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物 理
第1問 質量 の箱が摩擦のない滑らかな水平面上に静止していたとする。この箱を,時刻 から移動させ始めてちょうど時刻 に距離 だけ離れた地点を通過させることを考えよう。A,B,Cの3人がそれぞれ別々の力の加え方をして箱を移動させた。Aの箱は最初から最後まで一定の加速度で運動した。Bの箱は距離 の中間地点まで一定の加速度で加速し,中間地点以降はその時の速度で等速度運動をした。Cはばねを用いて移動させた。図1のように,ばねが自然長の状態で箱がゴール地点にあるようにセットし,そこからばねを長さ だけ縮めて初速 で離した。A,B,C全ての場合において,箱は時刻 で静止した状態から動き始め,一直線上を同じ向きに進み,時刻 にスタート地点から同じ距離 だけ離れた地点を通過した。
Ⅰ Cが用いたばねのばね定数 を , を用いて表せ。
Ⅱ A,B,Cそれぞれの場合について,箱の速さ を時刻 の関数としてグラフにし,各々の場合の時刻 における速さ を , を用いて表せ。
Ⅲ A,B,Cそれぞれの場合について,時刻 までに箱にした仕事を ,, を用いて表し,どの場合が最も仕事が少なかったか答えよ。またそれぞれの場合について,箱にした仕事とⅡで求めた速さ との関係を求めよ。
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Ⅳ 箱を静止した状態から動かし始め,最小の仕事でちょうど時刻 に距離 だけ離れた所を通過させるための力の加え方を求めたい。ただし,箱に加えることのできる最大の力を とし, はA,B,Cの加えたどの力よりも大きいとする。また運動の向きと逆向きの力を加えることはないとする。箱にする仕事が最小の場合について,箱に加えた力 の時間変化をグラフにし,時刻 までに箱にした仕事を答えよ。
図1
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第2問 図2—1のように,電圧を自由に変えられる直流電源とコンデンサーAおよびコンデンサーBを直列につなぎ,コンデンサーAと並列にネオンランプをつなぐ。このネオンランプは図2—2に示す電圧—電流特性を持ち,端子間にかかる電圧が に達すると点灯する。点灯したネオンランプは,電圧が を下回っても発光を続けるが,電圧が まで下がると消灯する。なお,ネオンランプの電気容量は無視できるものとし,コンデンサーA,Bの電気容量をそれぞれ , で表す。
Ⅰ すべてのコンデンサーを放電させた後,電源電圧 を から少しずつ上げていくと,ある電圧 でネオンランプが点灯し,その後,消灯した。以下の問に答えよ。ただし,答は ,,, を用いて表せ。また,ネオンランプが点灯してから消灯するまでの間,電源電圧は一定であるものとしてよい。
(1) このときの電源電圧 を求めよ。
(2) 点灯直前にコンデンサーA,Bに蓄えられていた静電エネルギーをそれぞれ , とおき,消灯直後にコンデンサーA,Bに蓄えられている静電エネルギーをそれぞれ , とおく。この間の静電エネルギーの変化 および を求めよ。
(3) 電源は,電源内で負極から正極へ電荷を運ぶことにより,ネオンランプおよびコンデンサーにエネルギーを供給している。また,ネオンランプが点灯してから消灯するまでの間に電源が運んだ電荷の量は,この間にコンデンサーBに新たに蓄えられた電荷の量と等しい。ネオンランプが点灯してから消灯するまでの間に電源が供給したエネルギー を求めよ。
(4) 点灯してから消灯するまでの間にネオンランプから光や熱として失われたエネルギー を求めよ。
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Ⅱ ネオンランプの消灯後,さらに電源電圧 を から少しずつ上げていくと,ある電圧 でネオンランプが再び点灯し,その後,消灯した。以下の問に答えよ。
(1) 問Ⅰにおいて,点灯してから消灯するまでの間にネオンランプを通過した電荷の量を とする。電源電圧 が を超えて に達するまでの間,コンデンサーAにかかる電圧 を ,,, を用いて表せ。ただし,この間,ネオンランプに電流が流れることはないため,図2—1の回路は図2—3の回路と等価である。また,電荷がコンデンサーを通り抜けることはないため,コンデンサーA,Bに蓄えられている電荷をそれぞれ , とおけば,コンデンサーAの下側の極板とコンデンサーBの上側の極板をつないだ部分に蓄えられた正味の電荷の量 は によらず一定であり, と等しいことを用いてよい。
(2) 点灯時の電源電圧 を ,,, を用いて表せ。
図2—1
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図2—2
図2—3
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第3問 図3—1のように,十分な高さ をもった,断面積 の円筒容器に モルの気体を入れて密閉し,気体の絶対温度を一定の値 に保つ。このとき,一様な重力の作用下では,気体の密度は容器の底に近いほど大きく,密度に勾配のある状態になる。容器の底から測った高さを ,単位体積あたりの気体のモル数を とすれば, は の関数とみなすことができ,関係式
がよい近似でなりたつ。ここで, は高さの差であり, は高さ によらない比例係数である。 は十分小さいものとする。また,気体1モルあたりの質量を ,気体定数を ,重力加速度の大きさを とする。
Ⅰ 容器内の気体を理想気体とみなして,以下の問に答えよ。
(1) 高さ における気体の圧力を とする。 を , および を用いて表せ。
(2) 図3—2のように,高さ の位置にある,厚さ ,断面積 の気柱に注目する。ここで,高さ , における気体の圧力はそれぞれ , である。また,気柱内の の変化は十分小さく,気柱内の気体のモル数は で与えられるものとする。この気柱にはたらく鉛直方向の力のつり合いを表す式を与えよ。
(3) 上の(1),(2)の結果から,関係式(*)の係数 を ,, および を用いて表せ。
(4) 気体の温度が一様に の場合に,単位体積あたりの気体のモル数 が 減少するような高さの差 を求めよ。ただし,気体1モルあたりの質量は ,気体定数は ,重力加速度の大きさは とする。
(5) 容器の底と上端での単位体積あたりの気体のモル数の差 を ,,,, および を用いて表せ。
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Ⅱ 図3—3のように,軽くて変形しない小さな物体を容器内の気体の中に入れておいたところ,やがて高さ の位置で静止した。物体の体積を ,質量を として,以下の問に答えよ。
(1) 高さ における単位体積あたりの気体のモル数 を , および を用いて表せ。
(2) 物体が高さ にあるとき,物体にはたらく力 の大きさを ,, および を使って表し,また,その向きを答えよ。ただし, は十分小さく,関係式(*)がなりたつものとしてよい。
図3—1
図3—2
図3—3
第1問 同じ時間で同じ距離、一番らくな押し方
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方
なめらかな床の上で、止まっている箱を動かして、ちょうど時刻 に距離 の所を通らせる。A・B・C の3人は押し方がちがうが、「同じ時間で同じ距離」は同じ。どの押し方がいちばん仕事が少なくてすむか、を比べる問題。
速さのグラフの面積=進んだ距離。横を時刻、たてを速さにしたグラフでは、0 から までの下の面積が 。3人とも面積は同じ。
仕事と運動エネルギーの関係。摩擦が無いので、箱にした仕事は全部、箱の運動エネルギーになる。だから仕事は最後の速さ だけで決まる:。
この2つを合わせると、「面積 を保ったまま、最後の高さ をいちばん低くする」問題になる。
Ⅰ
C の箱は、ばねが 縮んだ所から放され、ばねが自然長になる所(ゴール)まで進む。これは単振動の端から真ん中までで、ちょうど 周期。
Ⅱ A
一定の加速度 で、時間 に距離 進むので
速さは で、グラフは原点を通る直線。面積は底辺 ・高さ の三角形なので、 からも が出る。
Ⅱ B
加速を終える時刻を 、そのときの速さを とする。前半の三角形の面積が 、後半の長方形の面積が :
2つを比べると で、。これを入れると 、加速度は 。
グラフは まで直線で上がり、あとは横ばい。距離では半分の所なのに、時間では の所で加速を終えている。
答え, ,
Ⅱ C
ゴールの位置を原点にすると、箱の位置は 、ただし 。Ⅰより 。
速さは 。グラフは正弦曲線の 周期分で、最初は急に、だんだんゆるやかに上がり、(ばねが自然長)でいちばん速くなる。
答え,
Ⅲ
摩擦が無いので、箱にした仕事は箱の運動エネルギーの増え方に等しい:
Ⅱの を入れて比べる。 は A が 、B が 、C が なので、B がいちばん小さい。
速さのグラフで見ると、B は早めにある速さまで上げて、あとは横ばい。同じ面積を「背の低い、横に長い」形で作れるので、最後の高さが低くてすむ。
答え, , 最小は, いずれも
Ⅳ
Ⅲの考え方をおし進める。仕事は なので、 をいちばん小さくしたい。条件は:
・逆向きの力を加えないので、速さは下がらない(グラフは右上がりか横ばい)。
・力は 以下なので、グラフの傾き(加速度)は 以下。
最後の高さを低くしたまま面積を にするには、はじめのうちに速さをかせいでおくのがよい。だから最初に全力 で押し、あとは力を 0 にして流すのが最善。
全力で押す時間を 、加速度を とすると、速さは まで上がる。面積の条件は
整理すると 。 のほうの解をとる。力のグラフは、〜 で高さ 、そのあと 0 の、四角い形。
仕事は 。 が B の力と同じなら B と同じ押し方になり、 が大きいほど仕事は小さくなる。
答え, , ,
第2問 コンデンサー2つとネオンランプ(とびとびに光る)
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方
電源にコンデンサー A と B を直列につなぎ、A と並べてネオンランプをつないだ回路。ランプは電圧が になると光り、光っている間は A の電気を流して A の電圧を下げ、 まで下がると消える。
光っていない間はランプに電流が流れないので、ただの「コンデンサー2つの直列」。直列のコンデンサーは、A の下の極板と B の上の極板をつないだ部分(まわりから切りはなされた島)の電荷が変わらない、というのがカギ。ランプが光ると、この島にランプを通って電荷が流れこむ。
エネルギーの出入りは、「電源が出したもの = コンデンサーのエネルギーの変化 + ランプで光や熱になったもの」で整理する。
Ⅰ(1)
最初はどちらのコンデンサーも空で、ランプは消えている。直列なので、A と B にたまる電荷は同じ 。電圧の合計が電源の電圧:
A の電圧は 。電圧は容量の逆の比で分かれる。これが になったとき光るので、 が決まる。
Ⅰ(2)
光っている間、電源の電圧は のまま。A の電圧は から に下がり、B の電圧は から に上がる(合計はいつも )。
を使って を消せば、答えの形になる。A はエネルギーを失い、B はふえる。
答え,
Ⅰ(3)
電源が電荷 を運ぶと、電源がするエネルギーは (電圧 × 電荷)。運んだ電荷は B に新しくたまった電荷に等しく、B の電圧が ふえたので
答え
Ⅰ(4)
エネルギーの行き先を合わせる:電源が出した は、コンデンサーのエネルギーの変化と、ランプで失われた分に分かれる:
を計算する。 はまとめると になり、 も同じ形なので、きれいに足し合わさる。
答えは と と容量だけで決まり、ランプの中の電流の流れやすさ(図2—2 の光っているときの線の傾き)にはよらない。変わるのは光っている時間だけ。
答え
Ⅱ(1)
光っていない間は図2—3の回路と同じで、島の電荷 は一定で 。、 を入れると
の大きさは、Ⅰの消灯直後の値で求まる:、 から
(島ははじめ電荷 0 だったので、これがランプを通った電荷。)
答え
Ⅱ(2)
(1) の が になったとき再び光る:
で、電源の電圧を上げ続けると、同じ間隔で何度も光る(光っている短い間は電源の電圧が変わらないとみなせるくらい、ゆっくり上げる場合。光っている間にも電圧がどんどん上がるほど速く上げると、間隔が広がり、もっと速いと光りっぱなしになる)。A の電圧をグラフにすると、のこぎりの歯の形になる。
第3問 背の高い容器の気体と、浮かぶ物体
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方
背の高い容器の中の気体は、温度が一様でも、重力のせいで下ほど濃くなる。この問題では、少し登るごとに濃さが「同じ割合」でへる(関係式(*))ことを、理想気体の状態方程式と、うすい気体の層の力のつり合いから導く。
考え方は、水圧と同じ。ある高さの圧力は、それより上にある気体の重さを支えている。だから下ほど圧力が大きく、温度が同じなら圧力に比例して濃さも大きい。
後半Ⅱは、気体の中に浮かぶ小さな物体。浮力(まわりの気体に押し上げられる力)が、その高さの気体の濃さで決まることを使う。
Ⅰ(1)
体積 の中に モルの理想気体があれば 。1体積あたりのモル数は なので、両辺を で割れば が で表せる。
Ⅰ(2)
厚さ の気体の層(気柱)にはたらく上下の力は3つ。
下の面を下から押し上げる力:(上向き)。
上の面を上から押し下げる力:(下向き)。
層の重さ:モル数 に 1モルの質量 と をかけて (下向き)。
気体は止まっているので、この3つがつり合う。上向きを正として足し合わせたものが 0。
答え
Ⅰ(3)
温度は一様なので、(1) から 。これを入れて で割ると
関係式(*)とくらべれば が読みとれる。重い気体ほど、温度が低いほど、高さとともに急にうすくなる。
Ⅰ(4)
(*)から、 がへる割合は 。これが になる高さの差なので
温度は を絶対温度に直して K。数値を入れて有効数字2桁にする。
答え
Ⅰ(5)
(2) の力のつり合いを、容器の底から上端まで、全部の層について足し合わせる。となりあう層の間の圧力は打ち消し合い、残るのは底と上端だけ:
(容器の中の気体は全部で モル。)(1) で を入れて、 について解けばよい。
底と上端の濃さの差は、濃さの分布の形によらず、気体全体の重さだけで決まる。
Ⅱ(1)
物体が止まっているのは、浮力と重力がつり合っているとき。浮力は「物体がおしのけた気体の重さ」で、高さ の気体の密度(1体積あたりの質量)は なので
これを について解けばよい。物体の密度 と、まわりの気体の密度が等しい高さで止まる、ということ。
Ⅱ(2)
物体が だけ上にずれると、まわりの気体は(*)により にうすくなる。浮力も同じ割合で小さくなり
重力 との差が合力で、重力のほうが大きいので下向き。
ずれ に比例して、もとの高さへもどす力がはたらく。ばねと同じ形なので、物体は のまわりで往復運動をする。その往復の時間は、物体の重さにも大きさにもよらない。