東大 過去問 2005年 化学|AI解答・解説・シミュレーション|アトリエファクトリー

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東京大学 第2次学力試験(前期)2005年 理科「化学」(東京大学がかつて公開したPDFの Internet Archive 保存版)

問題・出題の意図・東京大学の解答例(東京大学の公表資料)

東京大学の利用規定について

東京大学は、入試問題と出題の意図・解答の2次利用について「東京大学第2次学力試験入学試験問題等の2次利用について」(令和6年7月1日改定)で条件を定めている。このサイトでの対応は次のとおり。

解答とシミュレーション(AIで作成)

制作

制作:アトリエファクトリー(aTELiER FACTORY) https://atelierfactory.jp/

修正履歴

お知らせ(2026年10月4日)

解答・解説・シミュレーションは、すべて Claude Opus 5.5 で作成しています。作ったあとの確かめ方は、科目によって違います。

どの科目も、東京大学が公表した解答ではありません。くわしくは「問題取得方法と回答生成方法」をご覧ください。

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化 学

第1問

Ⅰ 直鎖状アルカンの末端にカルボキシル基が1個ついたカルボン酸(以下,直鎖状カルボン酸と呼ぶ)を,ベンゼンなどの揮発性溶媒に溶かして水の上に滴下すると,溶媒は揮発し,水面上に直鎖状カルボン酸分子の膜ができる。適当な条件下では,この膜は,直鎖状カルボン酸分子が水面全体に一層に広がった単分子膜となる。

 図1—1に示すような横 1.00m,縦 0.50m の容器に入った水の水面を二つに仕切る板を浮かべた。この板は左右に自由に動くことができる。容器の横方向の中央に板を固定し,板の左側に直鎖状カルボン酸 X の溶液を滴下して左側の水面全体に単分子膜を作った。板の固定をはずすと,あたかも単分子膜が板を押しているかのように板が右側に移動した。この板を動かす力は表面圧(P)と呼ばれる。表面圧は単位長さ当たりに働く力として表され,その単位は N·m−1 である。単分子膜中で一分子が占める面積を A[m2] とする。分子 X の単分子膜の P と A の関係を図1—2に実線で示す。また,炭素数が異なる直鎖状カルボン酸 Y の単分子膜の P と A の関係を破線で示す。

 このような直鎖状カルボン酸単分子膜に関する以下の問ア〜エに答えよ。ただし,板と容器の壁が接する場所での直鎖状カルボン酸分子のもれはなく,板の横方向の幅は無視できるものとする。

〔問〕

ア 図1—2の中で表面圧が十分大きい領域においては,直鎖状カルボン酸分子の長軸が水面に対して立っている。このとき,直鎖状カルボン酸分子の末端のメチル基とカルボキシル基のうち,水面側に向いているのはどちらか。理由とともに30字程度で述べよ。

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イ 図1—1の容器の右端に板を固定し,0.019mol の直鎖状カルボン酸 X を 1.00l のベンゼンに溶かした溶液 0.100ml を水面に滴下して水面全体に単分子膜を作った。板の固定をはずし,容器の左端から 0.50m のところまで板を押したところ,分子 X の単分子膜の表面圧は 0.010N·m−1 になった。この実験結果と図1—2のグラフから,アボガドロ数を有効数字2桁で求めよ。答えだけでなく導く過程も示せ。

ウ 図1—1の容器の横方向の中央に板を固定した。板で仕切られた左右の水面に対して,イで用いた X の溶液 0.080ml を左に,同じモル濃度の Y の溶液 0.070ml を右に滴下したところ,それぞれ水面全体に広がった単分子膜ができた。板の固定をはずすと,板は左右どちらに動くか。答えだけでなく導く過程も示せ。ただし,アボガドロ数は NA=6.0×1023 を用いよ。

エ ウにおいて,板はやがて静止した。このときどのような条件が成立しているか。20字程度で述べよ。

図1—1 水の入った容器と水に浮かべた板を上から見た模式図
図1—1 水の入った容器と水に浮かべた板を上から見た模式図
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図1—2 表面圧 P と一分子が占める面積 A の関係
図1—2 表面圧 P と一分子が占める面積 A の関係
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Ⅱ 二酸化窒素 NO2 は赤褐色の気体であり,常温付近では無色の気体である四酸化二窒素 N2O4 と平衡にある。

N2O4=2NO2−57.2kJ(1)

 この試料気体を図1—3のような断面積の等しい円筒形ガラス容器A,Bに封入して,NO2 による光の吸収を観測することにした。Aは長さ 10cm,Bは長さ 20cm であり,いずれも 27 ℃ に保たれている。Aには全圧が 0.0100atm になるように,またBには全圧が 0.0050atm になるように,いずれも平衡状態にある二酸化窒素と四酸化二窒素がそれぞれ封入されている。強度の等しい平行光線をガラス容器の一端から入射し,検出器 D1,D2 で透過光の強度を測定する。この実験条件下では,ガラス容器を透過した光の強度は,容器内の二酸化窒素の物質量に比例して減少するものとする。

〔問〕

オ ガラス容器に封入した気体がすべて四酸化二窒素であるとしたときの物質量を n[mol],その解離度を a(0<a<1) とすると,実際に存在している四酸化二窒素は n(1−a)[mol] となる。このとき,容器内の気体の全圧 P[atm] と,二酸化窒素の分圧 PNO2[atm] を与える式をそれぞれ求めよ。ただし,ガラス容器の容積を V[l],温度を T[K],気体定数を R[l·atm·K−1·mol−1] とし,気体は理想気体とする。

カ オで求めた式をもとにして,ガラス容器の中の二酸化窒素の物質量を,n および PNO2 を含まない式で表わせ。

キ 検出器 D1 と D2 で検出される光の強度は,下のどれに当たるか。

① 等しい

② D1 の方が強い

③ D2 の方が強い

ク キの解答の根拠を50〜100字程度で述べよ。

ケ ガラス容器Aを 100 ℃ に加熱した。このときの圧力は,容器内の気体が一種類の理想気体である場合に予想される値より大きかった。このとき,検出器 D1 で検出される光の強度は 27 ℃ のときに比べてどうなるか。

① 変わらない

② 強くなる

③ 弱くなる

コ ケの解答の根拠を50字以内で述べよ。

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図1—3
図1—3
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第2問

 次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。必要があれば下の値を用いよ。

原子量: H:1.0 C:12.0 O:16.0 Na:23.0 Al:27.0 Cu:63.5

ファラデー定数: F=9.65×104 C·mol−1

Ⅰ 次の文章を読み,問ア〜エに答えよ。

 河川や湖沼などの水質の汚濁源の一つに,工場排水や家庭雑排水に含まれる有機化合物がある。この有機化合物の量は,化学的酸素消費量(Chemical Oxygen Demand:COD)を指標として表すことが多い。CODを求めるには,試料水に過マンガン酸カリウムなどの強い酸化剤を加え,一定条件の下で反応させて試料水中の有機化合物などを酸化させる。そのときに消費された,試料水 1l あたりの酸化剤の量を,酸化剤としての酸素(O2)の質量(mg)に換算して表す。たとえば,ヤマメやイワナが生息する渓流水のCODは 1mg·l−1 以下であり,有機化合物などをほとんど含まないきれいな水と言うことができる。

 ある河川から試料水を採取し,現在一般的に用いられている方法によりCODを求めた。以下にその操作を示す。

操作1 〔塩化物イオンの沈殿除去〕:

 試料水 100.0ml を三角フラスコにとり,十分な量の硫酸を加えて酸性にし,これに硝酸銀水溶液(200g·l−1)5ml を加えた。

操作2 〔過マンガン酸カリウムによる酸化〕:

 これに 4.80×10−3 mol·l−1 の過マンガン酸カリウム水溶液 10.0ml を加えて振り混ぜ,沸騰水浴中で30分間加熱した。加熱後,三角フラスコ中の溶液は薄い赤紫色を示していた。これより,試料水中の有機化合物などを酸化するのに十分な量の過マンガン酸カリウムが加えられ,未反応の過マンガン酸カリウムが残留していることがわかった。

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操作3 〔シュウ酸による未反応の過マンガン酸カリウムの還元〕:

 この三角フラスコを水浴から取り出し,約 1.2×10−2 mol·l−1 のシュウ酸二ナトリウム(Na2C2O4)水溶液 10.0ml を加えて振り混ぜ,よく反応させた。このとき,溶液の赤紫色が消えて無色となった。

操作4 〔過マンガン酸カリウムによる過剰のシュウ酸の滴定〕:

 三角フラスコ中の溶液を 50〜60 ℃ に保ち,その中に存在している過剰のシュウ酸を 4.80×10−3 mol·l−1 の過マンガン酸カリウム水溶液でわずかに赤い色を示すまで滴定したところ,3.11ml を要した。

操作5 〔純粋な水による比較試験〕:

 以上とは別に,試料水の代わりに 100.0ml の純粋な水を用いて操作1〜4を行ったところ,操作4の滴定において 4.80×10−3 mol·l−1 の過マンガン酸カリウム水溶液 0.51ml を要した。この操作を行うことで,過マンガン酸カリウムの一部が加熱により分解する場合や,シュウ酸二ナトリウム水溶液の濃度が不明確な場合でも,CODを正確に求めることができる。

〔問〕

ア 試料水に塩化物イオンが含まれている場合,下線部②の操作により塩化銀(AgCl)の沈殿が生じる。CODの値を正確に求めるためにはこの操作が必要である。もし,この操作を行わないと,得られるCODの値にどのような影響を及ぼすか,理由とともに50字程度で述べよ。

イ 操作3における,過マンガン酸カリウムとシュウ酸との酸化還元反応式を記せ。ただし,シュウ酸二ナトリウム(Na2C2O4)は硫酸酸性条件でシュウ酸(H2C2O4)として存在し,これが酸化されて二酸化炭素と水になるものとする。

ウ 下線部①について,4.80×10−3 mol·l−1 の過マンガン酸カリウム水溶液 1.00ml は酸素(O2)の何 mg に相当するか,有効数字2桁で答えよ。結果だけでなく,計算の過程も記せ。

エ 操作1〜5の結果に基づいて,この試料水のCOD(mg·l−1)を求め,有効数字2桁で答えよ。結果だけでなく,計算の過程も記せ。

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Ⅱ 次の文章を読み,問オ〜ケに答えよ。

 アルミニウムは,地殻を構成する元素としては,酸素,ケイ素に次いで多く存在し,金属元素中で最も多量に存在する。酸素との親和性が高く,岩石,土壌などにアルミノケイ酸塩として広く分布している。しかし,アルミノケイ酸塩からアルミニウムを金属として単離することは困難である。そのため,アルミニウム製造の原料としてはボーキサイトが利用される。ボーキサイトは,Al2O3·nH2O を主成分とするアルミニウムの酸化物およびその水和物の混合物であり,その組成は産地によって異なる。また,酸化鉄などの不純物を含んでいる。金属アルミニウムは次の二つの過程を経て製造される。

(a) ボーキサイトを NaOH 水溶液に溶解し,不溶物を取り除いてから,二酸化炭素を吹き込むことにより,アルミニウムを Al(OH)3 として単離する。さらにこれを脱水して Al2O3 にする。

(b) この Al2O3 を融解した氷晶石 Na3AlF6 に溶解し,融解塩電解により金属アルミニウムを得る。電解は通常,4.50V の電圧をかけて行われる。

 アルミニウムの電解製造には大きな電力量が必要である。エネルギー資源保護のため,アルミニウム製品の多くは回収され,再利用されている。

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〔問〕

オ ボーキサイトのアルミニウム成分が Al2O3·3H2O のみであるとして,下線部①の過程を化学反応式で記すと以下のようになる。

  Al2O3·3H2O+nA A →nB B

  nB B +nC C →2Al(OH)3+nD D +H2O

 ここで A 〜 D は化学式,nA〜nD はその係数である。それぞれにあてはまる化学式,係数を記せ。ただし,イオン式は用いないこと。また,係数が1の場合は1と記せ。解答用紙に次のような解答欄を作り,そこに記入すること。

p17a

カ 金属アルミニウムは,アルミニウムを含む水溶液の電気分解では製造できない。その理由を50字程度で記せ。

キ アルミニウム 1.00kg を生産するために必要な電気量は何 C か。有効数字2桁で答えよ。結果だけでなく,求める過程も記せ。

ク アルミニウム 1.00kg を生産するために必要な電力量は何 kWh か。有効数字2桁で答えよ。ただし,1 kWh は 3600 kJ である。結果だけでなく,求める過程も記せ。

ケ 銅の精錬にも電気分解を用いるが,単位質量当たりの製造に必要な電力量は,アルミニウムの方がはるかに大きい。この理由を三つ,合わせて60字程度で記せ。

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第3問

 次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。必要があれば原子量として,以下の値を用いよ。なお,構造式は例にならって解答せよ。

原子量: H:1.0 C:12.0 O:16.0

(構造式の例)

p18a

Ⅰ 次の文章を読み,問ア,イに答えよ。

 エステルの合成やその加水分解には,様々な方法が知られている。よく用いられる方法として,酸触媒を用いるカルボン酸とアルコールのエステル化およびエステルの加水分解反応がある。たとえば,プロピオン酸(CH3CH2COOH)とエタノールとのエステル化を,硫酸を触媒として行うと,生成物であるプロピオン酸エチルの加水分解も進行するため,最終的に反応は 1 状態に達する。したがって,エステル化の効率を高めるためには,工夫が必要である。一つは,蒸留により回収しやすい 2 を,溶媒として大過剰に用いる方法である。また,エステルとともに生成する 3 を除去すれば,エステルの生成率を高めることができる。

 一方,不可逆的なエステル化反応や加水分解反応もある。たとえば,化合物 A にエタノールを作用させると,逆反応が起こることなくプロピオン酸エチルが生成する。また,プロピオン酸エチルに水酸化ナトリウム水溶液を作用させると,この反応液中には 4 と 5 が生成し,反応は不可逆になる。

 上記の化合物 A は,様々なカルボン酸関連化合物の合成に利用される。アニリンと化合物 A を反応させると,化合物 B が得られる。

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〔問〕

ア 1 〜 5 に適当な語句を入れよ。

イ 化合物 A,B を構造式で示せ。

Ⅱ 化合物 C,D,E,F,G は,炭素,水素,酸素だけからなる異性体で,いずれもベンゼン環を含む。これらについてつぎの実験1〜7を行った。問ウ〜クに答えよ。

1. 化合物 C 12.2mg を完全に燃焼させると,二酸化炭素 30.8mg と水 5.4mg が生成した。

2. 化合物 C 0.25g をラウリン酸[CH3(CH2)10COOH]8.00g に溶解し,その溶液の凝固点を測定したところ,純粋なラウリン酸よりも 1.00K 低かった。ラウリン酸のモル凝固点降下は 3.90K·kg·mol−1 である。

3. 化合物 C に炭酸水素ナトリウム水溶液を作用させると,気体が発生した。

4. 化合物 D を水酸化ナトリウム水溶液中で加熱した後,反応液を酸性にすると,化合物 H と I が生成した。

5. 化合物 H にアンモニア性硝酸銀水溶液を作用させると,銀が析出した。

6. 化合物 E,F,G に FeCl3 水溶液を作用させると,いずれも着色した。

7. 化合物 C のベンゼン溶液における存在状態を調べるために,凝固点降下を測定したところ,ラウリン酸溶液の場合(実験2)とは異なり,凝固点降下度は分子量から計算される値の約{(a) 4倍,(b) 3倍,(c) 2倍,(d) 0.5倍}であった。

〔問〕

ウ 化合物 C の組成式を求めよ。

エ 実験2より,化合物 C の分子量を求めよ。小数点以下を四捨五入して,整数値で示せ。また計算式も示せ。

オ 化合物 C,D,H,I を,それぞれ構造式で示せ。

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カ 化合物 E,F,G として可能な構造式を3つ示せ。ただし,各構造式がどの化合物に対応するかは示さなくてよい。

キ 化合物 E,F,G のうち,一つだけがきわだって低い沸点をもつ。その化合物はどれか,構造式で示せ。また,沸点が低くなる理由を40字程度で述べよ。

ク 実験7の{ }内の値のうち,正しいものはどれか,記号で答えよ。また,この実験結果から,化合物 C はベンゼン中ではどのような状態で存在していると考えられるか,構造式を用いて図示せよ。