東大 過去問 2013年 化学|AI解答・解説・シミュレーション|アトリエファクトリー

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東京大学 第2次学力試験(前期)2013年 理科「化学」(東京大学がかつて公開したPDFの Internet Archive 保存版)

問題・出題の意図・東京大学の解答例(東京大学の公表資料)

東京大学の利用規定について

東京大学は、入試問題と出題の意図・解答の2次利用について「東京大学第2次学力試験入学試験問題等の2次利用について」(令和6年7月1日改定)で条件を定めている。このサイトでの対応は次のとおり。

解答とシミュレーション(AIで作成)

制作

制作:アトリエファクトリー(aTELiER FACTORY) https://atelierfactory.jp/

修正履歴

お知らせ(2026年10月4日)

解答・解説・シミュレーションは、すべて Claude Opus 5.5 で作成しています。作ったあとの確かめ方は、科目によって違います。

どの科目も、東京大学が公表した解答ではありません。くわしくは「問題取得方法と回答生成方法」をご覧ください。

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化 学

第1問

次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。必要があれば以下の値を用いよ。

p18a

log102=0.30, log103=0.48, log105=0.70

Ⅰ 次の文章を読み,問ア~カに答えよ。

 市販の水酸化ナトリウムは白色の小球状をしており,①湿った空気中に置いておくとその表面が濡れてくる。また空気中で速やかに二酸化炭素を吸収する。

 日本薬局方によれば 1mol·L−1 水酸化ナトリウム水溶液を調製する場合は,以下のような手順で行うこととされている。

 「水酸化ナトリウム約 42g を量り水 950mL に溶かす。これに②水酸化バリウム8水和物飽和水溶液を沈殿がもはや生じなくなるまで滴下し,よく混ぜて密栓し,24時間放置した後ろ過する。このろ液の濃度を次のような操作で決定する。乾燥したアミド硫酸 1.5g 前後を精密に量り,新たに煮沸して冷却した水 25mL に溶かす。これを上記の水酸化ナトリウム水溶液で滴定する。」

 ③上記の手順で調製した水酸化ナトリウム水溶液を用いて,濃度不明の酢酸水溶液 100mL を適当なpH指示薬を用いて滴定したところ,20mL で中和点に達することがわかった。

(注) アミド硫酸は右の構造式をもつ一価の酸である。

p18b
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〔問〕

ア 下線部①の現象を何と呼ぶか。

イ 下線部②について,沈殿が生じる化学反応式を書き,なぜこのような操作が必要なのか50字から100字程度で記せ。

ウ アミド硫酸 1.444g を秤量して,問題文に示された手順に従い滴定したところ水酸化ナトリウム水溶液は 15.20mL 必要であった。調製した水酸化ナトリウム水溶液の濃度を有効数字3桁で求めよ。

エ 下線部③について,水酸化ナトリウム水溶液 10mL を滴下した時点でのpHを求めよ。ただし酢酸の電離定数を 1.8×10−5mol·L−1 とする。

オ 電離定数 4.0×10−4mol·L−1 をもつ弱酸型のpH指示薬Xがある。Xの分子式をHAと表すと溶液中では下式のように電離している。

HA⇌H++A−

HA,A− の濃度比が0.1以上10以下の範囲にあるときに色調の変化が肉眼でわかると仮定する。このpH指示薬Xの色調の変化が肉眼でわかるpHの値の範囲を有効数字2桁で求めよ。

カ 下線部③で記した滴定にpH指示薬Xを用いることが適当かどうか,オの結果をもとにして理由とともに50字から100字程度で記せ。

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Ⅱ 次の文章を読み,問キ~サに答えよ。

 ファントホッフは,図1—1に示すような仮想的な反応箱中での気体分子の化学反応を理論的に考察し,④気体反応の濃度平衡定数が温度のみに依存することを示した。

 ファントホッフの考察に関連して,以下に(1)式で表される気体分子の反応を例として,反応箱への気体分子の出し入れ操作を説明する。ここで,A,BおよびCは3種類の異なる分子の化学式を表す。ただし,反応(1)は反応箱中でのみ進行するものとする。また,気体は理想気体とみなせるものとする。

A+2B⇌2C(1)

 反応箱中には分子A,BおよびCの混合気体が含まれており,反応箱とシリンダは一定温度 T〔K〕 に保たれている。反応箱に装備されている半透膜Aは分子Aのみを通し,半透膜の両側(シリンダ側と反応箱側)における分子Aの示す分圧が等しくなると,見かけ上,半透膜Aを通る分子Aの移動はなくなる。ここで,半透膜Aの両側における分子Aの分圧の差は速やかに解消されるものとする。半透膜B,Cの分子B,分子Cに対する動作もそれぞれ同様であるとする。

図1—1 ファントホッフの反応箱
図1—1 ファントホッフの反応箱

 以下に示すような手順によって,左側の2つのシリンダAおよびB内の気体を反応箱に導入し,反応箱から右側のシリンダC内へ気体を移すことを考える(図1—2)。

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準備 図1—2(a)に示された状態を始めの状態とする。すなわち,シリンダAおよびB内にはそれぞれ 1mol の分子Aと 2mol の分子Bが含まれており,シリンダCの体積はゼロである。このとき,シリンダAおよびB内にある分子と反応箱中にある分子はそれぞれ半透膜の両側で同じ分圧を示しており,反応箱中では(1)式で表される反応は平衡状態となっている。⑤ここで,シリンダA,Bの体積はそれぞれ VA,VB〔L〕 であり,濃度平衡定数は K であった。

操作1 左側の2つのピストンを押し込んで,シリンダAおよびB内の気体を全て反応箱に移動させる(図1—2(b))。なお,反応箱中での反応は十分に遅く,この操作の直後では,反応箱中の混合気体は平衡状態にはないものとする。

操作2 反応箱中の混合気体が平衡状態となるのを待ってから,右側のピストンを引き出してシリンダC内に 2mol の分子Cを取り込む(図1—2(c))。この間,ピストンは非常にゆっくりと動かされており,シリンダの体積が変化しているにもかかわらず,反応箱中の混合気体は平衡状態に保たれているとする。

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図1—2 反応箱の状態
図1—2 反応箱の状態
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〔問〕

キ 下線部④に関連して,化学反応が化学平衡の状態にあるとき,反応物質の濃度と生成物質の濃度との間には,温度が一定ならば一定の数量関係がある。この法則名を記せ。

ク 操作1の終了後,十分長い時間が経過すると反応箱中の混合気体は平衡状態になる。(1)式で表される反応はどちら向きに進行したか,判断理由となる原理の名称とともに50字から100字程度で記せ。

ケ 操作2が終了したとき,反応箱中の混合気体は平衡状態となっている。反応箱中の混合気体の平衡は,始めの状態と操作2の後ではどのような関係にあるか,下記の選択肢(ⅰ)~(ⅲ)の中から適切なものを選べ。また,それが適切であると考えた理由を50字から100字程度で記せ。

図1—2(a)と比べると,図1—2(c)における平衡混合気体では,式(1)において,

(ⅰ) 平衡が左に移動している。

(ⅱ) 平衡がどちら側にも移動していない。

(ⅲ) 平衡が右に移動している。

コ 下線部⑤で与えられているシリンダの体積 VA,VB および濃度平衡定数 K を使って,操作2が終了したときのシリンダCの体積 VC を表せ。答に至る計算過程も記せ。

サ (1)式で表される反応が反応箱中で平衡状態に達した後,温度を上昇させると反応は左向きに進行して新たな平衡状態に達した。右向きの反応を正反応とするとき,正反応は吸熱反応であるか発熱反応であるか,50字以内の理由とともに記せ。

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第2問

次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。必要があれば以下の値を用いよ。

Cu の原子量 63.5

Ⅰ 次の文章を読み,問ア~カに答えよ。

 レアメタルや貴金属等はさまざまな製品に幅広く用いられており,それらの希少性・重要性から多くのリサイクル技術が開発されている。通常,製品には複数の金属が混在しており,目的とする金属を回収するには,溶解,沈殿,溶媒抽出,電解精錬など複数の化学操作が用いられる。

 まず溶解と沈殿の例として,金と銀を含む固体(固体A)からの金と銀の回収を考える。最初に固体Aに濃硝酸を加えてろ過する。このろ液に少量のアンモニア水を加えると,褐色を呈する a の沈殿が生じ,一方の金属を回収することができる。また,このろ過操作で残った固体を取り出して,2種類の酸 b と c を加えて再びろ過すると,もう一方の金属が溶解したろ液を得ることができる。

 金属の純度をさらに高めるために,溶媒抽出法が用いられる。溶媒抽出法では,混ざり合わない2つの液体,例えば水と極性の小さい有機溶媒を振り混ぜて目的成分を一方の液相に抽出する。特に金属の抽出操作では,キレート剤を用いる。キレート剤とは1つの分子中に金属イオンへ配位できる原子を2つ以上持つ試薬である。

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 例として,キレート剤である8-キノリノール(HQと表記)によるインジウムイオン(In3+)の抽出を考える。HQは,水層と有機層に分配し,あるpH条件では図2—1のように水層において一価の酸として働き,Q− と H+ に電離する。

図2—1 HQの電離平衡
図2—1 HQの電離平衡

 また,分配の平衡定数 K2 は有機層および水層におけるHQ濃度 [HQ]有機層 および [HQ]水層 を用いて K2=[HQ]有機層/[HQ]水層 と表すことができる。以上の条件のもと,有機層へ溶解させたHQは水層へ移動して,①In3+ と錯体を形成して全体として無電荷となり,有機層へ抽出される。このとき,In3+ に配位する原子の数は6である。

 純度の向上には電解精錬も用いられる。ここでは銅の電解精錬を考える。純度が低い粗銅で構成される陽極(アルミニウム,銀,鉄を含む)と,純銅で構成される陰極とを体積 2.0L の硫酸銅(Ⅱ)水溶液に入れて,0.30V で電気分解を行う。その結果,②陽極の質量は 112.0g 減少して,陰極の質量は 110.0g 増加した。また,水溶液中の硫酸銅(Ⅱ)の濃度は 0.020mol·L−1 減少した。③このとき,陽極の下に陽極泥と呼ばれる沈殿が生じた。

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〔問〕

ア a にあてはまる化学式と b,c にあてはまる物質名を記せ。

イ a の沈殿に過剰のアンモニア水を加えるとイオンとして溶解する。このイオンの化学式を記せ。

ウ In3+ が存在しないとき,HQの有機層への分配の程度を表す分配比 D=[HQ]有機層/([HQ]水層+[Q−]水層) を,水層における水素イオン濃度 [H+]水層,および K1,K2 を用いて表せ。

エ 下線部①に関して,生成する錯体の構造を記せ。なお,In3+ と配位結合する原子については,その原子と In3+ を点線で結び配位結合していることを明示すること。立体構造を表記する必要はない。

オ 下線部③に関して,陽極泥を構成する金属元素を沈殿した理由とともに記せ。

カ 下線部②に関して,陽極の減少量 112.0g のうち銅以外の重量を有効数字2桁で求めよ。ただし,水溶液の体積変化は無視できるものとする。

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Ⅱ 元素に関する以下の文章を読み,問キ~シに答えよ。

 元素を太陽系における物質量が大きい順に並べると,水素,d,酸素,炭素,窒素となる。d は第 e 族元素に属し,イオン化エネルギーが全ての元素の中で最も大きい。一方,酸素のイオン化エネルギーは,第2周期元素の平均値に近い。酸素の同素体であるオゾンは,成層圏で太陽からの紫外線を吸収し,地球表層の生物を紫外線の有害な作用から保護している。生物や化石燃料の主要構成元素である炭素の同位体のうち,質量数 f の同位体は,半減期(半分が放射壊変して別の同位体に変化するのに要する時間)が5730年の放射性同位体で,考古学試料などの年代測定に用いられている。大気中の二酸化炭素に含まれる放射性炭素の比率はほぼ一定であるが,④地球に到達する宇宙線強度の変化,化石燃料の使用,1945年以降の核実験の影響などによって変動してきた。窒素は空気の約8割を占め,アミノ酸をはじめとする多くの生体物質に含まれており,生命活動を支える重要な元素の1つである。

〔問〕

キ d にあてはまる元素名と e,f にあてはまる数値を記せ。

ク 第 e 族,第3周期の元素は,80K 以下の低温で面心立方格子の結晶となり,その単位格子の1辺の長さは 0.526nm である。この結晶における原子間距離(最近接の二つの原子間の距離)を有効数字2桁で求めよ。ただし単位格子の中には4個の原子があるものとする。計算の過程も記せ。必要ならば以下の値を用いよ。2=1.41,3=1.73,5=2.24

ケ クで述べたように,第 e 族,第3周期の元素の結晶は低温条件でなければ存在できないが,同じく第3周期に属する塩素を含む KCl は室温でも安定に結晶が存在できる。その理由を両者の結合の性質に着目して50字から100字程度で記せ。

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コ 標準状態で 44.8L の空気(モル分率0.20の酸素を含む)に紫外線を照射したところ,オゾンが生成した。反応後の気体の体積は,反応前と比べて標準状態で 1.4L 減少していた。反応後の気体に含まれているオゾンのモル分率を有効数字2桁で求めよ。計算の過程も記せ。ただし,紫外線の照射によって起こる反応はオゾンの生成のみと考える。

サ 下線部④の影響により,大気中の二酸化炭素に含まれる放射性炭素の比率は変動してきた。宇宙線強度の増加,および化石燃料の使用は,放射性炭素の比率を増加させるか,減少させるか。それぞれについて記せ。

シ 一般的に分子の形は,共有電子対,非共有電子対,不対電子の間の静電的な反発などの効果を反映して決まる。たとえば水分子は,2つの非共有電子対と2つの O−H 結合の共有電子対との反発により,非共有電子対を含めて考えれば正四面体に近い形状になるため折れ曲がった分子構造をとる。これらをふまえて,以下の選択肢(1)~(4)から,分子またはイオン全体として極性をもつものを全て選び,その番号を記せ。

(1) 二酸化窒素

(2) 四酸化二窒素

(3) 三フッ化窒素

(4) アンモニウムイオン

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第3問

次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。

Ⅰ 次の文章を読み,航空宇宙・エレクトロニクス分野で重要な役割を果たしているポリマーPに関する問ア~カに答えよ。

 ポリマーPは,以下に示す実験1~3により,モノマーM1とM2を原料として合成される。その反応の流れを図3—1にまとめた。

図3—1 実験1~3のまとめ
図3—1 実験1~3のまとめ

実験1:モノマーM1の合成

 モノマーM1は,テトラメチルベンゼンの位置異性体の1つである化合物Aを出発原料として,二段階で合成される。化合物Aの溶液に過マンガン酸カリウムを加えて 40℃ で数時間反応させたのち,反応過程で生成した酸化マンガンの沈殿をろ過により除去してから,ろ液を酸性にすることにより,化合物Bが得られる。これを減圧下で 200℃ に加熱すると,2分子の水を失って,モノマーM1が生成する。

 モノマーM1は,以下の性質を示す。すなわち,モノマーM1に2分子のエタノールを付加させると互いに異性体の関係にある化合物Cと化合物Dを与える。

実験2:モノマーM2の合成

 モノマーM2は,図3—2に示す化合物Eを塩化アンモニウム水溶液中で鉄粉を用いて還元することにより合成できる。この反応ではモノマーM2の塩酸塩と鉄の酸化物が生成する。鉄の酸化物の沈殿をろ過により除去したのち,ろ液に濃アンモニア水溶液を加えると,モノマーM2の結晶が析出する。

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図3—2 化合物Eの構造式
図3—2 化合物Eの構造式

実験3:ポリマーPの合成

 モノマーM1の溶液に等モル量のモノマーM2をゆっくり加えて室温で重合させる。ついで,この重合生成物を 230℃ に加熱すると,さらに縮合反応により水が失われてポリマーPが生成する。なお,ポリマーPに含まれる窒素原子に水素原子は結合していない(ただし,ポリマーの末端部を除く)。

〔問〕

ア テトラメチルベンゼンと呼ばれる化合物に,位置異性体はいくつあるか。

イ 化合物Aの構造式を記せ。

ウ 化合物CとDの構造式を記せ。

エ モノマーM1とモノマーM2の構造式を記せ。

オ 下記の選択肢(1)~(5)から,モノマーM2の性質として適切なものを1つ選べ。

(1) 水酸化ナトリウムと反応してナトリウム塩となる

(2) 硫酸酸性二クロム酸カリウム水溶液で還元される

(3) 次亜塩素酸カルシウム水溶液で酸化される

(4) ヨードホルム反応を示す

(5) フェーリング反応を示す

カ ポリマーPの構造式を記せ。なお,ポリマーの構造式は以下の例にならって繰り返し単位を記すこと。

p31a
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Ⅱ 今をさかのぼること百年ほど前,東京大学にゆかりのある化学者が,生命現象を化学の視点から理解することに重要な寄与をした。次の文1と文2を読み,問キ~スに答えよ。

〔文1〕 池田菊苗は昆布のうま味成分がL-グルタミン酸ナトリウムであることを明らかにし,味覚の1つとして「うま味」を提唱した。L-グルタミン酸(アミノ酸F)は,小麦に含まれるタンパク質を加水分解することで得られるアミノ酸混合物から分離精製することができる。この方法として,アミノ酸の側鎖の構造を反映して変化する a の違いを利用する電気泳動や,溶質とイオン交換樹脂の相互作用を利用するクロマトグラフィーなどがある。アミノ酸Fをアミノ酸混合物から精製する2つの実験を行った。

実験4:図3—3に示すアミノ酸F,G,Hの混合物からアミノ酸Fを分離するためにpH b の緩衝液を用いて電気泳動を行ったところ,アミノ酸Fのみが c 側へと移動した。

実験5:図3—4に示すように,スルホ基をもつポリスチレン樹脂(イオン交換樹脂)を円筒形のカラムにつめ,アミノ酸F,G,Hの混合物の希塩酸水溶液(pH 2.0)を流した(操作1)。ついで,pH 4.0の緩衝液(操作2),pH 7.0の緩衝液(操作3),pH 11.0の緩衝液(操作4)を順に流し,それぞれの操作における溶出液を三角フラスコA~Cに集めた。フラスコの内容物を分析するとアミノ酸Fはある1つの三角フラスコにだけ含まれていた。

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図3—3 L-グルタミン酸(アミノ酸F)およびアミノ酸G,Hの構造式(この表記法において,不斉炭素原子に結合したHは紙面の奥に,NH_2 は紙面の手前にある)
図3—3 L-グルタミン酸(アミノ酸F)およびアミノ酸G,Hの構造式(この表記法において,不斉炭素原子に結合したHは紙面の奥に,NH2 は紙面の手前にある)
図3—4 イオン交換樹脂を用いたアミノ酸の分離
図3—4 イオン交換樹脂を用いたアミノ酸の分離
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〔文2〕 高峰譲吉と上中啓三は,血圧を上げるなどの強い生理作用を示すホルモンであるアドレナリンの結晶化に世界で初めて成功し,医薬品として世に出した。アドレナリンはL-チロシンから4段階の化学反応(反応1~反応4)を経て体内で合成され,副腎髄質から分泌される。これらの化学反応はそれぞれ酵素E1~酵素E4によって促進され,図3—5に示すように,化合物I,J,Kを経てアドレナリンが合成される。なお,化合物I,J,Kのうち少なくとも1つは不斉炭素原子を持たない。また,酵素E2による反応2では,化合物Jに加えて d が生成する。

図3—5 生体内におけるアドレナリンの合成経路
図3—5 生体内におけるアドレナリンの合成経路

〔問〕

キ a にあてはまる適切な用語を記せ。

ク b および c にあてはまる適切な数字および用語の組み合わせを,下記の選択肢(1)~(6)の中から選べ。

p34a
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ケ 下線部に関して,実験5における操作1を行った後に,アミノ酸Fがイオン交換樹脂に吸着している様子を構造式で示せ。なお,イオン交換樹脂の構造式は下記のようにベンゼン環とスルホ基だけを示せばよい。また,アミノ酸の立体構造を表記する必要はない。

p35a

コ 三角フラスコBおよび三角フラスコCに含まれるアミノ酸の記号をそれぞれ記せ。なお,アミノ酸が含まれない場合には「無」と解答すること。

サ 酵素E1および酵素E3の役割は何か。それぞれについて,下記の選択肢(1)~(6)の中から適切なものを選べ。

(1) 第二級アルコールを生成する

(2) エーテル結合を生成する

(3) カルボキシル基を還元する

(4) カルボキシル基を酸化する

(5) ベンゼン環を酸化する

(6) アミノ基を酸化する

シ d にあてはまる化合物名を記せ。

ス 化合物I,J,Kのうち不斉炭素原子を持たないものはどれか。該当する化合物すべてについて,記号とともに構造式を記せ。