東大 過去問 2003年 化学|AI解答・解説・シミュレーション|アトリエファクトリー

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東京大学 第2次学力試験(前期)2003年 理科「化学」(東京大学がかつて公開したPDFの Internet Archive 保存版)

問題・出題の意図・東京大学の解答例(東京大学の公表資料)

東京大学の利用規定について

東京大学は、入試問題と出題の意図・解答の2次利用について「東京大学第2次学力試験入学試験問題等の2次利用について」(令和6年7月1日改定)で条件を定めている。このサイトでの対応は次のとおり。

解答とシミュレーション(AIで作成)

制作

制作:アトリエファクトリー(aTELiER FACTORY) https://atelierfactory.jp/

修正履歴

お知らせ(2026年10月4日)

解答・解説・シミュレーションは、すべて Claude Opus 5.5 で作成しています。作ったあとの確かめ方は、科目によって違います。

どの科目も、東京大学が公表した解答ではありません。くわしくは「問題取得方法と回答生成方法」をご覧ください。

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化 学

第1問

Ⅰ 近年,フロン12などのクロロフルオロカーボン類によるオゾン層破壊の問題など,大気化学への関心が高まっている。ここでは簡単な反応速度式を組み合わせて,成層圏におけるオゾンの分解・再生サイクルを調べてみよう。図1—1に示すように,大気中のオゾンの濃度分布は地表から 15〜50km にある成層圏で高く,30km 付近で極大となっている。成層圏でオゾンは紫外線を吸収して酸素分子と酸素原子に分解する。

O3⟶O2+O(1)

 この反応によって,オゾンは人体に有害な紫外線を吸収し,地表に届かないようにさえぎる役割を果たしている。一方,分解反応(1)で生成した酸素原子は,周囲に多量に存在する酸素分子とただちに反応してオゾンを再生する。

O+O2⟶O3(2)

 このような分解と再生のサイクルが働いているために,紫外線による光化学反応で成層圏のオゾン濃度が減少することはなく,一定である。

 図1—2は大気の平均的な温度分布を示している。このグラフによると,成層圏では高度とともに大気の温度が上昇している。オゾンの分解・再生サイクルにおいて再生反応(2)が発熱反応であることが温度上昇の原因のひとつである。この反応の熱化学方程式は

O(気体)+O2(気体)=O3(気体)+106kJ(3)

である。

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 以下の問ア〜オに答えよ。解答は有効数字2桁とせよ。また,結果だけでなく,途中の考え方や式も示せ。

〔問〕

ア 反応(1)によってオゾンが分解する速度を v1,反応(2)によってオゾンが再生される速度を v2 として,v1,v2 をそれぞれ反応速度式によって表せ。ただし,反応(1),(2)の速度定数をそれぞれ k1,k2 とし,酸素原子,酸素分子およびオゾンの濃度を [O],[O2],および [O3] とする。

イ 下線部の記述が成り立つとき,酸素原子の濃度が次式(4)となることを示せ。

[O]=k1[O3]k2[O2](4)

ウ 高度 30km における酸素原子濃度 [O] を求めよ。ただし,酸素分子,オゾンの濃度分布は図1—1に与えられている。また,高度 30km において,速度定数は k1=3.2×10−4 s−1,k2=3.8×105 l·mol−1·s−1 とする。

エ 高度 30km におけるオゾンの再生反応(2)の速度 v2 を推定せよ。

オ 成層圏における大気の温度は,オゾンの再生反応などによる加熱効果と赤外放射による冷却効果とが釣り合うことによって,図1—2に示すような分布になっている。ここでは,オゾンの再生反応(2)による加熱効果を見積もってみよう。いま,一定強度の紫外線が1日あたり10時間照射したとすると,高度 30km において1日に大気 1l あたり何 J の熱量が発生するかを求めよ。さらに,発生した熱量による加熱効果は1日あたり何 K の温度上昇に相当するかを見積もれ。ただし,窒素分子および酸素分子のモル熱容量(1mol の物質の温度を 1K だけ上昇させるために必要な熱量)は共に 29J·K−1·mol−1 とし,温度,圧力には依存しないとする。

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図1—1 大気中の窒素分子,酸素分子およびオゾンの濃度分布。下図は高度 30\,km 付近のグラフを拡大したものである。
図1—1 大気中の窒素分子,酸素分子およびオゾンの濃度分布。下図は高度 30km 付近のグラフを拡大したものである。
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図1—2 大気の温度分布。対流圏では圧力の低い上層ほど大気の温度は低下する。一方,成層圏では高度とともに大気の温度は上昇し,高度約 50\,km で極大となる。中間圏では再び低下する。
図1—2 大気の温度分布。対流圏では圧力の低い上層ほど大気の温度は低下する。一方,成層圏では高度とともに大気の温度は上昇し,高度約 50km で極大となる。中間圏では再び低下する。
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Ⅱ 最近,水素のもつ化学エネルギーを電極反応によって直接電気エネルギーに変える燃料電池の開発が進められている。ここでは,図1—3に示すような水素—酸素燃料電池を考えてみよう。この電池では電解質に水酸化カリウム水溶液を用いており,負極では水素の酸化反応

H2+2OH−⟶2H2O+2e−(5)

が起こり,正極では酸素の還元反応が起こる。この酸化還元反応のエネルギーが電気エネルギーとして取り出される。

 以下の問カ,キに答えよ。解答は有効数字2桁とする。また,結果だけでなく,途中の考え方や式も示せ。必要があれば以下の数値を用いよ。

  ファラデー定数 9.6×104C·mol−1

〔問〕

カ 正極における還元反応を,反応式(5)にならって示せ。

キ 水素の燃焼反応の熱化学方程式は

H2(気体)+12O2(気体)=H2O(液体)+286kJ(6)

である。水素—酸素燃料電池で取り出すことのできる電気エネルギーが式(6)の反応熱と等しいと仮定したとき,この電池の起電力は何 V になるか。なお,1V の起電力で 1C の電気量を取り出したときのエネルギーは 1J である。

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図1—3 水素—酸素燃料電池の模式図。電極には触媒作用をもった多孔質の金属膜を用い,気体と水酸化カリウム水溶液が接触できるように工夫されている。
図1—3 水素—酸素燃料電池の模式図。電極には触媒作用をもった多孔質の金属膜を用い,気体と水酸化カリウム水溶液が接触できるように工夫されている。
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第2問

 次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。必要があれば,原子量として下の値を用いよ。

 H:1.0 C:12.0 N:14.0 O:16.0 Na:23.0 S:32.1 Cl:35.5

Ⅰ 有機物に含まれるタンパク質などの有機窒素化合物の量は,それを摂取する生物にとっての有用性,例えば栄養的価値,を示す指標の一つとして用いられている。試料に含まれる有機窒素化合物の窒素をアンモニアに変換して分析する実験について述べた以下の文を読み,問ア〜エに答えよ。

 試料 0.20g に濃硫酸 5ml と触媒を加えて加熱した。この加熱過程において,試料は分解され,含まれていた有機窒素化合物の窒素は硫酸水素アンモニウムとなる。あらかじめ蒸留水 50ml を入れておいた丸底フラスコAに,加熱分解が終了した試料液の全量を移した。そして,図2—1に示す実験装置を組み立てた。コックBを開き 10 mol·l−1 水酸化ナトリウム水溶液 20ml を少量ずつ丸底フラスコAに加え,アンモニアを発生させた。続いて,コックBを閉じ,コックCを開いて水蒸気を丸底フラスコAの溶液中に送り込んだ。アンモニアを捕集するために,丸底フラスコAから水蒸気とともに送られてくるアンモニアを冷却管Eで冷却し,希塩酸 10ml を入れた三角フラスコDに導入した。丸底フラスコAから発生するアンモニアを全て捕集した後,図2—1の実験装置から三角フラスコDを取り外した。この三角フラスコD内の溶液にメチルレッドを指示薬として加え,x mol·l−1 水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和滴定をおこなったところ,9.2ml を加えたところで溶液が赤色から黄色に変化したので,ここを中和の終点とした。試料を加えずに全く同様にすべての操作をおこなったところ,最後の中和に要した x mol·l−1 水酸化ナトリウム水溶液の量は 21.2ml であった。

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〔問〕

ア 下線部①において,丸底フラスコA内の溶液ではどのような化学反応が起こっているか。反応式で示せ。

イ 下線部②の x mol·l−1 水酸化ナトリウム水溶液の濃度を求めるために,次の操作をおこなった。まず,シュウ酸二水和物 (COOH)2·2H2O を 3.15g とり,水に溶かして 1000ml とした。このシュウ酸水溶液 10.0ml にフェノールフタレインを指示薬として加え,上記 x mol·l−1 水酸化ナトリウム水溶液で滴定したところ,中和に 11.1ml を要した。x の値を有効数字2桁で求めよ。結果だけでなく求める過程も記せ。

ウ 試料 0.20g から生じたアンモニアのモル数を有効数字2桁で求めよ。結果だけでなく求める過程も記せ。

エ シュウ酸と水酸化ナトリウムの中和反応の終点では,シュウ酸イオンのごく一部が水分子と反応してシュウ酸水素イオンと水酸化物イオンを生じるため,水溶液は弱いアルカリ性を示す。このときの水酸化物イオンの濃度は,中和反応の終点におけるナトリウムイオンの濃度 Y(mol·l−1),水のイオン積 Kw(mol2·l−2),およびシュウ酸水素イオンがシュウ酸イオンと水素イオンに電離するときの電離定数 K2(mol·l−1) を用いて近似的に求めることができる。このときのpHを,Y,Kw,K2 で表せ。結果だけでなく求める過程も記せ。

図2—1 丸底フラスコA内の試料液からアンモニアを発生させ捕集する装置
図2—1 丸底フラスコA内の試料液からアンモニアを発生させ捕集する装置
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Ⅱ 次の文章を読み,問オ〜キに答えよ。

 硫黄分を含んだ化石燃料を燃焼させると,酸性雨の原因となる可能性が指摘されている。燃焼さじに少量の単体の硫黄を取りバーナーの炎を近づけると,青白い炎をあげ刺激臭を放って燃焼し始めた。このさじを蒸留水を底に入れた集気瓶に入れ,燃焼させ続けた。燃焼後,フタをしてよく振り混ぜ気体を溶かした。この溶液は弱酸性を示した。

 下線部①で得られた溶液 30ml にヨウ素水溶液(1.0×10−3 mol·l−1)を加えたところ,はじめは滴下したヨウ素溶液の色が消えたが,y ml 加えたところでヨウ素溶液の色が残るようになった。このとき溶液のpHは3.0に低下した。

〔問〕

オ 下線部①で得られた溶液に硫化水素ガスを導入したところ溶液は白濁した。このときの反応式は次式で与えられる。a に当てはまる数値と A,B の化学式を答えよ。また,この反応で硫化水素はどのように働いているか答えよ。

  a H2S+ A ⟶3 B +3H2O

カ 下線部②に関して,溶液中でどのような反応が起こっているか,反応式で示せ。

キ 下線部③の y の値を有効数字2桁で求めよ。結果だけでなく求める過程も記せ。

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第3問

 次のⅠ,Ⅱ(a,b)の各問に答えよ。必要があれば,原子量として下の値を用いよ。

H:1.0 C:12.0 O:16.0

Ⅰ 次の文章を読み,以下の問ア〜オに答えよ。

 1985年に60個の炭素原子からなる分子,フラーレン(C60)が発見された。この化合物は図3—1のようなサッカーボール状の炭素骨格を持っている。この化合物の炭素—炭素間の結合は図3—1に示したように単結合と二重結合のみからなっており,その二重結合の数は z 個である。

図3—1 \mathrmC_60 の分子模型(左)と構造式(右)
図3—1 C60 の分子模型(左)と構造式(右)

分子模型の球は炭素原子を表す。手前の原子を大きめに示してある。

構造式は左図を正面から見たもので,炭素原子は省略してある。

 発見当初,炭素原子からなる六角形の構造はベンゼンのような構造(すべての炭素—炭素間の結合が等価)であると想像されていた。しかし,構造解析の結果,図3—1に示したような1,3,5-シクロヘキサトリエンの構造であることがわかった。C60 の結晶は適当な条件を選ぶと電気を通すことで科学者の興味を集めているが,炭素の単体としては C60 の他にも電気を通す A と電気を通さない B の二つが知られている。C60 を発煙硫酸(三酸化硫黄を濃硫酸に溶かしたもの)で処理し,続いてその生成物に水を加えて加熱すると多数のヒドロキシル基を分子の表面に有する C60(OH)n の組成を持つ化合物が生成した。この反応では未反応の C60 が一部残ったので,得られた C60 と C60(OH)n の混合物に溶媒 C を加え,溶解度の違いを利用して精製した。つまり,未反応の C60 を溶媒 C に溶かし出して取り除いた。残った C60(OH)n をヨウ化メチルと反応させ,すべてのヒドロキシル基をメチルエーテルに変換し C60(OCH3)n とした。この化合物の組成を調べるために凝固点降下の実験を行って n の数を決定した。

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〔問〕

ア z はいくつか。

イ もしベンゼン分子(C6H6)が1,3,5-シクロヘキサトリエン構造を持っていると仮定すると,どのような性質が期待されるか。次の記述の中からあてはまるものすべての番号を選べ。

(1) 臭素分子を室温下,暗所で加えると置換反応が進行する。

(2) 硫酸酸性の過マンガン酸カリウム水溶液を室温下で加えるとその赤紫色が脱色される。

(3) 隣り合った炭素上に置換基を一つずつ持つ置換体には構造異性体が2つある。

(4) 触媒を用いて水素を付加させるとシクロヘキサンになる。

ウ 下線部①に示す A および B は何か。

エ 下線部②で使った溶媒 C は何か。以下の選択肢の中から一つ選び,その名称を記せ。

 水

 飽和食塩水

 エタノール

 トルエン

オ 下線部③について,n の決定は次のように行った。n はいくつか。有効数字2桁で答えよ。

 C60(OCH3)n(123 mg)をベンゼン(50.0 g)に溶解した溶液の凝固点を測定したところ 0.0110 ℃ の凝固点降下を示した。なお 1000 g のベンゼンに溶質 1 mol を溶かした溶液の凝固点降下は 5.12 ℃ である。

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Ⅱ 次の文章を読み,以下の問カ〜サに答えよ。

a)立体異性体とは,原子の結合順序が同じであるにもかかわらず,原子や原子団の立体的な配置が異なる異性体のことで,幾何異性体の他に光学異性体や後述のジアステレオ異性体も含まれる。分子内に1つの不斉炭素原子を有する化合物には互いに鏡像の関係にある異性体,すなわち光学異性体が存在する。一方,分子内に不斉炭素原子が2つ以上存在する場合は,互いに鏡像の関係にはない立体異性体も存在する。これをジアステレオ異性体と呼ぶ。2つの不斉炭素原子を有する化合物の例としてアミノ酸のL-トレオニンをあげることができ,図3—2の通りL-トレオニンを含めて4種類の立体異性体が存在する。しかしながら,不斉炭素原子が2つあっても,3種類の立体異性体しか存在しない場合もある。また,数多くの不斉炭素原子を含む化合物である α-グルコースと α-ガラクトースも,ジアステレオ異性体の関係である。

図3—2 L-トレオニンの立体異性体
図3—2 L-トレオニンの立体異性体

〔問〕

カ 下線部①に関して,L-トレオニンの立体異性体 1,2,3 のうち,L-トレオニンの光学異性体はどれか。番号で答えよ。

キ 下線部①に関して,L-トレオニンの立体異性体 1,2,3 のうち,L-トレオニンとジアステレオ異性体の関係にあるものはどれか。番号で答えよ。

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ク 下線部②に相当する化合物としてD-酒石酸があげられる。図3—2にならって構造式を描くと,図3—3の4つの構造式を描けるが,このうち2つは同一化合物を表しているため,全体として立体異性体は3種類となる。同一化合物を表している構造式を 4〜7 の番号で答えよ。

図3—3
図3—3

ケ 下線部③に関して,6員環構造を持った α-グルコース(図3—4)にはいくつの不斉炭素原子が存在するか。

図3—4 \alpha-グルコース
図3—4 α-グルコース

b)α-グルコース(C6H12O6,分子量 =180)4.5 g を酢酸に溶解して,さらに過剰量の無水酢酸と少量の濃硫酸を加えて加熱したところ,分子内の5つのヒドロキシル基がすべてアセチル化された生成物が 7.8 g 得られた。この生成物を臭化水素を飽和させた酢酸溶液に溶解して室温で5時間反応させると,分子内の特定のアセトキシ基(CH3COO—)1つだけが臭素原子に置き換わった臭素誘導体が得られた。この化合物中の臭素原子は金属触媒を用いた水素による還元反応により,効率よく水素原子に置換することができた。得られた化合物にメタノール中で水酸化ナトリウムを作用させて,すべてのエステル結合を加水分解し,目的化合物を得た。この目的化合物は銀鏡反応に対して陰性であった。

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〔問〕

コ 下線部④の収量は理論的に求められる量の何パーセントにあたるか。有効数字2桁で答えよ。

サ 下線部⑤の化合物の構造を図3—4の例にならって示せ。