東大 過去問 2012年 化学|AI解答・解説・シミュレーション|アトリエファクトリー

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東京大学 第2次学力試験(前期)2012年 理科「化学」(東京大学がかつて公開したPDFの Internet Archive 保存版)

問題・出題の意図・東京大学の解答例(東京大学の公表資料)

東京大学の利用規定について

東京大学は、入試問題と出題の意図・解答の2次利用について「東京大学第2次学力試験入学試験問題等の2次利用について」(令和6年7月1日改定)で条件を定めている。このサイトでの対応は次のとおり。

解答とシミュレーション(AIで作成)

制作

制作:アトリエファクトリー(aTELiER FACTORY) https://atelierfactory.jp/

修正履歴

お知らせ(2026年10月4日)

解答・解説・シミュレーションは、すべて Claude Opus 5.5 で作成しています。作ったあとの確かめ方は、科目によって違います。

どの科目も、東京大学が公表した解答ではありません。くわしくは「問題取得方法と回答生成方法」をご覧ください。

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化 学

第1問

次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。必要があれば以下の値を用いよ。

p18a

Ⅰ 次の文章を読み,問ア~オに答えよ。

 塩化ナトリウム(NaCl)は,ナトリウムイオン(Na+)と塩化物イオン(Cl−)が静電気的引力により結びついたイオン結晶である。強いイオン結合で結びついた NaCl 結晶ではあるが,①極性溶媒である水に入れるとその結合は切れ,Na+ と Cl− に電離して水和イオンとなり,溶解する。

 1気圧のもとで,純水は 0 ℃ で凍るが,NaCl を水に溶かすと,凝固し始める温度は 0 ℃ 以下になる。このような現象を凝固点降下と呼ぶ。凝固点は冷却曲線を調べることにより知ることができる。例えば,純水をゆっくり冷やしていくと 0 ℃ で氷が析出し始め,すべて氷になるまで 0 ℃ のままである。従って,冷却曲線は,図1—1のように 0 ℃ においてある時間一定となる。

 今,ある濃度の NaCl 水溶液をゆっくり冷やしたときの冷却曲線が,図1—2のようになったとする。溶液が十分希薄であるとすると,凝固点降下度から,この NaCl 水溶液の濃度(質量パーセント)は a %と見積もられる。

 NaCl は,30 ℃ では濃度 27 % まで水に溶ける。30 ℃ で色々な濃度の NaCl 水溶液を準備し,冷却曲線を調べた。その結果,凝固点は,濃度が低い水溶液を用いた実験では濃度に比例して降下し,濃度が高くなると比例関係からずれてさらに降下するようになった。しかしながら,②凝固点は,濃度 23 % の水溶液で最も低い温度に達したのち,それ以上の濃度の水溶液では変化しなくなった。

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図1—1
図1—1
図1—2
図1—2

〔問〕

ア 下線部①について,水分子 H2O の形状と電荷の偏りを図示せよ。

イ 下線部①について,水溶液中で Na+ は水分子とどのように結びついて存在しているか,1~2行程度で説明せよ。

ウ a を有効数字2桁で求めよ。求める過程も記せ。ただし,水のモル凝固点降下は 1.85K·kg/mol とする。

エ 図1—2に示す冷却曲線において,A点(-3 ℃)とB点(-21 ℃)の間で冷却曲線が右下がりになる理由を,この間で起きている状態の変化に基づいて1~2行程度で述べよ。

オ 下線部②について,最も低い凝固点は何℃か。その理由とともに1~2行程度で答えよ。

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Ⅱ 次の文章を読み,問カ~ケに答えよ。

 合成高分子であるポリスチレン(PS)はスチレンの重合により合成される。重合開始剤を加え,全てのスチレンを連鎖的に反応させた後に,片方の末端に官能基 X を導入した PS–X を合成した。

 PS–X のトルエン溶液では,官能基間の会合により,2分子の PS–X からなる会合体 (PS–X)2 が生成し,単分子である PS–X との間に(1)式の平衡が成立する。27 ℃ における平衡定数は K=0.25L/mol である。

2PS–X⇌(PS–X)2(1)

 PS–X の分子量を決定するために以下の実験を行った。10g の PS–X をトルエンに溶解し,1L の溶液とした。この溶液を,溶媒のみを通す半透膜で隔てられた容器の左側に入れ,右側には液面が同じ高さになるようにトルエンを入れた(図1—3)。十分な時間の経過後,b の液面が高くなって安定した。この液面差をゼロにするために必要な圧力は浸透圧と呼ばれる。③温度 27 ℃ において測定された浸透圧は 1.2×103Pa であった。

図1—3
図1—3

(注) PS–X は全て同じ分子量であり,トルエンに完全に溶解し,官能基は解離せず,分子間の2分子会合にのみ寄与するものとする。必要ならば,次の値を用いよ。

 気体定数 R≒8.3×103Pa·L/(K·mol),2≒1.41,3≒1.73,5≒2.24

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〔問〕

カ b に適切な語句を入れよ。

キ 濃度 10g/L のスチレンのトルエン溶液の浸透圧は 27 ℃ で 2.4×105Pa であった。重量濃度が同じであるにもかかわらず,下線部③の PS–X 溶液の浸透圧の方がはるかに小さい理由を1~2行程度で述べよ。

ク 27 ℃ において(1)式の平衡が成立した時,会合前の PS–X 1モルに対して会合体 (PS–X)2 が何モル形成されるかを有効数字2桁で答えよ。解答に至る過程も示せ。

ケ 問クの結果に基づいて,PS–X の分子量を有効数字2桁で答えよ。解答に至る過程も示せ。

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第2問

次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。

Ⅰ 次の文章を読み,問ア~オに答えよ。必要があれば以下の値を用いよ。なお,文中のエネルギーは,いずれも 25 ℃,1気圧(1.013×105Pa)における値の絶対値とする。

p24a

2≒1.41,3≒1.73,アボガドロ定数:6.02×1023/mol

 イオン結晶は,陽イオンと陰イオンのイオン結合によりできている。イオンの半径は,イオン結晶の単位格子の大きさとイオンの充填様式から計算できる。図2—1に代表的なイオン結晶である塩化ナトリウム(NaCl),塩化セシウム(CsCl)の結晶構造を示す。NaCl,CsCl の単位格子は立方体であり,その1辺の長さはそれぞれ,0.564nm,0.402nm である。

 ある結晶がイオン結晶であることは,結晶の格子エネルギー(イオン結合をすべて切断し,イオンを互いに遠く離して静電気的な力を及ぼしあわない状態にするのに必要なエネルギー)の理論値 UA と,図2—2より熱化学的に求められる実験値 UB がよく一致することにより示される。図2—2に示す CsCl の UB は,CsCl(固体)の生成熱(433kJ/mol),Cs(固体)の昇華熱(79kJ/mol),Cs(気体)の第一イオン化エネルギー(376kJ/mol),Cl2(気体)の結合エネルギー(242kJ/mol),Cl(気体)の電子親和力(354kJ/mol)により,ヘスの法則を用いて熱化学的に求めることができる。

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図2—1 (a) NaCl,(b) CsCl の単位格子
図2—1 (a) NaCl,(b) CsCl の単位格子
図2—2 CsCl の格子エネルギーの実験値 U_B を求めるための熱化学的関係
図2—2 CsCl の格子エネルギーの実験値 UB を求めるための熱化学的関係

〔問〕

ア セシウムイオン(Cs+)の半径は 0.181nm である。図2—1を用いてナトリウムイオン(Na+)の半径を計算せよ。ただし,図2—1(a),図2—1(b)の塩化物イオン(Cl−)の半径の値は同じとする。

イ 金属ナトリウム(Na)の密度は 1.00g/cm3 であり,体心立方格子をとる。Na の金属結合半径と Na+ の半径はどちらが小さいか,計算式を示して答えよ。

ウ Na の金属結合半径と Na+ の半径に差が生じる理由を40字以内で述べよ。

エ 図2—2に示す UB(kJ/mol)を計算せよ。計算の過程も示せ。

オ イオン結晶のなかでも,周期表の両端の元素からできている NaCl や CsCl では,UA と UB の値がよく一致する。一方,塩化銀(AgCl)では UA と比較して UB が大きく異なる。この理由を40字以内で述べよ。

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Ⅱ 次の文章を読み,問カ~サに答えよ。

 配位子が金属イオンに結合した構造を持つ化合物を錯体と呼び,イオン性の錯体は錯イオン,その塩は錯塩と呼ばれる。錯体は金属イオンの種類,配位子に依存して,図2—3のように①様々な構造(α~δ)を形成できる。1893年にウェルナーは,②コバルト化合物を詳細に調べ,現在の錯体化学の基礎となる“配位説”を提唱した。

図2—3 様々な錯体の構造(それぞれの錯体の配位子は1種類とは限らない)
図2—3 様々な錯体の構造(それぞれの錯体の配位子は1種類とは限らない)

 “配位説”以降,様々な錯体が発見されている。例えば,ヒトの血液中では,ヘモグロビンの a 錯体が酸素を運搬する役割を担っており,a の不足により貧血となる。人工的に合成された錯体は,エレクトロニクス材料,③抗がん剤などの様々な分野で用いられている。硬水の軟化,水の硬度測定などは,金属イオンと1対1で錯体を生成しやすい④エチレンジアミン四酢酸(EDTA)(図2—4)のナトリウム塩を用いて行われている。有用物質合成に利用されている錯体は,触媒として働いて,反応の b を減少させることで反応速度を増加させる。このように錯体は,現在の我々の生活に非常に密着した化合物群となっている。

図2—4 EDTA の分子構造
図2—4 EDTA の分子構造
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〔問〕

カ 下線部①の例として,構造(α,γ)を持つアンミン錯体を形成する金属イオンを,Zn2+,Cu2+,Na+,Ag+,Mg2+ の中からそれぞれ1つずつ選べ。

キ 下線部②の化合物の代表例は,4つのアンモニア分子,2つの塩化物イオンを配位子として有する [Co(NH3)4Cl2]+ である。この錯体は八面体構造(δ)をとり,2つの幾何異性体が存在する。それらの分子構造を描け。

ク a に入る金属の元素記号を答えよ。

ケ 2つのアンモニア分子,2つの塩化物イオンを配位子として有する白金イオン(Pt2+)の錯体は構造(β)を有し,その幾何異性体の1種は下線部③として利用されている。この白金錯体において考えられる幾何異性体の分子構造を全て描け。

コ 下線部④の EDTA 溶液と EDTA がカルシウムイオン(Ca2+)へ配位すると色が変化する指示薬を用いて滴定を行い,Ca2+ 溶液 0.10L の濃度を測定した。0.010mol/L の EDTA 溶液を 5.0mL 滴下することで反応が終了し,溶液の色が変化した。この溶液における Ca2+ 濃度を求めよ。ただし,Ca2+ へ EDTA が配位した Ca–EDTA 錯体の生成定数 K=[Ca–EDTA]/([EDTA][Ca2+]) は 3.9×1010L/mol であり,pH の変化,Ca2+ 溶液中の陰イオンの効果は考慮しなくても良い。

サ b に入る語句を答えよ。

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第3問

次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。必要があれば以下の値を用い,構造式は例にならって示せ。29ページと31ページの構造式では,不斉炭素原子を省略して表記してある。

p28a

(構造式の例)

p28b

不斉炭素原子まわりの結合の示し方:

W,C,X は紙面上にあり,Z は紙面の手前に,Y は紙面の奥にある。

p28c

Ⅰ 次の文章を読み,問ア~オに答えよ。

 L–チロキシン(分子量 777)は甲状腺が産生する甲状腺ホルモンの一種であり,工業的に合成された L–チロキシンが薬として処方されている。

 図3—1に,L–チロキシンを合成する経路の一つを示す。L–チロシン(分子量 181)を出発物質として反応1により官能基 X1 を持つ化合物 A を合成する。次に反応2により化合物 B を合成し,これを反応3により化合物 C に変換する。さらに反応4を経て化合物 D を合成し,これを反応5により化合物 E に変換する。次に,反応6により化合物 F を合成する。反応7において,官能基 X3 はヨウ素に置換され,化合物 G が生成し,同時に窒素ガスが発生する。さらに2つの反応を経て目的の化合物である L–チロキシンが合成される。

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図3—1 L–チロキシンの合成
図3—1 L–チロキシンの合成
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〔問〕

ア 反応1,反応2,反応3,反応5,反応6で使用する試薬として最も適切なものを下記の(1)~(16)から,それぞれ一つ選べ。

(1) メタノール,塩化水素

(2) 濃塩酸,過マンガン酸カリウム

(3) 濃硝酸,濃硫酸

(4) 水酸化ナトリウム,無水酢酸

(5) 塩化ナトリウム,濃硫酸

(6) 酸素,触媒

(7) 亜硝酸ナトリウム,濃硫酸

(8) 水素,触媒

(9) エタノール,塩化水素

(10) 濃塩酸,濃硫酸

(11) 塩素,触媒

(12) 水酸化ナトリウム,酢酸

(13) 濃塩酸,酢酸

(14) 濃塩酸,無水酢酸

(15) 炭酸水素ナトリウム,酢酸

(16) メタノール,水酸化ナトリウム

イ 反応4において化合物 C と化合物 D の混合物が得られた。ここから未反応の化合物 C を除き化合物 D を得る目的で抽出操作を行った。この操作として最も適当なものを下記の(1)~(4)から一つ選べ。

(1) 水酸化ナトリウム水溶液とクロロホルムで分液操作を行い水層を回収する。

(2) 水酸化ナトリウム水溶液とクロロホルムで分液操作を行い有機層を回収する。

(3) 希塩酸とクロロホルムで分液操作を行い水層を回収する。

(4) 希塩酸とクロロホルムで分液操作を行い有機層を回収する。

ウ 有機合成反応では反応が完全には進行しないことも多く,例えば反応2において

収率(%)=得られた化合物 B の物質量化合物 A の物質量×100

として合成の効率を評価する。図3—1で示した9つの反応の収率がいずれも 70 % であると仮定して,5.43kg の L–チロシンを用いて合成を行った場合に得られる L–チロキシンの重量を有効数字2桁で求めよ。

エ 合成した L–チロキシンを同定するために燃焼法により元素分析を行った。62mg の L–チロキシンを完全燃焼したときに発生する二酸化炭素の重量を有効数字2桁で求めよ。

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オ 合成した L–チロキシンを精密に分析したところ微量の D–チロキシン(L–チロキシンの鏡像異性体)が混入していることが分かった。この構造式として適当なものを下記の(1)~(8)から選べ。

p31a
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Ⅱ 炭素数3の有機化合物は,ポリマーの原料として極めて重要である。次の文章を読み,問カ~サに答えよ。

(実験1) 化合物 H は炭素数3で分子量 42 の常温・常圧で気体の化合物であり,炭素原子と水素原子のみからなっている。この化合物 H を重合反応させると熱可塑性を持つポリマー X を得ることができた。一方で,化合物 H を触媒存在下で酸素によって酸化すると,分子量 72 の化合物 I (沸点 141 ℃)が得られた。化合物 I は炭酸水素ナトリウムと反応して水溶性の塩 J を生じた。また,化合物 I をメタノールと反応させると化合物 K (沸点 80 ℃)と水が生じた。なお,化合物 H,I,J,K は臭素と反応しうる部分構造を有する。

(実験2) 化合物 J に架橋剤を加えて重合を行うと,網目構造をもつポリマー Y が得られた。①このポリマー Y に水を加えると,吸水して膨らんだ。さらに,②これを塩化カルシウム水溶液に浸漬すると,体積が小さくなった。

(実験3) 分子式 C3H6O3 を有する化合物 L は酵素によるグルコースの分解反応によって得られる。この化合物は不斉炭素原子を有しており,炭酸水素ナトリウムと反応して水溶性の塩を生じた。化合物 L を脱水縮合すると分子式 C6H8O4 の化合物 M が得られた。さらに化合物 M を重合するとポリマー Z が得られた。

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〔問〕

カ 化合物 I の構造式を示せ。

キ 化合物 K の構造式を示せ。また,化合物 I と化合物 K の沸点が大きく異なる理由を25字以内で述べよ。

ク 下線部①の理由を下記の選択肢から選べ。

(1) ポリマーの官能基間の静電引力

(2) ポリマーの官能基の水和

(3) ポリマーの官能基の凝集

(4) ポリマーの重合度の上昇

(5) ポリマー外へのナトリウムイオンの移動

ケ 下線部②の理由を25字以内で述べよ。

コ 化合物 M の構造式を示せ。ただし,立体異性体は考慮しなくてよい。

サ 実験3で得られるポリマー Z は,実験1で得られるポリマー X よりも土壌中で容易に低分子量の化合物に変換される。この理由を下記の選択肢から選べ。

(1) 揮発しやすいため

(2) 還元されやすいため

(3) 加水分解されやすいため

(4) 再重合しやすいため

(5) 脱水反応を起こしやすいため