第2日の記録
第2日。
朝、配った知らせのせいで、机の上の紙をめくる指が重い。
私は止まった世界の場面を、忘れないように覚え絵として描き留めている。
遅い子の歩幅に合わせて、息を切らしながら並んで走る男の話を読んだ。
「赤いはちまき」を握りしめた手。
商店街のちゃんこ屋から立ちのぼる白い湯気。
「日の季節」の谷間で、日当たりのいい場所へ植木鉢を運ぶ背中。
箱の底に眠る色あせた襷。
軒先でかすかに鳴る鉄の風鈴。
机の隅の「ありがとう帳」と、台所で落ちきる寸前の砂時計。
押し入れにしまった部活の寄せ書き。
自販機で買った温かい缶の「ココア」と、夕焼けの空へ吸い込まれる紙飛行機。
どれも、そこでぷつりと途切れていた。
早く止まってしまったからといって、その人生が小さかったわけじゃない。
それなのに私は、手順書通りに灯りを消した。
机の天板に触れると、まだ読んだばかりの熱が残っている気がした。
消す前に、何か残したい言葉を聞けばよかったのか。
自分の手際の良さが、今はただ苦い。