東大 過去問 2015年 生物|AI解答・解説・シミュレーション|アトリエファクトリー

東大理系科目 AI解答・シミュレーション‹ 東大生物 2015‹ 生物2015

このページの出典

東京大学 第2次学力試験(前期)2015年 理科「生物」(東京大学がかつて公開したPDFの Internet Archive 保存版)

問題・出題の意図・東京大学の解答例(東京大学の公表資料)

東京大学の利用規定について

東京大学は、入試問題と出題の意図・解答の2次利用について「東京大学第2次学力試験入学試験問題等の2次利用について」(令和6年7月1日改定)で条件を定めている。このサイトでの対応は次のとおり。

解答とシミュレーション(AIで作成)

制作

制作:アトリエファクトリー(aTELiER FACTORY) https://atelierfactory.jp/

修正履歴

お知らせ(2026年10月4日)

解答・解説・シミュレーションは、すべて Claude Opus 5.5 で作成しています。作ったあとの確かめ方は、科目によって違います。

どの科目も、東京大学が公表した解答ではありません。くわしくは「問題取得方法と回答生成方法」をご覧ください。

— 36 —

生 物

第1問

 次の文1と文2を読み,ⅠとⅡの各問に答えよ。

〔文1〕

 体内の恒常性を維持することは,生物の生存にとって必要不可欠である。たとえば,水から離れた環境で生息する哺乳類にとっては,水や塩類をいかにして体内に保持するかが重要な課題である。腎臓は不要物質を体内から排出するだけでなく,体内の水・塩環境を整えることにも重要なはたらきをもつ。

 ヒトの腎臓では,まず腎小体において血しょう成分がろ過される。続いて,原尿が細尿管(腎細管)を通過する間に有用物質が 1 され,不要物質が濃縮され排出される。集合管を構成する細胞には脳下垂体後葉ホルモンであるバソプレシンの受容体が存在し,そこにバソプレシンが作用すると集合管の水に対する 2 が上昇し,1 を促進する。ヒトの糸球体で1日にろ過される血しょう量(糸球体ろ過量という)は150 L 以上にも及ぶが,1日に排泄される尿量は1〜2 L 程度である。

 腎臓で尿をつくる基本的な仕組みは魚類から哺乳類までで共通しているが,ネフロン(腎単位)の構造と機能は動物が生息する環境に応じて多様に変化している。たとえば一般的な硬骨魚類の場合,タイなど海水魚のネフロンと,キンギョなど淡水魚のネフロンには明確な違いが観察される。その違いのひとつが糸球体であり,海水魚の糸球体は一般に淡水魚の糸球体よりも小さい。これは,(ア)海水魚が糸球体ろ過を抑制しているためだと考えられる。海水魚のなかにはアンコウなどのように糸球体を消失した無糸球体腎をもつものもいる。

— 37 —

 海水魚がつくる尿と淡水魚がつくる尿の組成にも大きな違いがある。表1—1は,ある種の海水魚と淡水魚,ヒトについて,1日あたりの糸球体ろ過量,1日あたりの尿量と糸球体ろ過量の比,1日あたりのナトリウムイオン(Na+)の排出量とろ過量の比,ならびに尿の浸透圧と血しょうの浸透圧の比を示したものである。

表1—1 ヒト,淡水魚,海水魚の尿に関するデータ
表1—1 ヒト,淡水魚,海水魚の尿に関するデータ

(注) 体重1 kg あたりの量を示す。

— 38 —

〔文2〕

 哺乳類の生殖は多くのホルモンによって調節されている。そのひとつがオキシトシンとよばれるホルモンで,出産から保育にいたる様々な生殖活動に関わる。子宮平滑筋の収縮はオキシトシン作用のひとつであり,近年では性行動や社会的行動へのオキシトシンの影響も注目されている。以下の実験は,マウスのオキシトシン遺伝子を破壊(ノックアウト)して作用できなくし,その影響を見たものである。なお,オキシトシン遺伝子はマウスの常染色体に存在し,正常なオキシトシン遺伝子を OT,破壊されたオキシトシン遺伝子を ot と示す。母マウスと父マウスからそれぞれオキシトシン遺伝子をひとつずつ受け継ぐため,両親から正常なオキシトシン遺伝子を受け継いだ仔マウスの遺伝子型は OT/OT となる。また,実験に用いたマウスでは,オキシトシン以外の遺伝子に変異は生じていなかった。

実験1 ヘテロ接合体(OT/ot)とホモ接合体(ot/ot)を用いて4種類の交配実験を行った。妊娠が確認された後,雄を取り除いて雌だけで飼育した。表1—2は,各交配について10ペアから生まれた仔マウスの遺伝子型と,生まれてから24時間後での仔マウスの生存率を調べた結果である。どの交配でも,親マウスは正常な性行動,妊娠,分娩を示し,生まれた直後にはすべての仔マウスが生存していることを確認した。

— 39 —
表1—2 オキシトシン遺伝子ノックアウトマウスを用いた交配実験結果
表1—2 オキシトシン遺伝子ノックアウトマウスを用いた交配実験結果

—:この遺伝子型の仔マウスは存在しない。

実験2 正常マウスを用いてオキシトシンの産生部位を調べたところ,主要な産生部位は間脳視床下部の神経分泌細胞群であった。この細胞群は脳下垂体後葉から血液中へとオキシトシンを放出するほか,脳内の様々な部位に軸索を伸ばしていた。一方,マウスのオキシトシン受容体は1種類で,子宮や乳腺の平滑筋,社会的行動や性行動に関わるニューロンに存在した。

実験3 実験1に用いたすべての母マウスを調べたところ,妊娠中は巣作りを行い,出産後は仔マウスをなめる,巣に持ち運ぶ,うずくまって授乳しようとするなど,その保育行動に違いは見られなかった。

— 40 —

〔問〕

Ⅰ 文1について,以下の小問に答えよ。

A 空欄1と2に適切な語句を入れよ。

B 恒常性や水分調節に関する(a)〜(d)の文で,正しくないものをすべて選び,正しくない理由をそれぞれ1行程度で述べよ。

(a) 血液を介して必要成分の供給や老廃物の回収を行うことで,ヒトの体を構成する各細胞の恒常性は維持される。

(b) ヒトの心臓では左心室の壁は右心室よりも厚く筋力も大きいが,これは左心室が酸素に富む血液を体循環へと送り出すためである。

(c) 糖尿病患者では,血糖濃度が高いために腎臓でグルコースを分泌し,その結果としてグルコースが尿中に排出される。

(d) 植物の水分環境維持においては,水分が過剰になるとアブシシン酸が合成されて濃度が高まり,孔辺細胞の水が排出されて気孔が閉じる。

C ナトリウムポンプとナトリウムチャネルに関する以下の文章の空欄3〜11にあてはまる適切な語句を,以下の選択肢①〜⑫から選べ。なお,選択肢①〜⑫は繰り返し使用してもよい。解答は,「3—①,4—②,」のように書くこと。

 ナトリウムポンプは 3 を加水分解した際に得られるエネルギーを利用し,4 に 5 を細胞外へ,6 を細胞内へと輸送する。一方,ナトリウムチャネルは,濃度勾配に 7 ナトリウムイオンを輸送する。ナトリウムイオンの濃度は 8 よりも 9 の方が高い。したがって,ナトリウムチャネルを介して 10 から 11 へとナトリウムイオンが移動する。

① 能動的

② 受動的

③ cAMP(環状 AMP)

④ ATP

⑤ 逆らって

⑥ したがって

⑦ ナトリウムイオン

⑧ カルシウムイオン

⑨ カリウムイオン

⑩ タンパク質

⑪ 細胞内

⑫ 細胞外

— 41 —

D 表1—1に示した淡水魚と海水魚の血しょう中のナトリウムイオン濃度はそれぞれ140 ミリ mol/L と150 ミリ mol/L であった。表1—1の値をもとに,それぞれの尿中のナトリウムイオン濃度を答えよ。解答はミリ mol/L の単位で表し,四捨五入して小数点第1位まで記せ。

E 表1—1から,ヒトと淡水魚では,細尿管(ここでは集合管も含めるものとする)の機能に大きな違いがあることがわかる。細尿管における水とナトリウムイオンの 1 について,それぞれ1行程度で答えよ。

F 下線部(ア)について。海水魚は,体内に過剰となるナトリウムイオンを主として鰓の塩類細胞から排出している。腎臓でも尿をつくることでナトリウムイオンが排出されるが,実際には糸球体ろ過量ならびに尿量は少ない。恒常性維持の観点から,海水魚が糸球体ろ過量ならびに尿量を抑制する理由について,表1—1にある数値を根拠として2行程度で説明せよ。

Ⅱ 文2について,以下の小問に答えよ。

A 表1—2に示した交配実験の結果から,父,母,仔それぞれの遺伝子型が仔マウスの24時間後の生存率に与える影響について2行以内で述べよ。

B 実験1〜3の結果から,仔マウスが生後24時間以内に死亡してしまう原因は何だと考えられるか。以下の選択肢(1)〜(6)からもっとも適切だと考えられるものを1つ選べ。また,もっとも適切だと考えた理由について2行程度で説明せよ。

(1) 仔マウスが乳を消化・吸収できなかった。

(2) 仔マウスが腎臓から老廃物を排出できなかった。

(3) 母マウスが腎臓から老廃物を排出できなかった。

(4) 母マウスが低体温であった。

(5) 母マウスから乳が出なかった。

(6) 父マウスの保育行動が不足していた。

C Bで導き出した理由を仔マウスを用いて確かめるとしたら,どのような実験を追加したらよいか。実験と期待される結果を1行程度で答えよ。

— 44 —

第2問

 次の文1と文2を読み,ⅠとⅡの各問に答えよ。

〔文1〕

 アブラナ科植物の多くは,(ア)同一個体の配偶子間の受精(自家受精)を防ぐために,同一個体の花粉が柱頭に受粉した際に花粉の発芽を阻害する自家不和合性と呼ばれる仕組みをもっている。この仕組みは,花粉表面に存在する雄性因子(タンパク質 X)が,柱頭の細胞表面に存在する雌性因子(受容体タンパク質 Y)に結合することにより発動する。タンパク質 X と Y をつくる遺伝子は,それぞれ1つである。同じ植物種であってもタンパク質 X と Y にはそれぞれアミノ酸配列の違う複数のタイプが存在し,タンパク質 X と Y の組み合わせは,株(遺伝的に同一な集団)ごとに異なっている。また,通常は同じ株がつくるタンパク質 X と Y の組み合わせに限り両者は結合可能である。

 アブラナ科に属する植物種 A は,タンパク質 X と Y による自家不和合性反応のため,自家受精することができない。一方,A 種の近縁種 B は,タンパク質 X と Y の遺伝子をもっているが,自家不和合性は示さず,自家受精が可能である。また,A 種にも B 種にも複数の株が存在し,A 種の特定の株と B 種の特定の株の間で人工的に交配した際に,花粉が発芽するかどうかはタンパク質 X と Y が結合するかどうかによって決まる。植物種 A と B を用いて以下のような実験を行った。なお,実験に用いた A 種ならびに B 種のすべての株は,特殊な操作によって,タンパク質 X と Y の遺伝子についてすべてホモ接合となるようにした。

— 45 —

実験1 A 種の2種類の株(A1株,A2株)のそれぞれの花粉を,B 種の3種類の株(B1株,B2株,B3株)の柱頭に対しすべての組み合わせで受粉する実験を行った。その結果,A1株の花粉は B1株,B3株の柱頭では発芽したが,B2株の柱頭では発芽しなかった。一方,A2株の花粉は B 種のすべての株の柱頭で発芽した(図2—1)。

図2—1 実験1の交配結果
図2—1 実験1の交配結果

各株がもつタンパク質 X と Y それぞれのタイプを括弧内に示す。

— 46 —

実験2 実験1で花粉が発芽しなかった A1株と B2株の組み合わせについて,それぞれのタンパク質 X の mRNA(伝令 RNA)の塩基配列を比較した。その結果,両者の間で mRNA の長さに違いはなかったが,タンパク質をコードする領域内の4箇所で塩基の違いが見つかった。塩基の違いのある箇所を含む7塩基の配列を表2—1に示す。なお,配列の先頭位置は,mRNA 中の翻訳開始コドン AUG の A を1として数えた位置である。

表2—1 A1株とB2株に由来するタンパク質 X の mRNA 塩基配列の比較
表2—1 A1株とB2株に由来するタンパク質 X の mRNA 塩基配列の比較

※:塩基の違いがある箇所の7塩基を示す。

表2—2 遺伝暗号表
表2—2 遺伝暗号表
— 47 —

実験3 花粉の表面に A1株由来のタンパク質 X をつくらせる人工遺伝子を作製し,形質転換によって B2株に導入した(形質転換株)。形質転換株は,その後の操作によって人工遺伝子がホモ接合になるようにし,形質転換株のすべての花粉表面に A1株のもつタンパク質 X が存在することを確認した。この形質転換株と B2株(野生型株)を用いて,相互に交配する実験を行った(表2—3)。

表2—3 実験3の交配結果
表2—3 実験3の交配結果

○:すべての花粉は発芽した。 ×:すべての花粉が発芽しなかった。

〔文2〕

 被子植物では,若いおしべの葯内において花粉母細胞から花粉四分子が形成され,花粉へと発生する。その後,花粉の成熟に伴い不等分裂が生じ,花粉管細胞と雄原細胞が形成される。さらに,花粉管が伸長する時期には,雄原細胞は体細胞分裂を一度行い,2個の精細胞が花粉管内につくられる。一方,めしべの胚珠の中では,(イ)胚のう母細胞が分裂を繰り返し,卵細胞を含む成熟した胚のうが形成される。

 柱頭で発芽した花粉からは花粉管が伸長し,助細胞から放出される花粉管誘引物質に導かれ,花粉管は珠孔へと到達する。その後,花粉管が胚のうへと進入する際には,1個の助細胞が崩壊し,2個の精細胞が胚のう内部に放出される。放出された2個の精細胞はそれぞれ,卵細胞,中央細胞と接合する。こうした受精様式を重複受精と呼ぶ。重複受精の結果,(ウ)卵細胞は胚へ,中央細胞は胚乳へと発達し,正常な種子形成が行われることになる。

— 48 —

 ある種子植物 C 種において,変異 m のヘテロ接合体から得られる花粉では,50 %の割合で花粉管内に2個の精細胞ではなく1個の精細胞に似た細胞がつくられる。こうした異常な細胞をもつ花粉管は,花粉管の内容物を放出するまでの過程に野生型との間で違いはみられないが,胚のう内に放出された精細胞に似た細胞は,卵細胞とも中央細胞とも接合することができず,正常な種子形成を開始することができない。C 種の野生型株と変異 m のヘテロ接合体を用いて,以下の実験を行った。

実験1 C 種の野生型株の柱頭に変異 m のヘテロ接合体から得た花粉を十分量受粉したところ,以下のような結果が得られた。

結果1 75 %の胚のうで重複受精が成立し,正常な種子形成が観察された。

結果2 重複受精が成立した胚のうの 67 %では,進入した花粉管が1本であった。また,残りの胚のうでは2本の花粉管の進入が観察された。

結果3 重複受精が不成立の胚のうでは,すべて2本の花粉管の進入が観察された。

実験2 あらかじめ助細胞の1つを破壊した C 種の野生型株の柱頭に,変異 m のヘテロ接合体の花粉を十分量受粉したところ,以下のような結果が得られた。

結果1 50 %の胚のうで重複受精が成立し,正常な種子形成が観察された。

結果2 すべての胚のうで,進入した花粉管は1本しか観察されなかった。

— 49 —

〔問〕

Ⅰ 文1について,以下の小問に答えよ。

A 下線部(ア)について。自家受精について述べた以下の文章(1)〜(3)から,間違っているものをすべて選べ。

(1) 自家受精しない植物種はハチなどの送粉者が他花に花粉を運んでくれるため,自家受精する植物種よりも確実に子孫を残すことができる。

(2) 自家受精する植物種と自家受精しない植物種がそれぞれ小さな個体群を形成している場合に,各個体群が孤立するような大きな環境変化が発生したとする。その際に,自家受精する植物種の方が,自家受精しない植物種よりも短期的に個体群が消滅するおそれが高い。

(3) 自家受精しない植物種の場合,自家受精する植物種よりも子孫の遺伝子型の多様性が高く,環境の変化に対応できる個体の存在する可能性が高くなる。

B 表2—1で示された mRNA 塩基配列の違いによって,B2株がつくるタンパク質 X は A1株が作るタンパク質 X に対して違いが生じる。両者の違いについて述べた以下の文章中の,空欄1〜5に当てはまる数字,アミノ酸名を表2—2を参照して答えよ。なお,A1株がつくるタンパク質 X は89アミノ酸からなることとする。

文章:B2株で作られるタンパク質 X は,A1株でつくられるタンパク質 X の 1 番目のバリンが 2 に,3 番目のセリンが 4 にそれぞれ置換され,タンパク質全長が A1株に比べてアミノ酸 5 個分短くなっている。

C 表2—3の空欄(a)について,花粉の発芽はどのようになると予想されるか。すべての花粉は発芽した,すべての花粉が発芽しなかった,半分の花粉は発芽した,の中から選べ。また,そのように予想した理由について,以下の語句をすべて用いて2行程度で記せ。

花粉,柱頭,雌性因子

— 50 —

D B2株では自家受精が可能なのはなぜか。以下の(1)〜(4)よりもっとも適切な理由を選択せよ。

(1) B2株ではタンパク質 X の機能が失われているため。

(2) B2株ではタンパク質 Y の機能が失われているため。

(3) B2株ではタンパク質 X と Y の機能がともに失われているため。

(4) B2株ではタンパク質 X と Y の機能がともに正常であるため。

E A 種において,タンパク質 X と Y による自家不和合性の仕組みが世代を超えて安定に保たれるためには,タンパク質 X と Y をつくるそれぞれの遺伝子が,染色体上でどのような位置関係にある必要があるか。また,そうした位置関係にあることによって,自家不和合性の仕組みが安定に保たれる理由も,あわせて2行程度で記せ。

Ⅱ 文2について,以下の小問に答えよ。

A 下線部(イ)について。(イ)の過程で卵細胞が作られるまでの,核あたりの DNA 量の変化をグラフに示せ。なお,グラフの横軸には時間経過を,縦軸には核あたりの DNA 量をとり,(イ)の過程が始まる前の時点における胚のう母細胞の核あたりの DNA 量を2とすること。

B 下記の植物種の中から重複受精をする植物種をすべて選べ。

イチョウ,イネ,エンドウ,ゼニゴケ,ソテツ,ワラビ

C 下線部(ウ)について。卵細胞,胚,胚乳それぞれの核相を記せ。なお,解答は「孔辺細胞:2n」のように記すこと。

— 51 —

D C 種の野生型株では,受精した胚のうに進入している花粉管は1本しか観察されない。実験1,2の結果をもとに,C 種の野生型株において花粉管が胚のうへ2本以上進入するのを防ぐ仕組みを考察した。以下の文章中の,空欄1〜3に当てはまる適切な語を入れよ。

考察:C 種の野生型株では,1本目の花粉管の胚のうへの進入により重複受精が成立する。この時 1 細胞からの 2 物質の放出が続くと,さらなる花粉管の胚のうへの進入が起きてしまう。これを防ぐために,重複受精が成立すると,1 細胞の機能を 3 する仕組みが存在する。

E 実験1の結果1について。75 %の割合で重複受精が成立する仕組みを3行程度で説明せよ。

— 52 —

第3問

 次の文1から文3を読み,ⅠからⅢの各問に答えよ。

〔文1〕

 地球上には,外観の異なるさまざまな生態系が存在する。陸域での純生産量は,気温や降水量で強く規定され,それに応じて森林や草原などが形成されている。一方,海洋では一般に海水中の栄養塩が乏しいため,窒素や 1 などの量が純生産量を決めている。

 生態系の特徴を示す代表的な尺度として,純生産量のほかに現存量がある。純生産量は生態系ごとに異なるが,現存量はしばしばそれ以上に異なっている。例えば,(ア)温帯草原の純生産量は,温帯落葉樹林の50 %ほどであるが,その現存量は温帯落葉樹林の5 %に過ぎない。

 また,純生産量のうちで消費者に消費される量も生態系間で大きく異なる。森林では純生産量の5 %が消費者に摂食されるのに対し,草原では25 %,大きな湖沼では50 %が摂食される。こうした違いは,生産者の特徴で説明できる。森林では,(イ)動物の多くが消化できない 2 やリグニンなどに富んだ物質が多く生産されるため,消費者に摂食される量が少ない。それに対し,大きな湖沼の生産者である植物プランクトンは,体をささえる支持組織が少なく体も小さいので,動物プランクトンによって摂食されやすい。

〔文2〕

 20世紀の後半以降,生物多様性の減少が顕著になっている。その原因はさまざまだが,草原生態系における種の多様性の減少要因としては,窒素肥料の使用量の増加や窒素化合物を含んだ降雨による土壌の富栄養化,そして野生動物の絶滅や著しい増加などが注目されている。

 そこで,ある草原において,土壌への窒素化合物の添加と草食獣が,植物群落に与える影響を調べる実験を行った。

— 53 —

実験1 野外において,以下の4種類の条件の実験区(各 5m×5m)を設けた。

実験区 a:草食獣の摂食が自由に行われる自然状態の区(対照区)。

実験区 b:窒素化合物を添加する以外は,実験区 a と同じ区(窒素添加区)。

実験区 c:草食獣が侵入できないように柵で囲った区(草食獣排除区)。

実験区 d:柵で囲って窒素化合物を添加した区(窒素添加+草食獣排除区)。

 実験区の設置1年後に,植物群落の現存量,種数,地面に届く光の強さを調べた。図3—1は,その結果を相対値で表したものである。

図3—1 それぞれの実験区における植物群落の現存量,種数,地面に届く光の強さ
図3—1 それぞれの実験区における植物群落の現存量,種数,地面に届く光の強さ

実験2 上記の実験では,自然状態での草食獣の密度はそれほど高いものではなかった。そこで,家畜を高密度に放牧した新たな実験区 e を作った。この実験区では,窒素化合物の添加は行っていない。その結果,1年後の植物の現存量は,図3—1の実験区 a(対照区)の値より減少したが,種数は実験区 c(草食獣排除区)と同程度になった。(ウ)しかし,実験区 e と実験区 c の種構成には大きな違いが見られた。

— 54 —

〔文3〕

 日本各地でみられる里山は,水田,雑木林,ため池などの組み合わせからなる複合的な生態系で,人間の管理によって長年維持されてきた。雑木林の木は,炭や薪などの燃料となり,落葉や下草は堆肥にして水田の肥料に使われてきた。また農業用のため池は,水田に水を供給する用途があった。しかし現在では,石油などの普及によりそうした営みが失われ,ササや陰樹的な常緑樹が優占する暗い林になっている。また,外来種の侵入という別の問題もある。特にため池にはさまざまな外来種が繁栄しており,在来の水生昆虫,水草,魚類などを著しく減少させている。

 外来種の問題を考えるには,まず,ため池の生態系の構造を明らかにする必要がある。図3—2は,ため池の食物網と生物どうしの関係を表している。ため池の生態系のエネルギー源は,ため池内で生産される植物プランクトンや水草による一次生産物に加え,周囲の雑木林から流入する落葉などの遺体有機物である。落葉はため池内の分解者に消費され,分解者は高次の消費者のエネルギー源になるからである。また水草には,水生昆虫や小魚に隠れ家や産卵場所を提供し,これら生物にとっての環境形成作用の役割もある。一方,ため池に侵入したオオクチバスは,魚類や甲殻類,昆虫を食べる捕食者であり,これら生物の個体数を減らしている。またアメリカザリガニは,昆虫,水草,そして落葉までも食べる雑食者であり,昆虫や水草の個体数を減らしている。

— 55 —
図3—2 ため池の生態系における生物間の相互作用
図3—2 ため池の生態系における生物間の相互作用

太枠の種は外来種を示す。植物プランクトンと動物プランクトンは省略している。

※は,58ページの〔問〕のⅢBを参照のこと。

— 56 —

〔問〕

Ⅰ 文1について,以下の小問に答えよ。

A 空欄1と2に適切な語を入れよ。

B 下線部(ア)について。温帯草原と温帯落葉樹林を比較したときに,現存量の違いの方が純生産量の違いよりも大きいのはなぜか。消費者による摂食以外の観点から,2行程度で述べよ。

C 下線部(イ)について。シロアリは,2 やリグニンを分解する酵素を合成できないが,これらを消化してエネルギーを得ることができる。その理由を1行で述べよ。

D 草原において,生産者の純生産量に対する一次消費者の純生産量の比率が2 %であったとする。このとき,一次消費者の排泄と代謝によって失われるエネルギー量の総和は,摂食したエネルギー量の何パーセントであったと考えられるか。小数点以下四捨五入で答えよ。

Ⅱ 文2について,以下の小問に答えよ。

A 実験1から,窒素化合物を添加すると植物の種数が減少することがわかった。下記の文は,その仕組みを考察したものである。文中の空欄3〜5に当てはまる語を入れよ。

考察:窒素化合物の添加により,植物の成長を制限している要因が,3 から 4 へと変化した。そのため,4 をめぐる 5 が激化し,5 に弱い種が排除され,種数が減少した。

B Aで考察した,窒素化合物の添加により種数が減少する効果は,草食獣がいると緩和されることが図3—1から読み取れる。緩和される理由について,2行程度で述べよ。ただし,草食獣による排泄物や遺体の影響は無視できるものとする。

— 57 —

C 実験2の下線部(ウ)について。種構成の違いについての説明として不適切なものを,以下の(1)〜(5)からすべて選べ。

説明:実験区 e では,

(1) トゲのある植物が多かった。

(2) 葉の柔らかい植物が多かった。

(3) 丈の高い植物が多かった。

(4) タンニンを多く含む植物が多かった。

(5) 成長の遅い植物が多かった。

Ⅲ 文3について,以下の小問に答えよ。

A 図3—2の無脊椎動物の系統関係は,下記のように表すことができる。a〜d に当てはまる生物名の組み合わせを,以下の(1)〜(6)から選べ。ただし,生物名の順番は a〜d の順番に対応している。

p57a

(1) ユスリカ,イトミミズ,トンボ,アメリカザリガニ

(2) ユスリカ,トンボ,アメリカザリガニ,イトミミズ

(3) ユスリカ,トンボ,イトミミズ,アメリカザリガニ

(4) ユスリカ,イトミミズ,アメリカザリガニ,トンボ

(5) トンボ,アメリカザリガニ,ユスリカ,イトミミズ

(6) トンボ,アメリカザリガニ,イトミミズ,ユスリカ

— 58 —

B 図3—2のため池でオオクチバスを駆除すると,長期的にはトンボの幼虫がさらに減少する可能性がある。そのようなことが起こるのは,オオクチバスの捕食がトンボの幼虫に与える直接的な負の影響(図の※で記した矢印)よりも,ある2つの間接的な正の影響の総和の方が強い場合である。その2つの影響について,それぞれ1行で答えよ。ただし,小魚やアメリカザリガニが,ユスリカの幼虫やイトミミズに与える影響は無視できるものとする。

C 在来の生物群集を復元するには,オオクチバスに加えてアメリカザリガニの影響を軽減する必要がある。しかし,アメリカザリガニは罠による駆除を試みても,個体数を十分減らすことは難しい。図3—2の相互作用をもとに,在来生物への影響がもっとも少ないと考えられる駆除以外の有効な方法を,その理由とともに2行程度で述べよ。ただし,オオクチバスは完全に駆除できていると仮定する。