1982年11月 確認が弱い 日本
1982年の雑誌にもう「第一次人工知能ブーム」 ──見つかった中で最も古い番号つきの表現 雑誌『プレジデント』 (1982年11月号)の記事に、20年ばかり前に巻き起こった「第一次人工知能ブーム」 の結果に幻滅した企業が、この分野への関心を失ったままだった、という内容の文がある。1982年の時点で、その20年ばかり前(このサイトの計算で1960年代初めごろ)のブームを『第一次』 と呼んでいた。国立国会図書館のデジタル化された本や雑誌の全文検索で、番号つきのAIブームという表現が見つかった最も古い例である(見つかった範囲)。
よく言われる話: 「第1次・第2次…という番号は、あとから(2010年代に)付けられた」と思われがち元の資料では: 1982年の雑誌にすでに『第一次人工知能ブーム』 とあり、第2次ブームのさなかから番号で呼ばれていた
分かっていないこと: 記事の題・筆者・ページは見ていない(館内限定)。OCR(機械で読み取った文字)のため、紙面で確かめる必要がある。
元の資料1件と確かめた所 プレジデント20(11) (1982・国立国会図書館デジタルコレクションのコマ番号の目安ind…・元の資料・開けなかった) 1985年3月 確認が弱い 日本
1985年の本に「82第二次人工知能ブーム:第5世代計画」 (82は1982年と考えられる) 神沼二真さんの本『バイオコンピュータ』 (1985年)に、「53ワトソン・クリック」 「82第二次人工知能ブーム:第5世代計画」 という、年と出来事を並べた図表のような記述がある。『82』 (1982年と考えられる。このサイトの推定)の欄に『第二次人工知能ブーム』 と『第5世代計画』 が並んでいる。直後の文字は読み取りが崩れているが、同年の神沼さん編の別の本では、同じ並びの後に「並列アーキテクチャー」 と続く。見つかった中でいちばん古い『第二次』 の表現である。
分かっていないこと: 図の全体(何年から何年まで、ほかに何が書かれているか)は見ていない。『Bio industry』 1986-08の同じ図らしいもののテキストデータでは、53のワトソン・クリックのDNA二重らせんモデルの後に「ノイマンの死 第一次人工知能ブーム」 と続く。1950年代後半を『第一次』 としているようだが(このサイトの推定)、紙面で確かめる必要がある。
元の資料2件と確かめた所 バイオコンピュータ : 生命とエレクトロニクスの結合による超テクノロジー(神沼二真 著、日本経営協会) (1985・国立国会図書館デジタルコレクションのコマ番号の目安ind…・元の資料・開けなかった) Bio industry 3(8)(26)(シーエムシー出版) (1986・国立国会図書館デジタルコレクションのコマ番号の目安ind…・元の資料・開けなかった) 1985年4月4日 元で確認 食い違いあり 日本
1985年の国会で、AIは「現在第二回目のブーム」 と言われていると説明される 東京大学の石井威望さんが国会(衆議院の委員会)に呼ばれ、「このAIというのは現在第二回目のブームになっていると言われておりまして」 と説明した。1回目は1960年代中ごろから後半のアメリカ中心の試みで、2回目は日本の第五世代コンピュータ計画だと話した。ブームを何回目と数える見方は、2回目のブームのさなかにすでにあった。
分かっていないこと: 「第二回目のブーム」 という言い方を、1985年より前に誰が始めたかは分かっていない(国会会議録の範囲で見つかった一番古いものがこれ)
元の資料2件と確かめた所 食い違い: 1回目のブームの時期を、石井さんは「1960年代中ごろから後半」と話している。2010年代の日本の資料の多くは「1950年代後半〜1960年代」としている(総務省 平成28年版 白書など。別の行を参照)
第102回国会 衆議院 科学技術委員会 第5号(昭和60年4月4日)石井参考人の発言 (国立国会図書館 国会会議録検索システム・1985・発言番号4(石井威望 参考人)・元の資料) 第102回国会 衆議院 商工委員会 第8号(昭和60年3月29日)石井参考人の発言 (国立国会図書館 国会会議録検索システム・1985・発言番号26(石井参考人)・元の資料) 1985年7月 確認が弱い 食い違いあり 日本
1985年、当時のブームを『第一次人工知能ブーム到来』 と呼ぶ特集もあった(数え方は決まっていなかった) 雑誌『鉄道通信』 (1985年7月号)の特集案内に、「6月号 通信事業, 百年の独占に終止符」 「7月号 第一次人工知能ブーム到来」 とある。一方、同時期の国会では『現在第二回目のブーム』 (1985年4月)、本では『第二次人工知能ブーム』 (1985年3月)と呼ばれていた。1980年代のブームを『第一次』 と数える人と『第二次』 と数える人の両方がいた。
よく言われる話: 「第2次AIブームは当時から第2次と呼ばれていた」と思われがち元の資料では: 1985年には、同じブームを『第一次人工知能ブーム到来』 と呼ぶ特集もあった。数え方は、初めから決まっていたわけではない。
分かっていないこと: 『第一次人工知能ブーム到来』 の特集がどの雑誌の何月号かは、抜粋文だけでは分からない(6月号・7月号とあり、通信機器の分類記事の紹介の中)。
元の資料1件と確かめた所 食い違い: 1980年代のブームを、この特集は『第一次』 、神沼二真『バイオコンピュータ』 (1985)は『第二次人工知能ブーム』 、国会の石井威望さん(1985)は『第二回目のブーム』 と呼んでいる。
鉄道通信 = Railway telecommunications & electronics 36(7) (1985・国立国会図書館デジタルコレクションのコマ番号の目安ind…・元の資料・開けなかった) 1993年 確認が弱い 日本
1993年の本に「一九六〇年代の第一次AIブーム以来」 ──見つかった中で最も古い「第一次AIブーム」 の表現 1993年の本に、人間の認識の仕組みをコンピュータで再現する研究について「一九六〇年代の第一次AIブーム以来、常にAI研究の代表格と目されてきました」 という文がある。『人工知能ブーム』ではなく『AIブーム』の形で『第一次』 が出てくる最も古い例である(国立国会図書館デジタルコレクションの全文検索で見つかった範囲)。
分かっていないこと: どの研究者の話か、何ページかは見ていない
元の資料1件と確かめた所 日本の頭脳100人 : 先端科学技術をリードする研究者たち(「先端人」編集部 編) (「先端人」編集部 編・1993・国立国会図書館デジタルコレクションの全文検索の抜き出し・元の資料・開けなかった) 1995年3月23日 確認が弱い 日本
1995年の博士論文に「第二次AIブームの絶頂期」 ── 見つかった中でいちばん古い「第二次AIブーム」 の形 大阪大学の博士論文(1995年。章の名前に『知識工学研究とエキスパートシステム』 などがある)に、「時は折しも第二次AIブームの絶頂期であり」 という文がある。そのまま研究分野のGeneric Task([Chandrasekaran86]という文献の印つき)の話に続く。『人工知能ブーム』ではなく『AIブーム』の形で、番号付きの表現が出てくる最も古い例である(国立国会図書館デジタルコレクションの全文検索で見つかった範囲)。
分かっていないこと: 論文の何ページかは見ていない(送信サービスの資料)。
元の資料2件と確かめた所 再利用可能知識ベース開発のための専門家モデル構築方法論に関する研究(博士論文、大阪大学) (1995・国立国会図書館デジタルコレクションのコマ番号の目安ind…・元の資料・開けなかった) 再利用可能知識ベース開発のための専門家モデル構築方法論に関する研究(国立国会図書館デジタルコレクションの書誌と目次) (1995・item.contentsBundles[0].indic…・元の資料) 2014年3月 元で確認 日本
見つかった中で最も古く「第三次AIブーム」 が登場する論文(2014年。第一次・第二次もそろう) 慶應義塾大学の山口高平さんが人工知能学会誌に書いた、第五世代コンピュータを振り返る記事である。1950〜60年代を「第一次AIブーム」 、1970年代を「第一次AI停滞期」 、1980年代を「第二次AIブーム」 と呼んだ。国の基礎研究計画(CYC・CALOなど)から、WatsonやSiriのような企業の課題を解く計画へのバトンリレーを「第三次AIブームの原動力」 と位置づけている。J-STAGE(日本の学術論文データベース)の全文検索で、この3つの言葉が同時に登場する最も古い文献である(見つかった範囲)。
分かっていないこと: 新聞・雑誌・ウェブ記事はこの検索の対象外である。2014年より前に『第3次AIブーム』と書いた文献が存在する可能性は残る。
元の資料1件と確かめた所 第五世代コンピュータから考えるAIプロジェクト(特集「第五世代コンピュータと人工知能の未来」) (山口 高平・2014・p.115 1. はじめに/2. AI誕生からFGCS終了まで・元の資料) 2015年3月9日 元で確認 日本
松尾豊『人工知能は人間を超えるか』 (2015年):章の名前に第1次・第2次・第3次AIブームを使用 東京大学の松尾豊さんの本である。章の名前に「『推論』と『探索』の時代――第1次AIブーム」 「『知識』を入れると賢くなる――第2次AIブーム」 「『機械学習』の静かな広がり――第3次AIブーム(1)」 「静寂を破る『ディープラーニング』――第3次AIブーム(2)」 を用い、歴史をブームの番号で区切っている。第2章の最初の節は「ブームと冬の時代」 である。2016年の総務省の白書は、AIの歴史の部分をこの本などを参考に書いたと注に記している。
分かっていないこと: 本の中で各ブームを何年から何年としているか(本文・図の年)は、本を開いていないので確かめていない。
元の資料3件と確かめた所 CiNii Books:人工知能は人間を超えるか : ディープラーニングの先にあるもの(目次はBOOKデータベースより) (国立情報学研究所・2015・内容説明・目次・まとめ) UTokyo BiblioPlaza:人工知能は人間を超えるか(紹介文と本の目次) (松尾 豊(紹介文の執筆者。2018年と表示)・2018・紹介文/本の目次・本人の後の回想) KADOKAWA商品ページ:人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (KADOKAWA・2015・発売日・まとめ) 2015年6月19日 元で確認 日本
2015年、国会でAI「第三次ブーム」 が登場(松尾豊さんの話として) 衆議院の経済産業委員会で、石川昭政議員が発言した。自民党で東大の松尾さんという准教授から話を聞いたとして、「人工知能の研究開発は第三次ブームが到来している」 と紹介した。その中心にあるのはディープラーニングである。ビッグデータをもとに、これまで人間が決めていた変数やアルゴリズムを、コンピューターが自分で考えて導き出せるようになる、とも話した。国会の会議録で、AIの「第三次ブーム」 が出てくる、見つかった範囲で一番古い発言である。
分かっていないこと: 松尾さんが自民党の会合で実際に何と話したかの元の記録(資料)は、見つけていない。ここで確かめたのは、国会で石川議員がそう伝えたことである。
元の資料1件と確かめた所 第189回国会 衆議院 経済産業委員会 第24号(平成27年6月19日)石川委員の発言 (国立国会図書館 国会会議録検索システム・2015・発言番号26(石川委員)・元の資料) 2017年4月11日 元で確認 日本
2017年、国会で第一次・第二次・第三次AIブームがそろって語られる 参議院の総務委員会で伊藤孝恵議員が、「一九五六年から六〇年代にかけて第一次AIブームというのがございました」 と話した。続けて、1980年代の「第二次AIブーム」 (このとき通産省が570億円をかけて第五世代コンピュータの計画をやった、と伝え聞きの形で話した)を経て、「今現在、第三次AIブームというふうに言われております」 と述べた。国会の会議録で3つの番号がそろって出てくる、見つかった範囲で一番古い発言である。
元の資料1件と確かめた所 第193回国会 参議院 総務委員会 第8号(平成29年4月11日)伊藤孝恵君の発言 (国立国会図書館 国会会議録検索システム・2017・発言番号23・元の資料)