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化 学 (4 問題 100 点)
化学問題 Ⅰ
次の文章(a),(b)を読み,問 1〜問 6 に答えよ。解答はそれぞれ所定の解答欄に記入せよ。原子量は,C = 12 とする。アボガドロ定数は,6.0 × 10 23 / m o l とする。解答の数値は有効数字 2 けたで答えよ。
(a) 黒鉛は,図 1 に示すような層状の結晶構造が繰り返された構造をもつ。この結晶の層内の最も近い炭素原子どうしは共有結合で結ばれている。一方,層と層は,共有結合の引力よりも弱い ア 力で結ばれており,粘着テープにより一層のみをはがしとれることが知られている。この一層のシートはグラフェンと呼ばれ,透明性や電気伝導性に優れることから,透明導電膜や各種センサーなどへの応用が期待されている。
黒鉛は非常に多数のグラフェンが重なった構造を有する一方,活性炭中には,グラフェンが数層だけ重なってできた厚さの薄い構造が多数存在し,それぞれが重なり合うことなく,さまざまな方向を向いているため空隙が大きい。そのため,活性炭は単位質量あたりの表面積が大きく,多くの物質を吸着することができる。
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図1
問 1 ア に入る適切な語句を答えよ。
問 2 図 1 を用いて黒鉛の密度を求め,単位を g / c m 3 としたときの数値を答えよ。
問 3 下線部の構造について,図 1 のように,同じ大きさのグラフェンが ア 力で結ばれて 3 層重なった構造が,孤立して存在するものとして,その構造の単位質量あたりの表面積を求め,単位を c m 2 / g としたときの数値を答えよ。ただし,表面に露出しているグラフェン面の面積を求めればよく,グラフェンの端で構成される側面の面積は考えなくてよい。また,グラフェン面を平面として面積を求めればよく,面の凹凸は考えなくてよい。
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(b) 炭素が工業的に大規模に利用される例のひとつに,鉄鉱石から銑鉄を製造する溶鉱炉での利用がある。溶鉱炉では炭素を主成分とする固体であるコークスが利用されるが,コークスの溶鉱炉における化学的な役割には,溶鉱炉を高温に保つための燃料としての役割と,鉄鉱石の主成分である酸化鉄 F e 2 O 3 を Fe まで還元するための還元剤を供給する役割がある。溶鉱炉では,図 2 に示すように,炉頂から鉄鉱石,コークス,石灰石が供給され,反応を起こしながら徐々に下方に移動し,炉底から溶融した銑鉄と,鉄鉱石中の不純物と石灰石が反応・混合してできたスラグが排出される。炉下部からは高温に加熱された空気が供給され,酸素 O 2 とコークス由来の炭素 C が反応し イ が生成する。反応式(1)〜(3)に示すように,イ により F e 2 O 3 は,ウ ,FeO,Fe と逐次的に還元され,イ は エ となる。
3 F e 2 O 3 + a イ ⇌ b ウ + c エ ( 1 )
ウ + d イ ⇌ e F e O + f エ ( 2 )
F e O + g イ ⇌ F e + h エ ( 3 )
一方,反応(1)〜(3)に必要な イ が,反応(4)によりコークス中の C から生成する。
C + i エ ⇌ j イ ( 4 )
反応(1)〜(3)のいずれかと反応(4)がともに進行することで,炭素の消費と酸化鉄の還元が進み,イ ,エ ,N 2 を主成分とするガスが炉頂から排出される。反応(1)〜(4)はいずれも可逆反応であり,溶鉱炉の運転条件はさまざまな化学平衡の制約を受ける。
この化学平衡の制約に関して,気体として イ ,エ ,N 2 のみが存在するものとして,反応(3)と反応(4)のみが起こる場合について考えてみよう。全圧は 100 kPa,温度は 939 K であり,この温度での反応(3)と反応(4)の圧平衡定数はそれぞれ 1.0(単位なし),42 kPa である。イ ,N 2 のモル分率をそれぞれ x , y とすると,反応(3)が右向きに進行するためには,x , y が次の式(5)を満たす必要がある。
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図2
y オ { = , > , < } カ ( 5 )
また,反応(4)が右向きに進行するためには,x , y が次の式(6)を満たす必要がある。
y キ { = , > , < } ク ( 6 )
これらのことから,y が ケ 以下では,反応(3)と反応(4)がともに右向きに進行する気体組成が存在しないことになる。
問 4 イ 〜エ に入る適切な化学式を答えよ。また,a 〜j に入る適切な係数を整数で答えよ。
問 5 オ ,キ に入る適切な記号を,{ } の中からそれぞれひとつ選択し答えよ。また,カ ,ク に入る適切な式を x を用いて答えよ。
問 6 ケ に入る適切な数値を答えよ。
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化学問題 Ⅱ
次の文章を読み,問 1〜問 5 に答えよ。解答はそれぞれ所定の解答欄に記入せよ。
真空にした容器に揮発性の純粋な液体 A を入れ,ある一定温度 T で密閉したまま放置し,気液平衡が成立する条件下におく。このとき気体が示す圧力(すなわち蒸気圧)を P A とする。液体 A に不揮発性の物質 B を溶かすと,溶液の蒸気圧は P A とは異なる値を示す。この現象を ア という。B として非電解質を用い,その少量を A に完全に溶かして希薄溶液を調製する。P A とこの希薄溶液の蒸気圧の差は,P A と B のモル分率(溶液の全物質量に対する B の物質量の割合)の積に等しいという関係式が知られている。
物質 B を揮発性の液体 C に置き換えた混合溶液を考える。A と C の組み合わせによっては,液体中の成分 C のモル分率 x C の大きさによらず,上記の関係式が成立する。すなわち P A と混合溶液中の成分 A の蒸気圧の差は イ と表すことができ,混合溶液中の成分 A の蒸気圧は P A と ウ の積に等しい。ここで,温度 T における純粋な液体 C の蒸気圧を P C とすると(ただし,P C > P A ),図 1 に示すように,A と C から成る混合溶液の全蒸気圧は x C の一次関数として表せる。したがって,混合溶液中の成分 C の蒸気圧は P C と エ の積に等しい。
成分 C のモル分率を x C 0 に設定し,A と C から成る混合溶液を調製した。図 2 に示す実験装置中の密閉型容器 1 をこの溶液で完全に満たした。容器 1 は,バルブ 1 を介して温度制御機能付容器 2 につながっている。容器 2 は,バルブ 2 を介して真空ポンプにつながっており,また,隔壁の水平移動操作によって容積を変更できる。なお,実験装置には,容器 2 内の温度,圧力,および液体中と気体中の成分 C のモル分率を測定する装置が備わっている。予め,容器 2 を真空にし,バルブ 2 を閉じてから,次の状態Ⅰ〜Ⅲを順につくった。なお,温度は常に T に保った。また,A と C は気体状態では理想気体としてふるまうものとする。
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図1 A と C から成る混合溶液の全蒸気圧と成分 C のモル分率の関係
図2 実験装置
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状態Ⅰ:バルブ 1 を開き,A と C から成る混合溶液を容器 2 に入れて放置すると溶液の一部が蒸発し,平衡状態になった。このとき圧力計は P 1 を示していた。ここで,液体中の成分 C のモル分率を x C 1 ,気体中の成分 C のモル分率を y C 1 とする。P C > P A の条件より,y C 1 > x C 1 になる。分圧の法則が成立するとき,成分 C に関する分圧と気体のモル分率の関係および分圧と蒸気圧の関係を用いると,式(1)に示すように,y C 1 は x C 1 の関数として表せる。
y C 1 = オ P 1 x C 1 ( 1 )
さらに,成分 A と C に関する分圧と蒸気圧の関係および分圧の法則を用いると,式(2)に示すように,y C 1 は x C 1 を使わずに表せる。
y C 1 = オ P 1 × カ P C − P A ( 2 )
状態Ⅱ:次に,気液平衡状態を保ちつつ,隔壁を移動して容積をゆっくり大きくしていくと,溶液が気体に変わっていった。溶液のすべてが気体に変わった瞬間,圧力計は P 2 (P 2 < P 1 )を示していた。この P 2 は式(3)で表せる。
P 2 = キ P C − ( ク ) x C 0 ( 3 )
状態Ⅲ:次に,隔壁を移動して容積をゆっくり小さくしていくと,気体と液体が共存する平衡状態になった。液体の全物質量を n L ,気体の全物質量を n G とし,さらに液体中の成分 C のモル分率を x C 3 ,気体中の成分 C のモル分率を y C 3 とすると,物質量の収支から式(4)が得られる。
n L n G = ケ x C 0 − x C 3 ( 4 )
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n L と n G が等しくなったとき,圧力計は P 3 (P 3 > P 2 )を示していた。この P 3 は式(5)で表せる。
P 3 = ( コ ) ( P C − P A ) + ( コ ) 2 ( P C − P A ) 2 + 4 P A P C 2 ( 5 )
問 1 文中の ア に適切な語句を記入せよ。
問 2 文中の イ ,ウ ,エ に適切な式を記入せよ。
問 3 状態Ⅰに関する等式中の オ ,カ に適切な式を記入せよ。
問 4 状態Ⅱに関する等式中の キ ,ク に適切な式を記入せよ。
問 5 状態Ⅲに関する等式中の ケ ,コ に適切な式を記入せよ。
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化学問題 Ⅲ
次の文章を読み,問 1〜問 4 に答えよ。解答はそれぞれ所定の解答欄に記入せよ。構造式は,記入例にならって記せ。
構造式の記入例:
ベンゼンの 6 つの C—H のうち,1 つが窒素原子に置き換わった化合物をピリジンといい,ピリジンにみられる 5 つの炭素原子と 1 つの窒素原子からなる六角形の骨格をピリジン環という。ピリジン環をもつ化合物では,ピリジン環の窒素原子を 1 位とし,その隣から炭素原子を 2 位,3 位,…と順に番号付けすることで,ピリジン環の炭素原子に結合した置換基の位置を指定できる(図 1 (a))。また,ピリジン環における窒素原子と 2 位の炭素原子との結合と,窒素原子と 6 位の炭素原子との結合は同等である。さらに,2 位と 3 位の炭素原子間の結合と 6 位と 5 位の炭素原子間の結合は同等であり,3 位と 4 位の炭素原子間の結合と 5 位と 4 位の炭素原子間の結合は同等であるため,ピリジン環における単結合と二重結合の位置を交換して表した図 1 (a),(b)は全く同等である。また,ピリジンの構造式はベンゼンの構造式にならい,図 1 (c),(d)のように表してもよい。
図1 ピリジンの構造式。N¹ や C²〜C⁶ の数字は,ピリジン環の窒素原子と炭素原子の番号付けを表す。
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ピリジン環をもつ化合物はベンゼン環をもつ化合物とよく似た性質を示すことがある。例えば,トルエンやスチレンを過マンガン酸カリウムで酸化すると ア が生成するのと同じように,ピリジン環の炭素原子に直接結合した炭化水素基は過マンガン酸カリウムで酸化される。
以下では,ピリジン環の炭素原子に結合した置換基は,ベンゼン環の炭素原子に結合した置換基と同様の化学反応を起こすとする。また,ピリジン環をもつ化合物では,化学反応の前後でピリジン環は変化しないとする。
問 1 ア に当てはまる適切な有機化合物名を答えよ。
問 2 分子式 C 7 H 9 N で表される,ピリジン環をもつ化合物として考えられる構造異性体の数を答えよ。ただし,ピリジン環の窒素原子に置換基は結合しないとする。また,図 2 に示す 4 つの構造式は全て同一の化合物を表すことに注意せよ。
図2
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問 3 化合物 A〜F はいずれも,ベンゼン環を構成する炭素原子のうち隣接する 2 つの炭素原子に置換基が結合した化合物,またはピリジン環の 3 位と 5 位の両方の炭素原子に置換基が結合した化合物である。以下の(あ)〜(か)を読み,化合物 A〜F の構造式を記せ。
(あ) 化合物 A〜D はいずれも同じ分子式 C 7 H 7 N O 2 で表される。
(い) トルエンに濃硝酸と濃硫酸の混合物を加えて加熱すると,化合物 A を含む混合物が得られた。
(う) 化合物 A,B を過マンガン酸カリウムで酸化すると,それぞれ化合物 E,F が得られ,それらの分子式は同じであった。
(え) 化合物 B,F にメタノールと濃硫酸を加えて加熱し完全にエステル化すると,それぞれ分子式 C 8 H 9 N O 2 ,C 9 H 9 N O 4 で表される化合物が得られた。
(お) 化合物 E をスズと濃塩酸を用いて還元すると化合物 C が得られた。
(か) 化合物 D はヨードホルム反応を示した。
問 4 化合物 G〜I はいずれも同じ分子式 C 9 H 11 N O 2 で表され,ベンゼン環に 1 つ置換基が結合した化合物,またはピリジン環の 2 位の炭素原子に置換基が結合した化合物である。化合物 G,H は不斉炭素原子をもたず,化合物 I は不斉炭素原子を 1 つもつ。以下の(き)〜(け)を読み,化合物 G〜I の構造式を記せ。ただし,鏡像異性体は区別しない。
(き) 化合物 G を完全に加水分解するとアルコール J とカルボン酸 K が得られ,アルコール J を硫酸酸性の二クロム酸カリウムで酸化するとアセトンが生成した。
(く) 化合物 H を完全に加水分解するとアルコール L と酢酸が得られた。アルコール L に濃硫酸を加えて加熱し脱水反応を行うと,置換基に二重結合をもつ化合物 M が生成し,化合物 M を過マンガン酸カリウムで酸化するとカルボン酸 K が得られた。
(け) 化合物 I を完全に加水分解すると,化合物 N と分子式 C 3 H 6 O 3 で表される化合物 O が得られた。
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化学問題 Ⅳ
次の文章を読み,問 1〜問 5 に答えよ。解答はそれぞれ所定の解答欄に記入せよ。問題文中の L はリットルを表す。なお,解答にあたっては,鏡像異性体を区別する必要はない。構造式は,記入例にならい,電離を考慮せずに記せ。原子量は H = 1.0 ,C = 12 ,N = 14 ,O = 16 とする。
構造式の記入例:
分子内にアミノ基(− N H 2 )とカルボキシ基(− C O O H )の両方をもつ化合物をアミノ酸という。タンパク質は約 20 種類の α -アミノ酸が縮合してできているが,タンパク質を構成しない様々な α -アミノ酸も存在する。なお,ここでは図 1 の構造式で表される α -アミノ酸について考える。さらに,図 2 に示すように,α -アミノ酸以外のアミノ酸も考えられる。
図 1(左)・図 2(右)
次に,ジペプチド A とトリペプチド B について以下の情報が与えられている。
ジペプチド A は不斉炭素原子を 1 つもつ化合物であり,分子式は C 7 H 12 N 2 O 5 であった。A に塩酸を加えて加熱し,完全に加水分解すると,環状構造をもたない 2 種類のアミノ酸 X1 と X2 が生じた。X1 と X2 はいずれも図 1 の構造式で表される α -アミノ酸であった。X1 を酸触媒の存在下でメタノールと反応させ,完全にエステ
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ル化させると,分子式 C 5 H 9 N O 4 の化合物が得られた。pH 7.0 において,それぞれのアミノ酸の電気泳動を行うと,X2 はほとんど移動しなかったが,X1 は大きく陽極側に移動した。
トリペプチド B の分子量は 289 であった。B に塩酸を加えて加熱し,完全に加水分解すると,環状構造をもたない 2 種類のアミノ酸 Y1 と Y2 が物質量比 1 : 2 で生じた。Y1 と Y2 のうち,Y2 のみが図 1 の構造式で表される α -アミノ酸であった。Y1 を酸触媒の存在下でメタノールと反応させ,完全にエステル化させると,分子式 C 4 H 9 N O 2 の化合物が得られた。
Y2 中の窒素原子はすべてアミノ基として含まれていた。0.1 mol の Y2 に含まれる窒素原子をすべてアンモニアに変えた。生じたアンモニアを 1 mol/L の硫酸水溶液 250 mL に吸収させたのち,残った硫酸を完全に中和するためには,1 mol/L の水酸化ナトリウム水溶液が 300 mL 必要であった。この実験結果から,Y2 に含まれる窒素の数は ア と決定される。
トリペプチド B とアミノ酸 Y2 は不斉炭素原子をもつが,Y2 に対してカルボキシ基を水素原子に置き換える反応を行うと,不斉炭素原子をもたない化合物が得られた。
問 1 図 2 に示した化合物の構造異性体となるアミノ酸の構造式をすべて記せ。ただし,化合物の電離は考慮しないものとする。
問 2 アミノ酸 X1 と X2 の構造式を記せ。
問 3 ジペプチド A の構造式を記せ。
問 4 ア に当てはまる適切な数値を答えよ。
問 5 アミノ酸 Y1 と Y2 の構造式を記せ。
第1問 黒鉛を 3 層だけはがすと、1 g の表面積は 850 m² 出題意図(京大) 問1 物質を構成する粒子間にはたらく力についての基礎的理解を問う。 問2 結晶構造の情報から物性値を導出する力を問う。 問3 限られた大きさの結晶の物性値を導出する力を問う。 問4 化学反応式を正しく記述できるかを問う。 問5 化学平衡について正しく理解しているかを問う。 問6 複数の化学反応が関わる化学平衡について正しく理解しているかを問う。
京大の解答例との答え合わせ 京大が解答例を出している小問は、すべて京大の解答例と一致した(解答例が出ていない小問は、自分で解いて確かめたもの)
答えは京大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 (a) 黒鉛は、炭素の正六角形が平面に広がった層(グラフェン)が、弱い力で重なったもの。密度は「正六角形 1 つぶんの柱に何個の C が入るか」で計算する。(b) 溶鉱炉の反応と、平衡が右へ進む条件(反応商 < 平衡定数)を気体の組成で書く。
問1 層と層は、共有結合より弱いファンデルワールス 力で結ばれている。
問2 正六角形の 6 つの頂点の C は、それぞれ 3 つの六角形で共有されるので、六角形 1 つあたり 6 × 1 3 = 2 個。図1 の 6.7 × 10 − 8 cm は 2 層分の間隔なので、層の間隔は 3.35 × 10 − 8 cm。
ρ = 2 × 12 / ( 6.0 × 10 23 ) 5.1 × 10 − 16 × 3.35 × 10 − 8 ≒ 2.3 g / c m 3
問3 3 層が重なった板は、表と裏の 2 面だけが表面に出る。面積 S の板の質量は、1 層あたり C が 2 S 5.1 × 10 − 16 個なので
2 S 3 × 2 S 5.1 × 10 − 16 × 12 6.0 × 10 23 = 5.1 × 10 − 16 × 6.0 × 10 23 36 ≒ 8.5 × 10 6 c m 2 / g
問4 コークスの C が O 2 と反応して一酸化炭素 C O (イ)ができ、F e 2 O 3 → F e 3 O 4 (ウ)→ F e O → F e と還元され、CO は C O 2 (エ)になる。
3 F e 2 O 3 + C O ⇌ 2 F e 3 O 4 + C O 2 , F e 3 O 4 + C O ⇌ 3 F e O + C O 2 , F e O + C O ⇌ F e + C O 2 , C + C O 2 ⇌ 2 C O
a 1, b 2, c 1, d 1, e 3, f 1, g 1, h 1, i 1, j 2。
答え イ C O ウ F e 3 O 4 エ C O 2 a 1 , b 2 , c 1 , d 1 , e 3 , f 1 , g 1 , h 1 , i 1 , j 2
問5 分圧は全圧 100 kPa にモル分率をかけたもの:p C O = 100 x 、p C O 2 = 100 ( 1 − x − y ) 。
反応(3)が右へ進む ⇔ p C O 2 p C O < 1.0 ⇔ 1 − x − y < x ⇔ y > 1 − 2 x (オ > 、カ 1 − 2 x )。
反応(4)が右へ進む ⇔ p C O 2 p C O 2 < 42 ⇔ 10000 x 2 100 ( 1 − x − y ) < 42 ⇔ y < 1 − x − 50 21 x 2 (キ < )。
答え オ > カ 1 − 2 x キ < ク 1 − x − 50 21 x 2
問6 両方が成り立つには 1 − 2 x < y < 1 − x − 50 21 x 2 。2 つの線が等しくなるのは x = 50 21 x 2 、x = 21 50 = 0.42 で、そのとき y = 1 − 0.84 = 0.16 。y がこれ以下では、どの x でも 2 つの不等式を同時にみたせない。ケ 0.16。
第2問 2 つの液を混ぜた液を、少しずつ気体にしていく 出題意図(京大) 問1 溶液の性質に関する基礎的理解力を問う。 問2 2 種類の揮発性の液体から成る混合溶液に拡張する力を問う。 問3 分圧の法則を基礎として,分圧と気体のモル分率の関係および分圧と蒸気圧の関係を組み合わせる思考力を問う。 問4 気液の状態に関する正確な理解に基づいて,圧力を導くための応用力を問う。 問5 物質量の収支を基礎として,発展的思考のもとに,圧力を導くための応用力を問う。
京大の解答例との答え合わせ 京大が解答例を出している小問は、すべて京大の解答例と一致した(解答例が出ていない小問は、自分で解いて確かめたもの)
答えは京大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 ラウールの法則:混合溶液の中の成分の蒸気圧は「純粋なときの蒸気圧 × 液の中のモル分率」。A も C もこれにしたがうので、全蒸気圧は x C の一次関数(図1)。気体の組成は分圧の比で決まり、蒸発しやすい C が液より多く入る。状態Ⅰ〜Ⅲ でこれを組み合わせる。
問1 不揮発性の物質を溶かすと蒸気圧が下がる:蒸気圧降下 。
問2 A の蒸気圧は P A ( 1 − x C ) なので、P A との差は P A x C (イ)、蒸気圧は P A と 1 − x C (ウ)の積。全蒸気圧が一次関数で x C = 1 のとき P C なので、C の蒸気圧は P C x C (エ)。
問3 C の分圧は P 1 y C 1 で、これが P C x C 1 に等しいので y C 1 = P C P 1 x C 1 (オ P C )。全圧 P 1 = P A + ( P C − P A ) x C 1 から x C 1 = P 1 − P A P C − P A (カ P 1 − P A )。
問4 全部気体になった瞬間の気体の組成は x C 0 。そのとき最後の一滴の液の組成を x とすると、P 2 x C 0 = P C x 、P 2 ( 1 − x C 0 ) = P A ( 1 − x ) 。x を消すと
x C 0 P C + 1 − x C 0 P A = 1 P 2 ⟹ P 2 = P A P C P C − ( P C − P A ) x C 0
問5 C の物質量の収支:( n L + n G ) x C 0 = n L x C 3 + n G y C 3 から n L n G = y C 3 − x C 0 x C 0 − x C 3 (ケ)。
n L = n G のとき 2 x C 0 = x C 3 + y C 3 。x C 3 = P − P A P C − P A 、y C 3 = P C P x C 3 を入れて整理すると
P 2 + ( 1 − 2 x C 0 ) ( P C − P A ) P − P A P C = 0
第3問 ベンゼンの C を 1 つ N にしたピリジン:同じ反応で構造をしぼる 出題意図(京大) 問1 芳香族分子に関する基礎的理解を問う。 問2 ピリジン環をもつ有機化合物を題材とし,置換基の結合位置の違いによって生じる構造異性体を正確に把握できるかを問う。 問3, 問4 与えられた情報をもとに,有機化合物の構造や性質に関する理解を総合して有機化合物の構造を決定するとともに,その分子構造を正しく記述する力を問う。
京大の解答例との答え合わせ 京大が解答例を出している小問は、すべて京大の解答例と一致した(解答例が出ていない小問は、自分で解いて確かめたもの)
答えは京大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 ピリジンはベンゼンの CH を 1 つ N にかえたもの。置換基はベンゼンと同じように反応する(過マンガン酸カリウムで炭化水素基 → COOH など)。問3 の化合物は「ベンゼン環のとなり合う 2 か所」か「ピリジン環の 3 位と 5 位」に置換基をもつ。炭素の数が 6 個(ベンゼン環)か 5 個(ピリジン環)か で、置換基に使える炭素の数が変わるのが見分けのポイント。
問1 トルエンやスチレンの側鎖は酸化されて COOH になる:安息香酸 。
問2 C 7 H 9 N はピリジン(C 5 H 5 N )に炭素 2 個ぶんの置換基。エチル基 1 つなら 2・3・4 位の 3 通り(6 位は 2 位と同じ)。メチル基 2 つなら (2,3)(2,4)(2,5)(2,6)(3,4)(3,5) の 6 通り。合わせて 9 。
問3 (い) トルエンのニトロ化で A。となり合う 2 か所なので o -ニトロトルエン(C 7 H 7 N O 2 )。(う) 酸化で E は o -ニトロ安息香酸(C 7 H 5 N O 4 )。(お) E のニトロ基を還元した C は o -アミノ安息香酸。
F は E と同じ分子式で、メタノール 2 分子とエステルをつくる(C 9 H 9 N O 4 )ので COOH が 2 つ。ベンゼン環に COOH 2 つでは N が入らないので、ピリジン-3,5-ジカルボン酸。B は COOH 1 つ(エステルで C 8 H 9 N O 2 )で、酸化すると F になるので、もう 1 つはメチル基:5-メチルピリジン-3-カルボン酸。
(か) D はヨードホルム反応を示すので C H 3 C O − をもつ。ベンゼン環(C₆)にアセチル(C₂)では炭素が多すぎるので、ピリジン環。残りの置換基は O と H で OH:3-アセチル-5-ヒドロキシピリジン。
答え A: o -ニトロトルエン B:5-メチルピリジン-3-カルボン酸 C: o -アミノ安息香酸 D:3-アセチル-5-ヒドロキシピリジン E: o -ニトロ安息香酸 F:ピリジン-3,5-ジカルボン酸
問4 (き) J は酸化でアセトンになるので 2-プロパノール。K = G + H 2 O − C 3 H 8 O = C 6 H 5 N O 2 。N をもつので、ピリジン-2-カルボン酸。G はそのイソプロピルエステル。
(く) H の加水分解で酢酸と L。L = C 9 H 11 N O 2 + H 2 O − C 2 H 4 O 2 = C 7 H 9 N O 。脱水して酸化すると K になるので、2 位に炭素 2 個の側鎖。L が C H ( O H ) C H 3 だと H の側鎖の炭素が不斉になるので、C H 2 C H 2 O H 。H は C 5 H 4 N − C H 2 C H 2 − O − C O − C H 3 。
(け) N = C 9 H 11 N O 2 + H 2 O − O で、N はアニリン C 6 H 7 N なので O は C 3 H 6 O 3 のヒドロキシ酸。分子式だけなら乳酸 C H 3 C H ( O H ) C O O H と 3-ヒドロキシプロパン酸 H O C H 2 C H 2 C O O H の 2 つがありうるが、I が不斉炭素を 1 つもつので、不斉炭素をもつ乳酸に決まる(3-ヒドロキシプロパン酸には不斉炭素が無い)。I は乳酸のアニリド C 6 H 5 − N H − C O − C H ( O H ) − C H 3 。
答え G:ピリジン-2-カルボン酸イソプロピル H:酢酸 2-(2-ピリジル)エチル( C 5 H 4 N − C H 2 C H 2 − O − C O − C H 3 ) I: C 6 H 5 − N H − C O − C H ( O H ) − C H 3
第4問 ペプチドをばらばらにして、アミノ酸の形を当てる 出題意図(京大) 問1 [出題意図] アミノ酸を題材に、有機化合物の構造の違いに関する基礎的な理解を問う。 問2,3 [出題意図] アミノ酸の性質や与えられた基礎的な反応の情報から、未知の分子の化学構造を決定する論理的思考能力を問う。 問4 [出題意図] 中和滴定の基本的な理解を問う。 問5 [出題意図] 反応前後における分子式や分子量の変化、さらには基礎的な反応の情報から、未知の分子の化学構造を決定する論理的思考能力を問う。
京大の解答例との答え合わせ 京大が解答例を出している小問は、すべて京大の解答例と一致した(解答例が出ていない小問は、自分で解いて確かめたもの)
答えは京大の正解ではなく、自分で解いて、式とは別の計算で確かめたもの。
問題の読み方 ペプチドを加水分解すると、つながっていたアミノ酸にもどる(アミド結合 1 つにつき H 2 O 1 分子)。エステル化で増えた炭素の数から COOH の数、電気泳動から酸性か中性か、中和の量から N の数、不斉炭素の有無から置換基の位置がわかる。
問1 図2 は 3-アミノブタン酸(C 4 H 9 N O 2 )。同じ分子式で COOH と N H 2 をもつものは、炭素の骨格(直鎖・枝分かれ)と N H 2 の位置で、2-アミノブタン酸、4-アミノブタン酸、3-アミノ-2-メチルプロパン酸、2-アミノ-2-メチルプロパン酸の 4 つ。
答え C H 3 C H 2 C H ( N H 2 ) C O O H 、 H 2 N C H 2 C H ( C H 3 ) C O O H 、 H 2 N C H 2 C H 2 C H 2 C O O H 、 ( C H 3 ) 2 C ( N H 2 ) C O O H
問2 X1 のメチルエステルが C 5 H 9 N O 4 。メタノール 2 分子とエステルをつくった(O が 4 つ)とすると、X 1 = C 5 H 9 N O 4 − 2 C H 2 = C 3 H 5 N O 4 :COOH 2 つのアミノマロン酸 H O O C − C H ( N H 2 ) − C O O H 。酸性アミノ酸なので pH 7 で陰イオンになり陽極へ動く。X 2 = A + H 2 O − X 1 = C 4 H 9 N O 2 の α-アミノ酸で、中性:2-アミノブタン酸。
答え X1: H O O C − C H ( N H 2 ) − C O O H X2: C H 3 C H 2 C H ( N H 2 ) C O O H
問3 X1 の α 炭素は、COOH が 2 つのままなら不斉ではないが、片方がアミド結合になると不斉になる。A の不斉炭素は 1 つ(X2 の α 炭素)なので、X1 の COOH はどちらも残っている。X2 の COOH と X1 の N H 2 がアミド結合:C H 3 C H 2 C H ( N H 2 ) − C O − N H − C H ( C O O H ) 2 。
答え C H 3 C H 2 C H ( N H 2 ) − C O − N H − C H ( C O O H ) 2
問4 硫酸 0.25 mol は H + 0.50 mol。NaOH 0.30 mol で中和したので、アンモニアは 0.20 mol。0.1 mol の Y2 から 0.2 mol なので N は 2 個。
問5 Y1 のメチルエステル C 4 H 9 N O 2 から Y 1 = C 3 H 7 N O 2 で、α でないので β-アラニン H 2 N C H 2 C H 2 C O O H 。
B の分子量 289 = Y 1 + 2 Y 2 − 2 × 18 から Y2 は 118。N 2 つの α-アミノ酸で 118 は C 4 H 10 N 2 O 2 (ジアミノブタン酸)。COOH を H にかえると不斉炭素が無くなるので、2 つの N H 2 は 2 位と 4 位(1,3-ジアミノプロパンになる):H 2 N − C H ( C O O H ) − C H 2 C H 2 − N H 2 。
答え Y1: H 2 N − C H 2 C H 2 − C O O H Y2: H 2 N − C H ( C O O H ) − C H 2 C H 2 − N H 2