京大 過去問 2022年 生物|AI解答・解説・シミュレーション|アトリエファクトリー

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京都大学 一般選抜 個別学力検査 2022年度 理科(生物)(京都大学がかつて公開したPDFの Internet Archive 保存版)

問題・出題意図等(京都大学の公表資料)

京都大学の利用の条件について

京都大学は「京都大学入試問題等の利用について」(平成31年4月)で、入試問題と出題意図等を、決められた3つの条項に従うことを条件に、ネットに載せることも含めて許可している。このサイトでの対応は次のとおり。

解答とシミュレーション(AIで作成)

制作

制作:アトリエファクトリー(aTELiER FACTORY) https://atelierfactory.jp/

お知らせ

解答・解説・シミュレーションは、すべて AI で作成しています。京都大学が公表した解答ではありません。

京都大学が「出題意図等」で解答例を公表している小問は、それと照らし合わせています。作成に使ったものとは別のAIでも全問を点検し、見つかった誤りを直しています。くわしくは「問題取得方法と回答生成方法」をご覧ください。

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生 物  (4 問題 100 点)

生物問題 Ⅰ

 次の文章を読み,問 1 〜問 6 に答えよ。解答はすべて所定の解答欄に記入せよ。

 イオンチャネル型受容体の 1 つである R は主に神経細胞に発現し,塩化物イオン(Cl−)の移動を調節している。受容体 R では構造特異的に分子が結合する部位 A および部位 B が同定されている。これらの部位に何も結合しない状態では受容体 R は開口せず Cl− の移動が生じない(図 1 (a))が,①部位 A に神経伝達物質 La が結合すると受容体 R が開口して Cl− の移動が生じる(図 1 (b))。部位 B に特異的に結合する化合物 Lb は,それだけが受容体 R に結合しても受容体 R は開口せず Cl− の移動は生じない(図 1 (c))が,神経伝達物質 La および化合物 Lb がそれぞれ部位 A および部位 B に結合すると,神経伝達物質 La のみが結合した場合よりも Cl− の移動量が増大する(図 1 (d))。②化合物 Lb のように受容体 R に作用して Cl− の移動量に影響を及ぼす化合物は神経活動に影響を与え,その効果から神経疾患に対する医薬品の候補になる。

図1 受容体R
図1 受容体R
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問 1 下線部①に関する下記の記述について,Ⅰ,Ⅱ に当てはまる適切な語句の組み合わせを(あ)〜(え)より 1 つ選び,解答欄に記せ。

 神経伝達物質 La を神経伝達物質とするシナプスを考える。シナプス後細胞の受容体 R に神経伝達物質 La が結合して Cl− が細胞内に流入すると,シナプス後細胞の膜電位が Ⅰ。この電位変化は Ⅱ と呼ばれる。

t1

問 2 下線部②に関して,受容体 R を発現する神経細胞に対して,神経伝達物質 La のみを含む溶液,化合物 Lb のみを含む溶液,両方を含む溶液,またはどちらも含まない溶液のいずれかを添加した場合を考える。その直後の活動電位の生じやすさについて,予想される関係性を次の(あ)〜(く)よりすべて選び,解答欄に記せ。ただし,溶液の添加前は神経伝達物質 La および化合物 Lb は存在しないものとし,受容体 R が開口すると Cl− は細胞内に流入するものとする。また,活動電位の生じやすさは,「(しやすい) > (しにくい)」で表す。

t2
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 多数の既存の化合物から,化合物 Lb のように受容体 R に作用する化合物を新たに探索する場合,それぞれの化合物が受容体 R を介した Cl− の移動量に与える影響を直接的に評価する方法がある。しかし,そのような直接的な方法では選別に時間がかかってしまう。そこで,受容体 R の部位 B に結合する化合物を短時間で選別する方法を実験 1,実験 2 により構築した。

実験 1 :本実験は,受容体 R の特定のアミノ酸を,官能基* X をもつフェニルアラニン(X–フェニルアラニン)に置換し,官能基 X を部位 B の近傍の特定の箇所にもつ受容体 R をヒト由来細胞に発現させることを目的とする。X–フェニルアラニンは,天然には存在しないアミノ酸である。

 受容体 R の遺伝子を組み込んだプラスミドを細胞に導入すると,受容体 R の遺伝子は ア へ転写される。ア の配列においてコドンとよばれる 3 つの塩基配列により 1 つのアミノ酸が指定される。特定のコドンと結合するアンチコドンおよび,そのコドンに対応するアミノ酸と結合する部位を有する イ が,アミノ酸をリボソームに運ぶ。リボソームでは ア からタンパク質への ウ が行われる。

 通常の細胞には X–フェニルアラニンを運ぶ イ が存在しない。そこでまず,対応するアミノ酸がないコドンの 1 つである UAG と結合するアンチコドンおよび X–フェニルアラニンとの結合部位をもつ イ を人工的に作製した(図 2)。次に,人工的に作製した イ を用いて受容体 R の部位 B の近傍のアミノ酸の 1 つを X–フェニルアラニンに置換するために,③プラスミドに組み込んだ受容体 R の遺伝子において,部位 B の近傍のアミノ酸の 1 つを指定する DNA 配列を,別の DNA 配列で置換した。これらの イ およびプラスミド,X–フェニルアラニンなどを一緒に用いることで,部位 B の近傍のアミノ酸の 1 つが,X–フェニルアラニンに置換された受容体 R をヒト由来細胞に発現させた。この細胞において,X–フェニルアラニンへの置換は,受容体 R の立体構造に影響しなかった。

*官能基:有機化合物の性質を決める特定の原子の集まり

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図2
図2

問 3 ア 〜 ウ に当てはまる適切な語句を解答欄に記せ。

問 4 下線部③の「別の DNA 配列」としてどのような配列が適切か。アンチセンス鎖の DNA 配列を,下記の例にならって配列の方向を明示して解答欄に記せ。

(例) 5′–GGG–3′

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実験 2 :本実験は,受容体 R との結合性が未知の化合物について,部位 B に結合するかどうかを調べる方法の確立を目的とする。

 官能基 X は,水溶液中で官能基 Y と共有結合することが知られている。実験 1 によりヒト由来細胞に発現させた,官能基 X をもつ受容体 R(図 3 (a))に対して,官能基 Y を持つ蛍光色素 K を反応させて,受容体 R の部位 B の近傍の一か所に蛍光色素 K を結合させた(図 3 (b))。受容体 R に結合した蛍光色素 K は,特定の波長の光を照射すると蛍光を発した。また,蛍光色素 K の結合は,受容体 R の立体構造に影響しなかった。この細胞を用いて以下の実験を行った。

図3
図3

 化合物 Q は,蛍光色素 K の近距離にあるとき,蛍光色素 K の蛍光を発しなくさせることが知られている。そこで,化合物 Q と化合物 Lb の結合体(結合体 Q–Lb)を作製した。結合体 Q–Lb を細胞に添加する前は,受容体 R に結合した蛍光色素 K は蛍光を発していた(図 4 (a))が,添加した後は,結合体 Q–Lb が部位 B に結合して蛍光色素 K は蛍光を発しなくなった(図 4 (b))。その後,結合体 Q–Lb を取り除くと,蛍光色素 K が再び蛍光を発した。

図4
図4
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 このように結合体 Q–Lb と化合物 Lb は,部位 B において可逆的かつ競争的に結合した。結合体 Q–Lb および化合物 Lb が存在しないとき,細胞の蛍光強度は f0 であった(図 5)。異なる濃度の結合体 Q–Lb を含む溶液を加えると,結合体 Q–Lb の濃度と細胞の蛍光強度の関係は図 5 のようになった。結合体 Q–Lb の濃度が c1 のとき,細胞の蛍光強度は f1 であった。これらの結果を利用して,④部位 B に結合する化合物の探索を行った。

図5
図5

問 5 実験 2 で用意した蛍光標識細胞に,結合体 Q–Lb および異なる濃度の化合物 Lb を含む溶液を加えて細胞の蛍光強度を測定した。結合体 Q–Lb の濃度が c1 で一定となるようにした場合に,化合物 Lb の濃度と細胞の蛍光強度の関係を示すグラフを以下の(あ)〜(か)より 1 つ選び,その記号を解答欄に記せ。

f6
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問 6 下線部④に関して,受容体 R との結合性が未知の多数の化合物について,それぞれの化合物が部位 B に結合するかどうかを調べるとき,以下の(1),(2)に答えよ。

(1) 受容体 R との結合性が未知のある化合物 S について,この化合物が受容体 R の部位 B に結合するかどうかを調べる実験の手順を,作業順序に従って箇条書きで解答欄の枠の範囲内で述べよ。以下の(i)〜(iv)の語句(カッコ内の説明を除く)を全て用いること。また,必要なら本文中の他の用語を用いてもよい。

(i) 化合物 S(受容体 R との結合性が未知のある化合物)

(ii) 細胞を培養した容器(実験 2 で用意した蛍光標識細胞を底面に一定数培養した容器であり,複数用いることも可能)

(iii) 蛍光測定装置((ii)の容器の底面の蛍光強度を短時間で測定できる装置)

(iv) 結合体 Q–Lb

(2) 化合物 S が受容体 R の部位 B に結合する化合物であった場合,(1)の手順で実験を行った際に予想される結果を解答欄の枠の範囲内で述べよ。

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生物問題 Ⅱ

 次の文章を読み,問 1 〜問 8 に答えよ。解答はすべて所定の解答欄に記入せよ。

 メダカは,古くから多くの自然突然変異体が収集されてきたこと,全ゲノム配列が解読されたこと,遺伝子操作技術が整備されたことなどから,モデル生物として利用されている。メダカはヒトと同様に,雄が性染色体ヘテロ接合体の組合せ(XY),雌が性染色体ホモ接合体の組合せ(XX)であり,いわゆる XY 型の性決定様式をもつ脊椎動物である。メダカの XY 型の性決定では,性は性染色体上に存在する *dmy* と呼ばれる遺伝子で規定され,*dmy* をもつ個体は雄へと成長する。しかし,メダカの性は,この遺伝子のみにより決定されるわけではなく,成長期の環境により影響を受ける。例えば,メダカの幼魚を,適量の女性ホルモンを含む水でふ化後 2 週間程度飼育すると,性染色体の組合せ(XX または XY)に関わらず,全ての個体が卵を産出する雌となる。

 この特性を利用し,以下の実験を行った。なお,野生型メダカとは,女性ホルモンを含む水での飼育や遺伝子導入操作を行っていない通常のメダカを意味する。また,女性ホルモンを含む水での 2 週間程度の飼育や性染色体の組合せは,メダカの生存に影響しないものとする。

実験 1 :雌個体(XX)と雄個体(XY)を交配して得られたふ化直後の個体を女性ホルモンであるエストロゲンを含む水で 2 週間飼育した。エストロゲンで処理したメダカ(エストロゲンメダカ)は全て雌となり卵を産出するようになった。エストロゲンメダカである個体 A と野生型メダカの雄を交配し,通常の飼育下で F1 世代を得た。これら F1 世代の雌雄比は,ほぼ雌 1 :雄 1 となった。また,エストロゲンメダカである個体 B を野生型メダカの雄と交配し,F1 世代を得た。これら F1 世代の雌雄比は,ほぼ雌 1 :雄 3 となった。次に,①個体 B から得られた F1 世代の個体 C を野生型メダカの個体 D と交配させた結果,得られた F2 世代は全て雄となった。

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問 1 実験 1 での個体 A の性染色体の組合せを解答欄(1)に,個体 B の性染色体の組合せを解答欄(2)に記せ。

問 2 下線部①に関して,個体 C の性染色体の組合せを解答欄(1)に記せ。また,個体 B と野生型メダカの雄との交配で得られた F1 世代中に,個体 C と同じ性染色体の組合せを有する個体が占める割合として期待される値を,解答欄(2)に既約分数で答えよ。

問 3 下線部①に関して,交配する個体 D の性を解答欄(1)に記せ。また,個体 D の性染色体の組合せを解答欄(2)に記せ。

 メダカでは人工遺伝子を導入することで,全ての細胞で緑色蛍光が観察される系統を作製することができる。この作製方法の一例として,全ての細胞で発現を誘導するプロモーターと緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子を連結した人工遺伝子をメダカ受精卵に注入する方法がある。この作製方法では,人工遺伝子の挿入はゲノム DNA 上のさまざまな部位に起こり,挿入部位をあらかじめ指定することはできない。

 この方法で作製された,「人工遺伝子が染色体の一か所に挿入され,全身の細胞で緑色蛍光が観察される遺伝子導入メダカ(TG メダカ)」を用いて以下の実験 2,実験 3 を行った。なお,実験 2,実験 3 では,メダカは女性ホルモンを含まない水で飼育し,染色体の組換えは起こらなかったものとする。

実験 2 :雌の TG メダカである個体 E と雄の野生型メダカを交配して得られた受精卵の緑色蛍光を観察した。その結果,②受精直後は全ての受精卵で緑色蛍光が観察された。その後,③発生の進行にともない,半数の胚では緑色蛍光が観察され続けた。成長後も緑色蛍光が観察され続けた個体の雌雄比はほぼ雌 1 :雄 1 であった。

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実験 3 :雄の TG メダカである個体 F と野生型メダカの雌を交配して得られた受精卵において緑色蛍光を観察した。その結果,④受精直後は全ての受精卵で緑色蛍光が観察されなかったが,発生の進行にともない,半数の胚で緑色蛍光が観察されるようになった。また,⑤緑色蛍光が観察された個体は全て雌となった。

問 4 GFP による緑色蛍光で細胞を標識する方法として,GFP を細胞に注入する方法と GFP 遺伝子を発現させるベクターを細胞に導入する方法が考えられる。GFP を注入した場合は,注入直後から緑色蛍光が観察可能であるが,GFP 遺伝子を発現させるベクターを導入した場合は,導入直後には緑色蛍光は観察されず,数時間後に観察可能となる。GFP 遺伝子を発現させるベクターを導入した場合,観察可能となるまでに時間を要する理由を解答欄の枠の範囲内で述べよ。

問 5 実験 2 の下線部②について,「受精直後は全ての受精卵で緑色蛍光が観察された」理由を解答欄の枠の範囲内で述べよ。

問 6 実験 2 の下線部③について,「半数の胚では緑色蛍光が観察され続けた」理由を解答欄の枠の範囲内で述べよ。

問 7 実験 3 の下線部④について,下線部②では「受精直後は全ての受精卵で緑色蛍光が観察された」のに対して,「受精直後は全ての受精卵で緑色蛍光が観察されなかった」理由を解答欄の枠の範囲内で述べよ。

問 8 実験 3 の下線部⑤について,何が原因でこのような結果となったのか。その理由を解答欄の枠の範囲内で述べよ。

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生物問題 Ⅲ

 次の文章(A),(B)を読み,問 1 〜問 6 に答えよ。解答はすべて所定の解答欄に記入せよ。

(A) 植物の成長は内在されたプログラムによって制御されているが,その制御は光などの外部環境の影響を強く受ける。たとえば,種子から発芽した芽生えの形態は,光のある環境(明条件)と光のない環境(暗条件)とでは異なる。明条件と暗条件でシロイヌナズナの種子をそれぞれ寒天培地上で発芽させ,そのまま生育させて,それらの形態を観察した。観察結果を図 1 (それぞれ条件 1 と条件 2 )に模式的に示す。暗条件の芽生えでは子葉展開の抑制や①胚軸の著しい伸長などが観察された。

 植物の成長制御において,植物ホルモンの合成と合成されたホルモンに対する応答反応が重要な役割をもつ。エチレンは植物ホルモンの 1 つで,植物の成長に大きな影響を与える。暗条件でエチレンを空気に添加した環境でシロイヌナズナを生育させたときの芽生えの形態と,暗条件でエチレン合成阻害剤を添加した寒天培地上で生育させたときの芽生えの形態を観察した。観察結果を図 1 (それぞれ条件 3 と条件 4 )に模式的に示す。②エチレンあるいはその合成阻害剤を添加した条件で生育させた芽生えの形態は通常の暗条件で生育させた芽生えとは異なっていた。

 形態に異常を示すシロイヌナズナの変異体は多数知られている。③その中の変異体 A を通常の暗条件で生育させたところ,あたかもエチレン合成阻害剤を添加した培地で生育させたかのような芽生えの形態を示した。

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図1 各芽生えの模式図の直下にそれぞれの実験条件がまとめてある。
図1 各芽生えの模式図の直下にそれぞれの実験条件がまとめてある。

問 1 下線部①に関連して,芽生えの胚軸が暗条件で伸びることで,種子が土の中で発芽しても,芽生えの子葉部分が地表に到達することができる。胚軸の伸長に加えて,子葉部分が地表に到達するために重要な胚軸の性質を 1 つあげて,その名称を解答欄に記せ。

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問 2 下線部②に関連して,以下の(1),(2)に答えよ。

(1) 暗条件の芽生えの形態にエチレンが与える作用について,図 1 から読み取れる範囲で全てあげて,解答欄に記せ。ただし,根への作用については記さなくてよい。

(2) 土の中で発芽した芽生えは,土粒子などの障害物との接触に応じてエチレン合成量を増加させる。芽生えの形態に与えるエチレンの作用は,土の中で発芽した植物の生存戦略にどのように役立つと考えられるか。解答欄の枠の範囲内で説明せよ。

問 3 下線部③に関連して,変異体 A においては,植物体でのエチレン合成,あるいはエチレンに対する応答反応のどちらか一方に異常があると仮定した。その仮定のもと,どちらに異常があるのか,芽生えの形態観察から調べることにした。図 1 の観察に用いた実験条件を参考にして,調べる方法を解答欄の枠の範囲内で説明せよ。エチレン合成に異常がある場合と,エチレン応答反応に異常がある場合のそれぞれについて予想される結果を解答に含めること。

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(B) トウモロコシやインゲンマメなどの作物をさまざまな個体群密度で単植すると,高密度で栽培した方が低密度で栽培したものに比べて,一個体あたりの生物量は小さくなる。しかし,単位面積あたりの全体の生物量は,個体群密度にかかわらず,生育が進むにつれて一定の値に近づく。このような関係を一般に ア の法則と呼ぶ。

 一方,トウモロコシと蔓(つる)性のインゲンマメの両方を,図 2 のように同じ畑に適切な栽植密度で混植すると,合計の生物量は図 3 のように混植時と同じ個体数を半分の面積にそれぞれ単植した場合の合計よりも増加することが多い。このように混植の生産性が高くなるのは,系全体としての④資源利用効率が高くなるからである。

 しかし,種間の相互作用がそれぞれの種に有益に働くかどうかは,組み合わせが同じでも環境によって異なる。作物の根には菌根菌が共生していることが多く,菌根菌はリンなどの栄養を作物に供給し,光合成産物である有機物を受け取っている。菌根共生にみられるこのような共生関係は,一般に イ と呼ばれる。この関係は⑤環境が変化すると寄生の関係に変化することがある。

図2 2種を混植した畑
図2 2種を混植した畑
図3 2種をそれぞれ単植した畑
図3 2種をそれぞれ単植した畑

問 4 文中の ア と イ に当てはまる適切な語句を解答欄に記せ。

問 5 下線部④に関連して,混植で資源利用効率が高くなる理由を,光と栄養の利用の観点から,解答欄の枠の範囲内で説明せよ。

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問 6 下線部⑤について,トウモロコシと菌根菌との関係が寄生の関係に変化するような環境変化にはどのようなものがあるか,以下の(あ)〜(お)の中から最も適切なものを 1 つ選び,その記号を解答欄(1)に記せ。また,その環境では寄生の関係に変化する理由を,解答欄(2)の枠の範囲内で説明せよ。

(あ) 晴天が続いて大気や土壌が乾燥した。

(い) 雨が続いて土壌水分含量が上昇した。

(う) 栽培者が害虫防除の農薬を散布した。

(え) 栽培者が十分な化学肥料を投入した。

(お) 大気中の二酸化炭素濃度が上昇した。

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生物問題 Ⅳ

 次の文章(A),(B)を読み,問 1 〜問 9 に答えよ。解答はすべて所定の解答欄に記入せよ。

(A) 生物種間の共進化は,さまざまなタイプの種間相互作用に見られる。例えば,被子植物の花の形態と送粉昆虫の口器の形態の間には,特定の種間で対応が見られることがあり,共進化の結果と考えられている。南アフリカの低木植生地域に生育し,長い筒状の花をつけるアヤメ科の一種(以下,植物とする)は,長い口器を持つツリアブモドキ科の一種(以下,昆虫とする)によって受粉される(図 1 )。この昆虫は空中に停止(ホバリング)した状態で長く伸びた口器を花筒に差し込んで蜜を吸うが,その際に,毛に覆われた頭部が葯(やく)に接触すると花粉が付着する。花粉が付着した昆虫が他の花を訪れた際に柱頭に接触することにより,受粉が起こる(図 1 )。花筒の長さ(花筒長)と口器の長さ(口器長)のそれぞれの平均値は,地域ごとに互いに類似した値を示すことが多い。このため,それぞれの地域において,2 つの形質は自然選択によって共進化してきたと考えられる。

 花筒長と口器長に変異が存在する地域において,2 つの形質に相互に働く自然選択を明らかにするために,野外実験を行った。この実験では,柱頭に花粉が付いていない花を,花筒長を測定した後に,頭部に花粉を付けた昆虫が飛び回っている野外に設置した。昆虫が訪花した後に,摂取された蜜の量と柱頭に付着した花粉の個数を数えた。また訪花した昆虫は捕獲して,その口器長を測定した。測定結果を使って,さまざまな花筒長と口器長の組み合わせでの,昆虫の蜜摂取量と花の柱頭への花粉の付着数を調べた。図 2 は訪花した昆虫の口器長と摂取した蜜量の関係,図 3 は昆虫が訪れた花の花筒長と柱頭に付着した花粉の個数の関係を表す。さらに図 4 は,口器長と花筒長の差に対する,昆虫が摂取した蜜量の割合と柱頭に付着した花粉の個数の関係を示している。なお,昆虫が訪花した際に,その花の花粉が同じ花の柱頭に付着する可能性は無視できる。

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この図は京都大学以外の方に著作権があるかもしれないため、ここには載せていません(問題冊子でご確認ください)
図1 アヤメ科の一種の花を訪れるツリアブモドキ科昆虫の一種(模式図)。花筒の部分は内部の様子を示す。
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図2 訪花した昆虫の口器長と摂取した蜜量の関係。
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図3 花筒長と柱頭に付着した花粉の個数の関係。
この図は京都大学以外の方に著作権があるかもしれないため、ここには載せていません(問題冊子でご確認ください)
図4 訪花した昆虫の口器長と花の花筒長の差と,昆虫が摂取した蜜量の割合(訪花前の蜜量に対する百分率。白丸,実線),柱頭に付着した花粉の個数(黒丸,破線)の関係。

(Pauw et al. 2009 を改変)

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問 1 昆虫による送粉を受けるために,この植物が開花中に費やす主要なコストを 1 つ解答欄に記せ。

問 2 この昆虫の口器長には,どのような自然選択が働いていると考えられるか。実験結果から推定できることを,その理由と根拠とした図を記し,解答欄の枠の範囲内で説明せよ。なお,根拠とした図は図 2 〜 4 から複数用いてもよい。

問 3 この植物の花筒長には,どのような自然選択が働いていると考えられるか。実験結果から推定できることを,その理由と根拠とした図を記し,解答欄の枠の範囲内で説明せよ。なお,根拠とした図は図 2 〜 4 から複数用いてもよい。

問 4 この植物と昆虫において,花筒長と口器長の共進化が起こるためには,それらの形質にみられる個体間の変異に関して,この実験では示されていない条件が必要である。それはどのような条件か。解答欄の枠の範囲内で説明せよ。

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(B) 生物の間には様々な相互作用が存在する。同じ資源を利用したり生息場所が重なる生物の間には競争関係が生じる。競争関係には同種の個体間で働く種内競争と,異種の個体間で働く種間競争がある。一般にそれらの競争は,相互作用する個体の密度が高くなると強くなり,それぞれの個体に対して繁殖能力や生存率の低下をもたらす。①競争関係にある 2 種について,種間競争が非常に強い場合には,結果的に一方の種が絶滅に追いやられる場合がある。

 種内競争と種間競争は,相互に関連しながら種の共存に影響をおよぼす。種 A で種内競争が強い場合,種内競争が弱い場合に比べて個体数の増加は ア と考えられる。このとき,種内競争が弱い場合に比べて,その種 A と利用する資源が重なり競争的な関係にある別の種 B に対する種間競争の効果は イ と考えられる。これは種 B から種 A への効果でも同様である。言いかえると,それぞれの種で種内競争が強い場合には相互の種間競争の効果は イ と考えられる。そのためそうした 2 種は ウ 傾向がある。

 また,種間競争は自然選択を通じて種の形質の進化にも影響する。近縁の 2 種の生物が別々の場所で独立に生息する地域では,両者が利用する資源の種類は大きく重なっているが,それら 2 種がともに生息する地域では,②2 種の間で利用する資源の重なりが小さくなるように変化している場合がある。

問 5 下線部①について,この現象を何と呼ぶか。その名称を解答欄に記入せよ。

問 6 文中の ア に当てはまる,もっとも適切な語句を(あ)〜(う)より 1 つ選びその記号を解答欄に記入せよ。

(あ) ゆるやかになる  (い) 急速になる  (う) 同程度である

問 7 文中の イ に当てはまる,もっとも適切な語句を(あ)〜(う)より 1 つ選びその記号を解答欄に記入せよ。

(あ) 弱まる  (い) 強まる  (う) 同程度である

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問 8 文中の ウ に当てはまる,もっとも適切な語句を(あ)〜(う)より 1 つ選びその記号を解答欄に記入せよ。

(あ) ともに絶滅しやすい  (い) どちらか一方が絶滅しやすい  (う) 共存しやすい

問 9 下線部②は,2 種の生息する地域が重なった時に,資源の利用について自然選択が働いたことによる進化の結果であると考えられる。それらの 2 種において資源利用が進化的に変化したことが,結果として 2 種の共存にどのように働くか。種間競争の変化と関連させて解答欄の枠の範囲内で説明せよ。

生物問題は,このページで終わりである。