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化 学
第1問
次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。必要があれば以下の値を用いよ。
ファラデー定数:9.65 × 10 4 C · m o l − 1
Ⅰ 次の文章を読み,問ア ~オ に答えよ。
反応熱を簡便に測定する実験装置の一つに,図1—1に示されるような氷熱量計がある。氷熱量計では,反応容器内で熱の出入りを伴う変化が起こると,氷の融解または水の凝固が起こり,それに伴う体積変化がガラス細管内の水のメニスカスの読みとして測定される。融解・凝固に伴う熱量変化と体積変化は一対一に対応するため,測定しにくい熱量を測定しやすい「長さ」に変換して測定できるのが特長である。また,氷と水が共存している限りは,常に一定温度(0 ℃)で測定できるという利点がある。
氷の融解熱は 6.00 k J · m o l − 1 ,0 ℃における水と氷の密度はそれぞれ 1.00 g · c m − 3 と 0.917 g · c m − 3 である。氷熱量計のデュワー瓶(熱の出入りを遮断する容器)の中には水 90.0 g と氷 10.0 g が入っているものとし,ガラス細管の穴の断面積は高さによらず一定で 0.0100 c m 2 とする。また,反応前の反応物の温度は全て 0 ℃と仮定する。
〔問〕
ア 反応容器内で 1.00 m o l · l − 1 の塩酸と水酸化カリウム水溶液をそれぞれ 6.00 m l ずつ混合すると,メニスカスが 9.05 c m 下降した。この反応についての反応熱を求め,熱化学方程式を書け。反応熱の単位は k J · m o l − 1 とし,有効数字2桁で答えよ。答に至る過程も示せ。
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イ 反応容器内で水 10.0 m l に硝酸アンモニウム 0.500 g を溶解させるとメニスカスが 4.40 c m 上昇した。この変化における反応熱を求め,熱化学方程式を書け。反応熱の単位は k J · m o l − 1 とし,有効数字2桁で答えよ。答に至る過程も示せ。
ウ 反応容器内で 6.00 m o l · l − 1 の塩酸と水酸化カリウム水溶液をそれぞれ 15.0 m l ずつ混合すると,氷がすべて融解した。反応後の水の温度を求めよ。水および溶液の比熱(1 g の物質の温度を 1 ℃上げるのに必要な熱量)は溶解している塩の濃度や温度によらず一定で,4.20 J · g − 1 · K − 1 とする。デュワー瓶と反応容器の比熱は無視してよい。また,反応前後の溶液の密度は 1.00 g · c m − 3 とする。有効数字2桁で答えよ。答に至る過程も示せ。
エ イ でできた溶液を取り出しゆっくり冷却すると − 2.3 ℃で凝固した。水のモル凝固点降下 K f ( K · k g · m o l − 1 ) を求めよ。ただし,硝酸アンモニウムは溶液中で完全に電離し,この溶液の濃度では希薄溶液の凝固点降下の式を用いることができるものとする。有効数字2桁で答えよ。答に至る過程も示せ。
オ 多くの固体は融解すると体積が増加するが,氷は逆に体積が減少する。この理由を分子間の結合の観点から100字程度で説明せよ。
図1—1 氷熱量計の概略図
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Ⅱ 次の文章を読み,問カ ~ク に答えよ。
アルカリ系ボタン形酸化銀電池は腕時計やカメラ,電子体温計などの電池として使用されてきた。図1—2にアルカリ系ボタン形酸化銀電池の概略図を示す。正極材料には酸化銀(A g 2 O ),負極材料には粒状亜鉛,電解液としては水酸化カリウム濃厚水溶液が用いられている。なお,負極材料の粒状亜鉛には,電解液と接していても水素発生が起こらないような工夫が施されている。
図1—2 アルカリ系ボタン形酸化銀電池の概略図(*脚注)
〔問〕
カ この電池の正極および負極では,下式のような反応が主反応として起きていると考えられている。
正極:A g 2 O + A + 2 e − ⟶ a B + b O H −
負極:Z n + 2 C ⟶ D + 2 e −
また,水に不溶な D は速やかに下式に示すような反応を起こして電解液に溶解する。
D + 2 O H − ⟶ E
a ,b に入る数字,A ~ E に入る化学式(イオン式を含む)を答えよ。
キ 0.10 m A の電流を 500 時間放電したときの電気量を答えよ。また,この際,消費された亜鉛の質量(g )を,有効数字2桁で答えよ。答に至る過程も示せ。
ク A g 2 O は,大過剰のアンモニア水を加えると錯イオンを形成して溶解する。また,D も大過剰のアンモニア水を加えると錯イオンを形成する。これらの錯イオンについて,それぞれ立体的な特徴が分かるように構造を図示せよ。
(*脚注) 実際には,正極材料として,酸化銀粉末と導電剤である黒鉛を混合したものが,負極材料としてはアマルガム化した亜鉛粉末と電解液を混合したものが用いられている。また,セパレーターとしてはセロハンやポリプロピレンなどのフィルムが用いられている。
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第2問
次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。必要があれば以下の値を用いよ。
気体定数:R = 8.3 × 10 3 P a · l · K − 1 · m o l − 1
Ⅰ 次の文章を読み,問ア ~オ に答えよ。
ハロゲン単体のうち,フッ素,塩素は常温常圧で気体,臭素は液体,ヨウ素は固体として存在する。①フッ素は水と激しく反応し,塩素は水と穏やかに反応する。臭素,ヨウ素の水との反応性はきわめて低い。ヨウ素の水に対する溶解度は低いが,ヨウ化物イオンが共存する溶液では溶解度が上昇する。これはおもに,
I 2 + I − ⇌ I 3 − ( 1 )
の反応で,三ヨウ化物イオン(I 3 − )を形成するためである。ここで,(1)式の平衡定数 K は,ヨウ素,ヨウ化物イオン,三ヨウ化物イオンの濃度をそれぞれ [ I 2 ] ,[ I − ] ,[ I 3 − ] で表すと,
K = [ I 3 − ] [ I 2 ] [ I − ] ( 2 )
で示され,8.0 × 10 2 ( m o l · l − 1 ) − 1 の値をとる。
また,ヨウ素は無極性の有機溶媒によく溶解する。このため,分液漏斗を用いてヨウ素を含む水溶液を水と混ざりあわない無極性有機溶媒とよく振って混合したのち静置すると,ヨウ素を有機溶媒に抽出できる。この場合,有機層のヨウ素濃度([ I 2 ] 有機層 )と水層のヨウ素濃度([ I 2 ] 水層 )とは平衡にあり,この状態を分配平衡状態と呼ぶ。このとき分配係数 K D は,
K D = [ I 2 ] 有機層 [ I 2 ] 水層 ( 3 )
で定義され,温度と圧力が一定であれば一定の値となる。
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〔問〕
ア 図2—1に示したように,ビーカーに少量のヨウ素の固体を入れ,これに氷水の入った丸底フラスコをかぶせ,ビーカーを 90 ℃の温水につけた。この後ヨウ素にどのような変化が観察されるか,図2—1にならって結果を図示するとともに,60字程度で簡潔に説明せよ。
イ 下線部①で示したフッ素,塩素の水との化学反応式をそれぞれ示せ。
ウ ヨウ化カリウム水溶液にヨウ素を加え,ヨウ素—ヨウ化カリウム水溶液 1.0 l を調製したところ,溶液中のヨウ素濃度は 1.3 × 10 − 3 m o l · l − 1 ,ヨウ化物イオン濃度は 0.10 m o l · l − 1 となった。加えたヨウ素の物質量(m o l )を,有効数字2桁で求めよ。答に至る計算過程も記せ。ただしヨウ素とヨウ化物イオンとの間には(1)式以外の反応は起こらないものとし,ヨウ素と水との反応は無視せよ。
エ 0.10 m o l · l − 1 のヨウ素の四塩化炭素(テトラクロロメタン)溶液 100 m l を 1.1 l の水と十分に混合し,分配平衡状態に達したときの,水層に移動したヨウ素の物質量(m o l )を,有効数字2桁で求めよ。答に至る計算過程も記せ。なお,四塩化炭素層と水層間のヨウ素の分配係数 K D は,
K D = [ I 2 ] 四塩化炭素層 [ I 2 ] 水層 = 89 ( 4 )
とする。また,水と四塩化炭素とは全く混ざりあわず,両溶媒中には I 2 のみが存在するものとする。
オ 0.17 m o l · l − 1 のヨウ素の四塩化炭素溶液を,等体積のヨウ化カリウム水溶液と十分に混合した。分配平衡状態に達したとき,水層のヨウ化物イオン濃度は 0.10 m o l · l − 1 となった。このときの四塩化炭素層のヨウ素の濃度を,有効数字2桁で求めよ。答に至る計算過程も記せ。なお,四塩化炭素中には I 2 のみが存在するものとする。
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図2—1 ビーカーを温水(90 ℃)につけた直後の様子
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Ⅱ 次の文章を読み,問カ ~ケ に答えよ。
自動車の排ガス中には,環境汚染の原因となる窒素酸化物(N O x )が含まれる。N O x 成分の大半は難水溶性の一酸化窒素であり,大気中へ放出されると水に溶けやすい赤褐色の A へと酸化される。①A と大気中の水との反応により生成する酸が酸性雨の原因の一つである。排ガス規制の強化によって,排ガス浄化装置は普及しその性能も向上してきたものの,依然として大気中の N O x は高い濃度レベルにある。この要因の一つであるディーゼル車の排ガスに対して,近年,尿素を用いた還元反応による N O x 除去法が検討されている。この除去法では,②尿素を水の存在下で気体 B と気体 C へ変化させた後に,排ガスと混合させ,N O x を B により水と窒素ガスに分解する反応を利用する。特に,③酸素共存下でも N O x を還元できるのが本手法の特徴である。
〔問〕
カ A ,B ,C に当てはまる化学式を示せ。
キ 下線部①に関連した以下の実験を行った。
A と窒素の混合気体 1.0 l (0 ℃,1.013 × 10 5 P a )を酸素が無い条件で水 10 l に通して反応させたところ,気相中の A は完全に消失し,この溶液の p H は 5.00 となった。この反応で生成する酸が全て硝酸とするときの,A と水との化学反応式を記せ。また,反応前の混合気体中での A の分圧(P a )を有効数字2桁で求めよ。答に至る計算過程も示せ。なお,気体は理想気体とし,硝酸は完全に電離しているものとする。
ク 下線部②の化学反応式を示せ。
ケ 下線部③に関連して,等モルの一酸化窒素と B が酸素を利用して反応するときの化学反応式を示せ。
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第3問
次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。必要があれば原子量として以下の値を用いよ。
Ⅰ 次の文章を読み,問ア ~キ に答えよ。なお,構造式は例にならって解答せよ。
(構造式の例)
W,C,Zが紙面上にある時,Xは紙面の手前に,Yは紙面の向こう側にある。
炭素,水素,および酸素のみからなり,互いに異性体である酢酸エステルA~Lがある。
(1) 化合物Aについて元素分析を行った結果,炭素 63.1 %,水素 8.8 %であった。
(2) 1 m o l の化合物A~Kは触媒存在下,それぞれ 1 m o l の重水素分子と過不足なく反応するが,化合物Lは同条件下,重水素分子と反応しない。Aから生じた反応生成物の,Aに対する質量増加率は 3.5 %であった。なお,重水素の相対質量は 2.0 とする。
(3) A~Kを適当な条件で加水分解すると,A~Eはアルコールを,F~Hはアルデヒドを,そして,I~Kはケトンを与える。F~Kの加水分解では,途中に不安定なアルコール中間体を経て,アルデヒドまたはケトンに異性化するものとする。
(4) Bは不斉炭素原子を一個もつが,AおよびC~Lは不斉炭素原子をもたない。
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(5) CとDは互いにシス・トランス異性体の関係にある。同様に,FとG,並びにJとKもシス・トランス異性体の関係にある。
(6) EとHを触媒存在下,水素と反応させると,同一生成物が得られる。
(7) Lを加水分解して得られるアルコールを酸化するとケトンが得られる。
〔問〕
ア 化合物Aの組成式を求めよ。
イ 化合物Aの分子式を示せ。結果のみでなく答に至る過程も示せ。
ウ 化合物Bには互いに鏡像の関係にある異性体がある。それら2つの鏡像異性体(光学異性体)の構造式を示せ。
エ 化合物CとDのうち,トランス異性体の構造式を示せ。
オ 化合物Hの構造式を示せ。
カ 化合物Iの構造式を示せ。
キ 化合物Lの構造式を示せ。
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Ⅱ 次の文章を読み,問ク ~コ に答えよ。構造式を示す場合は化合物1~4の構造式を参照すること。炭素原子に結合した水素原子は省略してよい。
細胞や体液の中では多様な化学反応がたえず進んでいる。それらの化学反応のほとんどは,反応物が出会っただけでは起こりにくいが,酵素と呼ばれるタンパク質を主成分とする物質に助けられて速やかに進むようになる。複雑な構造を有する生体内物質は,通常多段階の酵素による反応を経て合成される。
ここで以下のE1~E6の6種類の酵素を含む酵素混合溶液を考える。
(1) H − C | | − H から H − C | | − O H への反応の触媒である酵素3種類(E1,E2,E3)。
(2) H − C | | − O H から > C = O への反応の触媒である酵素1種類(E4)。
(3) > C = O から H − C | | − O H への反応の触媒である酵素2種類(E5,E6)。
この酵素混合溶液にステロイド骨格をもつ化合物Mを加えると,図3—1に示すように,各酵素のはたらきにより,化合物Mが化合物Nに変換され(M→N),その後順次N→O,O→P,P→Q,Q→R,R→Sという,合計6つの反応を経由して化合物Sが合成される。十分な時間反応させると,MはすべてSに変換される。ここで各酵素は「上記6つの反応のうち1つのみの触媒であり,M~R以外の化合物を基質としない」という性質をもつと同時に,各酵素反応は「不可逆的であり,溶液中に基質以外の化合物や他の酵素が存在しても進行する」とする。
化合物P,Rを無水酢酸と反応させると一分子あたり3つのアセチル基が導入された。図3—2に化合物N~Rのうち,4種類の化合物の構造式1~4を示す。
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図3—1
図3—2
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〔問〕
ク 化合物N,O,Q,Rに相当する構造式の番号をP=5のようにアルファベット,等号と数字を用いて示せ。
ケ > C = O を H − C | | − O H に変換する還元剤と化合物Mを反応させると,2種類の立体異性体のみが生成してくる。生成した2種類の立体異性体を酵素混合溶液に加え,十分な時間をかけてすべての酵素反応を完結させたところ,溶液中にステロイド骨格をもった2種類の化合物の存在が確認できた。この2種類の化合物の構造式を示せ。
コ 酵素E2~E6を含む酵素混合溶液を考える。その溶液中に化合物Mを加えたのち,十分な時間をかけてすべての酵素反応を完結させた場合に,化合物M~Sのうち溶液中に存在するものはどれか。可能性のある化合物すべてをアルファベットで示せ。
第1問 熱を「長さ」ではかる — 氷熱量計とボタン電池 答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 前半Ⅰは「氷熱量計」という、熱を長さに読みかえる装置の問題。容器の中で熱が出ると、まわりの氷が融けて水になる。氷は水よりかさが大きい(密度が小さい)ので、融けると全体の体積が減り、細い管の水面(メニスカス)が下がる。反対に熱を吸う変化なら水が凍って体積がふえ、水面が上がる。
筋は1本で、水面の動き → 体積の変化 → 融けた(凍った)氷の量 → 熱の量 と順にたどる。氷 1 g が融けると体積は
1 0.917 − 1 1.00 = 1.0905 − 1.000 = 0.0905 c m 3
減る。管の断面積が 0.0100 c m 2 なので、これは水面が 9.05 c m 動くことにあたる。氷 1 m o l (18.0 g )を融かす熱は 6.00 k J 。
氷と水がいっしょにある間は温度は 0 ℃のまま。氷が全部融けてしまうと、そこから先の熱は温度を上げるのに使われる(ウ)。後半Ⅱは酸化銀のボタン電池で、電子の受けわたしの式と、流れた電気の量から亜鉛の減り方を求める。
ア 水面が 9.05 c m 下がったので、減った体積は 9.05 × 0.0100 = 0.0905 c m 3 。setup の計算から、これは氷ちょうど 1.00 g が融けた 量。
融けた氷は 1.00 18.0 m o l なので、中和で出た熱は
1.00 18.0 × 6.00 = 0.333 k J
反応した HCl と KOH はそれぞれ 1.00 × 6.00 1000 = 6.00 × 10 − 3 m o l 。1 m o l あたりに直すと
0.333 6.00 × 10 − 3 = 55.5 k J / m o l
熱が出る反応(発熱)なので、熱化学方程式では右辺に「+」で書く。
答え H C l a q + K O H a q = K C l a q + H 2 O ( 液 ) + 56 k J ( 反応熱 56 k J / m o l )
イ 今度は水面が上がったので、水が凍って体積がふえた。これは溶けるときに熱を吸った (吸熱)ということ。ふえた体積は 4.40 × 0.0100 = 0.0440 c m 3 で、凍った水の量は
0.0440 0.0905 = 0.486 g
水が凍るとき出す熱は、同じ量の氷が融けるときの熱と同じ大きさなので、吸った熱は
0.486 18.0 × 6.00 = 0.162 k J
硝酸アンモニウム N H 4 N O 3 (式量 80.0 )は 0.500 80.0 = 6.25 × 10 − 3 m o l 。1 m o l あたり 0.162 6.25 × 10 − 3 = 25.9 k J を吸うので、熱化学方程式では右辺に「−」で書く。
溶かすと冷える、という身近な変化(冷却パック)が、水が凍るという形で目に見える。
答え N H 4 N O 3 ( 固 ) + a q = N H 4 N O 3 a q − 26 k J ( 反応熱 − 26 k J / m o l )
ウ 濃い酸と塩基を多めに混ぜるので、出る熱が大きく、氷が全部融けてもまだ熱が余る。余った熱で水の温度が上がる、という2段で考える。
中和する量は 6.00 × 15.0 1000 = 0.0900 m o l 。アの値(1 m o l あたり約 55.5 k J )を使うと、出る熱は
0.0900 × 55.5 = 5.00 k J
氷 10.0 g を全部融かすのに使う熱は 10.0 18.0 × 6.00 = 3.33 k J 。余りは 5.00 − 3.33 = 1.67 k J 。
この熱で温まるのは、デュワー瓶の水 90.0 + 10.0 = 100 g と、混ぜた溶液 15.0 + 15.0 = 30.0 g の合計 130 g 。
1.67 × 10 3 = 130 × 4.20 × Δ t
これを解くと Δ t が出て、はじめ 0 ℃なのでそのまま反応後の温度になる。
「氷と水がある限り 0 ℃で測れる」という装置の前提が、ここで崩れている。氷が融けきると、熱はもう「長さ」ではなく「温度」に出る。
エ 凝固点降下の式は、溶けている粒(分子やイオン)の質量モル濃度 m を使って Δ t = K f m 。
イの溶液は、水 10.0 g (0.0100 k g )に N H 4 N O 3 が 6.25 × 10 − 3 m o l 。質量モル濃度は 0.625 m o l / k g 。硝酸アンモニウムは水の中で N H 4 + と N O 3 − の2つに完全に分かれるので、粒の濃さは2倍の 1.25 m o l / k g 。
2.3 = K f × 1.25
これを K f について解く。電離して粒の数がふえることを忘れると、値が2倍にずれる。
オ ふつうの固体は、分子がぎっしり詰まった形で固まり、融けるとばらけてかさがふえる。氷はその逆。
氷の中では、水分子どうしが水素結合 (O–H の H が、となりの分子の O に引かれる結びつき)でつながっている。1つの分子は4つのとなりと、正四面体の向きに結びつくので、すきまの多いかご形の結晶になる。融けると水素結合の一部が切れ、分子がそのすきまに入りこめるようになるので、同じ量でも体積が小さくなる。
問題の数字でも、同じ 1 g で氷は 1.0905 c m 3 、水は 1.000 c m 3 。この差が、そのまま氷熱量計の目盛りになっている。
答え 氷では水分子が水素結合で正四面体の向きにつながり、すきまの多い結晶になっている。融けると水素結合の一部が切れて分子がすきまに入りこむので、体積が減る
カ 電池では、負極で電子を出す反応(酸化)、正極で電子を受けとる反応(還元)が起きる。電解液は濃い KOH 水溶液なので、式には H + ではなく O H − と H 2 O を使う。
正極:酸化銀の A g + が電子を受けとって銀 A g になる。A g 2 O の中の O は、水と組んで O H − として出ていく。O と H の数を合わせるには、左辺に水 H 2 O を1つ足せばよい。
A g 2 O + H 2 O + 2 e − ⟶ 2 A g + 2 O H −
負極:亜鉛が電子を2つ出して Z n 2 + になり、まわりの O H − 2つと組んで水に溶けない Z n ( O H ) 2 になる。
Z n ( O H ) 2 は両性の水酸化物(酸にも塩基にも溶ける)なので、濃い O H − があるとさらに O H − を2つ受けとって、テトラヒドロキシド亜鉛(Ⅱ)酸イオンとして溶ける。
答え A H 2 O , a 2 , B A g , b 2 , C O H − , D Z n ( O H ) 2 , E [ Z n ( O H ) 4 ] 2 −
キ 0.10 × 10 − 3 A × 500 × 3600 s
流れた電子の物質量は、電気量をファラデー定数(電子 1 m o l の電気量)9.65 × 10 4 C でわって求める。
亜鉛は1個で電子を2個出す(カの負極の式)ので、消費された亜鉛の物質量は電子の半分。それに原子量 65.4 をかけると質量になる。
180 9.65 × 10 4 × 1 2 × 65.4
小さな電流でも、500 時間ためると目に見える量(数十 mg)の亜鉛が使われる。
答え 1.8 × 10 2 C , 亜鉛 6.1 × 10 − 2 g
ク 錯イオン(金属イオンに分子やイオンが結びついたもの)の形は、金属イオンに結びつく数(配位数)と金属イオンの種類で決まる。結びつく数が同じ4でも、Z n 2 + は正四面体、C u 2 + ([ C u ( N H 3 ) 4 ] 2 + )は正方形になる。ここでは A g + は2つで直線、Z n 2 + は4つで正四面体、と覚えておく。
A g 2 O はアンモニア水に溶けて、A g + に N H 3 が2つ結びついたジアンミン銀(Ⅰ)イオン [ A g ( N H 3 ) 2 ] + になる。2つの N H 3 は Ag をはさんで反対側にあり、H 3 N − A g − N H 3 が一直線にならぶ。
Z n ( O H ) 2 は Z n 2 + に N H 3 が4つ結びついたテトラアンミン亜鉛(Ⅱ)イオン [ Z n ( N H 3 ) 4 ] 2 + になる。4つの N H 3 は、Zn を中心にした正四面体の4つの頂点の向きにある。「立体的な特徴が分かるように」とあるので、図ではくさび(手前)と点線(奥)を使って四面体に見えるように描く。
答え [ A g ( N H 3 ) 2 ] + 直線形 , [ Z n ( N H 3 ) 4 ] 2 + 正四面体形
第2問 ヨウ素はどこへ行く? — 水・KI 水・四塩化炭素、そして NOx 答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 前半Ⅰは、ヨウ素 I 2 が「どこに、どれだけ溶けるか」を平衡の式で数える問題。ヨウ素は水にはほとんど溶けないが、ヨウ化物イオン I − があると I 2 + I − ⇌ I 3 − で三ヨウ化物イオンになって、たくさん溶けるようになる。また、ヨウ素は四塩化炭素のような油っぽい溶媒のほうによく溶け、水と四塩化炭素のあいだで濃さの比(分配係数)が一定になるように分かれる。
K = [ I 3 − ] [ I 2 ] [ I − ] = 8.0 × 10 2 , K D = [ I 2 ] 四塩化炭素層 [ I 2 ] 水層 = 89
大事なのは、分配係数の式に入るのはI 2 そのものの濃さだけ で、I 3 − は入らないこと。あとは「ヨウ素の全部の量は変わらない」で式をしめる。
後半Ⅱは、排ガスの N O x の話。N O 2 が水と反応してできる硝酸の量を pH から逆にたどって N O 2 の量を出し、尿素から作ったアンモニアで NO を窒素に戻す反応式を書く。
ア ヨウ素は、ふつうの圧力では液体にならずに、固体から直接気体になりやすい(昇華 )。温水で温めると、ヨウ素の固体から紫色の気体が出てビーカーの中に広がる。
その気体が、氷水で冷やされたフラスコの底にふれると、今度は気体から直接固体に戻って(これも昇華と呼ぶ)、黒紫色のつやのある結晶としてつく。図には、ビーカーの中の紫色の気体と、フラスコの外側の底についた結晶を描く。
この方法は、昇華しない不純物からヨウ素だけを取り出す精製にも使われる。
答え ヨウ素の固体が液体にならずに紫色の気体になって(昇華)上へ広がり、冷たいフラスコの底に黒紫色の結晶としてつく
イ ハロゲンは、周期表の上にあるものほど電子を奪う力(酸化する力)が強い。
フッ素は非常に強いので、水の中の酸素から電子を奪い、酸素 O 2 を追い出してしまう。フッ素はフッ化水素 HF になる。原子の数を合わせると
2 F 2 + 2 H 2 O ⟶ 4 H F + O 2
塩素はそこまで強くなく、水と一部だけ反応して、塩化水素と次亜塩素酸 HClO ができる。この反応は行ったり来たりの平衡になっている。次亜塩素酸は殺菌・漂白のはたらきをもつ(塩素で消毒ができる理由)。
答え 2 F 2 + 2 H 2 O ⟶ 4 H F + O 2 , C l 2 + H 2 O ⇌ H C l + H C l O
ウ 加えたヨウ素は、溶液の中で「I 2 のまま」と「I 3 − になったもの」の2つに分かれている。だから加えた量はその合計。
[ I 3 − ] = K [ I 2 ] [ I − ] = 8.0 × 10 2 × 1.3 × 10 − 3 × 0.10
で求まる。溶液は 1.0 L なので、濃さがそのまま物質量になる。加えたヨウ素は
1.3 × 10 − 3 + [ I 3 − ]
ヨウ素の大部分(約99%)は I 3 − の形で溶けている。I 2 のままの濃さは、水だけに溶ける量(1.3 × 10 − 3 )と同じ程度なのに、全部で約80倍も溶けたことになる。
答え 0.11 m o l ( 1.3 × 10 − 3 + 8.0 × 10 2 × 1.3 × 10 − 3 × 0.10 = 0.1053 )
エ 水層には I 2 しかない(I − が無いので I 3 − はできない)ので、分配係数の式だけで解ける。
はじめのヨウ素は 0.10 × 0.100 = 1.0 × 10 − 2 m o l 。水層に移った量を x m o l とすると、四塩化炭素層に残るのは 1.0 × 10 − 2 − x 。濃さに直して分配係数の式に入れる:
( 1.0 × 10 − 2 − x ) / 0.100 x / 1.1 = 89
これを x について解く。水は四塩化炭素の11倍もあるのに、分配係数が89と大きいので、水へ移るのは全体の約11%にとどまる。
オ 今度は水層に I − があるので、水に移った I 2 の多くがすぐ I 3 − に変わる。だから水層にある I 2 はいつも少なく、四塩化炭素からどんどん引き出される。
2つの層の体積は同じなので、濃さのまま足し引きしてよい。四塩化炭素層の I 2 の濃さを c とすると:
水層の I 3 − :8.0 × 10 2 × c 89 × 0.10 = 80 c 89 (平衡定数)
ヨウ素の全部の量は、はじめの四塩化炭素溶液の 0.17 m o l / L と同じなので
c + c 89 + 80 c 89 = 0.17 ⟹ c × 170 89 = 0.17
これを c について解く。KI が無ければ水へ移るのは約1%だけだが、KI があると半分近くが水へ移る。
カ 一酸化窒素 NO は空気中で酸化されて、赤褐色で水に溶けやすい二酸化窒素 N O 2 になる。これが A。
尿素 ( N H 2 ) 2 C O は、水と反応すると N をふくむ部分がアンモニア N H 3 に、C と O の部分が二酸化炭素 C O 2 になる。N O x を窒素と水に戻す(還元する)のは、H をもっていて電子を出せるアンモニアのほう。だから B がアンモニア、C が二酸化炭素。
キ N O 2 は水と反応すると、一部が硝酸 H N O 3 (N の酸化数 +5)になり、残りが NO(+2)になる。N の酸化数は +4 から、上がるものと下がるものに分かれる(自分どうしで電子をやりとりする)。上がる幅が1、下がる幅が2なので、硝酸2つにつき NO が1つできる:
3 N O 2 + H 2 O ⟶ 2 H N O 3 + N O
次に量。pH 5.00 なので [ H + ] = 1.0 × 10 − 5 m o l / L 。硝酸は完全に電離するので、水 10 L にできた硝酸は 1.0 × 10 − 4 m o l 。反応式から N O 2 は硝酸の 3 2 倍、1.5 × 10 − 4 m o l 。
混合気体全体の物質量は、状態方程式 P V = n R T から n = 1.013 × 10 5 × 1.0 8.3 × 10 3 × 273 。分圧は「全体の圧力 × その気体の割合(モル分率)」なので
p N O 2 = 1.013 × 10 5 × 1.5 × 10 − 4 n
「酸素が無い条件」とあるのは、酸素があると NO も硝酸に変わってしまい、反応式(と答え)が変わるから。
答え 3 N O 2 + H 2 O ⟶ 2 H N O 3 + N O , 3.4 × 10 2 P a
ク 尿素に水を反応させると、アンモニアと二酸化炭素になる(カで見たとおり)。尿素 ( N H 2 ) 2 C O 1つには N が2つあるので N H 3 が2つでき、C と O は水の O を1つもらって C O 2 になる。H の数も、左辺 4 + 2 = 6 、右辺 3 × 2 = 6 で合う。
ケ NO(N の酸化数 +2)と N H 3 (N の酸化数 −3)が、どちらも N 2 (0)になる。O は酸素 O 2 からも来て、H は全部水になる。
電子の数で合わせる。NO 1つは電子を2個受けとり、N H 3 1つは電子を3個出す。等モル(同じ数ずつ)なので、1組あたり電子が1個余る。その余りを O 2 (1つで電子4個を受けとる)が引き受けるので、NO と N H 3 を4つずつにすると O 2 が1つでちょうど合う。
4 N O + 4 N H 3 + O 2 ⟶ ? N 2 + ? H 2 O
あとは N と H の数から、右辺の係数を決める。ふつうなら酸素は還元剤(アンモニア)を横取りして邪魔になるが、この方法では酸素も反応の相手として使われている。
第3問 候補をしぼる — 16 個の酢酸エステルと、6 つの酵素の流れ作業 答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 前半Ⅰは、分子式が同じ酢酸エステル(酢酸とアルコールなどがつながった C H 3 C O O − R の形の化合物)A〜L を、手がかりを1つずつ使って決める問題。まず元素分析と重水素の付き方から分子式を出し、次に R の部分がとりうる形を全部書き出してから、(3)〜(7) の条件で割り当てていく。
R の形を決めるカギは、加水分解(水で酢酸と残りに分ける)したときにできる物。O がついた炭素がふつうの炭素(単結合だけ)ならアルコール 、C=C の炭素なら、できた OH がすぐ移ってアルデヒドかケトン になる(C=C に OH がついた形は不安定で、C=O の形に変わる)。
後半Ⅱは、6つの酵素が1段ずつ受けもつ「流れ作業」で化合物 M が S に変わる問題。M と S の違い(どこに OH がついたか、3 位が C=O か OH か、OH が上向きか下向きか)を見比べ、「1回の反応で1か所だけ変わる」と考えて途中の物をならべる。
ア 元素分析の値から、各元素の質量を原子量でわって原子の数の比を出す。O は残りの 100 − 63.1 − 8.8 = 28.1 % 。
C : H : O = 63.1 12.0 : 8.8 1.0 : 28.1 16.0 = 5.26 : 8.8 : 1.76
いちばん小さい O の値でわると、およそ 3 : 5 : 1 になる。
イ 組成式 C 3 H 5 O の式量は 57 。分子式はこの整数倍なので、分子量がわかれば決まる。
条件 (2) で、A 1 m o l に重水素 D 2 (質量 2.0 × 2 = 4.0 )が 1 m o l つき、質量が 3.5 % ふえた。つまり A の分子量 M について
4.0 M = 0.035 ⟹ M ≈ 114
酢酸エステル C H 3 C O O − R なら、R は炭素4個・水素7個の C 4 H 7 。これは C=C を1つもつか、輪を1つもつ形。D 2 と反応する A〜K は C=C をもち、反応しない L は輪をもつ。
答え C 6 H 10 O 2 ( D 2 4.0 が 1 個つくと 3.5\% 増える ⇒ M = 4.0 / 0.035 ≈ 114 = 57 × 2 )
ウ まず、加水分解でアルコールになる A〜E の候補を全部書く。O のついた炭素は単結合だけで、R のどこかに C=C がある:
− C H 2 C H 2 C H = C H 2 、− C H 2 C H = C H C H 3 (シスとトランスの2つ)、− C H 2 C ( C H 3 ) = C H 2 、− C H ( C H 3 ) C H = C H 2
ちょうど5つで、A〜E にぴったり割り当たる。このうち不斉炭素(4つの違うものがついた炭素)をもつのは、O のついた炭素に H 、C H 3 、C H = C H 2 、O C O C H 3 がついた最後の形だけ。だからこれが B。
鏡像異性体の2つは、不斉炭素の4つのうち2つ(たとえば H と C H 3 )の手前・奥を入れかえた形。例にならって、くさび(手前)と点線(奥)で描き分け、2つが鏡に映した関係になるようにならべる。
答え C H 3 C O O − C * H ( C H 3 ) − C H = C H 2 の 2 つの鏡像(C* の H と CH 3 をくさびで入れかえた形)
エ ウの5つのうち、シス・トランス異性体の組になるのは − C H 2 C H = C H C H 3 の2つだけ。これが C と D。
トランス形は、C=C の2つの炭素について、水素ではない側の原子団(C H 2 O C O C H 3 と C H 3 )が二重結合をはさんで反対側にある形。
答え C H 3 C O O − C H 2 − C H = C H − C H 3 (トランス形)
オ 加水分解でアルデヒドになるのは、O のついた炭素が C=C の炭素で、しかも水素を1つもつ形 − C H = C ⋯ 。OH がつくと H O − C H = C となり、すぐ O = C H − C H に変わってアルデヒドになる。候補は
− C H = C H C H 2 C H 3 (シスとトランスの2つ)、− C H = C ( C H 3 ) 2
シス・トランスの組が F と G なので、残りの − C H = C ( C H 3 ) 2 が H。
条件 (6) でも確かめる。H に水素をつけると − C H 2 C H ( C H 3 ) 2 。ウの候補のうち、水素をつけて同じ形になるのは − C H 2 C ( C H 3 ) = C H 2 だけなので、これが E。残る − C H 2 C H 2 C H = C H 2 が A と決まる。
カ ケトンになるのは、O のついた炭素が C=C の炭素で、水素をもたない形 − C ( R ′ ) = C ⋯ 。OH がつくと C=O が鎖の途中にでき、ケトンになる。候補は
− C ( = C H 2 ) C H 2 C H 3 、− C ( C H 3 ) = C H C H 3 (シスとトランスの2つ)
J と K がシス・トランスの組なので、シス・トランスがない − C ( = C H 2 ) C H 2 C H 3 (C=C の片方の炭素に H が2つついているので、入れかえても同じ)が I。
キ L は C=C をもたないので、R は炭素4個の輪を含む形。候補は、シクロブチル(4つの炭素の輪)、シクロプロピルメチル(3つの輪 + C H 2 )、1-メチルシクロプロピル、2-メチルシクロプロピル。
条件 (7):加水分解してできるアルコールを酸化するとケトンになる → 第二級アルコール (OH のついた炭素に炭素が2つ)でなければならない。シクロプロピルメチルのアルコールは第一級(アルデヒドになる)、1-メチルシクロプロピルのアルコールは第三級(酸化されにくい)なので外れる。
残る2つのうち、2-メチルシクロプロピルは輪の上の2つの炭素が不斉炭素になる。条件 (4) で L は不斉炭素をもたないので、これも外れる。こうしてシクロブチルの形が残る。
答え 酢酸シクロブチル(4 つの炭素の輪に O C O C H 3 がついた形)
ク M と S を見比べると、変わっているのは次の所:
OH をつける反応(E1〜E3)が3回で、22・23・2 位の3か所。残りの3回(酸化 E4 が1回、還元 E5・E6 が2回)が 3 位にかかわる。還元が2回あるのは、3 位を「還元で上向き OH → 酸化で C=O に戻す → 還元で下向き OH」 と遠回りするから。
図の構造式を見ると、2 と 4 は 3 位が上向き OH、1 は 3 位が C=O なのに 22・23 位に OH がある、3 は 3 位が下向き OH で 22・23 位に OH がある。
最初の還元で上向き OH にした物で側鎖に OH がないのが 2(N)。22 位に OH が1つついたのが 4(O)。23 位にもついて OH が3つになったのが P。ここで 3 位を酸化して C=O に戻したのが 1(Q)、下向きに還元したのが 3(R)。最後に 2 位に OH がついて S になる。P と R に OH が3つある、という手がかりとも合う。
ケ 還元剤で M の 3 位の C=O を OH にすると、OH が上向きの物と下向きの物の2つができる。
上向き OH の物は、構造式 2 そのもの、つまり N と同じ化合物。これは流れ作業の途中に入って、残りの酵素で S まで進む。
下向き OH の物は、M〜R のどれとも同じではない。酵素は「M〜R 以外の化合物を相手にしない」ので、どの酵素にも反応してもらえず、そのまま残る。だから最後に残るステロイドは、S と、この下向き OH の物(M の 3 位の C=O を下向き OH にした形)の2種類。
酵素は場所だけでなく、分子全体の形で相手を選んでいる。だから同じ「3 位の OH」でも、向きが違うだけで流れに乗れない。
答え S と、M の 3 位の C=O を下向き(点線)の OH にした化合物(構造式 2 の 3 位の OH が下向きの形)
コ E1 がなくなると、E1 が受けもっていた1段だけが止まり、その手前の物がたまる。ところが、E1〜E3 のどれが「22 位」「23 位」「2 位」のどの OH つけを受けもつかは、問題文から決められない。
そこで場合分けする(還元の E5・E6 はどちらもあるので、影響しない)。
E1 が 22 位を受けもつ → N→O が止まり、N がたまる。
E1 が 23 位を受けもつ → O→P が止まり、O がたまる。
E1 が 2 位を受けもつ → R→S が止まり、R がたまる。