よく言われる話:注意(アテンション)は2017年のトランスフォーマーの論文で生まれた、と思われやすい(論文の題がAttention Is All You Needなので。言われ方の側は、このサイトの推定) 元の資料では:注意の仕組みは2014年のこの翻訳の論文にすでにあった。トランスフォーマーの論文も、よく使われる注意の2つの形式の1つをと呼び、この論文を文献 [2]に挙げている。トランスフォーマーの論文が新規性として示したのは、それまで注意がのに対し、RNNを使わずに注意だけで組み立てた点だった。なお、この2014年の論文の題にある言葉は整列(align)で、attentionという語は本文の1つの段落に3回出るだけである。論文は、入力と出力を対応させる似た手法として、グレイヴズさんの2013年の手書き文字を生成する研究も挙げている。
2018年2月、アレン人工知能研究所とワシントン大学のマシュー・ピーターズさんたち7人は、論文をarXivに公開し、単語の新しい表現手法をELMo(Embeddings from Language Modelsの頭文字)と名づけた。それまで主流だった単語ベクトル(word2vecやGloVeなど)は、1つの単語に1つのベクトルを割り当てるため、playがスポーツのプレーでも演劇でも同じ数値になっていた。ELMoは、まず大量のテキストで双方向の言語モデル(文頭から読んで次の単語を予測するLSTMと、文末から読んで前の単語を予測するLSTMを各2層重ねたもの)を事前学習させる。そして文中の単語について、各層の内部状態を、使う課題ごとに学習した重みで足し合わせ、その単語の文脈に応じた表現とする。これにより、同じplayでも野球の文とブロードウェイの劇の文で異なるベクトルになる(論文の表で、それぞれ近い使われ方の文が選ばれている)。質問応答や感情分析など6つの課題に組み込むだけで、いずれも当時の最高精度を更新し、誤りを最大で約20%削減した。
2021年、OpenAIのアレック・ラドフォードら12人は、CLIP(Contrastive Language-Image Pre-trainingの略。対照的な言葉と画像の事前学習)を発表した。インターネットから集めた4億組の画像と説明文を使う。画像を数の組(ベクトル)に変換するエンコーダー(ResNetかViT)と、文をベクトルに変換するエンコーダー(トランスフォーマー)を同時に学習させる。一度に32,768組を並べ、正しい組み合わせの画像と文のベクトルは向きが近く(コサイン類似度が大きく)、ほかの組み合わせは遠くなるように学習させた(対照学習)。学習後は、例えばA photo of a dog. のように種類の名前を文にして、画像に最も近い文を選べば、その種類の識別方法を教えなくても(ゼロショット)識別できる。ImageNetでは、その128万枚の訓練用画像を1枚も使わずに76.2%の正解率を出し、訓練用画像で学習させた元のResNet-50と並んだ。同じ日に発表された画像を生成するDALL·Eは、生成した候補の画像をCLIPで並べ替えて見本を選んだ。
2017年の論文自身が、この基本のやり方は(訳)と書き、例にNTT Communication Science Laboratories(京都)のスギヤマたちの2012年の対話研究を挙げている。会話の流れを2つずつ比べた好みから、報酬を見つける方法だった。RLHFという呼び名は、2022年のInstructGPTの論文が使っている。