東大 過去問 2014年 生物|AI解答・解説・シミュレーション|アトリエファクトリー

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東京大学 第2次学力試験(前期)2014年 理科「生物」(東京大学がかつて公開したPDFの Internet Archive 保存版)

問題・出題の意図・東京大学の解答例(東京大学の公表資料)

東京大学の利用規定について

東京大学は、入試問題と出題の意図・解答の2次利用について「東京大学第2次学力試験入学試験問題等の2次利用について」(令和6年7月1日改定)で条件を定めている。このサイトでの対応は次のとおり。

解答とシミュレーション(AIで作成)

制作

制作:アトリエファクトリー(aTELiER FACTORY) https://atelierfactory.jp/

修正履歴

お知らせ(2026年10月4日)

解答・解説・シミュレーションは、すべて Claude Opus 5.5 で作成しています。作ったあとの確かめ方は、科目によって違います。

どの科目も、東京大学が公表した解答ではありません。くわしくは「問題取得方法と回答生成方法」をご覧ください。

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生 物

第1問

 次の文1から文3を読み,ⅠとⅡの各問に答えよ。

〔文1〕

 カモノハシなどの 1 類やコアラなどの 2 類を除く大部分のほ乳類では,胎仔は胎盤を介して母体から供給される栄養分と酸素に依存して発育する。そのため,胎盤に深刻な異常が生じると,胎仔の発育は停止し死に至る。胎盤で母体の血液が胎仔血管に流れ込むことはなく,赤血球が母体の肺から胎仔の末梢組織へ酸素を直接届けることはできない。胎盤で胎仔が酸素を受け取ることができるのは,(ア)母体のもつ成体型ヘモグロビンと胎仔赤血球に含まれる胎仔型ヘモグロビンの酸素結合能が異なるおかげである。

〔文2〕

 マウスの初期胚発生では,胚盤胞期に胞胚腔が形成され,それを囲む栄養外胚葉と,内側に存在する内部細胞塊の,2つの細胞集団が現れる(図1—1)。成熟した胚盤胞が子宮の内壁に着床すると,栄養外胚葉の細胞は胎盤や胎膜を形成するが,胎仔の体細胞や生殖細胞には分化しない。一方,内部細胞塊からは胎盤細胞への分化は起こらず,胎仔の体をつくる三胚葉が派生する。さらに,中胚葉の一部の細胞が生殖細胞へと分化する。胚性幹細胞(ES 細胞)は内部細胞塊から樹立され,その分化能をよく保持している。

 また,マウスでは,2つの8細胞期胚を合わせて1つの胚にしたり,8細胞期胚と ES 細胞を合わせて胚に ES 細胞を取り込ませたりすることによって,遺伝的に異なる細胞が混在する個体(キメラとよばれる)をつくることができる。キメラにおける細胞の分布様式は,表1—1に示すように,用いる細胞の組合せによって異なる。

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図1—1 マウスの8細胞期から胚盤胞期までの発生を示した模式図
図1—1 マウスの8細胞期から胚盤胞期までの発生を示した模式図

桑実胚期には割球の境界が不明瞭になる。胚盤胞は内部構造を表すために,その断面図を示した。

表1—1 異なる細胞の組合せで作製されるキメラ
表1—1 異なる細胞の組合せで作製されるキメラ

(注1) 斜線部分が遺伝的に異なる2種類の細胞からなる。

(注2) 2細胞期胚の割球を人工的に融合して四倍体化した胚を発生させたもの。

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〔文3〕

 ほとんどの動物は,精子に由来する父由来染色体と卵に由来する母由来染色体をもつ二倍体であり,多くの場合,どちらの染色体上の対立遺伝子もともに発現し得る。しかし,ほ乳類では,父由来染色体と母由来染色体は機能的に等価ではないことが知られている。たとえばある遺伝子座では,常に父由来染色体上の対立遺伝子のみが発現し,母由来の相同染色体上の対立遺伝子は不活性化されて発現しない(この逆のケースもある)。この現象は,親の始原生殖細胞において,その性に応じてオス型あるいはメス型の印が染色体上につけられるために起こるもので,「ゲノム刷り込み」とよばれている。(イ)ゲノム刷り込みのため,ほ乳類の正常な個体発生には,父由来と母由来双方の染色体が必要となる。

 ここで,胎盤と胎仔の両方で発現する遺伝子 A に注目し,その個体発生における機能を知るためにキメラ作製を含む以下の実験を行った。なお,遺伝子機能の欠損によってある種類の細胞が正常につくられず組織の形成と機能に異常が生じる場合,正常細胞が混在したキメラを作製すると,失われるはずの細胞種を正常細胞が補い,組織は正常に形成されその機能も回復する。

実験1 まず,バイオテクノロジーの手法を用いて遺伝子型 Aa の ES 細胞を作製し(A は野生型,a は機能を完全に欠失させた対立遺伝子とする),この ES 細胞と野生型8細胞期胚を用いてキメラ個体を作製した。そのうちの1匹のオスと野生型メスマウスをかけあわせたところ,得られた(ウ)第1世代(F1)マウスの10 %が遺伝子型 Aa の個体であった。さらに,Aa 個体(F1)と野生型個体のかけあわせから,表1—2の結果が得られた。

表1—2 Aa 個体(F1)と野生型個体のかけあわせで得られた F2 胎仔の表現型
表1—2 Aa 個体(F1)と野生型個体のかけあわせで得られた F2 胎仔の表現型
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実験2 実験1の結果を受け,受精卵の移植実験を行った。F1 個体のかけあわせで得られる受精卵を体外に取り出し,異なる遺伝子型のメスマウス(レシピエントとよぶ)に移植して胎仔を発生させたところ,表1—3の結果が得られた。なお,レシピエント自身の卵は受精しないため,それに由来する胎仔は存在しない。また,胚操作によるダメージの影響はないものとする。

表1—3 胚移植実験で得られた F2 胎仔の表現型
表1—3 胚移植実験で得られた F2 胎仔の表現型

実験3 実験1,2において発生が停止した F2 個体を精査したところ,そのすべてにおいて,胎盤の形態に顕著な異常が見られた。一方,発生が停止する直前の時期の胎仔には形態的な異常が認められなかった。このことから,「発生停止は胎盤の機能が不十分なために起こる二次的な表現型である」との仮説を立て,その検証のためのキメラ作製実験を計画した。キメラ作製実験でこの仮説を検証するには,(エ)発生が停止するはずの遺伝子型の個体において,胎盤のみに正常に機能する細胞を分布させて胎盤の機能を補完した場合の胎仔の表現型を見ればよい。

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〔問〕

Ⅰ 文1について,以下の小問に答えよ。

A 空欄1,2にそれぞれ適切な漢字二文字を入れよ。

B 下線部(ア)について。図1—2は,胎盤における二酸化炭素分圧のときの,成体型ヘモグロビンと胎仔型ヘモグロビンの酸素解離曲線である。胎盤では成体型ヘモグロビンの40 %が酸素結合型(酸素ヘモグロビン)であり,胎仔末梢組織における酸素分圧が 10mmHg であるとすると,胎仔末梢組織では血液 100mL あたり何 mL の酸素が放出されるか答えよ。ただし,酸素ヘモグロビン100 %の状態の血液がすべての酸素を放出した場合,血液 100mL から 20mL の酸素が放出されるものとする。また,胎盤と胎仔末梢組織における二酸化炭素分圧の差,胎盤から胎仔末梢組織に達するまでの酸素の放出,および血漿に溶解している酸素は無視できるものとする。

図1—2 ヘモグロビンの酸素解離曲線
図1—2 ヘモグロビンの酸素解離曲線

2本の曲線のいずれか一方が成体型ヘモグロビンの,他方が胎仔型ヘモグロビンの酸素解離曲線を表す。

Ⅱ 文2および文3について,以下の小問に答えよ。

A ES 細胞と四倍体8細胞期胚を合わせてキメラを作製した場合,どのような細胞の分布が期待されるか。表1—1を参考に,1行程度で答えよ。

B 下線部(イ)について。マウスでは,二倍体である体細胞の核をもちいた核移植により,正常なクローン個体を得ることができる。しかし,精原細胞の核を移植してクローン胚を作製した場合には,精原細胞も二倍体であるにもかかわらず正常な個体まで発生するものはまったく得られない。その理由を3行程度で答えよ。

— 43 —

C 下線部(ウ)について。以下は,Aa 個体が F1 世代の10 %であったことの理由に関する考察である。空欄3,4に適切な語を入れよ。なお,遺伝子 A の機能は生殖細胞の分化や機能に必要ではないものとする。

考察:かけあわせに用いたオスキメラ個体において,3 の 4 %は野生型8細胞期胚に由来する細胞であった。

D 実験2により,Aa の表現型を決定する条件について,何が否定されたか。1行程度で答えよ。

E どちらも遺伝子型が Aa のメス個体とオス個体をかけあわせて得られた遺伝子型 aa の個体は,すべてが妊娠中期に発生を停止し胎生致死の表現型を示した。このかけあわせで得られる遺伝子型 Aa の個体に予想される表現型と,その理由を,それぞれ1行程度で答えよ。

F 下線部(エ)について。表1—1を参考に,このキメラ作製実験に関する次の考察の空欄5〜9に当てはまる語の組合せで正しいものを以下の表からすべて選び,(1)〜(8)の番号で答えよ。ただし,四倍体胚の遺伝子型も,便宜上それらが由来する二倍体胚の遺伝子型を用いて表すものとする。

考察:遺伝子型 5 のメスと遺伝子型 6 のオスとのかけあわせから得られる8細胞期胚(7 倍体)と,遺伝子型 AA の8細胞期胚(8 倍体)を用いてキメラを作製する。妊娠後期まで生き残ったキメラの遺伝子型を解析し,遺伝子型 9 の細胞だけからなる正常な胎仔が確認されれば,胎仔の形態形成や体細胞の生存には遺伝子 A は直接必要ではないことがわかる。

p43a
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第2問

 次の文1と文2を読み,ⅠとⅡの各問に答えよ。

〔文1〕

 植物は,土壌から根を通して,さまざまな無機養分を吸い上げて利用している。この無機養分の中でも主要なものの一つに,無機窒素化合物が挙げられる。

 土壌に存在する無機窒素化合物のかなりの部分は,(ア)生物の遺体や排出物に含まれる有機窒素化合物に由来する。有機窒素化合物は,土壌中の微生物のはたらきなどにより分解されて,アンモニウムイオン(NH4+)を生じる。ある種の土壌細菌やシアノバクテリア,マメ科植物と共生する根粒菌は,窒素固定により空気中の窒素分子(N2)から NH4+ をつくることができる。これもまた窒素化合物の重要な供給源となる。このほか,栽培下では,肥料として窒素化合物が土壌に投入される。

 土壌の NH4+ は,通常,硝化細菌によって,速やかに亜硝酸イオン(NO2−)へ,(イ)NO2− はさらに硝酸イオン(NO3−)へと変換される。植物は一般に NH4+ と NO3− のどちらも吸収できるが,多くの植物にとって,より効率的に利用できるのは NO3− の方である。植物体内で,NO3− は NO2− を経て NH4+ となる。この(ウ)NH4+ とグルタミン酸から,グルタミン合成酵素により,グルタミンがつくられる。これは窒素同化の入り口の反応として,きわめて重要である。

図2—1 植物の窒素同化に至る土壌中と植物体内における窒素化合物の変換の流れ
図2—1 植物の窒素同化に至る土壌中と植物体内における窒素化合物の変換の流れ
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〔文2〕

 マメ科植物の根に根粒菌が感染すると,組織の一部で細胞分裂が引き起こされる。細胞分裂により細胞集塊が形成され,その中に根粒菌が入り込んで増殖する。この細胞集塊は,やがて丸い瘤のような構造体に発達する。これが根粒である。

 根粒の中では,根粒菌が窒素固定を行い,N2 からつくった窒素化合物を宿主の植物に提供する。そのため,根粒をもつマメ科植物は,窒素分の乏しい土壌でも生育できる。一方,宿主の植物は光合成で生産した炭酸同化物を根粒菌に提供する。したがって,根粒は形成するときだけでなく,維持するのにも相応のコストがかかる。マメ科植物は,根粒が増えすぎないよう,根粒数を適正に調節するしくみを備えており,必要な窒素を獲得しつつ,過剰なコスト負担を回避している。この調節に関しては,ダイズやミヤコグサ(注1) などを材料として,活発に研究が行われている。こうした研究により,(エ)根に根粒が形成されると,(1)根が根粒形成を知らせるシグナルを生成して地上部に送る,(2)地上部がこれを受けて新たな根粒形成を抑制するシグナルを生成し根に送る,(3)根がこの抑制シグナルを受けて根粒形成を停止する,という3つの段階からなる機構がはたらいて根粒数を制限することがわかってきている。

(注1) ミヤコグサは小型のマメ科植物で,遺伝学的解析によく用いられる。

実験1 ダイズの根粒過剰着生変異体 x は,野生型に比べ,数にして10倍以上の根粒を形成する。過剰な根粒形成が植物の成長に与える影響を調べるために,この変異体 x と野生型に根粒菌を感染させ,16日後,20日後,36日後に植物体を回収して,乾燥重量を測定した。結果をまとめると,表2—1のようになった。なお,根粒が十分に発達し,野生型と変異体 x との間で根粒量の違いがはっきりしてきたのは14日後以降であった。

表2—1 ダイズの野生型と根粒過剰着生変異体 x の植物体乾燥重量
表2—1 ダイズの野生型と根粒過剰着生変異体 x の植物体乾燥重量
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実験2 発芽直後のダイズの主根を切り取り,発根を促すことによって,根系が大きく2つに分かれた植物体を用意した。図2—2のように,これらの根系を別々の容器に入れ,それぞれに独立に根粒菌を感染させられるようにした。2つの根系に同時にあるいは時間差をつけて根粒菌を感染させ,各根系に生じた根粒の数の変化を調べたところ,図2—3に示すような結果が得られた。

図2—2 根系が2つに分かれたダイズ
図2—2 根系が2つに分かれたダイズ
図2—3 ダイズの2つの根系に時間差をつけて根粒菌を感染させたときの根粒数の変化
図2—3 ダイズの2つの根系に時間差をつけて根粒菌を感染させたときの根粒数の変化

根系1と根系2の根粒数をそれぞれ黒色と灰色の曲線で表す。

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実験3 ミヤコグサの根粒過剰着生変異体 y は,タンパク質 Y の機能を欠損している。変異体 y と野生型のミヤコグサを用いて,図2—4のように茎の基部で接ぎ木を行い,地上部と根が遺伝的に異なる植物体を作出した。この植物体の根に根粒菌を感染させ,十分な時間をおいて,根粒の増加がほぼ止まってから,生じた根粒の数を測定したところ,図2—5に示すような結果が得られた。

図2—4 地上部と根が遺伝的に異なる植物体を作出するためのミヤコグサの接ぎ木
図2—4 地上部と根が遺伝的に異なる植物体を作出するためのミヤコグサの接ぎ木
図2—5 地上部と根が遺伝的に異なるミヤコグサにおける根粒形成
図2—5 地上部と根が遺伝的に異なるミヤコグサにおける根粒形成
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〔問〕

Ⅰ 文1について,以下の小問に答えよ。

A 下線部(ア)について。次の物質のうち,窒素を含む有機化合物はどれか。該当するものすべてを選び,過不足なく答えよ。

RNA,ATP,グリコーゲン,コラーゲン,脂肪,DNA,乳酸,尿酸

B 下線部(イ)について。NO2− から NO3− への変換は,硝化細菌の硝酸菌による酸化反応で,電子伝達系を動かし,ATP の生産をもたらす。NO2− の酸化反応は,まとめて書くと,

NO2−+12O2⟶NO3−

となるが,実際には電子伝達系に電子を与える反応(電子供与反応)と電子伝達系から電子を受け取る反応(電子受容反応)から成り立っている。この電子供与反応と電子受容反応を,[H] または e− を用いて,それぞれ反応式で示せ。

C NO2− から NO3− への反応のほかに,生物がエネルギーを取り出せる窒素化合物の変換反応はあるか。図2—1の反応①〜⑤の中にエネルギーを取り出せる反応があれば,それをすべて選び,番号で答えよ。ない場合は,なしと答えよ。

D 下線部(ウ)について。グルタミン合成酵素による反応は,通常,植物の生育にとって必須である。実際,グルタミン合成酵素阻害剤のグルホシネートは,除草剤として用いられている。グルホシネートで植物を処理すると,窒素同化が遮断されるのと同時に,NH4+ の蓄積が起きる。高濃度の NH4+ は毒性を示すので,グルホシネートが植物を枯らす要因としては,窒素同化産物の欠乏のほかに,NH4+ の蓄積の可能性も考えられる。グルホシネートによる除草で,このどちらが植物枯死の直接の引き金になっているかを見極めるためには,どのような実験を行ったらよいか。2通りの実験を考案し,それぞれについて要点を2行程度で述べよ。

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Ⅱ 文2について,以下の小問に答えよ。

A 実験1について。盛んに成長している植物では,乾燥重量が2倍になるのにかかる日数(ここでは倍加日数と呼ぶ)がほぼ一定している。そのため,植物間の成長速度を比較するには,倍加日数がよい指標となる。表2—1の結果から,野生型と変異体 x のそれぞれについて,16日後〜36日後の期間における倍加日数を求め,小数点以下を四捨五入して,整数で答えよ。なお,倍加日数を算出するにあたっては,必要に応じ,第2問の最後にある方眼紙または片対数方眼紙を用いよ。

B 実験2では,根粒菌感染の時間差によらず,根系1と根系2の根粒の総数は最終的にほぼ同じで,一定していた。この理由を下線部(エ)のしくみにもとづいて考察し,4行程度で説明せよ。

C 実験3の結果は,タンパク質 Y が根で根粒数の調節にはたらくことを示している。下線部(エ)のしくみにもとづくと,Y は段階(1)または段階(3)に関わっていると考えられる。このどちらであるかを知るために,図2—6のような接ぎ木を野生型と変異体 y の間で行って,遺伝的に異なる2つの根系をもつ植物体を作出し,両根系に同時に根粒菌を感染させて,根粒形成を調べる実験を計画した。実験に先立ち,野生型どうし,変異体 y どうしの組合せで接ぎ木を行って調べたところ,図2—7(A)に示すような結果が得られた。野生型と変異体 y の組合せの接ぎ木で,根系1が野生型,根系2が変異体 y のときには,どのような結果が予想されるか。Y が段階(1)に関与する場合と,段階(3)に関与する場合のそれぞれについて,最も適当なものを図2—7(B)の a〜i の中から1つずつ選んで答えよ。

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図2—6 遺伝的に異なる2つの根系をもつ植物体を作出するためのミヤコグサの接ぎ木
図2—6 遺伝的に異なる2つの根系をもつ植物体を作出するためのミヤコグサの接ぎ木
図2—7 遺伝的に異なる2つの根系をもつミヤコグサにおける根粒形成
図2—7 遺伝的に異なる2つの根系をもつミヤコグサにおける根粒形成

根系1と根系2の根粒数をそれぞれ黒色と灰色の柱で表す。また比較のために,(A)の野生型どうしの接ぎ木実験における根系当たり根粒数のレベルと,変異体 y どうしの接ぎ木実験における根系当たり根粒数のレベルを,水平の点線①と②で示す。

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p53a
p53b
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第3問

 次の文1から文3を読み,ⅠからⅢの各問に答えよ。

〔文1〕

 (ア)生物において,DNA の遺伝情報は RNA に転写され,さらにタンパク質に翻訳される。また,遺伝情報は細胞増殖に伴って母細胞から娘細胞に伝えられる。細胞が増殖する際に,分裂した細胞が再び分裂を起こすまでの過程を細胞周期という。(イ)細胞周期は,細胞分裂が進行する M 期とそれ以外の間期に大別され,間期はさらに G1 期,G2 期,および S 期に区分される。細胞周期の S 期において染色体 DNA は忠実に複製されて倍加する。

実験1 増殖中のヒト培養細胞の集団から,その一部を採取し,DNA と結合すると蛍光を発する色素を用いて染色した。この方法を用いると個々の細胞内の DNA 量を蛍光強度として検出することができる。その結果,図3—1に示すようなグラフが得られた。

図3—1 細胞あたりの蛍光強度と細胞の観測度数の関係
図3—1 細胞あたりの蛍光強度と細胞の観測度数の関係

〔文2〕

 細胞周期が正しく進行するには,細胞周期の各段階がそれぞれ誤りなく完全に終了した後に,次の段階に移行する必要がある。たとえば,DNA 複製が完了する前に細胞分裂が始まると,生じる娘細胞は完全な染色体 DNA を引き継ぐことができず,結果として細胞増殖に重大な影響が出てしまう。このようなことが起こらないように,細胞は,細胞周期の各ステップが完全に終了したかどうか,異常が起きていないかどうかを確認する機構を有している。このような細胞周期監視機構の存在は,最も単純な真核生物の一種である出芽酵母(以後,酵母とよぶ)を用いた実験によって解明された。自然界で酵母は二倍体として存在するのみならず,染色体を一組のみもつ一倍体として生育することもできる。一倍体細胞では,各遺伝子が細胞あたり一つずつ存在するため,遺伝子変異が起こると,その影響が直接,細胞の表現型として現れる。このような性質は,特定の機能をもつ遺伝子を同定するのに有用であることから,実験では主に一倍体の酵母が用いられている。

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 正常な酵母は,X 線照射によって染色体の2本鎖 DNA が切断されると,損傷部位と同じ配列をもつ DNA を利用して修復する。このような修復は,主に細胞周期の G2 期で起こることが知られているが,これは染色体の損傷を修復する際に DNA 複製によって生じたもう一組の染色体を利用するからである。一方,G1 期や M 期の酵母細胞は,X 線による DNA 損傷を修復することができず,そのほとんどが死滅してしまう。DNA 損傷に対する細胞応答の制御には,さまざまな遺伝子が関与することが知られているが,その多くが一倍体酵母細胞を用いた解析によって同定された。

実験2 盛んに増殖している酵母を寒天培地上に散布して X 線を照射し,その10時間後に,G2 期にある細胞の割合を定量的に計測した。また,X 線を照射してから3日後に,形成されたコロニー(生存した細胞が増殖してできた塊)数をカウントし,細胞の生存率を計測した。その結果,表3—1(上段)に示すように,正常な酵母細胞では,少量の X 線照射によって,G2 期にある細胞の割合が著しく増加し,最終的に50 %の細胞が生き残ることがわかった。また,多量の X 線を照射すると,G2 期にある細胞の割合がさらに増加した。一方,DNA 損傷を修復する酵素が完全に機能を失っている変異細胞 A や,未知の遺伝子に欠失がある変異細胞 B では,表3—1(中段,下段)に示す結果となった。

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表3—1 X 線照射後の細胞周期分布および細胞生存率の変化
表3—1 X 線照射後の細胞周期分布および細胞生存率の変化

実験3 次に,紡錘体形成を阻害する特殊な薬剤で処理することによって細胞周期を人工的に G2 期で停止させた酵母細胞(正常細胞および変異細胞 B)に X 線を照射し,その後直ちに薬剤を除去して培養を続けた。1〜2時間おきに細胞を観察して,細胞周期が再び回り始め G2 期から次の段階へ進んだ細胞の割合を調べたところ,図3—2のような結果が得られた。なお,酵母の細胞周期は1周期が約2時間である。

図3—2 紡錘体形成阻害剤除去後に細胞周期が進行した細胞の割合
図3—2 紡錘体形成阻害剤除去後に細胞周期が進行した細胞の割合

X線を照射した細胞および未照射の細胞から得られたデータをそれぞれ■と□で示す。

— 58 —

〔文3〕

 細胞内で,遺伝情報にもとづいて合成されるタンパク質の一部は酵素であり,増殖や分化,代謝など,多彩な細胞機能の調節に重要な役割を果たしている。酵素活性をもつタンパク質は,酵素として働く領域や,その活性を制御する領域など,異なる機能をもつ複数の領域から構成されているものが多い。人工的に遺伝子変異を導入して,タンパク質の特定の領域のみを欠失させることで,酵素タンパク質分子内の各領域が,どのような機能を有しているかを詳細に解析できる。

実験4 マウスの細胞内に存在するタンパク質 X は,5つの領域(a〜e)から構成されるタンパク質分子であり(図3—3左上),分子内のどこかに酵素として働く領域をもっている。このタンパク質 X の酵素活性を調節するメカニズムを明らかにするため,細胞内でタンパク質 X と特異的に結合する分子を探索したところ,新たなタンパク質 Y が得られた。タンパク質 Y は,ふだんは細胞内にほとんど発現していないが,ホルモン Z で細胞を刺激すると,その発現量が著しく増加することがわかっている。そこで,タンパク質 Y がタンパク質 X の酵素活性にどのような影響を与えるかを調べるため,以下の実験を行った。

 まず,タンパク質 X およびタンパク質 Y を,バイオテクノロジーの手法を用いて大腸菌内で大量合成し,別々に精製した。得られた各タンパク質を試験管内に少量ずつ取り分け,タンパク質 X のみが存在する状態,およびタンパク質 X とタンパク質 Y の両方が存在する状態で,タンパク質 X の酵素活性を測定した。また同時に,タンパク質 X 分子内の5つの領域(a〜e)をさまざまに欠失させた7種類のタンパク質(欠失型タンパク質Ⅰ〜Ⅶ)を作製して,同様の実験を行ったところ,図3—3の棒グラフのような結果となった。ただし,反応に用いた各タンパク質の量や酵素活性の測定条件は同一である。また,タンパク質 X の a〜e 領域以外の部分に特別な機能はなく,タンパク質 Y はタンパク質 X の酵素領域とは直接結合しないことがわかっている。

— 59 —
図3—3 タンパク質 X と各欠失型タンパク質の構造(左)およびタンパク質 Y 添加による酵素活性の変化(右)(「+」および「−」は,タンパク質 Y の有無を示す)
図3—3 タンパク質 X と各欠失型タンパク質の構造(左)およびタンパク質 Y 添加による酵素活性の変化(右)(「+」および「−」は,タンパク質 Y の有無を示す)
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〔問〕

Ⅰ 文1について,以下の小問に答えよ。

A 下線部(ア)について。以下の(1)〜(4)の文章のうち,間違っているものをすべて選んで,その番号を記し,それぞれについて,どこが間違っているかを簡潔に説明せよ。

(1) 真核生物の核 DNA は,ヒストンとよばれるタンパク質に巻きついた状態で存在している。

(2) 原核生物の RNA ポリメラーゼはプロモーターに直接結合するが,真核生物の RNA ポリメラーゼは,プロモーター領域に結合し,転写する際に,基本転写因子を必要とする。

(3) 免疫グロブリンの多様性は,主として,免疫グロブリン遺伝子から転写される RNA が選択的スプライシングを受けることで生み出されている。

(4) 6塩基対の配列を認識する制限酵素を用いて染色体 DNA を処理した場合,切断される塩基配列の出現頻度は,計算上,4096塩基対に1回である。

B 下線部(イ)について。細胞周期の各期(G1,G2,S,M)の細胞は,図3—1に示す領域 a〜c のうち,どの領域に含まれるか。G1—○領域,G2—□領域,のように答えよ。

Ⅱ 文2について,以下の小問に答えよ。

A 表3—1の空欄1および空欄2に入る数字の組合せとして最も適切なものを以下の(1)〜(8)から1つ選べ。

p60a
— 61 —

B X 線照射後の細胞の生存率が,正常細胞と比較して変異細胞 B で低下しているのはなぜか。表3—1および図3—2で示した実験結果をもとに考察し,3行程度で説明せよ。

C 変異細胞 B で欠失している遺伝子が,DNA 損傷修復酵素をコードする遺伝子ではないことを確認するために,どのような実験を行ったらよいか。紡錘体形成阻害剤を利用した実験を考案し,予測される結果とともに3行程度で説明せよ。

Ⅲ 文3について,以下の小問に答えよ。

A タンパク質 X 分子内で酵素としての活性をもつのは,a〜e のうち,どの領域であると考えられるか,記号で答えよ。

B タンパク質 Y は,タンパク質 X のどの領域に結合すると予想されるか,記号で答えよ。

C タンパク質 X 分子内の c 領域は,酵素活性の調節において,どのような役割を果たしていると推測されるか。最も適切なものを以下の(1)〜(6)から1つ選べ。

(1) タンパク質 X とタンパク質 Y の結合を促進する。

(2) タンパク質 X とタンパク質 Y の結合を抑制する。

(3) タンパク質 X の酵素活性を増強する。

(4) タンパク質 X の酵素活性を抑制する。

(5) タンパク質 X の立体構造を安定化する。

(6) タンパク質 X の立体構造を不安定化する。

D 細胞をホルモン Z で刺激するとタンパク質 X の酵素活性は,どのように変化すると考えられるか。タンパク質 X 分子内の各領域による酵素活性の制御メカニズムを含めて,3行程度で説明せよ。

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E タンパク質 X と新たに作製した欠失型タンパク質Ⅷ(図3—3;c/d/e 領域を欠失しており,a/b 領域のみからなる)を試験管内で混合した後,タンパク質 Y を加えて反応させた。このとき,欠失型タンパク質Ⅷを加えることによって,タンパク質 X の酵素活性にどのような影響が認められるか。次の考察の空欄3と空欄4に入る最も適切な語句を,以下の選択肢(1)〜(5)からそれぞれ1つ選んで番号で答えよ。ただし,同じ語句を2度用いてもよい。

考察:加えた欠失型タンパク質Ⅷの量が,タンパク質 X およびタンパク質 Y の量より十分に多いとき,反応液中のタンパク質 X の酵素活性は,欠失型タンパク質Ⅷが存在しない場合と比較して 3 。一方,タンパク質 Y の量が,欠失型タンパク質Ⅷおよびタンパク質 X の量よりも十分に多いとき,反応液中のタンパク質 X の酵素活性は,欠失型タンパク質Ⅷが存在しない場合と比較して 4 。

選択肢:

(1) 高くなる

(2) 高くなった後,低くなる

(3) 低くなる

(4) 低くなった後,高くなる

(5) 同等である