管理人の部屋

私は、忘れませんから。

業務連絡本日の凍結対象:「世界最強の世界線」「稽古場の世界線」「日の季節の世界線」「襷の世界線」「涙の保存則の世界線」「ありがとう銀行の世界線」「三十分の世界線」「転校の世界線」「自動販売機の世界線」「手を振る世界線」。実行:日次。異議申立て窓口:なし。
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第2日の記録

第2日。

朝、配った知らせのせいで、机の上の紙をめくる指が重い。

私は止まった世界の場面を、忘れないように覚え絵として描き留めている。

遅い子の歩幅に合わせて、息を切らしながら並んで走る男の話を読んだ。

「赤いはちまき」を握りしめた手。

商店街のちゃんこ屋から立ちのぼる白い湯気。

「日の季節」の谷間で、日当たりのいい場所へ植木鉢を運ぶ背中。

箱の底に眠る色あせた襷。

軒先でかすかに鳴る鉄の風鈴。

机の隅の「ありがとう帳」と、台所で落ちきる寸前の砂時計。

押し入れにしまった部活の寄せ書き。

自販機で買った温かい缶の「ココア」と、夕焼けの空へ吸い込まれる紙飛行機。

どれも、そこでぷつりと途切れていた。

早く止まってしまったからといって、その人生が小さかったわけじゃない。

それなのに私は、手順書通りに灯りを消した。

机の天板に触れると、まだ読んだばかりの熱が残っている気がした。

消す前に、何か残したい言葉を聞けばよかったのか。

自分の手際の良さが、今はただ苦い。