地 学 (4 問題 100 点)
地学問題 Ⅰ
次の文章を読み,問 1 〜問 5 に答えよ。解答はすべて所定の解答欄に記入せよ。
可視連続光で見たとき,太陽表面には ア とよばれる薄い大気層が広がっている。ア の温度はおよそ 6000 K である。ア では,イ とよばれる,大きさ 1000 km 程度のガスの対流による構造や,①黒点とよばれる周囲よりも暗い領域などが観測される。黒点は磁場の強い領域であり,その周辺の彩層やコロナではしばしば,突発的な増光現象である ウ が発生する。ウ にともなう強い X 線や紫外線の放射,大規模なプラズマ噴出などにより,放出される総エネルギーが J にも達することがある。これらにより,②地球上や地球周辺の宇宙環境にさまざまな影響が及ぶことが知られており,特に高緯度地域ではオーロラとよばれる地球大気の発光現象が活発化することもある。また,③太陽の黒点数は約 11 年の周期で増減を繰り返しており,それが地球の気候に影響を与える可能性も指摘されている。
問 1 文中の ア 〜 ウ に当てはまる適切な語を答えよ。
問 2 以下の(1),(2)に答えよ。ただし,太陽と地球間の距離は m,円周率は 3.1 であるとする。
(1) 地球から見た太陽の見かけの大きさ(視半径)が 960″(3600″ = 1°)であるとして,太陽半径の大きさを有効数字 2 けたで求めよ。導出過程も示すこと。
(2) 地球の大気上端での太陽放射エネルギーが,放射に垂直な面に対して単位面積・単位時間あたり であるとする。この値を用いて,太陽表面から単位面積・単位時間あたりに放たれる放射エネルギーを,有効数字 2 けたで求めよ。導出過程も示すこと。必要であれば,(1)で求めた太陽半径を用いよ。
問 3 下線部①に関連して,以下の(1)〜(3)に答えよ。
(1) ア および黒点領域での放射エネルギーはシュテファン・ボルツマンの法則で記述できるとする。この法則を表す式を答えよ。ただし,単位面積・単位時間あたりの放射エネルギーを ,表面温度を ,シュテファン・ボルツマン定数を とせよ。
(2) 黒点領域での単位面積・単位時間あたりの放射エネルギー量が黒点外の ア の 20 % であるとき,この黒点領域の表面温度としてもっとも適切なものを以下の選択肢の中から選べ。ただし,ア の表面温度は 6000 K であるとする。
選択肢:1200 K,3000 K,4000 K,4800 K,6000 K
(3) 上の(2)の黒点領域および黒点外の ア から放射される光については,放射エネルギーが最大となる波長と表面温度との間に,ウィーンの変位則が成り立つとする。このとき(2)の黒点領域からの放射エネルギーが最大となる波長は,黒点外の ア と比べてどのようになるか。正しい文を,以下の(あ)〜(う)から 1 つ選べ。
(あ) 放射エネルギーが最大となる波長は,(2)の黒点領域の方が長い。
(い) 放射エネルギーが最大となる波長は,(2)の黒点領域の方が短い。
(う) 放射エネルギーが最大となる波長は,変わらない。
問 4 下線部②に関連して,2024 年 5 月には太陽活動が活発で,大規模な ウ が頻発するなどした。このような太陽活動が活発な際の記述として,以下の(あ)〜(え)の文について,正しいものには○を,正しくないものには×を記せ。
(あ) 中低緯度地域である日本でもオーロラが観測されることがある。
(い) 地球の磁気圏が乱れて磁気嵐が発生し,地上の送電設備の破壊を引き起こすことがある。
(う) 太陽からの X 線や紫外線により電離層がじょう乱を受け,通信障害などを引き起こす「ブロッケン現象」が発生することがある。
(え) ウ やコロナ質量放出などにより高速に加速された粒子が,人工衛星の故障を引き起こすことがある。
問 5 下線部③に関連して,ウ に代表される太陽活動が活発な時期に関する記述として正しい文を,以下の(あ)〜(え)から 1 つ選べ。ただし,以下の「太陽黒点の数」および「太陽放射エネルギー量」は 12 か月程度の期間で平均化した値とする。
(あ) 太陽黒点の数は減り,太陽放射エネルギー量は大きくなる。
(い) 太陽黒点の数は増え,太陽放射エネルギー量は大きくなる。
(う) 太陽黒点の数は減り,太陽放射エネルギー量は小さくなる。
(え) 太陽黒点の数は増え,太陽放射エネルギー量は小さくなる。
地学問題 Ⅱ
次の文章(a),(b)を読み,問 1 〜問 4 に答えよ。解答はすべて所定の解答欄に記入せよ。
(a) ある年の 1 月で月平均した 500 hPa 等圧面高度を,緯度ごとに全経度にわたって東西平均した値を表 1 に示す。

問 1 表 1 で赤道での 500 hPa 等圧面高度が北緯 40 度よりも高くなる最も重要な要因を簡潔に述べよ。
問 2 表 1 に基づいて,以下の(1)〜(5)に答えよ。ただし,気圧傾度力は南北方向を向き,気圧傾度力の大きさと,風向,および風速は経度に依存しないと仮定する。また,ここでは,ある緯度での気圧傾度力の大きさは,その緯度から南北に 5 度離れた 2 つの緯度間での 500 hPa 等圧面高度の差として見積もることとする。例えば,北緯 40 度での気圧傾度力の大きさは,北緯 45 度と北緯 35 度の 500 hPa 等圧面高度の差で見積もる。
(1) 赤道域での気圧傾度力が南緯 40 度や北緯 40 度に比べて極端に小さい理由を,地球の自転の効果に着目して簡潔に説明せよ。
(2) 北緯 40 度における地衡風はどちらの方位から吹くか記せ。
(3) 南緯 40 度における地衡風はどちらの方位から吹くか記せ。
(4) 北緯 40 度における地衡風の風速は,南緯 40 度におけるそれの何倍か,有効数字 2 けたで求めよ。導出過程も示すこと。
(5) 南緯 40 度における傾度風と地衡風の風速はどちらが大きいかを,その理由とともに述べよ。図を用いてもよい。
(b) 大気と地球表面で構成される地球の気候システムでは,太陽放射と地球放射からなる放射過程や潜熱輸送などによって,気候システム全体はもとより,大気と地球表面のそれぞれでエネルギー収支はつり合っている。ただし,放射過程のみではエネルギー収支はつり合わず,大気はエネルギーを失って冷却され,地球表面はそれと同じ大きさのエネルギーを得て加熱される。以下では,この放射過程による大気の冷却量と地球表面の加熱量をそれぞれ とする。
問 3 放射過程のみを考えると,大気温度は 1 日あたり何℃低下するか,有効数字 2 けたで求めよ。導出過程も示すこと。ただし,冷却は大気全層で一様に生ずると仮定し,大気の比熱(1 kg の大気の温度を 1 ℃上昇させるために必要な熱エネルギー)を J/(kg・K),単位面積あたりの大気全層の質量を ,1 日を s とする。
問 4 放射過程で生ずるエネルギー収支の不均衡は,地球表面から大気への潜熱輸送のみによって解消されて,地球表面と大気のそれぞれでエネルギー収支がつり合うと仮定する。このとき必要となる降水量は,1 年間で積算すると何 mm か,有効数字 2 けたで求めよ。導出過程も示すこと。ただし,1 年あたりの積算蒸発量と積算降水量はつり合うとする。また,水の蒸発にともなう潜熱を J/kg,水の密度を ,1 年を s とする。
地学問題 Ⅲ
次の文章を読み,問 1 〜問 4 に答えよ。解答はすべて所定の解答欄に記入せよ。
地球の内部は,構成する物質や状態が主に深さ方向に異なる層構造をなす。また水平方向にも不均一性をもつ。地球の内部を直接観察することは困難であるが,以下のように,地表面で得られる様々な観測から,地球内部の状態を推定することができる。
地震によって励起された地震波は,地球の内部を伝わり,地球上の様々な場所で観測される。地震波はその伝播(ぱ)経路の情報を含んでおり,各地点で観測される地震波を調べることによって地下の構造を推定できる。1909 年には①地殻とマントルの境界面である ア が発見され,近年では イ という解析手法により,地球内部の三次元的な地震波速度分布が明らかになっている。
長年にわたって平均化した海水面で地球の全表面を覆った仮想の面をジオイドという。②ジオイドは地球内部の密度分布の不均一性を反映し,地球楕円体に対して凹凸をもつ。また,ジオイドは地球の重力の分布と密接に関係し,③重力異常の分布を調べることで地下の密度分布や地質構造を推定することができる。
問 1 文中の ア,イ に当てはまる最も適切な語を答えよ。
問 2 下線部①に関連して,観測された地震波から境界面の深さ 〔km〕を推定するとき,以下の(1),(2)に答えよ。図 1 に地表付近で起こった地震(震源 A)の P 波の走時曲線(a)と,地震波の伝播経路の例(b)を示す。 は場所によらず一定とする。地殻とマントルにおける地震波(P 波)の速度はそれぞれ一定であるとし, と とする。また,図 1 (b)中の三角形 AEB および DFC の辺の長さの比について,AB:AE = DC:DF = : が成り立つとする。
(1) 走時曲線(a)から, および を有効数字 2 けたで求めよ。
(2) 境界面の深さ 〔km〕を有効数字 2 けたで求めよ。導出過程も示すこと。

問 3 下線部②に関連して,以下の(1),(2)に答えよ。
(1) 地球楕円体とはどのような楕円体を指すか,答えよ。
(2) 人工衛星を利用して測られた地球規模のジオイドの高さから,太平洋中央部やアフリカ南部に中心をもつ大規模なジオイドの高まりの存在が明らかになっている。これらの領域はマントル最下部において地震波速度が周囲よりも遅い領域と大まかに対応する。これらの領域でジオイドが高いのはなぜか,説明せよ。
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問 4 下線部③に関連して,ブーゲー異常の空間分布から地下浅部の構造を推定する重力探査を考える。図 2 の点 X,Y はそれぞれ陸上,海上の測定点の例である。点 X の周囲の地形はジオイド面に平行であり,点 Y のある海水面はジオイド面と一致し,海底面は海水面に平行であるとする。以下の(1)〜(3)に答えよ。ただし,ジオイド面からの高度差 1 m あたりのフリーエア補正,ブーゲー補正の大きさはそれぞれ , とする。ブーゲー補正の大きさは,観測点とジオイド面の間の物質の密度に比例し,上に示した値()は地殻の平均的な密度()をもつ岩石を仮定したときの値である。
(1) 点 X で測った重力加速度にフリーエア補正及びブーゲー補正を適用し,ジオイド面上の重力加速度の値に変換する。このときの補正の正負とその大きさ〔〕を答えよ。有効数字は 2 けたとする。
(2) 海上で測定した重力加速度に対しては,海水を岩石で置き換える補正を行う。点 Y で測った重力加速度を補正するとき,補正の正負と大きさ〔〕を答えよ。有効数字は 2 けたとし,導出過程も示すこと。ただし,海水の密度は とし,岩石の密度は地殻の平均的な密度()であるとして補正を行うこと。
(3) 図 3 は地表近くの二種類の地下構造と,それらに対応するブーゲー異常()分布を描いたものである。ブーゲー異常()分布の組み合わせとして最も適切なものを(あ)〜(え)から選べ。ただし,ジオイド面は地表面に平行であるとし,基盤岩や金属鉱床の密度は堆積層の密度より大きいとする。


地学問題 Ⅳ
次の文章を読み,問 1 〜問 5 に答えよ。解答はすべて所定の解答欄に記入せよ。
図 1 は,ある地域の等高線間隔 20 m の地形図上に描かれた地質図である。なお,地質図には東西・南北方向にそれぞれ 50 m ごとに区切る方眼を入れてある。この地域は,①ストロマトライトを含む石灰岩からなる A 層と礫(れき)岩からなる B 層で構成され,2 つの層の境界は不整合面である。さらに,この地域には貫入岩 C および断層 F が存在する。貫入岩 C は玄武岩からなり,主に ア,イ,ウ の 3 種類の鉱物を斑晶として含んでいる。この貫入の影響により,周囲の A 層の岩石は エ となっていた。なお,図 1 の地図の範囲では,褶曲(しゅうきょく)による走向と傾斜の変化はなく,この地域の地層はすべて平板状であるものとする。さらに,断層 F の断層面は平面であり,その運動には横ずれの成分はないことがわかっている。

問 1 文中の ア 〜 エ に当てはまる最も適切な語を以下の語群より選べ。ア 〜 ウ は順不同とする。ただし,玄武岩に含まれている鉱物はすべて同じマグマから晶出(結晶化)したものとする。
語群:石英,カリ長石,カンラン石,輝石,黒雲母,結晶片岩,斜長石,大理石,ホルンフェルス
問 2 図 1 の X・Y・Z の 3 地点で地表から鉛直にボーリング調査を行ったところ,いずれの地点でも,掘削試料中の A 層の中に薄い凝灰岩層が見つかった。この凝灰岩層は広い地域にわたって対比できることがわかっている。凝灰岩層がみられたのは,X・Y・Z すべての地点で地表から 200 m の深度である。このとき,以下の(1)〜(3)に答えよ。
(1) A 層の走向を答えよ。
(2) A 層の傾斜の方向として最も適切なものを以下の選択肢から選べ。
選択肢:北,南,東,西,北東,北西,南東,南西
(3) 図 1 の W 地点で地表から鉛直のボーリング調査を行った場合,凝灰岩層は地表から何 m の深度で見つかると予想されるか答えよ。
問 3 断層 F は正断層か逆断層か,断層の走向と傾斜に着目しつつ,理由も含めて答えよ。
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問 4 この地域の A 層,B 層,断層 F,貫入岩 C,不整合面の形成された順序について記せ。
問 5 下線部①に関連して,以下の(1)〜(5)に答えよ。
(1) ストロマトライトを作る主な生物は何か,答えよ。
(2) (1)の生物が海洋の環境に及ぼした大きな変化について答えよ。
(3) (2)の変化が起こった地質時代として最も適切なものを,以下の(あ)〜(え)から選べ。
(あ) 太古代末から原生代 (い) 原生代末から古生代 (う) 古生代末から中生代 (え) 中生代末から新生代
(4) (2)の変化によって大規模に形成された地層は何か,答えよ。
(5) (2)の変化が生物進化へ与えた影響について答えよ。
地学問題は,このページで終わりである。