する酸素の数を 0・2・3・4 と変えると、ケイ素 1 個あたりの酸素が 4・3・2.5・2 と変わる。
(d):石英は、長石などにくらべて水や空気による風化 (特に、水と反応して粘土鉱物に変わる化学的な風化)に強い。長石は粘土になって細かく流されるが、石英は砂つぶのまま残り、波や風で運ばれて砂浜や砂丘に集まる。
Ⅰ問2 上部マントルは、かんらん岩でできている。かんらん岩の主な鉱物はかんらん石 (( M g , F e ) 2 S i O 4 )と輝石 (( M g , F e ) S i O 3 など)で、どちらも M g O を多く含む。
デモでくらべると、かんらん石は四面体どうしが酸素を共有しない(ばらばらの四面体を M g 2 + などがつなぐ)、輝石は 2 個ずつ共有して鎖になっている。共有が少ないほど、すき間に入る陽イオン(Mg など)が多く要る。
Ⅰ問3 自形とは、その鉱物本来の結晶の面(平らな面)で囲まれた形。他形とは、まわりに押されて本来の形になれなかった形。
花こう岩のもとのマグマが冷えるとき、鉱物は決まった順番で結晶する(黒雲母・斜長石などが先、石英は最後)。先に結晶する鉱物は、まわりがまだ液体なので自由に育ち、自形になりやすい。最後に結晶する石英は、先にできた結晶のすき間に残った液体の中で育つしかなく、すき間の形に合わせた他形になる。
デモのモデルでは、先に固まる鉱物(灰)は四角い形のまま(自形度 1.00)、最後の石英(青)はすき間の形(0.60 ほど)になる。順番を入れかえて石英を最初にすると、石英が四角く、ほかの鉱物がすき間の形になる。ただし、このモデルはどちらの鉱物にも同じ育ち方の決まりを与えているので、形を分けているのは固まる順番だけになっている。本物の岩石でも、自形になれるかどうかは主に固まる順番とまわりのすき間で決まるが、どんな結晶面で囲まれるかは鉱物の種類で決まり、鉱物ごとの結晶面のできやすさのちがいも効く(変成岩では、ざくろ石のように、まわりと同時に育っても自形になりやすい鉱物がある)。
答え 石英はマグマから最後に晶出するので,先に結晶した長石や雲母のすき間を埋めて成長し,結晶面をもてないから。
Ⅰ問4 チャートは、ほとんど S i O 2 でできたかたい堆積岩。陸から遠い大洋の深海底には、川が運ぶ砂や泥(陸からの砕屑物)がほとんど届かない。そこでは、放散虫(ケイ酸質の殻をもつプランクトン)などの遺骸が、とてもゆっくり積もる。
炭酸カルシウムの殻(有孔虫など)は、深い海ではとけてしまうので残りにくい。とけにくいケイ酸質の殻だけが積もり、押し固められてチャートになる。日本の山地のチャートは、遠い海の底でできたものが、プレートの動きで運ばれて付加体として陸にくっついたもの。
答え 陸の砕屑物が届かない遠洋の深海底で,放散虫などケイ酸質の殻をもつプランクトンの遺骸が堆積し,固まってできる。
Ⅱ問1 古生代と中生代の境(ペルム紀の終わり、約 2.5 億年前)は、地球の歴史で最大の大量絶滅。古生代の海で栄えた三葉虫 や、フズリナ(紡錘虫)がこのとき絶滅した。
先カンブリア時代と顕生代(カンブリア紀から後)の境は約 5.4 億年前。デモの下の帯のとおり、顕生代は 46 億年の地球の歴史のうち、最後の 1 割ほどにすぎない。
Ⅱ問2 対比とは、離れた場所にある地層が、同じ時代にできたものかどうかを決めること。
使うのは、ある時代にだけ生きていて広い地域に分布した生物の化石(示準化石)や、火山灰の層のように短い時間に広い範囲に積もった層(鍵層)。同じ示準化石や鍵層が見つかれば、その地層は同じ時代のものと考えられる。
答え 離れた地域の地層が同じ時代のものかを,化石などで決めること。
Ⅱ問3 化石として残りやすいのは、骨や殻など硬い部分。先カンブリア時代の生物の多くは、やわらかい体しかもたなかったので、化石になりにくかった。
カンブリア紀の初めに、硬い殻や骨格をもつ生物が一気に現れ、生物の種類と数も急にふえた(カンブリア紀の爆発)。そのため、カンブリア紀より後の地層からは化石がはるかに多く出る。さらに、古い地層ほど変成作用や侵食を受けて、化石が残りにくいことも加わる。
答え カンブリア紀になると硬い殻や骨格をもつ生物が現れて化石として残りやすくなり,また生物の種類や数も急に増えたから。
Ⅱ問4 中生代の終わり(約 6600 万年前)の大量絶滅で、恐竜やアンモナイトなどが絶滅した。原因として有力なのは、巨大ないん石の衝突 。
証拠の1つが、この境の地層にはさまる薄い粘土層に、地表の岩石にはとても少なく、いん石に多いイリジウムが、異常に多く含まれていること(世界の各地で見つかる)。ほかに、衝撃でできた石英や、メキシコのユカタン半島にうもれた巨大なクレーターも見つかっている(答えにはどれか1つを挙げればよい)。
答え 巨大いん石の衝突説。証拠に,境界の粘土層に地表の岩石には少ないイリジウムが異常に多く含まれる。
Ⅱ問5 半減期ごとに、残る原子の数は 1 2 倍になる。3.125 % を分数にすると
0.03125 = 1 32 = ( 1 2 ) 5
5 × 1.28 × 10 9 = 6.4 × 10 9 年
デモでは 300 個の 40 K がこわれていき、1/2・1/4・1/8・1/16・1/32 と減っていく。64 億年は地球の年齢(46 億年)より長いので、地球ができたときの 40 K は、いまでも約 8 % 残っている。だから 40 K は、古い岩石の年代を測る時計として使える。
答え 6.4 × 10 9 年後 ( 3.125 % = 1 32 = ( 1 2 ) 5 なので半減期の 5 倍: 5 × 1.28 × 10 9 )