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化 学
第1問
以下はマイケル・ファラデーによる1860年のクリスマス・レクチャー「ロウソクの化学」の抜粋である。これを読み,後の問Ⅰ,Ⅱに答えよ。
『レクチャー1—ロウソク:炎とその源・形・動き・光』より
私達は,皆さんがこうして,ここでの催しに関心を持たれて,見に来て下さったことを光栄に思います。そのお礼に,このレクチャーで「ロウソクの化学」をご覧に入れようと思っています。
…(中略)…
気流の向き次第で,炎は上にも下にも向くことをお目にかけましょう。この小さな実験装置で簡単にできます。今度はロウソクではありません。煙が少ないアルコールの炎を使います。ただ,A アルコールだけの炎は見にくいので,別の物質[原注1]で炎に色をつけています。炎を下に吹いてやると,気流が曲がるように細工した,この小さな煙突に,炎が下向きに吸い込まれていくことがわかるでしょう。(図1—1)
図1—1
[原注1]:アルコールに塩化銅(Ⅱ)を溶かしてあった。
『レクチャー2~3—炎の出す光・水の生成・他』より
…(中略)…
この黒い物質は何でしょうか?それはロウソクの中にあるのと同じ炭素です。それは明らかにロウソク中に存在していたはずです。そうでなければここにあるはずがありません。固体の状態を保っている物質は,それ自身が燃える物であろうが,なかろうが,炎の中で明るく輝くのです。
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これは白金製の針金です。高温でも変化しない物質です。B これを炎の中で熱してみると明るく輝いているのがわかるでしょう。炎自身の光が邪魔にならないように,炎を弱くしてみます。それでも炎が白金に与えている熱は—炎自身の熱よりずっと少ないのですが—白金を輝かせています。
…(中略)…
ここにはまた(別のビンを取りながら),オイルランプの燃焼で作られた水があります。1リットル(訳注1)の油をきちんと完全に燃やすと,1リットル以上の水が生成します。C こちらは蜜ロウソクから長い時間をかけて作った水です。このように,ほとんどの燃える物質は,ロウソクのように炎を出して燃える場合,水を生成することがわかります。
『レクチャー4—ロウソクの中の水素・燃えて水に・水の他の成分・酸素』(略)
『レクチャー5—空気中の酸素・大気の性質・二酸化炭素』より
…(中略)…
この物質をたくさん手に入れる,いい方法があります。おかげで,この物質のいろいろな性質を探求することができます。この物質は,ほとんどの皆さんが予想もしない所に大量にあります。D 石灰石はどれでも,ロウソクから発生するこの気体—「二酸化炭素」と言います—を大量に含んでいます。チョーク(訳注2)も貝殻もサンゴも皆,この不思議な気体をたくさん含んでいます。この気体はこういう石の中に「固定」されているのです。
そして,これはとても重い気体です。空気よりも重いのです。その質量を,この表の一番下に書いておきました。私達がこれまでに見てきた他の気体の質量も,比較のために示してあります。
表1—1 標準状態(0 ℃,1 atm)における 28.0 l の気体の質量(訳注1)
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『レクチャー6—炭素/炭・石炭ガス・呼吸—燃焼との類似性・結び』より
ご覧に入れたように,炭素は固体の形のままで燃えます。そして皆さんがお気付きのように,燃えた後は固体ではなくなるのです。このような燃え方をする燃料は,あまり多くはありません。…(中略)…
ここにもう一つ,よく燃える,一種の燃料があります。E ご覧のように空気中に振りまくだけで発火します。(発火性鉛[原注2]の詰まった管を割りつつ)この物質は鉛です。とても細かい粒子になっていて,空気が表面にも中にも入り込めるので燃えるのです。しかし,こうやって(管の中身を,鉄板の上に山のように積み上げる),かたまりにすると燃えないのはどうしてでしょうか?そう,空気が入って行けないのです。まだ下に燃えていない部分があるのに,生成したものが離れてくれないので,空気に触れることができず,使われずに終わってしまうのです。何と,炭素と違うことでしょう! F 先ほどご覧に入れたように,炭素は燃えて,灰も残さずに酸素の中に溶け込んでいきます。ところが,ここには(燃えた発火性鉛の灰を指して)燃やした燃料よりも沢山の灰があります。酸素が一体化した分だけ,重たいのです。これで皆さんは,炭素と鉛や鉄の違いがおわかり頂けたことと思います。
[原注2]:発火性鉛は乾燥した酒石酸鉛をガラス管(片方を封じ,他方を絞っておく)中で,気体の発生がなくなるまで加熱することで得られる。最後にガラス管の開いてあった端をバーナの火で封じる。管を割って中身を空中に振り出すと,赤い閃光を出して燃える。
(Michael Faraday, “The Chemical History of a Candle”, Dover, New York, 2002 より)
(訳注1):原文のヤード・ポンド法による記述は,意図を損なわぬよう書き改めた。
(訳注2):日本では,これと異なる物質でできたチョークも多く使われている。
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Ⅰ 以下の問ア ~エ に答えよ。必要であれば次の原子量を用いよ。
原子量 H : 1.0 ,C : 12.0 ,N : 14.0 ,O : 16.0 ,C a : 40.1 ,P b : 207.2
〔問〕
ア 下線部Aおよび下線部Bで観察した光の説明として最も適切なものをA,Bそれぞれについて,以下の(1)~(5)から選び,その番号を答えよ。
(1) 化合物中の炭素と水素の元素比により波長が異なる発光
(2) 電球のフィラメントなど高温の物質が出す光で,物質の種類によらない
(3) 大気中の微粒子が太陽光を散乱して,空が青く見えるのと同じ現象
(4) 金属原子やそのイオンが,金属に固有の波長の光を放出する現象
(5) 化合物が電離したときに生成する,陰イオンに特有の色
イ 下線部Cの蜜ロウソクの成分は,100 %セロチン酸(分子式 C 26 H 52 O 2 )であるとする。99 g の蜜ロウソクの燃焼から生成する水の質量を求めよ。答に至る計算過程も示すこと。
ウ 下線部Dについて,この固定された二酸化炭素を取り出す方法を一つ,化学反応式を示した上で説明せよ。
エ 表1—1の窒素および二酸化炭素の質量から,窒素および二酸化炭素の分子量を計算し,上記の原子量から計算される分子量と比較せよ。これらの気体は理想気体であるとする。
Ⅱ 下線部Eや下線部Fのようにファラデーは,炭素と鉛の燃え方の違いを述べている。炭素が燃焼するときには,二酸化炭素が散逸するのに対して,鉛が燃焼するときには,酸化生成物が散逸せずに留まっている。鉛の燃焼直後の状態を考察するために,以下の問オ ,カ に答えよ。必要であれば,次の生成熱を用いよ。
生成熱(25 ℃)〔単位:k J · m o l − 1 〕 C O 2 (気):394 ,P b O (固):219 ,P b O 2 (固):274
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〔問〕
オ 燃焼直後の高温状態では,鉛の酸化物中で一酸化鉛(P b O )が最も安定である。鉛が燃焼して,固体の一酸化鉛を生成する反応の熱化学方程式を書け。
カ 燃焼する前の鉛と酸素の温度は 25 ℃であるとし,燃焼反応の反応熱はすべて,生成物の温度上昇と融解と蒸発に使われるものとする。このとき,燃焼直後の生成物の状態は,固体,液体,気体の何れであるか,あるいはこれらの共存状態であるかを記し,その温度を求めよ。生成物が共存状態である場合は,それぞれの物質量の比も記すこと。また,答に至る計算過程も示すこと。
物質 1 m o l の温度を 1 K 上げるために必要な熱量を「モル比熱」と呼び,一般には温度の関数である。ただし,生成物である一酸化鉛については,固体,液体,気体の各状態の範囲内で,ほぼ一定とみなすことができる。その値を,融点,融解熱,沸点,蒸発熱とともに,以下に示す。
モル比熱〔単位:J · K − 1 · m o l − 1 〕 P b O (固):55 ,P b O (液):65 ,P b O (気):38
P b O (固)融点:885 ℃,融点における融解熱:26 k J · m o l − 1
P b O (液)沸点:1725 ℃,沸点における蒸発熱:223 k J · m o l − 1
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第2問
次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。必要があれば下の値を用いよ。
原子量: H : 1.0 C : 12.0 O : 16.0 M g : 24.3 A l : 27.0 S i : 28.1 C l : 35.5 C a : 40.1 F e : 55.8
アボガドロ定数:6.0 × 10 23 m o l − 1
気体定数:8.3 P a · m 3 · K − 1 · m o l − 1 = 0.082 a t m · l · K − 1 · m o l − 1
Ⅰ 次の文章を読み,以下の問ア ~カ に答えよ。
ケイ素は半導体としての性質をもち,コンピュータや太陽電池の材料として使われている。コンピュータの集積回路には,できるだけ純粋で大きなケイ素の結晶が必要であり,以下のような方法で製造されている。
S i O 2 を主成分とするケイ石をコークスとともに加熱し,ケイ素に還元する。得られたケイ素は,鉄,アルミニウム,カルシウムなどの不純物を 0.1 %程度含む。次に,不純物を含むケイ素を塩化水素(H C l )と反応させ,トリクロロシラン(S i H C l 3 ;沸点 31.8 ℃)とした後,蒸留により精製する。①精製した S i H C l 3 を水素(H 2 )で還元し,純粋なケイ素を得る。この純ケイ素は微細な結晶の集まりであるため,②二酸化ケイ素のるつぼのなかで融解し,この中に種となる結晶を入れて,これを徐々に引き上げながら冷却することにより大きなケイ素の結晶(単結晶と呼ぶ)を成長させる。この単結晶を薄い板状に切り出し,基板として用いる。
コンピュータ用の回路には,電気伝導性の高い半導体も必要である。そのためには,上記ケイ素の単結晶(基板)の上に,微量の他元素を添加したケイ素の薄膜を堆積させる。例えば,ケイ素の単結晶を加熱しておき,ここに③シランガス(S i H 4 )とともに微量の気体 A を流すと,単結晶の表面に,気体 A 由来の微量元素を含んだケイ素の薄膜が付着する。この薄膜中では,結晶中のケイ素原子の一部が添加元素と置き換わっている。添加元素は,ケイ素に比べ最外殻電子数が 1 個多く,④余った電子は結晶中を動き回ることができる。そのため,純粋なケイ素に比べて高い電気伝導性を示す。添加元素の量を制御することにより,必要とする電気伝導性をもった半導体を作り出すことができる。
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なお,ケイ素の結晶構造は図2—1のようであり,単位格子は1辺が 0.54 n m の立方体である。また,微量の元素を添加しても,単位格子の大きさは変わらないものとする。
図2—1 ケイ素の単位格子
〔問〕
ア 下線①の化学反応式を書け。
イ 下線②で,金属のるつぼを用いることはできない。この理由を1行程度で述べよ。
ウ 下線③で,気体 A は第3周期の元素と水素との化合物である。気体 A の化学式を記せ。
エ 図2—1の単位格子の中にケイ素原子はいくつ含まれるか。
オ 下線③で,標準状態の S i H 4 ガスを 5.0 m l 流したところ,3.0 c m × 3.0 c m の基板の上に,ケイ素の薄膜が 90 n m 堆積した。流した S i H 4 ガスのうち,何 %が薄膜として堆積したか。有効数字1桁で答えよ。なお,微量の添加元素については無視してよい。結果だけでなく,計算の過程も記せ。
カ 下線④で,単位体積あたりの余分な電子の数は 1.0 × 10 18 c m − 3 であった。薄膜中に含まれる添加元素の原子数とケイ素の原子数との比は : 1 である。四角の中に入る数値を有効数字1桁で答えよ。結果だけでなく,計算の過程も記せ。
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Ⅱ 次の文章を読み,問キ ~コ に答えよ。
地殻は硬い岩石によって構成されている。岩石の成分元素を定量するために,以下のような実験を行った。なお,岩石の主成分はケイ酸塩であり,アルミニウム,鉄,マグネシウム,カルシウムが含まれているものとする。
岩石中のケイ素酸化物は通常ポリマー構造であるため,まずポリマー鎖を短く切断する必要がある。そこで,上記の各元素を含んだ岩石試料を炭酸ナトリウムと混合し,高温で融解してケイ酸塩化合物と金属イオンを含んだ酸化物に分解した。①得られた試料に希塩酸を加え加熱すると,金属イオンは溶解し,ゲル状物質が沈殿した。これをろ過して取り出し,十分に加熱乾燥することで②白色固体を得た。
次に,ろ液中の成分分離を行った。ろ液に硝酸を加え,F e 2 + を F e 3 + に酸化した後,ろ液に純水を加えて 500 m l にした。そのろ液を2等分して,溶液(A),(B)を用意した。溶液(A)にアンモニア水を加え,沈殿物をろ過して,③固体(C)を得た。溶液(B)にもアンモニア水を加え,生成した沈殿物をろ紙でろ過した。さらに,ろ紙上に残った固体を水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し,不溶性の④固体(D)を得た。得られた固体(C),(D)をそれぞれ,1000 ℃以上に加熱して,酸化物を得た。⑤固体(C)から得られた酸化物の乾燥質量は,47.2 m g ,固体(D)から得られた酸化物の乾燥質量は,31.9 m g であった。
〔問〕
キ 下線①の試料中に含まれるケイ酸塩化合物から,下線②の白色固体が得られるまでの過程を化学反応式で示せ。
ク 下線②の白色固体の名称を述べ,その構造の特徴を簡潔に記せ。
ケ 下線③,下線④の固体(C),(D)にはどのような化合物が含まれているか,それぞれ化学式で示せ。
コ 下線⑤の酸化物に含まれる各金属イオンについて,溶液(A)中のモル濃度〔m o l · l − 1 〕を,それぞれ有効数字2桁で求めよ。ただし,金属イオンはすべて酸化物になったものとする。結果だけでなく計算の過程も記せ。
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第3問
次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。必要があれば原子量として以下の値を用いよ。なお,構造式は例にならって解答せよ。
原子量: H : 1.0 C : 12.0 O : 16.0
(構造式の例)
Ⅰ 次の文章を読み,問ア ~エ に答えよ。
有機化合物の構造は,一般に次のような手順で決定される。まず,元素分析によって 1 を決定する。次に,沸点上昇度または凝固点降下度などを測定して 2 を決定し,1 と 2 から分子式を決める。分子式が決定できても,化合物の構造が決定できたことにはならない。炭素原子の結合の仕方は多様であり,結合の仕方が異なる複数の分子が存在しうるためである。これらの化合物は,互いに 3 の関係にあるという。3 を区別するためには,様々な化学的および物理的性質の違いを利用する。
ここに分子式 C 3 H 8 O 2 の3種類の化合物 A ,B ,C がある。①これらの化合物をエーテルに溶解し十分量のナトリウムを加えたところ,1 m o l の A と B からはそれぞれ 1 m o l の水素が発生したのに対し,1 m o l の C からは 1 / 2 m o l の水素が発生した。また,化合物 A ,B ,C を水に溶解し,塩基性条件下でヨウ素を加えて加熱すると,B からのみ黄色沈殿が生成した。次に,化合物 A ,B ,C を適当な条件で酸化剤と反応させたところ,それぞれから生じた化合物 D ,E ,F はすべて酸性を示した。分子式はそれぞれ D :C 3 H 4 O 4 ,E :C 3 H 4 O 3 ,F :C 3 H 6 O 3 であった。さらに,化合物 F は酸触媒の存在下で水を加えて加熱しても変化しなかったことから,エステルではないことがわかった。
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〔問〕
ア 1 ~ 3 に適当な語句を入れよ。
イ 化合物 A 1.0 g を完全燃焼させると,何 g の二酸化炭素が生成するか。有効数字2桁で答えよ。また計算式も示せ。
ウ 下線①のように,ナトリウムと反応して水素を発生する官能基にはどのようなものがあるか。名称を一つあげよ。
エ 化合物 A ,B ,C の構造式を示せ。
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Ⅱ 分子式 C 6 H 12 で表される有機化合物 G ,H ,I ,J ,K ,L がある。次の文章を読んで,以下の問オ ~キ に答えよ。
(1) 化合物 G と H はいずれも臭素と反応し,不斉炭素原子をもたない化合物を生成した。
(2) オゾン分解を行うと,化合物 G からは1種類の生成物が,化合物 H からは2種類の生成物が得られた。
オゾン分解とは,次式のようにアルケンにオゾン(O 3 )を反応させることによって,二重結合を開裂させ,カルボニル化合物を生成させる反応である。
(3) 化合物 I と J はどちらもイソプロピル基をもち,互いにシス-トランス異性体の関係にあり,化合物 I はシス体である。
(4) 化合物 K はビニル基をもち,かつ不斉炭素原子を1つだけもつ。
(5) 化合物 L は臭素と反応しない。また,ニッケルを触媒としてベンゼンに水素を反応させると,この化合物が生成する。
〔問〕
オ 6種類の化合物 G ~L の構造式を記せ。
カ 化合物 G ~L のうち,すべての炭素原子が同一平面上に存在する化合物はどれか。記号で答えよ。
キ 化合物 K に臭素を反応させて生じる化合物には,光学異性体を含めていくつの立体異性体が存在するか,答えよ。
第1問 ファラデーのロウソク — 燃やすと重くなる?軽くなる? 答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 ファラデーの講演「ロウソクの化学」(1860年)の文章を読んで答える問題。文章の中の実験の一つひとつが、今の化学のどの考え方にあたるかを答えていく。
前半Ⅰは、炎の光の正体(炎色反応と、熱い固体の光)、ロウを燃やしてできる水の量(反応式の係数の比)、石灰石から二酸化炭素を取り出す方法、同じ体積の気体の重さから分子量を出す方法(アボガドロの法則)。
後半Ⅱは、鉛が燃えたときの話。炭素は燃えると二酸化炭素になって飛んでいくが、鉛は酸化鉛になってその場に残る。燃えた直後の酸化鉛が何℃で、固体・液体・気体のどれになっているかを、出た熱を「温める → 融かす → 温める → 沸かす」の順に配って求める。
ア 下線部Aは、アルコールに塩化銅(Ⅱ)を溶かして炎に色をつけている。これは炎色反応 :金属の原子やイオンが炎の熱でエネルギーをもらい、それを金属ごとに決まった色(波長)の光として出す現象。銅なら青緑色。だから A は、金属に固有の波長の光の選択肢。
下線部Bは、白金の針金を炎で熱すると輝く。白金は高温でも変化しない物質で、ここで光っているのは、熱い固体が出す光。電球のフィラメントと同じで、光の色は温度で決まり、物質の種類にはよらない。
ほかの選択肢:炭素と水素の比で波長が変わる光、大気の粒による散乱(空が青い理由)、陰イオンに特有の色は、どちらの実験の説明にもならない。
イ セロチン酸 C 26 H 52 O 2 を完全に燃やすと、C は全部 C O 2 、H は全部 H 2 O になる。
C 26 H 52 O 2 + 38 O 2 ⟶ 26 C O 2 + 26 H 2 O
(O の数:左 2 + 76 = 78 、右 52 + 26 = 78 。)
分子量は 26 × 12.0 + 52 × 1.0 + 2 × 16.0 = 396 なので、99 g は 99 396 m o l 。反応式から水はその26倍の物質量で、1 mol あたり 18 g :
99 396 × 26 × 18
できる水は、燃やしたロウより重い。ロウの H に、空気中の酸素 O がくっついて水になるから。
ファラデーの「1リットルの油から1リットル以上の水」は体積の話なので、重さの比だけでは決まらず、密度も要る:
V 水 V 油 = m 水 m 油 × ρ 油 ρ 水
油やロウの密度は水より小さい(おおよそ 0.9 g / c m 3 。問題には無い値)ので、重さで 117 / 99 ≈ 1.18 倍なら、体積では 1.18 × 0.9 ≈ 1.06 倍。体積でも「1リットル以上」になる。
答え C 26 H 52 O 2 + 38 O 2 ⟶ 26 C O 2 + 26 H 2 O , 99 396 × 26 × 18 = 117 g ( 1.2 × 10 2 g )
ウ 石灰石の主成分は炭酸カルシウム C a C O 3 で、二酸化炭素はこの炭酸イオン C O 3 2 − の形で「固定」されている。
いちばん手軽な方法は、塩酸などの強い酸をかけること。炭酸は弱い酸なので、強い酸を加えると追い出されて、二酸化炭素の泡として出てくる:
C a C O 3 + 2 H C l ⟶ C a C l 2 + H 2 O + C O 2
強く熱して分解する方法(C a C O 3 ⟶ C a O + C O 2 、生石灰を作るときの反応)でもよい。
答え C a C O 3 + 2 H C l ⟶ C a C l 2 + H 2 O + C O 2 (塩酸をかける。強く熱して C a C O 3 ⟶ C a O + C O 2 でもよい)
エ 表は、同じ体積の気体の重さをくらべている。アボガドロの法則により、同じ温度・圧力・体積の気体には同じ数の分子が入っている。だから重さの比は、そのまま分子量の比になる。
基準に、原子量から分子量が分かる酸素 O 2 (32.0)を使う。
N 2 : 35.0 40.0 × 32.0 C O 2 : 57.0 40.0 × 32.0
原子量から計算した値は、N 2 が 28.0 、C O 2 が 44.0 。窒素はぴったり合うが、二酸化炭素は表から出した値のほうが少し大きい。
問題は「理想気体であるとする」と決めていて、聞いているのは計算して比べることまで。答えは「N 2 は一致、C O 2 は表からの値が約 4% 大きい」でよい。
(参考:なぜずれるのかは問題の外の話。本物の二酸化炭素は分子どうしの引き合う力が窒素より強く、同じ体積に理想気体より少し多く入るので重く量られる。ただし、その効果は0 ℃・1気圧では 0.5% ほどしかなく、4% のずれは説明しきれない。残りは表の数字そのもの(1860年ごろの測定)のずれと考えるしかないが、問題の中からは確かめられない。)
答え N 2 : 35.0 40.0 × 32 = 28.0 (原子量からの 28.0 と一致) , C O 2 : 57.0 40.0 × 32 = 45.6 (原子量からの 44.0 より約 4\% 大きい)
オ 熱化学方程式は、反応式に反応熱を書きたしたもの。P b O (固)の生成熱が 219 k J / m o l とあるので、単体の鉛と酸素から P b O 1 mol ができると 219 k J の熱が出る。
P b ( 固 ) + 1 2 O 2 ( 気 ) = P b O ( 固 ) + 219 k J
P b O を 1 mol つくる式にするので、酸素の係数は 1 2 になる。
答え P b ( 固 ) + 1 2 O 2 ( 気 ) = P b O ( 固 ) + 219 k J
カ 出た熱 219 k J を、P b O 1 mol の「温める・融かす・沸かす」に順番に配っていき、どこで熱が尽きるかを見る。
固体を 25 ℃から融点 885 ℃まで温める:55 × ( 885 − 25 ) = 47.3 k J (ここまで 47.3 )
液体を 885 ℃から沸点 1725 ℃まで温める:65 × ( 1725 − 885 ) = 54.6 k J (ここまで 127.9 )
沸かす:全部を気体にするには 223 k J 要るが、残りは 219 − 127.9 = 91.1 k J しかない。
だから熱は沸かしている途中で尽き、温度は沸点 1725 ℃のまま、液体と気体がいっしょにある。気体になった割合は
91.1 223
で、残りが液体。鉛は燃えるとその場で沸くほど熱くなるが、できた物は飛んでいかず、元の鉛より重い灰(酸化鉛)として残る。
答え 液体と気体の共存、 1725 ∘ C 、液体 : 気体 = 0.59 : 0.41 ≈ 1.4 : 1
第2問 ケイ素の結晶・うすい膜・岩石の分け方 答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 前半Ⅰは、コンピュータ用の純粋なケイ素のつくり方と、ケイ素にほんの少しだけ別の元素(リン)を混ぜた膜の話。ケイ素の結晶はダイヤモンドと同じ並び方で、単位格子(1辺 0.54 n m の立方体)に原子が何個あるかが分かれば、膜の体積から原子の数が出る。そこから「流したガスのうち何%が膜になったか」「混ぜた原子はケイ素の何分の1か」を求める。
後半Ⅱは、岩石にふくまれる元素を順に分けて量る問題。ケイ酸を先に取りのぞき、残りの金属イオンを「アンモニア水で沈むか」「水酸化ナトリウムに溶けるか」の違いで分ける。アルミニウムの水酸化物は酸にも塩基にも溶ける(両性)が、鉄の水酸化物は塩基に溶けない、という性質が分け方のカギ。
ア トリクロロシラン S i H C l 3 の Si を水素で還元して、単体の Si を取り出す。Cl は水素と組んで塩化水素になる。
Si が1つ、H と Cl を合わせて数える。左辺は S i H C l 3 と H 2 で H が 1 + 2 = 3 、Cl が3。右辺は Si と HCl で、HCl を3つにすると H も Cl も合う。
イ ケイ素の融点は約 1410 ℃と高い。この温度で融けたケイ素は反応しやすく、金属のるつぼだと金属が融けたケイ素に溶けこんだり、ケイ素と反応したりする。
そうなると、せっかく精製したケイ素に不純物が入ってしまう。二酸化ケイ素のるつぼなら、材料がケイ素の仲間なので、金属の不純物が入らない。
答え 融けたケイ素(約 1410 ℃)に金属が溶けこむ・反応するので、不純物が入って純粋な結晶にならない
ウ 添加する元素は「ケイ素より最外殻電子(一番外側の電子)が1つ多い」。ケイ素は14族で最外殻電子が4つなので、添加元素は5つもつ15族。気体 A は第3周期の元素の水素化合物なので、15族・第3周期のリン P の水素化合物。
リンは手(結合の数)が3つなので、水素3つと結びつく。
エ ケイ素の結晶はダイヤモンドと同じ形。単位格子の中の原子を「どれだけの割合が格子の中に入っているか」で数える。
角の原子:8か所 × 1 8 (8つの格子で分けあう)= 1 個
面の中心の原子:6か所 × 1 2 (2つの格子で分けあう)= 3 個
ここまでで面心立方格子の4個に、内側の4個が加わる。内側の4個は、立方体を8つの小さい立方体に分けたとき、そのうち1つおきの4つの中心にある。
オ 膜の中の Si の物質量と、流した S i H 4 の物質量をくらべる。
膜の体積:3.0 × 3.0 c m 2 × 90 × 10 − 7 c m (90 n m = 90 × 10 − 7 c m )
単位格子の体積は ( 0.54 × 10 − 7 ) 3 c m 3 で、その中に Si が8個。だから膜の中の Si は
3.0 2 × 90 × 10 − 7 ( 0.54 × 10 − 7 ) 3 × 8 個
流した S i H 4 は標準状態で 5.0 m L なので 5.0 22400 m o l 。S i H 4 1つから Si は1つなので、2つの物質量の比が堆積した割合になる。ほとんどのガスは、膜にならずに流れ去っている。
答え ( 3.0 ) 2 × 90 × 10 − 7 ( 0.54 × 10 − 7 ) 3 × 8 ÷ 6.0 × 10 23 = 6.9 × 10 − 6 m o l , 5.0 22400 = 2.2 × 10 − 4 m o l ⇒ 3 %
カ リンの原子1つが、余分な電子を1つ出す。だから「余分な電子の数」=「リンの原子の数」。
同じ 1 c m 3 の中のケイ素の原子の数は、単位格子の中に8個あることから
8 ( 0.54 × 10 − 7 ) 3 = 5.1 × 10 22 個
リンとケイ素の数の比は 1.0 × 10 18 5.1 × 10 22 。
ケイ素およそ5万個にリン1個という、ごくわずかな混ぜ物で、電気の通りやすさが大きく変わる。
答え 1.0 × 10 18 8 / ( 0.54 × 10 − 7 ) 3 = 1.0 × 10 18 5.1 × 10 22 = 2 × 10 − 5
キ 岩石を炭酸ナトリウムと融かすと、ケイ素はケイ酸ナトリウム N a 2 S i O 3 になる(長いつながりが切れて、水に溶ける形になる)。
これに塩酸を加えると、ケイ酸は弱い酸なので強い酸に追い出され、ケイ酸 H 2 S i O 3 がゲル状に沈む:
N a 2 S i O 3 + 2 H C l ⟶ H 2 S i O 3 + 2 N a C l
このケイ酸を加熱して乾燥させると、水がとれて白い固体になる:H 2 S i O 3 ⟶ S i O 2 + H 2 O 。
答え N a 2 S i O 3 + 2 H C l ⟶ H 2 S i O 3 + 2 N a C l , H 2 S i O 3 ⟶ S i O 2 + H 2 O
ク ケイ酸のゲルを加熱乾燥させた白色固体は、シリカゲル。主な成分は二酸化ケイ素 S i O 2 。
構造は、S i O 4 の正四面体が頂点の O を共有して、不規則につながった立体の網目。すきまの多い(多孔質の)形で、表面積がとても大きく、表面に –OH が残っている。そのため水などをよく吸着し、乾燥剤として使われる。
答え シリカゲル(主成分 S i O 2 )。 S i O 4 の四面体が頂点の O を共有して不規則につながった立体の網目で、すき間の多い(多孔質の)構造。表面に –OH が残り、水などを吸着しやすい
ケ ろ液には A l 3 + 、F e 3 + (硝酸で F e 2 + から酸化した)、M g 2 + 、C a 2 + がある。
アンモニア水を加えると、A l 3 + と F e 3 + は水酸化物として沈む。M g 2 + と C a 2 + は、この条件(塩酸を中和してできた塩化アンモニウムがいっしょにある)では沈まない。だから (C) は2つの水酸化物の混ざった物。
(D) は同じ沈殿を水酸化ナトリウム水溶液で洗った残り。水酸化アルミニウムは両性なので [ A l ( O H ) 4 ] − として溶けて流れ、水酸化鉄(Ⅲ) だけが残る。F e 2 + を先に F e 3 + にしておくのは、F e ( O H ) 3 のほうが確実に沈むから。
答え ( C ) : A l ( O H ) 3 , F e ( O H ) 3 ( D ) : F e ( O H ) 3
コ (C) を焼くと A l 2 O 3 と F e 2 O 3 、(D) を焼くと F e 2 O 3 だけになる。(A) と (B) は同じ液を半分に分けたものなので、中身は同じ。だから
A l 2 O 3 :47.2 − 31.9 = 15.3 m g ((C) と (D) の差)
式量は F e 2 O 3 が 159.6 、A l 2 O 3 が 102 。酸化物1つに金属イオンは2つ。溶液 (A) は 500 m L の半分の 0.250 L なので
[ F e 3 + ] = 31.9 × 10 − 3 159.6 × 2 ÷ 0.250 , [ A l 3 + ] = 15.3 × 10 − 3 102 × 2 ÷ 0.250
「差をとるとアルミニウムの分が出る」のは、NaOH で Al だけが溶けるおかげ。溶液 (A) が全体の半分であることを忘れると、濃さが2倍ずれる。
答え [ F e 3 + ] = 31.9 × 10 − 3 159.6 × 2 ÷ 0.250 = 1.6 × 10 − 3 , [ A l 3 + ] = ( 47.2 − 31.9 ) × 10 − 3 102 × 2 ÷ 0.250 = 1.2 × 10 − 3 m o l / L
第3問 手がかりで形をしぼる — C₃H₈O₂ と C₆H₁₂ 答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 どちらも「分子式は同じで、形(原子のつながり方)が違う物」を、手がかりで1つずつしぼりこむ問題。
前半Ⅰは C 3 H 8 O 2 の A・B・C。手がかりは、ナトリウムで出る水素の量(OH の数が分かる)、ヨードホルム反応(C H 3 − C H ( O H ) − の形があるか)、酸化してできる酸の分子式(OH がどこにあるか)、エステルでないこと。
後半Ⅱは C 6 H 12 の G〜L。この分子式は、C=C を1つもつ(アルケン)か、輪を1つもつ(シクロアルカン)かのどちらか。臭素と反応すれば C=C がある。オゾン分解(C=C を切って両側を C=O にする反応)でできる物の数、シス・トランス、不斉炭素を手がかりに決める。
ア 構造決定の決まった流れ。元素分析(燃やしてできる C O 2 と H 2 O の量)で分かるのは、原子の数の比だけ。これを表した式が 1。
沸点上昇や凝固点降下は、溶けている粒の数(物質量)で決まるので、重さと合わせると分子量が分かる。これが 2。組成式と分子量から分子式が決まる。
分子式が同じでつながり方が違う物どうしの関係が 3。
答え 1 組成式(実験式)、2 分子量、3 構造異性体
イ C 3 H 8 O 2 の分子量は 3 × 12.0 + 8 × 1.0 + 2 × 16.0 = 76 。1.0 g は 1.0 76 m o l 。
完全燃焼では C が全部 C O 2 になるので、C O 2 は分子1つにつき3つ:
1.0 76 × 3 × 44
A・B・C のどれでも分子式は同じなので、答えも同じ。
ウ ナトリウムと反応して水素を出すのは、O–H の H をもつ官能基。アルコールやフェノールの –OH が 2 R − O H + 2 N a ⟶ 2 R − O N a + H 2 と反応する。カルボキシ基 –COOH も水素を出すが、ここでは A・B・C に合うほうを答える。
エ OH の数 :–OH 1つにつき水素は 1 2 分子出る。1 mol から水素 1 mol の A・B は OH を2つ、1 2 mol の C は OH を1つもつ。C の残りの O はエーテル(C–O–C)の O。
B :ヨードホルム反応が出るので C H 3 − C H ( O H ) − をもつ。OH がもう1つあるので、C H 3 − C H ( O H ) − C H 2 − O H 。酸化すると、端の C H 2 O H は COOH に、真ん中の CH(OH) は C=O になって、C H 3 − C O − C O O H (C 3 H 4 O 3 、E と一致)。
A :OH が2つで、B とは別の形。同じ炭素に OH が2つある形は不安定なので、両端に1つずつの H O − C H 2 − C H 2 − C H 2 − O H 。両端が COOH になると H O O C − C H 2 − C O O H (C 3 H 4 O 4 、D と一致)。
C :OH 1つとエーテルの O 1つ。酸化して酸(F、C 3 H 6 O 3 )になるので、OH は端の C H 2 O H にある。候補は C H 3 − O − C H 2 − C H 2 − O H と C H 3 − C H 2 − O − C H 2 − O H 。後のほうを酸化すると C H 3 C H 2 − O − C O O H で、O–C(=O) をもつエステルの形になる。F はエステルではないので、C は前のほう。
答え A : H O − C H 2 − C H 2 − C H 2 − O H , B : C H 3 − C H ( O H ) − C H 2 − O H , C : C H 3 − O − C H 2 − C H 2 − O H
オ L :臭素と反応しない(C=C がない)ので輪をもつ。ベンゼンに水素をつけてできるのは、6つの炭素の輪のシクロヘキサン。
G :オゾン分解で1種類だけできるのは、C=C の左右が同じ形のとき。候補は ( C H 3 ) 2 C = C ( C H 3 ) 2 と C H 3 C H 2 C H = C H C H 2 C H 3 。臭素をつけると、後のほうは Br のついた2つの炭素が不斉炭素になってしまう。前のほうは、Br のついた炭素に C H 3 が2つずつついていて不斉炭素がない。
H :オゾン分解で2種類、臭素をつけても不斉炭素ができない。臭素がつく2つの炭素のそれぞれに、同じ原子団が2つついていればよい。C H 2 = C ( C H 2 C H 3 ) 2 なら、臭素をつけて C H 2 B r (H が2つ)と C B r ( C H 2 C H 3 ) 2 (エチル基が2つ)になり、不斉炭素はない。オゾン分解ではホルムアルデヒドと 3-ペンタノンの2種類。
I・J :イソプロピル基 ( C H 3 ) 2 C H − をもち、シス・トランスがある。残りの炭素3つで C=C をつくり、両端の炭素にそれぞれ違う物がつく形は ( C H 3 ) 2 C H − C H = C H − C H 3 。同じ側に原子団があるのがシス(I)。
K :ビニル基 C H 2 = C H − をもち、不斉炭素が1つ。残りの炭素4つのうち、ビニル基のつけ根の炭素に H、C H 3 、C H 2 C H 3 がつけば不斉炭素になる:C H 2 = C H − C H ( C H 3 ) − C H 2 C H 3 。
答え G : ( C H 3 ) 2 C = C ( C H 3 ) 2 , H : C H 2 = C ( C H 2 C H 3 ) 2 , I : シス- ( C H 3 ) 2 C H − C H = C H − C H 3 , J : そのトランス体 , K : C H 2 = C H − C H ( C H 3 ) − C H 2 C H 3 , L : シクロヘキサン
カ C=C の2つの炭素と、それに直接ついている4つの原子は、すべて同じ平面にのる。だから「6つの炭素が全部、C=C の炭素か、C=C に直接ついた炭素」ならよい。
G は C=C の炭素2つに C H 3 が2つずつ、合わせて6つの炭素がすべてこの平面にのる。ほかの化合物は、C=C から離れた炭素(エチル基の先など)があって、単結合のまわりに回れるので平面からはずれる。L(シクロヘキサン)は、輪が折れ曲がった形(いす形)なので平面ではない。
キ K に臭素をつけると C H 2 B r − C H B r − C H ( C H 3 ) − C H 2 C H 3 。不斉炭素は、Br のついた2番目の炭素と、もとからの3番目の炭素の2つ。
不斉炭素1つごとに向きが2通りあるので、組み合わせは 2 × 2 通り。ただし、分子の左右が同じ形だと、重なって同じ物になる組(メソ体)が出る。この化合物は2つの不斉炭素のまわりの様子が違う(左右対称ではない)ので、重なる組はなく、組み合わせの数がそのまま立体異性体の数になる。