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物 理
第1問 図1—1に示すようなブランコの運動について考えてみよう。ブランコの支点をOとする。ブランコに乗っている人を質量 m の質点とみなし,質点Pと呼ぶことにする。支点Oから水平な地面におろした垂線の足をGとする。ブランコの長さOPを ℓ ,支点Oの高さOGを ℓ + h とする。ブランコの振れ角 ∠ G O P を θ とし,θ はOGを基準に反時計回りを正にとる。重力加速度の大きさを g とする。また,ブランコは紙面内のみでたわむことなく運動するものとし,ブランコの質量や摩擦,空気抵抗は無視する。
Ⅰ 以下の文章の ア ~ ウ にあてはまる式を,それぞれ直後の括弧内の文字を用いて表せ。
質点Pが θ = θ 0 から静かに運動を開始したとする。支点Oにおける位置エネルギーを 0 とすると,運動を開始した時点における質点Pの力学的エネルギーは ア ( ℓ , θ 0 , m , g ) で与えられる。角度 θ における力学的エネルギーは,そのときの質点Pの速さを u として イ ( u , ℓ , θ , m , g ) で与えられる。力学的エネルギー保存則から,u = ウ ( ℓ , θ 0 , θ , g ) となる。
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図1—1
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Ⅱ ブランコに二人が乗った場合を考えよう。質量 m A の質点Aと,質量 m B の質点Bを考える。図1—2に示すように,初期状態ではAとBが合わさって質点Pをなしているとし,質点Pが θ = θ 0 から静かに運動を始めたとする。θ = 0 においてAはブランコを飛び降り,速さ v A で水平に運動を始めた。一方,Aが飛び降りたことにより,Bを乗せたブランコは θ = 0 でそのまま静止した。その後Aは G ′ に着地した。
(1) Aが飛び降りる直前の質点Pの速さを v 0 として,v A を v 0 ,m A ,m B を用いて表せ。
(2) 距離 G G ′ を ℓ ,h ,θ 0 ,m A ,m B を用いて表せ。また,ℓ = 2.0 m ,h = 0.30 m ,cos θ 0 = 0.85 ,m A = m B のとき,距離 G G ′ を有効数字2桁で求めよ。
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図1—2
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Ⅲ ブランコをこぐことを考えよう。ブランコに乗った人が運動の途中で立ち上がったりしゃがみこんだりすることで,ブランコの振れ幅が変化していく。
まず図1—3に示すように,人がブランコで一度だけ立ち上がることを以下のように考える。質量 m の質点Pが θ = θ 0 ( θ 0 > 0 ) から静かに運動を始めた。次に角度 θ = θ ′ において人が立ち上がったことにより,OPの長さが ℓ から ℓ − Δ ℓ へと瞬時に変化したとする ( Δ ℓ > 0 ) 。OPの長さが変化する直前のPの速さを v とし,直後の速さを v ′ とする。その後,OPの長さが ℓ − Δ ℓ のままPは運動を続け,角度 θ = − θ ″ ( θ ″ > 0 ) で静止した。ただし以下では,ブランコの振れ角 θ は常に十分小さいとして,cos θ ≒ 1 − θ 2 2 と近似できることを用いよ。
(1) ( θ ″ ) 2 を v ′ ,ℓ ,Δ ℓ ,θ ′ ,g を用いて表せ。
OPの長さが変化する前後に関して以下のように考えることができる。長さOPの変化が十分速ければ,瞬間的にOP方向の強い力が働いたと考えられる。Oを中心とした座標系で考えると,この力は中心力なので,面積速度が長さOPの変化の前後で一定であるとしてよい。つまり,1 2 ( ℓ − Δ ℓ ) v ′ = 1 2 ℓ v が成り立つ。
(2) ( θ ″ ) 2 を ℓ ,Δ ℓ ,θ 0 ,θ ′ を用いて表せ。
(3) θ ″ を最大にする θ ′ と,その時の θ ″ を ℓ ,Δ ℓ ,θ 0 を用いて表せ。
次に,人が何度も立ち上がったりしゃがみこんだりしてブランコをこぐことを,以下のようなサイクルとして考えてみよう。n 回目のサイクル C n ( n ≧ 1 ) を次のように定義する。
「θ = θ n − 1 で静止した質点PがOPの長さ ℓ で静かに運動を開始する。θ = 0 において立ち上がりOPの長さが ℓ から ℓ − Δ ℓ へと瞬時に変化する。質点PはOPの長さ ℓ − Δ ℓ のまま角度 θ = − θ n で静止した後,逆向きに運動を始め,角度 θ = θ n で再び静止する。このとき,θ = θ n でしゃがみこみ,OPの長さは ℓ − Δ ℓ から再び ℓ へと瞬時に変化する。」
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1回目のサイクルを始める前,質点Pは θ = θ 0 ( θ 0 > 0 ) にあり,OPの長さは ℓ だった。その後,サイクル C 1 を開始し,以下順次 C 2 ,C 3 ,…と運動を続けていくものとする。
(4) n 回目のサイクルの後のブランコの角度 θ n を,ℓ ,Δ ℓ ,θ 0 ,n を用いて表せ。
(5) Δ ℓ ℓ = 0.1 のとき,N 回目のサイクルの後に,初めて θ N ≧ 2 θ 0 となった。N を求めよ。ただし log 10 0.9 ≒ − 0.046 ,および log 10 2 ≒ 0.30 であることを用いてもよい。
図1—3
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第2問 面積 S の厚みの無視できる金属の板Aと板Bを空気中で距離 d だけ離して平行に配置した。d は十分小さく,板の端の効果は無視する。図2—1のように,板,スイッチ,直流電源,コイルを導線でつないだ。直流電源の内部抵抗や導線の抵抗は無視できるほど小さい。空気の誘電率を ϵ とする。
Ⅰ 図2—1のように,スイッチを1につなぎ,板Aと板Bの間に直流電圧 V ( V > 0 ) を加えたところ,板A,Bにそれぞれ電荷 Q ,− Q が蓄えられ,Q = C 0 V の関係があることが分かった。
(1) C 0 を S ,d ,ϵ を用いて表せ。
(2) 板A,Bと同じ形状をもつ面積 S の厚みの無視できる金属の板Cを図2—2のように板Aと板Bの間に互いに平行になるように差し入れた。板Aと板Cの距離は x ( x > d 4 ) である。さらに,板Aと板Cを太さの無視できる導線aで接続し,十分時間が経過したところ,板A,C,Bに蓄えられた電荷はそれぞれ一定となった。板A,C,Bからなるコンデンサーに蓄えられた静電エネルギーを求めよ。
(3) 外力を加え,板Cをゆっくりと板Aに近づけて板Aと板Cの距離を d 4 にした。導線aはやわらかく,板Cを動かすための力には影響がないとする。板Cに外力がした仕事 W を求めよ。また,W は電源がした仕事 W 0 の何倍であるか正負の符号も含めて答えよ。
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図2—1
図2—2
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Ⅱ 設問Ⅰ(3)の状態から,板A,B,Cと同じ形状をもつ面積 S の厚みの無視できる金属の板Dを,板Cと板Bの間に互いに平行になるように差し入れた。板Cと板Dの距離は d 4 である。さらに,板Cと板Dを太さの無視できる導線bで接続した。十分時間が経過して各板に蓄えられた電荷がそれぞれ一定となった後に,図2—3のように導線aを外した。
(1) 板Aに蓄えられた電荷は Q 1 = ア C 0 V ,板Bに蓄えられた電荷は − Q 2 = − イ C 0 V と表される。ア ,イ に入る数を答えよ。
(2) その後,直流電源の電圧を α 倍 ( α > 0 ) して α V とし,十分時間が経過したところ,各板に蓄えられた電荷はそれぞれ一定になった。板Aの板Cに対する電位 V 1 ,板Dの板Bに対する電位 V 2 を求めよ。
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図2—3
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Ⅲ 設問Ⅱ(2)の状態から,時刻 t = 0 で図2—4のようにスイッチを1から2につなぎかえたところ,コイルには I 0 sin ( 2 π t T ) と表される電流 I が流れることが分かった。ただし,図中の矢印の向きを電流の正の向きにとる。コイルの抵抗は無視でき,自己インダクタンスは L である。他に説明がない場合は,直流電源の電圧は 2 V とする。
(1) T を L と C 0 を用いて表せ。
(2) t = 0 でコイルの両端にかかる電圧を答えよ。また,I 0 を T , V , L を用いて表せ。ただし,微小時間 Δ t の間の電流変化は Δ I = I 0 Δ t ( 2 π T ) cos ( 2 π t T ) であることを用いてよい。
(3) 板A,Bの電荷をそれぞれ Q 3 ,− Q 4 とすると,t = T 4 のとき Q 3 = ウ Q 4 の関係が成り立つ。ウ に入る数を答えよ。また,Q 3 = 0 となる時刻 t ′ を T を用いて表せ。ただし t ′ < T とする。
(4) 板A,C,D,Bからなるコンデンサーに蓄えられる静電エネルギーが,t = 0 のときに E 1 ,t = T 4 のときに E 2 であった。E 1 , E 2 をそれぞれ C 0 , V を用いて表せ。また,Δ E = E 2 − E 1 として,Δ E を I 0 を含み,V および T を含まない形で表せ。
直流電源の電圧が α V ( α > 0 ) であった場合を考える。
(5) ある α に対して,Q 3 と − Q 4 の変化の様子を表す最も適切な図を図2—5の①~⑥から選び,番号で答えよ。図中で点線は Q 3 を表し,実線は − Q 4 を表す。
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図2—4
図2—5
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第3問 2018年のノーベル物理学賞は,「レーザー物理学分野における画期的な発明」に対して授与され,そのうちの1つは光ピンセット技術に関するものであった。光ピンセットとは,レーザー光で微小な粒子等を捕捉する技術である。本問では,光が微粒子に及ぼす力を考察することで,光で微粒子が捕捉できることを確認してみよう。
以下,図3—1に例を示すように,真空中に屈折率 n ( n > 1 ) の球形の微粒子があり,そこを光線が通過する状況を考える。光は光子という粒子の集まりの流れであり,光子は運動量をもつので,光の屈折に伴い光子の運動量が変化して,それが微粒子に力を及ぼすと考えられる。そこで以下では,光子の運動量の変化の大きさは,その光子が微粒子に及ぼす力積の大きさに等しいとする。また,光の吸収や反射の影響は無視する。さらに,微粒子に対して光線は十分に細く,光線の太さは考えない。
Ⅰ 図3—1に示すように,真空中の微粒子を光線が通過している。微粒子の中心Oは光線と同一平面内にある。微粒子は固定されており,動かない。図3—2に示すように,光線が微粒子に入射する点を点A,微粒子から射出する点を点Bとする。入射前の光線を延長した直線と,射出後の光線を延長した直線の交点を点Cとする。線分ABと線分OCの交点を点Dとする。以下の設問に答えよ。
(1) 光が微粒子に入射する際の入射角を θ ,屈折角を ϕ とする。sin θ を,n ,sin ϕ を用いて表せ。
(2) 光線中を同じ方向に流れる光子の集まりがもつ,エネルギーの総量 E と運動量の大きさの総量 p の間には,真空中では p = E c という関係が成り立つ。ここで,c は真空中の光の速さである。図3—1の光は,単位時間あたり Q のエネルギーをもって,光源から射出されている。このとき,時間 Δ t の間に射出された光子の集まりが真空中でもつ運動量の大きさの総量 p を,Q ,Δ t ,c ,n のうち必要なものを用いて表せ。
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(3) 図3—1に示すように,微粒子に入射する前の光子と,微粒子から射出した光子は,運動量の大きさは変わらないが,向きは変化している。時間 Δ t の間に射出された光子の集まりが,微粒子を通過することにより受ける運動量の変化の大きさの総量 Δ p を,p ,θ ,ϕ を用いて表せ。また,その向きを,点O,A,B,Cのうち必要なものを用いて表せ。
(4) この微粒子が光から受ける力の大きさ f を,Q ,c ,θ ,ϕ のうち必要なものを用いて表せ。また,その向きを,点O,A,B,Cのうち必要なものを用いて表せ。
(5) 図3—2に示すように,OD間の距離を d ,微粒子の半径を r とする。角度 θ ,ϕ が小さいとき,設問Ⅰ(4)で求めた力の大きさ f を,Q ,c ,n ,r ,d のうち必要なものを用いて表せ。小さな角度 δ に対して成り立つ近似式 sin δ ≒ tan δ ≒ δ ,cos δ ≒ 1 を使い,最終結果には三角関数を含めずに解答すること。
図3—1
図3—2 (文字や補助線等を除き図3—1と同じ図である。)
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Ⅱ 図3—3,図3—4に示すように,強度(単位時間あたりのエネルギー)の等しい2本の光線が点Fで交わるよう光路を調整したうえで,設問Ⅰと同じ微粒子を,それぞれ異なる位置に置いた。いずれの図においても,入射光が鉛直線(上下方向)となす角度は2本の光線で等しく,2本の光線と微粒子の中心Oは同一平面内にある。微粒子は固定されており,動かない。以下の設問に答えよ。力の向きについては,設問の指示に従って,力が働く場合は図3—3の左側に図示した上下左右のいずれかを解答し,力が働かない場合は「力は働かない」と答えること。
(1) 図3—3に示すように,微粒子の中心Oが点Fと一致しているとき,微粒子が2本の光から受ける合力の向きとして最も適切なものを「上」「下」「左」「右」「力は働かない」から選択せよ。
(2) 図3—4に示すように,微粒子の中心Oが点Fの下にあるとき,微粒子が2本の光から受ける合力の向きとして最も適切なものを「上」「下」「左」「右」「力は働かない」から選択せよ。点Fは微粒子の内部にあり,OF間の距離は十分小さいものとする。
(3) 設問Ⅱ(2)において,OF間の距離を Δ y とするとき,微粒子が2本の光から受ける合力の大きさ f ′ と Δ y の間の関係について,最も適切なものを以下のア~エから選択せよ。なお,微粒子の半径 r と比べて Δ y は小さく,設問Ⅰ(5)の近似が本設問でも有効である。図3—4は,Δ y の大きさが誇張して描かれているので注意すること。
ア:f ′ は Δ y によらず一定である。
イ:f ′ は Δ y に比例する。
ウ:f ′ は ( Δ y ) 2 に比例する。
エ:f ′ は Δ y に反比例する。
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図3—3
図3—4
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Ⅲ 図3—5に示すように,水平に置かれた薄い透明な平板の上方,高さ r の位置にある点Fで,強度の等しい2本の光線(光線1,光線2)が交わるよう光路を調整したうえで,設問Ⅰ,Ⅱと同じ,半径 r の微粒子を置いた。微粒子は常に平板と接触しており,微粒子と平板の間に摩擦はないものとする。微粒子には,外部から右向きに大きさ f 0 の力が働いており,この力と,2本の光線から受ける力が釣り合う位置で微粒子は静止している。すなわち,この微粒子は,光によって捕捉されている。OF間の距離は Δ x とし,点Fは,微粒子の内部,中心O付近にある。また,入射光が鉛直線となす角度 α は2本の光線で等しく,2本の光線と点Oは同一平面内にある。平板は十分薄く,平板による光の屈折や反射,吸収は考えない。光が微粒子に入射する際の入射角 θ は2本の光線で等しく,それに対する屈折角を ϕ とする。微粒子や平板の変形は考えない。
(1) 図3—5に示すように,光線1が微粒子に入射する点を点Aとし,微粒子の中心Oから微粒子内の光線1の上に降ろした垂線の長さを d とする。また,図3—6に示すように,点Oから直線AFに降ろした垂線の長さを h とする。h および d を,Δ x ,n ,α のうち必要なものを用いて表せ。
(2) ここで用いた2本の光線は,それぞれ,単位時間あたり Q のエネルギーをもって,光源から射出されていた。入射角 θ や屈折角 ϕ が小さく,設問Ⅰ(5)と同じ近似が成り立つとして,2本の光線が微粒子に及ぼす合力の大きさ f ′ を,Q ,c ,n ,r ,α ,Δ x を用いて表せ。ただし,θ と ϕ は十分小さいため,α ± ( θ − ϕ ) ≒ α と近似でき,合力の向きは水平方向とみなすことができる。
(3) n = 1.5 ,r = 10 μ m ( = 1 × 10 − 5 m ) ,Q = 5 m W ( = 5 × 10 − 3 J / s ) ,α = 45 ∘ としたところ,Δ x = 1 μ m ( = 1 × 10 − 6 m ) であった。このとき,外部から微粒子に加えている力の大きさ f 0 を,有効数字1桁で求めよ。真空中の光の速さは c = 3 × 10 8 m / s である。図3—5,図3—6は,α や Δ x 等の大きさが正確ではないので注意すること。
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図3—5
図3—6 (文字や補助線等を除き図3—5と同じ図である。)
第1問 ブランコ ― 飛び降りる・立ってこぐ 出題の意図(東大) 【物体の運動】物体の運動に関する基本的な理解、さまざまな保存則の理解を問うています。ブランコの運動を題材にとり、物理法則を適切に用いる柔軟な思考力を求めています。また身近な現象に物理法則を適用し定量的に理解する力も問いました。
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 ブランコを「支点 O から長さ ℓ の糸でつるした質点」と考える問題。使う考え方は、力学的エネルギーの保存 、運動量の保存 (飛び降りる瞬間)、そして面積速度の保存 (立ち上がる瞬間)。
Ⅰは基本のふり子。Ⅱは2人で乗って、一番下で1人が飛び降りる。Ⅲが本題で、「ブランコをこぐ」とはどういうことかを考える。一番下で立ち上がると、糸が急に短くなり、支点のまわりの面積速度(角運動量)は変わらないので、速さがふえる。人の足が仕事をして、ブランコにエネルギーを足しているのがこぐことの正体。
Ⅲでは角度が小さいとして cos θ ≈ 1 − θ 2 2 を使う。すると、ふれ幅の2乗がエネルギーに比例する形になり、計算が簡単になる。
Ⅰ ア 支点 O を位置エネルギーの基準(0)にする。角度 θ 0 のとき、質点は O より ℓ cos θ 0 だけ低い所にあるので、位置エネルギーは − m g ℓ cos θ 0 。静かに放すので運動エネルギーは 0。力学的エネルギーは、この位置エネルギーだけ。
Ⅰ イ 角度 θ では、質点は O より ℓ cos θ 低い所にあり、速さは u 。力学的エネルギーは、運動エネルギー 1 2 m u 2 と位置エネルギー − m g ℓ cos θ の和。
Ⅰ ウ 糸の張力はいつも運動の向きに垂直で仕事をしないので、力学的エネルギーは保存する。アとイを等しいとおくと
1 2 m u 2 = m g ℓ ( cos θ − cos θ 0 )
これを u について解くと答えになる。一番下(θ = 0 )で一番速い。
Ⅱ(1) A が飛び降りる瞬間は、A が B(ブランコ)をける力は内力なので、2人の水平方向の運動量の合計は変わらない(糸の張力は一番下では真上向きで、水平方向の力にならない)。
飛び降りる前は2人いっしょに v 0 、あとは A が v A 、B が 0:
( m A + m B ) v 0 = m A v A + m B × 0
2人分の運動量を A がひとりで持っていくので、A は v 0 より速く飛び出す。
Ⅱ(2) 飛び降りる直前の速さは、Ⅰ ウで θ = 0 として v 0 = 2 g ℓ ( 1 − cos θ 0 ) 。
A は高さ h (一番下の点は、地面から ( ℓ + h ) − ℓ = h )から水平に飛び出すので、地面に着くまでの時間は 2 h g 。そのあいだに水平に進む距離が G G ′ :
G G ′ = v A 2 h g = m A + m B m A 2 g ℓ ( 1 − cos θ 0 ) 2 h g
数値は m A = m B で係数 m A + m B m A = 2 、ℓ h ( 1 − cos θ 0 ) = 2.0 × 0.30 × 0.15 = 0.090 で、その平方根は 0.30 m。
答え G G ′ = 2 ( m A + m B ) m A ℓ h ( 1 − cos θ 0 ) , G G ′ = 1.2 m
Ⅲ(1) 立ち上がった直後(角度 θ ′ 、長さ ℓ − Δ ℓ 、速さ v ′ )から、止まる角度 − θ ″ まで、力学的エネルギーが保存する(長さはもう変わらない):
1 2 m v ′ 2 − m g ( ℓ − Δ ℓ ) cos θ ′ = − m g ( ℓ − Δ ℓ ) cos θ ″
cos θ ≈ 1 − θ 2 2 を使うと、cos θ ′ − cos θ ″ ≈ ( θ ″ ) 2 − ( θ ′ ) 2 2 なので
v ′ 2 = g ( ℓ − Δ ℓ ) { ( θ ″ ) 2 − ( θ ′ ) 2 }
これを ( θ ″ ) 2 について整理すると答えになる。
Ⅲ(2) 立ち上がる直前の速さ v は、長さ ℓ のふり子で θ 0 から θ ′ まで来たときの速さなので、Ⅰ ウに小さい角の近似を使って
v 2 = g ℓ { θ 0 2 − ( θ ′ ) 2 }
面積速度が一定という式 ( ℓ − Δ ℓ ) v ′ = ℓ v から v ′ = ℓ ℓ − Δ ℓ v 。糸が短くなると、そのぶん速くなる(フィギュアスケートで腕をたたむと速く回るのと同じ)。
v ′ 2 g ( ℓ − Δ ℓ ) = ℓ 2 ( ℓ − Δ ℓ ) 2 · g ℓ { θ 0 2 − ( θ ′ ) 2 } g ( ℓ − Δ ℓ )
答え ( θ ″ ) 2 = ( θ ′ ) 2 + ( ℓ ℓ − Δ ℓ ) 3 { θ 0 2 − ( θ ′ ) 2 }
Ⅲ(3) Ⅲ(2) の式を ( θ ′ ) 2 について並べなおすと
( θ ″ ) 2 = ( ℓ ℓ − Δ ℓ ) 3 θ 0 2 − { ( ℓ ℓ − Δ ℓ ) 3 − 1 } ( θ ′ ) 2
ℓ ℓ − Δ ℓ > 1 なので、( θ ′ ) 2 の前の係数は負。だから ( θ ′ ) 2 が小さいほど θ ″ は大きく、一番大きいのは θ ′ = 0 、つまり一番下で立ち上がる とき。
一番下は一番速いところなので、面積速度一定で速さをふやす効果が一番大きい。止まりかけの端で立っても、速さはほとんどふえない。
Ⅲ(4) θ n − 1 から長さ ℓ で動き出し、一番下(θ = 0 )で立ち上がる。Ⅲ(3) と同じで、ふれ幅は ( ℓ ℓ − Δ ℓ ) 3 / 2 倍になって θ n 。長さ ℓ − Δ ℓ のまま往復して、反対側の θ n で止まる(エネルギーは保存)。
そこでしゃがむが、止まっている瞬間なので速さは 0 のまま、角度も θ n のまま変わらない。つまり、しゃがんでもふれ幅は減らない。だから1サイクルごとに、ふれ幅は同じ割合 ( ℓ ℓ − Δ ℓ ) 3 / 2 でふえる。n 回くり返すと、その n 乗になる。
Ⅲ(5) Ⅲ(4) から θ N θ 0 = ( 1 0.9 ) 3 N / 2 ≥ 2 。常用対数をとると
3 N 2 × ( − log 10 0.9 ) ≥ log 10 2
3 2 N × 0.046 ≥ 0.30 ⟹ N ≥ 4.35
N は整数なので、これを満たす一番小さい整数が答え。糸を1割短くするだけで、数回こげばふれ幅が2倍になる。
答え N = 5 ( 3 2 N × 0.046 ≥ 0.30 より N ≥ 4.35 )
第2問 板を差しこんだコンデンサーとコイル 出題の意図(東大) 【電荷分布と電気振動】静電気の基本的な性質の理解と、状況変化に応じた電荷移動やエネルギー収支について全体を俯瞰して把握する応用力を問うています。電気振動については電荷の振動の中心がゼロではないため、特徴的な時刻における電荷分布を注意深く考察する必要があります。
東大の解答例(選ぶ問題だけ) Ⅱ(1):ア 0 イ 2 Ⅲ(3):ウ −2 下の答えと全部一致
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 平行な金属板 A・B のあいだに、金属板 C・D を差しこんでいくコンデンサーの問題。使う考え方は、導線でつながった板は同じ電位 、電場のあるすきまは、それだけでコンデンサー(電気容量は「誘電率 × 面積 ÷ すきま」) 、そしてエネルギーの収支(外力の仕事+電源の仕事=静電エネルギーのふえた分) 。
A と同じ電位の板がすきまをふさぐと、そのすきまには電場が無くなる。だから「電場のあるすきまはどこか」を見れば、容量もエネルギーもすぐ出る。
Ⅱで導線をはずすと、C と D はまわりから切りはなされ、電荷が閉じこめられる 。Ⅲでコイルにつなぐと電気振動が起きるが、閉じこめた電荷が「電池を1こ入れた」のと同じはたらきをして、ゆれの真ん中が 0 からずれる。
Ⅰ(1) 平行板コンデンサーの電気容量は、面積に比例し、すきまに反比例する:「誘電率 × 面積 ÷ すきま」。板のあいだの電場は V d 、板の電荷はガウスの法則から ϵ S × V d で、これが C 0 V 。
Ⅰ(2) C は導線で A とつながっているので、A と C は同じ電位。だから A と C のすきまには電場が無く、電荷もたまらない。電場があるのは C と B のすきま(間隔 d − x )だけで、そこに電圧 V がかかる。
このすきまの電気容量は ϵ S d − x なので、静電エネルギーは
1 2 · ϵ S d − x V 2
Ⅰ(3) C を A に近づけると、C と B のすきまは d − x から 3 d 4 に広がる (x > d 4 なので)。電圧 V は一定のまま、容量が減るので、電荷とエネルギーが減る。
容量は C 0 d d − x から 4 3 C 0 に変わるので、静電エネルギーの変化は
Δ U = 1 2 C 0 V 2 ( 4 3 − d d − x )
電源の仕事は「電圧 × 送り出した電荷」で W 0 = V Δ Q = C 0 V 2 ( 4 3 − d d − x ) = 2 Δ U 。ここでは電荷が電源にもどるので、W 0 は負。
エネルギーの収支 W + W 0 = Δ U から、W = Δ U − W 0 = − Δ U となり、整理すると答えになる。W は正で、C が B に引かれる力に逆らって C を引きもどす仕事。電圧一定のとき、電源の仕事はいつも静電エネルギーの変化の2倍になるので、W と W 0 の比は x によらない。
答え W = 4 x − d 6 ( d − x ) C 0 V 2 , W = − 1 2 W 0
Ⅱ(1) D を差しこんで C とつなぐと、A・C・D はすべて同じ電位(導線 a と b でつながっている)。電場があるのは D と B のすきまだけで、その間隔は d − d 4 − d 4 = d 2 。
A と C のすきまには電場が無いので、A の電荷は 0。B の電荷は、D と B のすきまのコンデンサー(容量 ϵ S d / 2 = 2 C 0 )に電圧 V がかかった分で、− 2 C 0 V 。
このあと導線 a をはずすと、C と D はまわりから切りはなされ、C と D の電荷の合計 + 2 C 0 V が閉じこめられる。
Ⅱ(2) A の電荷を q とする。C と D は同じ電位なので、C と D のあいだに電場は無い。ガウスの法則から、すきまの電場は上から順に
A と C のあいだ(間隔 d 4 、容量 4 C 0 ):電荷 q による電場。電圧は q 4 C 0 。
D と B のあいだ(間隔 d 2 、容量 2 C 0 ):A の q と、閉じこめた 2 C 0 V の和による電場。電圧は q + 2 C 0 V 2 C 0 。
q 4 C 0 + q + 2 C 0 V 2 C 0 = α V
これを解くと q = 4 3 ( α − 1 ) C 0 V 。V 1 は A と C のあいだの電圧、V 2 は D と B のあいだの電圧なので、それぞれに入れると答えになる。α = 1 なら何も起きない(V 1 = 0 )。
Ⅲ(1) コイルにつなぐと、A と B のあいだの電気容量は、2つのすきまを直列につないだもの:
1 C = 1 4 C 0 + 1 2 C 0 ⟹ C = 4 3 C 0
(間隔 d 4 + d 2 = 3 d 4 の1つのコンデンサーと同じ。)
閉じこめた電荷は、電圧に一定の値を足すだけで、ゆれの速さには効かない。だから周期は、ふつうの電気振動と同じ T = 2 π L C 。
Ⅲ(2) t = 0 の直前まで、A と B のあいだには電源の電圧 2 V がかかっていた。つなぎかえた瞬間は、板の電荷はまだ変わっていないので、A と B のあいだの電圧は 2 V のまま。コイルの両端の電圧もこれと同じ。
コイルの電圧は L Δ I Δ t 。t = 0 では、問題文の式から Δ I Δ t = I 0 2 π T なので
L · I 0 2 π T = 2 V
Ⅲ(3) Ⅱ(2) と同じ考え方で、A の電荷が Q 3 のとき、A と B のあいだの電圧は
Q 3 4 C 0 + Q 3 + 2 C 0 V 2 C 0 = 3 Q 3 4 C 0 + V
電流が一番大きい t = T 4 (sin が 1)では、電流の変化が 0 でコイルの電圧も 0。だから上の電圧が 0 で、Q 3 = − 4 3 C 0 V 。B の電荷は − ( Q 3 + 2 C 0 V ) なので、Q 4 = Q 3 + 2 C 0 V = 2 3 C 0 V 。この比がウ。
Q 3 は、真ん中 − 4 3 C 0 V のまわりを周期 T でゆれる。t = 0 では Q 3 = 4 3 C 0 V (Ⅱ(2) で α = 2 )なので、ゆれ幅は 8 3 C 0 V :
Q 3 = − 4 3 C 0 V + 8 3 C 0 V cos 2 π t T
Q 3 = 0 は cos 2 π t T = 1 2 のときで、0 < t < T にこれを満たす時刻が2つある。
Ⅲ(4) E = Q 3 2 2 · 4 C 0 + ( Q 3 + 2 C 0 V ) 2 2 · 2 C 0
t = 0 の Q 3 = 4 3 C 0 V 、t = T 4 の Q 3 = − 4 3 C 0 V をそれぞれ入れると E 1 、E 2 が出る。
t = T 4 では電流が I 0 で一番大きく、コイルに 1 2 L I 0 2 のエネルギーがある。回路に抵抗は無いので、エネルギーの合計は保存する。コイルのエネルギーがふえた分だけ、静電エネルギーが減っている。I 0 = V T π L と T 2 = 16 π 2 L C 0 3 を使って 1 2 L I 0 2 を計算すると、E 1 − E 2 とちょうど同じになることも確かめられる。
答え E 1 = 3 C 0 V 2 , E 2 = 1 3 C 0 V 2 , Δ E = − 1 2 L I 0 2
Ⅲ(5) 電源の電圧が α V のとき、Ⅲ(3) と同じように考えると、Q 3 のゆれの真ん中は、電圧 3 Q 3 4 C 0 + V が 0 になる − 4 3 C 0 V で、α によらない 。はじめ(t = 0 )の Q 3 = 4 3 ( α − 1 ) C 0 V は真ん中より上なので、Q 3 は山から始まって、周期 T で1往復する。
− Q 4 = − ( Q 3 + 2 C 0 V ) は、Q 3 を上下ひっくり返して 2 C 0 V ずらしたもの。ゆれの真ん中は − 2 3 C 0 V で、Q 3 の真ん中より上にあり、谷から始まる。
「どちらも周期 T で1往復、Q 3 (点線)は山から・− Q 4 (実線)は谷から始まり、点線の真ん中が実線の真ん中より下にある」という形の図を選ぶ。これにあてはまるのが④。①と②ははじめが山・谷ではなく途中から始まり、③は点線の真ん中が 0 より上、⑤と⑥は 0 から T のあいだに2往復している。閉じこめた電荷が、電池のように、ゆれの真ん中を 0 からずらしている。
第3問 光ピンセット ― 光で小さな粒をつかむ 出題の意図(東大) 【光の性質と光が及ぼす力】光による微粒子の捕捉という一見非自明な物理現象に対しても、その全体像を把握し、光の屈折、光子のエネルギーと運動量、運動量変化と力積の関係など、さまざまな法則を適切に組み合わせることで、現象を正確に理解する能力を問うています。本問を通して、こうした現象が実在すること、科学技術の基盤に物理学の基本原理があることを実感してもらうことで、基礎物理学と科学技術の両面に関心を深めてもらうことも願っています。なお、設問Ⅱ(3)については、正確な導出には設問Ⅲと類似の計算が必要ですが、点 O と点 F の上下の関係に応じて f' がどう変わるべきかを考察すれば正答でき、数式と現象を結び付けて考える力を試しています。
東大の解答例(選ぶ問題だけ) Ⅱ(1):力は働かない Ⅱ(2):上 Ⅱ(3):イ 下の答えと全部一致
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 光ピンセット(レーザー光で小さな粒をつかむ技術)のしくみを考える問題。光は運動量を持つ光子の流れで、粒を通りぬけるときに屈折して向きが変わる。光の運動量が変わった分だけ、粒は反対向きの力積を受ける(作用・反作用)。
使う考え方は、屈折の法則 、光の運動量 p = E c 、運動量の変化と力の関係 。屈折率が 1 より大きい粒は、凸レンズのように光を中心側へ曲げるので、その反作用で粒は「光の通り道の側」へ引き寄せられる。
Ⅱ・Ⅲでは、2本の光を1点 F で交わらせる。粒の中心が F からずれると、ずれを戻す向きの力がはたらき、ずれに比例する。つまり粒は、ばねでつながれたように F のそばにつかまえられる。
Ⅰ(1) 真空(屈折率 1)から屈折率 n の粒に入るので、屈折の法則は「屈折率 × sin(角度)」が境目の両側で等しい:1 × sin θ = n sin ϕ 。
Ⅰ(2) 光源は1秒あたり Q のエネルギーを出すので、時間 Δ t のあいだに出るエネルギーは E = Q Δ t 。真空中では p = E c なので、これを入れるだけ。問題文にある n は、真空中の運動量には入ってこない。
Ⅰ(3) 光は、入るとき(点 A)に θ − ϕ だけ曲がり、出るとき(点 B)にも同じ角度 θ − ϕ だけ同じ側へ曲がる。だから入る前と出た後で、光の向きは合わせて 2 ( θ − ϕ ) 変わる。
運動量の大きさ p は変わらず、向きだけが 2 ( θ − ϕ ) 変わるので、変化の大きさは、二等辺三角形の底辺の長さ:
Δ p = 2 p sin 2 ( θ − ϕ ) 2
入る光と出る光は直線 OC について対称なので、運動量の変化は OC の向き。光は中心 O の側へ曲がるので、向きは C から O へ。
答え Δ p = 2 p sin ( θ − ϕ ) , 向き:C から O
Ⅰ(4) 粒が光から受ける力積は、光の運動量の変化と大きさが同じで向きが逆。だから力の向きは O から C(光の通り道の側)。
力の大きさは、1秒あたりの力積なので Δ p Δ t 。Ⅰ(2)・Ⅰ(3) から
f = 2 Q Δ t sin ( θ − ϕ ) c Δ t
答え f = 2 Q c sin ( θ − ϕ ) , 向き:O から C
Ⅰ(5) 粒の中を通る光(弦 AB)と中心 O の距離が d 。点 A で半径 OA と弦 AB のなす角が屈折角 ϕ なので、d = r sin ϕ ≈ r ϕ 。
sin ( θ − ϕ ) ≈ θ − ϕ ≈ ( n − 1 ) ϕ ≈ ( n − 1 ) d r
これを Ⅰ(4) に入れると答えになる。力は、光の通り道が中心からずれている距離 d に比例する。
Ⅱ(1) 中心 O が F と一致しているとき、2本の光はどちらも粒の中心を通る。中心を通る光は、球の面にまっすぐ(入射角 0 で)入って出るので、曲がらない。
光の向きが変わらないので運動量も変わらず、粒は力を受けない。ここがつり合いの位置になる。
Ⅱ(2) O が F の少し下にあると、2本の光は O の少し上(F のあたり)を通る。Ⅰ(4) から、それぞれの光は粒を「O から光の通り道の側」へ引く。どちらの光も O より上側を通っているので、2つの力はどちらも上向きの成分を持つ。
2本の光は左右対称に入っているので、左右の成分は打ち消し合い、上向きの成分だけが残る。だから合力は上向き、つまり F のほうへ引きもどす向き。
Ⅱ(3) O から各光線までの距離 d は、ずれ Δ y に比例する(光が鉛直となす角を α とすると、Δ y sin α 程度)。Ⅰ(5) より、1本の光の力は d に比例し、合力の上向き成分も同じ割合で大きくなる。
だから f ′ は Δ y に比例する。ずれに比例して引きもどす力なので、ばねと同じ形で粒がつかまえられる。
Ⅲ(1) h :光線1は、点 F を通り、鉛直と角度 α をなす直線。O は F から水平に Δ x ずれている。水平に Δ x ずれた点から、鉛直と α をなす直線までの距離は、Δ x のうち直線に垂直な成分で Δ x cos α 。
d :光線が粒に入る直線と O の距離 h は r sin θ 、粒の中の光線と O の距離 d は(Ⅰ(5) と同じく)r sin ϕ 。屈折の法則 sin θ = n sin ϕ から
d = r sin ϕ = r sin θ n = h n
Ⅲ(2) 1本の光の力は、Ⅰ(5) より 2 Q ( n − 1 ) d c r で、Ⅲ(1) の d = Δ x cos α n を入れる。
この力は光線にほぼ垂直で、光線は鉛直から α 傾いているので、力は水平から α 傾いている。水平成分は cos α 倍。2本の光で、たての成分は打ち消し合い、水平成分は同じ向き(F の側)に足される:
f ′ = 2 × 2 Q ( n − 1 ) c r · Δ x cos α n × cos α
cos α が2回かかるので、光を立てる(α を小さくする)ほど、横にしっかりつかめる。
Ⅲ(3) 粒は止まっているので、外から引く力 f 0 と光の力 f ′ がつり合っている:f 0 = f ′ 。Ⅲ(2) の式に数値を入れる:
f 0 = 4 × 5 × 10 − 3 × 0.5 × 1 × 10 − 6 × 1 2 1.5 × 3 × 10 8 × 1 × 10 − 5
5 mW という弱い光でも、およそピコニュートン(10 − 12 N)の力で、10 µm ほどの粒をつかまえられる。
答え f 0 = 1 × 10 − 12 N ( 1.1 × 10 − 12 )