バッチ正規化は、ネットワークの途中の層に入る値を、学習で一度に使うデータのまとまり(ミニバッチ)ごとに平均が0、分散が1になるようそろえ、学習する2つの数γとβで大きさとずれを付け直す(scale and shift)仕組みを組み込む方法。グーグルのIoffeとSzegedyは、前の層の重みが変わるたびに次の層に入る値の分布が変わること(論文はinternal covariate shiftと名づけた)が学習を遅くしていると考えた。そして、この方法で学習率をずっと大きくでき、重みの初期値にもそれほど気をつかわなくてよくなり、場合によってはドロップアウトも要らなくなると書いた。画像認識のネットワークでは、同じ正確さに14分の1の学習回数で到達した。組み合わせたネットワークではImageNetの5回答えてよいルールで誤り4.9%(テストでは4.8%)とし、人間の評価者の正確さを超えたと書いている。
2018年11月、Facebook AI Research(FAIR)のカイミン・ヒー、ロス・ギルシック、ピオトル・ドラールは、ImageNetによる事前学習と微調整の組み合わせが、物体検出に本当に要るのかを確かめ直した。COCOの物体検出と領域分割において、重みの初期値をランダムにして(一から)学習させても、学習回数を増やせば、事前学習して微調整したモデルに劣らない成績になった。COCOの訓練画像を10%に減らしても同様だった。事前学習の効果は、初期の学習を早める点にあった。ただし訓練画像が1000枚だけの時は、事前学習ありの9.9に対して、一からは3.5(スコアはAP)と大きく下回った(3500枚では16.0と9.3)。
2010年7月、産業技術総合研究所の神嶌敏弘は、人工知能学会誌の解説で転移学習の考え方と手法を日本語でまとめた。転移学習とは、関連はあるが違う部分もあるデータから、目的の問題にも使える知識だけを取り込み、より正確な予測ルールを得る手法である。似た考えは帰納転移、ドメイン適応、マルチタスク学習、learning to learnなど多様な名前で呼ばれてきたと整理した。複数のタスクで中間層を共有するニューラルネットワークの研究(カルアナ、1997年)や、元のデータを使ったせいでかえって予測精度が下がる負の転移の研究も紹介している。
よく言われる話:注意(アテンション)は2017年のトランスフォーマーの論文で生まれた、と思われやすい(論文の題がAttention Is All You Needなので。言われ方の側は、このサイトの推定) 元の資料では:注意の仕組みは2014年のこの翻訳の論文にすでにあった。トランスフォーマーの論文も、よく使われる注意の2つの形式の1つをと呼び、この論文を文献 [2]に挙げている。トランスフォーマーの論文が新規性として示したのは、それまで注意がのに対し、RNNを使わずに注意だけで組み立てた点だった。なお、この2014年の論文の題にある言葉は整列(align)で、attentionという語は本文の1つの段落に3回出るだけである。論文は、入力と出力を対応させる似た手法として、グレイヴズさんの2013年の手書き文字を生成する研究も挙げている。
2014年12月、キングマとバーの Adam は、重みごとに、勾配の移動平均と、勾配の2乗の移動平均を記録し、その比で幅を決める。勾配が常に大きい向きは控えめに、小さい向きは大きめに進むため、紫の玉は小さく行きすぎながら谷底へ向かう。初めのうち移動平均が0に寄る偏りを直す計算(バイアス補正)を、「バイアス補正」のチェックを外して比べよう。
m ← β₁m+ (1−β₁)g v ← β₂v+ (1−β₂)g² w ← w − η · m̂ ÷ (√v̂ +ε)
Adamはadaptive moment estimation(適応的なモーメントの推定)から。論文は、AdaGradとRMSPropの長所を組み合わせたと書く。脚注によると、2人は同じだけ貢献し、名前の順番はビデオ通話でのコイン投げで決めた。図のβ₁, β₂ は0.9と0.999。
元の資料と確度(1件)細長い谷の下り方
2014年12月22日元で確認
Adam:重み1つ1つに合わせて更新幅を自動調整する学習法(2014年)
Adamは、勾配降下法(正解との誤差を小さくする向きに重みを少しずつ更新する方法)を改良した最適化手法である。重みごとに、勾配(どちらへどれだけ動かせばよいか)の移動平均(1次のモーメント)と、勾配の2乗の移動平均(2次のモーメント)を記録し、平均を2乗の平均の平方根で割った量だけ重みを更新する。これにより、勾配が常に大きい重みは控えめに、小さい重みは大きめに更新され、更新幅はほぼ決まった大きさ(ステップの幅)までに収まる。移動平均は0から始まるため、初めのうち値が0に寄ってしまう偏りを直す計算(バイアス補正)も入っている。名称はadaptive moment estimation(適応的なモーメント推定)に由来する。論文では、まばらな勾配に強いAdaGradと、時間とともに変わる問題に強いRMSPropの長所を組み合わせたと説明している。RMSPropの出典としては、論文ではなくオンライン講座(Coursera)のヒントンらの講義6.5を挙げている。論文の脚注には、2人は同等に貢献し、著者名の順番はビデオ通話(Google Hangout)でのコイン投げで決めたと書かれている。
よく言われる話:画風変換のAIは、多数の名画を学習させて画家の描き方を覚えさせたものだと思われやすい(この通念自体は当サイトの推定) 元の資料では:論文の手法では、物体認識用に学習済みのネットワークをそのまま使う。PFNのブログにある通り。更新するのはであり、画風の元となる絵画は1枚あればよい。また、著者の所属には神経科学研究所(Centre for Integrative Neuroscienceなど)が並ぶ。論文の要旨の最後では、人間が芸術作品をを計算論的に理解する道につながると述べている。
食い違い:コチシュとセペシュヴァーリの論文の会議が第何回か:AlphaGoの文献表には『15th European Conference on Machine Learning』とある。一方、Springerの書誌ではECML 2006は第17回とされている(検索結果で確認したのみで、原典は開いていない)。どちらが正しいかは決着させていない。
2015年7月28日、人工知能の国際会議IJCAI 2015の開会に合わせて、AIとロボットの研究者たちが公開書簡を発表した。書簡は、自律型兵器をと定義した。法律面はともかく技術的にはで実際に使えるようになり、火薬と核兵器に続くと言われている、と書いた。そして、軍事的なAIの開発競争は人類のためにならないとして、をこえる攻撃用自律型兵器の禁止を求めた。署名は、書簡を載せているFuture of Life Institute(FLI)のページで3万4378人(2026年9月23日に見た数)。国どうしの話し合いは、前年の2014年5月に特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の非公式専門家会合として始まり、日本も参加していた。2023年12月、国連総会は自律型致死兵器システムについての決議を採択し、国際社会が早急に取り組む必要性を強調した。
2017年、アシロマで開かれた会議で、Future of Life Institute(FLI)がまとめ役になり、AI研究者などがを作った。23の原則は、研究の問題(研究の目的はではなくを作ること、など)、安全や透明性などの倫理と価値、将来の問題(AIの能力の上限を決めつけない、など)からなる。会議の参加者の90%以上が賛成した原則だけを残した。