東大 過去問 2009年 化学|AI解答・解説・シミュレーション|アトリエファクトリー

東大理系科目 AI解答・シミュレーション‹ 東大化学 2009‹ 化学2009

このページの出典

東京大学 第2次学力試験(前期)2009年 理科「化学」(東京大学がかつて公開したPDFの Internet Archive 保存版)

問題・出題の意図・東京大学の解答例(東京大学の公表資料)

東京大学の利用規定について

東京大学は、入試問題と出題の意図・解答の2次利用について「東京大学第2次学力試験入学試験問題等の2次利用について」(令和6年7月1日改定)で条件を定めている。このサイトでの対応は次のとおり。

解答とシミュレーション(AIで作成)

制作

制作:アトリエファクトリー(aTELiER FACTORY) https://atelierfactory.jp/

修正履歴

お知らせ(2026年10月4日)

解答・解説・シミュレーションは、すべて Claude Opus 5.5 で作成しています。作ったあとの確かめ方は、科目によって違います。

どの科目も、東京大学が公表した解答ではありません。くわしくは「問題取得方法と回答生成方法」をご覧ください。

PDFの 10 枚目

化 学

第1問

次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。必要があれば以下の値を用いよ。

p10a

Ⅰ 次の文章を読み,問ア~カに答えよ。

 夜空に浮かんだ火星が赤く見えるのは,火星の地表に赤鉄鉱という鉱石が多量に含まれているからである。赤鉄鉱は酸化鉄(Ⅲ) Fe2O3 を主成分とし,鉄が酸素や水と反応することによって生成する。2004年,米国の火星探査機オポチュニティは,火星の地表から採取した岩石の顕微鏡観察を行ない,液体の水の作用でできたと考えられる球状の赤鉄鉱を発見した。また,探査機スピリットによって火星の地表で針鉄鉱という鉱石も見出された。針鉄鉱は酸化水酸化鉄(Ⅲ) FeO(OH) を主成分とし,水中での化学反応により生成する。このような発見から,かつて火星には液体の水が存在し,生命誕生の機会があったと推測されている(*脚注)。

 水中における鉄酸化物の生成は,以下の反応により始まる。

Fe⟶Fe2++2e−(1) 2H2O+O2+4e−⟶4OH−(2)

ここで,式(1)は金属鉄が鉄イオンとなって水中に溶解し,電子 e− が放出される酸化反応,式(2)は式(1)で放出された電子によって水中に溶けこんだ酸素が還元される反応を表す。次にこれらの反応の生成物から,水酸化鉄(Ⅱ) Fe(OH)2 が生成する。

(*脚注) 2008年,米国の探査機フェニックスは,火星の地表のすぐ下に氷が存在することを確認した。

PDFの 11 枚目
Fe2++2OH−⟶Fe(OH)2(3)

 水酸化鉄(Ⅱ)は水中の酸素によってさらに酸化され,水酸化鉄(Ⅲ) Fe(OH)3 が生じる。

4Fe(OH)2+2H2O+O2⟶4Fe(OH)3(4)

 最後に,①水酸化鉄(Ⅲ)の脱水反応によって,酸化水酸化鉄(Ⅲ)や酸化鉄(Ⅲ)が生成する。

〔問〕

ア Fe の原子番号は26である。Fe2O3 において,鉄イオンの K 殻,L 殻,M 殻に含まれる電子数をそれぞれ記せ。

イ 体積 V の Fe がすべて酸化されて体積 aV の Fe2O3 になったとき,a の値を有効数字2桁で求めよ。答に至る過程も示せ。ただし,Fe と Fe2O3 の密度はそれぞれ 7.87g·cm−3 と 5.24g·cm−3 とする。

ウ 下線部①について,Fe2O3 および FeO(OH) が生成する反応を反応式で示せ。

エ 式(1)~(4)および問ウで求めた反応式を利用して,Fe から FeO(OH) が生成する反応を1つの反応式で示せ。

オ 現在の火星の大気圧は 610Pa であり,その 0.13 % を酸素が占めるとされている。このような酸素分圧下で,25 ℃ の水 1.00×103l 中に溶解する酸素の質量は何 g になるか,有効数字2桁で求めよ。答に至る過程も示せ。なお,25 ℃,酸素分圧 1.01×105Pa の下で水 1.00l に溶ける酸素の質量は 4.06×10−2g であり,ヘンリーの法則が成り立つものとする。

カ 問オにおいて溶解していた酸素がすべて反応したとき,生成する FeO(OH) の質量を有効数字2桁で求めよ。答に至る過程も示せ。

PDFの 12 枚目

Ⅱ 次の文章を読み,問キ~コに答えよ。有効数字は2桁とし,答に至る過程も示せ。熱化学反応はすべて 25 ℃,1.01×105Pa における熱量および物質の状態を扱うこととする。

 廃棄プラスチックの有効利用法の一つに,プラスチックを焼却したときに発生する熱をエネルギーとして利用する方法がある。①CnH2n+2 の組成式で与えられるアルカンの燃焼熱(1 mol あたり)は炭素数 n が増すにつれて増加する。しかし,図1—1に示すように,1 g あたりに換算した燃焼熱は n の増大と共に一定値に近づく傾向がある。②CnH2n の組成式で与えられるシクロアルカンの場合,n≧5 では 1 g あたりの燃焼熱は,n によらず 46~47 kJ·g−1 で一定である。これらのことは,n が5から12程度のアルカンやシクロアルカンを主成分とする石油系燃料と,n が極めて大きいアルカンである③ポリエチレンおよび④ポリプロピレンでは,同質量あたりの燃焼熱はほとんど変わらないことを意味する。

図1—1 炭素数 n のアルカンおよびシクロアルカンの 1 g あたりの燃焼熱(25 ℃,1.01\times10^5\,Pa)
図1—1 炭素数 n のアルカンおよびシクロアルカンの 1 g あたりの燃焼熱(25 ℃,1.01×105Pa)
PDFの 13 枚目

〔問〕

キ 下線部①に関して,アルカン CnH2n+2 の燃焼の熱化学方程式を書け。ただし,アルカン 1 g あたりの燃焼熱を状態によらず 46.0kJ·g−1 とする。

ク 燃焼熱は結合エネルギーの値から近似的に求めることができる。下線部②,③に関連して,シクロオクタン C8H16 およびポリエチレンそれぞれの,1 g あたりの燃焼熱を,表1—1の結合エネルギーを用いて推定せよ。ただし,ポリエチレンは図1—2に示す化学構造をもつと仮定し,その重合度 m は 10,000 とする。

表1—1 結合エネルギー
表1—1 結合エネルギー
図1—2 ポリエチレンの化学構造式
図1—2 ポリエチレンの化学構造式

ケ 下線部④のポリプロピレンの原料であるプロピレンは,以下の長鎖アルカンの分解反応によって合成される。

CnH2n+2⟶CH2=CH—CH3+Cn−3H2n−4

 プロピレンの燃焼熱が 2.04×103kJ·mol−1 であるとき,この反応の反応熱を求めよ。ただし,炭素数 n と炭素数 n−3 のアルカンの燃焼熱は問キで求めた熱化学方程式から求めよ。

コ プロピレンは,以下のプロパンの脱水素反応によっても合成できる。

CH3—CH2—CH3⟶CH2=CH—CH3+H2

 プロピレンとプロパンの燃焼熱が,それぞれ 2.04×103kJ·mol−1 と 2.20×103kJ·mol−1 であるとき,この反応の反応熱を求めよ。必要であれば,水に関する熱量として表1—2の値を用いよ。

PDFの 14 枚目
表1—2 水に関する熱量[kJ·mol−1]
表1—2 水に関する熱量[\mathrmkJ\cdot mol^-1]

(各熱量は圧力によらないものとする。)

PDFの 15 枚目

第2問

次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。必要があれば以下の値を用いよ。

p15a

 log102=0.301,log103=0.477,log105=0.699

Ⅰ 次の文章を読み,問ア~キに答えよ。

 あるガラスに含まれる金属元素を分析するために,以下の実験を行った。ただし,このガラスは,Pb2+,Cu2+,Fe2+,Na+ を金属イオンとして含むことがわかっている。

実験1:①細粉化したガラス 1.0g を白金るつぼにとり,50 % 硫酸 8ml と 46 % フッ化水素酸 8ml を白金るつぼに加えた。次にケイ素をフッ化物として揮発させるため,300 ℃ で1時間加熱した。白金るつぼを冷やし,蒸留水と希硫酸を加えたところ,白色沈殿 A を得た。沈殿をろ過した後,ろ液の全量をメスフラスコに移し,蒸留水で 50ml に希釈した。

実験2:実験1で調製した溶液 10ml に塩酸 10ml を加え,酸性にした。②この溶液に 2.0×10−3mol の硫化水素 H2S を通じたところ,黒色の沈殿 CuS を 2.0×10−6mol 得た。沈殿をろ紙で回収した後,ろ液をビーカーに集め煮沸した。ピペットで硝酸を数滴加えた後,十分量のアンモニア水を加えたところ,赤褐色の沈殿を得た。沈殿はろ紙で集め,ろ液は以下の実験3に使用した。

実験3:円筒形のカラムに,スルホ基(−SO3H)をもった十分量の陽イオン交換樹脂を詰め,カラムの上から十分量の塩酸と蒸留水を流し,カラムを洗浄した。次に,③実験2で得たろ液を十分に煮沸した。このろ液を冷却した後,カラムに流し,さらに 20ml の蒸留水をカラムに流し,溶出液を全て回収した(図2—1)。この溶出液を 1.0×10−2mol·l−1 の水酸化ナトリウム水溶液で滴定したところ,中和するまでに 18.0ml を要した。

PDFの 16 枚目
図2—1
図2—1

〔問〕

ア 下線部①について,ガラスの主成分である二酸化ケイ素とフッ化水素との反応式を記せ。

イ 白色沈殿 A は何か。化学式で示せ。

ウ 下線部②について,硫化水素の全量が溶液に溶け込んだとする。このとき,溶液中に含まれる硫化水素の全量の濃度 [H2S]total は以下の式で表される。

[H2S]total=[H2S]+[HS−]+[S2−]

 また,硫化水素は以下に示す2段階の電離平衡が成り立つ。

H2S⇌HS−+H+Ka1=1.0×10−7(mol·l−1) HS−⇌S2−+H+Ka2=1.0×10−14(mol·l−1)

 [H2S]total に対する [S2−] の割合 α(=[S2−]/[H2S]total) を,電離平衡定数 Ka1,Ka2 および [H+] を用いて表せ。答のみ記すこと。

PDFの 17 枚目

エ CuS と FeS の溶解度積(Ksp(CuS),Ksp(FeS))は以下の式で表される。

Ksp(CuS)=[Cu2+][S2−]=4.0×10−38(mol2·l−2) Ksp(FeS)=[Fe2+][S2−]=1.0×10−19(mol2·l−2)

 溶液の pH を 1.0 から 6.0 まで変えた時,Ksp(CuS)/α の値と Ksp(FeS)/α の値は,それぞれどのように変化するか。横軸に pH,縦軸に log10(Ksp/α) をとって,グラフを描け。答に至る過程も示せ。

オ 下線部②について,Fe2+ が溶液中に 4.0×10−4mol·l−1 存在するとき,FeS が沈殿しない pH の範囲を求め,有効数字2桁で答えよ。答に至る過程も示せ。

カ 下線部③について,この操作を行う理由を30字以内で記せ。

キ ガラス 1.0 g 中に含まれるナトリウムイオンの重量(g)を有効数字2桁で求めよ。答に至る過程も示せ。

PDFの 18 枚目

Ⅱ 次の文章を読み,問ク~コに答えよ。

 元素の多くは,複数の同位体が一定の比率で混ざった状態で天然に存在する。表2—1に,天然に存在する主な元素の同位体とその存在比(%)をまとめた。これらの元素から構成される分子の質量は,各元素の同位体存在比を反映した分布を示す。例えば天然に存在する二酸化炭素分子の質量分布は,表2—2のようになる。ただし,各同位体原子の相対質量はその質量数と同じであるものとし,分子の質量はその分子を構成する各原子の相対質量の和で表されるものとする。

〔問〕

ク 銅は,63Cu と 65Cu の2つの同位体がある一定の比率で混ざった状態で天然に存在する。天然に存在する 63Cu と 65Cu の存在比(%)を有効数字2桁で求め,表2—1にならって記せ。ただし,銅の原子量は 63.5 とする。

ケ 天然の同位体比の原子で構成された硝酸銀水溶液 X がある。ここに,天然の同位体比の原子で構成された臭化ナトリウム水溶液を添加し,臭化銀を沈殿させた。沈殿した臭化銀の質量分布を表2—2にならって記せ。ただし,臭化銀はその組成式である AgBr として沈殿したものとする。

コ 問ケと同じ硝酸銀水溶液 X に,銀原子として 109Ag のみを含む 0.050mol·l−1 の硝酸銀(109AgNO3)水溶液 10.0ml を添加した後,問ケと同じ臭化ナトリウム水溶液を添加し,臭化銀を沈殿させた。沈殿した臭化銀の質量分布を測定したところ,表2—3に示す結果が得られた。硝酸銀水溶液 X に含まれていた硝酸銀の物質量(mol)を有効数字2桁で求めよ。答に至る過程も示せ。

PDFの 19 枚目
表2—1
表2—1
表2—2
表2—2
表2—3
表2—3
PDFの 20 枚目

第3問

次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。

Ⅰ 次の文章を読み,問ア~カに答えよ。構造式は例にならって解答せよ。

(構造式の例)

p20a
p20b

不斉炭素原子まわりの結合の示し方:W,C,X が紙面上にある場合,Z は紙面の手前に,Y は紙面の奥にある。

(1) 分子式 C8H12O4 の化合物 A~D がある。化合物 A,B,D は環状構造をもち,化合物 C は環状構造をもたない。化合物 A,B の環は10個の原子で構成され(十員環),化合物 D の環は6個の原子で構成される(六員環)。化合物 A~D の中で,D のみが不斉炭素原子をもつ。

(2) 化合物 A~D に対して,それぞれ炭酸水素ナトリウム水溶液を加えたが,気体は発生しなかった。

(3) 1 mol の化合物 A~D にそれぞれ水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱したのち,室温まで冷却し,希塩酸を加えて酸性にした。その結果,化合物 A からは 2 mol の化合物 E が,化合物 B からは 1 mol の化合物 F と 1 mol の化合物 G が,化合物 C からは 1 mol の化合物 H と 2 mol の化合物 I が,化合物 D からは 1 mol の化合物 J と 1 mol の化合物 K がそれぞれ得られた。

(4) 1 mol の化合物 E にナトリウムを作用させると,1 mol の水素分子が発生した。

PDFの 21 枚目

(5) 化合物 F とヘキサメチレンジアミンを縮合重合させると,6,6-ナイロンが生じた。

(6) 化合物 H に臭素を作用させると,不斉炭素原子を有する化合物 L が得られた。

(7) リン酸触媒を用いて,高温高圧下でエチレンに水蒸気を作用させると,化合物 I が得られた。

(8) 化合物 J と化合物 K は,互いに光学(鏡像)異性体である。

〔問〕

ア 化合物 E の分子式を示せ。

イ 化合物 A の構造式を示せ。

ウ (5)における反応の化学反応式を示せ。

エ 化合物 B の構造式を示せ。

オ 化合物 C として考えられる立体異性体の構造式をすべて示せ。

カ 化合物 D の構造式を示せ。

PDFの 22 枚目

Ⅱ 次の文章を読み,問キ~ケに答えよ。

 炭素—炭素原子間の単結合は,一般にそれを軸として回転することができる。炭素—炭素結合回りの回転にともなって,分子の立体構造が変わり,分子のエネルギーは変化する。このとき,原子の立体的な混み具合が小さいものほどエネルギーが低く,分子は安定になる。

 エタンを例としてあげる。図3—1のように,エタンの水素原子に,それぞれ Ha,Hb,Hc,Hx,Hy,Hz と名前を付けて区別する。構造式 M と構造式 N は,炭素—炭素結合の回転による異性体である。立体的な混み具合と結合の回転との関係は,投影式を用いるとわかりやすい。太矢印の方向から,結合した二つの炭素原子が重なるように投影する。Ha,Hb,Hc が結合する手前の炭素原子を中心点(●)で,Hx,Hy,Hz が結合する後方の炭素原子を円で描くと,構造式 M および構造式 N は,それぞれ投影式 M および投影式 N のように表せる。Ha と Hx,Hb と Hy,Hc と Hz がそれぞれ重なる投影式 M はエネルギーが高い状態を表し,原子の混み具合が小さい投影式 N はエネルギーが低い状態を表す。また,回転角 θ を投影式 M,N に示すように定義すると,θ とエネルギーの関係は,図3—2のグラフの曲線のようになる。

図3—1 (構造式の太いくさびは紙面の手前へ出た結合,破線のくさびは紙面の奥へ出た結合を表す。)
図3—1 (構造式の太いくさびは紙面の手前へ出た結合,破線のくさびは紙面の奥へ出た結合を表す。)
PDFの 23 枚目
図3—2
図3—2

〔問〕

キ 図3—2における,投影式 O と投影式 P を示せ。なお,エタンの水素原子は,投影式 M や投影式 N にならって,名前を付けて区別すること。

ク ブタン(CH3—𝐂H2—𝐂H2—CH3)の太字の炭素—炭素結合回りの回転角とエネルギーの関係は,図3—3のグラフの曲線のようになる。これは,メチル基が水素原子より立体的に大きいことに関係している。太字の炭素—炭素結合に関する投影式 Q,R,S を示せ。メチル基は CH3,太字の炭素上の水素原子は H で表示せよ。

図3—3
図3—3
PDFの 24 枚目

ケ 図3—1の Ha,Hx の位置にそれぞれヒドロキシ基を配置したエチレングリコールの場合,投影式 O に対応する構造に比べて,投影式 N および投影式 P に対応する構造がより安定となる。その理由を40字以内で示せ。