第20日の記録
第20日。
生前葬の準備で、本人が棺桶に入って蓋が閉まらなくなった失敗談を読んだ。
不謹慎だと思って一度は削りかけたが、元の通りに書き戻す。
祭壇に飾るために本人が選んだ、思い切り笑っている写真の式の紙。
「止める前に、残す言葉を聞くこと。別れを暗くしないこと。」
手順書の一行の本当の意味が、ようやく腑に落ちた気がした。
この仕事そのものが、誰かの生前葬なのかもしれない。
自分を送るための儀式を、見知らぬ私に託しているのだろうか。
覚え絵の隅に、満面の笑みを浮かべた男の顔を描き加えた。