東大 過去問 2020年 化学|AI解答・解説・シミュレーション|アトリエファクトリー

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東京大学 第2次学力試験(前期)2020年 理科「化学」(東京大学がかつて公開したPDFの Internet Archive 保存版)

問題・出題の意図・東京大学の解答例(東京大学の公表資料)

東京大学の利用規定について

東京大学は、入試問題と出題の意図・解答の2次利用について「東京大学第2次学力試験入学試験問題等の2次利用について」(令和6年7月1日改定)で条件を定めている。このサイトでの対応は次のとおり。

解答とシミュレーション(AIで作成)

制作

制作:アトリエファクトリー(aTELiER FACTORY) https://atelierfactory.jp/

修正履歴

お知らせ(2026年10月4日)

解答・解説・シミュレーションは、すべて Claude Opus 5.5 で作成しています。作ったあとの確かめ方は、科目によって違います。

どの科目も、東京大学が公表した解答ではありません。くわしくは「問題取得方法と回答生成方法」をご覧ください。

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化 学

第1問

次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。必要があれば以下の値を用いよ。構造式は例にならって示せ。

t1-atom

(構造式の例)

p28a

Ⅰ 次の文章を読み,問ア~カに答えよ。

 天然化合物Aは,分子量286で,炭素,水素,酸素の各原子のみからなる。71.5mg のAを完全燃焼させると,143mg の二酸化炭素と,40.5mg の水が生じた。Aを加水分解すると,等しい物質量の化合物Bと化合物Cが得られた。①Bの水溶液をフェーリング液に加えて加熱すると赤色沈殿が生じたが,Aの水溶液では生じなかった。Cに塩化鉄(Ⅲ)水溶液を加えると特有の呈色反応を示したが,Aでは示さなかった。

 セルロースやデンプンは,多数のBが縮合重合してできた多糖である。セルロースを酵素セルラーゼにより加水分解して得られるセロビオースと,デンプンを酵素アミラーゼにより加水分解して得られるマルトースは,上の構造式の例(左側)に示したスクロースと同じ分子式で表される二糖の化合物である。

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 これらの二糖は酵素X,または,酵素Yによって単糖に加水分解できる。Xはセロビオースを,Yはマルトースを加水分解して,いずれにおいてもBのみを生成したが,Xはマルトースを,Yはセロビオースを加水分解できなかった。スクロースはXにより加水分解されなかったが,Yにより加水分解され,等しい物質量のBと化合物Dが生成した。AはXにより加水分解され,BとCが生成したが,Yによる加水分解は起こらなかった。

 Cを酸化することにより化合物Eが得られた。Eは分子内で水素結合を形成した構造を持ち,Eに炭酸水素ナトリウム水溶液を加えると二酸化炭素が発生した。Eと無水酢酸に濃硫酸を加えて反応させると,解熱鎮痛剤として用いられる化合物Fが得られた。

〔問〕

ア 化合物Aの分子式を示せ。

イ 化合物B,D,Fの名称を記せ。

ウ 化合物Bには鎖状構造と六員環構造が存在する。それぞれの構造における不斉炭素原子の数を答えよ。

エ セロビオース,マルトース,スクロースの中で,下線部①で示した反応により赤色沈殿を生じる化合物をすべて答えよ。また,その理由を述べよ。

オ 化合物Cの構造式を示せ。

カ 化合物Aの構造式を示せ。

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Ⅱ 次の文章を読み,問キ~サに答えよ。

 セルロースは地球上に最も多く存在する有機化合物であり,石油資源に頼らない次世代の化学工業を担う重要化合物と考えられている。セルロースを濃硫酸中で加熱すると,最終的に糖ではない化合物Gが主として得られる。Gは炭素,水素,酸素の各原子のみからなり,バイオ燃料,生分解性高分子,医薬品合成の原料として広く利用可能である。Gを生分解性高分子Hなどの化合物に変換するため,以下の実験1~3を行った。

実験1:水中でアセトンに過剰量の水酸化ナトリウムとヨウ素を反応させると,特有の臭気を有する黄色の化合物Iが沈殿し,反応液中に酢酸ナトリウムが検出された。アセトンの代わりにGを用いて同じ条件で反応させたところ,Iが沈殿した。続いて,Iを除いた反応液を塩酸を用いて酸性にすると,ともに直鎖状化合物であるJとKの混合物が得られた。分子式を比較するとJとKの炭素原子の数は,いずれもGより一つ少なかった。Kは不斉炭素原子を有していたが,Jは有していなかった。58.0mg のGを水に溶かし,0.200mol/L の炭酸水素ナトリウム水溶液で滴定したところ,2.50mL で中和点に達した。一方,67.0mg のKを水に溶かし,0.200mol/L の炭酸水素ナトリウム水溶液で滴定したところ,5.00mL で中和点に達した。

実験2:Jとエチレングリコール(1,2-エタンジオール)を混合して縮合重合させたところ,物質量 1:1 の比でエステル結合を形成しながら共重合し,平均重合度100,平均分子量 1.44×104 の高分子Hが得られた。

実験3:Kを加熱すると分子内で一分子の水が脱離し,化合物Lが得られた。Lに光照射すると,その幾何異性体Mが生成した。LとMはともに臭素と反応した。LとMをそれぞれ,より高温で長時間加熱すると,Mのみ分子内で脱水反応が起こり,化合物Nを与えた。

— 31 —

〔問〕

キ 化合物Iの分子式を示せ。

ク 実験2の結果から,化合物Jの分子量を求めよ。

ケ 下の例にならい,高分子Hの構造式を示せ。

p31a

コ 化合物K,L,Nの構造式をそれぞれ示せ。ただし,鏡像異性体は考慮しなくてよい。

サ 化合物Gの構造式を答えよ。

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第2問

次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。必要があれば以下の値を用いよ。

t2-atom

アボガドロ定数 NA=6.02×1023/mol

2=1.41,3=1.73

Ⅰ 次の文章を読み,問ア~カに答えよ。

 空気は N2 と O2 を主成分とし,微量の希ガス(貴ガス)や H2O(水蒸気),CO2 などを含んでいる。レイリーとラムゼーは,①空気から O2,H2O,CO2 を除去して得た気体の密度が ②化学反応で得た純粋な N2 の密度より大きいことに着目し,Ar を発見した。

 空気中の CO2 は,緑色植物の光合成によって還元され,糖類に変換される。この反応に着想を得て,③光エネルギーによって CO2 を CH3OH や HCOOH などの有用な化合物に変換する人工光合成の研究が行われている。

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〔問〕

ア 希ガスに関する以下の(1)~(5)の記述から,正しいものをすべて選べ。

(1) He を除く希ガス原子は8個の価電子をもつ。

(2) 希ガスは,放電管に封入して高電圧をかけると,元素ごとに特有の色に発光する。

(3) He は,全ての原子のうちで最も大きな第1イオン化エネルギーをもつ。

(4) Kr 原子の電子数はヨウ化物イオン I− の電子数と等しい。

(5) Ar は,HCl より分子量が大きいため,HCl よりも沸点が高い。

イ 空気に対して,以下の一連の操作を,操作1→操作2→操作3の順で行い,下線部①の気体を得た。各操作において除去された物質をそれぞれ答えよ。ただし,空気は N2,O2,Ar,H2O,CO2 の混合気体であるとする。

 操作1:NaOH 水溶液に通じる

 操作2:赤熱した Cu が入った容器に通じる

 操作3:濃硫酸に通じる

ウ 問イの実験で得た気体は,同じ温度と圧力の純粋な N2 よりも密度が 0.476% 大きかった。問イの実験で得た気体中の Ar の体積百分率,および,実験に用いた空気中の Ar の体積百分率はそれぞれ何%か,有効数字2桁で答えよ。ただし,空気中の N2 の体積百分率は 78.0% とする。

エ 問イの実験で,赤熱した Cu の代わりに赤熱した Fe を用いると,一連の操作後に得られた気体の密度が,赤熱した Cu を用いた場合よりも小さくなった。その理由を,化学反応式を用いて簡潔に説明せよ。

オ 下線部②について,NH4NO2 水溶液を加熱すると N2 が得られる。この反応の化学反応式を記せ。また,反応の前後における窒素原子の酸化数を答えよ。

カ 下線部③について,CO2 と H2O から HCOOH と O2 が生成する反応を考える。この反応は,CO2 の還元反応と H2O の酸化反応の組み合わせとして理解できる。それぞれの反応を電子 e− を用いた反応式で示せ。

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Ⅱ 次の文章を読み,問キ~コに答えよ。

 ④多くの分子やイオンの立体構造は,電子対間の静電気的な反発を考えると理解できる。例えば,CH4 分子は,炭素原子のまわりにある四つの共有電子対間の反発が最小になるように,正四面体形となる。同様に,H2O 分子は,酸素原子のまわりにある四つの電子対(二つの共有電子対と二つの非共有電子対)間の反発によって,折れ線形となる。電子対間の反発を考えるときは,二重結合や三重結合を形成する電子対を一つの組として取り扱う。例えば,CO2 分子は,炭素原子のまわりにある二組の共有電子対(二つの C=O 結合)間の反発によって,直線形となる。

 多数の分子が分子間力によって引き合い,規則的に配列した固体を分子結晶とよぶ。例えば,CO2 は低温で図2—1に示す立方体を単位格子とする結晶となる。図2—1の結晶中で,CO2 分子の炭素原子は単位格子の各頂点および各面の中心に位置し,⑤酸素原子は隣接する CO2 分子の炭素原子に近づくように位置している。

図2—1 (左)CO_2 の結晶構造の模式図。(右)分子の大きさを考慮して描いた CO_2 の結晶構造。
図2—1 (左)CO2 の結晶構造の模式図。(右)分子の大きさを考慮して描いた CO2 の結晶構造。
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〔問〕

キ いずれも鎖状の HCN 分子および亜硝酸イオン NO2− について,最も安定な電子配置(各原子が希ガス原子と同じ電子配置)をとるときの電子式を以下の例にならって示せ。等価な電子式が複数存在する場合は,いずれか一つ答えよ。

p37a

ク 下線部④の考え方に基づいて,以下にあげる鎖状の分子およびイオンから,最も安定な電子配置における立体構造が直線形となるものをすべて選べ。

  HCN   NO2−   NO2+   O3   N3−

ケ 図2—1に示す CO2 の結晶について,最も近くにある二つの炭素原子の中心間の距離が 0.40nm であるとする。このとき,CO2 の結晶の密度は何 g/cm3 か,有効数字2桁で答えよ。答えに至る過程も記せ。

コ 下線部⑤について,CO2 の結晶中で,隣り合う CO2 分子の炭素原子と酸素原子が近づく理由を,電気陰性度に着目して説明せよ。

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第3問

次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。必要があれば以下の値を用いよ。

t3-atom

気体定数 R=8.31×103Pa·L/(K·mol)

Ⅰ 次の文章を読み,問ア~オに答えよ。

 アメリカやアフリカにある塩湖の泥中に存在するトロナ鉱石は,主に炭酸ナトリウム,炭酸水素ナトリウム,水和水からなり,炭酸ナトリウムを工業的に製造するための原料や洗剤として用いられる。

 ①トロナ鉱石 4.52g を 25∘C の水に溶かし,容量を 200mL とした。この水溶液にフェノールフタレインを加えてから,1.00mol/L の塩酸で滴定したところ,変色するまでに 20.0mL の滴下が必要であった(第一反応)。次に,メチルオレンジを加えてから滴定を続けたところ,変色するまでにさらに 40.0mL の塩酸の滴下が必要であった(第二反応)。以上の滴定において,大気中の二酸化炭素の影響は無視してよいものとする。また,ここで用いたトロナ鉱石は炭酸ナトリウム,炭酸水素ナトリウム,水和水のみからなるものとする。

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〔問〕

ア 第一反応および第二反応の化学反応式をそれぞれ記せ。

イ 第一反応の終点における pH は,0.10mol/L の炭酸水素ナトリウム水溶液と同じ pH を示した。この pH を求めたい。炭酸水素ナトリウム水溶液に関する以下の文章中の a ~ e にあてはまる式,f にあてはまる数値を答えよ。ただし,水溶液中のイオンや化合物の濃度は,例えば [Na+],[H2CO3] などと表すものとする。

 炭酸の二段階電離平衡を表す式とその電離定数は

  H2CO3⇌H++HCO3−   K1= a

  HCO3−⇌H++CO32−   K2= b

である。ただし,25∘C において,log10K1=−6.35,log10K2=−10.33 である。

 炭酸水素ナトリウム水溶液中の物質量の関係から

  [Na+]= c

の等式が成立する。また,水溶液が電気的に中性であることから

  d

の等式が成立する。以上の式を,[H+] と [OH−] が [Na+] に比べて十分小さいことに注意して整理すると,[H+] は K1,K2 を用いて,

  [H+]= e

と表される。よって,求める pH は f となる。

ウ 下線部①のトロナ鉱石に含まれる炭酸ナトリウム,炭酸水素ナトリウム,水和水の物質量の比を求めよ。

エ 下線部①の水溶液の pH を求めよ。

オ 健康なヒトの血液は中性に近い pH に保たれている。この作用は,二酸化炭素が血液中の水に溶けて電離が起こることによる。血液に酸(H+)を微量加えた場合と塩基(OH−)を微量加えた場合のそれぞれについて,血液の pH が一定に保たれる理由を,イオン反応式を用いて簡潔に説明せよ。

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Ⅱ 次の文章を読み,問カ~コに答えよ。

 火山活動は,高温高圧の地下深部で溶融した岩石(マグマ)が上昇することで引き起こされる。マグマは地下深部では液体であるが,上昇して圧力が下がると,②マグマ中の揮発性成分が気体(火山ガス)になり,マグマは液体と気体の混合物となる(図3—1)。このとき,③マグマのみかけの密度は,気体ができる前のマグマの密度より小さくなる。この密度減少がマグマの急激な上昇と爆発的噴火を引き起こす。

図3—1 火山活動の模式図
図3—1 火山活動の模式図

 火山ガスの一部は,マグマから分離して地中の割れ目などを通って上昇し,地表で噴気として放出される(図3—1)。火山ガスの組成(成分とモル分率)は,マグマから分離した時点で表3—1に示すとおりであり,上昇とともに式1の平衡が移動することで変化するものとする。噴気の放出口では,単体の硫黄の析出がしばしば観察される。その理由の一つとして,④式1において,ほぼ正反応のみが進行することが考えられる。

SO2(気)+3H2(気)⇌H2S(気)+2H2O(気)(式1)
表3—1 火山ガスの組成
表3—1 火山ガスの組成
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〔問〕

カ 下線部②に関して,地中の深さ 3km 付近でマグマの質量の 1.00% に相当する H2O のみが気体になる場合を考える。1.00L のマグマから生じた H2O(気)の体積を有効数字2桁で求めよ。答えに至る過程も記せ。ただし,このときの圧力は 8.00×107Pa,温度は 1047∘C,H2O(気)ができる前のマグマの密度は 2.40×103g/L とし,H2O(気)は理想気体とみなしてよいものとする。

キ 下線部③に関して,問カの条件で液体と気体の混合物となったマグマのみかけの密度は,気体ができる前のマグマの密度の何倍か,有効数字2桁で求めよ。ただし,液体と気体からなるマグマのみかけの密度は,(液体の質量+気体の質量)/(液体の体積+気体の体積)で表される。また,気体が生じたときの液体の体積変化は無視できるものとする。

ク 式1の正反応の常温常圧における反応熱は正の値をもつ。必要な熱化学方程式を記し,この値を求めよ。常温常圧における SO2(気),H2S(気),H2O(液)の生成熱は,それぞれ 296.9kJ/mol,20.2kJ/mol,285.8kJ/mol とし,H2O(液)の蒸発熱は 44.0kJ/mol とする。

ケ 式1の平衡の移動に関する以下の文章中の g ~ j にあてはまる語句を答えよ。ただし,h と j には「正」または「逆」のいずれかを答えよ。

 圧力一定で温度が下がると,一般に g 反応の方向に平衡が移動するため,式1の h 反応がより進行する。また,温度一定で圧力が下がると,一般に気体分子の総数を i させる方向に平衡が移動するため,式1の j 反応がより進行する。

コ 下線部④の結果として,なぜ単体の硫黄を析出する反応が起こるのか,表3—1に示した成分のモル分率を参考にして,簡潔に述べよ。ただし,「その他」の成分は考慮しなくてよい。また,この硫黄が析出する反応の化学反応式を記せ。