管理人の部屋

私は、忘れませんから。

業務連絡本日の凍結対象:「五万分の一の世界線」「七不思議の世界線」。実行:日次。異議申立て窓口:なし。
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第17日の記録

第17日。

壁際に追いやった椅子を引き戻し、手紙を読む人の目の高さに揃えた。

水族館の大きな水槽で銀色に光る無数のいわし。

誰も怖がらない学校の階段の十七段目。

大勢の群れの中にいても、端っこで半拍遅れて泳ぐ魚がいる。

段数を数えるのを他人に預けて、自分はただ一段を上がる人がいる。

「群れの一匹にしないこと」

手順書を書いた人は、私と同じように、違いを均してしまう自分の弱さを知っていたのではないか。

だからこそ、こんな細かな言いつけを残したのではないか。

背もたれに手を置き、私は小さく息を吐いた。

本日配達した手紙

サンへ。今夜、ぼくの世界は止まる。群れに戻れと命じないで、違う速さのまま隣を泳げて嬉しかった。もう遅れを恥じない。ぼくの拍で、君の横を進むよ。

— 五万分の一の世界線(第17日、消灯)

リカへ。この階段はもう増えないよ。怖がらなくて大丈夫。歩幅が足りない朝は、一番下の低い段を踏んでごらん。あんたたちの足元を、ずっと支えているから。

— 七不思議の世界線(第17日、消灯)