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物 理
第1問 太陽系以外で,恒星の周りを公転する惑星が初めて発見されたのは1995年である。以来,すでに150個以上の太陽系外惑星が発見されている。この太陽系外惑星の検出原理は,質量 の恒星と質量 の惑星()が,互いの万有引力だけによってそれぞれ運動している場合を考えれば理解できる。この場合,惑星は一般には楕円軌道上を運動することが知られている。しかしここでは図1に示すように,惑星がある定点Cを中心とした半径 の円周上を等速円運動しているとする(ただし,図1には恒星を図示していないことに注意)。万有引力定数を とし,恒星および惑星の大きさは無視する。
Ⅰ 図1のように,惑星が反時計回りに公転しているものとする。惑星に働く向心力は恒星による万有引力であることを考えて,以下の問に答えよ。
(1) 恒星,惑星,点Cの互いの位置関係を,理由とともに述べよ。
(2) 恒星と点Cとの距離,惑星の速さ ,恒星の速さ を求めよ。
(3) 惑星の公転軌道面上において, に比べて十分遠方にあり,点Cに対して静止している観測者を考える。図1のように惑星が角度 の位置にあるとき,惑星の速度の視線方向成分 を, と を用いて表せ。ただし,観測者に対して遠ざかる向きを の正の向きに選ぶものとする。
(4) 時刻 において,惑星が の位置にあったとする。また,惑星の公転周期を ,恒星の速度の視線方向成分を とする。 と を の関数として,その概形を の範囲でグラフに描け。ただし,観測者に対して遠ざかる向きを と の正の向きに選ぶものとする。
Ⅱ 惑星からの光は弱すぎて観測することは困難である。しかし,恒星からの光を観測することによって,惑星の存在を知ることができる。この間接的な惑星検出方法では,運動する恒星が発する光の波長は,音源が動いた場合の音の波長と同様に,ドップラー効果によって変化することを利用する。ここでは,恒星が静止している場合には波長 の光を発するものとして,以下の問に答えよ。
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(1) 惑星が角度 の位置にあるときに恒星が発する光を観測者が測定したところ,波長は であった。光速度を として,波長の変化量 を の関数として求めよ。
(2) Ⅱ(1)で求めた は時間変動する。 の範囲で の最大値が 以上であれば,現在の観測技術で の時間変動を検出することができる。このことから,惑星の存在を知ることが可能であるために が満たすべき条件式を求めよ。
(3) Ⅱ(2)において,恒星が太陽質量 ,惑星が木星程度の質量 をもつものとする。この惑星が検出可能であるために公転周期 が満たすべき条件を,有効数字1桁で表せ。ただし,, とする。
図1
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第2問 真空放電による気体の発光を利用するネオンランプは,約 以上の電圧をかけると放電し,電流が流れ点灯する。したがって,起電力が数 の乾電池のみでネオンランプを点灯させることはできない。しかし,コイルおよびスイッチと組み合わせることにより,短時間ではあるがネオンランプを点灯させることができる。
ここでは,図2—1の電圧—電流特性をもつネオンランプを起電力 の乾電池で点灯させることを考える。図2—2のように,乾電池,コイル,およびスイッチを直列につなぎ,ネオンランプをコイルと並列につなぐ。コイルの自己インダクタンス を ,コイルの抵抗を ,乾電池の内部抵抗を ,ネオンランプの端子Bを基準とする端子Aの電位を として,以下の問に答えよ。ただし,ネオンランプに流れる電流の大きさは,端子A,Bのどちらが正極であっても図2—1で与えられるとする。また,ネオンランプの電気容量,コイル以外の回路の自己インダクタンスは無視できるほど小さく,ネオンランプの明るさはネオンランプを流れる電流の大きさに比例するものとする。
Ⅰ 時刻 に回路のスイッチを入れたが,ネオンランプは点灯しなかった。
(1) スイッチを入れた直後の の大きさと符号を求めよ。
(2) スイッチを入れてしばらくすると,回路を流れる電流は一定となった。このときコイルを流れる電流の大きさ,および の大きさと符号を求めよ。
Ⅱ 回路を流れる電流が一定になった後,時刻 にスイッチを切った。その後,ネオンランプは図2—3のように時間 だけ点灯した。
(1) 点灯が始まった直後にネオンランプを流れる電流の大きさを求めよ。
(2) 図2—1を利用して,ネオンランプの点灯が始まった直後の の大きさと符号を求めよ。
(3) ネオンランプの点灯が始まった直後,および点灯が終わる直前にコイルに生じている誘導起電力の大きさを,それぞれ求めよ。
Ⅲ ネオンランプの点灯時間 のおおよその値を求めたい。計算を簡単にするため,点灯中にコイルに生じている誘導起電力の大きさは一定値 であると近似する。
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(1) 点灯が始まった直後にネオンランプを流れる電流の大きさを とする。点灯時間 を ,, を用いて表せ。
(2) Ⅲ(1)の結果に ,, の値を代入し,点灯時間 を有効数字1桁で求めよ。ただし, の値はⅡ(3)の結果を参考にして,適当に定めてよい。
図2—1
図2—2
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図2—3
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第3問 図3のように,密閉されたガラス容器(容積 )のなかに,導電性のワイヤで吊り下げた金属の板(面積 )と電子銃が取り付けられている。電子銃からは電子が初速度 で出る。その電子は電圧 で加速されて板に垂直に衝突する。この容器には,気体分子同士の衝突を考えなくてよいほど希薄な気体( モル)が存在している。電子銃から出た電子は,直接板に力を与える以外に,気体分子を介して間接的に別の力を板に及ぼす。それぞれの力を求めるため,気体は理想気体の状態方程式に従うものとして,以下の問に答えよ。電子の電荷と質量をそれぞれ ,,気体分子の質量を ,アボガドロ数を ,気体定数を とする。また,図3のように,電子銃から板に垂直に向かう方向を 軸,それと直交する2方向を 軸, 軸とする。ただし,電子銃,板,ワイヤの体積は無視してよいものとする。
図3
Ⅰ まず,電子銃から出た電子が板に直接与える力を求めよう。ただし,すべての電子は板に垂直に衝突し,板で反射されることなく吸収されるものとする。
(1) 電子銃から出て加速された1個の電子が,板に衝突する際に板に与える力積を,,, を用いて表せ。
(2) 電子の流れ(電子線)によって生じる電流が であるとき,板の表面に垂直に加わる平均の力 を,,,, を用いて表せ。
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Ⅱ 次に,電子線を照射していない状態で,気体分子が板に及ぼす力を考えよう。状況を簡単化して,気体分子の は 軸方向に, は 軸方向に,残る は 軸方向に,それぞれ同じ速さ で運動しているものとする。また,それぞれの軸方向に運動する分子の半数ずつは互いに反対向きに運動しているものとする。
(1) 単位時間に板の片側に入射する気体分子の数を,,,,, を用いて表せ。
(2) 気体分子と板の衝突が弾性衝突のとき,気体が板に及ぼす圧力 を,,,,, を用いて表せ。ただし,板は十分重くて動かないものとする。
(3) 理想気体の状態方程式を利用して, を ,, および気体の絶対温度 を用いて表せ。
(4) 実際には,気体分子と板の衝突は弾性衝突ではなく,むしろ完全非弾性衝突となることが多い。そのような気体分子は,板に衝突して板の表面に一旦吸着される。しかし,吸着された分子は再び表面から放出され,単位時間に板に入射し吸着される分子数と板から放出される分子数がつりあった状態になる。板の表面の温度が であるとき,吸着された分子はⅡ(3)の を に置き換えた速さで板の表面から垂直に放出されるものとする。ここでは とし,入射するすべての分子が板とこのように完全非弾性衝突するとして,気体分子が吸着・放出によって板に及ぼす圧力を,,,,, を用いて表せ。ただし,吸着による気体中の分子数の減少は無視できるものとする。また,板は動かないものとする。
Ⅲ 電子線照射によって板に間接的に加わる別の力を考えよう。
(1) 電子線を照射していると,入射電子の運動エネルギーによって照射面の温度 は反対側の面の温度 より, だけ上昇する。この場合,単位時間に板に入射し吸着される分子数と板から放出される分子数がつりあった状態でも,両面に気体分子が及ぼす圧力に差が生じ,板には力 が加わる。その理由と力 の向きを答えよ。ただし,板に入射する気体分子の温度 と,電子照射面の反対側の面の温度 は等しく,電子線照射前と変わらないものとする。
(2) Ⅲ(1)の力 を,,, および電子線照射前の圧力 を用いて表せ。ただし,温度上昇 は十分小さく,電子照射面では一様とする。また, が より十分小さいときに成り立つ近似式 を用いてよい。
第1問 恒星のふらつきで見えない惑星を見つける(視線速度法)
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方
恒星と惑星がおたがいの万有引力だけで回るとき、恒星も止まってはいない。惑星に引っぱられて、恒星も小さな円をえがいてふらつく。惑星そのものは暗すぎて見えなくても、恒星のふらつきを光のドップラー効果(近づく光は波長が短く、遠ざかる光は長く見える)でとらえれば、惑星があると分かる。これが「視線速度法」とよばれる、太陽系の外の惑星の見つけ方。
重心は動かない:2つの星に外から力がはたらかないので、2つの重心は止まったまま(または等速)。2つの星は重心のまわりを、同じ周期で、いつも重心をはさんで反対側にいるように回る。
円運動の運動方程式:惑星の向心力は恒星からの万有引力。距離は「惑星と恒星の間の距離」で、円の半径 ではないことに注意。
速度の視線方向の成分:観測者に向かう向き・遠ざかる向きの成分だけがドップラー効果を起こす。
Ⅰ(1)
2つの星に外から力ははたらかないので、重心は動かない。惑星は C を中心に等速円運動しているので、C は動かない点、つまり2つの星の重心だと考えられる。
重心は、2つの星を結ぶ線分の上で、2つの間を質量の逆比に分ける点。だから恒星・C・惑星は一直線にならび、C をはさんで恒星は惑星の反対側にいる。
向心力の見方でも同じ:惑星にはたらく力は恒星からの万有引力だけで、それが円の中心 C を向いているので、恒星は「惑星から見て C の方向」にいる。
答え恒星・C・惑星は一直線上にあり、C をはさんで恒星と惑星が反対側にある。C は2つの重心(外から力が働かないので重心は止まったまま、惑星の円の中心がその重心)
Ⅰ(2)
重心 C は、惑星と恒星を結ぶ線分を質量の逆比に分ける。惑星から C まで なので
恒星は同じ周期で半径 の円を回るので、速さは半径に比例して (運動量が等しく 、と見ても同じ)。
答え恒星と C の距離 , ,
Ⅰ(3)
視線方向は、図の観測者から C へ向かう向き(右向き)。惑星は C から見て観測者の側から だけ回った位置にいて、反時計回りに動いている。
速度は円の接線の向きで、C から惑星へ引いた半径に垂直。半径が視線から 傾いているので、接線の向きも視線に垂直な向きから 傾いている。だから視線方向の成分は の大きさ。
向きを確かめる:図の位置(C の左下)から反時計回りに進むと、惑星は右へ(観測者から遠ざかる向きへ)動いているので、 が小さい正のときに 。
Ⅰ(4)
等速円運動なので、角度は時間に比例してふえる:。Ⅰ(3) に入れると、惑星の視線速度は で 0 から始まる正弦曲線。
恒星はいつも C をはさんで惑星の反対側にいるので、速度もいつも惑星と逆向き。だから恒星の視線速度は、惑星のグラフを上下さかさまにして、高さを 倍にした正弦曲線になる。
でちょうど1周期分。2つのグラフは同じ時刻に 0 を通り、山と谷がいつも反対。
答え, (上下さかさまの正弦曲線。振幅は と )
Ⅱ(1)
恒星が視線方向に速さ で遠ざかりながら光を出すと、1回ゆれる時間 の間に、恒星は だけ遠ざかる。音源が動くときと同じで、波と波の間隔(波長)がその分だけのびる:
よって 。恒星の視線速度は (Ⅰ(4) と同じ)で、 はⅠ(2) の式。
答え
Ⅱ(2)
の最大値は 。これが 以上であればよい:
両辺を2乗して について解く。 は分母にあるので、条件は「 がある値以下」になる。
惑星が恒星に近いほど、速く回って恒星を大きくゆらすので、見つけやすい。
Ⅱ(3)
Ⅱ(2) の境目の に数値を入れる。 なので 、、:
このとき恒星の速さは ちょうど、惑星の速さはその約 1000 倍の 。周期は円周÷速さ:
が小さいほど も短いので、条件は「 がこの値以下」。有効数字1桁にまとめる。
約1年。本物の木星(約12年で1周)はこの条件に入らず、この方法では見つからない。
答え(約1年。計算では s)
第2問 9 V の電池とコイルでネオンランプを光らせる
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方
80 V 以上かけないと光らないネオンランプを、9 V の電池で光らせる問題。回路は「電池(内部抵抗 10 Ω)→ スイッチ → コイル(1 H、抵抗 35 Ω)」を1つの輪にして、ネオンランプをコイルと並べてつないだもの。
鍵はコイルの性質。コイルは電流が急に変わるのをいやがる:電流を変えようとすると、変化をじゃまする向きに誘導起電力 が生まれる。だからスイッチを切っても、コイルの電流はその瞬間には同じ大きさで流れ続けようとする。電池の道が切れているので、その電流の行き先はネオンランプしかない。ランプにその電流を流すのに必要な高い電圧を、コイルが自分で作り出す。
ランプの電流と電圧の関係は図2—1のグラフで決まる(80 V より下では電流 0、それより上で急にふえる)。
Ⅰ(1)
スイッチを入れた直後、コイルの電流は 0 から急にはふえられないので、まだ 0。ランプも 80 V より下では電流が流れない。だから回路のどこにも電流が流れていない。
電流が 0 なら、電池の内部抵抗でもコイルの抵抗でも電圧は下がらない。A・B の間には電池の起電力がそのままかかる。図2—2で A は電池の+極側につながっているので、 は正。
答え(電流 0 なので内部抵抗での電圧の下がりもない)
Ⅰ(2)
しばらくすると電流は一定になり、コイルの誘導起電力は 0 になる(電流が変わらないから)。コイルはただの 35 Ω の抵抗として働く。ランプは 9 V では光らず電流 0 なので、電流は電池とコイルの輪だけを回る:
A・B の間の電圧は、コイルの抵抗での電圧の下がり (電池の内部抵抗の分だけ 9 V より小さい、と見ても同じ)。
A・B の間の電圧は 9 V をこえないので、スイッチを入れている間ランプは光らない。
答え,
Ⅱ(1)
スイッチを切った瞬間、コイルの電流は急には変わらず、Ⅰ(2) の電流のまま流れ続ける。電池の道は切れているので、その電流は全部ネオンランプを通って、コイル → ランプ → コイルの輪を回る。
だから点灯が始まった直後のランプの電流は、コイルに流れていた電流と同じ大きさ。
Ⅱ(2)
図2—1で、電流 0.20 A のところの電圧を読むと、約 103 V。
符号を決める:スイッチを入れていたとき、コイルの中の電流は A 側から B 側へ流れていた(A が電池の+極側)。切った後もコイルの中は同じ向きに流れ続けるので、輪をまわってランプの中では B から A へ流れる。ランプの中を B→A に流れるには B の方が電位が高くなければならないので、 は負。
答え(図2-1 で 0.20 A のとき約 103 V。ランプの中を B→A に流れるので B の方が高い)
Ⅱ(3)
スイッチを切った後の輪は、コイル(誘導起電力 と抵抗 35 Ω)とランプだけ。誘導起電力は、ランプの電圧とコイル自身の抵抗での電圧の下がりを合わせたものをまかなう:
直後は 、ランプの電圧は約 103 V なので、。
点灯が終わる直前は、ランプの電流がほぼ 0 になり、ランプの電圧は光り始めのぎりぎりの 80 V。コイルの抵抗での下がりもほぼ 0 なので、起電力は約 80 V。
9 V の電池しかないのに、コイルは 100 V をこえる電圧を作っている。電池ではなく、コイルにためたエネルギー がランプを光らせる。
答え直後 , 終わる直前
Ⅲ(1)
誘導起電力の大きさが一定の だとすると、コイルの式 から、電流は一定の割合 で減っていく。
から 0 まで、まっすぐ減るのにかかる時間が点灯時間:
Ⅲ(2)
Ⅱ(3) より、起電力は点灯の間に約 110 V から 80 V まで変わる。その間くらいの値として ととる。
有効数字1桁にまとめる。 を 80 V や 110 V にしても 1.8〜2.5 ms で、どれもおよそ 2 ms(1000 分の 2 秒)前後になる。
コイルの を大きくすると、ランプの電圧(明るさの始まり)は変わらずに、光る時間だけが に比例して長くなる。
第3問 電子線を当てた金属板を、電子と気体の分子が押す力
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方
うすい気体の入った容器の中に金属の板をつるし、電子線を当てる問題。板を押す力が2種類ある。
電子が直接押す力(Ⅰ):電子が板にぶつかって吸いこまれるとき、持っていた運動量を板に渡す。1秒あたりに渡す運動量が、板を押す力。
気体の分子が押す力(Ⅱ・Ⅲ):分子が板に当たってはね返る(または、いったんくっついてから飛び出す)ときの反動。1回の力積×1秒あたりに当たる数が力になる。これが気体の圧力の正体。
電子線で板の片面だけが温まると、その面から飛び出す分子が速くなり、反動が大きくなる。両面で押す力に差が出て、板が押される(Ⅲ)。「1秒に当たる数」は両面で同じなのに、「1回の力積」がちがう、というのがこの問題の山場。
Ⅰ(1)
電子は初速 0 から電圧 で加速されるので、電場がした仕事 が運動エネルギーになる:
板に吸いこまれると電子の運動量 は 0 になり、その分が板に渡される。 に入れると答えになる。
Ⅰ(2)
電流 は1秒あたりに運ばれる電気の量なので、1秒あたりに板に当たる電子の数は 。
Ⅱ(1)
気体の分子の数は 個で、1 m³ あたり 個。このうち板の片側に向かって 方向に動いているのは、( 方向)の半分(片方の向き)で 。
1秒の間に板に当たるのは、板から距離 以内にいて板に向かっている分子。その体積は なので、数は
・ 方向に動く分子は板と平行に動くので当たらない。
Ⅱ(2)
弾性衝突では、分子は速さ のまま向きだけ逆になるので、1回の衝突で板に渡す力積は 。1秒あたりに当たる数(Ⅱ(1))をかけると板を押す力、それを面積 で割ると圧力:
Ⅱ(3)
Ⅱ(2) の を理想気体の状態方程式 に入れる:
これを について解く。分子が重いほど、同じ温度では遅い。
Ⅱ(4)
くっついて止まるときに、分子は運動量 を板に渡す。次に飛び出すとき、板の温度 に対応する速さ(Ⅱ(3) の式、つまり同じ )で飛び出すので、その反動でさらに を板に渡す。
1個あたり合わせて で、弾性衝突と同じ。入る数と出る数はつり合っているので、1秒あたりの数もⅡ(1) と同じ。だから圧力はⅡ(2) と同じになる。
はね返り方がちがっても、板の温度がまわりの気体と同じなら、圧力は同じ。
Ⅲ(1)
両面とも、当たって吸着される分子の数と、飛び出す分子の数はつり合っている。当たってくる分子は、どちらの面でも温度 の気体から来るので、1秒あたりの数も、くっつくときに渡す力積 も両面で同じ。
ちがうのは飛び出すとき。電子線を当てた面は温度が と高いので、そこから飛び出す分子は反対側の面(温度 )から飛び出す分子より速い。飛び出す速さは温度の平方根に比例するので、 の 倍になる。飛び出すときの反動の力積がその分大きいので、当てた面の側から板を押す力の方が強い。
だから板は、電子線を当てた面から反対側の面へ向かう向き(電子線と同じ向き)に押される。
答え向き:電子線を当てた面から反対側の面へ(電子線と同じ +x の向き)。理由:両面とも1秒に当たる分子の数と出ていく分子の数は同じだが、当てた面は温度が高く、出ていく分子が速い( 倍)ので、分子を投げ返す反動の力積が大きい
Ⅲ(2)
1秒あたりに片面に当たる数を とすると、両面の力は
Ⅱ(2) より (弾性衝突と同じ力積 で押すときの力が )なので、。これを入れて整理すると答えになる。
小さな力に見えるが、たとえば 1 Pa の気体・板 1 cm²・300 K で片面が 1 K 熱くなるだけで は約 。、 の電子が直接押す力(約 )と同じくらいになる。