東大 過去問 2008年 化学|AI解答・解説・シミュレーション|アトリエファクトリー

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東京大学 第2次学力試験(前期)2008年 理科「化学」(東京大学がかつて公開したPDFの Internet Archive 保存版)

問題・出題の意図・東京大学の解答例(東京大学の公表資料)

東京大学の利用規定について

東京大学は、入試問題と出題の意図・解答の2次利用について「東京大学第2次学力試験入学試験問題等の2次利用について」(令和6年7月1日改定)で条件を定めている。このサイトでの対応は次のとおり。

解答とシミュレーション(AIで作成)

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お知らせ(2026年10月4日)

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どの科目も、東京大学が公表した解答ではありません。くわしくは「問題取得方法と回答生成方法」をご覧ください。

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化 学

第1問

次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。必要があれば以下の値を用いよ。

p09a

ファラデー定数:9.65×104C·mol−1

Ⅰ 次の文章を読み,問ア~オに答えよ。

 反応熱を簡便に測定する実験装置の一つに,図1—1に示されるような氷熱量計がある。氷熱量計では,反応容器内で熱の出入りを伴う変化が起こると,氷の融解または水の凝固が起こり,それに伴う体積変化がガラス細管内の水のメニスカスの読みとして測定される。融解・凝固に伴う熱量変化と体積変化は一対一に対応するため,測定しにくい熱量を測定しやすい「長さ」に変換して測定できるのが特長である。また,氷と水が共存している限りは,常に一定温度(0 ℃)で測定できるという利点がある。

 氷の融解熱は 6.00kJ·mol−1,0 ℃における水と氷の密度はそれぞれ 1.00g·cm−3 と 0.917g·cm−3 である。氷熱量計のデュワー瓶(熱の出入りを遮断する容器)の中には水 90.0g と氷 10.0g が入っているものとし,ガラス細管の穴の断面積は高さによらず一定で 0.0100cm2 とする。また,反応前の反応物の温度は全て 0 ℃と仮定する。

〔問〕

ア 反応容器内で 1.00mol·l−1 の塩酸と水酸化カリウム水溶液をそれぞれ 6.00ml ずつ混合すると,メニスカスが 9.05cm 下降した。この反応についての反応熱を求め,熱化学方程式を書け。反応熱の単位は kJ·mol−1 とし,有効数字2桁で答えよ。答に至る過程も示せ。

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イ 反応容器内で水 10.0ml に硝酸アンモニウム 0.500g を溶解させるとメニスカスが 4.40cm 上昇した。この変化における反応熱を求め,熱化学方程式を書け。反応熱の単位は kJ·mol−1 とし,有効数字2桁で答えよ。答に至る過程も示せ。

ウ 反応容器内で 6.00mol·l−1 の塩酸と水酸化カリウム水溶液をそれぞれ 15.0ml ずつ混合すると,氷がすべて融解した。反応後の水の温度を求めよ。水および溶液の比熱(1g の物質の温度を 1 ℃上げるのに必要な熱量)は溶解している塩の濃度や温度によらず一定で,4.20J·g−1·K−1 とする。デュワー瓶と反応容器の比熱は無視してよい。また,反応前後の溶液の密度は 1.00g·cm−3 とする。有効数字2桁で答えよ。答に至る過程も示せ。

エ イでできた溶液を取り出しゆっくり冷却すると −2.3 ℃で凝固した。水のモル凝固点降下 Kf(K·kg·mol−1) を求めよ。ただし,硝酸アンモニウムは溶液中で完全に電離し,この溶液の濃度では希薄溶液の凝固点降下の式を用いることができるものとする。有効数字2桁で答えよ。答に至る過程も示せ。

オ 多くの固体は融解すると体積が増加するが,氷は逆に体積が減少する。この理由を分子間の結合の観点から100字程度で説明せよ。

図1—1 氷熱量計の概略図
図1—1 氷熱量計の概略図
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Ⅱ 次の文章を読み,問カ~クに答えよ。

 アルカリ系ボタン形酸化銀電池は腕時計やカメラ,電子体温計などの電池として使用されてきた。図1—2にアルカリ系ボタン形酸化銀電池の概略図を示す。正極材料には酸化銀(Ag2O),負極材料には粒状亜鉛,電解液としては水酸化カリウム濃厚水溶液が用いられている。なお,負極材料の粒状亜鉛には,電解液と接していても水素発生が起こらないような工夫が施されている。

図1—2 アルカリ系ボタン形酸化銀電池の概略図(*脚注)
図1—2 アルカリ系ボタン形酸化銀電池の概略図(*脚注)

〔問〕

カ この電池の正極および負極では,下式のような反応が主反応として起きていると考えられている。

  正極:Ag2O + A + 2e−⟶ a B + b OH−

  負極:Zn + 2 C ⟶ D + 2e−

また,水に不溶な D は速やかに下式に示すような反応を起こして電解液に溶解する。

  D + 2OH−⟶ E

a,b に入る数字,A ~ E に入る化学式(イオン式を含む)を答えよ。

キ 0.10mA の電流を 500 時間放電したときの電気量を答えよ。また,この際,消費された亜鉛の質量(g)を,有効数字2桁で答えよ。答に至る過程も示せ。

ク Ag2O は,大過剰のアンモニア水を加えると錯イオンを形成して溶解する。また,D も大過剰のアンモニア水を加えると錯イオンを形成する。これらの錯イオンについて,それぞれ立体的な特徴が分かるように構造を図示せよ。

(*脚注) 実際には,正極材料として,酸化銀粉末と導電剤である黒鉛を混合したものが,負極材料としてはアマルガム化した亜鉛粉末と電解液を混合したものが用いられている。また,セパレーターとしてはセロハンやポリプロピレンなどのフィルムが用いられている。

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第2問

次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。必要があれば以下の値を用いよ。

p12a

気体定数:R=8.3×103Pa·l·K−1·mol−1

Ⅰ 次の文章を読み,問ア~オに答えよ。

 ハロゲン単体のうち,フッ素,塩素は常温常圧で気体,臭素は液体,ヨウ素は固体として存在する。①フッ素は水と激しく反応し,塩素は水と穏やかに反応する。臭素,ヨウ素の水との反応性はきわめて低い。ヨウ素の水に対する溶解度は低いが,ヨウ化物イオンが共存する溶液では溶解度が上昇する。これはおもに,

I2+I−⇌I3−(1)

の反応で,三ヨウ化物イオン(I3−)を形成するためである。ここで,(1)式の平衡定数 K は,ヨウ素,ヨウ化物イオン,三ヨウ化物イオンの濃度をそれぞれ [I2],[I−],[I3−] で表すと,

K=[I3−][I2][I−](2)

で示され,8.0×102(mol·l−1)−1 の値をとる。

 また,ヨウ素は無極性の有機溶媒によく溶解する。このため,分液漏斗を用いてヨウ素を含む水溶液を水と混ざりあわない無極性有機溶媒とよく振って混合したのち静置すると,ヨウ素を有機溶媒に抽出できる。この場合,有機層のヨウ素濃度([I2]有機層)と水層のヨウ素濃度([I2]水層)とは平衡にあり,この状態を分配平衡状態と呼ぶ。このとき分配係数 KD は,

KD=[I2]有機層[I2]水層(3)

で定義され,温度と圧力が一定であれば一定の値となる。

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〔問〕

ア 図2—1に示したように,ビーカーに少量のヨウ素の固体を入れ,これに氷水の入った丸底フラスコをかぶせ,ビーカーを 90 ℃の温水につけた。この後ヨウ素にどのような変化が観察されるか,図2—1にならって結果を図示するとともに,60字程度で簡潔に説明せよ。

イ 下線部①で示したフッ素,塩素の水との化学反応式をそれぞれ示せ。

ウ ヨウ化カリウム水溶液にヨウ素を加え,ヨウ素—ヨウ化カリウム水溶液 1.0l を調製したところ,溶液中のヨウ素濃度は 1.3×10−3mol·l−1,ヨウ化物イオン濃度は 0.10mol·l−1 となった。加えたヨウ素の物質量(mol)を,有効数字2桁で求めよ。答に至る計算過程も記せ。ただしヨウ素とヨウ化物イオンとの間には(1)式以外の反応は起こらないものとし,ヨウ素と水との反応は無視せよ。

エ 0.10mol·l−1 のヨウ素の四塩化炭素(テトラクロロメタン)溶液 100ml を 1.1l の水と十分に混合し,分配平衡状態に達したときの,水層に移動したヨウ素の物質量(mol)を,有効数字2桁で求めよ。答に至る計算過程も記せ。なお,四塩化炭素層と水層間のヨウ素の分配係数 KD は,

KD=[I2]四塩化炭素層[I2]水層=89(4)

とする。また,水と四塩化炭素とは全く混ざりあわず,両溶媒中には I2 のみが存在するものとする。

オ 0.17mol·l−1 のヨウ素の四塩化炭素溶液を,等体積のヨウ化カリウム水溶液と十分に混合した。分配平衡状態に達したとき,水層のヨウ化物イオン濃度は 0.10mol·l−1 となった。このときの四塩化炭素層のヨウ素の濃度を,有効数字2桁で求めよ。答に至る計算過程も記せ。なお,四塩化炭素中には I2 のみが存在するものとする。

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図2—1 ビーカーを温水(90 ℃)につけた直後の様子
図2—1 ビーカーを温水(90 ℃)につけた直後の様子
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Ⅱ 次の文章を読み,問カ~ケに答えよ。

 自動車の排ガス中には,環境汚染の原因となる窒素酸化物(NOx)が含まれる。NOx 成分の大半は難水溶性の一酸化窒素であり,大気中へ放出されると水に溶けやすい赤褐色の A へと酸化される。①A と大気中の水との反応により生成する酸が酸性雨の原因の一つである。排ガス規制の強化によって,排ガス浄化装置は普及しその性能も向上してきたものの,依然として大気中の NOx は高い濃度レベルにある。この要因の一つであるディーゼル車の排ガスに対して,近年,尿素を用いた還元反応による NOx 除去法が検討されている。この除去法では,②尿素を水の存在下で気体 B と気体 C へ変化させた後に,排ガスと混合させ,NOx を B により水と窒素ガスに分解する反応を利用する。特に,③酸素共存下でも NOx を還元できるのが本手法の特徴である。

〔問〕

カ A,B,C に当てはまる化学式を示せ。

キ 下線部①に関連した以下の実験を行った。

 A と窒素の混合気体 1.0l(0 ℃,1.013×105Pa)を酸素が無い条件で水 10l に通して反応させたところ,気相中の A は完全に消失し,この溶液の pH は 5.00 となった。この反応で生成する酸が全て硝酸とするときの,A と水との化学反応式を記せ。また,反応前の混合気体中での A の分圧(Pa)を有効数字2桁で求めよ。答に至る計算過程も示せ。なお,気体は理想気体とし,硝酸は完全に電離しているものとする。

ク 下線部②の化学反応式を示せ。

ケ 下線部③に関連して,等モルの一酸化窒素と B が酸素を利用して反応するときの化学反応式を示せ。

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第3問

次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。必要があれば原子量として以下の値を用いよ。

p16c

Ⅰ 次の文章を読み,問ア~キに答えよ。なお,構造式は例にならって解答せよ。

(構造式の例)

p16a
p16b

W,C,Zが紙面上にある時,Xは紙面の手前に,Yは紙面の向こう側にある。

 炭素,水素,および酸素のみからなり,互いに異性体である酢酸エステルA~Lがある。

(1) 化合物Aについて元素分析を行った結果,炭素 63.1 %,水素 8.8 %であった。

(2) 1mol の化合物A~Kは触媒存在下,それぞれ 1mol の重水素分子と過不足なく反応するが,化合物Lは同条件下,重水素分子と反応しない。Aから生じた反応生成物の,Aに対する質量増加率は 3.5 %であった。なお,重水素の相対質量は 2.0 とする。

(3) A~Kを適当な条件で加水分解すると,A~Eはアルコールを,F~Hはアルデヒドを,そして,I~Kはケトンを与える。F~Kの加水分解では,途中に不安定なアルコール中間体を経て,アルデヒドまたはケトンに異性化するものとする。

(4) Bは不斉炭素原子を一個もつが,AおよびC~Lは不斉炭素原子をもたない。

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(5) CとDは互いにシス・トランス異性体の関係にある。同様に,FとG,並びにJとKもシス・トランス異性体の関係にある。

(6) EとHを触媒存在下,水素と反応させると,同一生成物が得られる。

(7) Lを加水分解して得られるアルコールを酸化するとケトンが得られる。

〔問〕

ア 化合物Aの組成式を求めよ。

イ 化合物Aの分子式を示せ。結果のみでなく答に至る過程も示せ。

ウ 化合物Bには互いに鏡像の関係にある異性体がある。それら2つの鏡像異性体(光学異性体)の構造式を示せ。

エ 化合物CとDのうち,トランス異性体の構造式を示せ。

オ 化合物Hの構造式を示せ。

カ 化合物Iの構造式を示せ。

キ 化合物Lの構造式を示せ。

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Ⅱ 次の文章を読み,問ク~コに答えよ。構造式を示す場合は化合物1~4の構造式を参照すること。炭素原子に結合した水素原子は省略してよい。

 細胞や体液の中では多様な化学反応がたえず進んでいる。それらの化学反応のほとんどは,反応物が出会っただけでは起こりにくいが,酵素と呼ばれるタンパク質を主成分とする物質に助けられて速やかに進むようになる。複雑な構造を有する生体内物質は,通常多段階の酵素による反応を経て合成される。

 ここで以下のE1~E6の6種類の酵素を含む酵素混合溶液を考える。

(1) H−C||−H から H−C||−OH への反応の触媒である酵素3種類(E1,E2,E3)。

(2) H−C||−OH から >C=O への反応の触媒である酵素1種類(E4)。

(3) >C=O から H−C||−OH への反応の触媒である酵素2種類(E5,E6)。

p18a
p18b
p18c

 この酵素混合溶液にステロイド骨格をもつ化合物Mを加えると,図3—1に示すように,各酵素のはたらきにより,化合物Mが化合物Nに変換され(M→N),その後順次N→O,O→P,P→Q,Q→R,R→Sという,合計6つの反応を経由して化合物Sが合成される。十分な時間反応させると,MはすべてSに変換される。ここで各酵素は「上記6つの反応のうち1つのみの触媒であり,M~R以外の化合物を基質としない」という性質をもつと同時に,各酵素反応は「不可逆的であり,溶液中に基質以外の化合物や他の酵素が存在しても進行する」とする。

 化合物P,Rを無水酢酸と反応させると一分子あたり3つのアセチル基が導入された。図3—2に化合物N~Rのうち,4種類の化合物の構造式1~4を示す。

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図3—1
図3—1
図3—2
図3—2
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〔問〕

ク 化合物N,O,Q,Rに相当する構造式の番号をP=5のようにアルファベット,等号と数字を用いて示せ。

ケ >C=O を H−C||−OH に変換する還元剤と化合物Mを反応させると,2種類の立体異性体のみが生成してくる。生成した2種類の立体異性体を酵素混合溶液に加え,十分な時間をかけてすべての酵素反応を完結させたところ,溶液中にステロイド骨格をもった2種類の化合物の存在が確認できた。この2種類の化合物の構造式を示せ。

p20a
p20b

コ 酵素E2~E6を含む酵素混合溶液を考える。その溶液中に化合物Mを加えたのち,十分な時間をかけてすべての酵素反応を完結させた場合に,化合物M~Sのうち溶液中に存在するものはどれか。可能性のある化合物すべてをアルファベットで示せ。