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物 理
第1問 途中で宙返りするジェットコースターの模型を作り,車両の運動を調べることにした。線路は水平な台の上に図1に示すように作った。車両はレールに乗っているだけであり,線路からぶら下がることはできない。車両の出発点である左側は斜めに十分高いところまで線路がのびている。中央の宙返り部分は半径 の円軌道であり,左右の線路となめらかにつながっている。円軌道の最下部は台の上面に接しており,以後高さは台の上面から測る。車両の行き先である右側の線路も十分に長く作られているが,高さ 以上の部分は傾斜角 の直線であり,この部分では車両と線路の間に摩擦が働くようにした。すなわち,ここでは2本のレールのあいだを高くしてあり,そこに車両の底面が乗り上げて滑る。傾斜角 は,この区間での動摩擦係数 を用いて, となるように設定されている。線路のそれ以外の場所ではレール上を車輪がころがるので,摩擦は無視することができる。重力加速度の大きさを とし,車両の大きさと空気抵抗は無視して,以下の問いに答えよ。
Ⅰ 質量 の車両Aが左側の線路上,高さ の地点から初速度 で動き始める。車両Aが途中でレールから離れずに,宙返りをして右側の線路に入るために が満たすべき条件を求めよ。
次に,左側の線路につながる円軌道部分の最下点に質量 の車両Bを置いた。車両Aは円軌道に入る所で車両Bと衝突する。
Ⅱ 衝突後2つの車両が一体となって動く場合を考える。車両Aは左側の線路の高さ の地点から初速度 で動き始める。一体となった車両がレールから離れずに宙返りするために, が満たすべき条件を求めよ。
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Ⅲ 2つの車両が弾性衝突をする場合を考える。車両Aは左側の線路の高さ の地点から初速度 で動き始める。車両Aは衝突後,直ちに取り除く。
(1) 衝突後に車両Bがレールから離れずに宙返りするために, が満たすべき条件を求めよ。
(2) が(1)で求めた条件を満たす場合,車両Bは宙返り後,右側の線路を進む。右側の線路での最高到達点の高さ を求め,最高点到達後の車両のふるまいを述べよ。
図1
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第2問 図2のように,水平面上に2本の導体レールを間隔 で平行に置き,磁束密度の大きさが である一様な磁場を鉛直下向きに加えた。導体レールの上には,長さ ,抵抗値 の棒を導体レールと直角をなすように乗せた。導体レールには,図に示したように,4つの抵抗1,2,3,4と,起電力 の電池,スイッチをつないだ。抵抗1,2,3の抵抗値は であり,抵抗4の抵抗値は である。自己誘導,導体レールと導線の抵抗,電池の内部抵抗は無視できる。
Ⅰ 棒が導体レールに固定されているとき,以下の問いに答えよ。
(1) 最初,スイッチは開いている。このとき,棒に流れる電流の大きさ を求めよ。
(2) 次にスイッチを閉じた。このとき,棒に流れる電流の大きさ を求めよ。
(3) (2)のとき,棒に流れる電流が磁場から受ける力の大きさを求めよ。また,その向きは図中(イ),(ロ)のどちらか。
Ⅱ 次にスイッチを閉じたまま,導体レールの上を棒が自由に動けるようにしたところ,棒は導体レールの上を動き始めた。以下の問いに答えよ。ただし,導体レールは十分に長く,棒はレールから外れたり落ちたりすることはない。また,棒が受ける空気抵抗,導体レールと棒の間の摩擦は無視できる。
(1) 棒の速さが になったとき,抵抗3に流れる電流が になった。 を求めよ。
(2) 十分に時間がたつと,棒は速さ で等速運動をしていた。 を求めよ。
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図2
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第3問 管の中では気柱の共鳴という現象が起こるが,そのときの振動数を固有振動数と呼ぶ。なお,以下で用いる管は細いので,開口端補正は無視する。
Ⅰ 管の長さを ,空気中の音速を として以下の問いに答えよ。
(1) 管の両端が開いているときの固有振動数のうち,小さいほうから3番目までの振動数を求めよ。
(2) 管の一端が開いていて,他端が閉じられているときの固有振動数のうち,小さいほうから3番目までの振動数を求めよ。
Ⅱ 長さ の透明で細長い管の左端に膜をはり,この膜を外部からの電流によって微小に振動させ,管の中に任意の振動数の音波を発生できるようにした。管は水平に置かれ,内部には細かなコルクの粉が少量まかれていて,空気の振動の様子が見えるようになっている。管の右端をふたで閉じて,音波の振動数をゆっくり変化させた。振動数を から まで変化させたとき, と で共鳴が起こり,空気の振動の腹と節がコルクの粉の分布ではっきりと見えた。なお,他の振動数では共鳴は起こっていない。
(1) での共鳴のときの空気の振動の節の位置を管の右端からの距離で答えよ。
(2) この条件を用いて,音速 を求めよ。
Ⅲ 次に,Ⅱで行った実験では閉じられていた右端を開いて,振動数を から まで変化させた。今度は振動数が と で共鳴が起こり,管は大きな音で鳴った。ここで, である。 と を求めよ。
Ⅳ この装置を自転車に載せてサッカー場に行った。固有振動数 の音を出しながら,図3に示すように,サイドライン上をA点からC点に向かって一定の速さ で走る。C点にはマイクロフォンと増幅器とスピーカーがあり,マイクロフォンでとらえた音を増幅してスピーカーで鳴らす。三角形BCDが正三角形になるように,サイドライン上にB点とD点を設定する。D点で装置からの音とスピーカーからの音を聞く。風の影響は無視して以下の問いに答えよ。
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(1) 2つの音源からの音は,干渉によりうなりを生じる。B点からの音とスピーカーからの音が干渉して生じるうなりの振動数を,音速 ,自転車の速さ ,振動数 を用いて表せ。
(2) 自転車がB点を通過するときのうなりの振動数は であった。この値を用いて自転車の速さを有効数字1桁で求めよ。なお,音速の値はⅡで求めたものを用いよ。
図3
第1問 宙返りするジェットコースターとぶつかる車両
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方
ジェットコースターの宙返りの問題。車両はレールの上に乗っているだけで、ぶら下がれない。だから宙返りの途中で「レールが車両を押す力(垂直抗力)」が 0 より小さくなりそうになると、車両はレールから離れて落ちる。
いちばん危ないのは円のてっぺん。てっぺんでは、重力とレールが押す力の両方が下(円の中心)向きで、この2つの合計が円運動に必要な中心向きの力 になる。押す力が 0 以上であるためには
これが全問の土台。あとは、どの高さから出れば、てっぺんでこの速さが出せるかを、エネルギー保存と衝突の式で逆にたどる。
最後の右の坂は、高さ から上だけ摩擦があり、しかも という特別な傾きになっている。
Ⅰ
高さ から速さ 0 で出て、てっぺん(高さ )で速さ になる。摩擦が無いので力学的エネルギー保存:
円の高さ ちょうどから出たのでは足りず、さらに半径の半分だけ高くないと回れない。
Ⅱ
A が円の一番下(高さ 0)まで下りてきたときの速さは 。
ここで B とくっつく。くっつく衝突でも運動量は保存するので、一体になった速さ は
一体の車両がてっぺんを回るには、Ⅰと同じ考え方で、一番下での速さが であればよい(一番下 → てっぺんで、高さ 分の位置エネルギーを上がる)。
を について解けばよい。
くっつく衝突では運動エネルギーの一部が熱などになって失われるので(同じ重さなら半分)、Ⅰよりずっと高い所から出発しなければならない。
Ⅲ(1)
弾性衝突で、ぶつかる前の B は止まっている。運動量保存とはね返り係数 1 の2つの式
Ⅱのくっつく場合とくらべると、B の速さはちょうど2倍。
B が宙返りする条件は 。 を入れて について解けばよい。速さが2倍なので、必要な高さはⅡの 。B が軽いと、A より速くはじき出されるので、A が円の中心の高さより低い所から出ても B は回れることがある。
Ⅲ(2)
宙返りのあと、B は右の坂をのぼる。高さ までは摩擦が無いので、エネルギー保存で考えればよい。
摩擦が無ければ上れる高さを とすると、 から
高さ から上では、坂にそってのブレーキが、重力の坂向きの成分 と動摩擦力 の合計。 なので で、ブレーキは重力だけのときのちょうど2倍になる。
だから高さ から上に上れる高さは、摩擦が無いとき()のちょうど半分:
止まった後は、坂を下ろうとする重力の成分 と、摩擦が支えられる がちょうど等しいので、下りはじめない。
答え。最高点で止まり、そのまま静止し続ける(坂を下ろうとする重力の成分と摩擦がつりあう)
第2問 4つの抵抗の「橋」と、レールの上を走り出す棒
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方
電池と4つの抵抗でできた「橋」の形の回路(ホイートストンブリッジ)を、磁場の中の2本のレールにつないだ問題。レールの上には抵抗 の棒が乗っている。
図の回路の点に名前をつけて読む。電池の+極(長い線)につながる左上の点を T、抵抗1 の右で奥のレールにつながる点を Q、抵抗2 の下でスイッチと抵抗4 につながる点を S、抵抗4 の右で手前のレールと電池の-極につながる点を U とする。抵抗3 は Q と S の間にスイッチを通してつながっている。
電位は U を 0、T を として、Q と S の電位を未知数にすると、「それぞれの点に流れこむ電流の合計 = 0」(キルヒホッフの法則)で解ける。Ⅱで棒が動くと、棒の中に起電力 (電池のはたらき)が生まれ、棒の電流がへっていく。
Ⅰ(1)
スイッチが開いていると抵抗3 には電流が流れない。T から U までの道は、「抵抗1 → 奥のレール → 棒 → 手前のレール」と「抵抗2 → 抵抗4」の2本が並んでいるだけ。
棒を通る道の抵抗は で、両はしの電圧は なので、電流は 。
Ⅰ(2)
スイッチを閉じると抵抗3 がつながり、2本の道が Q と S でつながる。Q の電位を 、S の電位を として、点 Q と点 S に流れこむ電流の合計を 0 にする:
(Q の最後の項は棒を通って U へ出ていく電流、S の最後の項は抵抗4 を通って出ていく電流。)
これを解くと 、。棒の電流は 。
抵抗4 が と大きいので、S の電位は Q より高く、抵抗3 には S から Q へ電流が流れこんで、棒の電流がスイッチを閉じる前より少しふえる。
Ⅰ(3)
棒の電流は、奥のレール(Q の側)から手前のレール(U の側)へ流れている。長さ の棒が磁場 から受ける力の大きさは 。
向きはフレミングの左手の法則で:電流が奥から手前、磁場が下向きのとき、力は図の右向き、つまり (ロ)。
Ⅱ(1)
棒は (ロ) の向きに動き出す。動く棒には起電力 が生まれ、その向きは棒の中で手前から奥へ電流を流そうとする向き(いまの電流と逆向き)。棒の中に逆向きの電池ができたのと同じ。
抵抗3 の電流が 0 になったとき、Q と S の電位は等しい。そのとき抵抗2 と抵抗4 は直列なので、S の電位は
Q も 。抵抗1 を流れる電流 は、全部棒を流れる。棒の中では、電位の差 から逆向きの起電力を引いた分が抵抗 にかかるので
Ⅱ(2)
棒が等速になるのは、力が 0、つまり棒の電流が 0 のとき。このとき棒の起電力は、棒の両はしの電位の差 とちょうど等しい:。
棒に電流が流れないので、回路は棒をはずしたのと同じ。Q と S の式は
棒が速くなるにつれて、抵抗3 の電流は S→Q 向きから 0 になり()、さらに Q→S 向きへと向きを変えてから、棒の電流が 0()になって落ち着く。
第3問 管の中で鳴る音と、自転車のうなり
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方
管の中の空気が共鳴(特定の振動数で大きくゆれること)する条件の問題。開いたはしは空気が自由に動けるので腹(いちばん大きくゆれる所)、閉じたはしは空気が動けないので節(ゆれない所)になる。管の長さに、腹と節の条件を満たすように定常波(その場でゆれる波)がおさまる振動数だけが鳴る。
後半Ⅳは、その音を出しながら自転車で走る話。ドップラー効果(音源が近づくと高く聞こえる)で、2つの道すじから届く音の高さがわずかにずれ、うなり(音の大きさが周期的にふくらむこと)が聞こえる。
Ⅰ(1)
両はしが開いた管では、両はしが腹。腹と腹の間の長さは半波長の整数倍なので
Ⅰ(2)
片方が閉じた管では、閉じたはしが節、開いたはしが腹。節から腹までは 波長の奇数倍なので
両はしが開いた管とちがって、いちばん低い音の奇数倍だけが鳴る。
Ⅱ(1)
右はしはふたで閉じたので節。左はしの膜は「ごく小さく」しか振動しないので、共鳴で管の中が大きくゆれているとき、膜の所はほとんどゆれない=節と見なせる。つまり両はしが節の管で、Ⅰ(1) と同じく
共鳴した 519 Hz と 692 Hz は、比が なので、となりあう と 。その間に共鳴が無かったこととも合う。
692 Hz は で、管の中に半波長が4つ並ぶ。半波長は m なので、節は右はしから 0.25 m おき。
答え右はしから, , , , (は膜の位置。膜はほとんど動かないので節)
Ⅱ(2)
となりあう共鳴の間隔 Hz が にあたる。 m なので
膜を「開いたはし(腹)」と考えると、共鳴は奇数倍だけになり、比 の2つの振動数は出てこない。膜が節であることが、ここからも分かる。
答え(, , / )
Ⅲ
右はしを開くと、右は腹、左の膜は節で、Ⅰ(2) の「片方が閉じた管」と同じ:
400〜700 Hz に入るのは と の2つ(3 だと 259.5 Hz、9 だと 778.5 Hz で外れる)。
答え,
Ⅳ(1)
スピーカーの音:C のマイクは、まっすぐ近づいてくる自転車の音を聞く。近づく速さは なので、マイクがとらえる振動数は 。スピーカーは止まっていて、D も止まっているので、この振動数のまま D に届く。
B からの直接の音:三角形 BCD は正三角形なので、自転車の進む向き(B→C)と、B から D への向きは ずれている。D に近づく速さは なので、聞こえる振動数は
スピーカーは「自転車の真正面で聞いた音」を D に運んでくるので、斜めから聞く直接の音より少し高い。
答え
Ⅳ(2)
は にくらべてとても小さいので、、 とすると
Ⅱ(2) の と、Ⅲ の を入れる。2次方程式をきちんと解いても、有効数字1桁では同じ値になる。
432 Hz の音のうちの 2 Hz、わずか 0.5% の高さのずれが、耳で数えられる「ワーン ワーン」になって速さを教えてくれる。
答え(を解くと、なら/ )