東大 過去問 2015年 化学|AI解答・解説・シミュレーション|アトリエファクトリー

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東京大学 第2次学力試験(前期)2015年 理科「化学」(東京大学がかつて公開したPDFの Internet Archive 保存版)

問題・出題の意図・東京大学の解答例(東京大学の公表資料)

東京大学の利用規定について

東京大学は、入試問題と出題の意図・解答の2次利用について「東京大学第2次学力試験入学試験問題等の2次利用について」(令和6年7月1日改定)で条件を定めている。このサイトでの対応は次のとおり。

解答とシミュレーション(AIで作成)

制作

制作:アトリエファクトリー(aTELiER FACTORY) https://atelierfactory.jp/

修正履歴

お知らせ(2026年10月4日)

解答・解説・シミュレーションは、すべて Claude Opus 5.5 で作成しています。作ったあとの確かめ方は、科目によって違います。

どの科目も、東京大学が公表した解答ではありません。くわしくは「問題取得方法と回答生成方法」をご覧ください。

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化 学

第1問

次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。

Ⅰ 次の文章を読み,問ア~オに答えよ。必要があれば以下の値を用いよ。

p16a

気体定数 R=8.3×103Pa·L·K−1·mol−1

 二酸化炭素(CO2)は人間の生活において身近な気体であり,炭酸飲料や入浴剤など多くの場面で登場する。これらには,CO2 気体の水に対する高い溶解度が活かされている。また,ドライアイス(CO2 固体)も冷却剤として広く利用されている。これは,ドライアイスが低温であるだけでなく,液体になることなく空気中に拡散する(昇華する)という便利な性質によるところが大きい。

 CO2 など大気圧下で昇華する固体の多くは分子性結晶であり,その分子間力のうちの主な引力は a 力である。CO2 分子のCとOの間は b 重結合で結ばれており,OCO結合角は c 度である。ドライアイスの蒸気圧が一酸化炭素(CO)固体の蒸気圧よりはるかに低い主な理由は,CO の極性が小さいことに加え,a 力は d が大きいほど大きくなるからである。

 CO2 の性質を調べるため,図1—1に示す実験装置を考えよう。温度 −196℃,容積 0.50L の容器Aには質量 2.7g のドライアイスのみが,温度 0℃,容積 0.50L の容器Bには 0.25L の水のみが入っている。2つの容器は細い管でつながれており,その間にはバルブがある。最初の状態では,バルブは閉じている。バルブ,圧力計および管内部の体積は無視できるものとする。

 図1—2は CO2 の状態図である。なお,以下の問では,気体は全て理想気体とし,気体の圧力と液体への溶解度の関係については,ヘンリーの法則が成り立つものとする。

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図1—1 実験装置
図1—1 実験装置
図1—2 CO_2 の状態図
図1—2 CO2 の状態図
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〔問〕

ア 空欄 a ~ d に当てはまる言葉や数字を答えよ。

イ 図1—2において,圧力 1.0×105Pa でドライアイスが昇華する温度は何 ℃ か,また,CO2 の液体が生成する最低の圧力は何 Pa か,それぞれ有効数字2桁で答えよ。

ウ 容器Aを問イの昇華温度に上げたとき,容器A内のドライアイスの質量は何 g か,有効数字2桁で答えよ。ただし,ドライアイスの体積は無視してよい。

エ 容器Aの温度を問ウの温度からさらに上げていくと,ある温度でドライアイスがすべて昇華して気体になった。そのときの温度は何 ℃ か,有効数字2桁で答えよ。さらに温度を上げ,容器が 0℃ になったとき,容器内の圧力は何 Pa か,有効数字2桁で答えよ。

オ 問エの操作が終了した状態でバルブを開けると,CO2 気体は容器Bに流れ込み,水に溶け込んでいく。十分に時間が経ち平衡状態に達したとき,水に溶け込んだ CO2 の物質量は何 mol か,また容器内の圧力は何 Pa か,それぞれ有効数字2桁で答えよ。答えに至る過程も記せ。ただし,0℃ における 1.0×105Pa の CO2 気体の水に対する溶解度は 0.080mol·L−1 とする。また,0℃ における水の蒸気圧は無視してよい。

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Ⅱ 次の文章を読み,問カ~コに答えよ。必要があれば以下の値を用いよ。

log102=0.30,log102.7=0.43,log103=0.48

 弱酸とその塩,または弱塩基とその塩を含む溶液は,少量の強酸や強塩基を加えてもpHがごくわずかしか変化しない。このような作用を緩衝作用と言い,私たちの血液や細胞内のpHを一定に保つという重要な役割を果たしている。ここでは,酢酸水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を加えたときのpHを求めることにより,緩衝作用を検証しよう。ただし,全ての実験は 25℃ で行い,溶液の混合による体積変化は無視できるものとする。

 酢酸は水溶液中でその一部だけが電離しており,電離していない分子と電離によって生じたイオンの間に,以下に示す電離平衡が成り立っている。

CH3COOH⇌CH3COO−+H+

酢酸の電離定数を Ka とする。また,酢酸水溶液のモル濃度を c,電離度を α とすると,c と α を用いて,Ka= e と表される。酢酸の電離度は1に比べて十分小さいので,1−α≒1 と近似すると,c と Ka を用いて,H+ のモル濃度は [H+]= f と表される。

 まず,①溶液A(0.10mol·L−1 の酢酸水溶液)をビーカーにとり,pHを測定した。次に,1000mL の溶液Aに,500mL の溶液B(0.10mol·L−1 の水酸化ナトリウム水溶液)を加えた。②この混合溶液をCとし,pHを測定した。このとき,酢酸ナトリウムは,以下のように,ほぼ完全に電離している。

CH3COONa⟶CH3COO−+Na+

 次に,③1500mL の溶液Cに,10mL の溶液D(1.0mol·L−1 の水酸化ナトリウム水溶液)を加え,pHを測定した。その結果,pHに大きな変動はなく,緩衝作用が確認された。

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 一方,④1000mL の溶液Aに,1000mL の溶液Bを加えて中和反応を行った。このとき,溶液は中性にはならず,塩基性を示した。これは,以下に示すように,酢酸イオンの一部と水が反応して OH− が生じるためである。

CH3COO−+H2O⇌CH3COOH+OH−

〔問〕

カ 空欄 e,f に入る適切な式を記せ。

キ 下線部①に関して,溶液AのpHを有効数字2桁で答えよ。答えに至る過程も記せ。ただし,25℃ における酢酸の電離定数を Ka=2.7×10−5mol·L−1 とする。

ク 下線部②に関して,溶液CのpHを有効数字2桁で答えよ。答えに至る過程も記せ。

ケ 下線部③に関して,このときのpHを有効数字2桁で答えよ。答えに至る過程も記せ。

コ 下線部④に関して,このときのpHを有効数字2桁で答えよ。答えに至る過程も記せ。ただし,水と反応して生成する酢酸の量は,酢酸イオンの量と比べて,きわめて少ないものとする。また,水のイオン積を Kw=1.0×10−14mol2·L−2 とする。

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第2問

次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。必要があれば以下の値を用いよ。

p22a

Ⅰ 次の文章を読み,問ア~カに答えよ。

 2価の銅イオン(Cu2+)を含む水溶液にヨウ化物イオンを加えると Cu+ に還元され,固体が沈殿する。たとえば,①硫酸銅(Ⅱ)水溶液に十分な量のヨウ化カリウム水溶液を加えると,白色のヨウ化銅(Ⅰ)の沈殿とヨウ素(I2)が生じる。注1)生じたヨウ素の量を,チオ硫酸ナトリウム(Na2S2O3)などを用いて滴定すれば,もとの硫酸銅水溶液の濃度を決定できる。

 一方,固体中の銅は +1 や +2 など様々な価数をとりうる。水溶液中と同様の反応を,銅を含む固体の化合物に適用すると,固体中に含まれる銅の量を決定できる。

 これらを踏まえて,以下の実験1~5を行った。

実験1:固体の酸化銅(Ⅱ)に十分な量のヨウ化カリウム水溶液を加え,さらに塩酸を加えると,酸化銅(Ⅱ)は白色の沈殿へと変化した。ここにデンプン溶液を加えたところ,溶液は紫色になった。

実験2:固体の酸化銅(Ⅰ)に十分な量のヨウ化カリウム水溶液を加え,さらに塩酸を加えると,酸化銅(Ⅰ)は白色の沈殿へと変化した。ここにデンプン溶液を加えたところ,溶液の色に変化は見られなかった。

実験3:銅の粉末を空気中で徐々に加熱しながら質量変化を測定したところ,図2—1のようになった。ある温度 T1 を越えたところで質量は増加しはじめ,②その後一定となった。さらに温度を上げると,温度 T2 で質量は減少しはじめた。その後加熱をやめて急冷し,固体Aを得た。Aの質量は 0.30g であった。

実験4:ヨウ素 0.115g に十分な量のヨウ化カリウム水溶液を加え,この溶液中のヨウ素を 0.10mol·L−1 のチオ硫酸ナトリウム水溶液で滴定したところ,9.0mL で終点に達した。

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実験5:Aに十分な量のヨウ化カリウム水溶液を加え,さらに③塩酸を加えると,Aは白色の沈殿へと変化し,溶液の色は褐色となった。④この溶液中のヨウ素を 0.10mol·L−1 のチオ硫酸ナトリウム水溶液で滴定したところ,24.0mL で終点に達した。

注1)生じたヨウ素は,ヨウ化カリウム水溶液に三ヨウ化物イオンとなって溶ける。

図2—1 銅の粉末を加熱した時の質量変化
図2—1 銅の粉末を加熱した時の質量変化

〔問〕

ア 下線部①の化学反応式を記せ。

イ 下線部②でどのような物質が生じているか。化学式を記せ。

ウ 固体A中に含まれる物質は何か。また,そのように考えた理由を30字程度で述べよ。

エ 下線部③で,塩酸の代わりに硝酸を用いるのは適切でない。この理由を30字程度で説明せよ。

オ 下線部④で,溶液中に含まれるヨウ素(I2)の物質量は何 mol か。有効数字2桁で答えよ。答えに至る過程も記すこと。

カ 固体Aの中に含まれる銅の含有率(質量パーセント)を有効数字2桁で答えよ。答えに至る過程も記すこと。

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Ⅱ 次の文章を読み,問キ~シに答えよ。

 ハロゲンの単体は⑤酸化力を有するため種々の金属と反応し,対応するハロゲン化物が生成する。また,ハロゲンの単体は H2 とも反応し,ハロゲン化水素(HF,HCl,HBr,HI)が生成する。⑥ハロゲン化水素の沸点の序列は,HF(19.5℃)>HI(−35.1℃)>HBr(−67.1℃)>HCl(−85.1℃) である。

 フッ素は,天然には蛍石や氷晶石など,フッ化物イオンとして存在する。⑦F2 は水と激しく反応する。

 Cl2 は,工業的には塩化ナトリウムの電気分解などにより製造される。Cl2 が初めて作られたのは,⑧酸化マンガン(Ⅳ)と濃塩酸の反応による(図2—2)。

 Br2 は,工業的には酸性溶液中で Cl2 による臭化物イオンの酸化によって製造される。Br2 は種々の⑨有機化合物の臭素化剤として用いられるが,Br2 の取り扱いにくさが問題として挙げられる。そのため,適切な条件下で O2 が臭化物イオンを Br2 に酸化できることを利用して,反応中に Br2 を発生させる臭素化法が開発されている。

 I2 も Cl2 によるヨウ化物イオンの酸化によって製造される。I2 は,有機化合物中の特定の官能基の検出,様々な滴定,⑩水分の定量などに用いられる。我が国は,ヨウ素の生産量,輸出量ともに世界第二位である。

〔問〕

キ 下線部⑤に関して,O2 や S などの単体も酸化力を有する。O2,S,F2,I2 を酸化力が強い順に並べよ。

ク 下線部⑥に関して,HF の沸点が他のハロゲン化水素の沸点に比べて高い理由を20字程度で説明せよ。

ケ 下線部⑦の化学反応式を記せ。

コ 下線部⑧の化学反応式を記せ。また,図2—2のような装置で純粋な Cl2 を得たいときに,どのような精製装置,捕集装置(捕集方法)を用いるのが適切かを簡潔に説明せよ。精製装置に関しては,何をどのように除去するかを明確に記すこと。

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サ 下線部⑨に関して,臭素化反応は有機化合物の不飽和度の決定にも利用される。二重結合を含む炭素数20の直鎖の炭化水素が 10.0g ある。この炭化水素に Br2 を反応させると,質量が 33.3g になった。すべての二重結合が Br2 と反応したとして,この炭化水素1分子に含まれる二重結合の数を整数で答えよ。答えに至る過程も記すこと。

シ 下線部⑩に関して,式(1)の反応が速やかに,かつ完全に進行することが知られている。注2)

I2+SO2+CH3OH+H2O⟶2HI+HSO4CH3(1)

 この反応を利用して,購入したエタノール中に含まれる水分の定量を以下のように行った。

 ビーカーに,十分な量のヨウ化物イオン,SO2 を含むメタノール 90.0mL および購入したエタノール 10.0mL を加えた。この溶液に陽極,陰極を浸し,100mA の電流を120秒間流したところで,溶液に I2 特有の色が観測された。一方,購入したエタノールを加えずに実験を行ったところ,電流を流し始めた直後に I2 の色が観測された。購入したエタノール中の含水率(質量パーセント)を有効数字2桁で答えよ。答えに至る過程も記すこと。ただし,陽極では,ヨウ化物イオンの酸化反応以外は起こらないものとする。陰極での反応は考えなくてよい。購入したエタノールの密度は 0.789g·mL−1 とする。ファラデー定数は F=9.65×104C·mol−1 とする。

注2)反応を効率よく進行させるためには塩基が必要であるが,酸化・還元反応に直接関わらないので,塩基を式(1)から除いて簡略化してある。

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図2—2 実験室での Cl_2 の製造装置
図2—2 実験室での Cl2 の製造装置
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第3問

次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。必要があれば以下の値を用い,構造式は例にならって示せ。

p28a

(構造式の例)

p28b

Ⅰ 次の反応1,反応2に関する記述を読み,問ア~カに答えよ。なお,本問では反応中に炭素骨格が変化したり,二重結合の位置が移動する反応は起こらないものとする。

〔反応1〕 濃硫酸を高温に加熱して,エタノールを加えると,分子内脱水反応によりエチレンが発生する。この例のように隣接する二つの炭素原子から水分子が脱離する反応は,温度条件などに違いはあるものの,多くのアルコールで行うことができ,二重結合を持つ化合物の合成法の一つである(式(1))。

eq3-1

〔反応2〕 一般に,炭素原子間の二重結合は硫酸酸性の過マンガン酸カリウムにより切断され,カルボニル化合物を与える。さらに,生成した有機化合物中にアルデヒド基が含まれる場合は,すべてカルボキシ基に酸化される。反応例を以下に示す(式(2))。

eq3-2
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〔問〕

ア 次に示すアルコールを用いて,反応1によりアルケンの合成を行う場合,生成する可能性のあるすべてのアルケンの構造式を示せ。立体異性体については考慮する必要はない。

p29a

イ 問アの反応により得られたアルケンの混合物をそのまま原料として用いて,さらに反応2により二重結合の切断を行う場合,生成する可能性のあるすべての有機化合物の構造式を示せ。炭酸および二酸化炭素は有機化合物とはみなさない。

ウ 硫酸酸性の過マンガン酸塩は基本的に式(3)に従った酸化反応を起こす。しかしながら,実際に酸化反応の実験を行うと,式(4)に示すように4価のマンガンの段階で反応が止まってしまう場合がある。このため,式(3)で計算した理論量の過マンガン酸塩を反応に用いた場合は反応が完結しないこともある。

MnO4−+5e−+8H+⟶Mn2++4H2O(3) MnO4−+3e−+4H+⟶MnO2+2H2O(4)

 下記のアルケン(分子式 C13H26)27.3g を用いて,反応2の操作を行う際に,全体の 25.0% の過マンガン酸カリウムが式(4)の反応を起こし,残りは式(3)に従って反応するものと仮定する。この場合,反応に必要な最小限の過マンガン酸カリウムの量は何 g か。有効数字2桁で答えよ。答えに至る過程も示すこと。

p29b
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エ 問ウの反応を行うと,カルボン酸とケトンが生成する。これらを分液操作により分離し,それぞれ蒸留操作により精製を行いたい。反応混合物から2種類の生成物を,それぞれ蒸留前の粗生成物として得るまでの分離操作について,簡潔に説明せよ。

オ C7H16O の分子式を持つ第三級アルコールAを用いて,反応1によるアルケンの合成を行い,さらに得られたすべての有機化合物を用いて,反応2の操作を行った。生成したすべての有機化合物の調査を行ったところ,ケトンのみが得られていることがわかった。化合物Aの構造として考え得る構造式をすべて示せ。立体異性体については考慮する必要はない。

カ 二重結合を一つ持つ炭化水素Bを用いて,反応2の操作を行い,生成したすべての有機化合物の調査を行ったところ,1種類のケトンのみが得られていることがわかった。その生成物中のカルボニル基をアルコールに還元した後,反応1の操作により,二重結合を導入した。さらに得られたすべての有機化合物を用いて,ふたたび反応2の操作により,二重結合を切断したところ,1種類の有機化合物のみが生成し,これはナイロン66(6,6-ナイロン)の合成原料のジカルボン酸と同じ化合物であった。化合物Bの構造として考え得る構造式をすべて示せ。

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Ⅱ 次の文章を読み,問キ~シに答えよ。

 単結合はその結合を軸として自由に回転できるが,通常,二重結合は回転できない。しかし,光をあてると二重結合が回転する場合がある。たとえば,式(5)のようにトランス-スチルベンに紫外光をあてると,シス-スチルベンへ変化する。

eq3-5

 トランス-スチルベンの −CH=CH− を −N=N− で置き換えた化合物である①トランス-アゾベンゼンに紫外光をあてると,式(6)のようにシス-アゾベンゼンへ変化する。アゾベンゼンのシス形に可視光をあてるか,加熱すると,トランス形に戻る。②光をあててトランス形からシス形に変化させると,分子全体の形だけでなく,極性も変化する。分子全体の極性は,③ベンゼン環に置換基を導入することでも変化する。

eq3-6

 アゾ化合物はDVD-Rの記録層用途の色素や,繊維を染色する染料として使用される。染料の一種であるオレンジⅡは,式(7)のようにスルファニル酸と2-ナフトールを出発物質として合成される。

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eq3-7

 式(8)のようにオレンジⅡを還元すると,スルファニル酸ナトリウムと化合物Cが生成する。化合物Cに大量の無水酢酸を反応させると,分子式 C14H13NO3 の化合物Dが得られる。

eq3-8

〔問〕

キ 下線部②に関して,アゾベンゼンのトランス形とシス形のうち,より極性が高い方の異性体がどちらであるかを30字程度の理由とともに記せ。

ク 下線部③に関して,トランス-アゾベンゼンの任意の二つの水素原子を塩素原子に置き換えた化合物を考える。その化合物で下線部①の反応が進んだ場合,反応の前後で二つの塩素原子の間の距離が変化しないものは何通りあるかを記せ。ただし,−N=N− 部分以外の構造変化は起こらないものとする。

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ケ 式(7)にしたがって,スルファニル酸(分子量173.1)3.98g と2-ナフトール(分子量144.0)2.88g を出発物質として,オレンジⅡ(分子量350.1)を合成したところ,4.83g が得られた。オレンジⅡの収率を有効数字2桁で答えよ。ただし,オレンジⅡの収率は次の式で求められるものとし,理論上得られるオレンジⅡの物質量とは,いずれかの出発物質が完全に消失するまで反応が進行する場合に,生成し得るオレンジⅡの最大の物質量であるものとする。なお,無機試薬は反応に十分な量を使用したものとする。

収率(%)=実際に得られたオレンジⅡの物質量理論上得られるオレンジⅡの物質量×100

コ 式(7)の反応の実験操作で,反応溶液を濃塩酸と混ぜるときにあらかじめ氷を加えて冷却する。ここで,温度を上げると,収率を低下させる反応が起こる可能性がある。構造式を用いて,その反応を化学反応式で示せ。

サ 化合物Cと化合物Dの構造式をそれぞれ示せ。

シ 式(7)の反応の実験を行い,報告書(レポート)を作成した。報告書を作成する上で明らかに不適切なものを次の(1)~(5)から二つ選べ。

(1) 実験手順書で指示された薬品の質量と実際に使用した質量が違ったので,指示された質量で計算した収率を記載した。

(2) 反応溶液を濃塩酸と混ぜるときに実験手順書には1回で加えるように書かれていたが,実際には2回に分けて加えたので,実際に行った実験操作を記載した。

(3) 固体の析出や気体の発生などの反応の様子について,実験ノートをもとに観察結果を記載した。

(4) オレンジⅡの収率を計算したところ 110% になったが,収率は最大で 100% であるべきなので,収率は 100% であったと記載した。

(5) 観察された色の変化や気体の発生について実験前に立てた仮説と比較し,考察を記載した。