九大 過去問 2025年 化学|AI解答・解説・シミュレーション|アトリエファクトリー

九大理系科目 AI解答・シミュレーション‹ 九大化学 2025‹ 化学2025

このページの出典

九州大学 令和7年度 前期日程 理科(化学基礎・化学)(改変あり)(2025年。九州大学のサイト(「試験問題、解答例等について」のページ)の PDF)

問題・解答例・出題意図(九州大学の公表資料)

九州大学の利用の条件について

九州大学は「九州大学入学試験問題等の利用について」(令和7年3月31日)で、入学試験問題等の2次利用(インターネット上に載せることを含む)を、条件を守ることで事前の承認なしにできるとしている。このサイトでの対応は次のとおり。

解答とシミュレーション(AIで作成)

制作

制作:アトリエファクトリー(aTELiER FACTORY) https://atelierfactory.jp/

お知らせ

解答・解説・シミュレーションは、すべて AI で作成しています。九州大学が公表した解答ではありません。

理科は、九州大学の「標準解答例」と見比べ、すべて一致しています(標準解答例を先に開いているので、見ずに解いたとは言えません)。数学は九州大学が解答例を出していないので、自分で解いて別の計算で確かめています。作成に使ったものとは別のAIでも全問を点検し、見つかった誤りを直しています。くわしくは「問題取得方法と回答生成方法」をご覧ください。

19

化学基礎・化学

必要な場合は,次の値を用いよ。

2=1.4,3=1.7

原子量:H = 1.00,C = 12.0,N = 14.0,O = 16.0,Cr = 52.0

ファラデー定数:F=9.65×104 C/mol

標準状態(0 ℃,1.013×105 Pa)の理想気体のモル体積:22.4 L/mol

20

第1問

次の文章 (1) と (2) を読み,問 1〜問 6 に答えよ。(30 点)

(1) 金属は外部からの光を反射する〔 ア 〕や,たたいて薄く広げることができる〔 イ 〕などの性質をもっており,これらは金属中の〔 ウ 〕と関係している。金属結晶の構造の多くは〔 エ 〕,〔 オ 〕および六方最密構造の 3 つの結晶格子に分類される。ここで,〔 エ 〕と〔 オ 〕の 2 種類の格子について考える。単位格子の一辺の長さを a,原子半径を r とし,a と r の関係を比較すると,〔 エ 〕では a=〔 カ 〕r であるのに対し,〔 オ 〕では a=22r となる。単位格子中の原子数と充塡(じゅうてん)率を比較すると,〔 エ 〕では原子数が〔 キ 〕,充塡率が 3π8×100〔%〕であるのに対し,〔 オ 〕では原子数が 4,充塡率が〔 ク 〕×100〔%〕となる。

問 1.文章 (1) の空欄〔 ア 〕〜〔 ク 〕に入る適切な語句または数値を以下の (A)〜(X) のなかからひとつずつ選んで記号を記入せよ。

(A) 143  (B) 2π6  (C) 共有結合格子  (D) 132

(E) 2π8  (F) 展性  (G) 価電子  (H) 金属光沢

(I) 共有電子対  (J) 43  (K) 3π6  (L) イオン結晶格子

(M) 体心立方格子  (N) 433  (O) 延性  (P) 233

(Q) 6  (R) 自由電子  (S) 面心立方格子  (T) 2

(U) 分子結晶格子  (V) 発光  (W) 2  (X) 薄片化

問 2.ある元素の結晶は温度を上げることによって体心立方格子から面心立方格子へ結晶格子が変化する。体心立方格子の単位格子の体積を 1 とするとき,面心立方格子の単位格子の体積を有効数字 2 桁で答えよ。ただし,原子半径 r は温度に依存せず,各単位格子中の最も近接する原子は互いに接していると仮定する。

21

問 3.ある金属元素 M と Z を混ぜ合わせて結晶格子が体心立方格子となる合金をつくった。その単位格子は,各頂点に M 原子,中心に Z 原子が位置し,M と Z 原子は互いに接していると仮定する。M と Z の原子半径をそれぞれ rM および rZ,原子量を AM および AZ とするとき,この合金の密度を求める計算式を以下の (A)〜(J) のなかからひとつ選んで記号を記入せよ。ただし,アボガドロ定数は NA とする。

(A) 33(AM+AZ)8NA(rM+rZ)3  (B) NA(AM+AZ)22(rM+rZ)3  (C) 3NA(AM+AZ)22(rM+rZ)3

(D) 2NA(AM+AZ)2(rM+rZ)3  (E) 33(AM+AZ)2NA(rM+rZ)3  (F) 33NA(AM+AZ)8(rM+rZ)3

(G) 33(AM+AZ)8NA(rM+2rZ)3  (H) 3(AM+AZ)2NA(rM+rZ)3  (I) NA(AM+AZ)2(rM+rZ)3

(J) 2(AM+AZ)4NA(rM+rZ)3

22

(2) 金属であっても直径 1 nm〜100 nm(nm = 10−9 m)程度のナノ粒子となると,金属の塊とは違う特徴を示す。金属ナノ粒子の一例として,コロナウイルスの簡易検査キット(陽性判定の可視化)などに用いられている金ナノ粒子がある。金ナノ粒子の水中での振る舞いについて考える。

典型的な金ナノ粒子の合成法として,テトラクロリド金(Ⅲ)酸(HAuCl4)を液中で還元する方法がある。沸騰させた HAuCl4 水溶液をかき混ぜながら,三価カルボン酸の塩であるクエン酸三ナトリウムの水溶液を加えると,無色透明な溶液から金ナノ粒子に由来する赤色溶液へと変化する。反応後の溶液に (a)<u>光を当てると,光の通路が明るく輝いて見える</u>。

金は水と比べ密度が非常に高い(19.3 g/cm³)にもかかわらず,この方法で合成した金ナノ粒子は水溶液中において沈むことなく分散する。これは,重力による (b)<u>沈降とつりあう作用</u>が働いているためである。また,金ナノ粒子が電離したクエン酸に覆(おお)われ,電荷を帯びることによって互いに反発することも,金ナノ粒子の分散に大きく関わっている。このため,金ナノ粒子の分散性は,(c)<u>溶液条件や金ナノ粒子を覆う分子の影響を大きく受ける</u>。

問 4.下線部 (a) と同じ現象が見られるものを以下の (A)〜(E) のなかからすべて選んで記号を記入せよ。

(A) 硫酸銅(Ⅱ)水溶液  (B) スクロース水溶液  (C) 煙

(D) デンプン水溶液  (E) 塩化鉄(Ⅲ)水溶液

問 5.下線部 (b) に関する以下の文章の空欄〔 ケ 〕と〔 コ 〕に入る適切な語句を答えよ。

金ナノ粒子の水溶液に光を当てながら散乱光を顕微鏡で観察すると,粒子が不規則に運動する様子が見られる。これは,熱運動している〔 ケ 〕が金ナノ粒子に不規則に衝突するためである。このようにして起こる粒子の不規則な運動を〔 コ 〕運動という。

23

問 6.下線部 (c) に関して以下の問いに答えよ。

(i) 金ナノ粒子の水溶液に電解質を添加すると,凝集させることができる。本文中の方法によって合成された金ナノ粒子に対し,最も少ない物質量で凝集させることができる化合物を以下から選んで化学式で答えよ。

炭酸ナトリウム  硝酸カリウム  リン酸三ナトリウム  硫酸アルミニウム  塩化マグネシウム

(ii) 合成した金ナノ粒子の水溶液にチオール基(−SH)をもつ分子を加えると,チオール基と金との強い結合によって金ナノ粒子を覆う分子を置き換えることができる。この方法で,チオール基をもつアミノ酸であるシステインで覆われた金ナノ粒子を作製した。pH の異なる水溶液 X と水溶液 Y 中で金ナノ粒子の電気泳動を行ったところ,水溶液 X 中では陰極の方へ移動したが,水溶液 Y 中ではいずれの電極側にも移動しなかった。水溶液 X と水溶液 Y の pH として適切なものを以下の (A)〜(C) のなかから選んで記号を記入せよ。ただし,金ナノ粒子の帯びる電荷は金ナノ粒子に結合したシステインのみで決まるものとし,その等電点は 6.0 とする(金ナノ粒子自体とチオール基の影響は無視する)。

(A) pH 2.0  (B) pH 6.0  (C) pH 10.0

24

第2問

次の文章 (1) と (2) を読み,問 1〜問 5 に答えよ。(25 点)

(1) 燃料電池は,水素と酸素の反応を利用して化学エネルギーを電気エネルギーとして取り出すことができる装置である。電極には多孔性の白金電極が用いられており,負極では水素の〔 ア 〕反応,正極では酸素の〔 イ 〕反応が進行し,放電によって水が生成する。一方,希硫酸の電気分解では,電気エネルギーを化学エネルギーに変換することができる。電極には白金電極が用いられ,陰極では水素イオンの〔 イ 〕反応,陽極では水の〔 ア 〕反応が進行し,燃料電池の放電時とは逆の反応が起きる。燃料電池の放電が自発的に進行するのに対し,希硫酸から水素と酸素が自発的に生成しないのは,この反応が〔 ウ 〕反応であるためである。

問 1.文章 (1) の空欄〔 ア 〕〜〔 ウ 〕に入る適切な語句を答えよ。

問 2.燃料電池の理論的な起電力〔V〕を小数点以下 2 桁で答えよ。なお,各反応の標準電極電位の値は以下の通りである。

4H++4e−→2H2  0.00 V

2O2+4H++4e−→2H2O2  +0.70 V

O2+4H++4e−→2H2O  +1.23 V

2H2O2+4H++4e−→4H2O  +1.76 V

問 3.希硫酸の電気分解の反応 2H2O→2H2+O2 におけるエネルギー変化 𝛥E〔J〕は,電気量 Q〔C〕と各電極で起きる反応の標準電極電位の差 𝛥V〔V〕の積から求めることができる。この反応のエネルギー変化〔kJ〕を有効数字 3 桁で答えよ。

25

(2) クロムは空気中で不動態を作るため,鉄や鋼製品のめっきに広く用いられている。クロムめっきは,酸化クロム水溶液を電気分解する電気めっき法によって作られている。酸化クロムを用いた電気めっき法では,陰極に鉄,陽極に白金を用い,酸化クロムを溶かした希硫酸をよくかき混ぜながら電気分解する。このとき,陰極ではクロムが析出し,気体も発生する。一方,陽極では気体が発生する。

問 4.酸化クロム(CrO3)は以下の式①〜⑤のように反応する。空欄〔 エ 〕〜〔 カ 〕に入る適切な化学式を答えよ。

CrO3+H2O→〔 エ 〕+2H+  ①

2〔 エ 〕+2H+→〔 オ 〕+H2O  ②

陰極

〔 オ 〕+14H++6e−→2〔 カ 〕+7H2O  ③

〔 カ 〕+3e−→Cr  ④

陽極

〔 カ 〕→Cr6++3e−  ⑤

問 5.陽極に流れた電気量のうち,34 が気体の生成に消費されて標準状態(0 ℃,1.013×105 Pa)において 20.2 L の気体が発生し,14 が式⑤の反応に消費されたとする。また,陰極に流れた電気量のうち,13 が気体の生成に消費され,12 が式③の反応に消費され,16 が式④の反応に消費されたとする。このとき,陰極で析出するクロムの質量〔g〕を有効数字 2 桁で答えよ。ただし,生成した気体は全て理想気体とみなし,希硫酸には溶けないとする。

26

第3問

次の文章を読み,問 1〜問 4 に答えよ。(20 点)

窒素,(a)<u>リン酸</u>,(b)<u>カリウム</u>は肥料の三大要素である。窒素は,空気から分離することによって得られ,資源としては無尽蔵に存在しているといえる。しかし,空気中の窒素をそのまま肥料として利用することはできない。窒素を生物が利用可能な窒素化合物に変換するプロセスを窒素固定という。マメ科植物は,その根に共生するバクテリアの働きによって窒素固定を行っている。また,雷による窒素固定も知られている。雷による空中放電によって,空気中の窒素と酸素が反応して,(c)<u>窒素酸化物</u>が生成し,それが雨に溶けて地上に降り注ぎ,植物の栄養源となる。

一方,人類は工業的に窒素の窒素化合物への変換を行っている。ハーバー・ボッシュ法を用いて窒素と水素を反応させることでアンモニアを合成することができる。オストワルト法を用いるとアンモニアから硝酸が得られる。これらのアンモニアや硝酸を得るための一連の工業プロセスは 20 世紀初頭にドイツの化学者たちによって確立された。それにより,化学肥料の大量生産が可能となり,農業生産性が飛躍的に向上した。しかしながら,(d)<u>化学肥料の使用には環境への影響の観点から多くの課題が残されている</u>。

問 1.下線部 (a) に関して,リン酸肥料について述べた次の文章中の空欄〔 ア 〕と〔 イ 〕に入る適切な化学式を以下の (A)〜(P) のなかからひとつずつ選んで記号を記入せよ。

リン鉱石は〔 ア 〕を主成分とし,水に不溶であるため,それをそのまま肥料として用いることはできない。そこで,それを硫酸と反応させて得られる〔 イ 〕と硫酸カルシウムの混合物である過リン酸石灰が肥料として用いられる。

(A) P3O4  (B) Ca3P2  (C) Ca(HPO)3  (D) Ca2PO4

(E) Ca2HPO3  (F) HPO2  (G) H3PO4  (H) Ca3(H2PO3)2

(I) Ca(H3PO)2  (J) P2O5  (K) Ca3(PO4)2  (L) Ca3(HPO2)2

(M) Ca2HPO4  (N) Ca2PO3  (O) Ca(H2PO4)2  (P) Ca(HP2O)2

27

問 2.下線部 (b) に関して,主要なカリウム肥料として,塩化カリウムが知られている。これは,塩化カリウムと塩化ナトリウムの混合物であるシルビナイトという鉱物を熱水に溶解し,その飽和水溶液を冷却して析出させることで得られる。この溶解の過程について述べた次の文章中の空欄〔 ウ 〕〜〔 オ 〕に入る適切な語句を答えよ。

室温における塩化カリウムと塩化ナトリウムの〔 ウ 〕はそれぞれ +17.2 kJ/mol および +3.88 kJ/mol である。これは,これらの物質の溶解が,エネルギーの高い状態への変化であることを示しており,それは溶解を妨げる駆動力となる。しかし,溶解によって,構成粒子のイオンが規則正しく配列した状態から,水中に分散した状態へと変化することにより〔 エ 〕が大きな状態になろうとする駆動力が上回るため,溶解が自発的に進行する。粒子の〔 エ 〕の度合いは,〔 オ 〕と呼ばれる量で表される。〔 オ 〕の影響は,温度が高いほど大きくなる。

問 3.下線部 (c) に関して,刺激臭のある赤褐色の気体で,水に溶けやすい性質をもち,奇数個の電子を有する窒素酸化物の分子式およびその窒素酸化物における窒素原子の酸化数を答えよ。

問 4.下線部 (d) に関して,化学肥料の生産および使用における環境負荷軽減技術の開発が進められている。生産時の環境負荷軽減策として,再生可能エネルギーを利用した水の電気分解による水素の製造があげられる。ここで,5.0 A の電流を 1930 秒間流して,水を電気分解して得られた水素を用いて,ハーバー・ボッシュ法でアンモニアを合成したとする。そのアンモニアを用いて,オストワルト法で硝酸を合成した場合,理論上硝酸は最大何 g 得られるか,有効数字 2 桁で答えよ。ただし,水,およびハーバー・ボッシュ法やオストワルト法で必要となる窒素や酸素は無尽蔵に供給されるものとする。

28

第4問

次の文章 (1)〜(6) を読み,問 1〜問 5 に答えよ。構造式を記入するときは,記入例にならって記せ。(25 点)

構造式の記入例

4f1

(1) 分子式 C6H12O の化合物 A,B,C はそれぞれ単一の化合物であり,いずれも不斉炭素原子や,立体異性体が生じうる構造を含まない。

(2) 各化合物をナトリウムの単体と反応させたところ,すべての化合物から気体の発生が見られた。

(3) 各化合物を二クロム酸カリウム水溶液と反応させると,化合物 A,C からは酸化された生成物が得られたが,化合物 B は酸化されなかった。

(4) 各化合物を白金触媒の存在下で水素と混合すると,化合物 C からは等モル量の水素が付加した化合物が生成したが,化合物 A,B は反応しなかった。

(5) 化合物 A,B,C を適切な酸性条件で加熱したところ,化合物 A からは化合物 D が,化合物 B からは化合物 E が,化合物 C からは化合物 F が,それぞれ主な生成物として得られた。化合物 D,E,F は,いずれも炭素原子と水素原子のみからなる化合物である。なお,それぞれの反応条件において,分子間反応や,アルケンの異性化(二重結合の位置が異なる構造異性体に変化する反応)は起こらないものとする。

(6) 化合物 D を酸性の過マンガン酸カリウム水溶液と完全に反応させると,〔 ア 〕が得られた。〔 ア 〕はナイロン 66 の原料である。

29

問 1.化合物 A,B,C の構造式を下記の①〜⑥から選んで番号で答えよ。

4f2

問 2.文章 (5) において,化合物 B からは主生成物である化合物 E のほかに,構造異性体の関係にある別の生成物が生じる可能性がある。化合物 E,および考えられるもう一方の生成物それぞれの構造式を答えよ。

問 3.文章 (6) の空欄〔 ア 〕にあてはまる化合物の名称を答えよ。

問 4.2.00 g の化合物 F を酸性の過マンガン酸カリウム水溶液と完全に反応させると,気体の発生とともに化合物 G が生成した。化合物 G の構造式を答えよ。また,生じた気体の名称,およびその標準状態(0 ℃,1.013×105 Pa)における体積〔L〕を有効数字 3 桁で答えよ。

問 5.直鎖状の炭素骨格をもつ化合物 H,I は,化合物 A,B,C と分子式が同じであるが,構造は問 1 の①〜⑥のいずれとも異なる。また,次の (i)〜(iii) のような化学的性質をもつ。化合物 H と I の構造式を答えよ。

(i) いずれの化合物も,単体ナトリウムと反応させても気体を生じない。

(ii) 塩基性の水溶液中でヨウ素と反応させると,化合物 H を加えた場合のみ黄色沈殿が生じる。

(iii) アンモニア性硝酸銀水溶液中で加熱すると,化合物 I を加えた場合のみ銀の析出が見られる。

30

第5問

次の文章 (1) と (2) を読み,問 1〜問 5 に答えよ。(25 点)

(1) グルコースは,環状構造と鎖状構造の平衡状態にある(図 1)。図 1 では,環状構造をいす形と呼ばれる形式で表記している。

5f1

図 1

鎖状構造に〔 ア 〕基があるため,グルコースの水溶液をフェーリング液と混合すると,〔 イ 〕を含む赤色沈殿を生じる。

環状構造の 1 位炭素(C1)は〔 ア 〕基をもたず,エーテル結合とヒドロキシ基からなる〔 ウ 〕構造をもつ。環状構造には,立体異性体の関係にある α 型と β 型がある。

グルコースは,水溶液中で反応条件 X におくと,エンジオール中間体①となったあと,グルコースへ戻る反応と,グルコースの構造異性体である化合物②やグルコースの立体異性体である化合物③に変換される反応が起こり,それらの混合物となる(図 2)。

5f2

図 2

問 1.文章 (1) の空欄〔 ア 〕と〔 ウ 〕に入る適切な語句,空欄〔 イ 〕に入る適切な化学式を答えよ。

31

問 2.グルコースと,その C4 の立体異性体であるガラクトースの鎖状構造を,フィッシャー投影式で表記すると図 3 のようになる。これを参考に,化合物②と③のフィッシャー投影式を図 4 のように作成する。空欄 (あ)〜(く) に入る適切な部分構造を,(A)〜(F) から選んで記号を記入せよ。なお,部分構造 (A)〜(F) は複数回使用してもよい。

5f3

図 3

5f4

図 4

32

(2) 二糖類は,多糖の酵素による分解などによって生成するが,化学合成することも可能である。以下に,化学合成の一例を述べる。

グルコースのヒドロキシ基をひとつだけ残し,他のすべてのヒドロキシ基に「保護基」を結合させた化合物④と⑤を合成する(図 5)。なお保護基とは,ヒドロキシ基に結合させると,理想的にはそのヒドロキシ基の性質が消失する置換基の一種である。ここでは,保護基が理想的に働くとする。化合物④は,C1 に結合したヒドロキシ基だけ保護基と結合しておらず,α 型と β 型の環状構造の混合物である。本問題では,化合物④の鎖状構造は存在しないものとする。化合物⑤は,C4 に結合したヒドロキシ基だけ保護基と結合していない。

5f5

図 5

化合物④を反応条件 Z におくと,炭素陽イオンを C1 に有する中間体⑥が生成する(図 6)。ここに化合物⑤を加えると,C4 に結合した保護基をもたないヒドロキシ基の酸素原子が,水素イオンを失いながら,中間体⑥の C1 と共有結合を形成する反応が進行する。これをグリコシル化反応と呼ぶ。その結果,化合物⑦とその立体異性体である化合物⑧が生成する。化合物⑦と化合物⑧にあるすべての保護基を適切な化学反応によって取り除くと,化合物⑦からは二糖である化合物⑨,化合物⑧からは二糖である化合物⑩がそれぞれ生成する。化合物⑩は,化合物⑨の立体異性体であり,甘みはほとんどなく,松葉に少量含まれることが知られている。

33
5f6

図 6

問 3.化合物⑨の名称を答えよ。また,化合物⑨の説明として正しい記述を次の (A)〜(E) のなかからすべて選んで記号を記入せよ。

(A) 水あめの主成分である。

(B) サトウキビをアミラーゼで加水分解した際の主生成物である。

(C) ふたつのグルコースが α-1,4-グリコシド結合で連結している。

(D) 酸性水溶液で分解すると,α 型のグルコースのみ生成する。

(E) 哺乳類の乳汁の主成分である。

34

問 4.本反応で化合物⑤を加える際に,誤って微量のエタノールを混入させた。このとき,化合物⑨と化合物⑩のほかに生成しうる化合物として,適切なものを次の (A)〜(F) のなかからすべて選んで記号を記入せよ。

5f7

問 5.炭素陽イオンを有する中間体⑥に対して,化合物⑤ではなく化合物④を加え,還元性のない二糖を合成した。このとき,何種類の立体異性体が生成しうるかを,数字で答えよ。また,生じる立体異性体のうちのひとつは,甘味料や化粧品の保湿成分として利用されており,自然界にはキノコや昆虫の体液に含まれることが知られている。その化合物の名称を答えよ。