東大 過去問 2019年 化学|AI解答・解説・シミュレーション|アトリエファクトリー

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東京大学 第2次学力試験(前期)2019年 理科「化学」(東京大学がかつて公開したPDFの Internet Archive 保存版)

問題・出題の意図・東京大学の解答例(東京大学の公表資料)

東京大学の利用規定について

東京大学は、入試問題と出題の意図・解答の2次利用について「東京大学第2次学力試験入学試験問題等の2次利用について」(令和6年7月1日改定)で条件を定めている。このサイトでの対応は次のとおり。

解答とシミュレーション(AIで作成)

制作

制作:アトリエファクトリー(aTELiER FACTORY) https://atelierfactory.jp/

修正履歴

お知らせ(2026年10月4日)

解答・解説・シミュレーションは、すべて Claude Opus 5.5 で作成しています。作ったあとの確かめ方は、科目によって違います。

どの科目も、東京大学が公表した解答ではありません。くわしくは「問題取得方法と回答生成方法」をご覧ください。

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化 学

第1問

次の文章を読み,問ア~ケに答えよ。必要があれば以下の値を用いよ。構造式を示す場合は,例にならって,不斉炭素原子上の置換様式(紙面の上下)を特定しない構造式で示すこと。

t1-atom
p24a

 フェノールでは,様々な置換反応がベンゼン環上の特定の位置で起こりやすい。この置換反応は,多様な医薬品や合成樹脂を合成する際に利用される。そこで,フェノールから下記の化合物A,B,CおよびDを経由して,医薬品と関連する化合物Eを合成する計画を立て,以下の実験1~8を行った。

p24b

実験1:フェノールに,希硝酸を作用させると,互いに同じ分子式を持つAと化合物Fの混合物が得られた。この混合物から,AとFを分離した。

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実験2:フェノールに,濃硝酸と濃硫酸の混合物を加えて加熱し,十分に反応させると,化合物Gが得られた。AおよびFを,それぞれ同条件で反応させても,Gが得られた。

実験3:Aを濃塩酸中で鉄と処理した。その後,炭酸水素ナトリウム水溶液を加えたところ,二酸化炭素が気体として発生しBが得られた。

実験4:Bに,水溶液中でXを作用させるとCが得られた。

実験5:Bに,希硫酸中でXを作用させると,Cと異なる化合物Hが得られた。Hは,塩化鉄(Ⅲ)水溶液で呈色しなかった。

実験6:Hに,Yの水溶液を作用させた後に,希硫酸を加えたところ,Cと酢酸が得られた。Cと酢酸の物質量の比は,1:1 であった。

実験7:Cに,ニッケルを触媒としてZを作用させると,Dが得られたが,未反応のCも残った。そこでCとDの混合物のエーテル溶液を分液ロートに移し,Yの水溶液を加えてよく振った。水層とエーテル層を分離した後に,エーテル層を濃縮してDを得た。

実験8:Dに,硫酸酸性の二クロム酸カリウム水溶液を作用させると,目的とするEが得られた。

 フェノールとホルムアルデヒドの重合反応により,電気絶縁性に優れるフェノール樹脂が合成できる。塩基性触媒存在下にて処理すると,①フェノールとホルムアルデヒドは,付加反応と縮合反応を連続的に起こし,フェノールの特定の位置が置換されたレゾールが生成する。レゾールを加熱すると,フェノール樹脂が得られる。これに関連する以下の実験9~11を行った。

実験9:フェノールとホルムアルデヒドを物質量の比 2:3 で重合し,さらに加熱すると,フェノール樹脂が得られた。

実験10:実験9で得られたフェノール樹脂を完全燃焼させたところ,水と二酸化炭素が生成した。

実験11:示性式 C6H4(CH3)OH で表されるクレゾールは,三種類の異性体を持つ。塩基性触媒存在下,クレゾールとホルムアルデヒドの重合反応により三種類のクレゾールに対応する生成物を得た。三種類の生成物をそれぞれ加熱すると,一つの生成物のみがフェノール樹脂と同様の硬い樹脂になった。

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〔問〕

ア 化合物Aの構造式を示せ。

イ 化合物Gの構造式を示せ。

ウ 化合物Hの構造式を示せ。

エ 化合物Dの構造式を示せ。また,Dには立体異性体が,いくつ存在しうるか答えよ。

オ X,YおよびZの物質名をそれぞれ書け。

カ 実験7の分液操作でCとDが分離できる理由を述べよ。

キ 下線部①のレゾールの例としてフェノール2分子とホルムアルデヒド1分子の反応において得られる化合物Iがある。Iは,2分子のフェノールのベンゼン環がメチレン基(—CH2—)によってつながれた構造を持つ。Iの構造式をすべて示せ。

ク 実験10において生成した水に対する二酸化炭素の重量比を有効数字2桁で求めよ。なお,実験9においては,反応が完全に進行したものとする。

ケ 実験11において硬い樹脂を与えるクレゾールの異性体の構造式を示し,それが硬化した理由および他の異性体が硬化しなかった理由を述べよ。

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第2問

次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。必要があれば以下の値を用いよ。

t2-atom

ファラデー定数 F=9.65×104C/mol

Ⅰ 次の文章を読み,問ア~オに答えよ。

 ①リン酸カルシウムを含む鉱石に,コークスを混ぜて強熱すると P4 の分子式で表される黄リン(白リンとも呼ばれる)が得られる。黄リンを空気中で燃焼させると白色の十酸化四リンが得られる。十酸化四リンは,強い吸湿性を持ち乾燥剤や脱水剤に利用され,水と十分に反応するとリン酸になる。リン酸は,図2—1に示したように,水素–酸素燃料電池の電解質として使われる。

図2—1 リン酸電解質を用いた水素–酸素燃料電池の模式図
図2—1 リン酸電解質を用いた水素–酸素燃料電池の模式図
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〔問〕

ア 下線部①の反応は以下の化学反応式で表される。

2Ca3(PO4)2+10C⟶P4+10CO+6CaO

 上記の反応は,十酸化四リンを生成する第一段階の反応と,十酸化四リンと炭素の間の第二段階の反応の組み合わせとして理解できる。それぞれの反応の化学反応式を示せ。

イ 下図は,無極性分子の十酸化四リンの分子構造の一部を立体的に示したものである。この構造を解答用紙に描き写し,他の必要となる構造を描き加えることで分子構造を完成させよ。

p29a

ウ 図2—1の電極Aと電極Bでのそれぞれの反応を電子 e− を用いた反応式で示せ。また,正極となる電極は電極Aと電極Bのどちらであるかを答えよ。

エ 図2—1の燃料電池を電圧 0.50V において,10時間作動させたところ,90kg の水が排出された。このとき,電池から供給された電力量は何 J か,有効数字2桁で答えよ。答えに至る過程も記せ。なお,1J=1C·V である。

オ 燃料電池の性能を評価する指標の一つに,発電効率が用いられる。発電効率は,燃料に用いた物質の燃焼熱のうち,何%を電力量に変換できたかを示す指標である。図2—1の燃料電池が作動する際の反応は,全体として,水素の燃焼反応として捉えることができ,水素の燃焼熱は 286kJ/mol である。問エの電池作動時の発電効率は何%か,有効数字2桁で答えよ。

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Ⅱ 次の文章を読み,問カ~サに答えよ。

 ある黄銅鉱から得られた試料Cは,CuFeS2 を主成分とし,不純物としてニッケルおよび金を含んでいた。この試料Cから銅と鉄を精製するため,以下の実験を行った。

実験1:試料Cを酸素とともに強熱すると気体Dが発生し,硫黄を含まない固体Eが得られた。気体Dは水に溶解することで,亜硫酸水溶液として除去した。

実験2:固体Eをさらに強熱すると融解し,上下二層に分離した。上層からは金属酸化物の混合物である固体Fが,下層からは金属の混合物である固体Gが得られた。固体Fにニッケルおよび金は含まれなかった。

実験3:固体Fを希硝酸中で加熱すると,Cu2+ イオンと Fe3+ イオンを含む水溶液Hが得られた。

実験4:水溶液Hに過剰量の塩基性水溶液Xを加えると,銅を含まない赤褐色の固体Iが得られた。

実験5:固体Iを強熱すると Fe2O3 が得られた。この得られた ②Fe2O3 をメタンの存在下で強熱したところ,純粋な鉄が得られた。

実験6:固体Gを陽極,黒鉛を陰極として,硫酸銅(Ⅱ)水溶液中で電解精錬を行ったところ,陰極側で純粋な銅が得られた。

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〔問〕

カ 気体Dの化学式を答えよ。

キ 実験3の水溶液Hに適切な金属を加えることで Cu2+ イオンのみを還元できる。以下の金属のうち,この方法に適さない金属が一つある。その金属を答え,用いることができない理由を二つ述べよ。

  ニッケル  スズ  鉛  カリウム

ク 実験4の水溶液Xとして適切な溶液の名称を答えよ。

ケ 固体Iの化学式を答えよ。

コ 下線部②では,鉄のほかに二酸化炭素と水が生成した。1.0mol の鉄を得るのにメタンは何 mol 必要か,有効数字2桁で答えよ。

サ 実験6の電解精錬において,1.00L の硫酸銅(Ⅱ)水溶液中,3.96×105C の電気量を与えた。固体G中の銅,ニッケル,金の物質量の比は,94.0:5.00:1.00 であり,陽極に用いた固体G中の物質量の比は電解精錬前後で変わらなかった。電解精錬後の水溶液のニッケル濃度は何 g/L か,有効数字3桁で答えよ。与えられた電気量は,全て金属の酸化還元反応に用いられ,水溶液の体積および温度は電解精錬前後で変わらないものとする。

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第3問

次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。

Ⅰ 次の文章を読み,問ア~オに答えよ。

 酸化還元滴定を行うために以下の溶液を調製した。

 溶液A:0.100mol/L のチオ硫酸ナトリウム(Na2S2O3)水溶液。

 溶液B:ある物質量のヨウ化カリウム(KI)とヨウ素(I2)を水に溶かして 1.00L とした水溶液。

 次に以下の実験を行った。

 実験1:溶液Bから 250mL を取り,水を加えて希釈し 1.00L とした。ここから 100mL を取り,これに溶液Aを滴下した。溶液が淡黄色になったところでデンプン溶液を数滴加えると,溶液は青紫色になった。さらに,溶液Aを滴下し,溶液が無色になったところで,滴下をやめた。滴下した溶液Aの全量は,15.7mL であった。

 実験2:少量の硫化鉄(Ⅱ)に希硫酸をゆっくり加えて,気体Cを発生させた。溶液Bから 250mL を取り,この溶液に気体Cをゆっくり通して,反応させた。この溶液に水を加えて希釈し 1.00L とした。ここから 100mL を取り,これに溶液Aを滴下した。溶液が淡黄色になったところでデンプン溶液を数滴加えると,溶液は青紫色になった。さらに溶液Aを滴下し,溶液が無色になったところで,滴下をやめた。滴下した溶液Aの全量は,10.2mL であった。

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〔問〕

ア 実験1,2では,ヨウ素とチオ硫酸ナトリウムが反応し,テトラチオン酸ナトリウム(Na2S4O6)が生じる。この化学反応式を記せ。

イ 実験2で気体Cとヨウ素との間で起こる反応を化学反応式で記せ。また,反応の前後で酸化数が変化したすべての元素を反応の前後の酸化数とともに記せ。

ウ 溶液Bを調製するときに溶かしたヨウ素の物質量は何 mol か,有効数字3桁で答えよ。答えに至る過程も記せ。

エ 実験2で反応した気体Cの物質量は何 mol か,有効数字3桁で答えよ。答えに至る過程も記せ。

オ 各滴定に用いたビュレットの最小目盛りは 0.1mL であり,滴下した溶液の量には,±0.05mL 以内の誤差があるとする。このビュレットを用いた場合,実験に用いる各溶液の濃度を変えると,求められる気体Cの物質量の誤差の範囲に影響が及ぶことがある。以下に挙げた(1)~(4)の中で,求められる気体Cの物質量の誤差の範囲が最も狭くなるものを選び,その理由を述べよ。

(1) 溶液Aのチオ硫酸ナトリウムの濃度を2倍にする。

(2) 溶液Aのチオ硫酸ナトリウムの濃度を0.5倍にする。

(3) 溶液Bのヨウ素の濃度を2倍にする。

(4) 溶液Bのヨウ素の濃度を0.5倍にする。

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Ⅱ 次の文章を読み,問カ~シに答えよ。必要があれば以下の値を用いよ。

 2=1.41,3=1.73

 二種類の陽イオン MA,MB と一種類の陰イオン X からなるイオン結晶には,図3—1に示す結晶構造をもつものがある。この結晶構造では,一辺の長さが a の立方体単位格子の中心に MA が,頂点に MB が位置し,X は立方体のすべての辺の中点にある。

図3—1 M_A,M_B,X からなるイオン結晶の構造
図3—1 MA,MB,X からなるイオン結晶の構造

〔問〕

カ 図3—1に示すイオン結晶の組成式を MA,MB,X を用いて表せ。

キ MA および MB の配位数をそれぞれ答えよ。

ク 図3—1の結晶構造において,MA と X をすべて原子 Y に置き換え,すべての MB を取り除いたとする。このとき,Y の配列は何と呼ばれるか答えよ。

ケ 図3—1の結晶構造において,MA と X をすべて陰イオン Z に置き換え,単位格子のすべての面の中心に新たに MB を付け加えたとする。このときに得られるイオン結晶の組成式を,MB と Z を用いて表せ。また,この構造をもつ物質を一つ答えよ。

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コ 図3—1の結晶構造をもつ代表的な物質として,MA が Sr2+,MB が Ti4+,X が O2− であるチタン酸ストロンチウムがある。その単位格子の一辺は a=0.391nm である。イオン半径 0.140nm をもつ O2− と,Sr2+ および Ti4+ が接していると仮定して,各陽イオンの半径は何 nm か,小数第3位まで求めよ。

サ 図3—1の結晶構造をもつイオン結晶の安定性には,構成イオンの価数の組み合わせが重要である。X を O2− とし,表3—1にある MA と表3—2にある MB からそれぞれ一つを選んでイオン結晶を作るとする。価数の観点から安定な MA と MB の組み合わせをすべて答えよ。

表3—1 MA のイオン半径 rA
表3—1 M_A のイオン半径 r_A
表3—2 MB のイオン半径 rB
表3—2 M_B のイオン半径 r_B

シ 図3—1の結晶構造をもつイオン結晶の安定性には,構成イオンの相対的な大きさも重要となる。その尺度として,以下のパラメータ u を用いることとする。

u=rA+rXrB+rX

 ここで,rA,rB,rX は,それぞれ MA,MB,X のイオン半径である。X が O2− (rX=0.140nm) のとき,問サで選択した MA と MB の組み合わせの中で,パラメータ u の値に基づき,最も安定と予想されるものを答えよ。また,その理由を記せ。