第1問
次の文章を読み,問 1〜問 2 に答えよ。(45 点)
図 1 のように伸び縮みしない 2 本の同じ長さ の軽い糸の一端を天井の同じ点に固定し,糸の他端にいずれも大きさを無視できる質量 の小球 A,質量 の小球 B をそれぞれつるした。重力加速度の大きさを ,向きを鉛直下向きとする。小球および糸の運動は同一の鉛直面内に限り,空気抵抗および糸の質量は無視できるものとする。

図 1
問 1.まず,図 1 のように小球 A を鉛直方向と糸のなす角度が となるまで糸をたるませずに持ち上げた。その後,小球 A を支えている手を静かに離し,静止している小球 B と衝突させた。
(1) 図 1 のように,小球同士が衝突する前に鉛直方向と糸のなす角度が ()となるときの小球 A の速さを求めよ。
小球 A と小球 B は完全非弾性衝突(反発係数は 0)をした。
(2) 小球同士が衝突した直後の,小球 A の速さを求めよ。
(3) 小球同士の衝突前後での,小球 A と小球 B の力学的エネルギーの和の減少量を求めよ。
(4) 小球同士が衝突したのち,小球 A が到達できる最高点の,衝突点からの高さを求めよ。
次に,小球 A,B と質量は同じであるが,2 球の間の反発係数の異なる質量 の小球 C,質量 の小球 D を用意し,小球 A,B とそれぞれ取り替えた。小球 C および D の大きさは無視できるものとする。
問 2.図 2 のように小球 C を糸をたるませずにわずかに持ち上げ,小球 C を支えている手を静かに離し,静止している小球 D と衝突させた。小球同士の衝突は非弾性衝突とし,反発係数を ()とする。また,1 回目の衝突直前の小球 C の速さを とする。小球 C,D の運動において,鉛直方向と小球をつるしている糸のなす角度はそれぞれ十分小さい。したがって,それぞれの小球は水平方向のみに運動し,振り子の等時性が成り立つと考えることができる。小球の速度は右向きを正とする。

図 2
(1) 1 回目に小球同士が衝突した直後の,小球 D に対する小球 C の相対速度を求めよ。
(2) 1 回目の小球同士の衝突が起きてから,2 回目の小球同士の衝突が起きるまでの時間を求めよ。
(3) 回目に小球同士が衝突した直後の,小球 C と小球 D の運動量の和を求めよ。ただし, は自然数である。
(4) 回目に小球同士が衝突した直後の,小球 D に対する小球 C の相対速度を求めよ。
小球が衝突を繰り返すと,衝突直後の小球 C の速さは,ある速さ に近づく。
(5) を求めよ。
第2問
次の文章を読み,問 1〜問 2 に答えよ。(40 点)
問 1.図 1 のように,紙面上に 平面,紙面に垂直に 軸をとり,紙面の裏から表への向きを 軸正の向きとする。 の範囲を領域 V とし,領域 V には 軸負の向きで大きさ の一様電場と, 軸負の向きで磁束密度の大きさ の一様磁場がかかっている。 の位置から電気量 (),質量 の荷電粒子を, 軸正の向きに速さ で 平面上に射出する。このとき,荷電粒子は電場と磁場による力を受けて 軸上を移動した。荷電粒子は真空中を運動するものとし,領域 V の外では電場および磁場はゼロである。また,重力の影響は無視する。以下の問いに答えよ。

図 1
(1) 領域 V 内で荷電粒子が電場から受ける力の大きさを,,,,, のうち必要なものを用いて求めよ。
(2) 領域 V 内の磁束密度の大きさ を,,,,, のうち必要なものを用いて求めよ。
図 2 のように, の範囲を領域 W, の範囲を領域 P とする。領域 V の一様磁場は 軸負の向きで磁束密度の大きさ に変更し,電場をゼロにした。領域 W には 軸負の向きで磁束密度の大きさ の一様磁場をかけ,領域 P には 軸負の向きで大きさ の一様電場をかけた。荷電粒子を の位置から 軸正の向きに速さ で 平面上に射出すると,荷電粒子は図 2 に太線で示されている軌跡を描いて射出点に戻った。以下の問いに答えよ。
(3) 領域 V を出てから領域 W に入るまでの間に,領域 P で電場が荷電粒子にした仕事を,,,,, のうち必要なものを用いて求めよ。
(4) 一様電場の大きさ を,,,,,, のうち必要なものを用いて表せ。

図 2
(5) 領域 V,P,W にあるすべての磁場と電場をゼロにしたのち,図 3 (a) のように領域 V にのみ 軸正の向きで磁束密度の大きさ の一様磁場をかけた。荷電粒子を の位置から 軸正の向きとなす角 の方向へ速さ で 平面上に射出したところ,荷電粒子の 座標は時刻 に対して図 3 (b) のようになった。図 3 (b) の振幅 と周期 として適切なものを,以下の (a)〜(h) からそれぞれ選べ。なお,荷電粒子が射出された時刻を とする。
(a) (b) (c) (d)
(e) (f) (g) (h)

図 3
問 2.図 4 (a) のように,紙面上に 平面,紙面に垂直に 軸をとり,紙面の裏から表への向きを 軸正の向きとする。 軸負の向きに磁束密度の大きさ の磁場がかかっている。 は 座標によらず一定で, 座標(ただし )に対しては図 4 (b) のように ( と は正の定数)で与えられる。この磁場中に巻き数 1 の長方形のコイル ABCD を置き, 軸正の向きに 平面上を一定の速さ で動かす。時刻 でコイルの辺 AD は 軸上にあり,時刻 で辺 BC は磁場がゼロになる に到達する。コイルの辺 AD の長さは ,辺 AB の長さは ,全体の抵抗は である。ただし,コイルは変形することなく真空中を運動するものとし,コイルの導線の太さ,質量,および自己インダクタンスは無視する。以下の問いに答えよ。

図 4
(1) 時刻 から時間 ()が経過する間に,コイルを貫く磁束の大きさは だけ減少する。時刻 が の範囲にあるとき,コイルに生じる電流 の大きさを ,,,,, のうち必要なものを用いて求めよ。
以下,コイルに流れる電流を として問いに答えよ。
(2) 時刻 が の範囲にあるとき,コイルを一定の速さ で動かすために必要な力の大きさを,,,,,, のうち必要なものを用いて表せ。
(3) 時刻 から の間にコイルになされる仕事を,,,, のうち必要なものを用いて表せ。
第3問
次の文章を読み,問 1〜問 3 に答えよ。(40 点)
熱の一部を力学的な仕事に変換する装置を熱機関という。ある状態の気体がいくつかの異なる状態を経てもとの状態に戻る変化はサイクルと呼ばれる。
いま,物質量 の単原子分子理想気体が状態 A から状態 B,状態 C,状態 D と変化し,もとの状態 A に戻るサイクルで動作する熱機関Ⅰを考える。図 1 にこのサイクルの圧力−体積グラフを実線で示す。状態 A から状態 B,および状態 C から状態 D の過程は等温過程であり,状態 B から状態 C,および状態 D から状態 A の過程は断熱過程である。状態 A における圧力を ,体積を ,状態 A から状態 B における絶対温度を ,状態 C から状態 D における絶対温度を とする。気体定数を とする。

図 1
問 1.状態 A から状態 B を経て状態 C に至る過程を考える。状態 B における体積を ,状態 C における体積を とする。
(1) 状態 B における圧力を とするとき, を ,, を用いて表せ。
(2) 状態 B における温度 と,状態 C における温度 の間の関係について述べた次の文章の(ア)〜(エ)に入る語句や記号の組み合わせとして正しいものを,下表の①〜⑥から選び,番号で答えよ。
「状態 B から状態 C に至る断熱過程では,気体が得る熱量は(ア)であり,気体が外部にする仕事は(イ)であるから,内部エネルギーは(ウ)する。よって (エ) となる。」

(3) この過程(状態 A → 状態 B → 状態 C)における気体の内部エネルギーの変化量 を,,,, を用いて表せ。ただし,内部エネルギーが増加する場合, であるとする。
(4) 断熱過程では,圧力 と体積 との間には,単原子分子理想気体の比熱比を として「 一定」の関係が成り立つ。この関係式を用いて, の に対する比 を,, を用いて表せ。
問 2.熱機関Ⅰは 1 サイクルにおいて外部から熱量 ()を得て,外部に熱量 ()を放出し,仕事をする。
(1) 以下の各過程において気体が外部にした仕事 を,それぞれ,,,,,, のうち必要なものを用いて表せ。ただし,気体が外部に仕事をした場合は ,気体が外部から仕事をされた場合は とする。
(ア) 状態 A から状態 B への過程において気体が外部にした仕事
(イ) 状態 B から状態 C への過程において気体が外部にした仕事
(ウ) 状態 C から状態 D への過程において気体が外部にした仕事
(エ) 状態 D から状態 A への過程において気体が外部にした仕事
(2) 一般に,状態 1 から状態 2 への等温過程で物質量 の理想気体が外部にする仕事 は,状態 1 における体積 ,状態 2 における体積 ,状態 1 から状態 2 における絶対温度 を用いて と表すことができる。ただし は自然対数を表す。 および を,それぞれ,,,,,, のうち必要なものを用いて表せ。ここで, および状態 D における体積 は用いないこと。
(3) 熱機関Ⅰの熱効率を とするとき, を , を用いて表せ。
(4) 図 2 に示すとおり,熱機関Ⅰにおける状態 B から状態 C への断熱過程を,状態 B から状態 E への等温過程と状態 E から状態 C への定積過程に置きかえた熱機関Ⅱ(そのサイクルは,A → B → E → C → D → A)について考え,その熱効率を とする。さらに,熱機関Ⅱにおける状態 E から状態 C への定積過程を,状態 E から状態 F への断熱過程と状態 F から状態 C への等温過程に置きかえた熱機関Ⅲ(そのサイクルは,A → B → E → F → C → D → A)について考え,その熱効率を とする。,, の関係として正しいものを次の①〜⑨から選び,番号で答えよ。
① ② ③
④ ⑤ ⑥
⑦ ⑧ ⑨

図 2
問 3.熱機関Ⅰの単原子分子理想気体を,同じ物質量 の二原子分子理想気体に置きかえた熱機関Ⅳを考える。熱機関Ⅳにおいて状態 A から状態 B への過程は熱機関Ⅰと同じであり,状態 C’ と状態 D’ を経て,状態 A へと戻る。状態 C’ と状態 D’ における温度は,熱機関Ⅰの状態 C と状態 D における温度 と同じである。圧力−体積グラフにおける熱機関Ⅰと熱機関Ⅳのサイクルを比較する。
(1) 状態 B から状態 C’ の断熱過程において,圧力 と体積 との間には,二原子分子理想気体における比熱比を として「 一定」の関係が成り立つ。熱機関Ⅰの状態 C における体積を ,熱機関Ⅳの状態 C’ における体積を とするとき, の に対する比 を,, を用いて表せ。
(2) 熱機関Ⅳにおいて,状態 A から,状態 B,状態 C’,状態 D’ と変化し,もとの状態 A に戻る圧力−体積グラフとして正しいものを図 3 の (a)〜(f) から選び,記号で答えよ。なお,図 3 の破線は熱機関Ⅰのサイクルを示している。

図 3