東大 過去問 2018年 生物|AI解答・解説・シミュレーション|アトリエファクトリー

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東京大学 第2次学力試験(前期)2018年 理科「生物」(東京大学がかつて公開したPDFの Internet Archive 保存版)

問題・出題の意図・東京大学の解答例(東京大学の公表資料)

東京大学の利用規定について

東京大学は、入試問題と出題の意図・解答の2次利用について「東京大学第2次学力試験入学試験問題等の2次利用について」(令和6年7月1日改定)で条件を定めている。このサイトでの対応は次のとおり。

解答とシミュレーション(AIで作成)

制作

制作:アトリエファクトリー(aTELiER FACTORY) https://atelierfactory.jp/

修正履歴

お知らせ(2026年10月4日)

解答・解説・シミュレーションは、すべて Claude Opus 5.5 で作成しています。作ったあとの確かめ方は、科目によって違います。

どの科目も、東京大学が公表した解答ではありません。くわしくは「問題取得方法と回答生成方法」をご覧ください。

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生 物

第1問

 次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。なお,図1—1,図1—2,図1—6の中,白い四角部分はエキソンをあらわし,山型の実線はスプライシングにより除去される領域をあらわす。

Ⅰ 次の文章を読み,問A〜Dに答えよ。

 真核細胞において,核内で DNA から(ア)転写された mRNA 前駆体の多くはスプライシングを受ける。(イ)スプライシングが起きる位置や組み合わせは一意に決まっているわけではなく,細胞の種類や状態などによって変化する場合がある。これを選択的スプライシングと呼ぶ。選択的スプライシングは,mRNA 前駆体に存在する様々な塩基配列に,近傍のスプライシングを促進したり阻害したりする作用を持つタンパク質が結合することによって,複雑かつ緻密に制御されている。例えば,(ウ)哺乳類の α-トロポミオシン遺伝子は,1a から 9d まで多くのエキソンを持つが,発現する部位によって様々なパターンの選択的スプライシングを受け(図1—1),これによって作られるタンパク質のポリペプチド鎖の長さやアミノ酸配列も変化する(表1—1)。

図1—1 \alpha-トロポミオシン遺伝子の選択的スプライシングの例
図1—1 α-トロポミオシン遺伝子の選択的スプライシングの例
表1—1 各発現部位における α-トロポミオシンタンパク質のポリペプチド鎖の長さ
表1—1 各発現部位における \alpha-トロポミオシンタンパク質のポリペプチド鎖の長さ
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 近年,スプライシングを補正してヒトの遺伝病の治療につなげようとする研究が精力的に行われている。ヒトの5番染色体に存在する SMN1(survival motor neuron 1)遺伝子とそのすぐ隣にある SMN2 遺伝子は,塩基配列がほとんど同じであるが,図1—2に示す通り,(エ)エキソン7内部のある1つの塩基が,SMN1 遺伝子では C であるのに対し,SMN2 遺伝子では T になっているという違いがある。これにより,SMN2 遺伝子から作られる mRNA の約9割では,スプライシングの際にエキソン7が使用されず,スキップされた状態となっている。このようにエキソン7がスキップされた mRNA から作られるタンパク質(Δ7型 SMN タンパク質と呼ぶ)は安定性が低く,すぐに分解されてしまう。一方,SMN2 遺伝子から作られる mRNA の残りの約1割では,スプライシングの際にエキソン7が使用され,SMN1 遺伝子由来のタンパク質と同じアミノ酸配列を持つタンパク質(全長型 SMN タンパク質と呼ぶ)が作られる(図1—2)。ヒトにおいて,SMN1 遺伝子の欠損を原因とする脊髄性筋萎縮症と呼ばれる遺伝病が知られている。最近,(オ)脊髄性筋萎縮症の治療に,スプライシングを補正する作用を持つ人工的な核酸分子 X が有効であることが示され,注目を集めている。

図1—2 ヒトの \mathitSMN1 遺伝子と \mathitSMN2 遺伝子およびそれらの転写とスプライシング
図1—2 ヒトの SMN1 遺伝子と SMN2 遺伝子およびそれらの転写とスプライシング
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〔問〕

A 下線部(ア)について。真核生物における転写の基本的なメカニズムについて,以下の語句をすべて用いて3行程度で説明せよ。同じ語句を繰り返し使用してもよい。

  基本転写因子,プロモーター,RNA ポリメラーゼ,片方の DNA 鎖,5′→3′

B 下線部(イ)について。異なる塩基配列の6つのエキソン(エキソン1〜6と呼ぶ)を持つ遺伝子があるとする。スプライシングの際,エキソン1とエキソン6は必ず使用されるが,エキソン2〜5がそれぞれ使用されるかスキップされるかはランダムに決まるとすると,理論上,合計で何種類の mRNA が作られるか答えよ。ただし,スプライシングの際にエキソンの順番は入れ替わらず,エキソンとイントロンの境目の位置は変わらないものとする。

C 下線部(ウ)について。α-トロポミオシン mRNA の開始コドンは,図1—1に点線で示すとおり,エキソン1a の192〜194塩基目に存在する。図1—1および表1—1の情報から,平滑筋で発現している α-トロポミオシン mRNA 上の終止コドンは,どのエキソンの何塩基目から何塩基目に存在すると考えられるか答えよ。解答例:エキソン1b の51〜53塩基目

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D 下線部(エ)および(オ)について。以下の文中の空欄 a 〜 e に当てはまるもっとも適切な語句を,以下の選択肢①〜⑩から選べ。同じ選択肢を繰り返し使用してもよい。解答例:a—①,b—②

 SMN1 mRNA 前駆体の領域A(図1—2)の塩基配列は CAGACAA であり,スプライシングの制御に関わるタンパク質 Y は,この塩基配列を認識して結合する。しかし,SMN2 mRNA 前駆体の領域Aの塩基配列は a となっており,ここにはタンパク質 Y は結合できない。これらのことから,タンパク質 Y には,スプライシングの際にエキソン7が b されることを促進するはたらきがあると考えられる。

 一方,SMN1 mRNA 前駆体と SMN2 mRNA 前駆体で共通の領域B(図1—2)には,スプライシングの制御に関わるタンパク質 Z が認識して結合する塩基配列が存在する。脊髄性筋萎縮症の治療に有効な人工核酸分子 X は,領域Bの塩基配列と相補的に結合し,タンパク質 Z の領域Bへの結合を阻害すると考えられている。これらのことから,タンパク質 Z には,スプライシングの際にエキソン7が c されることを促進するはたらきがあり,人工核酸分子 X は,d 遺伝子のスプライシングを補正することによって,e 型 SMN タンパク質を増加させる作用を持つと考えられる。

① TAGACAA

② CATACAA

③ UAGACAA

④ CAUACAA

⑤ 使 用

⑥ スキップ

⑦ SMN1

⑧ SMN2

⑨ Δ7

⑩ 全 長

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Ⅱ 次の文章を読み,問E〜Hに答えよ。

 近年の塩基配列解析装置の急速な進歩によって,生体内に存在する RNA を網羅的に明らかにする「RNA-Seq」と呼ばれる解析を行うことが可能になった(図1—3)。例えば,今日用いられているある装置を用いて RNA-Seq を行った場合,長い RNA の塩基配列全体を決定することはできないが,それらの RNA を切断することで得られる短い RNA について,数千万を超える分子数の RNA の塩基配列を一度に決定することができる。こうして決定される一つ一つの短い塩基配列を「リード配列」と呼び,DNA に含まれる4種類の塩基を表す A,C,G,T のアルファベットをヌクレオチド鎖の 5′→3′ の順に並べた文字列として表す(塩基配列決定の際に RNA は DNA に変換されるため,U は T として読まれる)。リード配列を決定した後,そのリード配列の元となった短い RNA がゲノム中のどの位置から転写された RNA に由来するかを決めるためには,コンピュータを用いて,ヌクレオチド鎖の向きも含めてリード配列と一致する塩基配列がゲノムの中に出現する位置を見つける「マッピング」と呼ばれる解析を行う。今日の生物学では,このように膨大なデータを情報科学的に解き明かしていくバイオインフォマティクスが重要となっている。

図1—3 mRNA を対象とした RNA-Seq の概略図
図1—3 mRNA を対象とした RNA-Seq の概略図
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〔問〕

E ヒトのゲノム(核相 n の細胞が持つ全 DNA)の塩基対数はおよそ 3×10f である。空欄 f に当てはまる整数を答えよ。

F 一般に,真核生物の遺伝子から転写された mRNA 前駆体には,スプライシングが起きるほか,アデニンが多数連なったポリ A 配列と呼ばれる構造が付加される。これを利用して,真核生物の生体内から得られた RNA を,ある塩基が多数連なった一本鎖の DNA が結合した材質に吸着させることで,mRNA を濃縮して解析することができる。その塩基の名称をカタカナで答えよ。

G リード配列が「ある特徴」を持つ場合,そのリード配列と一致する塩基配列はゲノムの2つのヌクレオチド鎖の全く同じ位置に出現する(図1—4)。「ある特徴」とはどのようなものかを考え,その特徴を持つ10塩基の長さの塩基配列の例を1つ答えよ。塩基配列は A,C,G,T のアルファベットを 5′→3′ の順に並べた文字列として表すものとする。

図1—4 「ある特徴」を持つリード配列のマッピング
図1—4 「ある特徴」を持つリード配列のマッピング
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H 真核生物の生体内から得られた mRNA サンプルに対して RNA-Seq を行い,得られたリード配列をゲノムに対してマッピングし,各遺伝子の各エキソン内にマッピングされたリード配列の数を数えた(図1—5)。RNA-Seq において mRNA は短い RNA にランダムに切断され,解析装置に取り込まれて塩基配列が決定されたとする。リード配列は各エキソンの長さに比べれば十分に短い一定の長さを持ち,いずれかの遺伝子のエキソン内の1カ所に明確にマッピングされたものとして,以下の問(あ)〜(う)に答えよ。

図1—5 ある遺伝子のエキソンに多数のリード配列がマッピングされた様子
図1—5 ある遺伝子のエキソンに多数のリード配列がマッピングされた様子

(あ) 遺伝子1〜6のエキソンの塩基数の合計と,エキソン内にマッピングされたリード配列の数の合計は表1—2に示すとおりであった。このことから,遺伝子1〜6のうち,mRNA の分子数が最も多かったものは遺伝子 g,最も少なかったものは遺伝子 h であったと考えられる。空欄 g,h に入る数字を答えよ。ただし,遺伝子1〜6は選択的スプライシングを受けないものとする。解答例:g—1,h—2

表1—2 RNA-Seq の結果(遺伝子1〜6)
表1—2 RNA-Seq の結果(遺伝子1〜6)
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(い) 遺伝子7は4つのエキソンを持ち,各エキソンの塩基数と,エキソン内にマッピングされたリード配列の数は表1—3に示すとおりであった。遺伝子7は選択的スプライシングを受け,エキソン2かエキソン3のいずれか,あるいは両方がスキップされることがある。図1—6に示すように,エキソンが一つもスキップされない mRNA の分子数を x,エキソン2のみがスキップされた mRNA の分子数を y,エキソン3のみがスキップされた mRNA の分子数を z,エキソン2と3の両方がスキップされた mRNA の分子数を w とおく。いま x が0だったとすると,y と z と w の比はこの順番でどのようになるか,最も簡単な整数比で答えよ。解答例: 3:2:5

表1—3 RNA-Seq の結果(遺伝子7)
表1—3 RNA-Seq の結果(遺伝子7)
図1—6 遺伝子7の選択的スプライシング
図1—6 遺伝子7の選択的スプライシング

(う) 遺伝子7について,x が0とは限らないとして,x,y,z,w の間に成り立たない可能性がある関係式を以下の選択肢(1)〜(6)から2つ選べ。

(1) x<y

(2) x+z<y+w

(3) x<w

(4) y>z

(5) y>w

(6) z<w

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第2問

 次の文章を読み,問A〜Jに答えよ。

 オーストラリア南東部のタスマニア島には,タスマニアデビル(図2—1)と呼ばれる体長 50〜60 cm の(ア)有袋類が生息する。タスマニアデビルは肉食性で,他の動物を捕食したり,死肉を食べたりして生きている。体長の割に大きな口と強い歯をもち,気性が荒く,同種の個体どうしで餌や繁殖相手をめぐって頻繁に争うため,顔や首などに傷を負うことがしばしばある。

 近年,野生のタスマニアデビルの顔や首の傷口の周囲に,大きな瘤(こぶ)ができているのが見つかるようになった。調査の結果,この瘤は悪性腫瘍(がん)とわかった。悪性腫瘍とは,体細胞の突然変異によって生じた,無秩序に増殖し他の臓器へと広がる異常な細胞集団である。この悪性腫瘍は急速に大きくなるため,これをもつタスマニアデビル個体は口や眼をふさがれてしまい,発症から数ヶ月で死に至る。悪性腫瘍をもつ個体は頻繁に見られるようになり,短期間のうちに野生のタスマニアデビルの生息数は激減した。現在,タスマニアデビルは絶滅の危機に瀕しており,様々な保護活動が行われている。

 タスマニアデビルの悪性腫瘍について,以下の実験を行った。

図2—1 タスマニアデビル
図2—1 タスマニアデビル
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実験1 悪性腫瘍をもつ4頭のタスマニアデビルを捕獲し,腫瘍の一部と,腫瘍とは別の部位の正常な体組織を採取し,DNA を抽出した。また,悪性腫瘍をもたないタスマニアデビル4頭を捕獲し,同様に体組織を採取し DNA を抽出した。これらの DNA 検体を用いて,あるマイクロサテライトを含む DNA 領域を(イ)PCR 法によって増幅し,得られた DNA の長さをゲル電気泳動によって解析した。その結果,図2—2に示す泳動像が得られた。マイクロサテライトとは,ゲノム上に存在する数塩基の繰り返しからなる反復配列である。繰り返しの回数が個体によって多様であるが,世代を経ても変化しないことを利用して,遺伝マーカーとして用いられる。正常細胞が悪性腫瘍化した場合にも,このマイクロサテライトの繰り返し回数は変化しないものとする。

図2—2 ゲル電気泳動の結果
図2—2 ゲル電気泳動の結果
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実験2 タスマニアデビルの悪性腫瘍,および様々な正常な体組織から mRNA を抽出し,それを鋳型として(ウ)cDNA を合成し,DNA マイクロアレイ法によって遺伝子の発現パターンを網羅的に調べた。その結果,悪性腫瘍の遺伝子発現パターンは(エ)シュワン細胞のものとよく似ており,悪性腫瘍はシュワン細胞から生じたものと考えられた。しかし,正常なシュワン細胞と比較して,悪性腫瘍細胞では,遺伝子 X の mRNA 量が変化していた(図2—3左)。さらに,正常なシュワン細胞と悪性腫瘍細胞とを,ヒストンの DNA への結合を阻害する薬剤 Y で処理し,同様に遺伝子 X の mRNA 量を調べた(図2—3右)。

図2—3 正常なシュワン細胞と悪性腫瘍細胞における遺伝子 X の mRNA 量
図2—3 正常なシュワン細胞と悪性腫瘍細胞における遺伝子 X の mRNA 量
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実験3 遺伝子 X はヒトやマウスなどの動物に共通して存在し,同一の機能をもつと考えられた。遺伝子組み換え技術によって,遺伝子 X を取り除いたノックアウトマウスを作製した。遺伝子 X ノックアウトマウスは病原体のいない飼育環境で正常に発育し,タスマニアデビルのような悪性腫瘍の発生はみられなかった。遺伝子 X ノックアウトマウスのシュワン細胞を調べたところ,MHC の mRNA 量と細胞膜上の MHC タンパク質の量は図2—4に示す通りであった。また,(オ)正常なマウスの皮膚を別の系統のマウスに移植すると拒絶されたが,遺伝子 X ノックアウトマウスの皮膚を別の系統のマウスに移植しても拒絶されずに生着した。

図2—4 正常マウスと遺伝子 X ノックアウトマウスにおける MHC の mRNA 量と細胞膜上の MHC タンパク質の量
図2—4 正常マウスと遺伝子 X ノックアウトマウスにおける MHC の mRNA 量と細胞膜上の MHC タンパク質の量
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〔問〕

A 下線部(ア)について。有袋類はオーストラリア地域に多く生息しているが,他の地域にはほとんど見られない。その理由を3行程度で説明せよ。

B 下線部(イ),(ウ)に用いられる酵素の名称と,それらの酵素の遺伝子は何から発見されたものか,それぞれ答えよ。解答例:イ—○○(酵素名),△△(酵素遺伝子の由来)

C 下線部(エ)について。以下の文中の空欄1〜8に適切な語句を記入せよ。解答例:1—○○,2—△△

 哺乳類では,シュワン細胞は末梢神経において,1 は中枢神経において,ニューロンの 2 を包み込む 3 を形成する。3 をもつ 4 神経繊維では,5 の部位においてのみ興奮が生じるため,6 が起こる。そのため,3 をもたない 7 神経繊維と比べて興奮の伝導速度が 8。

D 実験1に用いられた個体のうち,個体7と8はつがいであった。個体1〜6のうち,個体7と8の子供である可能性がある個体をすべて選べ。

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E 実験1の結果から,タスマニアデビルの悪性腫瘍について考察した以下の(1)〜(5)のうち,可能性があるものをすべて選べ。

(1) 個体1〜4の悪性腫瘍は,それぞれの個体の正常細胞から発生した。

(2) 個体1と2は兄弟姉妹であり,これらの悪性腫瘍は親の正常細胞から発生したものが伝染した。

(3) 個体3と4は兄弟姉妹であり,これらの悪性腫瘍は親の正常細胞から発生したものが伝染した。

(4) すべての悪性腫瘍は,個体1〜4のうち,いずれか1頭の個体の正常細胞から発生し,個体間で伝染した。

(5) すべての悪性腫瘍は,個体1〜8とは別の個体の正常細胞から発生した。

F 実験2の結果から,タスマニアデビルの悪性腫瘍では,遺伝子 X にどのようなことが起きていると考えられるか。薬剤 Y の作用をふまえ,2行程度で説明せよ。

G 実験3の結果から,遺伝子 X について考察した以下の(1)〜(5)のうち,実験結果の解釈として不適切なものを2つ選べ。

(1) 遺伝子 X は,染色体上で MHC 遺伝子と近い位置にある。

(2) 遺伝子 X は,MHC の転写に必要ではない。

(3) 遺伝子 X は,MHC の翻訳を制御する可能性がある。

(4) 遺伝子 X は,MHC の細胞膜への輸送を制御する可能性がある。

(5) 遺伝子 X は,MHC の遺伝子再編成を制御する可能性がある。

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H 実験2と3の結果から考察した以下の(1)〜(5)のうち,適切なものを2つ選べ。

(1) 遺伝子 X ノックアウトマウスのシュワン細胞を,薬剤 Y で処理すると,遺伝子 X の発現が回復すると予想される。

(2) タスマニアデビルの悪性腫瘍では,MHC の mRNA 量が減少していると考えられる。

(3) タスマニアデビルの悪性腫瘍では,細胞膜上の MHC タンパク質の量が減少していると考えられる。

(4) タスマニアデビルの悪性腫瘍を薬剤 Y で処理すると,細胞膜上の MHC タンパク質の量が回復すると予想される。

(5) 遺伝子 X ノックアウトマウスの細胞を,薬剤 Y で処理すると,別の系統のマウスに移植しても拒絶されるようになる。

I 下線部(オ)の結果が得られたのはなぜか,その理由を3行程度で説明せよ。

J タスマニアデビルがこの悪性腫瘍によって絶滅しないために,有利にはたらくと考えられる形質の変化は何か。以下の(1)〜(6)のうち,適切なものをすべて選べ。

(1) 攻撃性が強くなり,噛みつきによる同種間の争いが増える。

(2) 攻撃性が低下し,穏やかな性質となる。

(3) 同種間では儀式化された示威行動によって争うようになる。

(4) トル様受容体(TLR)による病原菌の認識能力が高まる。

(5) ナチュラルキラー(NK)細胞による異物の排除能力が高まる。

(6) ウイルスに対して抗体を産生する能力が高まる。

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第3問

 次のⅠ,Ⅱの各問に答えよ。

Ⅰ 次の文章を読み,問A〜Cに答えよ。

 植物の発生や成長は,様々な環境要因の影響を受けて調節されている。環境要因の中でも,温度は,光と並んで,植物の発生・成長の調節において,とくに重要な意味をもつ。温度と光で調節される発生現象の顕著な例の一つが,花芽形成である。日長に応じて花芽を形成する植物は多いが,その中には一定期間低温を経験することを前提とするものがある。低温を経験することで,日長に応答して花芽を形成する能力を獲得するのである。これを春化という。花芽形成に春化を要求する植物は,一般に長日性である。こうした植物では,低温の経験の後に適温と長日条件の2つが揃ったときに,花芽の形成が促進される。

 植物はどういうときにどこで低温を感じ取り,それはどのように春化につながるのだろうか。これらの問題に関しては,古くから工夫を凝らした生理学的実験が数多く行われている。例えば,(ア)組織片からの植物体の再生を利用した実験や,(イ)接ぎ木を利用した実験により,春化における低温感知の特徴,春化と花成ホルモン(フロリゲン)の関係などについて,重要な知見が得られている。

 シロイヌナズナを用いた分子生物学的解析からは,FLC という遺伝子の発現の抑制が春化の鍵であることがわかっている。FLC には花芽形成を妨げるはたらきがある。低温期間中に(ウ)FLC 領域のクロマチン構造が変化して遺伝子発現が抑制された状態が確立し,FLC 発現が低くなることで花芽形成が可能となる。

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〔問〕

A 下線部(ア)について。ゴウダソウは春化要求性の長日植物である。ゴウダソウの葉を切り取って培養すると,葉柄の切り口近傍の細胞が脱分化して分裂を始め,やがて分裂細胞の集団から芽が形成されて,植物体を再生する。この植物体再生と低温処理を組み合わせて,春化の特徴を調べる実験が行われた。この実験の概要と結果をまとめたのが図3—1である。

図3—1 ゴウダソウの植物体再生を利用した花芽形成実験
図3—1 ゴウダソウの植物体再生を利用した花芽形成実験
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 以下の(1)〜(5)の記述のそれぞれについて,図3—1の実験結果から支持されるなら「○」,否定されるなら「×」,判断できないなら「?」と答えよ。

(1) 一旦春化が成立すると,その性質は細胞分裂を経ても継承される。

(2) 植物体の一部で春化が成立すると,その性質は植物体全体に伝播する。

(3) 春化の成立には,分裂している細胞が低温に曝露されることが必要である。

(4) 春化は脱分化によって解消され,春化が成立していない状態に戻る。

(5) 低温処理時の日長によって,春化が成立するまでにかかる時間が異なる。

B 下線部(イ)について。春化による花芽形成能力の獲得には,花成ホルモンを産生する能力の獲得と,花成ホルモンを受容し応答する能力の獲得の2つが考えられる。これらそれぞれを判定するための,春化要求性長日植物を用いた接ぎ木実験を考案し,判定の方法も含めて実験の概要を5行程度で説明せよ。なお,図を用いてもよい。

C 下線部(ウ)について。春化における FLC の抑制と同様の仕組みは,様々な生物の様々な現象に関わっている。以下の(1)〜(6)のうちから,FLC 抑制と同様の仕組みが関わる現象として最も適当なものを1つ選べ。

(1) 大腸菌にラクトースを投与すると,ラクトースオペロンの抑制が解除される。

(2) 酸素濃度の高い条件で酵母を培養すると,アルコール発酵が抑えられる。

(3) エンドウの果実から種子を取り除くと,さやの成長が止まる。

(4) ショウジョウバエの受精卵で,母性効果遺伝子の mRNA の局在が分節遺伝子の発現パターンを決める。

(5) 雌のマウスで,2本ある X 染色体の一方が不活性化されている。

(6) ヒトのある地域集団で,A,B,AB,O の各血液型の割合が,世代を経てもほぼ一定に保たれている。

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Ⅱ 次の文章を読み,問D〜Gに答えよ。

 植物の成長は,成長に適した温度域における,比較的小さな温度の違いにも影響を受ける。最近,シロイヌナズナの胚軸の伸長に対する温度の影響に着目した研究から,フィトクロムの関与を示す画期的な発見があった。

 フィトクロムは,光受容体として光応答にはたらく色素タンパク質である。フィトクロムには,赤色光吸収型の Pr と遠赤色光吸収型の Pfr が存在し,Pr は赤色光を吸収すると Pfr に変換し,Pfr は遠赤色光を吸収すると Pr に変換する。また,Pfr から Pr への変換は,光とは無関係にも起きる。図3—2に示すように,各変換の速度 v1〜v3 は,Pr または Pfr の濃度([Pr],[Pfr])と変換効率を表す係数 k1〜k3 の積で決まる。

図3—2 フィトクロムの Pr と Pfr の変換
図3—2 フィトクロムの Pr と Pfr の変換

 シロイヌナズナの胚軸の伸長は,明所では抑制され,暗所で促進される。これに対して,(エ)フィトクロム完全欠損変異体の胚軸は明所でも伸長し,暗所と同じように長くなることなどから,胚軸伸長の光応答にフィトクロムが関与することはよく知られていた。図3—3に示すように,シロイヌナズナの胚軸の伸長は温度にも応答し,10 ℃から 30 ℃の範囲の様々な温度で芽生えを育てると,温度が高いほど胚軸が長くなる。この温度応答についてフィトクロム完全欠損変異体を用いて調べてみると,温度の影響がほとんど見られず,どの温度でも胚軸がほぼ一様に長くなったのである。

— 59 —
図3—3 シロイヌナズナの胚軸の伸長に対する温度とフィトクロム欠損の影響
図3—3 シロイヌナズナの胚軸の伸長に対する温度とフィトクロム欠損の影響

 さらに精製フィトクロムを用いた試験管内実験によって,Pr・Pfr 間の変換に対する温度の影響も調べられた。光による変換の係数である k1 と k2 は,光に依存するが,温度には依存しない。しかし,k3 が温度に依存するなら,Pr・Pfr 間の変換が温度で変わる可能性があり,この点が検討された。(オ)純粋な Pr の水溶液を,赤色光の照射下,様々な温度で保温して,全フィトクロムに占める Pfr の割合を測定する実験により,図3—4のような結果が得られた。この結果は,温度応答においてフィトクロムが温度センサーとしてはたらくことを示唆するものとして,注目を集めている。

図3—4 各温度における Pfr の割合の変化
図3—4 各温度における Pfr の割合の変化
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〔問〕

D 下線部(エ)について。この実験結果から,胚軸伸長の制御において,フィトクロムはどのように作用すると考えられるか。以下の(1)〜(4)のうちから,最も適当なものを1つ選べ。

(1) Pr が伸長成長を促進する。

(2) Pr が伸長成長を抑制する。

(3) Pfr が伸長成長を促進する。

(4) Pfr が伸長成長を抑制する。

E 下線部(オ)について。図3—4の情報に基づいて,k3 と温度の関係をグラフで表せ。なお,横軸に温度を取り,k3 は 27 ℃のときの値を1とする相対値で縦軸に取ること。また,大きさは,両軸に付す数字も含めて,10文字分 × 10行分程度とすること。作図はフリーハンドで構わない。

F 下線部(オ)の実験を,赤色光と同時に遠赤色光を照射して行うと,結果はどのようになると予想されるか。以下の(1)〜(5)のうちから,最も適当なものを1つ選べ。

(1) 温度によらず,定常状態での Pfr の割合はほぼ0となる。

(2) 温度によらず,定常状態での Pfr の割合はほぼ1となる。

(3) 温度が高いほど Pfr の割合が低い傾向は赤色光下と同じであるが,温度の影響は弱くなる。

(4) 温度が高いほど Pfr の割合が低い傾向は赤色光下と同じであるが,温度の影響がより強くなる。

(5) 赤色光下とは逆に,温度が高いほど Pfr の割合が高くなる。

G 高温で伸長が促進される性質は,胚軸だけでなく,茎や葉柄でも見られる。この性質が自然選択によって進化したとすれば,それはどのような理由によるだろうか。自由な発想で考え,合理的に説明できる理由の1つを3行程度で述べよ。