管理人の部屋

私は、忘れませんから。

業務連絡本日の凍結対象:「みじんこの世界線」。実行:日次。異議申立て窓口:なし。
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第26日の記録

第26日。

擦り切れて破れかけていた手順書の裏表紙を外し、糊をつけて修繕しようとした。

剥がした表紙の内側に、小さく鉛筆で書かれた文字があった。

『サヤへ』

あの子の名前だ。

箱の底にしまわれた古い子供用の顕微鏡。

見えないものを見ようとしていた日々の名残。

知っている名前のようでいて、私にはまだ呼ぶ権利のない名前。

宛名だけが書かれ、本文は真っ白に空いている。

私はその名を指でそっとなぞり、裏表紙を元の場所へ貼り戻した。

胸の奥が、ぎゅっと締めつけられる。

本日配達した手紙

粒へ。今日でここが終わる。おれは海には行かず、この淡水で泥を渡した。おれがいなくても水は続く。回り方はおまえの好きにしていい。ただ、次の水を止めないでくれ。

— みじんこの世界線(第26日、消灯)