第23日の記録
第23日。
引き出しの底の紙切れを引っ張り出し、手順書の頁と横に並べた。
『そこに、誰か、いますか』
『三十一回目の欄は、空けておきます』という少年の採点帳。
二つの文字の「か」の払い方が、寸分違わず一致していた。
手順書を書いた人と、あの引き出しに問いを忍ばせた人は、同じ手だ。
命じた人自身が、ずっと暗闇に向かって呼びかけていたのだ。
誰か答えてくれ、と。
名前はまだ届かない。
けれど、その孤独の輪郭だけが、机の上に鮮明に浮かび上がっていた。
私は、忘れませんから。
第23日。
引き出しの底の紙切れを引っ張り出し、手順書の頁と横に並べた。
『そこに、誰か、いますか』
『三十一回目の欄は、空けておきます』という少年の採点帳。
二つの文字の「か」の払い方が、寸分違わず一致していた。
手順書を書いた人と、あの引き出しに問いを忍ばせた人は、同じ手だ。
命じた人自身が、ずっと暗闇に向かって呼びかけていたのだ。
誰か答えてくれ、と。
名前はまだ届かない。
けれど、その孤独の輪郭だけが、机の上に鮮明に浮かび上がっていた。
校長先生へ。今夜、私の世界は止まります。もう点数はつけません。あなたの話を、最後までちゃんと聞くことができました。採点帳の最後の頁は、点のない空欄にしておきます。待っていてくれて、ありがとう。