東大 過去問 2010年 生物|AI解答・解説・シミュレーション|アトリエファクトリー

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東京大学 第2次学力試験(前期)2010年 理科「生物」(東京大学がかつて公開したPDFの Internet Archive 保存版)

問題・出題の意図・東京大学の解答例(東京大学の公表資料)

東京大学の利用規定について

東京大学は、入試問題と出題の意図・解答の2次利用について「東京大学第2次学力試験入学試験問題等の2次利用について」(令和6年7月1日改定)で条件を定めている。このサイトでの対応は次のとおり。

解答とシミュレーション(AIで作成)

制作

制作:アトリエファクトリー(aTELiER FACTORY) https://atelierfactory.jp/

修正履歴

お知らせ(2026年10月4日)

解答・解説・シミュレーションは、すべて Claude Opus 5.5 で作成しています。作ったあとの確かめ方は、科目によって違います。

どの科目も、東京大学が公表した解答ではありません。くわしくは「問題取得方法と回答生成方法」をご覧ください。

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生 物

第1問

 次の文1と文2を読み,ⅠとⅡの各問に答えよ。

〔文1〕

 免疫系には,抗体が主役となる 1 性免疫と,リンパ球などの免疫細胞が主役となる細胞性免疫がある。

 抗体はB細胞で産生される 2 (Ig)というタンパク質である。代表的な Ig である IgG という分子は,図1—1に示すように,重鎖と軽鎖というポリペプチドが2本ずつで構成され,ジスルフィド結合で結ばれている。各ポリペプチドは可変部と定常部からなる。Y字型に開いた2つの腕の先端部分に存在する溝状の構造を抗原結合部位とよぶ。(ア)抗原と抗体の結合の強さは,抗原結合部位の立体構造と,抗体と結合する抗原表面の部分(抗原決定部位)の立体構造の相補性により決まる。適切なタンパク質分解酵素を用いると,抗原結合部位の立体構造を変化させずに,抗原結合部位を含む断片(Fab)とそれ以外の断片(Fc)に,IgG を分断できる。ここでは,図1-1に示すように,それぞれの部分を Fab,Fc とよぶ。

図1—1 IgG の模式図
図1—1 IgG の模式図
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 重鎖の可変部は,V,D,J とよばれる3つの遺伝子断片にコードされている。未分化なB細胞の染色体には,異なる配列をもつ遺伝子断片が,それぞれ数個〜数十個存在する。B細胞が分化するとき,個々のB細胞で,V,D,J の遺伝子断片が1つずつ選ばれて連結し(DNA 再編成),1個のB細胞では1種類の固有のアミノ酸配列が決定される。軽鎖の可変部についても,V,J の2つの遺伝子断片による DNA 再編成がおこる。その結果,個々のB細胞は異なる抗原特異性をもつ抗体を産生する。ある抗原に対する抗体を産生することができるB細胞が,生体内で,その抗原と出会うと,増殖(クローン増殖)し,抗体を産生する。このため,その抗原に対する血清中の抗体量が増える。リンパ球の1種である 3 は,B細胞のクローン増殖を調節する。

 マウスにヒトのがん細胞に対する抗体を産生させるため,次の実験を行った。

実験1 ヒトの白血球由来のがん細胞 X の表面タンパク質 Y と,正常なマウスの白血球の表面タンパク質 Z を単一に精製した。Y は X にのみ発現しており,正常なヒトの細胞には発現していない。Y と Z を同じ濃度で生理的食塩水に溶解し,2匹のマウスに,それぞれ2回ずつ同量注射した。経時的にマウスから血清を分離し,一定量の Y および Z に対する,血清中の抗体の反応の強さ(抗体力価)を測定した。その結果,図1—2のように,(イ)Y を注射した場合,1回目の注射で抗体力価は弱く上昇したが,2回目の注射では強く上昇した。一方,Z を注射した場合には,抗体力価はまったく上昇しなかった。

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図1—2 タンパク質 Y と Z を注射したマウスの抗体力価の経時的変化
図1—2 タンパク質 Y と Z を注射したマウスの抗体力価の経時的変化

〔文2〕

 毒素やウイルスが抗原の場合,抗体が結合するだけで抗原を不活性化することがある。ところが,病原菌やがん細胞が抗原の場合,抗体が結合するだけでは抗原細胞を殺せないことが多い。しかし,たとえば,Fab 部分で抗原細胞と結合した IgG 抗体の Fc 部分が,マクロファージの表面にある,Fc に対する受容体と結合すると,抗体を介して結合した抗原細胞に対するマクロファージの食作用が容易になり,抗原細胞が排除されることがある。

 がん細胞に対するモノクローナル抗体を用いた,がんの治療が行われている。モノクローナル抗体を作製するには,まず,動物に目的の抗原を注射して,その抗原に特異的な抗体を産生するB細胞を体内でクローン増殖させる。(ウ)B細胞を多く含む器官からB細胞を分離し,無限増殖能をもつミエローマ細胞と融合させる。つぎに,目的の抗原と結合する抗体を産生する融合細胞を1個選び,培養液中で増殖させると,培養液から単一の抗原特異性をもつモノクローナル抗体が得られる。この方法により,実験1において Y に対して十分に血清中の抗体力価が上昇したマウスから,B細胞を分離して,Y に対するモノクローナル IgG 抗体(mab 1)を作製した。しかし,ヒトのがん細胞 X の培養液に mab 1 を大量に加えても,mab 1 は X の細胞表面に結合するのに,X の増殖は抑制しなかった。

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 通常は,ヒトの細胞を正常なマウスに注射すると,X のようながん細胞であっても,強い免疫反応がおこって,ヒトの細胞は排除される。しかし,(エ)遺伝的に胸腺の形成不全を示すヌードマウスに,ヒトのがん細胞 X を注射したところ,血液中で X が増殖した。そこで,がん細胞 X に対する mab 1 の効果を調べるため,このヌードマウスを用いて,次の実験を行った。

実験2 ヒトのがん細胞 X が血液中で増殖している2匹のヌードマウスに,精製した mab 1 と正常なマウス血清から精製した IgG(正常マウス IgG)を,同じ濃度で生理的食塩水に溶解し,それぞれ,同量注射した。経時的にヌードマウス血液中のがん細胞 X の細胞数を計測した結果,正常マウス IgG を注射した場合は,がん細胞 X の細胞数は増加していたが,mab 1 を注射した場合は,しばらくすると,がん細胞 X は血液中にまったく見られなくなった。

〔問〕

Ⅰ 文1について,以下の小問に答えよ。

A 文中の空欄1〜3に適切な語を入れよ。

B マラリアはかつて,日本でもよくみられた感染症であったが,1950 年代に撲滅され,現在の日本には常在しない。一方,日本人が海外でマラリアに感染する機会は増えている。マラリアに感染した日本人の血清は,マラリア原虫のタンパク質(抗原)に対して高い抗体力価を示す。ところが,1度もマラリアに感染したことがない日本人の血液中にも,マラリア原虫のタンパク質に結合する抗体を産生できるB細胞が,ごくわずかではあるが存在すると考えられている。その理由を3行程度で述べよ。

C 下線部(ア)について。抗原決定部位と抗原結合部位の結合様式として正しいものを,以下の(1)〜(5)からすべて選べ。

(1) ペプチド結合

(2) ジスルフィド結合

(3) ファンデルワールス力

(4) 水素結合

(5) イオン結合

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D ある1種類の IgG 抗体が,異なる病原体 O および P のいずれとも,抗原抗体反応によって特異的に強く結合した。その理由を2行程度で述べよ。

E 実験1について。2種類の変異マウス,Y+/+ マウスと Z−/− マウスに,実験1と同様に Y と Z をそれぞれ注射して,抗体を産生させる場合を考える。ここで,Y+/+ マウスはヒトのタンパク質 Y の遺伝子をマウスの染色体に組み込んで,Y を細胞表面に発現させた変異マウスであり,Z−/− マウスは,マウスのタンパク質 Z を先天的につくれない変異マウスである。Y+/+ マウスに Y を注射した場合は,Y に対する血清中の抗体力価は上昇しなかった。一方,Z−/− マウスに Z を注射した場合は,Z に対する血清中の抗体力価は上昇した。それらの結果が得られた理由を3行程度で述べよ。

F 下線部(イ)について。2回目の Y の注射後,抗体力価が著しく上昇した説明として適切なものを,以下の(1)〜(5)からすべて選べ。

(1) 1回目の Y の注射によりB細胞が産生した抗体は,リンパ組織に貯蔵されていた。2回目の Y の注射によりその抗体が一挙に血液中に放出された。

(2) 1回目の Y の注射によりB細胞が産生した抗体は,血清中に残っていた。2回目の Y の注射によりその抗体自体の Y との結合が著しく強くなった。

(3) 1回目の Y の注射によりクローン増殖したB細胞の一部が,記憶B細胞として残っていた。2回目の注射によりその記憶B細胞がすばやく増殖したため,Y と結合できる抗体の産生量が著しく多くなった。

(4) 1回目の Y の注射によりクローン増殖したB細胞の一部が,記憶B細胞として残っていた。2回目の注射によりその記憶B細胞に DNA 再編成が起きて,Y と結合できる抗体の種類が著しく増えた。

(5) 1回目の Y の注射によりクローン増殖したB細胞の一部が,記憶B細胞として残っていた。2回目の注射によりその記憶B細胞に DNA 再編成が起きて,1回目より著しく強く Y と結合できる抗体を産生した。

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Ⅱ 文2について,以下の小問に答えよ。

A 下線部(ウ)について。B細胞を多く含む器官として適切なものを,以下の(1)〜(5)からすべて選べ。

(1) リンパ節

(2) ひ 臓

(3) 脳

(4) すい臓

(5) 胸 腺

B 下線部(エ)について。遺伝的に胸腺の形成不全を示すヌードマウスでは,なぜヒトのがん細胞 X は排除されなかったのか。3行程度で述べよ。

C mab 1 の Fab(mab 1-Fab)と Fc(mab 1-Fc)を作製し,以下の(1)〜(4)を,実験2で用いた mab 1 と同じ濃度で,生理的食塩水に溶解した。X が血液中で増殖している4匹のヌードマウスに,実験2と同じ方法で,それぞれ,同量注射した。最も強く X の増殖を抑制すると考えられるものを,以下の(1)〜(4)から1つ選べ。また,その理由を2行程度で述べよ。

(1) 精製した mab 1-Fab

(2) 精製した mab 1-Fc

(3) 精製した mab 1-Fab と mab 1-Fc を等量混合したもの

(4) 精製した mab 1

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第2問

 次の文1と文2を読み,ⅠとⅡの各問に答えよ。

〔文1〕

 DNA の部分的な損傷や複製時の誤りによって塩基配列に変化が生じることを,遺伝子突然変異という。この遺伝子突然変異により,それまでに見られなかった形質が生じ,子孫に遺伝する突然変異体が出現する場合がある。

 多細胞生物のからだの形づくりにおいて,本来特定の部位に形成されるはずの器官がつくられず,そこに別の器官が生じる突然変異を 1 突然変異という。

 がくや花弁などの植物の花器官は 2 が進化して特殊化したものと考えられている。これらの花器官の形成では 1 遺伝子が調節遺伝子としてはたらいている。シロイヌナズナの場合,花器官ができる領域は4つに区画化される。図2—1の同心円で示すように,外側から,領域1:がく,領域2:花弁,領域3:おしべ,領域4:めしべ,の順に花器官が形成される。この配置は,3種類の調節遺伝子(A,B,C)のはたらきによって制御されている。調節遺伝子 A,B,C は花器官形成において,それぞれはたらく領域が決まっており,その組合せによってどの花器官が形成されるかが決まる。

 これまでに,花器官の形成に異常を示すシロイヌナズナの突然変異体が多数得られている。調節遺伝子 A,B,C のそれぞれの機能を失った突然変異体では,表2—1のように,いくつかの花器官の形成に異常を示す。また,調節遺伝子 A,B,C のすべての機能を失った突然変異体では,すべての花器官が 2 に 1 変異する。

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図2—1 花器官が形成される4つの領域
図2—1 花器官が形成される4つの領域
表2—1 花器官形成に異常を示す突然変異体の表現型
表2—1 花器官形成に異常を示す突然変異体の表現型

(注2—1) 表中の○は正常な花器官,×は本来つくられるべきものとは異なる花器官が形成されることを示す。

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〔文2〕

 葉を形成していた茎頂部が花芽を形成するように変わることを花成という。ロシアの科学者チャイラヒャンは,植物がどこで光を感知して花成が誘導されるのかをつきとめた。植物の茎頂部もしくは葉のみに光刺激を与え,どちらの器官が光を感知した時に,花成が誘導されるかを調べた。その結果,葉に光刺激を与えた場合にのみ花成が誘導されたことから,未知の花成誘導因子(ア)花成ホルモンの存在を提唱した。

 シロイヌナズナは長日植物であり,遺伝子 P の機能が失われた突然変異体(以後,P 突然変異体とよぶ)は,長日条件下で野生型よりも花成時期が遅くなる「遅咲き」表現型を示した。一方,遺伝子 P を植物体全体で強制的に発現させた変異体(以後,P 過剰発現体とよぶ)では,長日条件下で野生型よりも花成時期が早くなる「早咲き」表現型を示した。さらに,野生型の台木に P 過剰発現体の穂木を接ぎ木すると,台木の表現型は早咲きになった。このような,変異体を組み合わせて接ぎ木を行った実験の結果を表2—2に示す。

(注2—2) この接ぎ木実験では,図2—2のように,台木(白で示す)の茎頂部は切除せず,穂木(灰色で示す)は,Y 字型になるように接ぎ木した。また,台木と穂木の植物体全体に光刺激を与えた。

表2—2 接ぎ木の組み合わせと台木の花成時期
表2—2 接ぎ木の組み合わせと台木の花成時期
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図2—2 台木の茎頂部を残す接ぎ木
図2—2 台木の茎頂部を残す接ぎ木

〔問〕

Ⅰ 文1について,以下の小問に答えよ。

A 遺伝情報は DNA から mRNA に写され,次に,その mRNA の情報に基づきアミノ酸が連結したタンパク質が合成される。これら2つの過程をそれぞれ何というか。また,遺伝情報が DNA から mRNA,さらにはタンパク質へと一方向に流れる原則のことを何というか。それぞれ答えよ。

B グアニンがアデニンへと変化する遺伝子突然変異を人為的に誘発して,トリプトファンのコドン(UGG)に変異が生じた場合,野生型と異なる表現型を示す突然変異体となることが多い。その理由を3行程度で述べよ。

C タンパク質のアミノ酸配列は DNA の塩基配列に対応しているが,その塩基配列に変化が生じても,アミノ酸配列に影響を及ぼさず,表現型にも影響を与えない場合がある。一方,タンパク質のアミノ酸配列から DNA の塩基配列を推定することは,DNA の塩基配列からタンパク質のアミノ酸配列を推定することより難しい。これら2つの事がらは同じ理由による。その理由を,遺伝暗号の特徴を考慮して2行程度で述べよ。

D 空欄1,2に適切な語を入れよ。

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E A 突然変異体では,領域1から領域4にかけて,めしべ,おしべ,おしべ,めしべの順に花器官が形成された。このことから推測される調節遺伝子 A,B,C の相互の関係について,適切なものを以下の(1)〜(5)からすべて選べ。

(1) 調節遺伝子 A は調節遺伝子 B の機能を阻害しており,調節遺伝子 A の機能欠損により,調節遺伝子 B がすべての領域で機能するようになる。

(2) 調節遺伝子 A は調節遺伝子 C の機能を阻害しており,調節遺伝子 A の機能欠損により,調節遺伝子 C がすべての領域で機能するようになる。

(3) 調節遺伝子 A は調節遺伝子 B と C の機能を阻害しており,調節遺伝子 A の機能欠損により,調節遺伝子 B と C がすべての領域で機能するようになる。

(4) 調節遺伝子 A の機能は,調節遺伝子 B と C の機能と関係しない。

(5) 調節遺伝子 A の機能は,調節遺伝子 B の機能に必要である。

F ラカンドニアという植物の領域3と領域4では,シロイヌナズナと比べて花器官の形成位置が逆転しており,それぞれ,めしべ,おしべが形成される。これは,調節遺伝子 A,B,C の機能する領域がシロイヌナズナとは異なるためであると考えられている。ラカンドニアの領域1と領域2では,がくが形成されると仮定すると,ラカンドニアではどの調節遺伝子がどの領域で機能すると考えられるか。調節遺伝子 A,B,C についてそれぞれ答えよ。

G シロイヌナズナで,領域1から領域4のすべての領域で調節遺伝子 B を強制的に発現させると,各領域にはどの花器官が形成されるか。それぞれの領域について答えよ。また,調節遺伝子 B を強制的に発現させた後,調節遺伝子 A と調節遺伝子 C の機能を変化させるとすべての領域でおしべが形成されたとする。調節遺伝子 A と調節遺伝子 C の機能をどのように変化させたか。それぞれ答えよ。

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Ⅱ 文2について,以下の小問に答えよ。

A 下線部(ア)について。花成ホルモンの別名を答えよ。

B 遺伝子 Q の機能を失ったシロイヌナズナの突然変異体も,遅咲きの表現型を示す。文2と表2—2中に示した P 突然変異体や P 過剰発現体を用いて行った実験を,それぞれ Q 突然変異体や Q 過剰発現体を用いて行っても,同じ結果が得られた。一方,接ぎ木をしていない Q 突然変異体の葉で遺伝子 P を強制的に発現させると早咲きになった。しかし,接ぎ木をしていない P 突然変異体の葉で遺伝子 Q を強制的に発現させても遅咲きのままであった。これら2つの実験から,葉における遺伝子 P と遺伝子 Q の機能はどのような関係にあると考えられるか。2行程度で述べよ。

C タンパク質 P とタンパク質 Q のどちらかが花成ホルモンであると考えられた。そこで以下の実験を行った。野生型において,遺伝子 P または遺伝子 Q を葉のみで強制的に発現させると早咲きになった。一方,遺伝子 P を茎頂部のみで強制的に発現させると早咲きになったが,遺伝子 Q を茎頂部のみで強制的に発現させても早咲きにはならなかった。これらの結果から正しいと考えられるものを,以下の(1)〜(6)からすべて選べ。

(1) タンパク質 P は,葉から茎頂部に移動する。

(2) タンパク質 Q は,葉から茎頂部に移動する。

(3) タンパク質 P もタンパク質 Q も葉から茎頂部に移動する。

(4) 花成を誘導するためには,タンパク質 P もタンパク質 Q も,ともに茎頂部ではたらくことが必要である。

(5) 花成を誘導するためには,タンパク質 P は葉で,タンパク質 Q は茎頂部ではたらくことが必要である。

(6) 花成を誘導するためには,タンパク質 P は茎頂部で,タンパク質 Q は葉ではたらくことが必要である。

D 表2—2の空欄3〜5に適切な語を入れよ。

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E 短日植物であるイネの遺伝子 P′ と遺伝子 Q′ は,長日植物であるシロイヌナズナの遺伝子 P と遺伝子 Q にそれぞれ相同な遺伝子である。長日条件下において,イネの P′ 突然変異体は遅咲きで,P′ 過剰発現体は早咲きであった。一方,長日条件下において,イネの Q′ 突然変異体は早咲きで,Q′ 過剰発現体は遅咲きであった。この実験結果から,長日条件下において,イネの遺伝子 P′ と遺伝子 Q′ の機能はどのような関係にあると考えられるか。シロイヌナズナの遺伝子 P と遺伝子 Q の機能の関係と比較して2行程度で述べよ。

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第3問

 次の文1と文2を読み,ⅠとⅡの各問に答えよ。

〔文1〕

 反射とは,感覚器が受容した刺激が脊髄や脳幹を介して,意識とは無関係に筋肉などの 1 器をすばやく反応させる現象である。ヒトの最も単純な反射の1つに膝蓋腱反射がある。不意に膝の下の腱がたたかれて,太ももの筋肉が伸展すると,その筋肉の中にある感覚器である筋紡錘が,筋肉の伸展を感知する。その情報は感覚神経を伝わって脊髄に入り,2 を1つだけ介して運動神経に伝達され,同じ筋肉を収縮させて伸展を打ち消すようにはたらく。

 一方,前庭動眼反射では,不意に頭が水平方向に回転させられたとき,内耳の感覚器である 3 が回転を感知し,その情報が脳幹の神経回路を介して伝達され,視線の方向のずれを打ち消すような眼球運動をひきおこす。これにより,視線の向きが一定に保たれる。図3—1にその神経回路の概略を示す。

 この図の中の神経核とは,ニューロンの細胞体が多数集まった部分である。簡単のため,ここでは最小限の数のニューロンを表示している。ニューロンの細胞体からのびる軸索の先端には神経終末が形成され,別のニューロンや眼筋(外直筋と内直筋)へと接続している。また,興奮性ニューロンとは,接続先のニューロンの活動を増加させるニューロンであり,抑制性ニューロンとは,接続先のニューロンの活動を打ち消して減少させるニューロンである。

 この神経回路を見て,感覚器→前庭神経核(以後,神経核 A とよぶ)→外転神経核(神経核 B)→動眼神経核(神経核 C)→眼筋,と信号が伝達される際のニューロンの活動について考えてみよう。太い矢印で示すように,頭が左側(水平面上で反時計回り)に回転させられる場合,左側の感覚器の活動は増加し,右側の感覚器の活動は減少する。すると,この神経回路により,左側の神経核 A のニューロン(神経核 A に細胞体のあるニューロン)の活動は増加し,右側の神経核 A のニューロンの活動は減少する。また,左側の神経核 B のニューロンの活動は 4 し,右側の神経核 B のニューロンの活動は 5 する。さらに,左側の神経核 C のニューロンの活動は 6 し,右側の神経核 C のニューロンの活動は 7 する。その結果,左右の眼球がともに右に回転する。

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図3—1 前庭動眼反射の神経回路
図3—1 前庭動眼反射の神経回路
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〔文2〕

 感覚器が受容した刺激情報は大脳に伝えられ,処理を受けることで感覚が生じる。例えば皮膚からの情報は,大脳にある皮膚の感覚野(体性感覚野)に伝えられる。この体性感覚野には,皮膚のさまざまな部位からの体性感覚情報を処理する領域が,皮膚の位置関係におおむね対応してならんでいる。ヒトの皮膚の中でも 8 や 9 については,皮膚の単位面積に対応する脳領域が広いので,高い精度が要求される感覚情報の処理が可能である。

 一方,視覚情報は大脳にある視覚野に伝えられる。この視覚野には,視野のさまざまな部分からの視覚情報を処理する領域が,視野の位置関係に対応してならんでいる。両眼の視野の左側の視覚情報はともに大脳右半球の視覚野に伝えられ,逆に両眼の視野の右側の視覚情報は左半球の視覚野に伝えられる。図3—2は視野の左側と右半球の視覚野の対応関係を示す。

 図3—2(a)は視野の左側で,H は視野を上下に分ける線,V は視野を左右に分ける線である。+は視野の上半分,−は下半分,F は視野の中心,P は周辺部を示す。視野の中心から周辺部へのずれの度合いを,角度(2°,10°,40°)であらわす。一方,図3—2(b)の上の図は,大脳の右半球を左から見たものである。大脳の視覚野(黒く塗りつぶしてある大脳の部分)は,大脳の溝の中に折りたたまれている。図3—2(b)の下の図は,その視覚野を取り出して,大脳半球と前後上下の関係を保ったまま平面に展開して,図3—2(a)の視野に対応する視覚野の領域を模式的に表示したものである。

図3—2 視野の左側と右半球の視覚野の対応関係
図3—2 視野の左側と右半球の視覚野の対応関係
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〔問〕

Ⅰ 文1について,以下の小問に答えよ。

A 空欄1〜3に最も適切な語を入れよ。

B 空欄4〜7に「増加」または「減少」の語を入れよ。

C 正常な前庭動眼反射における神経核のニューロンの活動について,以下の(a)と(b)に答えよ。

(a) 左側の神経核 B のニューロンと左側の神経核 C のニューロンの活動は相反的に増減する。つまり,一方の活動が増加するともう一方の活動が減少し,逆に一方の活動が減少するともう一方の活動が増加する。同様に,右側の神経核 B のニューロンと右側の神経核 C のニューロンの活動も相反的に増減する。このようなニューロンの活動は眼球に対してどのような作用を及ぼすか。そのときの外直筋と内直筋の挙動とともに1〜2行で述べよ。

(b) 左側の神経核 B のニューロンと右側の神経核 B のニューロンの活動は相反的に増減する。同様に,左側の神経核 C のニューロンと右側の神経核 C のニューロンの活動も相反的に増減する。このようなニューロンの活動はどのような左右の眼の動きをひきおこすか。1〜2行で述べよ。ただし,(a)で述べた増減の関係は保たれているものとする。

D 図3—1で,右側の感覚器の活動が消失した場合,頭を不意に左側に回転させられると,左右の眼球はそれぞれどちらの方向に動くか。理由とともに3行以内で述べよ。

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Ⅱ 文2について,以下の小問に答えよ。

A 下の図3—3で,体性感覚野および随意運動を担う運動野は,大脳のどこにあるか。(1)〜(4)から最も適切なものを選び,体性感覚野,運動野の順に記せ。

図3—3 大脳の左半球
図3—3 大脳の左半球

B 空欄8と9に入る語句として,最も適切なものを次の(1)〜(5)から順不同で選べ。

(1) 頭

(2) 唇

(3) 腕

(4) 手の指

(5) 腹

C 図3—2について,次の(1)〜(5)から誤った記述を2つ選べ。

(1) 視野の 40° よりも外側(周辺部)に対応する視覚野の領域が存在する。

(2) 視野の 10° から 40° までの部分には,視野の一定の広さあたり,最も広い視覚野の領域が対応する。

(3) 視野の下半分には,視覚野の上半分が対応する。

(4) 視野を上下に分ける線 H に対応する視覚野の部分は,大脳の溝の奥に存在する。

(5) 視野を左右に分ける線 V に対応する右半球の視覚野の部分は2つ存在する。

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D 図3—4は,「○」または「×」という視覚対象を見たときの,視野の左側の視覚情報と,対応する右半球の視覚野の領域を太線で示している。一方,図3—5は,ある視覚対象を見たときの,対応する右半球の視覚野の領域を太線で示している。図3—4を参考にして,この視覚対象として最も適切なものを,A,E,H,T,Y の中から選べ。ただし,アルファベットおよび「○」と「×」の線の太さは考慮する必要がないものとする。

図3—4 視野の左側に見える視覚対象(「○」と「×」)と対応する大脳右半球の視覚野の領域(ともに黒の太線で示す)
図3—4 視野の左側に見える視覚対象(「○」と「×」)と対応する大脳右半球の視覚野の領域(ともに黒の太線で示す)
図3—5 ある視覚対象に対応する大脳右半球の視覚野の領域
図3—5 ある視覚対象に対応する大脳右半球の視覚野の領域

E 大脳の視覚野に多数存在するニューロンは,それぞれが視野の特定部分の情報処理を担当する。視覚対象が視野の中心付近に提示されるとき,周辺部に提示されるときに比べて,より小さな視覚対象を識別することができる。これを可能にするために,ひとつのニューロンが担当する視野の範囲は視覚野内で均一ではなく,ある特徴をもつ。どのような特徴か。2行程度で述べよ。