地 学 (4 問題 100 点)
地学問題 Ⅰ
次の文章を読み,問 1 〜問 5 に答えよ。解答はすべて所定の解答欄に記入せよ。
人類がこれまで観測してきた様々な太陽系外天体までの距離には,太陽近傍の恒星から遠方の銀河まで 10 けた近くの違いがあり,これは ア と地球の大きさの違いに相当する。これほどの距離の違いを計測可能な単一の方法は存在しないため,天体までの距離の測定や推定には,その距離に応じて様々な方法が用いられており,近い天体に適しているものから順に,以下のような方法がある。
①太陽近傍の恒星までの距離を測定する方法である イ は,天体の見かけの ウ の変化を用いるものである。より遠方の天体までの距離は,天体の真の明るさの推定値と見かけの明るさを比較することで求めることができ,近いものから順に エ,オ,カ の計測手法や観測対象により推定することができる。さらに遠方の天体までの距離は,②ハッブルの法則を用いて推定することができる。
これらの距離測定方法は,複数の方法で計測可能な天体を用いて互いに精度を確認することでつなぎ合わされており,宇宙の キ と呼ばれている。
問 1 文中の ア 〜 キ に当てはまる最も適切な語を以下の語群から 1 つずつ選べ。
語群:リンゴ,米粒,毛髪断面,ケフェウス座 δ 型変光星,セイファート銀河,大きさ,位置,明るさ,分光視差法,年周視差法,赤方偏移法,食連星,Ia 型超新星,ブラックホール,ダークマター,大規模構造,距離はしご
問 2 下線部①に関して,5 パーセクの距離にある恒星では,見かけの ウ がどの程度の周期でどのように変化するか,変化量の数値とともに答えよ。ただし,変化の仕方が複数考えられる場合は,そのうちの 1 つについて答えよ。
問 3 エ,オ では,過去の観測で得られた関係から天体の真の明るさを推定している。それぞれについて,どのような天体における何と何の関係か答えよ。
問 4 ある天体 A は数日のうちに見かけの等級が 18.1 等級の明るさまで急激に増光し,その後 1 ヵ月程度かけて減光して見えなくなった。この明るさ変化と分光観測の結果などから,天体 A の最も明るいときの絶対等級は −19.3 等級と推定された。以下の(1),(2)に答えよ。
(1) 天体 A はどのような天体と考えられるか。問 1 の語群より選んで答えよ。
(2) 天体 A までの距離を有効数字 2 けたで求めよ。導出過程も示すこと。なお,星間塵(じん)などによる光の吸収の効果はないものとし, とせよ。
問 5 問 4 の天体 A のスペクトルを調べると,天体 A からの光の波長は 7.00 % 伸びて観測されていることがわかった。下線部②に関して以下の(1)〜(4)に答えよ。
(1) 光速を km/s として天体 A の後退速度を有効数字 2 けたで求めよ。
(2) 問 4 (2)で求めた結果と問 5 (1)の結果から,ハッブル定数を km/s/メガパーセク(1 メガパーセク = パーセク)の単位により有効数字 1 けたで求めよ。
(3) 20 世紀中頃にガモフにより提案された宇宙モデルと問 5 (2)で求めたハッブル定数を合わせることで,現在の宇宙年齢を概算することが可能である。この宇宙モデル名を答え,問 5 (2)で求めたハッブル定数から 1 パーセク = km,1 年 = 秒として宇宙年齢の概算値を有効数字 1 けたで求めよ。導出過程も示すこと。
(4) この宇宙モデルが正しいと考えられる主な根拠は,ハッブル定数で示される宇宙膨張以外にもいくつかある。そのうちの 1 つの概要を簡潔に述べよ。
地学問題 Ⅱ
次の文章を読み,問 1 〜問 7 に答えよ。解答はすべて所定の解答欄に記入せよ。
①物体はその表面温度に応じたエネルギーを電磁波として放射する。太陽が宇宙空間に放射している電磁波(太陽放射)は,②X 線・紫外線・可視光線・赤外線・電波などからなるが,地球に届く太陽からの放射エネルギーの約半分は,可視光線によりもたらされる。地球と太陽が平均距離にあるとき,地球の大気上端で太陽放射に垂直な面が単位面積・単位時間あたりに受けるエネルギー量を太陽定数という。太陽定数を ,地球のアルベド(反射率)を ,地球の半径を ,円周率を とすると,単位時間あたりに地球全体が吸収する太陽放射エネルギーの量は,ア と表せる。
一方,地球も,吸収する太陽放射エネルギーと同量のエネルギーを宇宙空間に赤外線として放射しており(地球放射),放射のつり合った放射平衡の状態にある。放射平衡温度 で地球が黒体放射しているとすれば,シュテファン・ボルツマンの法則により,シュテファン・ボルツマン定数を として,単位時間あたりの地球全体からの放射は イ と表される。
したがって,放射のつり合いの式は ア = イ となり,放射平衡温度 は約 255 K と求められる。実際の地球表面の平均温度は約 288 K で,放射平衡温度より約 33 K 高い。これは,③地表から放射された赤外線を吸収する気体による温室効果のためである。一方,④地表から大気を通過して宇宙空間へ直接出ていく赤外線は,人工衛星による地表の観測に利用されている。⑤地球の自転と同じ周期で公転する静止気象衛星は,雲から放射される赤外線を常に同じ経度帯で観測し,⑥熱帯低気圧や積乱雲の監視に貢献している。
問 1 文中の ア,イ に当てはまる式を答えよ。
問 2 下線部①に関連した記述として正しい文を,以下の(あ)〜(え)から 1 つ選べ。
(あ) 表面温度が高くなるほど,放射されるエネルギー総量が大きくなるとともに,エネルギーが最大になる波長が長くなる。
(い) 表面温度が高くなるほど,放射されるエネルギー総量が大きくなるとともに,エネルギーが最大になる波長が短くなる。
(う) 表面温度が高くなるほど,放射されるエネルギー総量が小さくなるとともに,エネルギーが最大になる波長が長くなる。
(え) 表面温度が高くなるほど,放射されるエネルギー総量が小さくなるとともに,エネルギーが最大になる波長が短くなる。
問 3 下線部②に関連して,X 線と紫外線を吸収している熱圏の気温は非常に高いが,単位体積当たりの大気がもつエネルギー量は小さい。その理由を簡潔に述べよ。
問 4 下線部③に関連して,現在地球に最も大きく温室効果をもたらしている気体は何か,答えよ。
問 5 下線部④に関連して,地表から大気に向かって放射される赤外放射エネルギーのうち,大気を通過して宇宙空間に直接出ていく赤外放射エネルギーは何割か。有効数字 1 けたで答えよ。導出過程も示すこと。ただし,大気上端に到達する太陽放射エネルギーを 100 とした相対値として,地表から大気に向かって放射される赤外放射エネルギーを 120,大気と雲から宇宙空間に向かって放射される赤外放射エネルギーを 58,大気と雲によって反射されて宇宙空間へもどる太陽放射エネルギーを 23,地表面によって反射されて宇宙空間へもどる太陽放射エネルギーを 7.0 とする。
問 6 下線部⑤に関連して,地球の自転周期は何時間何分かを求めよ。導出過程も示すこと。ただし,地球の公転周期を 365 日とする。
問 7 下線部⑥に関連して,以下の(1),(2)に答えよ。
(1) 熱帯低気圧は赤道上で発生しやすいか,発生しにくいか。理由とともに簡潔に答えよ。
(2) 人工衛星によって雲頂温度が −60.0 ℃と観測された積乱雲の雲頂高度は何 km か,有効数字 2 けたで求めよ。導出過程も示すこと。ただし,この雲頂高度は,地上付近での気温が 30.0 ℃,露点が 22.0 ℃の空気塊が上昇して達した高度とする。なお,乾燥断熱減率は 10.0 ℃/km,湿潤断熱減率は 5.00 ℃/km,高度による露点の低下率を 2.00 ℃/km とし,過飽和はおこらないものとする。
地学問題 Ⅲ
次の文章を読み,問 1 〜問 7 に答えよ。解答はすべて所定の解答欄に記入せよ。
2011 年に発生した東北地方太平洋沖地震のように,海溝に位置する ア 境界において①巨大地震が発生すると,大きな津波が発生する。また,②巨大地震により発生した地震波は,地球内部を伝播(ぱ)し世界各地で観測される。さらに,③巨大地震は地形に痕跡を残すこともあり,過去の巨大地震の履歴を知る手掛かりとなっている。
「地球は複数の硬い板で覆われており,それらの板が水平方向に動くことにより,さまざまな地震,火山活動,地殻変動が起こる」という考え方を イ という。ア 境界で発生する巨大地震の発生原因も イ の考え方で解釈されている。また,岩石の ウ の測定から,年代とともに移動する見かけの地磁気北極の位置を推定することができるが,④得られた見かけの地磁気北極の移動経路が大陸によって異なることも,イ の考え方で解釈できる。
近年,高精度で稠密(ちゅうみつ)な地震観測網が整備されたため,地震が発生すると非常に短時間で⑤地震の震源位置やマグニチュードが推定され,メディアを通して伝えられるようになった。
問 1 文中の ア に当てはまる最も適切な語を,以下の語群から 1 つ選べ。
語群:衝突する, 収束する, 拡大する, すれ違う
問 2 文中の イ,ウ に当てはまる適切な語を答えよ。
問 3 下線部①に関連して,津波の性質として誤っている記述はどれか。次の(あ)〜(お)から,該当するものをすべて選べ。
(あ) 津波の伝播速度は,水深に正比例する。
(い) 津波は,水深に対して波長が非常に長い長波である。
(う) 海岸線に近づくと津波の波高は低くなる。
(え) 深さ 4 km の海洋を伝播する津波の伝播速度は 200 m/s 程度である。
(お) 津波は,海底の急激な隆起や沈降によって発生する。
問 4 下線部②に関連して,図 1 は地球内部を伝わる地震波の走時曲線である。以下の(1),(2)に答えよ。
(1) 震央距離(角距離)103°〜 143° の区間は P 波が到達しない区間である。この区間が生じる原因は何か,説明せよ。
(2) 震央距離(角距離)103°〜 180° の区間に S 波の到達はない。この区間に S 波が到達しないのは,地球内部のどの部分のどのような性質が原因か,説明せよ。

問 5 下線部③に関連して,房総半島南部には海岸線沿いに階段状の地形が発達している。以下の(1),(2)に答えよ。
(1) この地形を何と呼ぶか,答えよ。
(2) この地形はどのようにして形成されたか。形成過程を説明せよ。
問 6 下線部④に関連して,以下の問に答えよ。
M 紀に同じ大陸に属していたことがわかっている 2 つの地点において,岩石の ウ の測定から見かけの地磁気北極の移動経路を推定した。そして,M 紀における見かけの地磁気北極の位置が 2 つの地点で一致するように,これらの地点における見かけの地磁気北極の移動経路を描いた。すると,2 つの経路は,N 紀のある時期以前は一致していたが,それ以降は一致しなかった。N 紀のその時期に,2 つの地点が属していた大陸に何が起こったと考えられるか。イ の考え方に基づいて説明せよ。ただし,N 紀は M 紀より後の地質年代である。
問 7 下線部⑤に関連して,以下の(1),(2)に答えよ。ただし,この地域において地表面は水平とし,地表面に設定された 座標系における観測点 A 〜 D の位置,P 波および S 波の到着時は表 1 に示す通りである。また,P 波速度,S 波速度はどこでも同じ値をとるものとする。
(1) 観測された地震の震央位置を与える , の値を,km を単位として有効数字 1 けたで答えよ。導出過程も示すこと。
(2) 観測された地震の震源の深さは何 km か,有効数字 1 けたで答えよ。導出過程も示すこと。

地学問題 Ⅳ
次の文章を読み,問 1 〜問 6 に答えよ。解答はすべて所定の解答欄に記入せよ。
日本列島の基盤岩の地質構造(地体構造)は,棚倉構造線を境に東北日本と西南日本に分けられ,それぞれ形成年代が異なる地層や岩石による帯状配列によって特徴づけられる。これらは海側から大陸に向かうプレートの沈み込みによって形成されてきたと考えられている。西南日本はさらに①中央構造線を境に内帯と外帯に区分される。内帯では,白亜紀に大規模な ア の貫入があった。外帯の海側には白亜紀以降の イ が発達している。②約 2000 万〜 1500 万年前には,大陸の端が裂けて日本海が縁海として形成され,日本列島は現在のような島弧—海溝系となった。図 1 は島弧—海溝系の地下構造を表した模式的な断面図である。ここで火山を表す▲の下の黒い線と楕円(だえん)は,マグマ溜りやマグマの通り道を表す。島弧の下では,マントルの部分融解(部分溶融)により初生マグマができ,③結晶分化作用や同化作用,マグマ混合により,④様々なマグマが生成されて噴出する。島弧地殻の表層部では,主として岩石の熱伝導により大気中に熱が放出されており,⑤モホロビチッチ不連続面(モホ面)までの地温勾配(地下増温率)は,火山地域や熱水地帯を除いて平均的に 20 〜 30 ℃/km である。

問 1 文中の ア に当てはまる岩石名と,イ に当てはまる地質体を表す語を答えよ。ただし,図 1 のア,イには,文中の ア,イ と同じ語が入る。
問 2 下線部①に関する記述として適切なものを,次の(あ)〜(お)から 1 つ選べ。
(あ) 中央構造線は横ずれ型の活断層であり,断層をまたいで両側にはどこでも同じ地層が分布している。このため,断層の位置を知るためには,地形的な証拠(断層崖や尾根筋および谷筋のずれなど)が用いられる。
(い) 中央構造線は,北米大陸のサンアンドレアス断層と同じく,大陸地殻を横切るように生じたトランスフォーム断層であり,毎年一定速度でずれ続けている。
(う) 中央構造線は過去に日本最長の断層として活動していたが,新第三紀に伊豆—小笠原弧の衝突で一部が曲げられたあと,全域にわたって活動を停止している。
(え) 中央構造線は白亜紀以降に北側に傾く逆断層として活動し,断層の北側に低温高圧型,南側に高温低圧型の広域変成帯が分布する。
(お) 中央構造線が直線的に長く延びる四国において,地表付近の断層面の傾斜は高角だが,地下深部では北側に傾斜する低角断層となっている。
問 3 下線部②の時代に地球上に生息していた可能性が最も高い生物を,次の語群から 1 つ選べ。
語群:オパビニア,ティラノサウルス,ビカリア,フズリナ,ホモ・ハビリス
この問題は,次のページに続いている。
問 4 下線部③に関連して,以下の(1),(2)に答えよ。
(1) 結晶分化作用とはどのような過程か,以下の語群に示す元素記号や化学式のうち 3 つ以上を用いて説明せよ。
語群:Na, Mg, Ca, Fe,
(2) 同化作用ではどのようにしてマグマの組成が変化するか。図 1 中の領域 A で同化作用が起きた場合を例に説明せよ。
問 5 下線部④に関連して,島弧の火山に特徴的に見られ,海嶺で生成された海洋地殻にはほとんど見られない火山岩の名称を 2 つ答えよ。
問 6 ある地域の露頭では,苦鉄質(塩基性)の火成岩が変成してできた変成岩 P が,超苦鉄質岩(超塩基性岩)Q と隣り合って分布している。変成岩 P からは,ナトリウムに富む輝石(ヒスイ輝石)が発見された。ヒスイ輝石は,次の変成反応ⓐによって,ナトリウムに富む斜長石(Na 斜長石)から再結晶してできたと考えられる。
変成反応ⓐ:Na 斜長石 → ヒスイ輝石 + 石英
次のページの図 2 は,この地域で見つかったヒスイ輝石が変成反応ⓐによって生じる温度圧力領域を表している。図中の太線の上側では,変成反応ⓐが進行する。過去の沈み込み帯における地下の温度分布が,現在と同じであったと仮定し,下線部⑤も考慮した上で,以下の(1),(2)に答えよ。

(1) 変成岩 P において反応ⓐが起こりうる領域を図 1 の A 〜 C からすべて選び,理由とともに答えよ。該当するものがない場合はなしと答え,その理由を説明せよ。計算過程も示すこと。簡単のために,地表の温度は 0 ℃,島弧地殻の厚さは 30 km とし,地下の圧力上昇率は Pa/km で一定とする。地表面にかかる大気圧は無視してよい。
(2) 図 1 中の領域 D,E は変成岩 P が形成された場所と考えられるか,それぞれ理由とともに答えよ。露頭において苦鉄質の変成岩 P が超苦鉄質岩 Q と隣接して分布している理由についても説明すること。
地学問題は,このページで終わりである。
問題訂正(理科(地学))
下記の問題訂正があります。
理科問題冊子 地学問題 Ⅳ 67 ページ 問 5 2 行目
(誤)見られない火山岩
(正)ほとんど見られない火山岩
以 上