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物 理
第1問 図1—1に示すように,水平から角度 をなすなめらかな斜面の下端に,ばね定数 のばねの一端が固定されている。斜面は点Aで水平面と交わっており,ばねの他端は自然長のとき点Aの位置にあるものとする。図1—2に示すように,質量 の小球をばねに押し付け,斜面に沿って距離 だけばねを縮めてから静かに手を離す。その後の小球の運動について,以下の設問に答えよ。ただし,重力加速度の大きさを とする。また,小球の大きさとばねの質量は無視してよい。
(1) のとき,手を離しても小球は静止したままであった。このときの を求めよ。
(2) 手を離したのち,小球が斜面から飛び出し水平面に投げ出されるための の条件を,,,, を用いて表せ。
(3) のとき,小球が動き出してから点Aに達するまでの時間を求めよ。
次に,(2)の条件が成立し小球が投げ出されたあとの運動を考える。小球は点Aから速さ で投げ出されたのち,水平距離 だけ離れたところに落下する。点Aでの速さが一定の場合は, のとき落下までの水平距離が最大になることが知られているが,今回の場合は, によって が変わるため, が最大となる条件は異なる可能性がある。以下の設問に答えよ。なお,必要であれば,表1—1の三角関数表を計算に利用してよい。
(4) を ,,,, を用いて表し, が一定のとき, が最大となる は より大きいか小さいか答えよ。
(5) を ,,,, を用いて表せ。
(6) のとき,表1—1に示した角度の中から, が最も大きくなる を選んで答えよ。
(7) を大きくしていくと, が最大となる は何度に近づくか。表1—1に示した角度の中から選んで答えよ。
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図1—1
図1—2
表1—1
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第2問 太陽電池は,光を電気に変換する素子である。ここでは,太陽電池を図2—1に示す記号を用いて表し,その出力電流 は図中の矢印の向きを正とする。また,図中の端子bを基準とした端子aの電位を出力電圧 とする。このとき, と の関係は,図2—2のようになり,下記の式(i),(ii)で表されるものとする。
(i) のとき,
(ii) のとき,
ここで, は照射光の強度,,, は全て正の定数である。以下の設問に答えよ。
ただし,回路の配線に用いる導線の抵抗は無視してよい。
Ⅰ 図2—3のように,太陽電池の端子間に電気容量 のコンデンサーを接続した。このとき,コンデンサーに電荷は蓄えられていなかった。この状態で,時刻 から一定の強度 の光を照射したところ,図2—4のように電流 が変化した。
(1) 図2—4中の時刻 を求めよ。
(2) 十分に時間が経過した後にコンデンサーに蓄えられた電荷を求めよ。
図2—1
図2—2
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図2—3
図2—4
Ⅱ 図2—5のように,太陽電池の端子間に抵抗値 の抵抗を接続し,強度 の光を照射した。 を変化させたとき,ある を境に, の範囲では,抵抗を流れる電流 が によらず となり, の範囲では, の増加とともに電流 が減少した。
(1) を求めよ。
(2) のときの電流 を,,,,, を用いて表せ。
(3) が に比べて十分小さいとき,抵抗で消費される電力が最大となる の値と,そのときの電力を求めよ。
図2—5
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Ⅲ 図2—6のように,二つの太陽電池1,2と抵抗値 の抵抗を直列に接続した。太陽電池1に強度 の光を,太陽電池2に強度 の光を同時に照射した。ただし, とする。太陽電池1,2の出力電圧をそれぞれ , とし,抵抗を流れる電流を とする。
(1) を調整したところ, となった。, を求めよ。
(2) (1)のとき が の何倍になるか答えよ。
(3) 次に, とした。, はどのような範囲にあるか。以下から正しいものを一つ選んで答えよ。
ア. かつ
イ. かつ
ウ. かつ
エ. かつ
(4) (3)の状態において,,, を求めよ。
図2—6
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第3問 図3—1(a)のように 平面上に設置した等間隔ではない多数の同心円状の細いスリットを用いると, 軸に平行に入射した光の回折光を図3—1(b)のように集めて収束させることができる。以下では問題を簡単にするため,同心円状のスリットを図3—1(c)に示すような直線状の細い平行なスリットで置き換えて,その原理を考えよう。以下の設問に答えよ。
図3—2に示すように, 軸上の原点Oを通り 軸に垂直な面Aと,面Aから距離 だけ離れたスクリーンBを考える。 方向(紙面に垂直)に伸びた細いスリット ,,,…を面A上の ,,,… の位置に配置する。波長 の光が,面Aの左側から 軸に平行に入射し,スリットを通過してスクリーンBに到達する。まず,スリット , のみを残し,他のスリットを全てふさいだところ,スクリーンB上に干渉縞が生じた。
(1) スクリーンB上で の位置Tにできるのは明線であるか暗線であるか。また,その理由を簡潔に述べよ。
(2) スクリーンB上で,この位置Tより下方( のより小さい方)に最初に現れる明線を,スリット , に対する1次の回折光と呼ぶ。1次の回折光が, の位置Rにあった。, は より十分に小さいものとして, を ,, を用いて表せ。必要ならば,近似式 ,( は より十分に小さいものとする)を用いてよい。
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図3—1
図3—2
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次に, の領域にある合計 本の多数のスリットすべてを用いる場合を考える。すべての隣りあうスリットの組 と について,それらの1次の回折光がRに現れるためには,その方向が とともに少しずつ変わるようにスリットを配置する必要がある。このように面Aに 本のスリットを設置したところ,Rに鮮明な明線が現れた。
(3) このとき 番目のスリットの位置 は のどのような関数になっているか。 を ,,, を用いて表せ。
(4) スクリーンBを 軸に沿って左右に動かすと,他にも に明線が現れる位置があった。それらの 座標をRに近い順に2つ答えよ。
(5) 左側から平行光線を入射する代わりに,図3—3に示すように 軸上の原点Oから距離 の点Pに波長 の点光源を置き,スクリーンBを 軸に沿って左右に動かすと, に明線が現れる位置 があった。その 座標 を, を含まない式で表せ。ただし,,,,…は , より十分に小さく, かつ であるとする。
(6) 図3—4は,設問(5)の状況において, 近傍に現れる明線の光の強度分布を の関数として示したものである。ただし,光の強度とは単位時間あたりに単位面積に到達する光のエネルギーである。図3—1(c)のように, の領域にも の領域と対称にスリットを配置して,スリットの総数を2倍にした。このとき,明線の強度や幅が変化した。以下の文中の 内に入るべき適当な整数もしくは分数を答えよ。
スリットの総数が2倍になったので,点 における光の波(電磁波)の振幅は ア 倍になる。光の強度は光の波の振幅の2乗に比例することが知られているので,点 での光の強度は ア の2乗倍になる。一方,明線内に単位時間に到達する光のエネルギーは イ 倍になるはずである。このことから,スリット数を2倍に増やすと明線の 方向の幅は,約 ウ 倍となると考えられる。
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図3—3
図3—4
第1問 ばねで坂の上へ打ち出す:一番飛ぶ角度
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方
坂の下にばねがあり、小球を押しつけて縮めてから放すと、坂の上の角 A から飛び出して、平らな面に落ちる問題。
前半 (1)〜(3) は坂の上の運動。小球はばねに押されているあいだ、「ばね + 重力の坂にそった成分」を受ける。重力の成分は一定なので、ゆれの中心(つりあいの位置)がずれるだけで、動きは周期 の単振動のまま。ばねの自然長の位置がちょうど A なので、小球は A でばねからはなれる。
後半 (4)〜(7) は A から飛び出したあとの放物運動。ふつうは「45° で投げると一番遠くへ飛ぶ」が、それは投げる速さが角度によらないときの話。ここでは坂を急にすると、A まで上る間に重力にエネルギーを取られて速さが落ちる。飛ぶ距離は「速さ」と「角度」の両方で決まるので、一番飛ぶ角度は 45° より小さくなる。
(1)
手をはなしても動かないのは、つりあっているとき。坂にそって、ばねが押し上げる力 と、重力の坂にそった成分 (下向き)がつりあう:
(2)
小球が A に届けば、そこで坂からはなれて飛び出す。A に届くには、ばねにためたエネルギーが、A までの高さを上るのに要るエネルギーより大きければよい。
縮み のばねのエネルギーは 。A までは坂にそって 、高さにして 上るので
両辺を で割ればよい。これは と同じ。つりあいの位置 を中心にゆれるので、中心から反対側の同じ距離、つまり より多く縮めないと A から飛び出さない。ちょうど のときは、A に速さ 0 で届いて(ばねの力がちょうど 0 になる所)引き返すので、やはり飛び出さない。 なら A まで届かない( ならつりあいの位置なので動かない)。
(3)
坂の上向きに位置をとる。小球はつりあいの位置(A から 手前)を中心に単振動し、角振動数は 。
で放すと、中心からのずれは で、これが振幅。A は中心から 先、つまり振幅の半分のところ。
放した位置(一番下)から、中心からのずれは と変わる。これが になるのは
1周期の にあたる。坂の角度は中心の位置を変えるだけで、この時間には効かない。
(4)
A まで、ばねのエネルギーが運動エネルギーと位置エネルギーに変わる:
を大きくすると が大きくなり、 は小さくなる。速さが一定なら 45° が一番だが、45° より少し角度を下げると、飛ぶ向きの損は小さい(45° の近くでは距離の変わり方がゆるやか)のに、速さの得はそのまま効く。だから一番飛ぶ角度は 45° より小さい。
答え, より小さい
(5)
A と落ちる面は同じ高さなので、速さ ・角度 で投げたときの水平距離は、ふつうの放物運動の式
(空中にいる時間 に横の速さ をかけたもの)。(4) の を入れて で割ればよい。
(6)
表1—1の値で を比べる:
20° で 、25° で 、30° で 、35° で 。
25° が一番大きい。45° では しかなく、ずっと損をする。
答え(本当の最大はの)
(7)
(5) のかっこの中で、 は の2乗、 は の1乗に比例する。 を大きくすると前の項がずっと大きくなり、坂を上る損 は無視できる。
すると は角度によらなくなり、 は だけで決まる。ふつうの放物運動と同じで、一番飛ぶ角度は 45° に近づく。強いばねほど坂の損が目立たず、教科書どおりの答えにもどる。
第2問 太陽電池とコンデンサー・抵抗・もう1つの太陽電池
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方
太陽電池を、ふつうの電池(電圧が一定)ではなく「電流がほぼ一定の電池」として扱う問題。出力電圧 が までは、光の強さで決まる電流 をそのまま流す。 をこえると、電圧が 上がるごとに電流が 1 ずつ減る(傾き で下がる)。図2—2の「横の線 → 角 → 坂」の形。
どの回路でも、やることは同じ:①つないだ相手(コンデンサー・抵抗・もう1つの電池)が決める電圧と電流の関係を書き、②太陽電池の (i)(ii) のどちらの側にいるかを決めて、連立する。どちらの側か分からないときは、片方を仮定して解き、仮定と食いちがわないかを確かめる。
電圧と電流のグラフに、太陽電池の線と相手の線を重ねて描くと、交わる点が実際に流れる電流と電圧になる。デモはこの見方で描いてある。
Ⅰ(1)
はじめコンデンサーは空で、電圧は 0。電圧が になるまでは (i) の側にいるので、電流は一定の 。図2—4で電流が平らな部分がこれ。
一定の電流で充電すると、電荷は時間に比例してたまる:。電圧 が に届くのが なので
Ⅰ(2)
をすぎると (ii) の側に入り、電圧が上がるほど電流が減る。十分に時間がたつと、充電が終わって電流は 0。
これにコンデンサーの電気容量 をかければ電荷。
Ⅱ(1)
抵抗では 。(i) の側()にいられるのは、そのときの電圧 が 以下のとき:
この境めの が 。抵抗が小さいうちは電圧が低く、電流は光で決まる一定の値のまま。
Ⅱ(2)
では (ii) の側。 を (ii) の式に入れると
両辺に をかけて を左にまとめると 。
Ⅱ(3)
:電流は で一定なので、電力 は とともに増える。 で 。
これは で一番大きく、 が より大きいほど小さくなる。 は よりずっと小さいので、 の範囲ではずっと減る一方。
だから一番大きいのは 、ちょうど角のところ。電流も電圧もいっぱいに使える点で、電力は電流 × 電圧 。本物の太陽電池でも、この「角」で使うように調節する。
答えのとき最大、
Ⅲ(1)
なので、電池1が流せる一番大きい電流は 、電池2(光が2倍)は 。
直列なので、どちらの電池にも同じ電流 が流れる。これはどちらの電池にとっても一番大きい電流より小さいので、どちらも (ii) の側(坂の上)にいる。
電池1:、電池2:。それぞれ 、 について解く。
Ⅲ(2)
抵抗にかかる電圧は、2つの電池の電圧の和 。オームの法則 に を入れて を出し、 と比べる。
Ⅲ(3)
まず、両方とも (ii) の側と仮定してみる。Ⅲ(1) と同じ式で 、。和が なので
ところがこれは電池1が流せる一番大きい電流 をこえていて、(ii) の側という仮定と食いちがう。
だから電池1は (i) の側()で、電流は に頭打ち。この電流は電池2にとっては一番大きい電流 より小さいので、電池2は (ii) の側()。
Ⅲ(4)
Ⅲ(3) より電流は電池1で決まり、。
電池2は (ii) の式で から が出る。
抵抗の電圧は で、これが に等しいので 。
は負になる。明るい電池2と小さい抵抗だけなら、もっと大きい電流が流れようとする。ところが暗い電池1は までしか流せないので、電池1の電圧が逆向きになって電流をおさえる。このとき電池1は電気を出す側ではなく、電気を使って熱にする側に回っている。太陽光パネルで、かげになった1枚が熱くなるのと同じしくみ。
答え, ,
第3問 間隔の変わるすき間で光を集める(ゾーンプレート)
答えは東大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方
板にたくさんの細いすき間(スリット)を開け、外へ行くほど間かくがせまくなるように並べると、レンズを使わずに光を1点に集められる(ゾーンプレート)。そのしくみを、まっすぐなスリットで考える問題。
光は波なので、2つ以上のすき間から来た光が重なると、山と山がそろう所は明るく(明線)、山と谷が重なる所は暗くなる。明るくなる条件は「道のりの差が波長 の整数倍」。
道のりの計算では、スリットの高さ が距離 よりずっと小さいので、近似 を使う。道のりのずれが に比例するので、「となりどうしの の差を一定にそろえる」ように並べれば、すべてのすき間からの光が同じ点で1波長ずつずれて届き、山がそろう。これが、外ほど間かくがせまい理由。
(1)
光は 軸に平行に入ってくるので、面 A の上の と には同時に同じ山・谷がとどき、2つのすき間は同じ調子(同じ位相)の波を出す。
T は の値が と のちょうどまん中で、2つのすき間からの距離が等しい。同じ調子で出た波が同じ距離を進んで届くので、山と山が重なって明るくなる。
答え明線。はとから同じ距離にあり、つのすき間は同じ波の山・谷で光を出すので、で山と山が重なる
(2)
T から下へ行くほど、(上のすき間)からの道のりが からより長くなっていく。T で差は 0 なので、下へ行って最初に明るくなるのは、差がちょうど になる所。
(3)
どのとなりどうしの組でも、R までの道のりの差が であればよい。(2) と同じ計算で
は1本進むごとに同じだけ ふえるので、。
は の平方根のように増えるので、外へ行くほど間かくがせまくなる。
(4)
スクリーンを の位置に動かすと、(3) と同じ計算で、となりどうしの道のりの差は
((3) の並べ方から分子は )。これが の整数倍 なら、すべての組でそろって明るくなる:
が R で、そのほかは 。R に近いものから2つ選ぶ。
(5)
点光源からの光は、すき間の高さによって、すき間に着くまでの道のりもちがう。P から を通って R までの道のりは、(2) と同じ近似で
となりどうしの差は 。1次の明線ではこれが なので
が消えて、レンズの式 と同じ形になる。 がこのスリットの焦点距離のはたらきをする。、 は、2次以上の明線と区別して1つに決めるための条件。
(6)
R では、すべてのすき間からの光がちょうど1波長ずつずれて、山がそろって届く。 にも同じように並べると、同じ調子の波が2倍の本数ぶん重なるので、振幅(波の高さ)は2倍(ア)。強度は振幅の2乗に比例するので4倍。
一方、すき間の数が2倍なので、通りぬける光のエネルギーも2倍(イ)。問題の考え方では、これがそのまま明線に入ると考える。
明線の強度(高さ)が4倍で、エネルギー(明線の「高さ × 幅」)が2倍なら、幅は 倍。すき間を増やすほど、光は鋭く1点に集まる。
(なお、実際に波を足しあわせて計算すると、上の組と下の組の光が干渉して明線のすぐとなりにも明るい所ができ、幅はここで考えたよりさらにせまくなる。)
答えア, イ, ウ(問題の考え方どおりの答え。本当の計算では約〜倍:参照)