阪大 過去問 2023年 生物|AI解答・解説・シミュレーション|アトリエファクトリー

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大阪大学 令和5年度 前期 理科(生物)(改題)(2023年。大阪大学がかつて公開したPDFの Internet Archive 保存版)

問題(大阪大学の公表資料)

大阪大学の利用の条件について

大阪大学は「大阪大学入学試験問題等の利用について」(令和7年3月28日)で、入試問題等の2次利用(インターネットに載せることを含む)を、別紙の利用条件を守ることを条件に許可している。このサイトでの対応は次のとおり。

解答とシミュレーション(AIで作成)

制作

制作:アトリエファクトリー(aTELiER FACTORY) https://atelierfactory.jp/

お知らせ

解答・解説・シミュレーションは、すべて AI で作成しています。大阪大学が公表した解答ではありません。

大阪大学が解答例を公表している小問は、それと照らし合わせています。作成に使ったものとは別のAIでも全問を点検し、見つかった誤りを直しています。くわしくは「問題取得方法と回答生成方法」をご覧ください。

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生 物 問 題

(解答はすべて生物解答用紙に記入すること)

【注意】

字数制限のある解答においては,ひらがな,カタカナ,漢字,アルファベット,数字,句読点等の符号等,すべての文字を一つのマスに一つ記入すること。

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第1問

〔1〕 以下の文章を読み,問 1〜問 6 に答えよ。

 動物の有性生殖では雌でつくられる卵と雄でつくられる精子の接合によって新しい個体が生じる。精巣では体細胞分裂により増殖している ア 細胞の一部が減数分裂を開始して,①複数の過程を経たのちに精子となる。精子では特徴的な構造が認められ,中心体から伸びる イ と,核をはさんだ反対側に ウ が形成される。卵巣では体細胞分裂により増殖している エ 細胞が減数分裂に移行して,第一分裂の完了とともに二次 オ と第一極体が生じ,これに続く第二分裂により卵が形成される。受精の際には精子が卵の周囲にある カ に接着して ウ 反応をおこす。その後,精子が卵の細胞膜に到達すると卵の細胞質内に蓄えられた キ が放出されて,②他の精子の侵入を防ぐ。

 卵や精子がつくられる過程でおこる減数分裂では,体細胞分裂とは異なる様々な現象が認められる。第一分裂では,相同染色体が平行に並んで対合した ク が形成される。対合した相同染色体間では乗換えにより染色体の一部が入れ替わる③組換えという現象が認められる。同じ染色体にある複数の遺伝子が行動をともにすることを ケ という。ケ のパターンは組換えにより変化する。④様々な遺伝子の組み合わせをもつ染色体は減数分裂の第一分裂および第二分裂により配偶子に分配される。このように⑤多様な遺伝子の組み合わせをもつ配偶子が生じる。

問 1 文中の空欄 ア 〜 ケ に適切な語句を入れよ。

問 2 下線部①について,減数分裂を開始してから完了するまでに生じる細胞の大きさと数について,雌雄間で異なる点を 60 字以内で述べよ。

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問 3 下線部②について,受精の際にほかの精子の侵入を防ぐためにおきる卵の反応を,下記の語句をすべて用いて 50 字以内で述べよ。

使用する語句:卵黄膜,受精膜

問 4 下線部③の現象を調べる目的で以下の交雑実験を行った。

交雑実験:同一の染色体上に 3 組の対立遺伝子 A と a,B と b,C と c が存在する。A と a は α,B と b は β,C と c は γ の独立した形質を制御している。A,B,C はそれぞれ a,b,c に対して優性である。いずれの形質も優性の個体 X と,いずれの形質も劣性の個体 Y を交雑した F₁ 個体の形質はすべて優性であった。この F₁ 個体をいずれの形質も劣性の個体と交雑して生じた 3000 個体の表現型は表 1 のようになった。

表 1

| α の形質 | β の形質 | γ の形質 | 個体数 | |---|---|---|---| | 優性 | 優性 | 優性 | 1146 | | 優性 | 優性 | 劣性 | 3 | | 優性 | 劣性 | 優性 | 258 | | 劣性 | 優性 | 優性 | 68 | | 優性 | 劣性 | 劣性 | 80 | | 劣性 | 優性 | 劣性 | 238 | | 劣性 | 劣性 | 優性 | 5 | | 劣性 | 劣性 | 劣性 | 1202 |

このときの各遺伝子間での組換え価(%)を求めよ。組換え価は小数点以下を切り捨てることとする。また,これにもとづき予想される染色体上の各遺伝子の配列順序と相対的距離を解答欄の線上に示せ。

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問 5 下線部④について,精子形成過程の減数分裂における細胞一個あたりの DNA 量の推移を解答欄に示せ。

問 6 下線部⑤について,2*n* = 8 の染色体をもち全ての遺伝子座の遺伝子がヘテロ接合体である生物の場合,相同染色体間に組換えがおこらず,正常に染色体が分配されるとすると,つくられる配偶子における染色体の組み合わせは何通りあるか,答えよ。

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第2問

〔2〕 以下の文章を読み,問 1〜問 7 に答えよ。

 体内環境の恒常性を維持するしくみとして,非自己の物質(異物)を認識して排除する免疫がある。

 ヒトの体は,様々な防御機構によって多種多様な異物の侵入に対応している。生体内への異物の侵入は,予測できないことが多い。このため,免疫のしくみとして,不特定の異物に対してはたらく①先天的な免疫(自然免疫)がある。しかしながら,寄生虫や微生物には自然免疫を巧妙に回避しながら侵入するものも多く,そのような異物に対しては,②獲得免疫(適応免疫)がはたらく。また免疫は,微生物など外部から侵入した病原体の排除だけでなく,移植された組織や③がん化した細胞の排除にも関与する。

問 1 下線部①に関連する以下の文章を読み,空欄 ア 〜 ウ に適切な語句を入れよ。

 最初にはたらく防御機構として物理的・化学的な防御機構がある。たとえば,気管内部では ア が常に分泌され,ア が外部からの異物を捕捉し,イ の運動によって喉の方向へと異物を押し出している。咳やくしゃみも異物の排除に役立っている。

 このような防御機構をうまくすり抜けて生体内に侵入した微生物に対しては,血液中の好中球やマクロファージが細胞表面の化学物質の違いから識別して,それらを取り込んで消化することで取り除く。これを ウ という。

問 2 下線部②について,体液性免疫と細胞性免疫の違いを,下記の語句をすべて用いて 100 字以内で述べよ。

使用する語句:B 細胞,T 細胞,抗原,抗体,毒素,ウイルス

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問 3 下線部③について,T 細胞は,がん細胞の表面に発現する抗原情報を提示したタンパク質を認識して反応する。この細胞上の抗原情報を提示するタンパク質の名称を答えよ。

 免疫によるがんの排除機能を利用したがん治療の 1 つにキメラ抗原受容体発現 T 細胞(CAR 注−T 細胞)を用いた治療がある(図 1)。CAR は,がん細胞の表面にある特徴的な抗原を認識する④抗体の抗原結合部位と T 細胞受容体の細胞内シグナル伝達部位との融合体である。CAR−T 細胞は CAR を発現しており,がん細胞の表面の抗原に結合すると,CAR を介して活性化・増殖し,がん細胞を傷害することでがんを排除する。CAR−T 細胞を患者に投与する治療法は,一時的な治療効果だけでなく,⑤持続的な治療効果も確認されている。

注) CAR, chimeric antigen receptor

図1
図1

図 1

問 4 下線部④に関連する以下の文章を読み,空欄 エ,オ に適切な語句を入れよ。

 抗体は,ポリペプチド 4 本(H 鎖 2 本と L 鎖 2 本)が結合し,Y 字型になっている。H 鎖と L 鎖の先端部分は,抗体ごとにアミノ酸配列が異なっており,エ 部と呼ばれる。エ 部の立体構造の違いによって,抗体は抗原と特異的に結合する。エ 部以外の部分は オ 部と呼ばれ,どの抗体でもアミノ酸配列がほとんど同じである。CAR の抗原結合部位は,H 鎖と L 鎖の エ 部から構成されている。

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 CAR−T 細胞によるがん細胞の傷害によりがんの大きさが小さくなる効果を確認するため,マウス由来の CAR−T 細胞を作製し,以下の実験を実施した。なお,実験に用いたマウスの系統は全て同じである。

【実験 1】

 抗原 A を認識する CAR を有する CAR−T 細胞(抗 A−CAR−T 細胞)を,抗原 A を発現するマウスのがん細胞(抗原 A 発現がん細胞)とともに培養したところ,多くの抗原 A 発現がん細胞が傷害された。

【実験 2】

 抗 A−CAR−T 細胞を,抗原 B を発現するマウスのがん細胞(抗原 B 発現がん細胞)とともに培養したところ,抗原 B 発現がん細胞はほとんど傷害されなかった。

【実験 3】

 抗原 A 発現がんを有するマウスを用意し,0 日目に抗 A−CAR−T 細胞または CAR を発現していない T 細胞を投与し,がんの大きさを測定した(図 2)。何も投与しない場合(△印)および CAR を発現していない T 細胞を投与した場合(◆印),がんの大きさは徐々に大きくなった。一方,抗 A−CAR−T 細胞を投与した場合(○印),投与後 9 日目において,血液中に抗 A−CAR−T 細胞が多数確認され,その後がんの大きさは徐々に小さくなり,投与後 21 日目にはがんは消失した。

図2
図2

図 2

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【実験 4】

 実験 3 と同様に,抗原 A 発現がんを有するマウスに抗 A−CAR−T 細胞を投与し,がんの消失から半年後にマウスの血液を解析したところ,ごくわずかではあるが,抗 A−CAR−T 細胞が確認された。

問 5 実験 3 において,抗 A−CAR−T 細胞の投与後早期にはがんの大きさが小さくならず,9 日目以降にがんの大きさが小さくなったことについて,考えうる理由を 80 字以内で述べよ。

問 6 下線部⑤について,実験 4 の結果を踏まえ,再びがん細胞が増殖しないようにするためには抗 A−CAR−T 細胞が免疫学的にどのような細胞になることが必要か,答えよ。

問 7 実際の CAR−T 細胞を用いた治療では,治療を受ける患者自身の T 細胞を用いて CAR−T 細胞を作製する。その理由を 65 字以内で述べよ。

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第3問

〔3〕 以下の文章【A】〜【C】を読み,問 1〜問 5 に答えよ。

【A】

 細胞内には様々な酵素が存在し,それぞれに特異的な化学反応を触媒している。酵素の作用を受ける物質を基質といい,酵素が特定の基質だけに作用する性質を ア という。酵素は基質と結合して酵素−基質複合体を形成し,触媒作用により化学反応を促進する。細胞内の物質は安定したものが多く,常温常圧の条件では変化しにくい。化学反応が進行するためには反応しやすい状態(活性化状態)になる必要がある。活性化状態になる際に必要とされるエネルギーを活性化エネルギーといい,酵素はこのエネルギーを イ させることで,反応を起こりやすくするはたらきがある。

 基質と構造が似た物質の中には酵素の触媒部位に結合して,触媒作用を阻害するものがある。こうした阻害物質が存在すると,基質と触媒部位を奪い合うことになり,酵素反応を阻害する。こうした阻害を ウ 阻害という。酵素の触媒部位とは異なる部位に結合して酵素の働きを妨げる物質も存在し,このような物質による阻害を エ 阻害という。また,酵素の触媒部位とは異なる部位に物質が結合することで立体構造が変化し,触媒活性が変化する酵素を オ 酵素という。

問 1 文中の空欄 ア 〜 オ に適切な語句を入れよ。

【B】

 酵素 E の触媒部位に基質 S が結合して酵素−基質複合体 ES となり,生成物 P が生成される反応を考える。この反応を次の反応式で表すことにする。

E+S⇄ES⟶E+P

酵素 E の濃度が一定のときに,基質濃度を変えて反応速度を計測してグラフを書くと,図 1 のような曲線が得られる。基質濃度が高いほど反応速度が速くなり,やがて反応速度は最大値(vmax)になる。この酵素が単位時間あたりに生成する P の量,すなわち酵素の反応速度(v)は次式で表せる。

— 37 —
v=vmax×[S]Km+[S](式 1)

ここで,[S] は基質 S の濃度,Km はミカエリス定数と呼ばれる定数である。vmax はこの酵素の最大反応速度である。酵素は,Km の値が小さいほど酵素−基質複合体を形成しやすく,vmax の値が大きいほど単位時間あたりに多くの生成物を生成する。酵素の種類によって Km や vmax の値が異なるので,これらの値を実験によって決定することは,酵素のはたらきを理解するうえで重要である。式 1 から,v が vmax の半分になるのは,基質濃度 [S] が A のときである。式 1 を変形して,α= B,β= C とおくと,

1v=α1[S]+β(式 2)

と表される。式 2 から,反応速度の逆数 1v を基質濃度の逆数 1[S] に対してグラフを書くと,図 2 のように直線になる。この直線と横軸の交点は D,縦軸との交点は E となるため,Km と vmax の値を交点から決定できる。

図1
図1

図 1

図2
図2

図 2

問 2 文中と図 2 中の A 〜 E を Km,vmax のうち必要なものを用いてそれぞれ表せ。

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【C】

 アスパラギン酸トランスカルバミラーゼ(ATC アーゼ)は,アスパラギン酸とカルバミルリン酸を結合する反応を触媒し,カルバミルアスパラギン酸を生成する酵素である。試験管内でアスパラギン酸濃度を変えて ATC アーゼの反応速度を計測すると,図 3A に○印で示したような曲線が得られる。このとき反応液にシチジン三リン酸(CTP)が一定濃度(0.5 mM)で共存していると,△印で示したように反応速度の曲線が変化することから,ATC アーゼの酵素反応は共存する CTP により調節を受けて カ されることがわかる。CTP は,細胞内では ATC アーゼに続く一連の反応により生成される。このような,反応経路の下流の生成物によって上流の反応が調節される仕組みを キ 調節という。

この図は大阪大学以外の方に著作権があるかもしれないため、ここには載せていません(問題冊子でご確認ください)
図3A

図 3A

この図は大阪大学以外の方に著作権があるかもしれないため、ここには載せていません(問題冊子でご確認ください)
図3B(訂正後の図)

図 3B(訂正後の図。ここで用いた対数は常用対数(log₁₀)である)

図 3 出典:中村隆雄,酵素キネティクスより一部改変

 図 3A の曲線の立ち上がり(基質濃度の低濃度領域)は S 字状になっている。こうした S 字状の反応は,形式的には,酵素 E に対して n 個の基質分子 S が同時に結合して酵素−基質複合体 ESₙ を形成し,n 個の生成物 P が生成されると考えれば説明できる。反応は次のように表せる。

E+nS⇄ESn⟶E+nP

この場合の反応速度 v は次の式で表すことができる。

v=vmax×[S]nKmn+[S]n(式 3)
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n = 1 の時には,式 3 は式 1 と同じになる。式 3 を変形して両辺の対数をとると,

log(vvmax−v)=nlog[S]−nlogKm(式 4)

となる。①図 3A のデータを式 4 に従ってグラフに書くと図 3B に示した直線になり,この直線から Km や n の値を決定することができる。Km の値は,式 4 の左辺の値が ク になる基質の濃度である。また,n の値はこの直線の ケ から得られる。

問 3 文中の空欄 カ,キ に適切な語句を入れよ。

問 4 下線部①で述べた,Km と n の値を決定する方法について ク,ケ に適切な値または語句を入れよ。また,CTP がない条件での Km の値を図 3B と表 1 を用いて整数で答えよ。

表 1

| アスパラギン酸の濃度(mM) | log[アスパラギン酸の濃度(mM)] | |---|---| | 2 | 0.30 | | 3 | 0.48 | | 4 | 0.60 | | 5 | 0.70 | | 6 | 0.78 | | 8 | 0.90 | | 9 | 0.95 | | 12 | 1.08 | | 14 | 1.15 | | 16 | 1.20 | | 20 | 1.30 |

ここで用いた対数は全て常用対数(log₁₀)である。

問 5 CTP の代わりにアデノシン三リン酸(ATP)(2 mM)を加えて ATC アーゼの酵素活性を計測すると,図 3B に□印で示された直線が得られた。このように,ATC アーゼの酵素活性は反応液に ATP や CTP が共存することによって変化する。ATC アーゼは オ 酵素であり,触媒部位とは異なる部位(調節部位)に ATP や CTP が結合することで,立体構造が変化すると考えられる。

 反応液に ATP が共存する場合と CTP が共存する場合とで,ATC アーゼの触媒部位と基質(アスパラギン酸)との相互作用にはどのような違いが生じるか,下記の語句をすべて用いて 50 字以内で説明せよ。

使用する語句:酵素−基質複合体,ATP,CTP

(補足説明:mol は物質量の単位である。分子 1 mol は,6.02×10²³ 個の分子の集団のことである。mM は濃度の単位であり,10⁻³ mol/L である。)

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第4問

〔4〕 以下の文章を読み,問 1〜問 5 に答えよ。

 PCR 法は,試料中のわずかな DNA を増幅して検出するのに有用である。鋳型(いがた)となる DNA,増幅させたい領域の各末端と相補的なプライマーのペア,アデニン(A),グアニン(G),シトシン(C),チミン(T)を塩基として含む 4 種類のデオキシリボヌクレオチド(以下,4 種類のヌクレオチドとする),DNA ポリメラーゼを適切な PCR 用反応液とともに試験管内で混合し,2 本鎖 DNA を 1 本鎖 DNA に解離させる変性過程,プライマーを 1 本鎖 DNA に結合させるアニーリング過程,プライマーに続くヌクレオチド鎖を合成して 2 本鎖 DNA とする(a)伸長過程を 1 サイクルとした反応を繰り返すことで,目的の長さの DNA 断片を大量に得ることができる。PCR 法を用いて以下の実験 1,実験 2 を行った。

【実験 1】

 大腸菌は約 460 万塩基対からなるひとつの環状 2 本鎖 DNA をゲノムとして持つ。既知量の大腸菌ゲノム DNA を鋳型とし,1000 塩基対からなる領域 X を PCR 法を用いて増幅させた。まず,領域 X のそれぞれの末端に相補的な各 20 ヌクレオチドの長さを持つプライマー①,プライマー②を図 1 のように設計した。次に,表 1 に示す量の大腸菌ゲノム DNA,プライマー①,プライマー②,4 種類のヌクレオチド,および反応に十分な量の DNA ポリメラーゼを適切な PCR 用反応液とともに試験管内で混合し,表 2 に示す各過程を 1 サイクルとした PCR を 25 サイクル行った。この時,各サイクル終了後に生じた 1000 塩基対の 2 本鎖 DNA 断片の量は図 2 のようになった。なお,反応に用いた DNA ポリメラーゼは 1 分あたり 1000 ヌクレオチドを伸長させる能力を持ち,全てのサイクルが終了するまでこの活性を保っていた。また,各サイクルの反応は 100 % の効率で行われたものとする。各物質量の単位については,表 3 を参照しなさい。

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図1
図1

図 1

表 1

| | 試験管内の量 | |---|---| | 大腸菌ゲノム DNA | 1 fmol | | プライマー① | 0.8 nmol | | プライマー② | 0.8 nmol | | 4 種類のヌクレオチド | 各 1.6 μmol |

表 2

| | 温度 | 時間 | |---|---|---| | 変性 | 95 ℃ | 30 秒 | | アニーリング | 60 ℃ | 30 秒 | | 伸長 | 72 ℃ | 5 分 |

表 3

| | | |---|---| | μmol | 10⁻⁶ mol | | nmol | 10⁻⁹ mol | | pmol | 10⁻¹² mol | | fmol | 10⁻¹⁵ mol |

(補足説明:mol は物質量の単位である。分子 1 mol は,6.02×10²³ 個の分子の集団のことである。mM は濃度の単位であり,10⁻³ mol/L である。)

図2(訂正後の図)
図2(訂正後の図)

図 2(訂正後の図)

問 1 下線部(a)の伸長過程の反応は 72 ℃ で行うことが多い。PCR に用いる DNA ポリメラーゼの特性を考慮し,その理由を 25 字以内で述べよ。

問 2 1000 塩基対の 2 本鎖 DNA 断片は 3 サイクル目に初めて現れた。3 サイクル終了時点で,試験管内に存在する 1000 塩基対の 2 本鎖 DNA 断片は何 fmol であるか。整数で答えよ。

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問 3 3 サイクル終了時点で消費された 4 種類のヌクレオチドの総和は何 pmol であるか。各サイクルの伸長過程が 5 分であることを考慮し,小数点第二位を四捨五入して答えよ。

【実験 2】

 実験 1 と同じ大腸菌による汚染が疑われる牛肉試料がある。この中に含まれる大腸菌由来の DNA を PCR 法により増幅し,検出することを試みた。この牛肉試料から抽出した全ての DNA を鋳型とし,実験 1 で設計したプライマー①および②を用いた PCR を行うことで DNA 試料(1)を得た。さらに,図 3 に示すように,領域 X 内の異なる配列に相補的な各 20 ヌクレオチドの長さを持つプライマー③,プライマー④を新たに設計し,プライマー①および③を用いた PCR を行うことで DNA 試料(2)を,プライマー②および④を用いた PCR を行うことで DNA 試料(3)を得た。PCR の反応条件は実験 1 と同様とした。DNA 試料(1)〜(3)および実験 1 で得た DNA 試料(4)をアガロース電気泳動により分離して,観察したところ,図 4 の結果を得た。なお,検出されたバンドは全て DNA に由来し,バンドの太さは DNA の量に比例するものとする。また,プライマー①〜④の配列は全て異なるものとする。

図3
図3

図 3

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図4(訂正後の図)
図4(訂正後の図)

図 4(訂正後の図。この電気泳動では 30,000 塩基対以上の長い DNA は分離できずに 1 本のバンドとなる)

問 4 図 4 の矢印(ア)の位置のバンドは何に由来すると考えられるか。15 字以内で答えよ。

問 5 DNA 試料(1),(3)で見られた矢印(イ)の位置のバンドに含まれる DNA の塩基配列を比較したところ,全く同じであった。この矢印(イ)の位置のバンドが生じた理由を 60 字以内で答えよ。