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化 学
第1問
Ⅰ 直鎖状アルカンの末端にカルボキシル基が1個ついたカルボン酸(以下,直鎖状カルボン酸と呼ぶ)を,ベンゼンなどの揮発性溶媒に溶かして水の上に滴下すると,溶媒は揮発し,水面上に直鎖状カルボン酸分子の膜ができる。適当な条件下では,この膜は,直鎖状カルボン酸分子が水面全体に一層に広がった単分子膜となる。
図1—1に示すような横 1.00 m ,縦 0.50 m の容器に入った水の水面を二つに仕切る板を浮かべた。この板は左右に自由に動くことができる。容器の横方向の中央に板を固定し,板の左側に直鎖状カルボン酸 X の溶液を滴下して左側の水面全体に単分子膜を作った。板の固定をはずすと,あたかも単分子膜が板を押しているかのように板が右側に移動した。この板を動かす力は表面圧(P )と呼ばれる。表面圧は単位長さ当たりに働く力として表され,その単位は N · m − 1 である。単分子膜中で一分子が占める面積を A [ m 2 ] とする。分子 X の単分子膜の P と A の関係を図1—2に実線で示す。また,炭素数が異なる直鎖状カルボン酸 Y の単分子膜の P と A の関係を破線で示す。
このような直鎖状カルボン酸単分子膜に関する以下の問ア 〜エ に答えよ。ただし,板と容器の壁が接する場所での直鎖状カルボン酸分子のもれはなく,板の横方向の幅は無視できるものとする。
〔問〕
ア 図1—2の中で表面圧が十分大きい領域においては,直鎖状カルボン酸分子の長軸が水面に対して立っている。このとき,直鎖状カルボン酸分子の末端のメチル基とカルボキシル基のうち,水面側に向いているのはどちらか。理由とともに30字程度で述べよ。
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イ 図1—1の容器の右端に板を固定し,0.019 m o l の直鎖状カルボン酸 X を 1.00 l のベンゼンに溶かした溶液 0.100 m l を水面に滴下して水面全体に単分子膜を作った。板の固定をはずし,容器の左端から 0.50 m のところまで板を押したところ,分子 X の単分子膜の表面圧は 0.010 N · m − 1 になった。この実験結果と図1—2のグラフから,アボガドロ数を有効数字2桁で求めよ。答えだけでなく導く過程も示せ。
ウ 図1—1の容器の横方向の中央に板を固定した。板で仕切られた左右の水面に対して,イ で用いた X の溶液 0.080 m l を左に,同じモル濃度の Y の溶液 0.070 m l を右に滴下したところ,それぞれ水面全体に広がった単分子膜ができた。板の固定をはずすと,板は左右どちらに動くか。答えだけでなく導く過程も示せ。ただし,アボガドロ数は N A = 6.0 × 10 23 を用いよ。
エ ウ において,板はやがて静止した。このときどのような条件が成立しているか。20字程度で述べよ。
図1—1 水の入った容器と水に浮かべた板を上から見た模式図
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図1—2 表面圧 P と一分子が占める面積 A の関係
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Ⅱ 二酸化窒素 N O 2 は赤褐色の気体であり,常温付近では無色の気体である四酸化二窒素 N 2 O 4 と平衡にある。
N 2 O 4 = 2 N O 2 − 57.2 k J ( 1 )
この試料気体を図1—3のような断面積の等しい円筒形ガラス容器A,Bに封入して,N O 2 による光の吸収を観測することにした。Aは長さ 10 c m ,Bは長さ 20 c m であり,いずれも 27 ℃ に保たれている。Aには全圧が 0.0100 a t m になるように,またBには全圧が 0.0050 a t m になるように,いずれも平衡状態にある二酸化窒素と四酸化二窒素がそれぞれ封入されている。強度の等しい平行光線をガラス容器の一端から入射し,検出器 D 1 ,D 2 で透過光の強度を測定する。この実験条件下では,ガラス容器を透過した光の強度は,容器内の二酸化窒素の物質量に比例して減少するものとする。
〔問〕
オ ガラス容器に封入した気体がすべて四酸化二窒素であるとしたときの物質量を n [ m o l ] ,その解離度を a ( 0 < a < 1 ) とすると,実際に存在している四酸化二窒素は n ( 1 − a ) [ m o l ] となる。このとき,容器内の気体の全圧 P [ a t m ] と,二酸化窒素の分圧 P N O 2 [ a t m ] を与える式をそれぞれ求めよ。ただし,ガラス容器の容積を V [ l ] ,温度を T [ K ] ,気体定数を R [ l · a t m · K − 1 · m o l − 1 ] とし,気体は理想気体とする。
カ オ で求めた式をもとにして,ガラス容器の中の二酸化窒素の物質量を,n および P N O 2 を含まない式で表わせ。
キ 検出器 D 1 と D 2 で検出される光の強度は,下のどれに当たるか。
① 等しい
② D 1 の方が強い
③ D 2 の方が強い
ク キ の解答の根拠を50〜100字程度で述べよ。
ケ ガラス容器Aを 100 ℃ に加熱した。このときの圧力は,容器内の気体が一種類の理想気体である場合に予想される値より大きかった。このとき,検出器 D 1 で検出される光の強度は 27 ℃ のときに比べてどうなるか。
① 変わらない
② 強くなる
③ 弱くなる
コ ケ の解答の根拠を50字以内で述べよ。
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図1—3
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第2問
次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。必要があれば下の値を用いよ。
原子量: H : 1.0 C : 12.0 O : 16.0 N a : 23.0 A l : 27.0 C u : 63.5
ファラデー定数: F = 9.65 × 10 4 C · m o l − 1
Ⅰ 次の文章を読み,問ア 〜エ に答えよ。
河川や湖沼などの水質の汚濁源の一つに,工場排水や家庭雑排水に含まれる有機化合物がある。この有機化合物の量は,化学的酸素消費量(Chemical Oxygen Demand:COD)を指標として表すことが多い。CODを求めるには,試料水に過マンガン酸カリウムなどの強い酸化剤を加え,一定条件の下で反応させて試料水中の有機化合物などを酸化させる。そのときに消費された,試料水 1 l あたりの酸化剤の量を,酸化剤としての酸素(O 2 )の質量(m g )に換算して表す。たとえば,ヤマメやイワナが生息する渓流水のCODは 1 m g · l − 1 以下であり,有機化合物などをほとんど含まないきれいな水と言うことができる。
ある河川から試料水を採取し,現在一般的に用いられている方法によりCODを求めた。以下にその操作を示す。
操作1 〔塩化物イオンの沈殿除去〕:
試料水 100.0 m l を三角フラスコにとり,十分な量の硫酸を加えて酸性にし,これに硝酸銀水溶液(200 g · l − 1 )5 m l を加えた。
操作2 〔過マンガン酸カリウムによる酸化〕:
これに 4.80 × 10 − 3 m o l · l − 1 の過マンガン酸カリウム水溶液 10.0 m l を加えて振り混ぜ,沸騰水浴中で30分間加熱した。加熱後,三角フラスコ中の溶液は薄い赤紫色を示していた。これより,試料水中の有機化合物などを酸化するのに十分な量の過マンガン酸カリウムが加えられ,未反応の過マンガン酸カリウムが残留していることがわかった。
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操作3 〔シュウ酸による未反応の過マンガン酸カリウムの還元〕:
この三角フラスコを水浴から取り出し,約 1.2 × 10 − 2 m o l · l − 1 のシュウ酸二ナトリウム(N a 2 C 2 O 4 )水溶液 10.0 m l を加えて振り混ぜ,よく反応させた。このとき,溶液の赤紫色が消えて無色となった。
操作4 〔過マンガン酸カリウムによる過剰のシュウ酸の滴定〕:
三角フラスコ中の溶液を 50〜60 ℃ に保ち,その中に存在している過剰のシュウ酸を 4.80 × 10 − 3 m o l · l − 1 の過マンガン酸カリウム水溶液でわずかに赤い色を示すまで滴定したところ,3.11 m l を要した。
操作5 〔純粋な水による比較試験〕:
以上とは別に,試料水の代わりに 100.0 m l の純粋な水を用いて操作1〜4を行ったところ,操作4の滴定において 4.80 × 10 − 3 m o l · l − 1 の過マンガン酸カリウム水溶液 0.51 m l を要した。この操作を行うことで,過マンガン酸カリウムの一部が加熱により分解する場合や,シュウ酸二ナトリウム水溶液の濃度が不明確な場合でも,CODを正確に求めることができる。
〔問〕
ア 試料水に塩化物イオンが含まれている場合,下線部②の操作により塩化銀(A g C l )の沈殿が生じる。CODの値を正確に求めるためにはこの操作が必要である。もし,この操作を行わないと,得られるCODの値にどのような影響を及ぼすか,理由とともに50字程度で述べよ。
イ 操作3における,過マンガン酸カリウムとシュウ酸との酸化還元反応式を記せ。ただし,シュウ酸二ナトリウム(N a 2 C 2 O 4 )は硫酸酸性条件でシュウ酸(H 2 C 2 O 4 )として存在し,これが酸化されて二酸化炭素と水になるものとする。
ウ 下線部①について,4.80 × 10 − 3 m o l · l − 1 の過マンガン酸カリウム水溶液 1.00 m l は酸素(O 2 )の何 m g に相当するか,有効数字2桁で答えよ。結果だけでなく,計算の過程も記せ。
エ 操作1〜5の結果に基づいて,この試料水のCOD(m g · l − 1 )を求め,有効数字2桁で答えよ。結果だけでなく,計算の過程も記せ。
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Ⅱ 次の文章を読み,問オ 〜ケ に答えよ。
アルミニウムは,地殻を構成する元素としては,酸素,ケイ素に次いで多く存在し,金属元素中で最も多量に存在する。酸素との親和性が高く,岩石,土壌などにアルミノケイ酸塩として広く分布している。しかし,アルミノケイ酸塩からアルミニウムを金属として単離することは困難である。そのため,アルミニウム製造の原料としてはボーキサイトが利用される。ボーキサイトは,A l 2 O 3 · n H 2 O を主成分とするアルミニウムの酸化物およびその水和物の混合物であり,その組成は産地によって異なる。また,酸化鉄などの不純物を含んでいる。金属アルミニウムは次の二つの過程を経て製造される。
(a) ボーキサイトを N a O H 水溶液に溶解し,不溶物を取り除いてから,二酸化炭素を吹き込むことにより,アルミニウムを A l ( O H ) 3 として単離する。さらにこれを脱水して A l 2 O 3 にする。
(b) この A l 2 O 3 を融解した氷晶石 N a 3 A l F 6 に溶解し,融解塩電解により金属アルミニウムを得る。電解は通常,4.50 V の電圧をかけて行われる。
アルミニウムの電解製造には大きな電力量が必要である。エネルギー資源保護のため,アルミニウム製品の多くは回収され,再利用されている。
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〔問〕
オ ボーキサイトのアルミニウム成分が A l 2 O 3 · 3 H 2 O のみであるとして,下線部①の過程を化学反応式で記すと以下のようになる。
A l 2 O 3 · 3 H 2 O + n A A → n B B
n B B + n C C → 2 A l ( O H ) 3 + n D D + H 2 O
ここで A 〜 D は化学式,n A 〜n D はその係数である。それぞれにあてはまる化学式,係数を記せ。ただし,イオン式は用いないこと。また,係数が1の場合は1と記せ。解答用紙に次のような解答欄を作り,そこに記入すること。
カ 金属アルミニウムは,アルミニウムを含む水溶液の電気分解では製造できない。その理由を50字程度で記せ。
キ アルミニウム 1.00 k g を生産するために必要な電気量は何 C か。有効数字2桁で答えよ。結果だけでなく,求める過程も記せ。
ク アルミニウム 1.00 k g を生産するために必要な電力量は何 k W h か。有効数字2桁で答えよ。ただし,1 k W h は 3600 k J である。結果だけでなく,求める過程も記せ。
ケ 銅の精錬にも電気分解を用いるが,単位質量当たりの製造に必要な電力量は,アルミニウムの方がはるかに大きい。この理由を三つ,合わせて60字程度で記せ。
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第3問
次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。必要があれば原子量として,以下の値を用いよ。なお,構造式は例にならって解答せよ。
原子量: H : 1.0 C : 12.0 O : 16.0
(構造式の例)
Ⅰ 次の文章を読み,問ア ,イ に答えよ。
エステルの合成やその加水分解には,様々な方法が知られている。よく用いられる方法として,酸触媒を用いるカルボン酸とアルコールのエステル化およびエステルの加水分解反応がある。たとえば,プロピオン酸(C H 3 C H 2 C O O H )とエタノールとのエステル化を,硫酸を触媒として行うと,生成物であるプロピオン酸エチルの加水分解も進行するため,最終的に反応は 1 状態に達する。したがって,エステル化の効率を高めるためには,工夫が必要である。一つは,蒸留により回収しやすい 2 を,溶媒として大過剰に用いる方法である。また,エステルとともに生成する 3 を除去すれば,エステルの生成率を高めることができる。
一方,不可逆的なエステル化反応や加水分解反応もある。たとえば,化合物 A にエタノールを作用させると,逆反応が起こることなくプロピオン酸エチルが生成する。また,プロピオン酸エチルに水酸化ナトリウム水溶液を作用させると,この反応液中には 4 と 5 が生成し,反応は不可逆になる。
上記の化合物 A は,様々なカルボン酸関連化合物の合成に利用される。アニリンと化合物 A を反応させると,化合物 B が得られる。
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〔問〕
ア 1 〜 5 に適当な語句を入れよ。
イ 化合物 A ,B を構造式で示せ。
Ⅱ 化合物 C ,D ,E ,F ,G は,炭素,水素,酸素だけからなる異性体で,いずれもベンゼン環を含む。これらについてつぎの実験1〜7を行った。問ウ 〜ク に答えよ。
1. 化合物 C 12.2 m g を完全に燃焼させると,二酸化炭素 30.8 m g と水 5.4 m g が生成した。
2. 化合物 C 0.25 g をラウリン酸[C H 3 ( C H 2 ) 10 C O O H ]8.00 g に溶解し,その溶液の凝固点を測定したところ,純粋なラウリン酸よりも 1.00 K 低かった。ラウリン酸のモル凝固点降下は 3.90 K · k g · m o l − 1 である。
3. 化合物 C に炭酸水素ナトリウム水溶液を作用させると,気体が発生した。
4. 化合物 D を水酸化ナトリウム水溶液中で加熱した後,反応液を酸性にすると,化合物 H と I が生成した。
5. 化合物 H にアンモニア性硝酸銀水溶液を作用させると,銀が析出した。
6. 化合物 E ,F ,G に F e C l 3 水溶液を作用させると,いずれも着色した。
7. 化合物 C のベンゼン溶液における存在状態を調べるために,凝固点降下を測定したところ,ラウリン酸溶液の場合(実験2)とは異なり,凝固点降下度は分子量から計算される値の約{(a) 4倍,(b) 3倍,(c) 2倍,(d) 0.5倍}であった。
〔問〕
ウ 化合物 C の組成式を求めよ。
エ 実験2より,化合物 C の分子量を求めよ。小数点以下を四捨五入して,整数値で示せ。また計算式も示せ。
オ 化合物 C ,D ,H ,I を,それぞれ構造式で示せ。
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カ 化合物 E ,F ,G として可能な構造式を3つ示せ。ただし,各構造式がどの化合物に対応するかは示さなくてよい。
キ 化合物 E ,F ,G のうち,一つだけがきわだって低い沸点をもつ。その化合物はどれか,構造式で示せ。また,沸点が低くなる理由を40字程度で述べよ。
ク 実験7の{ }内の値のうち,正しいものはどれか,記号で答えよ。また,この実験結果から,化合物 C はベンゼン中ではどのような状態で存在していると考えられるか,構造式を用いて図示せよ。
第1問 水面にうかぶ1層の膜と、光を吸う気体 答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 前半Ⅰは、水面に1層だけ広げた分子の膜(単分子膜)の問題。長い炭素の鎖の端にカルボキシル基がついた分子は、カルボキシル基のほうだけが水となじむので、水面にならんで立つ。この膜が、仕切りの板を押す力(表面圧 P )を出す。
図1—2は「1分子が占める面積 A 」と表面圧 P の関係。膜をせまい所に押しこめるほど(A が小さいほど)押す力が強くなる。使う関係は1つだけで
A = 膜の面積 分子の数 , 分子の数 = 物質量 × N A
グラフで P から A を読めば分子の数(→アボガドロ数)が出るし、分子の数から A を出せば P が読める。
後半Ⅱは、N 2 O 4 ⇌ 2 N O 2 の平衡にある気体の問題。赤褐色の N O 2 だけが光を吸うので、光の弱まり方で N O 2 の量をくらべる。圧力や温度で平衡がどちらへずれるか(ルシャトリエの原理:変化をやわらげる向きにずれる)が答えを決める。
ア カルボキシル基 –COOH は、O や H をもち、水と水素結合してなじむ(親水性)。一方、メチル基から続く炭素と水素だけの長い鎖は、水となじまない(疎水性)。
だから分子は、なじむ頭(カルボキシル基)を水の中へ、なじまない尾(炭化水素の鎖)を空気のほうへ向けて立つ。セッケンの分子が水と油の境目にならぶのと同じしくみ。
答え カルボキシル基。カルボキシル基は水となじみ(水素結合する)、メチル基の側の炭素の鎖は水となじまないから
イ まず膜の中の分子の物質量。溶液は 1 L に 0.019 m o l で、そのうち 0.100 m L を使ったので
0.019 × 0.100 × 10 − 3 = 1.9 × 10 − 6 m o l
板を左端から 0.50 m の所まで押したので、膜の面積は 0.50 × 0.50 = 0.25 m 2 。
このときの表面圧 0.010 N / m を、図1—2の実線(X)で読むと、1分子の面積は A ≈ 2.3 × 10 − 19 m 2 。分子の数は「膜の面積 ÷ 1分子の面積」なので、アボガドロ数は
N A = 0.25 2.3 × 10 − 19 × 1.9 × 10 − 6
実線は 0.010 のあたりで急に立ち上がっているので、表面圧を少し読みちがえても A はほとんど変わらない。だからこの点を使うと、アボガドロ数が安定して求まる。
答え n = 0.019 × 0.100 × 10 − 3 = 1.9 × 10 − 6 m o l , A = 2.3 × 10 − 19 m 2 (図で P = 0.010 ) , N A = 0.50 × 0.50 2.3 × 10 − 19 × 1.9 × 10 − 6 = 5.7 × 10 23 m o l − 1
ウ 板は中央で固定されているので、左右の膜の面積はどちらも 0.50 × 0.50 = 0.25 m 2 。それぞれの1分子の面積を出して、図1—2で表面圧を読み、強く押しているほうから板が押される。
X:1.9 × 10 − 2 × 0.080 × 10 − 3 = 1.52 × 10 − 6 m o l 。
A X = 0.25 1.52 × 10 − 6 × 6.0 × 10 23 = 2.7 × 10 − 19 m 2
Y:同じ濃さで 0.070 m L なので 1.33 × 10 − 6 m o l 。
A Y = 0.25 1.33 × 10 − 6 × 6.0 × 10 23 = 3.1 × 10 − 19 m 2
図で読むと、X(実線)は 2.7 × 10 − 19 で約 0.002 N / m 、Y(破線)は 3.1 × 10 − 19 で約 0.009 N / m 。
分子の数は X のほうが多いのに、押す力は Y のほうがずっと強い。Y は X と炭素の数が違い、同じ面積でも強く押し返す分子だから。力の強い右(Y)が板を押すので、板は右から左へ押される向きに動く。
答え A X = 0.25 1.52 × 10 − 6 × 6.0 × 10 23 = 2.7 × 10 − 19 → P X ≈ 0.002 , A Y = 0.25 1.33 × 10 − 6 × 6.0 × 10 23 = 3.1 × 10 − 19 → P Y ≈ 0.009 (N/m)。 P Y > P X なので板は左へ動く
エ 板が動くと、押された側(X)の膜は面積がせまくなって A が小さくなり、表面圧が上がる。押している側(Y)は広がって表面圧が下がる。
この変化は、左右の力の差を小さくする向きに進み、最後は左右の表面圧が同じになった所で板にはたらく力がつり合い、止まる。
オ 全部 N 2 O 4 だとしたときが n mol。そのうち割合 a が分かれる(解離する)と、N 2 O 4 1つから N O 2 が2つできるので:
N 2 O 4 :n ( 1 − a ) N O 2 :2 n a 合計:n ( 1 − a ) + 2 n a = n ( 1 + a )
分かれると粒の数がふえるので、合計は n より多くなる。状態方程式 P V = ( 物質量 ) R T を、全体と N O 2 だけの2つに使えば、全圧と N O 2 の分圧が出る。
答え P = n ( 1 + a ) R T V , P N O 2 = 2 n a R T V
カ N O 2 の物質量は 2 n a 。ここから n を消すため、オの全圧の式を n について解く:
n = P V ( 1 + a ) R T
これを 2 n a に入れると、N O 2 の物質量は「全体の物質量 P V R T 」に「N O 2 の割合 2 a 1 + a 」をかけた形になる。
キ 光の弱まり方は、光の通り道にある N O 2 の物質量で決まる。N O 2 が多いほど光は多く吸われ、検出器に届く光は弱い。
A と B の P V をくらべると、断面積が同じなので体積は長さに比例し、A は 0.0100 × 10 、B は 0.0050 × 20 で等しい。温度も同じなので、全体の物質量 P V R T は同じ。
あとは解離度 a の違い。カの式の 2 a 1 + a は a が大きいほど大きい。圧力が低いほど平衡はどちらへずれるか(ルシャトリエの原理)で、どちらの N O 2 が多いかが決まる。
ク B は A より圧力が低い。圧力が下がると、平衡は圧力を上げる向き、つまり粒の数がふえる向き(N 2 O 4 → 2 N O 2 )へずれる。だから B のほうが解離度 a が大きい。
キで見たように、A と B は全体の物質量が同じで、N O 2 の量は 2 a 1 + a × P V R T 。a が大きい B のほうが N O 2 が多く、光をよく吸う。したがって D 2 に届く光のほうが弱い。
もし平衡がずれなければ(a が同じなら)、同じ量の N O 2 で光は等しくなるはず。差が出るのは、圧力で平衡が動くからこそ。
答え A と B は P V が等しく、気体の全物質量 n ( 1 + a ) が同じ。圧力の低い B では平衡が分子の数のふえる右へ移り a が大きいので、NO 2 の量 2 a 1 + a · P V R T が多い。B の方が光をよく吸い、D 1 の方が強い
ケ (1)式から、N 2 O 4 ⟶ 2 N O 2 は熱を吸う向き(吸熱)。温度を上げると、平衡は熱を吸う向き、つまり N O 2 がふえる向きにずれる。
問題文の「圧力が、一種類の理想気体として予想される値より大きかった」は、温めただけ(シャルルの法則)で説明できる以上に、気体の物質量がふえたということ。これは分子が分かれて粒がふえた証拠になる。N O 2 がふえれば、光はより多く吸われる。
コ 圧力が予想より大きい → 気体の物質量がふえた → N 2 O 4 が分かれて N O 2 がふえた(吸熱の向きに平衡がずれた)。
N O 2 がふえる → 光を吸う物がふえる → D 1 に届く光は弱くなる。
平衡が N O 2 の側へずれることは、(1)式の熱(分かれる向きが吸熱)だけからもルシャトリエの原理で予想できる(ケ)。問題文の「圧力が予想より大きい」というひとことは、それが実際に起きたことを裏づける材料で、理由を書くときの根拠にそのまま使える。もし圧力が予想どおりだったら、N O 2 の量は変わっておらず、光も変わらないはず。
答え 圧力が予想より大きい=気体の物質量がふえた。吸熱の向き(N 2 O 4 → 2 NO 2 )に平衡が移り NO 2 がふえ、光をより多く吸うから
第2問 川の水の汚れをはかる・アルミニウムを電気で取り出す 答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 前半Ⅰは、川の水の汚れ(有機物)の量を表す COD の測り方。有機物を直接量るのはむずかしいので、「有機物を酸化するのに使われた酸化剤の量」を量り、それを酸素 O 2 の重さに直して表す。
手順は「過マンガン酸カリウムを多めに入れて有機物を酸化 → 残った過マンガン酸カリウムをシュウ酸で全部消す(シュウ酸は多めに入れる)→ 余ったシュウ酸を過マンガン酸カリウムで滴定」。有機物が多いほど、消されずに残るシュウ酸が多く、最後の滴定量がふえる。純粋な水で同じことをして引き算すると、差がそのまま有機物に使われた過マンガン酸カリウム になる。量の比べ方は、受けとる電子の数でそろえる(M n O 4 − は5個、O 2 は4個)。
後半Ⅱは、アルミニウムの製造。ボーキサイトを NaOH に溶かして不純物を取りのぞき、酸化アルミニウムにしてから、融かした氷晶石の中で電気分解する。A l 3 + 1つを Al にするのに電子3つが要ることから、電気の量と電力量を出す。
ア 過マンガン酸カリウムは強い酸化剤なので、有機物だけでなく、塩化物イオン C l − も酸化して塩素にしてしまう。
もし硝酸銀で C l − を塩化銀として沈めておかないと、C l − の酸化にも過マンガン酸カリウムが使われ、それも「有機物が使った分」として数えられる。だから COD は、本当の値より大きく出る。
答え Cl − も過マンガン酸カリウムに酸化されて(Cl 2 になり)酸化剤を使うので、COD が本当より大きく出る
イ 酸化剤と還元剤が受けとる・出す電子を、それぞれの半反応式で書く。
M n O 4 − + 8 H + + 5 e − ⟶ M n 2 + + 4 H 2 O (電子を5つ受けとる)
H 2 C 2 O 4 ⟶ 2 C O 2 + 2 H + + 2 e − (電子を2つ出す)
電子の数をそろえるため、上を2倍、下を5倍して足す。M n O 4 − 2つとシュウ酸5つが反応する。最後に、イオンの式を K M n O 4 と硫酸 H 2 S O 4 を使った形に書きかえ、K + と S O 4 2 − を K 2 S O 4 、M n S O 4 にまとめる。
答え 2 K M n O 4 + 5 H 2 C 2 O 4 + 3 H 2 S O 4 ⟶ K 2 S O 4 + 2 M n S O 4 + 10 C O 2 + 8 H 2 O
ウ 酸化剤の「はたらきの量」は、受けとる電子の数でくらべる。
K M n O 4 1つは電子5つを受けとる。O 2 1つは電子4つを受けとる(O 2 + 4 H + + 4 e − ⟶ 2 H 2 O )。だから K M n O 4 1つのはたらきは、O 2 の 5 4 個分。
1.00 m L の中の K M n O 4 は 4.80 × 10 − 3 × 1.00 × 10 − 3 m o l 。これを O 2 に直して重さにすると
4.80 × 10 − 6 × 5 4 × 32 g
答え 4.80 × 10 − 3 × 1.00 × 10 − 3 × 5 4 × 32 g = 1.92 × 10 − 4 g ≈ 0.19 m g
エ 試料水と純水では、はじめに入れた過マンガン酸カリウムもシュウ酸も同じ量。違いは、試料水では有機物が過マンガン酸カリウムを使ったこと。
有機物が使った分だけ、残る過マンガン酸カリウムが少ない → それを消すシュウ酸も少なくてすむ → 余るシュウ酸が多い → 最後の滴定量が多い。だから2つの滴定量の差 3.11 − 0.51 = 2.60 m L が、有機物に使われた過マンガン酸カリウムの量にあたる。
ウより 1.00 m L あたり O 2 0.192 m g 。試料水は 100.0 m L なので、1 L あたりに直すため10倍する:
2.60 × 0.192 × 1000 100
純水で引き算するおかげで、シュウ酸の濃さが「約」しか分からなくても、加熱で過マンガン酸カリウムが少しこわれても、同じ分が両方から消えて、答えに影響しない。
答え ( 3.11 − 0.51 ) × 0.192 × 1000 100 = 4.99 ≈ 5.0 m g · l − 1
オ 水酸化アルミニウムは両性(酸にも塩基にも溶ける)。ボーキサイトを NaOH に溶かすと、アルミニウムはテトラヒドロキシドアルミン酸ナトリウム N a [ A l ( O H ) 4 ] として溶け、鉄の酸化物などは溶けずに残る。
1つめの式:Al が2つあるので N a [ A l ( O H ) 4 ] が2つ。Na を合わせると NaOH も2つ。O と H も、左 3 + 3 + 2 = 8 個の O、6 + 2 = 8 個の H、右 2 × 4 = 8 ずつで合う。
2つめの式:二酸化炭素(水に溶けると弱い酸)を吹きこむと、[ A l ( O H ) 4 ] − から O H − が奪われて A l ( O H ) 3 が沈む。Na は炭酸ナトリウム N a 2 C O 3 になる。Na が2つなので N a 2 C O 3 は1つ、C を合わせて C O 2 も1つ。すると O と H の余りがちょうど水1つになり、問題の式の形(右辺に H 2 O )と合う。
答え n A = 2 , A = N a O H , n B = 2 , B = N a [ A l ( O H ) 4 ] , n C = 1 , C = C O 2 , n D = 1 , D = N a 2 C O 3
カ アルミニウムはイオン化傾向がとても大きく、A l 3 + は電子を受けとりにくい。
水溶液を電気分解すると、陰極では A l 3 + より先に、水(H + )が電子を受けとって水素が出てしまう。だから水のない、融かした塩(氷晶石に溶かした A l 2 O 3 )の中で電気分解する必要がある。
答え Al はイオン化傾向がとても大きく、水溶液を電気分解すると陰極では Al 3 + ではなく水(H + )が還元されて水素が出るから
キ 陰極では A l 3 + + 3 e − ⟶ A l 。アルミニウム 1 mol を作るのに電子 3 mol が要る。
アルミニウム 1.00 k g は 1000 27.0 m o l 。必要な電子はその3倍で、電子 1 mol の電気量がファラデー定数:
1000 27.0 × 3 × 9.65 × 10 4 C
答え 1000 27.0 × 3 × 9.65 × 10 4 = 1.07 × 10 7 ≈ 1.1 × 10 7 C
ク 電力量(電気がした仕事)は「電気量 × 電圧」。単位は C × V = J 。
1.07 × 10 7 C × 4.50 V = 4.83 × 10 7 J = 4.83 × 10 4 k J
1 k W h = 3600 k J なので、3600 でわって kWh に直す。
アルミニウム 1 kg を作るのに十数 kWh もの電気が要る。アルミ缶を回収して再利用すると、この電気がほとんどいらなくなる。
答え 1.07 × 10 7 C × 4.50 V = 4.83 × 10 4 k J , 4.83 × 10 4 3600 = 13.4 ≈ 13 k W h
ケ 単位質量あたりの電力量は「(質量あたりの物質量)×(1 mol あたりの電子の数)× ファラデー定数 × 電圧」。この3つのかけ算の、どれもアルミニウムのほうが大きい。
電子の数:A l 3 + は3価で、1 mol に電子 3 mol。C u 2 + は2価で 2 mol。
物質量:アルミニウムの原子量(27.0)は銅(63.5)より小さく、同じ1 kg でも原子の数が約2.35倍多い。
電圧:アルミニウムはイオン化傾向が大きく還元されにくい上、融かした塩を高温に保つ必要があり、高い電圧(4.50 V)が要る。銅の精錬は、同じ銅を陽極から陰極へ移すだけなので、ずっと低い電圧ですむ。
答え ① Al は 3 価で、1 mol あたり電子が Cu(2 価)より多く要る ② Al の原子量が小さく、同じ質量で mol 数が多い ③ 電解に要る電圧が高い(Al は還元されにくく、とかした塩を高温に保つ)
第3問 エステルの平衡と、C₇H₆O₂ の仲間を見分ける 答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 前半Ⅰはエステルのでき方。カルボン酸とアルコールからエステルと水ができる反応は、逆向き(加水分解)も起きるので、途中で止まった状態(平衡)になる。エステルを多く作る工夫と、逆向きが起きない反応(酸無水物を使う・水酸化ナトリウムで分解する)を考える。
後半Ⅱは、ベンゼン環をもつ異性体 C〜G を実験で見分ける問題。燃焼で組成式、凝固点降下で分子量を出して分子式 C 7 H 6 O 2 を決める。そのあと、炭酸水素ナトリウムで泡が出る(カルボン酸)、加水分解して銀鏡反応(ギ酸のエステル)、塩化鉄(Ⅲ)で色がつく(フェノールの OH)で分ける。
最後のクは、同じ物質でも溶媒によって凝固点の下がり方が違う、という話。ベンゼンの中では安息香酸が2分子ずつ組になって、粒の数が半分に減る。
ア 1:エステル化と加水分解が両方進み、見かけ上変化しなくなった状態。
2・3:平衡を右(エステルの側)へずらすには、ルシャトリエの原理(変化をやわらげる向きにずれる)を使う。反応物の一方を大量に入れるか、生成物を取りのぞく。溶媒として大量に使えて、あとで蒸留で回収しやすいのは、沸点の低いアルコール(エタノール)。取りのぞく生成物は、エステルといっしょにできる物。
4・5:プロピオン酸エチルを水酸化ナトリウムで分解(けん化)すると、カルボン酸はすぐ NaOH と中和されて、ナトリウム塩(イオン)になる。塩になったカルボン酸はアルコールと反応しないので、逆向きには戻らない。もう一方の生成物はアルコール。
答え 1 平衡 , 2 エタノール , 3 水 , 4 プロピオン酸ナトリウム , 5 エタノール(4・5 は順不同)
イ A は、エタノールと反応してプロピオン酸エチルを作るが、逆向きが起きない物。これは酸無水物(カルボン酸2つから水がとれてつながった物)。
( C H 3 C H 2 C O ) 2 O + C 2 H 5 O H ⟶ C H 3 C H 2 C O O C 2 H 5 + C H 3 C H 2 C O O H
水ではなくカルボン酸が出るので、加水分解の逆向きが起きない。
アニリン C 6 H 5 N H 2 と酸無水物を反応させると、アミノ基がアセチル化と同じしくみでプロピオニル化され、アミド結合 –CO–NH– ができる。これが B。無水酢酸とアニリンからアセトアニリドができるのと同じ反応。
答え A : ( C H 3 C H 2 C O ) 2 O (無水プロピオン酸) , B : C H 3 C H 2 C O − N H − C 6 H 5
ウ C:30.8 × 12 44 = 8.40 m g H:5.4 × 2 18 = 0.60 m g O:12.2 − 8.40 − 0.60 = 3.20 m g
8.40 12 : 0.60 1.0 : 3.20 16 = 0.70 : 0.60 : 0.20 = 7 : 6 : 2
エ 凝固点降下 Δ t = K f m の m (質量モル濃度)は、「溶けた物の物質量 ÷ 溶媒の kg」。C の分子量を M とすると、物質量は 0.25 M 、溶媒のラウリン酸は 8.00 × 10 − 3 k g なので
1.00 = 3.90 × 0.25 / M 8.00 × 10 − 3
これを M について解く。組成式 C 7 H 6 O 2 の式量は 122 なので、分子式は組成式と同じ。
答え M = 3.90 × 0.25 1.00 × 8.00 × 10 − 3 = 121.9 ≈ 122
オ C 7 H 6 O 2 でベンゼン環をもつと、ベンゼン環(C 6 )のほかに C が1つ、O が2つ。
C:炭酸水素ナトリウムで気体(C O 2 )が出るのは、炭酸より強い酸、カルボン酸。ベンゼン環に –COOH が1つついた、安息香酸。
D:水酸化ナトリウムで加水分解(けん化)して酸性にすると、H と I の2つができる → エステル。H が銀鏡反応を起こす(アルデヒドの形 –CHO をもつ)ので、H はギ酸 HCOOH。ギ酸は H–CO–OH で、カルボン酸なのにアルデヒドの形ももつ。残りの I は、ベンゼン環に OH がついたフェノール。D はギ酸とフェノールのエステル、ギ酸フェニル。
答え C : C 6 H 5 C O O H , D : H C O O C 6 H 5 , H : H C O O H , I : C 6 H 5 O H
カ E・F・G は塩化鉄(Ⅲ)で色がつくので、ベンゼン環に OH が直接ついた(フェノール性の)OH をもつ。
残りは C が1つ、O が1つ、H が1つ。これで作れるのはアルデヒド基 –CHO。ベンゼン環に OH と CHO がついた、ヒドロキシベンズアルデヒド。
2つの置き方は、となり(オルト)・1つとばし(メタ)・向かい(パラ)の3通りで、ちょうど3つの化合物になる。
答え o -, m -, p - H O − C 6 H 4 − C H O (ヒドロキシベンズアルデヒド 3 つ)
キ 沸点は、分子どうしが引き合う力が強いほど高い。OH をもつ分子は、ほかの分子と水素結合してつながるので沸点が高くなる。
オルトの形では、OH と CHO がとなりにあるので、OH の H が同じ分子の中の CHO の O と水素結合してしまう(分子内水素結合)。すると、ほかの分子との水素結合(分子間水素結合)に使える OH がなくなり、分子どうしの引き合いが弱くなる。
メタやパラでは OH と CHO が離れていて、分子の中では結べず、ほかの分子とつながる。だから3つのうちオルトだけが、きわだって沸点が低い。
答え o - H O − C 6 H 4 − C H O 。OH と CHO が近く分子の中で水素結合するので、分子どうしの水素結合が少なくなるから
ク ベンゼンは水素結合をしない溶媒なので、安息香酸のカルボキシル基どうしが向かい合って、水素結合2本で2分子が組になる(二量体)。2つの分子が1つの粒になるので、粒の数は半分になり、凝固点の下がり方も分子量から計算した値の約半分になる。
ラウリン酸はそれ自身がカルボキシル基をもつ溶媒なので、安息香酸は溶媒の分子と水素結合し、安息香酸どうしで組にならない。だから実験2では正しい分子量が出た。構造式では、2つの –COOH が向かい合い、それぞれの O–H の H が相手の C=O の O に点線で結ばれた、輪の形を描く。
答え ( d ) 。2 分子がカルボキシル基どうしの水素結合 2 本で組(二量体)になっている