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化 学
第1問
次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。構造式は例にならって示せ。構造式を示す際には不斉炭素原子に*を付けること。ただし,立体異性体を区別して考える必要はない。
(構造式の例)
Ⅰ 次の文章を読み,問ア~カ に答えよ。
分子式 C 6 H 12 O で表される化合物A~Fは,いずれも不斉炭素原子を一つだけもっている。それぞれの構造を決定するために,以下の実験を行った。
実験1:金属ナトリウムを加えると,AとDからは水素が発生しなかったが,B,C,E,Fからは発生した。
実験2:白金触媒を用いた水素の付加を試みると,AとBへの水素付加は起きなかったが,C,D,E,Fからは分子式 C 6 H 14 O の生成物が得られた。水素付加反応によって,①CとDからは不斉炭素原子をもたない化合物が得られ,②EとFからは同一の化合物が得られた。
実験3:二クロム酸カリウムを用いて酸化を試みると,A,C,Dは酸化されなかったが,Bからはケトン,EとFからはカルボン酸が得られた。
実験4:ヨードホルム反応を示したのはBのみであった。
実験5:カルボニル基の有無を確認することができる赤外吸収スペクトルを測定した結果,A~Fにカルボニル基の存在は認められなかった。
実験6:下線部②の結果を受け,図1—1に示すオゾン分解実験を行った。Eをオゾン分解すると,化合物Gとアセトアルデヒドが得られた。
実験7:Gに存在するカルボニル基を還元すると,不斉炭素原子をもたない化合物が得られた。
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実験8:Fをオゾン分解すると化合物Hが得られた。Hの分子式は C 5 H 10 O 2 であったが,図1—1の例から予測されるカルボニル化合物ではなかった。Hは二つの不斉炭素原子をもっており,銀鏡反応を示した。
図1—1 オゾン分解の例
注1) 炭素間二重結合を形成する炭素原子に酸素原子が直接結合した構造は考慮しない。
注2) 反応中に二重結合の移動は起こらないものとする。
〔問〕
ア 化合物Aとして考えられる構造異性体のうち,五員環をもつものすべての構造式を示せ。
イ 化合物Bとして考えられる構造異性体のうち,四員環をもつものは一つである。その構造式を示せ。
ウ 化合物Cとして考えられる構造異性体は一つである。その構造式を示せ。
エ 下線部①を考慮すると,化合物Dとして考えられる構造異性体は一つである。その構造式を示せ。
オ 実験6と8において生成した化合物GとHの構造式をそれぞれ示せ。
カ 以下の空欄 a ~ c にあてはまる適切な語句を答えよ。
化合物Cの沸点は化合物Dの沸点より高い。その主な理由は,Dには存在しない a 基が分子間の b 結合を形成するからである。一方,Cの沸点は化合物Eの沸点より低いが,CとEはともに a 基をもっているので,この沸点差を説明するためには,分子間の b 結合の強さを比較する必要がある。そこで,a 基周辺の空間的な状況に着目する。すなわち,CはEと比較して a 基周辺が空間的にこみ合っているため,分子間の b 結合の形成がより c いると理解できる。これが,Cの沸点がEの沸点より低い主な理由の一つである。
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Ⅱ 次の文章を読み,問キ~サ に答えよ。
多くの元素には,中性子の数が異なる d が存在し,それらの相対質量(12 C の質量を 12 とする質量)とその存在比から加重平均で算出される原子量が,分子量計算に用いられる。たとえば大気中の窒素には,その 99.6 % を占める相対質量 14.003 の窒素原子(14 N )の他に,中性子が一つ多い相対質量 15.000 の窒素原子(15 N )が 0.4 % 含まれているため,窒素の原子量は 14.007 となる。d どうしの化学的性質は,ほぼ同じであるため,これらを含む化合物の反応性もほとんど変化しないことが知られている。したがって,分子内の特定の位置にある元素の d の存在比を操作した化合物を用いて反応を行い,得られた生成物の特定の位置にある元素の d の存在比の変化を調べると,反応に伴う結合の形成や切断の過程を追跡することができる。たとえば,15 N をもつアニリン(C 6 H 5 15 N H 2 )と亜硝酸ナトリウム(N a N O 2 )を用いた以下に示す反応においては,ジアゾニウム塩に含まれる二つの窒素は,それぞれ異なる起源をもつことが明らかにされている。
今回,15 N の存在比を 100 % に高めた試薬 N a 15 N O 2 を用いて,以下の実験を行った。③ニトロベンゼン(C 6 H 5 N O 2 )を塩酸中でスズ(S n )と反応させて得られた化合物Iに対し,④濃塩酸中で氷冷しながら N a 15 N O 2 を加えたところ,化合物Jの沈殿が生じた。続いてこのJの沈殿を回収し,⑤これを水に溶かし,14 N 2 ガスで満たした密閉容器内において,室温で分解させたところ,化合物Kが主として得られ,それに伴い化合物Lおよび化合物Mがそれぞれ少量ずつ得られた。K,LおよびMはともにベンゼン環を有していた。⑥下線部④の操作で得られたJを2-ナフトールと反応させたところ,橙赤色の化合物Nを含む試料が得られた。この試料に含まれる化合物Nの分子量は 249.00 であった。
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一方,⑦下線部⑤と同じ反応を行い,Jの分解反応が大部分進行したところで,残ったJを回収し,2-ナフトールと反応させたところ,分子量 248.96 の化合物Nを含む試料が得られた。
〔問〕
キ d にあてはまる適切な語句を答えよ。
ク 下線部③の操作で化合物Iが生成する反応の化学反応式を示せ。なお,スズはすべて塩化スズ(S n C l 4 )に変換されるものとする。
ケ 化合物Mを熱した銅線に触れさせて,その銅線を炎の中に入れたところ,青緑色の炎色反応がみられた。また,Mを水酸化ナトリウム水溶液と高温高圧下で反応させ,反応後の溶液を中和したところ,化合物Kが得られた。一方,反応後の溶液を中和することなく,下線部④の操作で得られた化合物Jと 0 ∘ C で反応させたところ,化合物Lが得られた。LとMの構造式をそれぞれ示せ。15 N を含む場合には,14 N より 15 N の存在比が高いと考えられる窒素を,反応式中の例にならって◎で囲って示せ。
コ 下線部⑦の操作で得られた化合物Nに含まれる 15 N と 14 N の存在比を整数値で示せ。なお,ここでは原子量を H = 1.00 ,C = 12.00 ,O = 16.00 ,14 N および 15 N の相対質量を 14 N = 14.00 ,15 N = 15.00 と仮定して計算せよ。
サ 下線部⑥,⑦それぞれの操作で得られた化合物Nに含まれる 15 N と 14 N の存在比が異なるのはなぜか,下線部⑤の条件で起こっている反応に含まれる過程の可逆性に着目して,理由を簡潔に説明せよ。
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第2問
次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。必要があれば以下の値を用いよ。
気体定数 R = 8.31 × 10 3 P a · L / ( K · m o l ) = 8.31 J / ( K · m o l )
2 = 1.41 ,3 = 1.73 ,5 = 2.24
Ⅰ 次の文章を読み,問ア~キ に答えよ。
ある水素吸蔵物質(記号Xで表す)は式1の可逆反応により水素を取り込み(吸蔵し)X H 2 となる。
X H 2 ( 固 ) ⇌ X ( 固 ) + H 2 ( 気 ) (式1)
気体物質が平衡状態にある場合,各成分気体の濃度の代わりに分圧を用いて平衡定数を表すことができ,この平衡定数を圧平衡定数という。式1の反応が平衡状態にある場合,その圧平衡定数 K p ( 1 ) は水素の分圧 p H 2 を用いて
K p ( 1 ) = p H 2
と表すことができる。また,水素の分圧が K p ( 1 ) より小さいとき,式1の反応は起こらない。
内部の体積を自由に変えることのできるピストン付きの密閉容器に,水素を含む混合気体と,その物質量よりも十分大きい物質量のXを入れ,以下の実験を行った。式1の反応は速やかに平衡状態に達するものとし,527 ∘ C において K p ( 1 ) = 2.00 × 10 5 P a とする。また,Xへの水素以外の成分気体の吸蔵は無視でき,Xおよび X H 2 以外の物質は常に気体として存在するものとする。気体はすべて理想気体とし,容器内の固体の体積は無視できるものとする。
実験1:容器を水素 1.50 m o l とアルゴン 1.20 m o l で満たした。その後,①容器内の混合気体の圧力を 2.70 × 10 5 P a ,温度を 527 ∘ C に保ったまま,長時間放置した。このとき,Xに水素は吸蔵されていなかった。その後,温度を 527 ∘ C に保ちながら徐々に圧縮すると,②ある体積になったとき,水素の吸蔵が始まった。その後,さらに圧縮すると,③混合気体の圧力は 2.20 × 10 6 P a となった。
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実験2:容器を水素 1.50 m o l とヨウ素 1.20 m o l で満たした。その後,容器内の混合気体の圧力を 2.70 × 10 5 P a ,温度を 527 ∘ C に保ったまま,式2の反応が平衡状態に達するまで放置した。
H 2 ( 気 ) + I 2 ( 気 ) ⇌ 2 H I ( 気 ) (式2)
このとき,容器内にヨウ化水素は 2.00 m o l 存在しており,また,Xに水素は吸蔵されていなかった。その後,温度を 527 ∘ C に保ちながら徐々に圧縮すると,④ある体積になったとき,水素の吸蔵が始まった。その後,さらに平衡状態を保ちながら圧縮すると,⑤混合気体の圧力は 2.20 × 10 6 P a となった。
〔問〕
ア 下線部①のときの混合気体の体積は何 L か,有効数字2桁で答えよ。
イ 下線部②のときの混合気体の圧力は何 P a か,有効数字2桁で答えよ。
ウ 下線部②のときと同じ体積と温度で,容器に入れる水素とアルゴンの全物質量を一定としたまま,全物質量に対する水素の物質量比 x を変えて圧力を測定した。このとき,x と容器内の混合気体の圧力の関係として適切なグラフを,以下の図2—1に示す(1)~(4)の中から一つ選べ。ただし,Xは容器内にあり,混合気体を容器に入れる前に水素は吸蔵されていないものとする。
図2—1 水素の物質量比 x と容器内の混合気体の圧力の関係
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エ 下線部③のとき,Xは何 m o l の水素を吸蔵したか,有効数字2桁で答えよ。答えに至る過程も記せ。
オ 式2の反応の圧平衡定数を有効数字2桁で答えよ。
カ 下線部④のときの混合気体の圧力は何 P a か,有効数字2桁で答えよ。答えに至る過程も記せ。
キ 下線部⑤のときのヨウ化水素の分圧は何 P a か,有効数字2桁で答えよ。答えに至る過程も記せ。
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Ⅱ 次の文章を読み,問ク~シ に答えよ。
生物の体内では様々なタンパク質が化学反応に関わり,生命活動の維持に寄与している。タンパク質は,⑥約20種類のアミノ酸がペプチド結合を介して直鎖状につながった高分子で,一般に図2—2のヘモグロビンの様に複雑な立体構造をとる。
タンパク質の中で酵素として働くものは,立体構造の決まった部位に特定の化合物を結合させ,生体内の⑦化学反応の速度を大きくする役割を持つ。例えば⑧カタラーゼと呼ばれる酵素は,生体反応で発生し毒性を持つ過酸化水素を速やかに分解する。
また,酵素の中には,それ自身を構成するカルボキシ基など,酸塩基反応に関わる特定の官能基から,酵素に結合した基質Yへ水素イオン H + を供給することで,式3で示される反応を促進するものがある。
Y + H + ⟶ Y H + (式3)
反応後,酵素の官能基は水から十分大きい速度で H + を獲得し,反応前の状態に戻ることで新たなYへ H + を供給する。⑨酵素の周りにある水からYへの H + の供給よりも,酵素の官能基からYへの H + の供給が十分に速く起こる場合,Yに H + が供給される速度は溶液の p H によらず一定となる。
図2—2 ヘモグロビンの立体構造
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〔問〕
ク 下線部⑥に関連して,図2—3の構造式で示される(a)アラニン,(b)アスパラギン酸,(c)リシン,それぞれの水溶液に塩酸を加えて酸性にし,さらにアミノ酸の濃度が同一となるよう水で希釈した。ここへ一定の濃度の水酸化ナトリウム水溶液を滴下したとき,滴下した水酸化ナトリウム水溶液の体積 V N a O H に対する p H の変化について,(a)~(c)の3種類のアミノ酸それぞれに対応するものを,図2—4に示した(5)~(7)のグラフより選べ。
図2—3 アミノ酸の構造式
図2—4 アミノ酸の滴定曲線
ケ 下線部⑦について,ウレアーゼと呼ばれる酵素は,尿素 ( N H 2 ) 2 C O がアンモニアと二酸化炭素に加水分解する反応を促進する。この反応の化学反応式を示し,反応開始時のアンモニアの生成速度は尿素の減少速度の何倍か答えよ。
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コ 下線部⑧について,H 2 O 2 (液)と H 2 O (液)の生成反応の熱化学方程式をそれぞれ記せ。また,H 2 O 2 (液)から H 2 O (液)と酸素への分解反応の反応熱を求め,有効数字2桁で答えよ。ただし,H 2 O 2 (液)と H 2 O (液)の生成熱はそれぞれ 187.8 k J / m o l ,285.8 k J / m o l とする。
サ 下線部⑧について,H 2 O 2 (液)が H 2 O (液)と酸素に分解する反応の速度定数は,カタラーゼを加えることで 27 ∘ C で 10 12 倍大きくなる。過酸化水素の分解反応の反応速度定数 k が,定数 A ,分解反応の活性化エネルギー E a ,気体定数 R ,絶対温度 T を用いて式4で表されるとき,カタラーゼの存在下における E a を求め,有効数字2桁で答えよ。答えに至る過程も記せ。ただし,27 ∘ C におけるカタラーゼを加えない場合の E a は 75.3 k J / m o l とし,A はカタラーゼの有無によらず一定とする。
log 10 k = − E a 2.30 R T + A (式4)
シ 下線部⑨に関連して,H + の供給について説明した次の文章中の d ,e にあてはまる語句を,以下よりそれぞれ一つ選べ。ただし,酵素は高い p H 領域においても変性を起こさないものとする。
高い p H 領域では,H + を供給する官能基から H + が失われ,H + が酵素の周りの水からYに供給される。このとき,酵素とYの濃度が一定とすると,溶液の p H の増加に伴い,式3の反応速度は p H の d 関数に従って e する。
d … 1次,2次,指数,対数
e … 増加,減少
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第3問
次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。必要があれば以下の値を用いよ。
A g C l の溶解度積(25 ∘ C ) K s p 1 = 1.6 × 10 − 10 m o l 2 / L 2
A g 2 C r O 4 の溶解度積(25 ∘ C ) K s p 2 = 1.2 × 10 − 12 m o l 3 / L 3
アボガドロ定数 N A = 6.02 × 10 23 / m o l
2 = 1.41 ,3 = 1.73 ,5 = 2.24 ,6 = 2.45
Ⅰ 次の文章を読み,問ア~オ に答えよ。
試料水溶液中の塩化物イオン C l − の濃度は,塩化銀 A g C l とクロム酸銀 A g 2 C r O 4 の水への溶解度の差を利用した滴定実験により求めることができる。ここに①x m o l / L の C l − を含む試料水溶液が 20.0 m L ある。試料水溶液には,あらかじめ指示薬としてクロム酸カリウム K 2 C r O 4 を加え,クロム酸イオン C r O 4 2 − の濃度を 1.0 × 10 − 4 m o l / L とした。試料水溶液に 1.0 × 10 − 3 m o l / L の硝酸銀 A g N O 3 水溶液を滴下すると,すぐに白色沈殿(A g C l )が生じた。さらに A g N O 3 水溶液を滴下すると白色沈殿の量が増加し,②ある滴下量を超えると試料水溶液が赤褐色を呈した。③この赤褐色は A g 2 C r O 4 の沈殿に由来する。
本滴定実験において,A g C l により濁った水溶液が赤褐色を呈したと目視で認められた終点は,A g 2 C r O 4 が沈殿し始める点(当量点)とは異なる。そこで,対照実験として,試料水溶液と同体積・同濃度の K 2 C r O 4 水溶液に炭酸カルシウムを添加し,下線部②の赤褐色を呈する直前の試料水溶液と同程度に濁った水溶液を用意した。この濁った水溶液に,滴定に用いたものと同濃度の A g N O 3 水溶液を滴下し,④下線部②と同程度の呈色を認めるのに必要な A g N O 3 水溶液の体積を求めた。対照実験により補正を行った結果,当量点までに滴下した A g N O 3 水溶液は 16.0 m L であることがわかった。実験はすべて 25 ∘ C で行った。
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〔問〕
ア この滴定実験は,試料水溶液の p H が 7 から 10 の間で行う必要がある。p H が 10 より大きいと,下線部③とは異なる褐色沈殿が生じる。この褐色沈殿が生じる反応のイオン反応式を答えよ。
イ 本滴定実験に関連した以下の(1)~(5)の文のなかで,誤りを含むものを二つ選べ。
(1) 対照実験により得られた下線部④の値を,下線部②で赤褐色を呈するまでに滴下した A g N O 3 水溶液の体積より差し引くことにより,当量点までの滴下量を求めることができる。
(2) フッ化銀は水への溶解度が大きいため,本滴定実験は,フッ化物イオンの定量には適用できない。
(3) A g C l は,塩化ナトリウム N a C l 型構造のイオン結晶であるが,N a C l とは異なり水への溶解度は小さい。これは,N a と C l の電気陰性度の差と比べて,A g と C l の電気陰性度の差が大きいためである。
(4) 問ア の褐色沈殿に水酸化ナトリウム水溶液を加えると,錯イオンが生成することにより沈殿が溶解する。
(5) 試料水溶液の p H が 7 より小さいと,C r O 4 2 − 以外に,クロムを含むイオンが生成するため,正確な定量が難しくなる。
ウ 当量点において,試料水溶液中に溶解している A g + の物質量は何 m o l か,有効数字2桁で答えよ。答えに至る過程も記せ。
エ 当量点において,試料水溶液中のすべての C l − が A g C l として沈殿したと仮定し,下線部①の x を有効数字2桁で答えよ。答えに至る過程も記せ。
オ 実際には,当量点において,試料水溶液中に溶解したままの C l − がごく微量存在する。この C l − の物質量は何 m o l か,有効数字2桁で答えよ。答えに至る過程も記せ。
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Ⅱ 次の文章を読み,問カ~コ に答えよ。
水素 H 2 は,太陽光や風力等の再生可能エネルギーにより水から製造可能な燃料として注目されている。燃料電池自動車は,1.0 k g の H 2 で 100 k m 以上走行できる。しかし,1.0 k g の H 2 は1気圧 25 ∘ C における体積が 1.2 × 10 4 L と大きいため,燃料として利用するには H 2 を圧縮して貯蔵する技術が必要となる。燃料電池自動車では,1.0 k g の H 2 を 7.0 × 10 7 P a に加圧して 25 ∘ C における体積を 18 L にしている。H 2 を輸送する際には,− 253 ∘ C に冷却して液化し,1.0 k g の H 2 を 14 L にしている。また,炭化水素への可逆的な水素付加反応を用いて,H 2 を室温で液体の炭化水素として貯蔵する技術も開発されている。たとえば,⑤トルエンに水素を付加し,トルエンと同じ物質量のメチルシクロヘキサンを得る反応が用いられる。
1.0 k g の H 2 を適切な金属に吸蔵させると,液化した 1.0 k g の H 2 よりも小さな体積で貯蔵することができる。T i − F e 合金は,F e 原子を頂点とする立方体の中心に T i 原子が位置する単位格子を持つ(図3—1)。この合金中で H 2 は水素原子に分解され,水素原子の直径以上の大きさを持つすき間に水素原子が安定に存在できる。このとき,⑥6個の金属原子からなる八面体の中心◎(図3—2)に水素原子が位置する。
図3—1 T i − F e 合金の単位格子
図3—2 T i − F e 合金中で6個の金属原子からなる八面体
図3—3 八面体の中心◎を中点とする原子Aどうしの間隔
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〔問〕
カ 下線部⑤に関して,1.0 k g の H 2 をトルエンとすべて反応させて得たメチルシクロヘキサンの 25 ∘ C における体積は何 L か,有効数字2桁で答えよ。ただし,メチルシクロヘキサンの密度は 0.77 k g / L (25 ∘ C )である。
キ 下線部⑥に関して,T i − F e 合金の単位格子の一辺の長さ l = 0.30 n m ,T i の原子半径 0.14 n m ,F e の原子半径 0.12 n m のとき,図3—2の八面体において隣り合う原子Aと原子Bは接する。一方,図3—3に例を示す,八面体の中心◎を中点とする原子どうしの間隔(原子Aどうしは d A A ,原子Bどうしは d B B )は 0 より大きな値をとり,八面体の中心◎にすき間ができる。このとき,d A A ,d B B それぞれを l および原子A,Bの半径 r A ,r B を用いて表せ。さらに,d A A ,d B B のどちらが小さいかを答えよ。
ク 図3—2において,原子A,Bの組み合わせにより八面体は2種類存在し,このうち原子Aが T i で原子Bが F e である八面体の中心◎にのみ水素原子が安定に存在できる。この理由を,原子どうしの間隔と水素原子の大きさを比較して述べよ。ただし,T i − F e 合金中の水素原子の半径は 0.03 n m とする。
ケ 原子Aが T i である八面体の中心◎にのみ水素原子が1個ずつ吸蔵されるとき,T i − F e 合金中の水素原子の数は T i 原子の数の何倍かを答えよ。
コ L a − N i 合金(図3—4)も H 2 を水素原子として吸蔵する。図中の面 α ,β は,ともに一辺 a の正六角形である。この合金は金属原子1個あたり1個の水素原子を吸蔵した結果,a = 0.50 n m ,c = 0.40 n m となる。図3—4の結晶格子中に吸蔵される水素原子の数を答えよ。さらに,このように 1.0 k g の H 2 を吸蔵した L a − N i 合金の体積は何 L か,有効数字2桁で答えよ。
図3—4 L a − N i 合金の結晶格子
第1問 実験で形をしぼる・窒素の目じるし 出題の意図(東大) 有機分子の構造と性質を論理的に考える力、および、化学変換の過程を論理的に考察する力を問うことを意図しています。
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 Ⅰは、分子式 C 6 H 12 O の6つの化合物A〜Fの形を、実験の結果から1つずつしぼりこむ問題。C 6 H 12 O は、水素がいっぱいの形(C 6 H 14 O )より H が2個少ないので、二重結合か環がちょうど1つ ある。実験1〜5が教えてくれることを、はじめに言いかえておく。
Na で水素が出る → − O H がある(アルコール)。出ない → O はエーテル(− O − )。水素が付加する → C = C がある。付加しない → 環がある。二クロム酸カリウムで酸化されない → 第三級アルコールかエーテル。ケトンになる → 第二級アルコール、カルボン酸になる → 第一級アルコール。ヨードホルム反応 → C H 3 C H ( O H ) − の形がある。実験5から、どれにもカルボニル基(C = O )は無い。
C 6 H 12 O のつながり方は全部で 211 通りあり、注1(二重結合の炭素に O がじかにつく形は考えない)で 173 通り、「不斉炭素(4つの手の先がすべてちがう炭素)が1つだけ」で 54 通りまで一気に減る。そこから実験の条件を1つずつ重ねていく。
Ⅱは、窒素の重い仲間 15 N を目じるしにして、ジアゾニウム塩が水の中で分解するときに「行ったきり」ではなく「一部がもどっている」ことを、色素の分子量のわずかなちがいから見ぬく問題。
ア A は、Na で水素が出ない(− O H なし=エーテル)、水素が付加しない(C = C なし=環が1つ)、酸化されない、カルボニル基なし。つまり環をもつエーテル 。
五員環で O を環に入れると、テトラヒドロフラン(O と C H 2 4つの環、C 4 H 8 O )に炭素2個をつける形になる。つけ方は「エチル基1つ」か「メチル基2つ」。
不斉炭素が1つだけ という条件で調べる。エチル基を O のとなりの炭素(2の位置)につけても、1つとなり(3の位置)につけても、その炭素だけが不斉炭素になる。メチル基2つの場合は、同じ炭素に2つつけると不斉炭素が0個、別々の炭素につけると2個になって、どれも合わない。
O を環の外に出したメトキシシクロペンタン(C H 3 O − C 5 H 9 )は、環がつりあった形なので不斉炭素が無く、これも外れる。環の大きさの条件は答えをしぼるためのもので、「五員環」を言わないと候補は 18 個も残る。
答え 2-エチルテトラヒドロフラン C H 3 C H 2 − C * H (O と CH 2 CH 2 CH 2 で五員環)、3-エチルテトラヒドロフラン(環:O−CH 2 − C * H(C 2 H 5 )−CH 2 −CH 2 −)
イ B は、Na で水素が出る(− O H あり)、水素が付加しない(環がある)、酸化でケトンになる(第二級アルコール )、ヨードホルム反応を示す(C H 3 C H ( O H ) − の形がある)。
C H 3 C H ( O H ) − で炭素2個と O を使うので、残りは炭素4個。これで四員環を作ると、シクロブチル基 C 4 H 7 − がそのままつく形しかない:
C H 3 − C H ( O H ) − C 4 H 7
− O H のついた炭素は、H ・O H ・C H 3 ・シクロブチル基の4つがちがうので不斉炭素。シクロブチル基の中の炭素は左右がつりあっていて不斉炭素にならない。これで不斉炭素がちょうど1つ。
答え C H 3 − C * H ( O H ) − C 4 H 7 (C 4 H 7 =シクロブチル基:1-シクロブチルエタノール)
ウ C は、− O H があり、C = C があり(水素が付加する)、酸化されない。− O H があるのに酸化されないので第三級アルコール (− O H のついた炭素に H が無い)。
− O H のついた炭素には炭素が3つつながっている。注1から、この炭素は二重結合をつくれないので、二重結合は枝のどれかにある。炭素は6個なので、枝3本で炭素5個を分ける。不斉炭素が1つ(− O H の炭素)になるには、3本の枝が全部ちがう必要があり、C H 3 ・C 2 H 5 ・ビニル基 C H = C H 2 の組み合わせになる。
下線部①のとおり、水素を付加するとビニル基がエチル基に変わり、エチル基が2本になって不斉炭素が消える。実際には実験3までの条件で候補はもう1つにしぼれていて、①はその確かめになっている。
答え C H 2 = C H − C * ( O H ) ( C H 3 ) − C H 2 C H 3 (3-メチル-1-ペンテン-3-オール)
エ D は、Na で水素が出ない(エーテル)、C = C がある、酸化されない。二重結合をもつ鎖状のエーテル 。ここまでで候補は 6 個残る。
下線部①「水素を付加すると不斉炭素が消える」を使う。付加で不斉炭素が消えるのは、不斉炭素についている二重結合の枝が、付加で別の枝と同じ形になる とき。炭素が6個しかないので、ビニル基 C H = C H 2 がエチル基に変わって、もともとあったエチル基と同じになる形にしぼられる。そこで不斉炭素には、H・ビニル基・エチル基と、O を通した枝がつく。炭素は6個なので、O の先は C H 3 (メトキシ基)になる:
C H 2 = C H − C H ( O C H 3 ) − C H 2 C H 3 ⟶ C H 3 C H 2 − C H ( O C H 3 ) − C H 2 C H 3
付加したあとは左右が同じエチル基なので、不斉炭素が無い。
答え C H 2 = C H − C * H ( O C H 3 ) − C H 2 C H 3 (3-メトキシ-1-ペンテン)
オ G E は − O H があり、C = C があり、酸化でカルボン酸になる。− C H 2 O H をもつ第一級アルコール 。
オゾン分解は、C = C を切ってそれぞれの炭素を C = O にする反応(図1—1)。E から G とアセトアルデヒド C H 3 C H O ができたので、E の二重結合の一方の端は = C H − C H 3 。残りの炭素は4個で、G は「− C H 2 O H と − C H O をもつ炭素4個の化合物」。
実験7で、G の − C H O を還元(− C H 2 O H にする)すると不斉炭素が無くなる。つまり G の不斉炭素には、− C H 2 O H と − C H O が1つずつついていて、還元で両方が − C H 2 O H になると同じになる。炭素4個に合わせると、残りの枝は H と C H 3 。
E は、この G の − C H O のところに = C H − C H 3 をつなぎ直した H O C H 2 − C H ( C H 3 ) − C H = C H − C H 3 で、水素を付加すると 2-メチル-1-ペンタノールになる。
オ H F も第一級アルコールで、水素を付加すると E と同じ化合物(2-メチル-1-ペンタノール)になる(下線部②)。E とは二重結合の位置だけがちがう。不斉炭素が1つで、注2(二重結合は動かない)もふまえると、F は二重結合が端にある H O C H 2 − C H ( C H 3 ) − C H 2 − C H = C H 2 。
図1—1どおりにオゾン分解すると、H O C H 2 − C H ( C H 3 ) − C H 2 − C H O (C 5 H 10 O 2 、不斉炭素1つ)とホルムアルデヒドになるはず。ところが H は「予測される化合物ではなく」、不斉炭素が2つ ある。
分子の端の − O H が、同じ分子の反対の端の − C H O に「かみつく」と、O をふくむ五員環ができる(環状のヘミアセタール)。このとき − C H O の炭素は O・O H ・H・環の C H 2 の4つがつく不斉炭素になり、もとの C H ( C H 3 ) とあわせて2つ。分子式は C 5 H 10 O 2 のまま変わらない。
この環は水の中で開いたり閉じたりしていて、開いた形はアルデヒドなので、銀鏡反応を示す。ブドウ糖が環になっていても銀鏡反応を示すのと同じしくみ。
答え 五員環の O− C * H(OH)−CH 2 − C * H(CH 3 )−CH 2 −(O に戻る):4-メチルテトラヒドロフラン-2-オール
カ 沸点の高さは、分子どうしが引き合う強さで決まる。C(アルコール)と D(エーテル)は分子量が同じなので、ちがいは − O H の有無。− O H (ヒドロキシ基)どうしは水素結合 (H が別の分子の O に引かれる強い引き合い)をつくるので、C のほうが沸点が高い。
C と E はどちらも − O H をもつ。C は第三級アルコールで、− O H のついた炭素に枝が3本もついていて、まわりがこみ合っている。E は第一級で − C H 2 O H が端に出ている。こみ合っていると、ほかの分子の − O H が近づきにくく、水素結合ができるのが妨げられる 。そのため C の沸点は E より低い。
キ 原子番号(陽子の数)が同じで、中性子の数がちがう原子どうしを同位体 という。14 N と 15 N は、どちらも陽子7個で、中性子が7個と8個。
電子の数と並び方が同じなので化学的な性質はほぼ同じで、反応の中では見分けがつかない。だから「目じるし」として分子に入れておき、あとで質量のちがいから、どの原子がどこへ行ったかを追える。
ク ニトロベンゼンをスズと塩酸で還元すると、ニトロ基 − N O 2 がアミノ基に変わる。酸性の液の中なので、アミノ基は H + を受けとって塩(アニリン塩酸塩 C 6 H 5 N H 3 C l )になっている。これが化合物 I。
係数は、電子のやりとりの数から決めると早い。N の酸化数は + 3 から − 3 に変わるので、ニトロベンゼン1分子は電子を6個もらう。スズは 0 から + 4 (S n C l 4 )で、1個あたり電子を4個わたす。そろえると
6 × 2 = 4 × 3 = 12
あとは原子の数を合わせる。Cl は C 6 H 5 N H 3 C l に2個、S n C l 4 に12個で合計14個なので H C l は14。ニトロベンゼンの O 4個は水4分子になる。H も両側で数えて合っていることを確かめる。
答え 2 C 6 H 5 N O 2 + 3 S n + 14 H C l ⟶ 2 C 6 H 5 N H 3 C l + 3 S n C l 4 + 4 H 2 O
ケ まず J。I(アニリン塩酸塩)を氷で冷やしながら亜硝酸ナトリウムと反応させる(ジアゾ化)と、塩化ベンゼンジアゾニウム C 6 H 5 − N + ≡ N C l − ができる。はじめの反応式の例のとおり、ベンゼン環についた N はアニリンから、先の N は亜硝酸から来る。ここでは N a 15 N O 2 を使ったので、先の N が 15 N 。
M:熱した銅線で青緑色の炎が出る(バイルシュタイン反応)ので、M は塩素をふくむ。J が分解して N 2 が抜けたところに C l − がつくとクロロベンゼン C 6 H 5 C l 。N は抜けてしまうので 15 N はふくまない。クロロベンゼンを水酸化ナトリウムと高温・高圧で反応させるとナトリウムフェノキシドになり、中和すると K(フェノール)になる。これは話が合う。
L:中和しないで、ナトリウムフェノキシドと J を 0 ∘ C で反応させるのはジアゾカップリング 。フェノールの − O H の反対側(パラ位)に − N = N − C 6 H 5 がつき、p-ヒドロキシアゾベンゼンになる。
どちらの N が 15 N かは、つながりを追えばよい。J の先の N(15 N )がフェノールの環とつながるので、− O H がついた環の側の N を◎で囲む。
答え L: C 6 H 5 − N = ◎ N − C 6 H 4 − O H (p-ヒドロキシアゾベンゼン。OH のついた環の側の N を◎)、M: C 6 H 5 C l (クロロベンゼン、¹⁵N なし)
コ N は、J と 2-ナフトールがカップリングしてできる 1-フェニルアゾ-2-ナフトール C 16 H 12 N 2 O 。N が2つとも 14 N だとすると、分子量は
12.00 × 16 + 1.00 × 12 + 14.00 × 2 + 16.00 = 248.00
15 N が1個入るごとに 1.00 ふえる。⑥の 249.00 は、ちょうど1個(J の先の N)が 15 N ということ。
⑦の 248.96 は平均の値なので、1分子あたり 15 N が平均 0.96 個入っている。N は1分子に2個あるので、14 N は 2 − 0.96 = 1.04 個。比は
0.96 : 1.04 = 96 : 104
サ ⑥の J は、分解の反応を通っていない J。⑦の J は、分解(⑤)がだいぶ進んだあとに残っていた J。ちがいは⑤の容器の中で何が起きたか。
⑤では J が C 6 H 5 + と N 2 に分かれる。もしこれが行ったきりなら、残った J は手つかずのままで、目じるしはうすまらない(組みなおす割合を 0 にすると、分解がどれだけ進んでも 249.00 のまま)。
ところが実際には分子量が下がっている。つまり分解の一部は逆もどりする (可逆)。分かれてできた C 6 H 5 + が、容器を満たしているたくさんの 14 N 2 とくっつき直すと、N が2つとも 14 N の J ができて、残りの J にまざる。分解が進むほど、この「入れかわった J」の割合がふえる。
分解で出てきた 15 N 入りの N 2 は、容器の中の大量の 14 N 2 にうすめられるので、もどってくるのはほとんど 14 N 2 。これが 15 N の比が下がる理由。
答え ⑤ では J → Ph + +N 2 の分解が可逆で、一部の Ph + がまわりの大量の 14 N 2 と結合して J にもどる。そのため ⑦ で回収した J は 15 N の一部が 14 N に置きかわっているが、⑥ の J はこの過程を経ていないから
第2問 水素をためる物質・アミノ酸と酵素 出題の意図(東大) 化学における 4 つのテーマ(気体の混合、化学平衡、反応速度と反応熱)を論理的かつ総合的に考察する力を問うことを意図しています。
東大の解答例(選ぶ問題だけ) Ⅰ ウ:(4) Ⅱ ク:(a) (6),(b) (7),(c) (5) Ⅱ シ:d 指数,e 減少 下の答えと全部一致
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 Ⅰは、水素を吸いこむ物質 X(水素吸蔵物質)が入った、ピストンつきの容器を押し縮めていく問題。X が水素を吸う・はき出す反応の圧平衡定数(分圧で書いた平衡定数)は K p ( 1 ) = p H 2 で、水素の分圧だけで決まる。
だから筋はとても単純。水素の分圧が K p ( 1 ) = 2.00 × 10 5 P a より小さいあいだは、X は何もしない (ふつうの気体の計算)。押し縮めて分圧がこの値に届くと、それ以上は X が水素を吸って、水素の分圧は 2.00 × 10 5 P a から動かなくなる 。ほかの気体(アルゴンやヨウ素)は吸われないので、押せば押すほどその分圧だけが上がる。
温度はずっと 527 ∘ C = 800 K 。気体の状態方程式 p V = n R T と、「分圧=全圧×物質量の割合」を使う。
Ⅱは、アミノ酸の滴定曲線の見分け方と、酵素のはたらき(反応の熱は変えずに、山=活性化エネルギーだけを下げる)、それに pH で反応の速さが変わるしくみを問う。
ア ①ではまだ X は水素を吸っていないので、容器の中はただの混合気体。物質量の合計は 1.50 + 1.20 = 2.70 m o l 。状態方程式から
V = n R T p = 2.70 × 8.31 × 10 3 × 800 2.70 × 10 5
2.70 が分子と分母で消えるので、計算はかんたん。
このときの水素の分圧は 2.70 × 10 5 × 1.50 2.70 = 1.50 × 10 5 P a で、K p ( 1 ) より小さい。だから「吸蔵されていなかった」と話が合う。
イ 吸蔵が始まるのは、押し縮めて水素の分圧が K p ( 1 ) = 2.00 × 10 5 P a にちょうど届いたとき。それまでは物質量が変わらないので、水素の割合は 1.50 2.70 のまま。
p × 1.50 2.70 = 2.00 × 10 5 ⟹ p = 2.00 × 10 5 × 2.70 1.50
水素が気体全体の半分より少し多いので、全圧は K p ( 1 ) の2倍より少し小さいところで吸い始める。
ウ ②の体積(イの圧力と 2.70 m o l から決まる)と温度を固定して、全物質量 2.70 m o l のうち水素の割合 x だけを変える。
X が何もしなければ、全圧は x によらず②と同じ 3.6 × 10 5 P a で、水素の分圧は 3.6 × 10 5 x 。これが K p ( 1 ) 以下、つまり
x ≤ 2.00 3.60 ≈ 0.56
x がこれをこえると、X が水素を吸って水素の分圧は 2.00 × 10 5 P a で止まる。アルゴンの分圧は 3.6 × 10 5 ( 1 − x ) なので、全圧は
p = 2.00 × 10 5 + 3.6 × 10 5 ( 1 − x )
で、x についてまっすぐ下がり 、x = 1 (水素だけ)で 2.00 × 10 5 P a になる。「平ら → 折れてまっすぐ下がる」形のグラフを選ぶ。
エ ③では吸蔵が起きているので、水素の分圧は 2.00 × 10 5 P a 。全圧が 2.20 × 10 6 P a なので、アルゴンの分圧は 2.00 × 10 6 P a 。
アルゴンは吸われないので 1.20 m o l のまま。同じ容器の中では、分圧の比=物質量の比なので、気体として残っている水素は
1.20 × 2.00 × 10 5 2.00 × 10 6 = 0.12 m o l
はじめの 1.50 m o l から、気体に残った分を引いたものが X に吸われた水素。
押し縮めるほど、ふえた圧力はほとんどアルゴンが受けもち、水素はどんどん X に入っていく。
答え 1.4 m o l (Ar の分圧 2.0 × 10 6 Pa、気体に残る H 2 = 1.20 × 2.0 × 10 5 2.0 × 10 6 = 0.12 mol、 1.50 − 0.12 = 1.38 )
オ 式2で反応した量を数える。HI が 2.00 m o l できたので、H₂ と I₂ はそれぞれ 1.00 m o l ずつ減った。残りは H₂ 0.50 m o l 、I₂ 0.20 m o l 。
式2は、左も右も気体の分子が2個で数が変わらない反応。だから圧平衡定数の式で、全圧や体積は約分されて消え、物質量の比だけで書ける:
K p = p H I 2 p H 2 p I 2 = 2.00 2 0.50 × 0.20
カ 押し縮めても、式2は分子の数が変わらない反応なので、平衡は左にも右にもずれない(ルシャトリエの原理で、圧力を下げる向きが無い)。だから④まで、H₂・I₂・HI の物質量は 0.50 ・0.20 ・2.00 m o l のまま、合計 2.70 m o l 。
吸蔵が始まるのは水素の分圧が 2.00 × 10 5 P a に届いたとき。水素の割合は 0.50 2.70 なので
p × 0.50 2.70 = 2.00 × 10 5
ヨウ素と反応して水素が 0.50 m o l に減っているぶん、実験1(イ)よりずっと強く押し縮めないと吸い始めない。
答え 1.1 × 10 6 P a (気体の数が変わらない反応なので H 2 の割合 0.50 / 2.70 のまま、 2.00 × 10 5 × 2.70 0.50 = 1.08 × 10 6 )
キ ⑤では吸蔵が起きているので、p H 2 = 2.00 × 10 5 P a に固定。全圧 2.20 × 10 6 P a から、残りの2つの分圧の合計は
p H I + p I 2 = 2.00 × 10 6
p H I 2 = 40 × 2.00 × 10 5 × p I 2
h 2 = 8 ( 2 − h ) ⟹ h 2 + 8 h − 16 = 0
問題の 2 = 1.41 を使うと h = 4 × 0.41 = 1.64 で、答えは 1.6 × 10 6 P a 。本当の 2 = 1.4142 ⋯ を使うと h = 1.657 で、2けたなら 1.7 × 10 6 になる。丸め方で答えが分かれる所なので、問題が与えた 1.41 を使う。
吸蔵が始まったあとは水素の分圧が 2.00 × 10 5 P a に決まっているので、式2の平衡は「p H I 2 が p I 2 に比例する」という関係だけになる。これと全圧の式を組み合わせるのがこの小問のポイント。
答え 1.6 × 10 6 P a ( p H I + p I 2 = 2.0 × 10 6 , p H I 2 = 40 × 2.0 × 10 5 p I 2 ⇒ p H I = 4 ( 2 − 1 ) × 10 6 )
ク 塩酸で酸性にしたアミノ酸は、− C O O H も − N H 3 + も H⁺ がついた形になっている。NaOH を入れると、H⁺ をはなしやすい手から順に 中和される。− C O O H は酸性(pH 2〜4 くらい)で、− N H 3 + は塩基性(pH 9〜10 くらい)で H⁺ をはなす。
H⁺ をはなす手がそれぞれいくつあるかを数える。アラニンは − C O O H 1・− N H 3 + 1。アスパラギン酸は − C O O H 2・− N H 3 + 1。リシンは − C O O H 1・− N H 3 + 2。
滴定曲線は、酸性側の手を中和し終えたところで pH がはね上がり 、全部の手を中和し終えたところでもう一度上がって終わる。アミノ酸の濃さは同じなので、手1つ分の NaOH の量を「1」とすると、アラニンは「1 ではね上がり 2 で終わる」、アスパラギン酸は「2 ではね上がり 3 で終わる」、リシンは「1 ではね上がり 3 で終わる」。
図2—4では、手1つ分の NaOH が 2 mL にあたる(3本とも 2 mL か 4 mL ではね上がり、4 mL か 6 mL で終わる)。この「はね上がる所」と「終わる所」の位置を3本と見くらべて、それぞれを選ぶ。
答え (a) (6)、(b) (7)、(c) (5)
ケ 尿素 ( N H 2 ) 2 C O が水と反応して、アンモニアと二酸化炭素になる(加水分解)。N は2個なので N H 3 が2、C は1個なので C O 2 が1。O は尿素と水で2個、C O 2 で2個なので水は1分子。H も両側で6個ずつになる。
反応式の係数は「何個へって何個できるか」の比なので、尿素が1分子へるあいだにアンモニアは2分子できる。速さの比は係数の比になる。
答え ( N H 2 ) 2 C O + H 2 O ⟶ 2 N H 3 + C O 2 、2 倍
コ 生成熱は「単体(いちばん安定な元素の形)から化合物 1 mol ができるときに出る熱」。H 2 O 2 の単体は H 2 と O 2 、H 2 O も同じなので、それぞれ
H 2 (気) + O 2 (気) = H 2 O 2 (液) + 187.8 k J
H 2 (気) + 1 2 O 2 (気) = H 2 O (液) + 285.8 k J
分解の反応 H 2 O 2 (液) = H 2 O (液) + 1 2 O 2 (気) + Q は、2本目から1本目を引くと出てくる(ヘスの法則:道すじによらず熱の出入りは同じ):
Q = 285.8 − 187.8
正なので発熱反応。過酸化水素は、水と酸素になるほうがエネルギーが低い(安定)。
答え H 2 (気) + O 2 (気) = H 2 O 2 (液) + 187.8 k J , H 2 (気) + 1 2 O 2 (気) = H 2 O (液) + 285.8 k J 、反応熱 98 k J / m o l (発熱)
サ 式4を、カタラーゼあり(E a )となし(75.3 k J / m o l )で2本書いて引き算する。A は同じなので消える:
log 10 k あり k なし = 75.3 × 10 3 − E a 2.30 R T = 12
12 × 2.30 × 8.31 × 300 = 6.88 × 10 4 J / m o l = 68.8 k J / m o l
酵素は山(活性化エネルギー)を低くするだけで、谷の深さ(コの反応熱 98 kJ)は変えない。山が 68.8 kJ 下がるだけで、速さは 1 兆倍(10 12 倍)になる。
答え 6.5 k J / m o l ( 75.3 − 12 × 2.30 × 8.31 × 300 1000 )
シ 高い pH では、酵素の官能基(− C O O H など)は H⁺ を失っていて、H⁺ を渡せない。するとYは、まわりの水の中の H⁺ から受けとるしかない。その速さは、水の中の H + の濃さ [ H + ] に比例する。
[ H + ] = 10 − p H
なので、pH が1上がるごとに [ H + ] は 1 10 になり、反応の速さも 1 10 になる。「1 上がるごとに同じ割合で小さくなる」のは、指数関数 の形で減っていく ということ。
反対に低い pH では、下線部⑨のとおり酵素の官能基から H⁺ が十分速く渡されるので、速さは pH によらず一定(平ら)。グラフは「平ら → ある pH から急に下がる」形になる。
第3問 銀の滴定・水素をためる合金 出題の意図(東大) 無機化学に関する様々な項目(無機物質の性質,化学反応,溶解度,結晶の構造)に関する基礎的な理解力と,これらの現象の本質を見抜き論理的かつ総合的に考察する力を問うことを意図しています。
東大の解答例(選ぶ問題だけ) イ:(3),(4) 下の答えと全部一致
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 Ⅰは、硝酸銀を少しずつ落として、液の中の塩化物イオン C l − の量をはかる滴定(モール法)。A g + はまず C l − とくっついて白い A g C l の沈殿になり、C l − がほぼなくなると、目じるしのクロム酸イオン C r O 4 2 − とくっついて赤褐色の A g 2 C r O 4 が出はじめる。赤くなった所が「終わり」の合図。
どちらが先に沈むかは、溶解度積(とけているイオンの濃さのかけ算の上限)で決まる。[ A g + ] [ C l − ] が K s p 1 をこえると A g C l が、[ A g + ] 2 [ C r O 4 2 − ] が K s p 2 をこえると A g 2 C r O 4 が沈む。
この問題の大事な点は、液がとてもうすいこと。赤くなった時でも、入れた銀のかなりの部分(約3分の1)が沈まずにとけたまま 残っている。これを引かないと C l − の量を大きく見つもってしまう。
Ⅱは、水素 1 kg をどれだけ小さくしまえるか。高い圧力・液体・液体の炭化水素・合金の中、の4通りを比べる。合金では、金属原子のすき間に水素原子が入る。すき間の大きさと、原子の数え方がテーマ。
ア pH が 10 より大きいと、液の中に O H − がたくさんある。A g + は O H − とくっつくと、いったん A g O H になるが、これはすぐに水が抜けて褐色の酸化銀 A g 2 O になる。
A g 2 O 1個には Ag が2個いるので、A g + 2個と O H − 2個から、A g 2 O と水が1個ずつできる。両側の電荷(左は + 2 − 2 = 0 、右も 0)と原子の数がそろっていることを確かめる。
イ (1) 対照実験は「赤く見えるまでに、どれだけ余分に銀が要るか」をはかっている。その分を引けば当量点までの量が出るので正しい。(2) フッ化銀は水によくとけて沈殿しないので、この方法ではフッ化物イオンははかれない。正しい。(5) 酸性にすると C r O 4 2 − が二クロム酸イオン C r 2 O 7 2 − に変わり、目じるしの量が狂う。正しい。
(3) は理由が逆。A g C l が水にとけにくいのは、Ag と Cl の電気陰性度(電子を引きよせる強さ)の差が小さく 、結合が共有結合に近い性質をもつからである。
(4) 酸化銀は水酸化ナトリウム水溶液にはとけない。錯イオン([ A g ( N H 3 ) 2 ] + )ができてとけるのは、アンモニア水を加えたとき。
ウ 当量点は、A g 2 C r O 4 がちょうど沈みはじめる点なので、[ A g + ] 2 [ C r O 4 2 − ] = K s p 2 がなりたつ。
液の体積は試料 20.0 mL+硝酸銀 16.0 mL=36.0 mL にふえているので、クロム酸イオンはうすまって
[ C r O 4 2 − ] = 1.0 × 10 − 4 × 20.0 36.0 = 5.6 × 10 − 5 m o l / L
[ A g + ] = K s p 2 [ C r O 4 2 − ] = 1.2 × 10 − 12 5.6 × 10 − 5 ≈ 1.47 × 10 − 4 m o l / L
物質量は、これに液の体積 0.0360 L をかける。
問題文の 1.0 × 10 − 4 m o l / L は、硝酸銀を入れる前の試料 20.0 mL での濃さと読む(当量点では 36.0 mL にうすまっている)。もし、うすまりを考えずに 1.0 × 10 − 4 のまま使うと、ウ 3.9 × 10 − 6 mol・エ 6.0 × 10 − 4 mol/L・オ 5.3 × 10 − 8 mol になる。
答え 5.3 × 10 − 6 m o l ( [ C r O 4 2 − ] = 1.0 × 10 − 4 × 20.0 36.0 , [ A g + ] = K s p 2 / [ C r O 4 2 − ] = 1.47 × 10 − 4 , × 0.0360 L )
エ 1.0 × 10 − 3 × 16.0 1000 = 1.6 × 10 − 5 m o l
このうちウの分はとけたまま液の中にいるので、A g C l として沈んだ銀は、その差。C l − が全部 A g C l になったと考えると、沈んだ銀と同じ数の C l − が試料 20.0 mL にあった:
x = 1.6 × 10 − 5 − 5.3 × 10 − 6 0.0200
もし、とけたままの銀を引かずに 1.6 × 10 − 5 ÷ 0.0200 とすると 8.0 × 10 − 4 m o l / L になり、5割も多く出てしまう。硝酸銀がとてもうすいので、とけて残る分が無視できない。
答え 5.4 × 10 − 4 m o l / L ( ( 1.6 × 10 − 5 − 5.3 × 10 − 6 ) ÷ 0.0200 )
オ 当量点の液は A g C l でいっぱいなので、とけている A g + と C l − は [ A g + ] [ C l − ] = K s p 1 を満たす。ウの [ A g + ] を使って
[ C l − ] = K s p 1 [ A g + ] = 1.6 × 10 − 10 1.47 × 10 − 4 ≈ 1.1 × 10 − 6 m o l / L
エで沈んだ C l − (約 1.1 × 10 − 5 m o l )にくらべると数百分の1しかないので、エの「すべて沈んだ」という仮定はほぼ正しい(ずれは 0.4% ほど)。
答え 3.9 × 10 − 8 m o l ( K s p 1 / [ A g + ] × 0.0360 )
カ トルエン C 7 H 8 のベンゼン環に水素を付加すると、メチルシクロヘキサン C 7 H 14 になる。H が6個ふえるので、トルエン1分子に H 2 が3分子つく:
C 7 H 8 + 3 H 2 ⟶ C 7 H 14
H 2 1.0 kg は 1000 ÷ 2.0 = 500 m o l 。できるメチルシクロヘキサンはその 1 3 で約 167 m o l 。分子量は 98 なので、質量は約 16.3 kg。
液体の水素(14 L)より少し大きいが、室温でふつうの液体としてあつかえるのが利点。
キ 八面体の中心◎から見て、原子Aは正方形の4つの角に、原子Bはその上下に1個ずつある。図3—1の立方体で言うと、立方体の辺の中点を◎とすると、辺の両はしの2個が B(上下)、その辺を囲む4つの立方体の中心の4個が A(まわり)にあたる。
B どうしは、辺の長さ l だけはなれている。原子の中心の間から、両側の半径を引いたものがすき間なので
d B B = l − 2 r B
A どうしは正方形の対角線の両はしで、正方形の一辺は l なので、中心どうしは 2 l はなれている:
d A A = 2 l − 2 r A
数字を入れてくらべると、A が Ti・B が Fe の八面体でも、その逆でも、d B B のほうがずっと小さい。すき間の広さは、上下の B どうしの間で決まる。
答え d A A = 2 l − 2 r A , d B B = l − 2 r B 、 d B B の方が小さい
ク 水素原子の直径は 0.03 × 2 = 0.06 n m 。これ以上のすき間が無いと入れない。キから、せまいほうの d B B = l − 2 r B だけ見ればよい。
A が Ti・B が Fe のとき:d B B = 0.30 − 2 × 0.12 = 0.06 n m で、水素原子の直径と同じ(ぎりぎり入れる)。
A が Fe・B が Ti のとき:d B B = 0.30 − 2 × 0.14 = 0.02 n m で、直径より小さく入れない。
大きい Ti が上下にくると、すき間がつぶれてしまう。小さい Fe が上下にくる八面体だけが水素を受け入れられる。
答え A=Ti・B=Fe の八面体では d B B = 0.30 − 0.24 = 0.06 n m で H の直径 0.06 nm 以上。A=Fe・B=Ti では d B B = 0.30 − 0.28 = 0.02 n m で直径より小さく入れないから
ケ A が Ti の八面体の中心は、キで見たとおり、Fe を頂点とする立方体の辺の中点 。立方体には辺が12本あり、1本の辺は4つの立方体で分け合っているので、1つの単位格子の分は
12 × 1 4 = 3
一方、Ti は立方体の中心に1個だけ。だから水素原子は Ti の3倍。
(面の中心にあるすき間は、A が Fe・B が Ti の八面体なので、クのとおり水素は入れない。)
答え 3 倍(立方体の辺の中点: 12 × 1 4 = 3 個、Ti は 1 個)
コ 図3—4の六角柱の中の原子を、「その場所がいくつの六角柱で分け合われているか」で数える。六角柱の角は6つの六角柱で分け合うので 1 6 個、上下の面(面 α)や側面の上は2つで分け合うので 1 2 個、六角柱の中は1個と数える。
La:面 α の角に6個と、面 α の真ん中に1個。上下2枚の面 α で 2 × ( 6 × 1 6 + 1 2 ) = 3 個。Ni:面 α の上に6個ずつ(上下で 2 × 6 × 1 2 = 6 個)。真ん中の面 β には12個あり、そのうち6個は六角柱の側面の上(1 2 個ずつ)、6個は中(1個ずつ)なので 3 + 6 = 9 個。Ni は合わせて15個(L a N i 5 が3つ分)。金属原子1個あたり水素原子1個なので、水素原子は 3 + 15 個。
六角柱の体積は、正六角形(正三角形6つ分)の面積 3 3 2 a 2 に高さ c をかけて
3 3 2 × 0.50 2 × 0.40 ≈ 0.26 n m 3
H 2 1.0 kg は水素原子 1000 mol、つまり 1000 × 6.02 × 10 23 個。これを18個ずつ入れる六角柱の数に、1つの体積をかける。1 n m 3 = 10 − 24 L に注意する。
液体の水素(14 L)よりも小さくしまえる。金属の中では、水素原子が液体の水素よりもぎっしりつまっている。