東大 過去問 2021年 化学|AI解答・解説・シミュレーション|アトリエファクトリー

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東京大学 第2次学力試験(前期)2021年 理科「化学」(東京大学がかつて公開したPDFの Internet Archive 保存版)

問題・出題の意図・東京大学の解答例(東京大学の公表資料)

東京大学の利用規定について

東京大学は、入試問題と出題の意図・解答の2次利用について「東京大学第2次学力試験入学試験問題等の2次利用について」(令和6年7月1日改定)で条件を定めている。このサイトでの対応は次のとおり。

解答とシミュレーション(AIで作成)

制作

制作:アトリエファクトリー(aTELiER FACTORY) https://atelierfactory.jp/

修正履歴

お知らせ(2026年10月4日)

解答・解説・シミュレーションは、すべて Claude Opus 5.5 で作成しています。作ったあとの確かめ方は、科目によって違います。

どの科目も、東京大学が公表した解答ではありません。くわしくは「問題取得方法と回答生成方法」をご覧ください。

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化 学

第1問

 次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。構造式は例にならって示せ。構造式を示す際には不斉炭素原子に*を付けること。ただし,立体異性体を区別して考える必要はない。

(構造式の例)

p28a

Ⅰ 次の文章を読み,問ア~カに答えよ。

 分子式 C6H12O で表される化合物A~Fは,いずれも不斉炭素原子を一つだけもっている。それぞれの構造を決定するために,以下の実験を行った。

実験1:金属ナトリウムを加えると,AとDからは水素が発生しなかったが,B,C,E,Fからは発生した。

実験2:白金触媒を用いた水素の付加を試みると,AとBへの水素付加は起きなかったが,C,D,E,Fからは分子式 C6H14O の生成物が得られた。水素付加反応によって,①CとDからは不斉炭素原子をもたない化合物が得られ,②EとFからは同一の化合物が得られた。

実験3:二クロム酸カリウムを用いて酸化を試みると,A,C,Dは酸化されなかったが,Bからはケトン,EとFからはカルボン酸が得られた。

実験4:ヨードホルム反応を示したのはBのみであった。

実験5:カルボニル基の有無を確認することができる赤外吸収スペクトルを測定した結果,A~Fにカルボニル基の存在は認められなかった。

実験6:下線部②の結果を受け,図1—1に示すオゾン分解実験を行った。Eをオゾン分解すると,化合物Gとアセトアルデヒドが得られた。

実験7:Gに存在するカルボニル基を還元すると,不斉炭素原子をもたない化合物が得られた。

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実験8:Fをオゾン分解すると化合物Hが得られた。Hの分子式は C5H10O2 であったが,図1—1の例から予測されるカルボニル化合物ではなかった。Hは二つの不斉炭素原子をもっており,銀鏡反応を示した。

図1—1 オゾン分解の例
図1—1 オゾン分解の例

注1) 炭素間二重結合を形成する炭素原子に酸素原子が直接結合した構造は考慮しない。

注2) 反応中に二重結合の移動は起こらないものとする。

〔問〕

ア 化合物Aとして考えられる構造異性体のうち,五員環をもつものすべての構造式を示せ。

イ 化合物Bとして考えられる構造異性体のうち,四員環をもつものは一つである。その構造式を示せ。

ウ 化合物Cとして考えられる構造異性体は一つである。その構造式を示せ。

エ 下線部①を考慮すると,化合物Dとして考えられる構造異性体は一つである。その構造式を示せ。

オ 実験6と8において生成した化合物GとHの構造式をそれぞれ示せ。

カ 以下の空欄 a ~ c にあてはまる適切な語句を答えよ。

 化合物Cの沸点は化合物Dの沸点より高い。その主な理由は,Dには存在しない a 基が分子間の b 結合を形成するからである。一方,Cの沸点は化合物Eの沸点より低いが,CとEはともに a 基をもっているので,この沸点差を説明するためには,分子間の b 結合の強さを比較する必要がある。そこで,a 基周辺の空間的な状況に着目する。すなわち,CはEと比較して a 基周辺が空間的にこみ合っているため,分子間の b 結合の形成がより c いると理解できる。これが,Cの沸点がEの沸点より低い主な理由の一つである。

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Ⅱ 次の文章を読み,問キ~サに答えよ。

 多くの元素には,中性子の数が異なる d が存在し,それらの相対質量(12C の質量を 12 とする質量)とその存在比から加重平均で算出される原子量が,分子量計算に用いられる。たとえば大気中の窒素には,その 99.6 % を占める相対質量 14.003 の窒素原子(14N)の他に,中性子が一つ多い相対質量 15.000 の窒素原子(15N)が 0.4 % 含まれているため,窒素の原子量は 14.007 となる。d どうしの化学的性質は,ほぼ同じであるため,これらを含む化合物の反応性もほとんど変化しないことが知られている。したがって,分子内の特定の位置にある元素の d の存在比を操作した化合物を用いて反応を行い,得られた生成物の特定の位置にある元素の d の存在比の変化を調べると,反応に伴う結合の形成や切断の過程を追跡することができる。たとえば,15N をもつアニリン(C6H515NH2)と亜硝酸ナトリウム(NaNO2)を用いた以下に示す反応においては,ジアゾニウム塩に含まれる二つの窒素は,それぞれ異なる起源をもつことが明らかにされている。

p30a

 今回,15N の存在比を 100 % に高めた試薬 Na15NO2 を用いて,以下の実験を行った。③ニトロベンゼン(C6H5NO2)を塩酸中でスズ(Sn)と反応させて得られた化合物Iに対し,④濃塩酸中で氷冷しながら Na15NO2 を加えたところ,化合物Jの沈殿が生じた。続いてこのJの沈殿を回収し,⑤これを水に溶かし,14N2 ガスで満たした密閉容器内において,室温で分解させたところ,化合物Kが主として得られ,それに伴い化合物Lおよび化合物Mがそれぞれ少量ずつ得られた。K,LおよびMはともにベンゼン環を有していた。⑥下線部④の操作で得られたJを2-ナフトールと反応させたところ,橙赤色の化合物Nを含む試料が得られた。この試料に含まれる化合物Nの分子量は 249.00 であった。

— 31 —
p31a

 一方,⑦下線部⑤と同じ反応を行い,Jの分解反応が大部分進行したところで,残ったJを回収し,2-ナフトールと反応させたところ,分子量 248.96 の化合物Nを含む試料が得られた。

〔問〕

キ d にあてはまる適切な語句を答えよ。

ク 下線部③の操作で化合物Iが生成する反応の化学反応式を示せ。なお,スズはすべて塩化スズ(SnCl4)に変換されるものとする。

ケ 化合物Mを熱した銅線に触れさせて,その銅線を炎の中に入れたところ,青緑色の炎色反応がみられた。また,Mを水酸化ナトリウム水溶液と高温高圧下で反応させ,反応後の溶液を中和したところ,化合物Kが得られた。一方,反応後の溶液を中和することなく,下線部④の操作で得られた化合物Jと 0 ∘C で反応させたところ,化合物Lが得られた。LとMの構造式をそれぞれ示せ。15N を含む場合には,14N より 15N の存在比が高いと考えられる窒素を,反応式中の例にならって◎で囲って示せ。

コ 下線部⑦の操作で得られた化合物Nに含まれる 15N と 14N の存在比を整数値で示せ。なお,ここでは原子量を H=1.00,C=12.00,O=16.00,14N および 15N の相対質量を 14N=14.00,15N=15.00 と仮定して計算せよ。

サ 下線部⑥,⑦それぞれの操作で得られた化合物Nに含まれる 15N と 14N の存在比が異なるのはなぜか,下線部⑤の条件で起こっている反応に含まれる過程の可逆性に着目して,理由を簡潔に説明せよ。

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第2問

 次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。必要があれば以下の値を用いよ。

気体定数 R=8.31×103 Pa·L/(K·mol)=8.31 J/(K·mol)

2=1.41,3=1.73,5=2.24

Ⅰ 次の文章を読み,問ア~キに答えよ。

 ある水素吸蔵物質(記号Xで表す)は式1の可逆反応により水素を取り込み(吸蔵し)XH2 となる。

XH2(固)⇌X(固)+H2(気)(式1)

 気体物質が平衡状態にある場合,各成分気体の濃度の代わりに分圧を用いて平衡定数を表すことができ,この平衡定数を圧平衡定数という。式1の反応が平衡状態にある場合,その圧平衡定数 Kp(1) は水素の分圧 pH2 を用いて

Kp(1)=pH2

と表すことができる。また,水素の分圧が Kp(1) より小さいとき,式1の反応は起こらない。

 内部の体積を自由に変えることのできるピストン付きの密閉容器に,水素を含む混合気体と,その物質量よりも十分大きい物質量のXを入れ,以下の実験を行った。式1の反応は速やかに平衡状態に達するものとし,527 ∘C において Kp(1)=2.00×105 Pa とする。また,Xへの水素以外の成分気体の吸蔵は無視でき,Xおよび XH2 以外の物質は常に気体として存在するものとする。気体はすべて理想気体とし,容器内の固体の体積は無視できるものとする。

実験1:容器を水素 1.50 mol とアルゴン 1.20 mol で満たした。その後,①容器内の混合気体の圧力を 2.70×105 Pa,温度を 527 ∘C に保ったまま,長時間放置した。このとき,Xに水素は吸蔵されていなかった。その後,温度を 527 ∘C に保ちながら徐々に圧縮すると,②ある体積になったとき,水素の吸蔵が始まった。その後,さらに圧縮すると,③混合気体の圧力は 2.20×106 Pa となった。

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実験2:容器を水素 1.50 mol とヨウ素 1.20 mol で満たした。その後,容器内の混合気体の圧力を 2.70×105 Pa,温度を 527 ∘C に保ったまま,式2の反応が平衡状態に達するまで放置した。

H2(気)+I2(気)⇌2HI(気)(式2)

このとき,容器内にヨウ化水素は 2.00 mol 存在しており,また,Xに水素は吸蔵されていなかった。その後,温度を 527 ∘C に保ちながら徐々に圧縮すると,④ある体積になったとき,水素の吸蔵が始まった。その後,さらに平衡状態を保ちながら圧縮すると,⑤混合気体の圧力は 2.20×106 Pa となった。

〔問〕

ア 下線部①のときの混合気体の体積は何 L か,有効数字2桁で答えよ。

イ 下線部②のときの混合気体の圧力は何 Pa か,有効数字2桁で答えよ。

ウ 下線部②のときと同じ体積と温度で,容器に入れる水素とアルゴンの全物質量を一定としたまま,全物質量に対する水素の物質量比 x を変えて圧力を測定した。このとき,x と容器内の混合気体の圧力の関係として適切なグラフを,以下の図2—1に示す(1)~(4)の中から一つ選べ。ただし,Xは容器内にあり,混合気体を容器に入れる前に水素は吸蔵されていないものとする。

図2—1 水素の物質量比 x と容器内の混合気体の圧力の関係
図2—1 水素の物質量比 x と容器内の混合気体の圧力の関係
— 34 —

エ 下線部③のとき,Xは何 mol の水素を吸蔵したか,有効数字2桁で答えよ。答えに至る過程も記せ。

オ 式2の反応の圧平衡定数を有効数字2桁で答えよ。

カ 下線部④のときの混合気体の圧力は何 Pa か,有効数字2桁で答えよ。答えに至る過程も記せ。

キ 下線部⑤のときのヨウ化水素の分圧は何 Pa か,有効数字2桁で答えよ。答えに至る過程も記せ。

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Ⅱ 次の文章を読み,問ク~シに答えよ。

 生物の体内では様々なタンパク質が化学反応に関わり,生命活動の維持に寄与している。タンパク質は,⑥約20種類のアミノ酸がペプチド結合を介して直鎖状につながった高分子で,一般に図2—2のヘモグロビンの様に複雑な立体構造をとる。

 タンパク質の中で酵素として働くものは,立体構造の決まった部位に特定の化合物を結合させ,生体内の⑦化学反応の速度を大きくする役割を持つ。例えば⑧カタラーゼと呼ばれる酵素は,生体反応で発生し毒性を持つ過酸化水素を速やかに分解する。

 また,酵素の中には,それ自身を構成するカルボキシ基など,酸塩基反応に関わる特定の官能基から,酵素に結合した基質Yへ水素イオン H+ を供給することで,式3で示される反応を促進するものがある。

Y+H+⟶YH+(式3)

 反応後,酵素の官能基は水から十分大きい速度で H+ を獲得し,反応前の状態に戻ることで新たなYへ H+ を供給する。⑨酵素の周りにある水からYへの H+ の供給よりも,酵素の官能基からYへの H+ の供給が十分に速く起こる場合,Yに H+ が供給される速度は溶液の pH によらず一定となる。

図2—2 ヘモグロビンの立体構造
図2—2 ヘモグロビンの立体構造
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〔問〕

ク 下線部⑥に関連して,図2—3の構造式で示される(a)アラニン,(b)アスパラギン酸,(c)リシン,それぞれの水溶液に塩酸を加えて酸性にし,さらにアミノ酸の濃度が同一となるよう水で希釈した。ここへ一定の濃度の水酸化ナトリウム水溶液を滴下したとき,滴下した水酸化ナトリウム水溶液の体積 VNaOH に対する pH の変化について,(a)~(c)の3種類のアミノ酸それぞれに対応するものを,図2—4に示した(5)~(7)のグラフより選べ。

図2—3 アミノ酸の構造式
図2—3 アミノ酸の構造式
図2—4 アミノ酸の滴定曲線
図2—4 アミノ酸の滴定曲線

ケ 下線部⑦について,ウレアーゼと呼ばれる酵素は,尿素 (NH2)2CO がアンモニアと二酸化炭素に加水分解する反応を促進する。この反応の化学反応式を示し,反応開始時のアンモニアの生成速度は尿素の減少速度の何倍か答えよ。

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コ 下線部⑧について,H2O2(液)と H2O(液)の生成反応の熱化学方程式をそれぞれ記せ。また,H2O2(液)から H2O(液)と酸素への分解反応の反応熱を求め,有効数字2桁で答えよ。ただし,H2O2(液)と H2O(液)の生成熱はそれぞれ 187.8 kJ/mol,285.8 kJ/mol とする。

サ 下線部⑧について,H2O2(液)が H2O(液)と酸素に分解する反応の速度定数は,カタラーゼを加えることで 27 ∘C で 1012 倍大きくなる。過酸化水素の分解反応の反応速度定数 k が,定数 A,分解反応の活性化エネルギー Ea,気体定数 R,絶対温度 T を用いて式4で表されるとき,カタラーゼの存在下における Ea を求め,有効数字2桁で答えよ。答えに至る過程も記せ。ただし,27 ∘C におけるカタラーゼを加えない場合の Ea は 75.3 kJ/mol とし,A はカタラーゼの有無によらず一定とする。

log10k=−Ea2.30RT+A(式4)

シ 下線部⑨に関連して,H+ の供給について説明した次の文章中の d,e にあてはまる語句を,以下よりそれぞれ一つ選べ。ただし,酵素は高い pH 領域においても変性を起こさないものとする。

 高い pH 領域では,H+ を供給する官能基から H+ が失われ,H+ が酵素の周りの水からYに供給される。このとき,酵素とYの濃度が一定とすると,溶液の pH の増加に伴い,式3の反応速度は pH の d 関数に従って e する。

 d … 1次,2次,指数,対数

 e … 増加,減少

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第3問

 次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。必要があれば以下の値を用いよ。

p40a

AgCl の溶解度積(25 ∘C) Ksp1=1.6×10−10 mol2/L2

Ag2CrO4 の溶解度積(25 ∘C) Ksp2=1.2×10−12 mol3/L3

アボガドロ定数 NA=6.02×1023 /mol

2=1.41,3=1.73,5=2.24,6=2.45

Ⅰ 次の文章を読み,問ア~オに答えよ。

 試料水溶液中の塩化物イオン Cl− の濃度は,塩化銀 AgCl とクロム酸銀 Ag2CrO4 の水への溶解度の差を利用した滴定実験により求めることができる。ここに①x mol/L の Cl− を含む試料水溶液が 20.0 mL ある。試料水溶液には,あらかじめ指示薬としてクロム酸カリウム K2CrO4 を加え,クロム酸イオン CrO42− の濃度を 1.0×10−4 mol/L とした。試料水溶液に 1.0×10−3 mol/L の硝酸銀 AgNO3 水溶液を滴下すると,すぐに白色沈殿(AgCl)が生じた。さらに AgNO3 水溶液を滴下すると白色沈殿の量が増加し,②ある滴下量を超えると試料水溶液が赤褐色を呈した。③この赤褐色は Ag2CrO4 の沈殿に由来する。

 本滴定実験において,AgCl により濁った水溶液が赤褐色を呈したと目視で認められた終点は,Ag2CrO4 が沈殿し始める点(当量点)とは異なる。そこで,対照実験として,試料水溶液と同体積・同濃度の K2CrO4 水溶液に炭酸カルシウムを添加し,下線部②の赤褐色を呈する直前の試料水溶液と同程度に濁った水溶液を用意した。この濁った水溶液に,滴定に用いたものと同濃度の AgNO3 水溶液を滴下し,④下線部②と同程度の呈色を認めるのに必要な AgNO3 水溶液の体積を求めた。対照実験により補正を行った結果,当量点までに滴下した AgNO3 水溶液は 16.0 mL であることがわかった。実験はすべて 25 ∘C で行った。

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〔問〕

ア この滴定実験は,試料水溶液の pH が 7 から 10 の間で行う必要がある。pH が 10 より大きいと,下線部③とは異なる褐色沈殿が生じる。この褐色沈殿が生じる反応のイオン反応式を答えよ。

イ 本滴定実験に関連した以下の(1)~(5)の文のなかで,誤りを含むものを二つ選べ。

(1) 対照実験により得られた下線部④の値を,下線部②で赤褐色を呈するまでに滴下した AgNO3 水溶液の体積より差し引くことにより,当量点までの滴下量を求めることができる。

(2) フッ化銀は水への溶解度が大きいため,本滴定実験は,フッ化物イオンの定量には適用できない。

(3) AgCl は,塩化ナトリウム NaCl 型構造のイオン結晶であるが,NaCl とは異なり水への溶解度は小さい。これは,Na と Cl の電気陰性度の差と比べて,Ag と Cl の電気陰性度の差が大きいためである。

(4) 問アの褐色沈殿に水酸化ナトリウム水溶液を加えると,錯イオンが生成することにより沈殿が溶解する。

(5) 試料水溶液の pH が 7 より小さいと,CrO42− 以外に,クロムを含むイオンが生成するため,正確な定量が難しくなる。

ウ 当量点において,試料水溶液中に溶解している Ag+ の物質量は何 mol か,有効数字2桁で答えよ。答えに至る過程も記せ。

エ 当量点において,試料水溶液中のすべての Cl− が AgCl として沈殿したと仮定し,下線部①の x を有効数字2桁で答えよ。答えに至る過程も記せ。

オ 実際には,当量点において,試料水溶液中に溶解したままの Cl− がごく微量存在する。この Cl− の物質量は何 mol か,有効数字2桁で答えよ。答えに至る過程も記せ。

— 42 —

Ⅱ 次の文章を読み,問カ~コに答えよ。

 水素 H2 は,太陽光や風力等の再生可能エネルギーにより水から製造可能な燃料として注目されている。燃料電池自動車は,1.0 kg の H2 で 100 km 以上走行できる。しかし,1.0 kg の H2 は1気圧 25 ∘C における体積が 1.2×104 L と大きいため,燃料として利用するには H2 を圧縮して貯蔵する技術が必要となる。燃料電池自動車では,1.0 kg の H2 を 7.0×107 Pa に加圧して 25 ∘C における体積を 18 L にしている。H2 を輸送する際には,−253 ∘C に冷却して液化し,1.0 kg の H2 を 14 L にしている。また,炭化水素への可逆的な水素付加反応を用いて,H2 を室温で液体の炭化水素として貯蔵する技術も開発されている。たとえば,⑤トルエンに水素を付加し,トルエンと同じ物質量のメチルシクロヘキサンを得る反応が用いられる。

 1.0 kg の H2 を適切な金属に吸蔵させると,液化した 1.0 kg の H2 よりも小さな体積で貯蔵することができる。Ti−Fe 合金は,Fe 原子を頂点とする立方体の中心に Ti 原子が位置する単位格子を持つ(図3—1)。この合金中で H2 は水素原子に分解され,水素原子の直径以上の大きさを持つすき間に水素原子が安定に存在できる。このとき,⑥6個の金属原子からなる八面体の中心◎(図3—2)に水素原子が位置する。

図3—1 \mathrmTi-Fe 合金の単位格子
図3—1 Ti−Fe 合金の単位格子
図3—2 \mathrmTi-Fe 合金中で6個の金属原子からなる八面体
図3—2 Ti−Fe 合金中で6個の金属原子からなる八面体
図3—3 八面体の中心◎を中点とする原子Aどうしの間隔
図3—3 八面体の中心◎を中点とする原子Aどうしの間隔
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〔問〕

カ 下線部⑤に関して,1.0 kg の H2 をトルエンとすべて反応させて得たメチルシクロヘキサンの 25 ∘C における体積は何 L か,有効数字2桁で答えよ。ただし,メチルシクロヘキサンの密度は 0.77 kg/L(25 ∘C)である。

キ 下線部⑥に関して,Ti−Fe 合金の単位格子の一辺の長さ l=0.30 nm,Ti の原子半径 0.14 nm,Fe の原子半径 0.12 nm のとき,図3—2の八面体において隣り合う原子Aと原子Bは接する。一方,図3—3に例を示す,八面体の中心◎を中点とする原子どうしの間隔(原子Aどうしは dAA,原子Bどうしは dBB)は 0 より大きな値をとり,八面体の中心◎にすき間ができる。このとき,dAA,dBB それぞれを l および原子A,Bの半径 rA,rB を用いて表せ。さらに,dAA,dBB のどちらが小さいかを答えよ。

ク 図3—2において,原子A,Bの組み合わせにより八面体は2種類存在し,このうち原子Aが Ti で原子Bが Fe である八面体の中心◎にのみ水素原子が安定に存在できる。この理由を,原子どうしの間隔と水素原子の大きさを比較して述べよ。ただし,Ti−Fe 合金中の水素原子の半径は 0.03 nm とする。

ケ 原子Aが Ti である八面体の中心◎にのみ水素原子が1個ずつ吸蔵されるとき,Ti−Fe 合金中の水素原子の数は Ti 原子の数の何倍かを答えよ。

コ La−Ni 合金(図3—4)も H2 を水素原子として吸蔵する。図中の面 α,β は,ともに一辺 a の正六角形である。この合金は金属原子1個あたり1個の水素原子を吸蔵した結果,a=0.50 nm,c=0.40 nm となる。図3—4の結晶格子中に吸蔵される水素原子の数を答えよ。さらに,このように 1.0 kg の H2 を吸蔵した La−Ni 合金の体積は何 L か,有効数字2桁で答えよ。

図3—4 \mathrmLa-Ni 合金の結晶格子
図3—4 La−Ni 合金の結晶格子