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物 理
第1問 図1のように,地球の中心Oを通り,地表のある地点Aと地点Bとを結ぶ細長いトンネル内における小球の直線運動を考える。地球を半径 ,一様な密度 の球とみなし,万有引力定数を として以下の各問に答えよ。なお,地球の中心Oから距離 の位置において小球が地球から受ける力は,中心Oから距離 以内にある地球の部分の質量が中心Oに集まったと仮定した場合に,小球が受ける万有引力に等しい。ただし,地球の自転と公転の影響,トンネルと小球の間の摩擦および空気抵抗は無視するものとし,地球の質量は小球の質量に比べ十分大きいものとする。
Ⅰ 質量 の小球を地点Aから静かにはなしたときの運動を考える。
(1) 小球が地球の中心Oから距離 の位置にある時,小球に働く力の大きさを求めよ。
(2) 小球が運動開始後,はじめて地点Aに戻ってくるまでの時間 を求めよ。
Ⅱ 同じ質量 を持つ二つの小球P,Qの運動を考える。時刻 に小球Pを,時刻 に小球Qを同一の地点Aで静かにはなしたところ,二つの小球はOBの中点Cで衝突した。ここで二つの小球間のはねかえり係数を とし,衝突後二つの小球は一体となって運動するものとする。ただし, は問Ⅰ(2)で求めた時間 より小さいものとする。
(1) を を用いて表せ。
(2) 二つの小球P,Qが衝突してからはじめて中心Oを通過するまでの時間を を用いて表せ。
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Ⅲ 問Ⅱと同様に,時刻 に小球Pを,時刻 に小球Qを同一の地点Aで静かにはなした。ただし,二つの小球間のはねかえり係数は とする。
(1) 二つの小球が最初に衝突した後,小球Pは地点Bに向かって運動し,地球の中心Oから距離 の点Dにおいて中心Oに向かって折り返した。このときの の値をはねかえり係数 および地球の半径 を用いて表せ。
(2) 小球Pと小球Qが二回目に衝突する位置を求めよ。
(3) その後二つの小球は衝突を繰り返した。十分時間が経過した後,どのような運動になるか答えよ。
図1
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第2問 図2—1のように,ボタン型磁石と薄いアルミニウム円板を貼りあわせたものを,磁石の磁力を使って鉄釘を介して乾電池の鉄製負電極につるす。乾電池の正極からリード線をのばし,抵抗を介してリード線の他端Pをアルミニウム円板の円周上の点に触れさせると,アルミニウム円板とボタン型磁石は回転を始めた。その後,リード線とアルミニウム円板がすべりながら接触するようにリード線を保持すると,円板と磁石は回転し続けた。ボタン型磁石は,図2—1のように上面がN極,下面がS極で,電気を通さない。アルミニウム円板の半径を ,乾電池の起電力を ,抵抗の抵抗値を ,アルミニウム円板を貫く磁束密度 は円板面内で一様として,以下の問に答えよ。ただし,リード線とアルミニウム円板の間の摩擦,鉄釘と電池の間の摩擦は無視してよい。また,アルミニウム円板と鉄釘の間の摩擦は十分大きく,これらは一体になって回転するものとする。
図2—1
図2—2
Ⅰ アルミニウム円板とボタン型磁石が回転する方向を,理由を付して答えよ。略図を使ってもよい。ただし,アルミニウム円板を流れる電流は,鉄釘との接合点Qと点Pの間を直線的に流れると考えてよい。
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Ⅱ 図2—2のように,乾電池のかわりに検流計を置く。アルミニウム円板とボタン型磁石を図2—2の矢印方向に力を加えて回転させると,検流計に電流が流れた。電流の流れる方向を理由を付して答えよ。
Ⅲ Ⅱで生じていた起電力 の大きさは,ボタン型磁石の回転の角速度が のとき, と表せることを示し,係数 を求めよ。ただし,釘は十分細いとしてよい。
Ⅳ 図2—1において,十分時間が経つとアルミニウム円板とボタン型磁石の角速度はある一定値 になる。 を ,, を用いて表せ。
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第3問 レーザー光が原子に与える作用を用いることにより,原子気体を冷却し,なおかつ空間のある領域に保つことができる。そのような冷却原子気体を用いて,原子の波動性を検証する次のような実験を行った。
図3—1のように,鉛直上向きを 軸とする直交座標系を設定する。レーザー光によって冷却原子気体を点 のまわりに保つ。この点から だけ鉛直下方に, 軸に平行な間隔 ,長さ の二重スリットを水平に置く。さらに だけ鉛直下方に,原子が当たると蛍光を発するスクリーンを水平( 面上)に置く。これらはすべて真空中にある。冷却原子気体の空間的広がり,二重スリットの間隔 ,および長さ は,, に比べて十分小さいとする。スクリーン上の蛍光のようすは,ビデオカメラによって撮影する。
時刻 にレーザー光を切ると,個々の原子はその瞬間に持っていた速度を初速度とし,重力のみを受けた運動を始める。一部の原子は二重スリットを通過し,スクリーンに到着する。時刻 以降,原子どうしの衝突はないものとする。二重スリットを通過した原子のうち, 軸方向の初速度がゼロであったものがスクリーンに到着する時刻を とする。単位時間あたりにスクリーンに到着した原子数の時間変化は図3—2のようであった。原子の質量を ,プランク定数を ,重力加速度を とする。
Ⅰ は に比べて十分小さく,二重スリットを通過した後の原子の加速は無視できるものとして,以下の問に答えよ。
(1) 二重スリットを通過した原子のうち, 軸方向の初速度がゼロであったものがスリット通過直後に持っていた速さ ,およびド・ブロイ波長 を求めよ。
(2) 時刻 にビデオカメラによって撮影された画像には,図3—3のような干渉縞が写っていた。この干渉縞の間隔 を求めよ。ただし, は より十分大きく, より十分小さいとする。必要ならば, が より十分小さいときに成り立つ近似式 を用いよ。
(3) 時刻 の前後にビデオカメラによって撮影された画像にも,図3—3と同様な干渉縞が写っていた。時刻 に観測された干渉縞の間隔 を縦軸,時刻 を横軸として, と の関係を表すグラフの概形を描け。ただし,図3—2のように時刻 の位置を横軸に明示すること。
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Ⅱ を固定し, を変化させて実験を繰り返した。ただし, の大きさは と同程度で,二重スリットを通過した後の原子の加速は無視できないものとする。 軸方向の初速度がゼロであった原子がスクリーンに到着する時刻に観測される干渉縞の間隔を とする。 と の関係を最も適切に表しているグラフを図3—4の(ア)~(カ)の中から一つ選び,その理由を答えよ。
図3—1
図3—2
図3—3
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図3—4
第1問 地球を貫くトンネルに落とした球
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方
地球の中心を通るまっすぐなトンネルに小球を落とす問題。地球の中では、小球を引く力は「自分より内側の部分の質量」だけで決まる(問題文に書いてある)。内側の質量は に比例し、万有引力は に比例するので、力は に比例する。つまり、ばねと同じ形の力で、小球は中心 O を中心とした単振動をする。
Ⅱ・Ⅲ は、2つの球 P・Q を時間をずらして落とし、トンネルの中でぶつける。
鍵になる見方は2つ。1つは、単振動の位置を「円運動を真横から見た影」として のように書くこと。もう1つは、重心の動き。2つの球がぶつかる力は内力なので、重心はぶつかっても何も変わらず、同じ単振動を続ける(どちらの球も同じ で単振動するので、重心もその で単振動する)。
Ⅰ(1)
中心から より内側の地球の質量は、半径 の球の体積×密度:
これが中心に集まっているとして万有引力の式に入れる:
と が約分されて、力は に比例する形になる。向きはいつも中心 O 向き。
Ⅰ(2)
力が ()で中心向きなので、ばね定数 のばね振り子と同じ単振動。角振動数は
A から放して A にもどるまでが1周期なので 。
周期に地球の半径 も小球の質量 も入らず、密度 だけで決まる。中心を通らないトンネルでも、地表すれすれを回る人工衛星の1周でも、同じ (約84分)になる。
Ⅱ(1)
O を原点に、B 向きを正として位置を で表すと、A から放した球は
C(OB の中点)は 。P がはじめて C に来るのは 、つまり ()で、B へ向かっている途中。次に C に来るのは ()で、B から折り返して A へもどる途中。
Q は おくれて同じ動きをするので、Q がはじめて C に来るのは 。P と Q が同じ時刻に C にいるには、P の2回目と Q の1回目が重なればよい( の範囲ではこれだけ):
Ⅱ(2)
C では、P は A へもどる向き、Q は B へ向かう向きに動いていて、どちらも A から放した球が C を通るときの速さなので、同じ速さで逆向きにぶつかる。質量も同じなので運動量の合計は 0。
はねかえり係数 0 でくっつくと、一体の球は C で速さ 0 になる。つまり、C から静かに放したのと同じ。そこから中心 O までは単振動の 周期。
振幅が から に変わっても、単振動の周期は振幅によらず のまま。
Ⅲ(1)
ぶつかる直前、P と Q は C で同じ速さ で逆向きに動いている。その速さは、 を時間で変えた速さの式 に を入れて
質量が等しく速さも等しいので、はねかえり係数 の衝突の後は、それぞれ向きが逆になり、速さは になる(運動量の合計 0 は変わらない)。P は B へ向かって速さ で C を出発する。
C()で速さ の単振動の振幅 は、エネルギー保存(ばねと同じ形)から
Ⅲ(2)
重心で考える。ぶつかった瞬間、重心は C にあって、運動量の合計が 0 なので重心の速さも 0。重心は C から静かに放した単振動をするので、 後には反対側の (OA の中点)に来る。
次に2つの球のずれ(P の位置 − Q の位置)を考える。ずれも同じ で単振動し、ぶつかった瞬間は 0 から始まる。単振動で 0 から出発したものが次に 0 にもどるのは、半周期 後。
ずれが 0 になる瞬間が2回目の衝突。そのとき2つの球は重心の位置にいる。
Ⅲ(3)
Ⅲ(2) と同じ見方で、衝突のたびに次のことが起きる。
重心:ぶつかっても変わらず、C と OA の中点の間を、振幅 ・周期 でゆれ続ける。
ずれ:衝突のたびに、近づく速さが 倍になる。 なので、ずれの振れはばは と小さくなり、やがて 0 に近づく。
十分時間がたつと、2つの球はほとんど離れず一体とみなせるようになり、その一体は重心と同じ単振動をする。
答え球の間のずれ(近づく速さ)は衝突のたびに倍に減り、やがて一体とみなせる。重心はぶつかっても変わらないので、一体はとの中点の間を、を中心に振幅・周期で単振動する
第2問 ボタン磁石とアルミ円板のモーター(単極モーター)
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方
ボタン磁石にアルミの円板を貼り、鉄の釘で乾電池の−極につるした「単極モーター」の問題。電池の+極から抵抗 を通った導線を円板のふち P に触れさせると、円板の中を P から中心 Q へ電流が流れ、釘を通って−極へもどる。
円板は磁石の N 極の面に貼ってあるので、円板を貫く磁場は上向き(N 極から出る向き)。電流が磁場から受ける力(、向きは電流から磁場へ右ねじを回す向き)が円板を回す。
逆に、円板を手で回すと、円板の中の電荷が円板といっしょに動いて磁場から力を受け、起電力が生まれる(発電)。モーターと発電機が同じしくみの表と裏であることが全体の筋。
Ⅰ
円板の中を流れる電流は、ふちの P から中心 Q へ向かう(半径にそって内向き)。
磁場は上向き。上から見て、P が円板の中心から見て手前(観測者の側)にあるとすると、電流は奥向き。奥向きの電流と上向きの磁場で、力は「電流から磁場へ右ねじを回す向き」=上から見て右向きになる。
この力は PQ に垂直で、P の側を横へ押すので、円板を中心 Q のまわりに回す。手前の点が右へ押される回り方は、上から見て反時計回り。
P をふちのどこに当てても、電流はいつも中心向き、力はいつも同じ回る向きになるので、円板は回り続ける。
答え上から見て反時計回り(円板の中をに流れる電流が、上向きの磁場からに垂直な力を受け、側を反時計回りの向きに押す)
Ⅱ
図2—2の矢印の向き(上から見て反時計回り)に円板を回す。円板の中の正の電荷は円板といっしょに動いていて、その速度は円の接線の向き。
手前の点で考えると、速度は右向き、磁場は上向き。電荷が受ける力(ローレンツ力)は「速度から磁場へ右ねじを回す向き」で、中心から外向き(手前向き)になる。どの点でも同じく外向き。
だから円板の中では電流が中心 Q からふち P へ流され、外の回路では P → 抵抗 → 検流計 → 釘 → Q の向きに流れる。
回す向きはⅠと同じなのに、電流はⅠと逆向き。この電流が磁場から受ける力は回転と逆向きで、ブレーキになる(レンツの法則)。
答え円板の中は、外は抵抗検流計釘(円板といっしょに回る電荷が磁場から中心外向きの力を受ける)
Ⅲ
短い時間 の間に、半径 PQ(長さ )は角度 だけ回り、おうぎ形の面積
を横切る。起電力は「1秒あたりに横切る磁束」なので
の前の係数が 。釘が十分細いので、中心 Q は半径 0 とみてよい。
別の見方:中心から の所の電荷の速さは で、受ける力は 。これを から まで足すと、平均の速さ に長さ をかけたものになり、同じ答えになる。
Ⅳ
電池につないで回り始めると、回っている円板にはⅡと同じしくみで起電力 が生まれる。その向きは、電池が流そうとする電流と逆(Ⅱで見たとおり、回す向きが同じなら起電力は Q→P 向き)。回路の電流は
摩擦は無視できるので、回る速さが一定になるのは、回す力が 0、つまり電流が 0 のとき:
磁石を強くすると、少ない回転で起電力が に届くので、最後の速さはかえって小さくなる。
第3問 落とした冷たい原子が二重スリットで作る干渉縞
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方
レーザーで冷やした原子の雲を放すと、原子は重力で落ち、 下の二重スリット(間隔 )を通って、さらに 下のスクリーンに当たって光る。原子も波としての性質をもち、その波長(ド・ブロイ波長)は
( はプランク定数、 は運動量)。光の二重スリットと同じように、スクリーンに縞ができる。
ひねりは、原子の速さが落ちてきた時間によってちがうこと。放したときの上下の速さが原子ごとにばらばらなので、スリットを通る速さ、つまり波長もばらばら。同じ時刻にスクリーンに着く原子は同じ速さなので、写真ごとに縞の間隔が変わる。
Ⅱ では、スリットの後も原子が重力で加速する。そのときは「縞の間隔 = 横向きの速さ × スリットからスクリーンまでの時間」と見るのが近道。
Ⅰ(1)
上下の初速が 0 の原子は、高さ を自由落下してスリットに着く。エネルギー保存(または等加速度の式)から
その速さを に入れると、ド・ブロイ波長が出る。
Ⅰ(2)
光の二重スリットと同じ。スクリーン上の位置 の点までの、2つのスリットからの道のりの差は、角度が小さいとき 。これが波長の整数倍のときに明るい縞になる:
となりの明るい縞までの間隔は を1つ変えた分で、。Ⅰ(1) の を入れると答えの形になる。
が よりずっと小さいので、スリットの後の加速は無視して、速さ のまま進むとしてよい。
Ⅰ(3)
時刻 にスクリーンに着く原子の、スリットを通る速さ を求める( なので、スクリーンに着く時刻=スリットに着く時刻とみてよい)。上向きの初速を とすると
1つめの式から を出して2つめに入れると、。(初速 0 で落ちる時間)を使うと
縞の間隔は波長に比例し、波長は速さに反比例するので、 のときの間隔 (速さ )と比べて
は で一番小さく(はじめ上に投げ上げたものも下に投げ下ろしたものも、 から離れるほどスリットを速く通る)、 でも でも大きくなる。だから は で最大の山形になり、両側で 0 に近づく。
おもしろいことに、 と では同じ間隔になる(山は横軸の目もりで見ると左右対称ではない)。
答え(で最大の山形。, でに近づく)
Ⅱ
縞の間隔を別の見方で出す。明るい縞の方向へ進む原子は、横向きの運動量をもっている。 番目の明るい縞への角度 は なので、横向きの運動量は
つまり、となりの縞へ向かう原子どうしの横向きの速さの差は で、縦の速さによらない。
重力は縦向きだけにはたらくので、横向きの速さは変わらない。だから縞の間隔は
初速 0 の原子は、スリットで 、スクリーンで の速さなので、その間の時間は 。
をのばすほど時間はふえるが、原子はだんだん速くなるので、同じだけ をのばしてもふえる時間は少しずつ小さくなる。だから は、 とともに増えるが、増え方がだんだんにぶる曲線になる。
加速を無視したら に比例する直線になるはずだが、実際は加速の分だけそれより下に曲がる。直線のもの、増え方がだんだん急になるもの、ほとんど変わらないもの、減るものは違う。
答えウ